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外壁塗装の業者選びガイド
外壁塗装は「誰が塗るか」で仕上がりが決まります。ただし確実に見抜く方法はありません。そのうえで判断材料になることを、現場でよく言われることも含めて正直にまとめました。
このページの内容全11項目
先に正直なことを書きます
ダメな業者を確実に見抜く方法はありません。チェックリストを完璧に満たしていても後で揉めることはありますし、逆に見た目は素朴でも腕のいい職人はたくさんいます。「この質問をすれば優良業者が分かる」といった単純な話ではない、というのが正直なところです。
そのうえで、判断材料になりやすい順に挙げていきます。外壁塗装は完成すると、いちばん大事な部分が見えなくなる工事です。だからこそ、着工前に何を見るかで結果が変わります。
まずは「人」を見る
意外に思われるかもしれませんが、最初の判断材料は清潔感です。作業服、靴、車の中、あいさつ。
外壁塗装は、最初から最後まで人の手でやる仕事です。機械が仕上げてくれる部分はほとんどありません。洗って、削って、養生して、3回塗る。そのすべてが手作業です。身のまわりが雑な人は、見えない部分の仕事も雑になりがちだというのは、多くの現場に共通する話です。逆に、現場をきれいに使う会社は養生も丁寧で、近隣への配慮も行き届いていることが多いものです。
訪問してきた担当者と、実際に塗る職人が別の会社ということもあります。気になる場合は「実際に工事をするのはどなたですか」と聞いてみてください。自社の職人が塗るのか、下請けに出すのか。どちらが良い悪いではありませんが、答えをはぐらかす会社は避けたほうが無難です。
見積書は「一式」でも構わない
「一式と書かれた見積書は悪徳業者」という説をよく見かけますが、これは言いすぎです。まともな会社でも一式でまとめて出すことはよくあります。
項目が細かく割ってあるかどうかより、大事なのはどこに、何を塗るのかが書いてあるかです。
| 見るポイント | 具体的に |
|---|---|
| 工程ごとの塗料名 | 下塗りはこれ、上塗りはこれで何回塗るか、鉄部の錆止めはこれ、というようにメーカー名と商品名が入っているか |
| ぼんやりした表記でないか | 「シリコン塗料」「高級塗料」で終わっていないか。同じシリコンでも製品によって価格も持ちも違います |
| 下地処理が含まれるか | 高圧洗浄(水洗い)、ケレン(錆落とし・目荒らし)、シーリングの打ち替えか増し打ちか |
| 付帯部の範囲 | 軒天・破風・雨樋・鉄部を塗るのか、塗らないのか |
| 数量の根拠 | 外壁・屋根・雨樋のように面積や長さが数字で出せる部位は、一式のままでも「何㎡分ですか」と聞けます。軒天の細かい取り合いや雨戸1枚のような箇所は一式で正常です |
商品名を書けないということは、何を塗るか決まっていないか、決めていても言いたくないかのどちらかです。ここは遠慮なく聞いていい部分です。
数量についても、線を1本だけ引いておきます。一式そのものは問題ではありませんが、面積や長さが数字で出せる部位まで一式なら、そこは聞いていいということです。外壁・屋根・雨樋は「面積(または長さ)×単価」で計算できる場所です。計算できるはずの場所が一式でまとまっていたら、「この一式には何㎡分が入っていますか」と質問してください。
これは業者を疑うための質問ではなく、比べるための質問です。2社の見積書を並べたとき、片方が「外壁一式」でもう片方が「外壁 150㎡」と書いてあれば、そもそも同じ土俵に乗っていません。数量がそろって初めて、金額の比較が意味を持ちます。付帯部が見積書のどこに入っているかの確かめ方もあわせてご覧ください。
なお、見積書に塗料の商品名が書いてあれば、その製品名で単価の目安を調べることもできます。ただし実際の金額は地域・足場・下地の状態で変わるため、目安を超えている=高すぎる、という判断には使えません。あくまで「何を塗るのか」を自分で確かめるための手がかりです。
いまの住宅は「外壁は水性、鉄部は弱溶剤」が基本
塗料には水で薄める水性と、シンナーで薄める溶剤(油性)があり、溶剤はさらに強溶剤・弱溶剤に分かれます。現在の住宅の外壁塗装は水性塗料が主流です。においが少なく、住宅密集地でも近隣に配慮しやすいためで、性能面でも溶剤に引けを取らない製品が増えています。
ただしすべてを水性で塗るわけではありません。雨樋・手すり・霧除けといった鉄部や金属部は、水性だとはじいてしまい密着が悪くなります。錆を呼ぶこともあるため、金属部には弱溶剤の塗料や、油性の錆止めを使うのが一般的です。
さらに、下地の傷み具合によっては下塗り(シーラー)に溶剤系を使うこともあります。傷んで塗料を吸い込みやすくなった下地には、溶剤系のほうがよく染み込んで固めてくれるためです。
つまり実際の見積書は、1種類の塗料だけで構成されることはまずありません。外壁は水性、鉄部は弱溶剤や油性の錆止め、下地の状態によっては溶剤系のシーラー——というように、場所と状態に応じて使い分けられます。
大事なのは、施主がこの正解を覚えることではありません。「なぜここにはこれを使うのか」を業者が説明できるかどうかです。「外壁は水性ですが、こちらの傷みが出ている面は溶剤の下塗りで固めます」というように、家の状態に合わせて選んでいることが分かる説明ができれば、その業者は下地を見ています。
においが心配な方は「外壁は水性にできますか」と相談してみてください。ただし鉄部や傷んだ下地まで水性で通すと、持ちが悪くなることがあります。どこを水性にするかは職人の判断に任せるほうが、結果的にきれいに保てます。
安さの正体は、見えなくなる部分
同じ家なのに見積額が大きく違うとき、差が出ているのは完成したら見えなくなる工程です。塗り立てはどんな工事でもきれいに見えます。差が出るのは5年後・10年後です。
- 水洗い(高圧洗浄)が甘い:外壁の汚れ・カビ・古い塗膜の粉を落とす工程。ここが甘いと、その上にどんな高級塗料を塗っても密着しません
- ケレンをやらない:鉄部の錆や浮いた塗膜を落とし、塗料が食いつくよう表面を整える作業。地味な手作業ですが、見積書に書いてあっても実際にはやらない業者がいると指摘される工程でもあります
- 下塗りを省く:下塗りは、上に塗る塗料を密着させる接着剤の役割です。省くと数年で剥がれます
- 3回塗りを2回で終える:メーカーは3回塗りを前提に耐用年数を定めています。回数を減らせば塗膜が薄くなり、本来の寿命より短くなるおそれがあります
- シーリングを「増し打ち」で済ませる:古いシーリングを撤去せず上から足すだけ。安く済みますが、傷んだ下地を残すことになります
- 付帯部を塗らない:雨樋・破風・鉄部を見積もりから外せば十数万円下がります
3回塗りが基本とはいえ、塗料によってはメーカーが2回塗りを指定しているものもあります。「2回=必ず手抜き」ではなく、その塗料のメーカー仕様どおりに塗っているかが判断の基準です。
「なぜそれを塗るのか」を説明できるか
いちばん信頼できるのは、「お宅の外壁はこういう状態だから、ここにはこれを塗ります」と理由をセットで説明できる業者です。
たとえば、汚れを防ぐために表面を特殊コーティングしたサイディング(光触媒・親水性コーティングなど)は、業界で「難付着サイディング」と呼ばれます。汚れが付きにくい=塗料も付きにくいという性質があり、一般的な下塗り材で塗ると数年で剥がれるおそれがあるため、専用のシーラーが必要です。
現地調査のときに「うちの外壁は難付着サイディングではないですか?」「下塗りは何を使いますか?」と聞いてみてください。調べて答えてくれるか、曖昧にごまかすかで、力量はかなり分かります。
もうひとつ、塗料のグレードを無理に上げようとしてこないかも見てください。高い塗料を勧めるのは必ずしも親切ではありません。「あと何年この家に住む予定ですか」を先に聞いてくれる業者のほうが信頼できます。
工期と天気は、詰めすぎない
これは業者をかばう話に聞こえるかもしれませんが、大事なことです。塗装は天気に左右される仕事です。
- 雨が降れば塗れません
- 気温5℃以下・湿度85%以上でも塗れません(塗料メーカーの仕様)
- 真夏は壁の表面温度が上がりすぎ、時間帯や面を選ぶ必要があります
- 塗料には乾燥時間が必要です
ここで施主が「何日で終わるのか」「足場をいつまで置くのか」を強く詰めると、業者は乾燥時間を削るしかなくなります。それは手抜きの入り口です。工期が延びるのは、むしろ正常な工事の証拠でもあります。
最初から「天気次第で延びることがあります」と正直に言う業者のほうが、期日を安請け合いする業者より信用できます。季節ごとの条件は基礎知識(塗り替え時期)で解説しています。
相手に聞かなくても、自分で確かめられること
ここまでは「会って感じ取る」話でした。ただ、会わなくても、公開されている情報だけで確かめられることもあります。どちらも無料で、会社名さえ分かれば調べられます。
建設業許可があるかどうか
国土交通省が建設業者・宅建業者等企業情報検索システムを公開しています。会社名を入れると、許可番号・代表者名・本店所在地が分かります。
ここは誤解されやすいので、先に書きます
建設業許可がない=違法、ではありません。建築一式工事以外は、請負金額が500万円未満(税込)であれば許可がなくても請け負えます。戸建て1軒の外壁塗装は、多くがこの範囲に収まります。
ですから許可の有無は良し悪しではなく、その会社が扱ってきた工事の規模の目安です。気にすべきなのは、名乗っている会社名や所在地と、登録の内容が食い違っているときだけです。
リフォームの瑕疵(かし)保険に登録している事業者かどうか
工事のあとに欠陥が見つかったときのために、リフォーム瑕疵保険という仕組みがあります。この保険を使うには、事業者が保険法人に登録している必要があり、登録している事業者は一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会のサイトで、会社名や地域から検索できます(登録事業者等の検索)。登録には保険法人の審査があります。
ただし登録がない=問題のある会社、ではありません。この保険を使うかどうかは工事ごとの判断ですし、登録していない優良な地元業者もあります。確かめられる材料がひとつ増えるという位置づけで見てください。
ここまでの「人を見る」「見積書を見る」「自分で調べる」は、比べる相手がいて初めて働きます。1社しか会っていなければ、その会社の受け答えが普通なのかどうかも分かりません。まず何社かに現地を見てもらって、この章の物差しを当ててみてください。
工事中の事故に備えた保険は、聞けば分かります
足場から物を落とした、隣家の車に塗料が飛んだ——こうした事故に備える保険に入っているかどうかは、聞けば答えてもらえる話です。「工事中の事故に備えた保険には入っていますか」と、見積もりのときに一度聞いておけば十分です。
下請けに出す場合は、実際に作業する側が入っているかもあわせて確認してください。誰が塗るのかを聞く流れで、自然に確認できます。
これは避けたほうがいい、という業者
断定はできないと最初に書きましたが、次のようなケースは警戒したほうがいいと言えます。
| ケース | なぜ危ないか |
|---|---|
| その場で契約を迫る | 「今日決めれば大幅値引き」「今なら足場代無料」。まともな工事なら数日考えても金額は変わりません |
| 大幅な値引きを提示する | 最初の金額に根拠がなかったということです。値引ける前提の見積もりは信用しにくくなります |
| 不安を煽る | 「このままでは家が持たない」と強く言って即決を求めるパターン。急ぐべき状態かどうかは、複数社に見てもらえば分かります |
| 訪問販売で突然来た | 訪問販売そのものが悪ではありませんが、その場で判断しないことが大切です。屋根に上がらせて「壊れていた」と言われるケースもあります |
| 書面を出したがらない | 契約書・見積書・保証内容を書面で出せない会社とは契約しないでください |
保証についても確認しておきましょう。保証書が出るか、何年保証か、何が保証の対象か、定期点検はあるか。口頭で「10年保証します」と言われても、書面がなければ意味がありません。
この記事で挙げた確認事項は、2社以上に会って初めて意味を持ちます。1社の説明だけでは、それが業界の標準なのか、その会社の都合なのか区別がつかないからです。まず何社かに現地を見てもらってください。同じ質問をして、答えの具体性を比べる——業者選びで確実に効くのは、結局これです。
結局、何社に見てもらえばいいか
目安は2〜3社です。1社だけでは金額も内容も比べようがなく、逆に5社も6社も呼ぶと、対応と断りの連絡だけで疲れてしまいます。
相見積もりを取るときのコツは3つです。
- 同じ条件で頼む:外壁だけか屋根も塗るか、どのグレードの塗料か。条件が違うと比較になりません
- 「相見積もりです」と伝えていい:隠す必要はありません。まともな会社は嫌がりませんし、むしろ内容で勝負してくれます
- 断るときは早めに、一言でいい:「他社にお願いすることにしました」で十分です。理由を細かく説明する義務はありません
そしていちばん安い会社が正解とは限りません。金額・説明のわかりやすさ・人柄・保証を並べて、納得できる会社を選んでください。地域ごとの事情(雪の多い地域、狭小地、猛暑地など)で見るべき点が変わることもあるので、地域から探すもあわせてご覧ください。
よくある質問
ダメな業者を見抜く方法はありますか?
確実な方法はありません。——チェックリストを完璧に満たしていても後で揉めることはありますし、逆に見た目は素朴でも腕のいい職人はたくさんいます。「この質問をすれば優良業者が分かる」といった単純な話ではない、というのが正直なところです。そのうえで判断材料になりやすいものから見ていきます。
最初に何を見ればいいですか?
清潔感です。作業服、靴、車の中、あいさつ。——外壁塗装は最初から最後まで人の手でやる仕事で、機械が仕上げてくれる部分はほとんどありません。洗って、削って、養生して、3回塗る。そのすべてが手作業です。身のまわりが雑な人は、見えない部分の仕事も雑になりがちだというのは、多くの現場に共通する話です。
「一式」と書かれた見積書は、悪徳業者ですか?
言いすぎです。まともな会社でも一式でまとめて出すことはよくあります。——項目が細かく割ってあるかどうかより、大事なのはどこに、何を塗るのかが書いてあるかです。ただし面積や長さが数字で出せる部位まで一式なら、そこは聞いていい。外壁・屋根・雨樋は「面積(または長さ)×単価」で計算できる場所で、軒天の細かい取り合いや雨戸1枚のような箇所は一式で正常です。
「この一式には何㎡分が入っていますか」と聞いてもいいですか?
これは業者を疑うための質問ではなく、比べるための質問です。——2社の見積書を並べたとき、片方が「外壁一式」でもう片方が「外壁 150㎡」と書いてあれば、そもそも同じ土俵に乗っていません。数量がそろって初めて、金額の比較が意味を持ちます。
塗料名が書かれていない見積書は、どう考えればいいですか?
「何を塗るか決まっていない」か「決めていても言いたくない」かのどちらかです。——「シリコン塗料」「高級塗料」で終わっていないか。同じシリコンでも製品によって価格も持ちも違います。ここは遠慮なく聞いていい部分です。
外壁は水性と油性、どちらがいいですか?
いまの住宅は「外壁は水性、鉄部は弱溶剤」が基本です。——外壁で水性が主流なのはにおいが少なく、住宅密集地でも近隣に配慮しやすいためで、性能面でも溶剤に引けを取らない製品が増えています。ただし雨樋・手すり・霧除けといった鉄部や金属部は、水性だとはじいてしまい密着が悪くなります。錆を呼ぶこともあるため、弱溶剤の塗料や油性の錆止めを使うのが一般的です。
すべて水性にしてもらえますか?
「外壁は水性にできますか」と相談するのは構いません。——ただし鉄部や傷んだ下地まで水性で通すと、持ちが悪くなることがあります。傷んで塗料を吸い込みやすくなった下地には、溶剤系の下塗り(シーラー)のほうがよく染み込んで固めてくれます。どこを水性にするかは職人の判断に任せるほうが、結果的にきれいに保てます。
塗料の使い分けは、施主が覚えるべきですか?
覚える必要はありません。大事なのは「なぜここにはこれを使うのか」を業者が説明できるかどうかです。——「外壁は水性ですが、こちらの傷みが出ている面は溶剤の下塗りで固めます」というように、家の状態に合わせて選んでいることが分かる説明ができれば、その業者は下地を見ています。
見積額が会社によって大きく違うのは、なぜですか?
差が出ているのは、完成したら見えなくなる工程です。——塗り立てはどんな工事でもきれいに見えます。差が出るのは5年後・10年後です。たとえば水洗い(高圧洗浄)が甘いと、その上にどんな高級塗料を塗っても密着しません。ケレン(鉄部の錆落とし・目荒らし)も同じです。
実際に塗るのは、来た担当者ですか?
別の会社ということもあります。——気になる場合は「実際に工事をするのはどなたですか」と聞いてみてください。自社の職人が塗るのか、下請けに出すのか。どちらが良い悪いではありませんが、答えをはぐらかす会社は避けたほうが無難です。
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