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外壁塗装で固定資産税は上がる?——上がりません。「評価が見直される条件」に、塗装が入っていないからです
「外壁をきれいにしたら、家の評価が上がって税金も上がるのでは」——見積もりを取る前に、ここで手が止まっている人がいます。答えから言います。外壁塗装や屋根塗装で、固定資産税は上がりません。これは業者のセールストークではなく、市役所が公式に書いている「評価を見直す条件」を読めば、自分で確かめられる話です。このページでは、その原文と、家屋の税金の決まり方、「上がる工事」との線引き、そして「じゃあ減税はあるのか」まで、公的機関の一次情報だけを根拠に整理します。
このページの内容
- 🔑答え——塗装は「評価の見直し事由」に入っていない
- 家屋の固定資産税の決まり方——式は公開されています
- 上がるのはどんな工事か——線引きは「増改築」
- 「じゃあ、塗装で下がる?」——下がりもしません
- 減税制度はあるのか——対象工事に外壁塗装は入っていない
- よくある質問
答え——塗装は「評価の見直し事由」に入っていない
固定資産税の額は、家屋の「評価額(価格)」をもとに計算されます。だから「税金が上がるか」は、「どういうときに評価額が見直されるのか」という一点に行き着きます。そして、これは市役所が公式に公開している情報です。
「土地・家屋の価格は、原則として、評価替え年度の翌年度及び翌々年度は据え置かれます。ただし(中略)家屋については、増改築や一部取り壊し等があった場合に限り、例外的に価格の見直しを行います」(横浜市「固定資産の価格の決め方」)
読んでのとおり、見直しが起きる条件は「増改築や一部取り壊し等があった場合に限り」です。外壁の塗り替え、屋根の塗り替えは、床面積も構造も変えません。見直しの条件そのものに該当しない——だから上がらない。「塗ったら評価が上がるのでは」という心配は、条件の原文を読むと消える種類の心配です。
なお、これは横浜市だけのローカルルールではありません。家屋の評価は全国共通で、総務大臣が定めた「固定資産評価基準」に基づいて行うと定められています(同ページ)。どこの市町村でも枠組みは同じです。
家屋の固定資産税の決まり方——式は公開されています
もう一歩だけ、しくみを見ておきます。ここが分かると「上がる・下がる」の話が全部つながります。八王子市の公式ページに、計算式がそのまま載っています。
「再建築費評点数×経年減点補正率×評点一点当たりの価額=評価額(価格)=課税標準額」「課税標準額は、増築や取壊しなどが無い限り、3年に一度の評価替え年度まで据え置きます」(八王子市「固定資産税(家屋)に対する課税のしくみ」)
用語を訳すと、こうなります。
- 再建築費評点数——同じ家をいま新築したらいくらかかるか、という建築費。屋根・外壁・内装などに使われている資材から算出します。
- 経年減点補正率——築年数が経つほど掛け算で価値を減らしていく係数。家屋の評価は、古くなるほど下がっていく設計になっています。
- 評価替え——この計算をやり直すタイミングで、3年に1度。直近は令和6年度でした(横浜市)。
ポイントは、この式のどこにも「外壁がきれいかどうか」という項目がないことです。評価しているのは「同じものを建て直したらいくらか」と「何年経ったか」。塗装は建物を建て直す費用を変えないし、築年数も巻き戻さない。式の構造からも、塗装が税額に影響しない理由が分かります。
ここでひとつ、誤解の元をほどいておきます。実は「外壁」という言葉自体は、評価項目にちゃんと登場します。八王子市のページには、新築・増築された家屋の評価では「主体構造、屋根、外壁、内壁、床、天井などに使用されている建築材料」を調べる、とあります。「外壁が評価対象なら、外壁を触ったら税金が変わるのでは」と連想するのは自然です。でも読み違えてはいけないのは、評価で見ているのが「使用されている建築材料」=サイディングか、タイルか、モルタルかだという点。塗装は、その建築材料の表面を保護し直す工事であって、建築材料そのものを別物に替える工事ではありません。評価項目に「外壁」があることと、塗り替えで評価が動くことは、別の話なんです。
上がるのはどんな工事か——線引きは「増改築」
では、どんな工事なら評価の見直しが入るのか。原文にあったとおり「増改築や一部取り壊し等」です。具体的なイメージで言えば、こういう工事です。
- 増築——部屋を建て増しして床面積が増える工事。評価の対象そのものが増えるので、見直しが入ります。
- 大がかりな改築——構造や間取りを大きく変える工事。新築・増築時と同じように、資材や設備の状況を調査して評価し直します(横浜市)。
- 一部取り壊し——逆に建物が減る場合。この場合は評価も減る方向で見直されます。
外壁塗装・屋根塗装・コーキングの打ち替えといった「元に戻す」メンテナンスは、この線の内側に入りません。同じ理屈で、屋根だけ塗る場合も話は変わりません(「屋根塗装は固定資産税に影響しますか」という質問も、答えは同じです)。
ひとつ実務的な補足をすると、塗装工事にあわせて増築やサンルームの設置などを検討している場合は話が別です。それは「増改築」の側なので、評価見直しの対象になり得ます。塗装とセットで床面積が変わる計画があるなら、事前に市区町村の固定資産税の窓口(東京23区は都税事務所)に確認してください。
「じゃあ、塗装で下がる?」——下がりもしません
最近は逆方向の質問も増えています。「外壁塗装で固定資産税は下がりますか?」——こちらの答えも、しくみから素直に出ます。下がりません。
家屋の評価額が下がっていくのは、先ほどの式の経年減点補正率、つまり「古くなったぶんの減価」によるものです。これは塗装をしてもしなくても、時間の経過で進むもので、メンテナンスの有無は関係ありません。「塗らずに放置すればボロくなって税金が下がる」わけでもなければ、「塗ってきれいにしたから下がり幅が減る」わけでもない。税金は、塗装に対してどちらの方向にも動かないんです。
なお「古くなれば必ず毎回下がる」とも限りません。明石市の公式ページには、評価替えで計算し直した額が前より高くなる場合——資材費や労務費などの建築物価が上昇した場合——は、前年度の評価額に据え置くと書かれています。物価が上がっている時期は、築年数が進んでも評価額が下げ止まることがある、ということです。これも塗装とは無関係に起きる話です。
減税制度はあるのか——対象工事に外壁塗装は入っていない
「上がらないのは分かった。なら、リフォーム減税で安くなったりは?」——ここは期待させない答えを先に言います。戸建ての外壁塗装は、単体ではリフォーム減税の対象工事に入っていません。
国土交通省の「リフォーム促進税制」では、一定のリフォームをすると所得税の控除や固定資産税の減額措置が受けられます。ただし対象は耐震・バリアフリー・省エネ・同居対応・長期優良住宅化といった、要件の決まった工事です。たとえば省エネリフォームの対象工事の例は「窓の断熱改修(ガラス交換、サッシ交換、内窓の新設・交換)」——国土交通省のページには、この窓の改修に「!必須!」という注記まで付いています。外壁側では「床、壁、天井の断熱改修」が並びますが、これは断熱材を入れる工事のことで、塗料を塗り替える工事はどのメニューにも登場しません。「遮熱塗料だから省エネ減税」といった話が出たら、この対象工事の一覧と照らしてみてください。
例外がひとつだけあります。マンションです。築20年以上・10戸以上のマンションが計画的な長寿命化工事(外壁塗装等工事、床防水工事及び屋根防水工事)を行った場合に固定資産税が減額される「マンション長寿命化促進税制」があります(明石市・国土交通省)。管理組合の話であって戸建てには関係ありませんが、「外壁塗装で固定資産税が動く」唯一のケースとして覚えておくと、情報の混線がほどけます。
そして、税金よりずっと現実的なのが助成金・補助金です。自治体によっては外壁塗装そのものに補助が出ます。こちらは助成金・補助金のページで、地域ごとにまとめています。また、賃貸物件や事業用の建物なら、固定資産税とは別に「塗装代が修繕費として経費になるか」という論点があります——修繕費と耐用年数のページへ。
よくある質問
外壁塗装をしたら固定資産税は上がりますか?
上がりません。家屋の価格の見直しは「増改築や一部取り壊し等があった場合に限り」行われると市の公式ページに明記されており(横浜市)、塗り替えはこの条件に該当しません。床面積も構造も変わらないからです。
屋根塗装は固定資産税に影響しますか?
影響しません。理屈は外壁と同じで、屋根の塗り替えは増改築ではないからです。屋根だけ塗る場合の費用の考え方は屋根だけ塗る費用のページにまとめています。
外壁塗装に固定資産税はかかりますか?
固定資産税は工事にかかる税金ではなく、土地や家屋を所有していることにかかる税金です(毎年1月1日時点の所有者に課税)。塗装工事をしたことで新たに何かが課税されることはありませんし、工事について固定資産税の窓口に届け出る手続きもありません。
外壁塗装で固定資産税は下がりますか?
下がりません。評価額が下がっていくのは築年数に応じた「経年減点補正」によるもので、塗装の有無とは無関係です。なお建築物価が上昇した時期は、計算上の評価額が前より高くなっても前年度の額に据え置かれるしくみです(明石市)。
「リフォームしたら固定資産税が上がった」という話を聞いたことがあるのですが?
中身を確かめると、たいてい2つのどちらかです。ひとつは、床面積が増える増築や、構造まで手を入れる大規模な改修をしていたケース——これは本文のとおり見直しの対象です。もうひとつが、新築住宅の減額措置の期限切れとの混同です。新築の住宅は一定期間、固定資産税の2分の1に相当する額が減額されており、一般の住宅で新築後3年度分、3階建以上の中高層耐火住宅で5年度分と期間が決まっています(明石市)。この期間が終わると、工事を何もしていなくても税額は元に戻ります。その時期にたまたまリフォームをしていると、「工事のせいで上がった」ように見える——というからくりです。
塗装と一緒に増築やサンルームの設置をする場合は?
それは「増改築」の側なので、評価見直しの対象になり得ます。床面積が変わる計画が少しでもあるなら、契約前に市区町村の固定資産税の窓口(東京23区は都税事務所)に確認しておくのが確実です。判定するのは業者ではなく自治体です。
最終確認日:2026年8月24日。出典:横浜市「固定資産の価格の決め方」(「総務大臣が定めた『固定資産評価基準』に基づいて評価」「土地・家屋の価格は3年ごとに見直すこととされ、これを評価替えといいます。最近の評価替えは、令和6年度に行いました」「家屋については、増改築や一部取り壊し等があった場合に限り、例外的に価格の見直しを行います」の記載)/八王子市「固定資産税(家屋)に対する課税のしくみ」(「再建築費評点数×経年減点補正率×評点一点当たりの価額=評価額(価格)=課税標準額」「課税標準額は、増築や取壊しなどが無い限り、3年に一度の評価替え年度まで据え置きます」の記載)。同ページの「主体構造、屋根、外壁、内壁、床、天井などに使用されている建築材料」を調べるという新築・増築時の評価方法の記載/明石市「固定資産税・都市計画税/家屋に対する課税」(建築物価上昇時の評価額据え置き、新築住宅に対する減額措置=2分の1相当額・一般の住宅は新築後3年度分、マンション長寿命化促進税制=「長寿命化工事(外壁塗装等工事、床防水工事及び屋根防水工事)」の記載)/国土交通省「リフォーム促進税制(所得税・固定資産税)について」(対象リフォームの種類と対象工事の例、省エネリフォームの「窓の断熱改修」に「!必須!」の注記)。税額や適用の判断は、お住まいの市区町村の固定資産税担当窓口にご確認ください。