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外壁塗装の契約書——法律で決まっている16項目と、判子を押す前に見る場所

契約書を前にして「これで大丈夫なのか」と迷う——当然です。何が書いてあるべきかを知らないまま読んでも、判断のしようがありません。ですが、書くべきことは法律で決まっています。建設業法という法律に、16の項目が並んでいます。しかも「相互に交付」——あなたも1通持つのが、法律の建て付けです。条文の原文から整理します。

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このページの内容全12項目

先に結論

①契約書の記載事項は、建設業法19条で16項目が決まっています——書いていないものがあれば、聞いていい
②「署名又は記名押印をして相互に交付」——あなたの手元にも1通残るのが原則です
③内訳の見積書は、請求すれば交付されます——建設業法20条4項に「交付しなければならない」とあります
④変更が出たときも書面です——19条2項。口約束の追加工事は、あとで揉めます

そして、いちばん大事なことを先に書きます。——契約書の体裁が立派かどうかで、良い会社かどうかは判断できません。整った書式は作れます。見るべきは、書式ではなく中身です。

判子を押す前は、16項目を全部暗記せず、この順に確認します

外壁塗装の契約書で押印前に確認する順番 外壁塗装の契約書では、まず工事内容と金額、次に着工日・完成日と支払い時期、続いて保証と完了検査、最後に変更時は書面にすることを確認する。契約書は施主にも一通交付される。 ①工事内容・金額塗料・回数・付帯部見積書と一致するか ②工期・支払い着工日・完成日全額前払いでないか ③保証・完了検査何を・誰が保証するかいつ確認するか ④変更は書面追加工事・金額双方が確認して残す 契約書は持ち帰って読み、施主側にも同じ書面を1通残す
書式が立派でも、工事の質まで保証するものではありません。だから、内容を確認したうえで他社の見積書・契約条件とも並べ、違いを質問してください。

書くべきことは、法律で決まっています

外壁塗装は「建設工事の請負」にあたります。そして建設工事の請負契約については、建設業法に条文があります。

建設業法 第19条第1項(建設工事の請負契約の内容)

「建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。」

「しなければならない」——努力目標ではありません。そして続く16項目が、これです。

号条文の内容外壁塗装で言うと
一工事内容どこを、何工程で、どの材料で塗るのか
二請負代金の額総額。税込か税別かも確認
三工事着手の時期及び工事完成の時期着工日と完了日(工事の流れ)
四工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容日曜は休む、など
五前金払や出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法着手金・中間金の有無(支払いのタイミング)
六設計変更・着手の延期・中止の申出があった場合の工期の変更、代金の変更、損害の負担とその算定方法途中で変わったときの取り決め
七天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法台風・長雨のとき(季節と天候)
八価格等の変動・変更に基づく工事内容の変更又は請負代金の額の変更及びその算定方法塗料の値上げがあったときの扱い
九工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担隣家の車に塗料が飛んだときなど
十注文者が資材を提供し、又は機械を貸与するときの内容及び方法戸建てではあまり使いません
十一注文者が完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期完了検査をいつ、どうやるか
十二工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法残金をいつ払うか
十三契約の内容に適合しない場合の担保責任、又は保証保険契約の締結その他の措置を定めるときはその内容不具合が出たときの扱い(保証)
十四各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金遅れたとき・払えないときの取り決め
十五契約に関する紛争の解決方法揉めたときどうするか
十六その他国土交通省令で定める事項—

この16項目は、複数社の書面を並べてみると差がはっきり出ます。——1社だけ読んでいても「これが普通なのか」が分からないからです。戸建ての塗装で特に効いてくるのは、六・七・十一・十三・十五です。——途中で変わったとき、天候で延びたとき、いつ検査するか、不具合が出たとき、揉めたとき。この5つは、実際に困る場面そのものだからです。

この条文には前提があります。建設業法18条には「建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従つて誠実にこれを履行しなければならない」とあります。——「対等な立場」。業者が上でも、施主が上でもありません。分からないことを聞くのは、対等な当事者として当然のことです。

「相互に交付」——あなたも1通持ちます

19条の条文をもう一度見てください。——「署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない」。

「相互に交付」=双方が、署名または記名押印された書面を持つ

つまりあなたの手元にも1通残るのが、法律の建て付けです。

ですから、こういう状態は本来おかしいということになります。

  • 契約書にサインしたが、控えをもらっていない
  • 「後で郵送します」と言われたまま届かない
  • 業者の判子が押されていない書面しか手元にない

その場で言いにくければ、あとで連絡しても構いません。——「契約書の控えをいただけますか」。これは請求していい書面です。

電子契約でも問題ありません。19条3項に、相手方の承諾を得て「電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法」によることができる旨が定められています。紙でなくても、書面の交付を受けたものとみなされます。——大事なのは形式ではなく、あなたの手元に内容が残っているかどうかです。

契約書なしで進めようとする会社に、どう言うか

「うちは契約書は作りません」「注文書だけで大丈夫です」——こう言われることがあります。

結論から言えば、書面は交わすべきです。19条は「書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない」としています。タイトルが「契約書」でなくても構いませんが、16項目の内容が書かれた書面を、双方が持っている状態を作ってください。

「見積書と注文書だけ」で足りるのか

それだけでは足りないことが多いはずです。——見積書には工事内容と金額は書いてあっても、天候で延びたときの扱い、完了検査の方法、不具合が出たときの責任、揉めたときの解決方法までは、たいてい書かれていません。

そして、この4つこそが、あとで困る場面です。

言い方の例
「工事の内容と金額は見積書で分かりました。工期が延びたときや、あとで不具合が出たときの取り決めも、書面でいただけますか。」

——これを嫌がる会社は、その時点で判断材料になります。

契約書・注文書・請書は、何が違うのか

出てくる書面の名前が、会社によって違います。——ここで混乱する方が多いので、整理します。

書面誰が出すか性格
見積書業者「この内容なら、この金額でやります」という提示。これだけでは契約になりません
注文書施主「この内容でお願いします」という申込み
注文請書(うけしょ)業者「承りました」という承諾。注文書とセットで契約の形になります
工事請負契約書双方1つの書面に双方が署名・押印する形。戸建ての塗装ではこれが多い

どの形でも構いません。——建設業法19条が求めているのは「16項目が書かれた書面を、署名または記名押印して相互に交付すること」であって、書面のタイトルではないからです。

ただし、注文書と請書だけのときは注意します

注文書と請書は、たいてい1枚ずつの簡素な書面です。——工事内容と金額は書いてあっても、16項目のうち残りが書かれていないことがあります。

その場合、「約款(やっかん)」が別紙で付いていないかを見てください。——細かい取り決めは、約款のほうに書かれていることが多いです。約款が付いていないなら、天候・検査・保証・紛争解決の取り決めがどこにあるのかを聞いてください。

確認の一言
「この注文書のほかに、約款や契約条項の書面はありますか。」

——「ありません」と言われたら、前章の言い方で書面をお願いするところに戻ります。

訪問販売で契約する場合は、別の書面義務があります。特定商取引法により、訪問販売の事業者には、契約時に法定の記載事項を含む書面を交付する義務があります。そしてクーリング・オフの期間は、この書面を受け取った日から起算します(後述)。書面をもらっていない、という状態はそれ自体が問題です。

内訳は、請求すれば出してもらえます

ここは、あまり知られていません。——建設業法には、見積書についての条文もあります。

建設業法 第20条(建設工事の見積り等)

第1項「建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際しては、工事内容に応じ、工事の種別ごとの材料費、労務費及び当該建設工事に従事する労働者による適正な施工を確保するために不可欠な経費として国土交通省令で定めるもの(材料費等)その他当該建設工事の施工のために必要な経費の内訳並びに工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を記載した建設工事の見積書(材料費等記載見積書)を作成するよう努めなければならない。」

第4項(後段)「建設業者は、建設工事の注文者から請求があつたときは、請負契約が成立するまでに、当該材料費等記載見積書を交付しなければならない。」

2つの違いに注目してください。

条文の言い方意味
内訳書を作ること「作成するよう努めなければならない」努力義務です。作っていない状態が直ちに違法ということではありません
請求されたら渡すこと「交付しなければならない」義務です。しかも「請負契約が成立するまでに」——契約前に、ということです

つまり、こういうことになります。——「一式」でまとめられた見積書が出てくること自体は、珍しくありません。戸建ての塗装では、むしろよくあることです。ですが、あなたが内訳を求めれば、契約が成立するまでに交付されることになっています。

言い方の例
「契約の前に、材料費や手間の内訳が分かる見積書をいただけますか。」

——建設業法20条4項に基づく、正当な請求です。強く出る必要はまったくありません。

ただし、内訳が細かいから良い会社、とは限りません。——整った書式は作れます。細かく分かれた見積書を出しておいて、実際の工事では工程を減らすことも、やろうと思えばできてしまいます(手抜き工事)。書式は判断材料のひとつに過ぎません。——だから複数社に出してもらって、並べて比べるのがいちばん確かです(相見積もり)。

判子を押す前に、ここを見る

16項目を全部照合するのは大変です。——戸建ての塗装で、実際に揉めやすいところに絞ります。

見る場所確かめること
工事内容「外壁塗装一式」だけで終わっていないか。下塗り・中塗り・上塗りの回数、使う塗料の製品名、付帯部(雨樋・軒天・破風)が含まれるか(付帯部)
金額税込か税別か。そして見積書の金額と一致しているか
支払いの時期着手金の割合。全額前払いを求められていないか(支払いのタイミング)
工期着工日と完成日。そして雨で延びたときにどうなるか(七号)
保証何年か、何が対象か、誰が保証するのか。——「保証あり」だけでは中身が分かりません(保証の読み方)
完了検査いつ、どうやって確認するか(十一号)
第三者への損害隣家や通行中の車に何かあったときの扱い(九号)
会社の情報会社名・所在地・連絡先。建設業許可を持っていれば、その番号も記載されているはずです(資格と許可)

その場で決めなくて構いません

「今日中に契約すれば」という条件が付いているなら、いったん引いてください。——契約書は、持ち帰って読んでいいものです。読む時間を渋る理由が、まっとうな工事の側にはありません。

そして、家族に一度見せてください。自分では気づかない引っかかりを、他人は見つけます。もう一社に見積もりと書面を出してもらうのも、同じ効果があります——比べる相手がいるだけで、抜けているところが見えます。

署名は、書面を持ち帰って3つ比べてからにします

外壁塗装の契約書を持ち帰って確認する流れ契約書はその場で署名せず、持ち帰り、見積書との工事内容と金額、家族の確認、他社の条件を比べてから決める。契約書を受け取る施主の手元にも1通残す持ち帰って照合工事内容・金額工期・支払い家族・他社と比べる抜け・条件の差を質問する納得後に署名「今日中に」は、持ち帰って読む時間を削る理由にはならない
署名は、情報を確認し終えた最後の行動です。

印紙代は、どちらが払うのか

請負契約書には収入印紙が必要です。国税庁の資料では、請負についての契約書は印紙税額一覧表の第2号文書「請負に関する契約書」に該当するとされています。

そして建設工事の請負契約書には、軽減措置があります。——国税庁の資料によれば、平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成されるものについて、税額が軽減されます。

契約金額軽減後の税額
10万円を超え50万円以下200円
50万円を超え100万円以下500円
100万円を超え500万円以下1千円
500万円を超え1,000万円以下5千円
1,000万円を超え5,000万円以下1万円

戸建ての外壁塗装なら、たいていは500円か1千円です。——金額としては小さいので、ここで揉める話ではありません。

誰が払うか、法律で決まっているのか

実務上は、双方が1通ずつ作成して、それぞれが自分の分を負担する——という形が一般的です。ただし当事者間の取り決めによります。気になる場合は、契約前に「印紙はどちらの負担ですか」と確認してください。

「印紙を貼らなくていいように、契約書を1通だけにしましょう」と言われたら——それはあなたが控えを持たない形になります。19条は「相互に交付」としています。数百円と、書面が手元に残ることを天秤にかける話ではありません。

完了検査と保証——契約書の中で、いちばん後で効く場所

16項目のうち、工事が終わったあとに効いてくるのが十一号と十三号です。——検査と、担保責任。契約のときは意識しませんが、何かあったときに読み返すのはここです。

十一号——「検査の時期及び方法並びに引渡しの時期」

条文は「注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期」を書面に記載すべき事項としています。——「注文者が確認するための検査」です。業者が自分で見て終わり、ではありません。

ですから、契約書にこう書かれているのが本来の形です。

  • いつ検査するのか(足場を解体する前か、あとか)
  • どうやって確認するのか(一緒に見て回るのか、写真で確認するのか)
  • いつ引き渡すのか

足場を解体する前に一度見せてもらえるか、聞いてみてください。——2階の壁や屋根まわりは、足場がなくなると近くで見られなくなります。解体前なら、気になるところをその場で直してもらえます。解体後に見つかると、足場を組み直す話になってしまいます(足場代)。これは契約時に一言お願いしておくだけのことです。

完成後の確認は、足場を外す前から引渡しまで続きます

外壁塗装の完了検査と引渡しの流れ工事完了後は、足場を解体する前に確認し、気になる点を直してもらい、引渡し時に保証書を受け取る流れを示す図。工事が終わる写真も受け取る足場を外す前に一緒に確認する気になる点を直してもらう引渡し・保証書開始日・対象を確認足場があるうちなら、高い場所も近くで確かめられる
完了検査の時期・方法と保証書の扱いを、契約時に確認しておきます。

十三号——不具合が出たときの責任

条文はこうなっています。——「工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容」。

ここで注意したいのは「定めをするときは」という書き方です。——定めを置くかどうかに幅がある書き方になっています。だからこそ「どう書かれているか」を自分で読む必要があります。

読む場所確かめること
年数何年か。そして起算日はいつか(引渡日か、完工日か)
対象何に対する保証か。——剥がれ・膨れは対象でも、色あせは対象外としている例が多くあります(保証の対象)
誰が保証するのか施工した会社か、塗料メーカーか、第三者機関か。——会社が保証する形なら、その会社が続いていることが前提になります
除外事項天災、第三者による損傷、下地の状態に起因するもの——ここに何が並んでいるか
保証書は別に出るか契約書に書かれていても、保証書という形で改めて出してもらうのが確実です

「保証10年」という言葉だけでは、何も分かりません。——10年のあいだ、何が起きたら、誰が、何をしてくれるのか。そこまで読んで、初めて比較できます(保証の読み方)。

そして、保証の年数の長さだけで会社を選ばないでください。——長い年数を書くこと自体は、誰にでもできます。大事なのは「その会社が、その年数のあいだ続いているか」のほうです。会社の所在地、いつから営業しているか、実際の施工を見せてもらえるか——そちらのほうが確かな材料になります(業者選び)。

工事中に変更が出たときも、書面です

これは知っておいてください。19条には2項があります。

建設業法 第19条第2項

「請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。」

つまり、追加工事も、金額の変更も、工期の変更も——書面です。

外壁塗装では、足場を組んでから傷みが見つかることが実際にあります。下地の補修、木部の傷み、シーリングの想定外の劣化——これ自体は正当なことも多いのですが(追加費用)、口頭で「じゃあやっときますね」で進めると、あとで金額が出てきて揉めます。

言い方の例
「追加になる分は、金額を書いた書面をいただいてから決めさせてください。」

——現場を止める言い方ではありません。紙を1枚もらうだけです。

逆に、値切るときにも法律があります。建設業法19条の3は「注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない」としています。——これは注文者、つまり施主に向けた条文です。原価を割る金額を押し付ける契約は、法律が想定していません(値引き交渉)。

押してしまったあとでも、戻れる場合があります

訪問販売で契約した場合には、クーリング・オフの制度があります。——特定商取引法に定めがあり、法定書面を受け取った日から8日以内であれば、書面等により契約を解除できるとされています。

大事なのは、起算点が「契約した日」ではなく「法定書面を受け取った日」だということです。——書面をもらっていない、あるいは記載に不備がある場合、期間が進んでいないことがあります。

自分のケースが該当するかどうかは、必ず相談してください。——消費者ホットライン「188」で、最寄りの消費生活センターにつながります。相談は無料です(トラブルの相談先)。

訪問販売でない場合(自分から見積もりを依頼した場合など)は、クーリング・オフの対象にならないことがあります。——だからこそ押す前に読むことが大事です。

「書面等」の「等」——2022年6月から、メールでも通知できます

上で「書面等により契約を解除できる」と書きました。その「等」の中身が、いまは条文にはっきり書かれています。

特定商取引に関する法律 第9条第1項(訪問販売における契約の申込みの撤回等)

「…申込者等は、書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。…)によりその売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又は…解除…を行うことができる。」

この「電磁的記録」が加わったのは、令和3年法律第72号(令和3年6月16日公布)による改正です。消費者庁は、この法律が一部の規定を除いて令和4年(2022年)6月1日から施行されると公表しています。

つまり、いまはメールでも通知できます。以前から言われてきた「内容証明郵便で出す」は、記録が残るという意味でいまも確実な方法ですが、郵便局に行けないと出せない、というわけではなくなりました。8日の期限が迫っているときに効いてきます。

期限に間に合ったかどうかは、「出した時」で決まります

同 第9条第2項

「申込みの撤回等は、当該申込みの撤回等に係る書面又は電磁的記録による通知を発した時に、その効力を生ずる。」

相手に届いた時ではなく、こちらが出した時です。8日目に出したものが相手に届くのが9日目でも、効力は出した時に生じています。だから、出したことが分かる形で出すのが大事になります——郵便なら消印や記録、メールなら送信済みのものを消さずに残しておく。日付が残る形であれば方法は問われません。

足場が組まれたあと、塗り始められたあとでも

「もう足場が建ってしまった」「一部を塗られてしまった」——ここで諦める方がいます。条文は、そこまで想定して書かれています。

同 第9条の第3項・第5項・第7項

  • 第3項——「販売業者又は役務提供事業者は、その申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。」
  • 第5項——「…役務が提供されたときにおいても、申込者等に対し、…役務の対価その他の金銭の支払を請求することができない。」
  • 第7項——「…役務の提供に伴い申込者等の土地又は建物その他の工作物の現状が変更されたときは、…その原状回復に必要な措置を無償で講ずることを請求することができる。」

外壁塗装に当てはめると、こうなります。足場を組まれても、その代金を請求されません(第5項)。違約金も請求されません(第3項)。そして組んだ足場を外す、塗り始めた壁を元に戻す——その費用は、こちらが払うものではありません(第7項)。「工事が始まったからもう無理」は、条文の側からは出てきません。

同 第9条第8項

「前各項の規定に反する特約で申込者等に不利なものは、無効とする。」

契約書に「着工後のキャンセルは違約金◯%」「クーリング・オフはできません」と書かれていても、ここに反して不利な特約は無効です。判子を押す前に見る場所でこうした条項を見つけたら、それ自体がその会社を見る材料になります。

ここに挙げたのは条文の書き方です。自分のケースが訪問販売にあたるか、8日の起算がいつからかは、事情によって変わります。判断は必ず消費者ホットライン「188」(最寄りの消費生活センター)へ。相談は無料です。当サイトは法律の専門家ではありません。

よくある質問

契約書のテンプレートはどこかにありますか?

施主側が用意する必要はありません。——契約書は工事をする側が用意するのが通常です。あなたがやるべきは、作ることではなく、出てきたものを読むことです。なお国土交通省の中央建設業審議会は建設工事標準請負契約約款を作成・勧告していますので、約款の考え方を知りたい場合はそちらが参考になります。

収入印紙を貼っていない契約書は無効ですか?

契約そのものが無効になるわけではありません。——印紙は税金の問題であって、契約の成立とは別の話です。ただし貼るべきものを貼っていない場合、過怠税の対象になります。気づいたら業者に確認してください。

建設業許可を持っていない会社と契約しても大丈夫ですか?

建築一式工事以外の工事では、請負代金が500万円未満(税込)であれば、建設業の許可がなくても請け負うことができます。——戸建ての外壁塗装は、多くがこの範囲に収まります。ですから「許可がない=怪しい」ではありません。——ただし許可を持っている会社は、経営や技術者について一定の要件を満たしているということでもあります(資格と許可)。判断材料のひとつとして見てください。

契約書に「一式」としか書かれていません。書き直してもらえますか?

お願いしてみてください。——建設業法20条4項では、注文者から請求があったときは、契約が成立するまでに材料費等記載見積書を交付しなければならないとされています。「契約書に添付する形でもいいので、内訳の分かる書面をください」と伝えるのが現実的です。それでも出てこないなら、その会社の姿勢が分かったということでもあります。

工事が終わってから「思っていたのと違う」と言えますか?

言えますが、契約書に何が書いてあったかで結論が変わります。——「3回塗りと書いてあるのに2回だった」は明確な話ですが、「一式」としか書かれていなければ、何をもって違うと言うかが難しくなります。だから押す前に、工事内容の欄を読むことが効いてきます。すでに終わってしまった場合は、写真と書面を持って消費生活センターへ(工事に納得できないとき)。

契約後に、やっぱりやめたくなりました。違約金はかかりますか?

契約書の「違約金」「解約」の条項がまず出発点です(19条1項十四号の事項です)。ただし、そこに書かれた金額がそのまま通るとは限りません。——消費者契約法9条1項1号では平均的な損害の額を超える部分は無効とされています。着工前か、材料を発注済みか、足場を組んだあとかでも変わります。訪問販売でクーリング・オフの期間内であれば、そちらが優先します。やめ方と金額の考え方は、契約の解除と違約金に条文と実際の相談事例でまとめました。判断に迷ったら188へ。

「今日契約してくれたら10万円引き」と言われました

その場で決めないでください。——その日のうちに決めなければ消える値引きは、値引きの体裁をした期限です。消費者庁は二重価格表示について、比較対照価格として過去の販売価格を用いる場合、最近相当期間にわたって販売されていた価格であることを求める考え方を示しています(値引き交渉)。本当に妥当な金額なら、明日も妥当なはずです。

クーリング・オフの通知は、内容証明郵便でないとだめですか?

いまはメールでもできます。特定商取引法第9条第1項は「書面又は電磁的記録により…申込みの撤回…を行うことができる」としており、電磁的記録が加わったのは令和3年法律第72号(令和3年6月16日公布)による改正です。消費者庁は、この法律が一部の規定を除いて令和4年(2022年)6月1日から施行されると公表しています。内容証明郵便は記録が残る点でいまも確実な方法ですが、必須ではありません。また同条第2項は「通知を発した時に、その効力を生ずる」としているので、期限に間に合ったかどうかは相手に届いた時ではなく出した時で決まります。出したことが分かる形を残してください。

もう足場が組まれてしまいました。クーリング・オフはもう無理ですか?

条文はそこまで想定しています。特定商取引法第9条第3項は「損害賠償又は違約金の支払を請求することができない」、第5項は「役務が提供されたときにおいても…役務の対価その他の金銭の支払を請求することができない」としています。さらに第7項は、役務の提供に伴って「土地又は建物その他の工作物の現状が変更されたとき」は「その原状回復に必要な措置を無償で講ずることを請求することができる」としています。足場代も違約金も請求されず、組んだ足場を外す費用もこちらが払うものではない、という書き方です。契約書に着工後の違約金などが書かれていても、同条第8項により、これらに反して申込者に不利な特約は無効です。ただし自分のケースが訪問販売にあたるか、8日の起算がいつからかは事情で変わるので、消費者ホットライン「188」へご相談ください。

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参考にした情報

  • 特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)第9条(訪問販売における契約の申込みの撤回等)——第1項「書面又は電磁的記録により」、第2項「通知を発した時に、その効力を生ずる」、第3項(損害賠償・違約金を請求できない)、第5項(役務が提供されたときにおいても対価を請求できない)、第7項(土地又は建物その他の工作物の現状が変更されたときの原状回復を無償で請求できる)、第8項(不利な特約は無効)。2026年9月13日、e-Gov法令検索のAPIで全文XMLを取得して確認
  • 消費者庁「令和3年特定商取引法・預託法等改正について」——令和3年法律第72号(令和3年6月16日公布)が「一部の規定を除き、令和4年6月1日から施行されます」との記載(2026年9月13日確認)
  • 建設業法(昭和24年法律第100号)第18条——建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従つて誠実にこれを履行しなければならない旨
  • 建設業法 第19条第1項——契約の締結に際して16の事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない旨、および各号の内容(工事内容/請負代金の額/工事着手の時期及び工事完成の時期/工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときはその内容/前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときはその支払の時期及び方法/設計変更等の申出があった場合における工期の変更・請負代金の額の変更・損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め/天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め/価格等の変動又は変更に基づく工事内容の変更又は請負代金の額の変更及びその額の算定方法に関する定め/工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め/注文者が資材を提供し又は機械を貸与するときはその内容及び方法に関する定め/注文者が完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期/工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法/契約の内容に適合しない場合における担保責任又は保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときはその内容/各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息・違約金その他の損害金/契約に関する紛争の解決方法/その他国土交通省令で定める事項)
  • 建設業法 第19条第2項——前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない旨
  • 建設業法 第19条第3項——政令で定めるところにより、契約の相手方の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって国土交通省令で定めるものを講ずることができ、その場合は前二項の措置を講じたものとみなす旨
  • 建設業法 第19条の3——注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない旨
  • 建設業法 第20条第1項——工事の種別ごとの材料費、労務費等その他必要な経費の内訳並びに工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を記載した見積書(材料費等記載見積書)を作成するよう努めなければならない旨
  • 建設業法 第20条第4項——建設業者は、建設工事の注文者から請求があったときは、請負契約が成立するまでに、当該材料費等記載見積書を交付しなければならない旨
  • 国税庁タックスアンサー No.7102「請負に関する契約書」——請負についての契約書は印紙税額一覧表の第2号文書「請負に関する契約書」に該当する旨
  • 国税庁タックスアンサー No.7108「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」——平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成される建設工事の請負に関する契約書について印紙税額が軽減される旨、および軽減後の税額(10万円超50万円以下200円/50万円超100万円以下500円/100万円超500万円以下1千円/500万円超1,000万円以下5千円/1,000万円超5,000万円以下1万円)

最終確認日:2026年8月26日。法令および税額は改正されることがあります。個別の契約に関する法的な判断は、専門家または消費生活センター(消費者ホットライン188)にご相談ください。本ページは条文および公表資料の内容を整理したものであり、特定の契約についての助言ではありません。