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外壁塗装でローンは組める?——組めます。ただし「控除が使える」の説明には注意してください
100万円を超える工事なのに、まとまった現金をすぐには出しにくい。そんなときに出てくるのがローンの話です。結論から言えば外壁塗装はローンで支払えます。ただし、契約前に知っておいてほしいことが2つあります。ひとつは、公的な調査では、リフォーム資金の85.5%が自己資金——つまり借りずに払っている人のほうが多数派だということ。もうひとつが、営業の場面で出てくることのある「住宅ローン控除が使えますよ」という説明です。国税庁が定めている控除の対象を読むと、外壁の塗り替えは原則として当てはまりません。順に確かめていきます。
このページの内容
- まず現状——8割以上は、借りずに払っています
- ローンの種類は大きく2つ
- 🔑「ローン控除が使える」の誤解——国税庁の定義を読む
- 業者の提携ローンと、自分で借りるローン
- 条件の比べ方——見るのは3つだけ
- 「通らない」と言われたときに考えること
- 借りる前に、総額を確定させてください
- よくある質問
まず現状——8割以上は、借りずに払っています
「みんなローンを組んでいるのだろうか」という不安から入る人が多いので、公的な集計を置きます。国が毎年行っている住宅市場動向調査(国土交通省・令和6年度)には、リフォームをした世帯が実際にどう払ったかが出ています。
リフォームに使った資金のうち、自分の手元から出したお金の割合は85.5%。金額でみると資金の平均は154万円、そのうち自己資金が132万円で、中央値は48万円でした。借りた人については、借入先は民間金融機関が最も多いという集計です。(国土交通省 令和6年度 住宅市場動向調査報告書)
読み取れることは2つです。①リフォームの支払いは、大部分が自己資金でまかなわれている——借りるのが標準というわけではありません。②それでも借りる人はいて、その多くは民間金融機関から借りている。
ここから言えるのは、「ローンを組むのが普通ですよ」という説明を鵜呑みにする必要はないということです。同時に、借りること自体はおかしな選択でもありません。屋根や外壁の傷みは待ってくれないので、貯まるまで先送りして被害を広げるより、借りて先に直すほうが合理的な場面は実際にあります。判断の軸は「普通かどうか」ではなく、「その工事が今必要か」と「返済が家計に収まるか」です。
ローンの種類は大きく2つ
外壁塗装の支払いに使われるものは、大きく分けて2種類です。
| 種類 | 中身 | 性格 |
|---|---|---|
| リフォームローン (無担保型) | 担保を付けずに借りるタイプ。銀行・信用金庫・労働金庫・信販会社などが扱っています | 手続きが比較的簡易で、金額が小〜中規模の工事に使われることが多い。担保がないぶん、金利は住宅ローンより高めに設定されるのが一般的 |
| 住宅ローンと一体・借り換え型 (有担保型) | 住宅ローンの借り換えや、増改築を含めた組み直しの中で資金をまとめるタイプ | 担保や審査の手続きが重くなるかわりに、金利や返済期間の条件は住宅ローンの水準に近づく。大規模な工事とセットのときに検討される |
当サイトは特定の金融機関や商品をおすすめしません。金利も条件も、時期と個人の状況で変わるものだからです。ここで持ち帰ってほしいのは、「同じ『ローン』でも性格の違う2つがあり、工事の規模によって向き不向きがある」という枠組みだけです。
「ローン控除が使える」の誤解——国税庁の定義を読む
ここがこのページでいちばん大事な部分です。「ローンを組めば住宅ローン控除で戻ってきますよ」という説明を受けたことがある方は、必ず読んでください。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)で増改築等が対象になるのは事実です。ただし、その「増改築等」が何を指すかは国税庁が明確に定めています。
控除の対象となる増改築等(要旨)——①増築、改築、建築基準法に規定する大規模の修繕または大規模の模様替えの工事/②マンションの区分所有部分の床・階段・壁の過半について行う一定の修繕・模様替え/③居室・調理室・浴室・便所などの一室の床または壁の全部について行う修繕・模様替え/④耐震/⑤バリアフリー/⑥省エネ改修
(注)「建築基準法に規定する大規模の修繕または大規模の模様替え」とは、家屋の壁(建築物の構造上重要でない間仕切壁を除く)、柱(間柱を除く)、床(最下階の床を除く)、はり、屋根または階段(屋外階段を除く)のいずれか一以上について行う過半の修繕・模様替えをいいます(国税庁 タックスアンサー No.1211-4)
ここで言われている「壁の修繕」は、建物の構造としての壁を、その過半にわたって修繕・模様替えする工事のことです。外壁の塗り替えは、壁の表面を塗り直して保護する工事であり、構造としての壁をつくり直す工事ではありません。したがって塗装だけの工事は、通常この定義に当てはまりません。
さらに、仮に工事の内容が該当したとしても、次の要件をすべて満たす必要があります。営業トークで省略されがちな部分です。
- 返済期間が10年以上——「10年以上にわたり分割して返済する方法になっている借入金」であること。返済期間の短いリフォームローンは、この時点で要件から外れます。
- 工事費が100万円超——補助金等の交付を受ける場合はその額を差し引いた額で判定します。
- 床面積50㎡以上、かつ床面積の2分の1以上が自分の居住用であること。
- その年の合計所得金額が2,000万円以下であること。
- 増改築等の日から6か月以内に居住し、その年の12月31日まで引き続き住んでいること。
「ローン控除が使えます」と言われたら、その工事のどこが上の①〜⑥のどれに当たるのかを、具体的に説明してもらってください。答えられないなら、その説明は根拠がないことになります。判定するのは業者ではなく税務署・税理士です。なお、外壁塗装と税金の関係全般は修繕費と耐用年数のページ、固定資産税との関係はこちらのページにまとめました。
業者の提携ローンと、自分で借りるローン
塗装店から「うちで使えるローンがあります」と案内されることがあります。これは信販会社などの提携商品を業者が窓口として扱っている形です。どちらが良いという話ではなく、性格が違います。
- 提携ローンの利点——手続きを工事の打ち合わせと一緒に進められるので手間が少ない。工事の内容が伝わっているぶん話が早いこともあります。
- 自分で借りる利点——条件を自分で比べられること。金融機関によって金利も期間も違うので、複数を見てから決められます。取引のある銀行や地元の信用金庫、労働金庫などが候補になります。
- どちらでも共通して確認すること——総返済額(借入額+利息の合計)と返済期間、そして繰り上げ返済ができるか。月々の支払額だけを見て決めると、期間が長いほど総額が膨らむことを見落とします。
⚠️ひとつだけ、順番の注意です。「ローンが使えるので、この工事もついでにやりましょう」と提案が膨らむことがあります。借りられる金額と、必要な工事の金額は別の話です。まず必要な工事を決め、そのあとに支払い方法を決める——この順番が逆になると、工事が予算に合わせて膨らんでいきます。
条件の比べ方——見るのは3つだけ
複数の選択肢が出てきたとき、何を並べれば比べたことになるのか。金利の数字だけを見比べても、判断はできません。同じ形にそろえて見るべきものは3つです。
| 見るもの | なぜ見るのか |
|---|---|
| 総返済額 | 借入額に利息を足した最終的に払う合計。月々の額が小さくても、期間が長ければ合計は膨らみます。比較はここでする |
| 返済期間 | 何年で終わるのか。終わる年齢まで考える——退職後まで残る計画になっていないかを確認します |
| 繰り上げ返済 | できるのか、手数料はかかるのか。あとで前倒しできるかどうかで、計画の柔軟性が変わります |
この3点は、どの金融機関でも聞けば答えてもらえます。「金利何%ですか」ではなく「総額でいくら払うことになりますか」と聞く——それだけで、比べられる形の答えが返ってきます。
あわせて確認しておきたいのが費用の名前で呼ばれるものです。保証料・事務手数料・団体信用生命保険の扱いなど、商品によって有無が違います。これらは総返済額に含まれる場合と、別途必要な場合があります。「この金額のほかに、かかるお金はありますか」と一言聞いてください。
「通らない」と言われたときに考えること
審査に通らないことは、実際にあります。金融機関がどう判断したかは本人にも開示されないのが通常なので、当サイトが理由を断定することはできません。ただし、そこで打つ手がなくなるわけではありません。考えられる方向を並べます。
- ①借入額を下げられないか見直す——工事の範囲を分けて、今回は本当に必要な部分だけにするという考え方があります。屋根と外壁を同時にやるほうが足場代は得ですが、資金が理由なら分けるという判断もあり得ます(足場代の考え方)。
- ②助成金を確認する——自治体によっては外壁塗装に補助が出ます。借入額を減らす直接の手段です(助成金・補助金のページ)。
- ③別の金融機関を検討する——審査の基準は機関ごとに違います。取引実績のある銀行や、地元の信用金庫・労働金庫を含めて相談してみる余地はあります。
- ④時期をずらす——傷みが進行していない部位なら、優先順位をつけて先送りする判断もできます。ただし雨漏りや下地の傷みが出ている場合の先送りは、あとで高くつきます(雨漏りのページ)。
逆に、「審査に通りやすくする裏技」のような話には近づかないでください。書類の内容を実際と変えて申し込むことは、契約違反や不正になり得ます。
借りる前に、総額を確定させてください
最後に、順番の話をもう一度書きます。ローンで失敗する典型は、金利でも審査でもなく、「借入額を決めるのが早すぎた」ことです。
借入額は工事の総額から決まります。その総額が1社の見積もりだけで決まっていたら、その金額が妥当かどうかを確かめないまま借りることになります。数十万円の差が出れば、返済の負担もそのぶん変わります。
- ①複数社の見積もりで総額を固める——比較の仕方は見積もりの取り方のページへ。金額が妥当かの判定は100万円は妥当?のページに手順があります。
- ②助成金の有無を確認する——使えるなら借入額が減ります。
- ③そのうえで、必要な額だけ借りる——支払いのタイミング(前金・中間金・完了金)は契約条件の話なので、契約前チェックのページもあわせて確認してください。
よくある質問
外壁塗装の支払いでローンは組めますか?
組めます。リフォームローン(無担保型)を使う方法と、住宅ローンの借り換え・一体型でまとめる方法があります。ただし国土交通省の調査ではリフォーム資金の自己資金比率は85.5%で、借りずに払う人のほうが多数派です。「ローンを組むのが普通」という説明を前提にする必要はありません。
外壁塗装で住宅ローン控除は使えますか?
塗装だけの工事では、原則として対象になりません。国税庁が定める控除対象の「増改築等」は、建築基準法の大規模の修繕(壁・柱・床・はり・屋根などの過半の修繕)や耐震・バリアフリー・省エネ改修などに限られるためです。加えて返済期間10年以上・工事費100万円超などの要件もあります。「使えます」と言われたら、どの要件に当たるのかを具体的に確認し、最終的な判断は税務署か税理士に確かめてください。
ローンの金利はどれくらいですか?
当サイトでは金利の数字を掲載しません。金融機関・商品・時期・個人の条件で変わり、書いた時点ですぐ古くなる情報だからです。確認すべきなのは金利そのものより総返済額(借入額+利息)と返済期間、そして繰り上げ返済の可否。この3点を同じ形で並べれば、条件の違いは自分で比べられます。
業者の提携ローンと銀行、どちらがいいですか?
どちらが正解ということはありません。提携ローンは手続きが楽、自分で借りると条件を比べられる——この違いです。どちらを選ぶ場合も、総返済額と返済期間、繰り上げ返済の可否を確認してください。
ローンが使えるなら、屋根も一緒にやったほうがいいですか?
足場を1回で済ませられるという意味では、同時施工に合理性はあります。ただし「借りられるから工事を増やす」という順番は避けてください。必要な工事を決めてから支払い方法を決める、が正しい順序です。同時施工の損得は屋根だけ塗る費用のページで計算の考え方を説明しています。
火災保険が下りる場合、ローンとどちらを先に進めますか?
保険の申請結果を待ってから、借入額を決めるほうが安全です。保険金が下りればその分だけ借入額を減らせるからです。ただし「保険で無料になります」という前提で工事を進めるのは別問題で、下りるかどうかを判定するのは保険会社です(火災保険のページ)。工事を急ぐ必要がある場合の進め方は、施工店と保険会社の双方に確認してください。
クレジットカードで払えますか?
会社によります。取り扱っているかどうかは施工店に直接確認するのが早いです。カード払いに対応している場合でも、手数料の扱い(誰が負担するか)や、分割にしたときの手数料は事前に確認してください。金額が大きい工事なので、カードの利用限度額も先に見ておくと当日あわてません。
支払いは工事の前ですか、後ですか?
契約によります。前金・中間金・完了金に分けるのが一般的で、全額前払いを求められた場合は理由を確認する場面です。金額と時期を書面で決めておく方法は契約前チェックのページにまとめました。
最終確認日:2026年8月24日。出典:資金に関する数値は国土交通省が公表している令和6年度の住宅市場動向調査報告書(リフォーム世帯の資金と自己資金比率、借入先の内訳に関する集計)によります。制度の要件は国税庁 タックスアンサー No.1211-4「増改築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」(控除の対象となる増改築等の範囲、建築基準法に規定する大規模の修繕・大規模の模様替えの定義、返済期間10年以上・増改築等の額100万円超・床面積50平方メートル以上・合計所得金額2,000万円以下などの適用要件)。本ページは公開されている制度の一般的な解説であり、特定の金融機関・金融商品を推奨するものではありません。金利や商品の条件は各金融機関にご確認ください。税制の適用可否は、必ず税務署または税理士にご確認ください。