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滋賀県の外壁塗装 悪質業者リストはあるのか——県に名簿はなく、代わりに「基準」が全文で出ています

県に名簿はありません代わりに「何をすると何日止まるか」の基準が11ページ全文で出ています。そちらのほうが使えます

①監督処分の一覧
県のホームページにありません。県は「国土交通省ネガティブ情報等検索サイトにおいて閲覧することができます」「監督処分簿は県土整備部監理課にて閲覧できます」と案内するだけです(2026年9月9日時点)
②代わりにあるもの
「滋賀県建設業者等の不正行為等に対する監督処分の基準」を11ページ全文で公開(令和8年2月3日施行)。新旧対照表まで付いています
民間工事だけ止まる処分がある
公共工事の契約の不正なら公共工事を、それ以外の契約の不正なら「公共工事以外の工事に係るもの」を止めると明記。「公共工事以外」と書いてあれば、あなたの家の工事の話です
手抜き工事の値段
「手抜きや粗雑工事により工事目的物に重大な瑕疵が生じたときは15日以上の営業停止」(低入札価格調査が行われた工事なら30日以上)
営業停止中でもできること
別表に7つ。「施工の瑕疵に基づく修繕工事等の施工」「アフターサービス保証に基づく修繕工事等の施工」は行える「見積り、交渉等」は行えない
③点検商法
令和7年度の相談170件(4年で約1.8倍・うち約6割が65歳以上)。県が「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の関与が疑われる」と明記し、令和7年1月から県警とホットラインを設置
県内の相談件数
令和7年度13,520件(県と市町の窓口の合計)。「工事・建築」は6位317件
注意
県は2026年9月7日にホームページをリニューアルし、過去の処分のお知らせ・点検商法の事例ページ・悪質リフォームのPDFが開けなくなっています
相談窓口
滋賀県消費生活センター 0749-23-0999(彦根市・月〜金9時15分〜16時)/土日祝は188で国民生活センター休日相談へ
このページの内容全21項目
  1. 滋賀県は、悪質業者の一覧を持っていません
  2. 名簿の代わりに、県は「基準」を全文で出しています
  3. 滋賀には「民間工事だけを止める」というルールがあります
  4. 手抜き工事の「値段」が、日数で書いてあります
  5. 訪問販売で処分されると、建設業の処分に連動します
  6. 営業停止中でも、できることが7つあります
  7. 許可がなくても、県は処分できます
  8. 県が調べるのは、原則3年以内のことだけです
  9. 廃業の公告は、月ごとに出ています
  10. 2026年9月7日のリニューアルで、過去のページが消えました
  11. 県内の相談は13,520件。「工事・建築」は6位です
  12. 点検商法170件。県が「トクリュウ」と名指ししています
  13. 県が載せている事例——120万円の防水工事
  14. 「火災保険が使えます」について、県が書いていること
  15. 県は、住まいの無料相談窓口を廃止しました
  16. 困ったときの窓口(滋賀県)
  17. 他の県は、どう公表しているか
  18. 滋賀県内の市の助成金も見ておく
  19. 契約する前に、これだけ
  20. よくある質問
  21. 参考にした情報

滋賀県は、悪質業者の一覧を持っていません

「滋賀県 外壁塗装 悪質業者リスト」で探している人に、まず結論を書きます。

滋賀県のホームページに、処分を受けた建設業者の一覧はありません。県は「建設業者等に対する監督処分について」というページを持っていますが、そこに書いてあるのはこれだけです。

滋賀県知事が行った監督処分につきましては、国土交通省「ネガティブ情報等検索サイト」において閲覧することができます。また、監督処分簿は県土整備部監理課にて閲覧できます。

つまり「国のサイトを見てください」「県庁まで来てください」の2つだけです。会社名の表も、処分の日付の表も、県のページにはありません(2026年9月9日時点/ページの更新日は2026年8月7日)。

ここで多くの人は「じゃあ何も分からないのか」と思ってページを閉じます。でも、滋賀県のこのページには、他の県が出していないものが2つ載っています。

  • 監督処分の基準(PDF)……どんなことをすると何日の営業停止になるのかが、全文で書いてあります。令和8年2月3日から施行された最新版です
  • 処分基準の新旧対照表(PDF)……何がどう変わったかが並べて書いてあります
  • 廃業等に係る建設業許可の取消し……月ごとのPDFで、令和7年5月分から令和8年7月分まで15本

県の公式ページはここです。——滋賀県「建設業者等に対する監督処分について」(2026年9月14日に当サイトがアクセスして確認)。

そして、先に知っておいてほしいことが1つあります。——「塗装業者だけの悪質リスト」は、どこにも存在しません。県のページにも国のサイトにも、あるのは建設業全体の監督処分で、業種で絞り込む仕組みがありません。「外壁塗装の悪質業者リスト」を探して見つからないのは、探し方の問題ではなく、そういう作りになっていないからです。

この記事は、「名簿がない代わりに、県が何を出しているのか」を1つずつ読んでいきます。名簿より、こちらのほうが実は使えます。

県によって、出しているものが違います。実名を並べて公表している県もあれば(兵庫県神奈川県広島県)、滋賀県と同じく基準だけを出している県もあります(栃木県沖縄県)。

名簿の代わりに、県は「基準」を全文で出しています

「滋賀県建設業者等の不正行為等に対する監督処分の基準」というPDFです。11ページあります。

何のための文書かは、冒頭に書いてあります。「建設業者等の行う不正行為等に厳正に対処し、もって建設業に対する県民の信頼確保と不正行為等の未然防止に寄与することを目的とする」

そして最後の「第5 その他」には、こう書いてあります。

監督処分の内容については、速やかに公表することとする。

公表すると書いてあるのに、県のページに一覧はありません。公表の場所が国土交通省のサイトと県庁の閲覧窓口だ、という整理なのだと読めます。ここは、探している人にとって分かりにくいところだと思います。

ただ、基準そのものは読む価値があります。他の県のページを見ても、ここまで具体的に「何日」と書いてあるものは多くありません。以下、外壁塗装を頼む人に関係のある部分だけを引きます。

滋賀には「民間工事だけを止める」というルールがあります

ここが、この基準でいちばん重要な1か所です。第2の2に、こう書いてあります。

建設工事の請負契約に関する不正行為等に対する営業停止処分は、公共工事……の請負契約……に関して不正行為等を行った場合はその営業のうち公共工事に係るものについて、それ以外の工事の請負契約に関して不正行為等を行った場合はその営業のうち公共工事以外の工事に係るものについて、それぞれ行うものとする。

やさしく言い直します。

不正があったのは止まる営業あなたの家の工事は
公共工事の契約公共工事に係るもの止まりません
公共工事以外(=民間工事)の契約公共工事以外の工事に係るもの止まります

つまり「営業停止◯日」という言葉だけでは、あなたに関係があるかどうか分かりません。止まっているのが公共工事の側なのか、民間工事の側なのかで、意味がまるで変わります。

当サイトが他の県で数えた結果を並べると、この差がはっきりします。新潟県では、営業停止9件のうち5件が「公共工事に係るものに限る」でした。1年間の営業停止でも、家の工事は止まっていなかったということです。

だから、処分を見つけたときに読むべきなのは日数ではありません。「範囲」に何と書いてあるかです。「公共工事以外」と書いてあれば、それはあなたの家の工事の話です。

手抜き工事の「値段」が、日数で書いてあります

基準の第3には、処分事由ごとに「何日以上の営業停止」かが並んでいます。外壁塗装に関係のあるものを抜き出します。

したこと処分
施工段階での手抜きや粗雑工事を行ったことにより、工事目的物に重大な瑕疵が生じた15日以上の営業停止(低入札価格調査が行われた工事なら30日以上)
主任技術者・監理技術者を置かなかった15日以上(不正に資格を取った者を置いていたら30日以上)
施工体制台帳・施工体系図を作らなかった、または虚偽の内容で作った7日以上
完成工事高を水増しした経営事項審査の結果を、公共工事の発注者に出した30日以上(財務諸表の内容にも虚偽があれば45日以上)
代表権のある役員が詐欺罪で1年以上の拘禁刑、かつ情状が重い最長1年間の営業停止

読み取れることが2つあります。

1つめ。手抜き工事は、県のルールの上ではっきり「15日以上」と値段が付いています。「手抜きをしても行政は何もしない」ということではありません。

2つめ。ただし条件が厳しい。「重大な瑕疵が生じた」ときです。塗膜が3年で剥がれた、という程度で県が動くとは書いてありません。行政処分は、あなたの工事のやり直し代を取り戻す仕組みではないと考えておいてください。お金の話は、消費生活センターや住まいるダイヤルが窓口になります。

訪問販売で処分されると、建設業の処分に連動します

この基準には、他の法律で処分されたときの扱いも書いてあります。外壁塗装の訪問販売に直接効くのが、特定商取引法の欄です。

特定商取引法で受けたもの建設業法での処分
第7条(訪問販売)などの指示処分建設業法でも指示処分
第8条第1項(訪問販売)などの業務停止命令3日以上の営業停止
役員などが拘禁刑に処せられた7日以上の営業停止
役職員がそれ以外の刑に処せられた3日以上の営業停止

つまり玄関先の勧誘の仕方で特商法の処分を受けると、それが建設業の許可のほうにも跳ね返ります。2つの法律が別々に動いているのではなく、つながっているということです。

ここから、消費者として使える読み方が出てきます。訪問販売でおかしいと思ったら、県の消費生活センターに相談する意味は「その1件が解決するかどうか」だけではありません。特商法の処分に至れば、建設業の側にも効きます。

営業停止中でも、できることが7つあります

基準の最後には「別表」が付いていて、営業停止の期間中に行えない行為と行える行為が並べてあります。ここは、処分を受けた会社に工事を頼んでいる人にとって実用的です。

営業停止期間中は行えない営業停止期間中でも行える
・新たな建設工事の請負契約の締結
・処分前の契約の変更のうち、工事の追加に係るもの
・それらに関連する入札、見積り、交渉等
・建設業の許可、経営事項審査、入札の参加資格審査の申請
・処分を受ける前に締結された請負契約に基づく建設工事の施工
・施工の瑕疵に基づく修繕工事等の施工
・アフターサービス保証に基づく修繕工事等の施工
・災害時における緊急を要する建設工事の施工
・請負代金等の請求、受領、支払い等
・企業運営上必要な資金の借入れ等

いちばん効くのは「施工の瑕疵に基づく修繕工事等の施工」と「アフターサービス保証に基づく修繕工事等の施工」です。頼んだ会社が営業停止になっても、すでに終わった工事の不具合の直しと、保証にもとづく手直しは、法律上できます。「処分を受けたので直せません」と言われたら、この別表を根拠に県へ相談できます。

逆に「見積り、交渉等」は行えません。営業停止中の会社から新しい見積書は出てこない、ということです。

許可がなくても、県は処分できます

この基準は、建設業の許可を受けていない業者にも適用されます。冒頭でわざわざ「建設業の許可を受けないで建設業を営む者(以下「無許可業者」という。)」と定義したうえで、第4に無許可業者向けの基準がまとめられています。

無許可業者がしたこと処分
無許可で1件500万円以上(建築一式なら1,500万円以上、または延べ面積150平方メートル以上の木造住宅工事)を請け負った原則3日以上の営業停止
施工段階での手抜きや粗雑工事で、工事目的物に重大な瑕疵が生じた原則3日以上の営業停止
特定商取引法の業務停止命令を受けた3日以上の営業停止
代表権のある役員が詐欺罪で1年以上の拘禁刑、かつ情状が重い最長1年間の営業停止

金額のところに、見落とされやすい注意書きが付いています。

同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負った場合については、各契約の請負代金の額の合計額をもって判断する

「外壁で250万円、屋根で250万円」と契約を2本に分けても、合計500万円で判断されます。許可のない業者が金額の線を越えないように契約を割る、という形は通りません。

戸建ての外壁塗装は、たいてい500万円に届きません。だから許可がない会社に頼むこと自体は違法ではありません。ただ、屋根と外壁をまとめて足場を組み、付帯部まで入れると金額が伸びることはあります。30坪でいくらかの目安を持ったうえで、金額が大きくなりそうなときは許可の有無を聞いてください。

県が調べるのは、原則3年以内のことだけです

基準の第5に、期限が書いてあります。

不正行為等に対する監督処分に係る調査等は、原則として、当該不正行為等があった時から3年以内に行うものとする。

これは知っておく価値があります。10年前のトラブルを県に持ち込んでも、原則として処分の調査にはなりません。ただし、他の法律の違反で起訴されたものなどは、この限りではないと書かれています。

もう1つ、時期についての定めもあります。他の法律の違反による処分は原則として刑が確定した時点で行う——つまり、裁判が終わるまで処分は出ません。「あの会社、トラブルを起こしたのに処分が出ていない」というときは、まだ確定していないだけということがあります。

廃業の公告は、月ごとに出ています

県が唯一、会社名を並べて公開しているのがこれです。「廃業等に係る建設業許可の取消し」。令和7年5月分から令和8年7月分まで、15本のPDFが並んでいます。

各PDFの冒頭には、処分の原因がこう書かれています。「建設業法第12条……の規定による廃業の届出があり、このことが同法第29条第1項第5号に該当する」。つまり会社が自分で「やめます」と届け出たので、県が許可を取り消したというものです。悪いことをしたから取り消された、ではありません。

当サイトはこの15本を開いて数えました。表には「取り消した建設業の種類」の欄があり、「塗」=塗装工事業が入っている行を拾えます。

期間公告の行数うち塗装工事業を含む行
令和7年5月〜令和8年7月(15か月)163行8行

「行」であって「社」ではありません。1つの会社が許可番号ごとに2行に分かれている月がありました。また各PDFは「許可の全部を取り消したもの」と「一部を取り消したもの」に分かれていて、一部の場合は残りの業種の許可は続いています。当サイトが2026年9月9日にPDFを開いて数えた数字です。

15か月で8行というのは、2か月に1件ほど、塗装の許可が返されているということです。新潟県では令和7年度の1年で18行だったので、県の規模の差がそのまま出ています。

くり返しになりますが、ここに名前があること自体は判断材料になりません。後継者がいなくて畳んだ会社も、法人になって番号を整理した会社も、同じ表に並びます。

2026年9月7日のリニューアルで、過去のページが消えました

調べていて、はっきり分かったことがあります。滋賀県は2026年9月7日にホームページをリニューアルしました。その結果、検索結果に残っているページの多くが開けなくなっています。

当サイトが2026年9月9日に確認したところ、次のページはすべて「ページが見つかりませんでした」でした。

  • 過去の建設業者に対する監督処分のお知らせ(2件)
  • 「こんなにあります!様々な点検商法」——屋根の点検商法の事例が載っていたページ
  • 「悪質リフォームの実態!」のPDF
  • 令和7年度上半期の消費生活相談状況のお知らせ

県のエラーページには、こう書かれています。「令和8年9月7日に滋賀県ホームページをリニューアルしました」。隠したのではなく、住所が変わったということです。

ただ、探している側にとっては同じことです。

  • 検索結果に出てくる滋賀県のページは、いま開けるとは限りません
  • まとめサイトが「滋賀県が公表した事例」として紹介しているものは、県のページでは確認できなくなっていることがあります
  • 確認できないものを根拠にしないでください。この記事の最後に、いま開ける県のページだけを並べています

消えたページの中身は、県が新しく作り直した統計資料のほうに引き継がれています。次の章がそれです。

県内の相談は13,520件。「工事・建築」は6位です

滋賀県消費生活センターが出している「令和7年度 滋賀県内の消費生活相談状況」を読みます。この資料の数え方は、他の県より正確です。県のセンターだけでなく、県と市町の窓口の合計だからです。

項目令和6年度令和7年度
県内の消費生活相談件数12,280件13,520件(+1,240件・10.1%増)

県は、この年を「消費生活相談件数が令和元年度以来の高水準に」と要約しています。増えた主な理由は、SNS広告を見て注文したことによるトラブルだと書かれています。

商品・サービス別の順位を見ると、「工事・建築」は6位で317件でした(前年度は4位・343件)。1位は化粧品826件、2位は健康食品491件です。

件数は少し減っていますが、順位で見れば10位以内に定着しています。外壁塗装・屋根・水回りといった家の工事は、滋賀県内で毎年300件前後の相談になっているということです。

点検商法170件。県は「トクリュウ」と名指ししています

この資料でいちばん重い章がここです。県は令和7年度の特徴の1つとして、こう挙げています。

トクリュウの関与が疑われる点検商法に関する相談が引き続き増加

点検商法とは何かも、県が定義しています。「屋根や給湯器などの点検を装い、工事をしないと危険などと不安をあおって商品やサービスを契約させる」もの。県の説明の1番目に「屋根」が出てきます。

年度点検商法の相談件数うち65歳以上
令和3年度92件50件
令和4年度127件73件
令和5年度93件64件
令和6年度150件84件
令和7年度170件100件

4年で約1.8倍です。そして令和7年度は約6割が65歳以上でした。

そのうえで県が書いている一文が、他の県では見たことがないものです。

悪質リフォーム業者による犯罪行為など、全国的にトクリュウの関与が疑われる点検商法等が発生しており、今後も事業者を装って訪問するトクリュウのケースには警戒が必要です

トクリュウについても県が説明を付けています。「匿名・流動型犯罪グループ」の略称で、SNSや求人サイト等を利用して犯罪実行犯を募り、匿名性の高い通信手段を用いるなどして、その都度メンバーを入れ替えながら、強盗事件や特殊詐欺、SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺など様々な犯罪を敢行するもの——と書かれています。

県が、屋根の点検に来る訪問者を、強盗や特殊詐欺と同じ枠組みで説明しているということです。「悪質な業者」ではなく「事業者を装って訪問する」と書いているところが、この文章の重さです。

県は対応する仕組みも作っています。「トクリュウホットライン」です。「トクリュウ・闇バイト・詐欺・強盗 緊急対策プラン」にもとづき、令和7年1月から県内消費生活相談窓口と県警察本部の間にホットラインを設置し、関連が疑われる相談情報を随時警察へ共有しています。令和7年度は35件を提供したと書かれています。

あなたが使える形にすると、こうです。「点検に来た」という訪問に不安を感じたら、消費生活センターへの相談が、警察と共有される道につながっています。大げさに思えても、相談していい種類の話だということです。

県が載せている事例——120万円の防水工事

同じ資料に、実際の相談が1件そのまま載っています。外壁塗装を考えている人に、いちばん近い形です。

訪問してきた業者から太陽光発電を勧誘され、一旦は断ったが、「瓦が浮いている、風が吹くと危ない。」と言われ、無料で点検すると説明されたため、了承した。割れた瓦などの写真も見せられ、「早急に修理する必要がある。」と言われて、120万円の防水工事を契約した。契約後に別の業者に状況を確認してもらったところ、金額が高すぎるなど不審点を指摘された。解約したい。(40歳代 女性)

この短い事例に、手口が4つ入っています。

  1. 入口が別の商品だった。最初は太陽光発電の話で来ています。断ったあとに屋根の話に切り替わりました
  2. 不安をあおる一言。「瓦が浮いている、風が吹くと危ない」——屋根は自分では見えません
  3. 無料点検。「無料」で断りにくくしています
  4. 写真を見せる。その写真が本当にあなたの家の屋根かどうか、確かめる方法がありません

4つめが、いちばん厄介です。当サイトが香川県で見た事例では、相談した人が「自分で床下に入って確認したが、見せられた3枚の画像のような場所は、どこにも見当たらなかった」と話しています。屋根も床下も、住んでいる人が確かめにくい場所が選ばれます。

そして、この事例で解決の糸口になったのも、はっきりしています。「契約後に別の業者に状況を確認してもらった」——もう1社に見てもらったことです。契約の前にそれをやっていれば、120万円の契約そのものが起きていません。

県が付けている助言は3つです。

  • 突然訪問してきた業者には安易に点検させないようにしましょう
  • 屋根工事や給湯器に関する相談が多く見られますが、十分に検討したうえで契約しましょう
  • 負担が少なく済むことを強調するため、火災保険や住宅保険等の申請を勧めたり、保険申請を代行するといった勧誘も見られます。経年劣化による損傷など、修理の内容によっては保険でカバーされない場合もあるため、注意が必要です

「火災保険が使えます」について、県が書いていること

3つめの助言を、もう少し開きます。ここは外壁塗装で頻繁に出てくる話だからです。

県が指摘しているのは「経年劣化による損傷など、修理の内容によっては保険でカバーされない場合もある」という点です。

火災保険の風災補償は、台風や強風などの災害で壊れたものを直すための保険です。年数が経って傷んだものは、原則として対象になりません。外壁の塗膜が色あせた、チョーキングが出た、コーキングが切れた——これらは時間の経過による劣化であって、災害の被害ではありません。

ここで何が起きるか。

  1. 業者が「保険で直せます」と言って契約する
  2. 保険会社が調査して、経年劣化だと判断する
  3. 保険金が下りない、または想定より少ない
  4. それでも工事の契約は残っているので、差額はあなたが払う

保険金がいくら下りるかを決めるのは保険会社です。訪問してきた業者ではありません。「自己負担ゼロ」と言われたときに疑うべきなのは金額ではなく、その工事が保険の対象になるのかどうかです。

もう1つ。保険申請の代行そのものにも気をつけてください。申請は本来、契約者本人が行うものです。代行を持ちかけられたときは、手数料がいくらか、断ったらどうなるか、契約書のどこに書いてあるかを確かめてください。

県は、住まいの無料相談窓口を廃止しました

もう1つ、知っておくべきことがあります。滋賀県は住まいづくりに関する無料相談窓口を、令和7年3月31日で廃止しました。

県のページには、こう書かれています。「県が『湖国すまい・まちづくり推進協議会』に委託して開設しています住まいづくりに関する無料相談窓口については、開設以来長きにわたり県民の皆様に御利用いただいてきたところですが、令和7年3月31日(月曜日)をもって廃止いたします」

そのうえで、県は2つの相談先を案内しています。

相談先内容受付
住まいるダイヤル(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)国土交通大臣指定の相談窓口。住宅の瑕疵などの建築士による電話相談、リフォームの見積チェック、弁護士会での面談相談0570-016-100/10時〜17時(土日祝、年末年始を除く)
公益社団法人 滋賀県建築士会建築の専門家への相談毎月第3水曜日/事前申込が必要

県内で建築士に直接相談できるのは、月に1回だけになったということです。しかも事前申込が要ります。

だから、滋賀で外壁塗装を考えている人にとっては、「相談してから決める」より「複数社に見積もりを出してもらって比べる」ほうが、現実的な確かめ方になります。見積書の読み方が分からなければ、住まいるダイヤルの「リフォームの見積チェック」を使ってください。国が指定した窓口で、電話でやってもらえます。

困ったときの窓口(滋賀県)

相談したいこと窓口連絡先
訪問販売、契約の解除、返金滋賀県消費生活センター(彦根市・湖東合同庁舎)0749-23-0999/月〜金 9時15分〜16時(祝日・年末年始を除く)
土日祝に相談したい国民生活センター休日相談188/土日祝 10時〜16時
いちばん近い窓口につなぐ消費者ホットライン188(局番なし)
見積書のチェック、工事の不具合住まいるダイヤル0570-016-100/10時〜17時(土日祝を除く)
建築士に相談したい公益社団法人 滋賀県建築士会毎月第3水曜日・事前申込制
建設業者の許可、無許可の疑い滋賀県 県土整備部 監理課 建設業係監督処分簿の閲覧もここです

県のセンターは彦根市にあり、平日しか開いていません。土日に困ったときは188へかけてください。国民生活センターの休日相談につながります。

お住まいが大津市(077-528-2662)・草津市(077-561-2353)・守山市(077-582-1146)・栗東市(077-551-0115)・野洲市(077-587-6063)・湖南市(0748-71-2360)・甲賀市(0748-69-2147)・東近江市(0748-24-5659)・近江八幡市(0748-36-5566)・高島市(0740-25-8106)などなら、市の窓口もあります。県の統計は、これら市町の窓口の相談も合わせた数字です。

滋賀県はインターネットでの消費生活相談も受け付けています。ただし県は「クーリング・オフの期限が迫っている等、急を要する場合はお電話にてご相談ください」と書いています。訪問販売で契約してしまったときは、電話のほうです。

他の県は、どう公表しているか

当サイトは同じやり方で、他の県の公表ページも1件ずつ開いています。並べると、滋賀の「一覧を持たない代わりに基準を出す」という形が、どういう位置にあるか分かります。

  • 熊本県……基準に「監督処分の内容については、速やかに公表する」とあるのに、掲載先が見当たらない。点検商法の相談は5年で5.2倍
  • 新潟県……報道発表資料を10件すべて開いても、家の工事が原因の処分は0件。営業停止の半分が「公共工事に係るものに限る」
  • 千葉県……県が「報道発表したものについてのみ、ホームページに掲載しております」と明記していて、掲載は1件だけ
  • 兵庫県……63件を全部開いても、手抜き・粗雑工事・瑕疵は0件
  • 徳島県……一覧の9割が廃業届。特定商取引法では屋根の塗装工事の訪問販売に業務停止21か月
  • 香川県……一覧が2つの課に分かれている
  • 岡山県……監督処分簿を52件すべて開くと、54%が書類・届出の不備
  • 広島県大阪府神奈川県愛知県宮城県

共通しているのは1つです。どの県でも、県の公表物から「この塗装店は危ない」を読み取ることはできません。県が出しているのは業界を監督した記録であって、消費者向けの評価ではないからです。悪質業者の見分け方は、一覧ではなく手元の見積書と契約書で判断するしかありません。

滋賀県内の市の助成金も見ておく

外壁塗装で使える助成金があるかどうかは、市によってまったく違います。「県に制度があるか」ではなく「あなたの市にあるか」で決まります。

助成金がある市では、たいてい「市内に本店がある業者」という条件が付きます。会社を選ぶときの材料が1つ増えるということでもあります。

契約する前に、これだけ

滋賀県の公表物からは、目の前の会社の良し悪しは分かりませんでした。分かるのは、あなたの手元に集まる紙のほうです。

  1. 突然来た人に点検させない。県の助言の1番目です
  2. 見せられた写真を、自分の家のものだと決めつけない。屋根も床下も、住んでいる人が確かめにくい場所です
  3. その場で契約しない。県の事例では、契約後に別の業者に見てもらって初めて気づいています
  4. 同じ条件で複数社に見積書を出してもらう。1社だけ抜けている項目が、金額差の正体です
  5. 「火災保険で自己負担ゼロ」は、金額ではなく対象かどうかを疑う。経年劣化は保険の対象になりません
  6. 迷ったら188。土日でも国民生活センターの休日相談につながります

よくある質問

滋賀県は、悪質業者の名前を公表していますか。

建設業の監督処分については、県のホームページに一覧がありません。県は「国土交通省ネガティブ情報等検索サイトにおいて閲覧することができます」「監督処分簿は県土整備部監理課にて閲覧できます」と案内しているだけです。県が会社名を並べて公開しているのは、廃業による許可取消の月ごとのPDFだけです。

県のページに何も載っていないなら、調べようがないのでは。

名簿はありませんが、「監督処分の基準」が11ページのPDFで全文公開されています(令和8年2月3日施行)。何をすると何日の営業停止になるかが具体的に書いてあり、新旧対照表まで付いています。他の県でここまで出しているところは多くありません。

「営業停止3日」と聞きました。家の工事は止まっていますか。

処分の範囲によります。滋賀県の基準では、公共工事の契約で不正があれば公共工事の営業を、それ以外(=民間工事)の契約で不正があれば公共工事以外の営業を止めると決まっています。「公共工事以外」と書いてあれば、それがあなたの家の工事の話です。

手抜き工事をされたら、県は業者を処分してくれますか。

基準には「施工段階での手抜きや粗雑工事を行ったことにより、工事目的物に重大な瑕疵が生じたときは、15日以上の営業停止処分を行う」と書かれています。ただし条件は「重大な瑕疵が生じた」ときです。そして行政処分は、あなたのやり直し代を取り戻す仕組みではありません。お金の話は消費生活センター(0749-23-0999)や住まいるダイヤル(0570-016-100)へ。

頼んだ会社が営業停止になりました。工事の手直しはしてもらえますか。

はい。基準の別表に、営業停止期間中でも行える行為として「施工の瑕疵に基づく修繕工事等の施工」「アフターサービス保証に基づく修繕工事等の施工」が明記されています。「処分を受けたので直せません」は理由になりません。ただし新しい契約や見積りはできません。

許可を持っていない業者に頼んでも大丈夫ですか。

1件500万円未満(建築一式なら1,500万円未満、または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅工事)なら、許可がなくても法律上できます。戸建ての外壁塗装はたいていこの範囲です。ただし契約を2本に分けても、合計額で判断されると基準に明記されています。滋賀県は無許可の業者にも処分の基準を持っています。

屋根の点検に来た人がいます。信用していいですか。

滋賀県は令和7年度の相談状況で、点検商法を「屋根や給湯器などの点検を装い、工事をしないと危険などと不安をあおって商品やサービスを契約させる」ものと定義し、170件の相談があったと公表しています(うち約6割が65歳以上)。さらに「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の関与が疑われる」と明記しています。県の助言の1番目は「突然訪問してきた業者には安易に点検させないようにしましょう」です。

「火災保険で自己負担ゼロ」と言われました。

県が書いています。「経年劣化による損傷など、修理の内容によっては保険でカバーされない場合もあるため、注意が必要です」。保険金がいくら下りるかを決めるのは保険会社で、訪問してきた業者ではありません。保険金が出なくても工事の契約は残るので、差額はあなたが払うことになります。

検索で出てきた滋賀県のページが開けません。

滋賀県は2026年9月7日にホームページをリニューアルしました。当サイトが9月9日に確認したところ、過去の監督処分のお知らせ、点検商法の事例ページ、悪質リフォームのPDFなどが「ページが見つかりませんでした」になっていました。隠されたのではなく住所が変わったのですが、いま開けるページだけを根拠にしてください。

滋賀県で住まいの相談は、どこにすればいいですか。

県が委託していた住まいづくりの無料相談窓口は、令和7年3月31日で廃止されました。いま県が案内しているのは、住まいるダイヤル(0570-016-100・平日10時〜17時)と、滋賀県建築士会(毎月第3水曜日・事前申込制)の2つです。見積書の内容を見てほしいなら、住まいるダイヤルの「リフォームの見積チェック」が使えます。

参考にした情報

当サイトが2026年9月9日に、滋賀県のホームページと公開PDFを直接開いて確認したものです。滋賀県は2026年9月7日にホームページをリニューアルしており、URLが変わっている場合があります。制度や掲載内容は変わることがありますので、契約の前に必ず県のページで最新の内容をご確認ください。

  • 滋賀県 県土整備部監理課 建設業係「建設業者等に対する監督処分について」(更新日:2026年8月7日)
  • 滋賀県「滋賀県建設業者等の不正行為等に対する監督処分の基準」(令和8年2月3日施行・全11ページ)および「処分基準新旧対照表」
  • 滋賀県「廃業等に係る建設業許可の取消し」(令和7年5月分〜令和8年7月分の月次PDF 15本)
  • 滋賀県消費生活センター「令和7年度 滋賀県内の消費生活相談状況」(県および市町の窓口の合計/全6ページ)
  • 滋賀県消費生活センター「窓口のご案内」(相談専用 0749-23-0999/彦根市 湖東合同庁舎)
  • 滋賀県 交通まちづくり部住宅課 企画係「住まいづくりに関する無料相談窓口の廃止について」
  • 最後は書面で比べる——処分歴を引いたあとは、書面をそろえる段階です(同じ条件で出してもらう方法