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外壁塗装の費用相場ガイド
外壁だけか屋根も塗るか、どの塗料を選ぶかで金額は大きく変わります。まずは「だいたいいくらか」の全体感と、見積書のどこを見ればいいかをつかみましょう。
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このページの内容全13項目
外壁塗装の費用、まずは全体感から
外壁塗装の費用は「どこまで塗るか(工事の範囲)」「塗料のグレード」「建物の大きさと傷み具合」でほぼ決まります。特に見落とされがちなのが工事の範囲です。外壁だけ塗るのか、屋根も一緒に塗るのかで30万円前後の差が出ます。ネットの相場を見て「思ったより高い」と感じる場合、その金額が外壁のみのものだった、というケースは少なくありません。
工事の範囲・塗料別の費用目安
もっとも多い30坪前後の2階建てで、下地処理から3回塗りまできちんと行った場合の目安です。
| 工事の範囲・塗料 | 費用の目安(税込) |
|---|---|
| 外壁のみ・シリコン/ラジカル | 約100〜130万円 |
| 外壁+屋根・ラジカル | 約130〜160万円 |
| 外壁+屋根・フッ素/無機 | 約160〜200万円 |
※建物の形が複雑な場合、3階建て、隣家との距離が近くて足場が組みにくい場合、下地の傷みが激しく補修が多い場合は上振れします。40坪前後なら、この目安より15〜25万円ほど高い帯になります(坪数が3分の1増えても、金額は1.3倍にはなりません。40坪の相場)。正確な金額は必ず現地調査のうえ見積もりで確認してください。
まず「うちは何坪か」を確かめる
相場の記事は、そのほとんどが30坪を基準に書かれています。ところが「自分の家が何坪か」を即答できる方は多くありません。土地の面積と建物の面積を取り違えていることもよくあります。次のどれかを見れば、正確な数字が出ます。
- 固定資産税の課税明細書——毎年春に市町村から届く書類の「家屋」欄に床面積が載っています
- 建物の登記事項証明書(登記簿)——1階・2階それぞれの床面積が書かれています
- 家を建てたときの図面や建築確認済証
いずれも㎡で書かれているので、3.3で割ると坪になります。1階と2階を足した数字(延べ床面積)で見てください。99㎡なら30坪、132㎡なら40坪です。
坪数がわかったら、次の表で自分の家の位置を確かめます。外壁のみと、屋根も一緒に塗る場合を並べました。
| 延べ床面積 | 外壁のみ (シリコン/ラジカル) | 外壁+屋根 (ラジカル) |
|---|---|---|
| 20坪(約66㎡) | 約80〜110万円 | 約110〜140万円 |
| 25坪(約83㎡) | 約90〜120万円 | 約120〜150万円 |
| 30坪(約99㎡) | 約100〜130万円 | 約130〜160万円 |
| 40坪(約132㎡) | 約115〜150万円 | 約145〜185万円 |
| 50坪(約165㎡) | 約130〜170万円 | 約160〜205万円 |
※下地の傷みが少なく、3回塗りできちんと施工した場合の目安です。費用シミュレーターと同じ表から作っています。50坪を超える家は、この表より大きくなります。面積を測った見積もりで確かめてください。
この表を上から下へ見ていくと、あることに気づきます。坪数が2.5倍(20坪→50坪)になっても、金額は1.5倍ほどにしかなっていません。足場の運搬も、近隣へのあいさつも、現場管理も、家が小さいからといって半分にはならないからです。結果として小さい家ほど坪単価は割高に見えます。20坪の家で「坪あたり5万円もする」と感じたとしても、それは吹っかけられているのではなく、この構造によるものです。
逆に、大きい家ほど帯の幅が広くなります。50坪を超えると、家の形(凹凸の多さ)や3階建てかどうかで実際の壁の面積が大きく割れるためです。50坪・60坪の相場では、坪数ではなく実測の㎡で見る方法を説明しています。平屋の場合は足場が下がる一方で屋根と壁が広がるため、同じ坪数の2階建てと単純比較できません(平屋の外壁塗装)。
2026年は工事費そのものが上がっています
「前回塗ったときはもっと安かった」と感じる方が多いはずです。実際、外壁塗装の費用はここ数年で確実に上がっています。ある業界調査では、30坪前後の住宅で2022年と比べて15〜25万円ほど高い見積もりが珍しくないとされています。
- 塗料と溶剤の値上がり:塗料本体に加え、うすめに使う塗料用シンナーが大幅に高騰しています
- 足場部材の高騰:鋼材価格の上昇がそのまま足場代に乗ります
- 養生材などの副資材:窓や床を保護するビニール・シート類も石油製品で、原材料と輸送コストの影響を受けます
- 職人の人件費上昇:建設業全体の人手不足が背景にあります
ネット上の相場記事には、数年前の金額をそのまま載せているものも少なくありません。古い相場観のまま「高すぎる」と判断すると、まともな業者を候補から外してしまうおそれがあります。
100万円の見積書は、何にいくら使われているのか
総額だけを眺めていても、高いのか安いのかは判断できません。そこで逆をやってみます。公開されている単価を積み上げて、100万円を自分で組み立ててみるのです。30坪・2階建て、外壁120㎡、屋根60㎡、足場180㎡として計算します。
| 項目 | 数量 | 使った単価 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 足場(組立・解体・運搬・飛散防止ネット込み) | 180㎡ | 800円/㎡ | 144,000円 |
| 外壁の塗装(下塗り+上塗り2回) | 120㎡ | 3,910円/㎡ | 469,200円 |
| 屋根の塗装(下塗り+上塗り2回) | 60㎡ | 5,430円/㎡ | 325,800円 |
| ここまでの小計 | — | — | 939,000円 |
足場は公開されている相場(1㎡あたり600〜1,000円)の中央値、外壁はエスケー化研「エスケープレミアムシリコン」、屋根は同社「クールタイトSi」の、メーカーが公表している材工単価を使いました。いずれも税抜です。外壁の3,910円/㎡は下塗り(水性ハイブリッドシーラー)込みの価格です。同じ製品でも上塗材だけなら2,920円/㎡で、そちらを使うと下塗りの手間が抜け落ちます。なお、この3,910円/㎡はメーカーが300㎡以上を基準に出した数字で、同社が公開している100㎡の列では5,080円/㎡——120㎡なら609,600円、小計は107万円で、洗浄もシーリングもしないうちに100万円を超えます(面積で単価が変わる根拠)。
ここで手が止まります。足場と、外壁・屋根を塗る手間だけで94万円。100万円まで残り6万円しかありません。ところが実際の工事には、まだこれだけの作業が残っています。
- 高圧洗浄——塗る前に汚れとカビ、古い塗膜の粉を落とす
- シーリングの打ち替え——サイディングの家なら、目地の長さは30坪でも100〜150mになります
- 養生——窓、玄関、車、植木、隣家との境界をビニールで覆う
- 下地補修——ひび割れ、欠け、剥がれの処理
- 付帯部——雨樋、軒天、破風、水切り、雨戸、庇。ここは面積ではなく1本・1枚で数える箇所です
- 諸経費・現場管理費・廃材処分費・近隣あいさつ
これらを足すと、メーカーの公表単価どおりに積んだ工事は100万円では収まりません。つまり、いま世の中で「30坪100万円台」と言われている金額は、メーカーの言い値をそのまま積んだら成立しない水準だということです。実際の見積もりは、この設計価格から掛け率で下がったところで作られています。
この事実は、2つの方向で役に立ちます。ひとつは「100万円は高すぎる」という感覚が、実は根拠のないものだったと気づけること。もうひとつは、そこからさらに大きく下がった金額——たとえば同じ工事内容で60万円台——が出てきたときに、どこかが削られていると考える理由になることです。削られるのは、たいてい完成後に見えなくなる部分(洗浄・シーリング・下塗り)か、塗る回数です。
では、届いた見積書でこの検算をするには何が必要か。数量です。「外壁塗装 一式 800,000円」では割り算ができません。「外壁 120㎡」と書いてあれば、単価が出て、メーカーの公表単価と比べられます。数量が書かれていない場合は、そのまま質問にしてください——「外壁は何㎡で見ていますか」。答えられない会社は、面積を測っていない可能性があります。
工期は10日〜2週間。日数の中身を知ると、省かれた工事が見える
金額と同じくらい、工期は工事の中身を映します。標準的な30坪の家で、外壁と屋根を塗る場合の流れです。
| 日数 | 作業 |
|---|---|
| 1日目 | 近隣へのあいさつ、足場の設置、飛散防止ネット張り |
| 2日目 | 高圧洗浄 |
| 3日目 | 乾燥(洗った水が抜けるまで待つ) |
| 4〜5日目 | 下地補修、シーリングの打ち替え・増し打ち |
| 5〜6日目 | 養生(窓・玄関・車・植木) |
| 6〜9日目 | 外壁の下塗り→中塗り→上塗り(1日1工程、間に乾燥) |
| 9〜11日目 | 屋根の下塗り→中塗り→上塗り |
| 11〜12日目 | 付帯部(雨樋・軒天・破風・雨戸・水切り) |
| 13日目 | 手直し、施主による確認 |
| 14日目 | 足場の解体、清掃 |
3回塗るのに3日かかるのは、1回ごとに乾かす時間が要るからです。国が発注する公共工事の仕様書では、塗料ごとに「次の工程まで何時間空けるか」が決められていて、気温5℃以下・湿度85%以上のときは塗装しないというルールもあります。乾かないうちに重ねた塗膜は、あとから縮んだり、密着せずに剥がれたりします。
ただし、公共工事の仕様がそのまま戸建てで使えるわけではありません。公共工事には監督員の立ち会いと書類の提出があり、その手間は最初から単価に乗っています。戸建ての見積もりに同じ管理を求めても、価格の土俵が違うので断られることがあります。それは手抜きではなく、そもそも別の商品だからです。
施主の側で確かめられるのは、もっと単純なことです。雨が降った翌日にいきなり塗り始めていないか。1日で3回塗りを終えていないか。この2つを見ておけば十分です。
「1週間で終わります」という見積もりが必ずしも悪いわけではありません。晴天が続き、小さめの家で、屋根を塗らないなら7日で終わることはあります。ただし雨が1日降れば、そのぶん後ろへずれるのが普通です。工期の短さを売りにしている場合は、乾燥時間か付帯部のどちらかが省かれていないかを、工程表で確認してください。工程表を出せない会社は、そもそも段取りを組んでいない可能性があります。
見積書は「一式」でも構わない。見るのは塗料名
「一式と書かれた見積書は悪徳業者」という説を見かけますが、これは言いすぎです。まともな会社でも一式でまとめて出すことはよくあります。項目が細かく割ってあるかどうかより、大事なのはどこに何を塗るのかが書かれているかです。
- 工程ごとに塗料のメーカー名・商品名が入っているか(下塗りはこれ、上塗りはこれで何回塗るか、鉄部の錆止めはこれ、というように)
- 「シリコン塗料」「高級塗料」といったぼんやりした書き方で終わっていないか。同じシリコンでも製品によって価格も持ちも違います
- 下地処理(高圧洗浄・ケレン)が含まれているか。ここを省くと、どんな高級塗料を使っても密着せず剥がれます
- 外壁・屋根・雨樋のように、面積や長さが数字で出せる部位は、一式のままでも「何㎡分が入っていますか」と聞けます。片方が「外壁一式」、もう片方が「外壁 150㎡」では、そもそも同じ土俵に乗っていません(軒天の細かい取り合いや雨戸1枚のような箇所は一式で正常です)
金額の安さだけで選ぶと、完成したら見えなくなる部分(洗浄・ケレン・下塗り・シーリング)が削られていることがあります。塗り立てはどんな工事でもきれいに見えます。差が出るのは5年後・10年後です。
塗料グレードでどれくらい変わる?
塗料は「高ければいい」というものではありません。判断の軸はあと何年その家に住むかです。カタログの年数は試験にもとづく期待値で、実際の持ちは日当たり・立地・下地の状態で変わります。
| 塗料 | 価格帯 | カタログ上の期待耐用年数 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| シリコン | 標準 | 7〜15年 | 長く使われてきた定番。製品数が多く色の選択肢も豊富 |
| ラジカル制御形 | 標準〜やや高め | 12〜15年 | 現在の主流。価格と耐久のバランスが良い |
| フッ素 | 高め | 15〜20年 | 高耐久。塗り替え回数を減らしたい方向け |
| 無機・無機ハイブリッド | 最上位 | 20〜30年 | 最高クラスの耐久性。初期費用は上がる |
同じ塗料でも屋根は外壁より寿命が短くなります。日差しと熱をまともに受けるためで、保証年数も屋根のほうが短く設定されるのが一般的です。「外壁10年・屋根10年」と一律に考えないでください。
もうひとつ、グレードとは別の軸として水性か溶剤(油性)かという違いがあります。現在の住宅の外壁は水性塗料が主流で、においが少なく住宅地でも扱いやすいのが理由です。ただし全部を水性で塗るわけではなく、雨樋や手すりなどの鉄部には弱溶剤や油性の錆止め、下地が傷んでいる面には溶剤系の下塗りというように場所と状態で使い分けるのが普通です。詳しくは業者選びガイドで解説しています。
なお、高耐久の塗料を選べば必ず得かというと、そう単純でもありません。塗膜が20年もっても、その間にシーリングは切れ、付帯部は傷み、色は少しずつ変わります。10年ほどで塗り直したほうが、家はきれいな状態を保ちやすいという考え方もあります。それぞれの塗料の詳しい違いは塗料の種類のページで解説しています(「ラジカル」がグレードではない理由や、この年数がどうやって作られた数字なのかも、そちらで扱っています)。
同じ坪数でも金額が変わる——見積書に書かれない条件
同じ30坪でも、見積もりが100万円の家と150万円の家があります。その差の多くは、見積書の項目名には出てこないところから生まれています。
- 隣の家との距離——境界まで50cmしかないと、通常の足場(本足場)が組めません。狭い場所用の組み方に変えるか、一部だけ別の方法を取ることになり、手間が増えます。なお、工事に必要な範囲であれば隣の敷地を使わせてもらう権利は民法で認められていますが、事前に伝えて了解を得るのが原則です。あいさつなしで隣家の上に足場が張り出すと、その場で工事が止まります。
- 前の道路の幅——4m未満だと資材を積んだトラックを家の前に停められません。離れた場所から人力で運ぶ距離が伸び、コインパーキング代が計上されることもあります
- 3階建て・急な屋根——足場の段数が増えます。屋根の勾配が急な場合は、屋根の上にも足場が必要になります
- 外壁の種類——サイディングは目地のシーリングの長さがそのまま金額になります。モルタルはひび割れの補修量で変わります。ALCは塗料の吸い込みが激しく、下塗りの量が増えます
- 前回何を塗ったか——前が弾性塗料だと、上に重ねた塗膜が膨れることがあります。下地処理の内容が変わり、金額も変わります
- 色数と付帯部の数——2色に塗り分けると養生と手間が増えます。雨戸が10枚ある家と2枚の家では、数万円の差が出ます
この一覧を見ると、現地を見ないで出てくる金額には、これらが1つも入っていないことがわかります。電話やメールだけで「30坪なら〇〇万円です」と言い切る会社の数字は、あとから必ず動きます。逆に、現地調査に来て隣家との距離を測り、道路の幅を見て、雨戸の枚数を数えている会社の見積もりは、着工後に金額が動きにくい。同じ日に何社かに見てもらうと、この「どこを見ているか」の差が並べて分かります。
30年でいくら払うか——1回の金額ではなく、通しで見る
「高い塗料を選べば長い目で得をする」という説明をよく見ます。本当かどうか、30坪・外壁+屋根で、30年のあいだに何回塗るかを並べてみます。
| 塗料 | カタログ上の期待耐用年数 | 30年での塗り替え回数 | 1回の目安 | 30年の合計 |
|---|---|---|---|---|
| シリコン | 10〜13年 | 3回 | 約130万円 | 約390万円 |
| ラジカル制御形 | 12〜15年 | 2〜3回 | 約145万円 | 約290〜435万円 |
| フッ素 | 15〜20年 | 2回 | 約175万円 | 約350万円 |
| 無機・無機ハイブリッド | 20〜25年 | 2回 | 約195万円 | 約390万円 |
※メーカーがカタログで示している期待耐用年数をもとにした単純計算です。実際の持ちは日当たり・海からの距離・下地の状態で変わります。
並べてみると、30年の合計は290万〜435万円のあいだに収まり、塗料によって劇的に変わるわけではありません。理由は足場です。1回あたり15〜25万円の足場代は、どの塗料を選んでも塗り替えのたびに必ずかかります。「高耐久のほうが得」という説明は、足場代を無視すれば正しく、入れると横並びに近づく——これが実際のところです。
もうひとつ、通しで見ると分かることがあります。塗膜が20年もっても、家のほかの部分は20年もちません。
- シーリング——目地のゴムは塗料より先に切れます。10年前後で打ち替えを考える部分です
- 付帯部——雨樋や雨戸、破風は、外壁より先に色があせます。素材が薄く、風と紫外線をまともに受けるためです
- 屋根——同じ塗料でも外壁より寿命が短くなります。日差しと熱を1日じゅう受けています
つまり「20年もつ塗料を塗ったから、20年何もしなくていい」にはなりません。塗ってから5年目と10年目に、自分の目で見ておくのが現実的です。家のまわりを一周して、壁を手でこすって白い粉がつかないか(チョーキング)、目地のゴムに切れ目や隙間がないか、雨樋の色があせていないかを見る。それだけで、次の工事をいつごろ考えればいいかの見当がつき、あわてて訪問営業の言い値で決めずに済みます。
選ぶときの軸は、結局あと何年その家に住むかです。10年後に建て替えや売却を考えているなら、高耐久塗料の差額は回収できません。逆に、次の塗り替えのときに自分が70代・80代になっていて、足場を組む工事の段取りを組むのが負担になりそうなら、回数を減らす選択には金額以上の意味があります。
相場より高い/安いと分かったら、次にどうするか
相場を知る目的は、届いた金額を動かすことにあります。読んだだけで終わらせないための手順です。
- 数量を聞く——「外壁は何㎡、屋根は何㎡、シーリングは何mで見ていますか」。この3つが出れば、単価が計算できます
- 塗料の商品名を聞く——メーカー名と製品名がわかれば、公表されている単価と期待耐用年数を自分で確認できます
- 同じ条件でもう2社に見てもらう——1社目に出してもらった数量を伝えれば、2社目・3社目は同じ土俵で比べられます
相場より大きく安い金額が出てきたときの見方も、ここまでの計算で説明がつきます。足場だけで15〜25万円かかるのですから、「外壁塗装が15万円」はそもそも成り立ちません。「今日契約してくれるなら半額」という話も同じで、半分にできる金額なら、もとの金額に根拠がなかったということです。
訪問してくる会社が全部だめだ、という話ではありません。ただ、相談の統計を見ると入口が変わってきています。国民生活センターに寄せられた「点検商法」の相談は、2023年度の12,550件から2025年度は19,696件へ増えました。一方で、訪問販売によるリフォーム工事の相談は、同じ期間に11,879件から5,544件へ減っています(いずれもPIO-NET登録・2026年5月31日現在)。「工事しませんか」と売り込む形は減り、「点検に来ました」という入口が増えているということです。屋根に上がらせる前に、頼んでいない点検であることを確認してください(点検商法の見分け方)。
もっと詳しく
30坪の費用相場
いちばん多い30坪戸建ての帯と、相場記事のバラつきの読み方
40坪の費用相場
30坪との差額と、延べ床面積の確かめ方
平屋の外壁塗装
サイトごとに金額が割れる理由。足場は下がり、壁と屋根は広がる
3階建ての費用
同じ延べ床でも壁は約1.2倍、屋根は約0.7倍
50坪・60坪の相場
大きい家ほど帯が割れる理由と、実測の㎡で見る方法
見積もりの内訳・足場代
足場代の公開相場と、「足場代無料」のからくり
産廃処分費
1.5万〜3.5万円の中身と、2023年10月から義務になった石綿の事前調査
塗料の平米単価
メーカーが公開している設計価格を製品ごとに並べました
付帯部の塗装単価
軒天・鉄部・基礎の公表単価と、外壁より高くなる理由(50㎡で1.80倍)
外壁クリーニングの料金
洗えば済む家と、塗り替えの時期が来た家の分かれ目
塗装面積の出し方
「延べ床×◯倍」の正体と、国が定めた窓の差し引き方
屋根だけ塗る費用
同じ30坪で15万円と80万円が並ぶ理由と、面積からの検算方法
追加費用を言われたら
正当な追加と、断れる追加。法律は「変更は書面で」と定めています
値引き交渉
できます。ただし削られるのは工程です。交渉すべきは金額ではありません
見積もりの有効期限
2026年に短くなっている理由。塗料は実際に20〜35%上がりました
塗料の値上げ2026
メーカー3社の公表資料で確認。工事費にどう効くのか
コーキングの費用
1mあたりの単価に何が含まれるか。国の仕様書で確認しました
ベランダ防水の費用
金額を分けているのは工法ではなく「撤去するかどうか」です
その金額は妥当?
見積書が手元にある人へ。100万円は高いのか安いのか
400万円は高すぎる?
その金額なら「塗装だけ」ではないはず。見積書を仕分ける手順
ローンで払う
組めます。ただし「控除が使える」の説明には注意
お金がないとき
減らす・借りる・もらうの3つと、確かめる順番
支払いはいつ?
国の標準は「契約時1割・引渡しと同時に完了」。全額前払いは避ける
ハウスメーカーの外壁塗装
なぜ高いのか、「保証が切れる」の正体は何か
ヘーベルハウスの外壁塗装
「30年」の正体と、他社に頼めるのか。公式情報で確認しました
積水ハウスの外壁塗装
「30年」はタフクリアの数字。光触媒が他社施工の分かれ目です
大和ハウスの外壁塗装
公式のサイクル表は「30年目」。商品名で答えが変わります
ミサワホームの外壁塗装
公式が金額を公表。外装90〜120万円・築10〜15年目
三井ホームの外壁塗装
60年保証の条件と、木製サッシの5年ルール
一条工務店の外壁塗装
塗り替えは不要。ただし30年保証の条件は「15年目の防水の有償工事」です
セキスイハイムの外壁塗装
塗装は不要。ただし公式は「目地材の交換は定期的に必要」と書いています
タマホームの外壁塗装
「最長60年保証」の条件。外壁材は選択制です
住友林業の外壁塗装
60年保証の条件と、「再塗装の目安は10年」のずれ
トヨタホームの外壁塗装
「30年相当」の意味と、15年目に足場を組む理由
中古住宅の外壁塗装
「前にいつ塗ったか分からない」家の判断のしかた
安い時期はある?
業者の答えが割れる理由と、時期より確実な下げ方
見積書の見方
見るのは4点だけ。足場もネットもコーキングも数量と単価で出るのが普通です
ここまでが費用の全体像です。ただし相場の記事を何本読んでも、「うちの家がいくらか」は出てきません。壁の面積も傷み方も家ごとに違うからです。何社かに現地を見てもらうと、ここで読んだ数字が自分の家ではどうなるのかが分かります。そのとき、このガイドの相場は「提案された金額が相場のどのあたりか」を確かめる物差しとして使えます。
外壁塗装の費用について、よくある質問
相場より安い会社に頼んで大丈夫ですか?
安いこと自体は問題ありません。自社で職人を抱えている会社は、下請けに出す会社より中間マージンのぶん安くなります。問題は安い理由が説明できるかどうかです。「自社施工だから」「今の時期は現場が空いているから」は理由になります。「今日だけ」「モニター価格」は理由ではありません。ここまでの計算のとおり、足場だけで15〜25万円かかるので、相場の半分以下という金額が出てきたら、洗浄・シーリング・下塗りのどこかが省かれていないか、見積書の数量を確認してください。
値引き交渉はしてもいいのでしょうか?
してかまいません。ただし削られる場所を指定しないと、見えない部分から削られます。「10万円下げて」とだけ伝えると、塗料のグレードが下がるか、3回塗りが2回になるか、付帯部が省かれるかのいずれかで帳尻が合わされることがあります。下げてほしいときは「雨戸は今回やめる」「屋根は次回に回す」というように、やらない工事を自分で決めるのが確実です。それなら仕上がりの質は落ちません。
一括見積もりサイトを使うと、しつこい営業が来ませんか?
紹介される会社数はサイトによって決まっていて、たいていは3〜4社です。全社から連絡は来ますが、断る手間を1回で済ませられるのが一括見積もりの利点でもあります。気になる場合は、連絡手段をメールに指定できるサービスを選ぶのが現実的です。サービスごとの違いは一括見積もりサイトの比較で整理しています。
助成金を使うと、どのくらい安くなりますか?
自治体によりますが、数万円から20万円程度が目安です。注意点が3つあります。①省エネ効果のある遮熱・断熱塗料を使うことが条件になっているケースが多いこと。②工事を始める前に申請する必要があること(着工後の申請は受け付けられません)。③金額も条件も自治体ごとに違い、年度で変わるため、必ず最新の情報を市町村の窓口で確認すること。使える制度があるかどうかは助成金・補助金のページから地域別に確認できます。
外壁だけ塗って、屋根は次回にしたほうが安く済みますか?
1回の支払いは確実に安くなります。ただし足場代を2回払うことになります。外壁だけなら15〜25万円の足場を組んで塗り、数年後に屋根を塗るとき、また同じ足場代がかかります。屋根の傷みが進んでいないなら分けても構いませんが、どちらも塗り時が来ているなら、一緒にやったほうが総額は下がります。判断のもとになるのは金額ではなく、屋根がいまどの状態かです。
坪単価で見積もりを出す会社は信用できますか?
概算を伝える段階で「坪あたり〇〇円」と説明すること自体は普通です。ただし正式な見積書が坪単価のままなら、面積を測っていません。塗るのは床ではなく壁なので、同じ30坪でも家の形によって壁の面積は変わります。正式な見積書には㎡で数量が入っているのが本来です(塗装面積の出し方)。
見積もりは何社から取ればいいですか?
3社が現実的なところです。2社では、どちらが相場から外れているのか判断がつきません。5社を超えると、現地調査の立ち会いと断りの連絡だけで疲れてしまい、中身を比べる気力がなくなります。3社であれば、金額・数量・塗料名の3点を並べたときに、ひとつだけ違う数字がはっきり浮かび上がります。