外壁塗装の保証は何年?——年数より先に、書面のここを見てください

「外壁塗装の保証は何年か」を調べると、答えがそろいません。短い年数を書くサイトと、その何倍もの年数を書くサイトが、同じ検索結果に並んでいます。どれかが嘘をついているわけではありません。塗装の保証は、法律で年数が決まった制度ではなく、会社ごとに決めている約束だからです。約束の中身が会社ごとに違えば、年数がそろわないのは当たり前のこと。だからこのページでは、「何年が正解か」を探すのをやめて、渡される書面のどこを読むかに絞ります。

このページの内容

なぜ、サイトによって年数がバラバラなのか

種明かしをします。外壁塗装の保証は、会社が自分で決めて出しているものです。「塗り替え工事の保証は何年」と法律で定めた制度があるわけではありません(新築住宅には別の法律の仕組みがありますが、それは新築の話で、既存の家の塗り替えとは別ものです)。

だから年数は会社の判断で決まります。短めに設定する会社もあれば、長めの会社もある。どちらも約束として成立していて、どちらかが間違いではありません。年数が食い違って見えるのは、各社が自社の約束を書いているから——ただそれだけです。

ここから帰結がひとつ出ます。年数の長さは、工事の品質を証明するものではないということです。長い年数を掲げること自体は営業上の自由ですが、掲げられた数字を見ただけでは、その会社の工事の良し悪しは分かりません。

年数だけで比べると、たいてい判断を誤ります

保証の実質は、「年数」と「対象の広さ」のかけ算です。年数が長くても、対象が外壁の一部だけで免責がずらりと並んでいれば、守られる範囲は狭くなります。逆に、年数は控えめでも対象がはっきりしていて、点検までセットの保証もあります。比べるなら、数字ではなく書面同士を並べてください。

書面で見るのは4点だけ

保証書は会社ごとに書式が違いますが、読むポイントは共通しています。次の4点です。

どこが対象か(対象部位)

外壁の塗膜だけなのか、屋根や付帯部まで入るのか。ここが最も差の出るところです

何が起きたら保証か

剥がれ・膨れなど、施工に原因がある不具合が中心。経年の変化は対象外が一般的です

何が対象外か(免責)

災害・第三者による損傷・建物側の事情など。免責欄こそ本文だと思って読んでください

誰が保証するのか

施工した会社か、塗料メーカーか、第三者の保険か。責任を負う相手が違います

① 対象部位——付帯部とシーリングは、別扱いになりやすい

「わが家は◯年保証です」と言うとき、その年数がかかっているのは外壁の塗膜だけということがよくあります。見落としやすいのが次の2つです。

  • 付帯部——雨樋・破風・軒天・雨戸など。材質も塗る条件も外壁と違うため、外壁より短い年数だったり、対象から外れていたりします(軒天・破風・雨戸の塗装
  • シーリング(コーキング)——目地に充填するゴム状の材料で、塗膜とは別ものです。こちらも別枠の年数、または対象外が珍しくありません(コーキングの打ち替え

これは意地悪ではなく、傷み方の違う材料に、同じ約束をかけられないからです。読む側がやることは、「この年数は、どこにかかる年数ですか」と一度聞くことだけ。それで書面の見え方が変わります。

② 何が起きたら保証になるのか

塗装の保証が想定しているのは、多くの場合施工に原因がある不具合です。塗ってさほど経たないうちの剥がれ・膨れ・浮きが典型です。

いっぽうで、色あせやチョーキング(触ると白い粉がつく状態)のような経年変化は、対象外とされているのが一般的です。塗膜は時間とともに劣化していくもので、それを止められる塗料はありません(劣化サインの見方)。整理すると、原因によって相談先は三方向に分かれます。

起きた原因ごとの、受け皿の分かれ方

原因別に見た、塗装の保証・火災保険・対象外の分かれ方 施工に原因がある剥がれや膨れは塗装の保証の領分、台風や雹などの災害による損傷は火災保険の領分、色あせやチョーキングなど時間の経過による変化はどちらの対象でもなく次の塗り替えで対応する、という三方向の分かれ方を示した図。 何が原因で起きたか どこが受け皿になるか 施工に原因がある不具合 塗膜の剥がれ・膨れ・浮き 災害による損傷 台風・雹・飛来物・地震 時間の経過による変化 色あせ・チョーキング 塗装の保証(施工した会社の約束) 対象・免責は、渡された書面しだい 火災保険の領分 塗装の保証では、ふつう免責になります どちらの対象でもない 次の塗り替えで対応する範囲です 受け皿が違うだけで、どこにも相談できない、という意味ではありません
同じ「壁の不具合」でも、原因が施工か、災害か、時間の経過かで相談先が変わります。災害によるものは火災保険の側です。

③ 免責——書面のいちばん地味な欄に、答えが書いてあります

保証書でいちばん読まれないのに、いちばん実務的なのが免責の欄です。書き方は会社ごとに違いますが、よく挙がるのは次のような項目です。

  • 地震・台風・雹・飛来物などの災害——火災保険の側で検討する話になります
  • 色あせ・チョーキングなどの経年変化——次の塗り替えを考える範囲です
  • 第三者による損傷・施主側で手を加えた箇所——誰の行為で起きたかで扱いが変わります
  • 建物側の動きや、下地そのものの傷み——塗膜ではなく建物の問題として原因の調査から始まります

免責は「逃げ道」ではなく、塗膜の保証で引き受けられる範囲の線引きです。疑うためではなく、線がどこに引かれているかを知るために読む——そう思って見れば、いちばん役に立つ欄になります。

④ 誰が保証するのか——これは意外と見落とされます

「保証」と一口に言っても、責任を負う相手が違うことがあります。

  • 施工した会社の保証——いちばん一般的な形です
  • 塗料メーカーの保証——製品の側の保証です。指定の下地処理や塗り回数などの条件が前提になっている場合があり、会社の保証とは範囲が別ものです
  • 第三者の保険(リフォーム瑕疵保険)——保険法人が関わる、会社の約束とは別の枠組みです。次の章で触れます

広告に「メーカー保証付き」とあったら、工事の保証か、材料の保証かを分けて考えてください。

「保証があるから安心」の落とし穴

保証書は、それを出した会社が続いていて初めて意味を持ちます。会社が廃業してしまえば、その紙の約束を履行する相手がいなくなります。書面が無効になるという法律の話ではなく、請求する先が消えるという単純な事実です。

年数が長い保証ほど、この点は効いてきます。長い約束はその年数のあいだ会社が続いていることを前提にしているからです。見るべきは保証の年数ではなく、その会社そのものになります。方法は業者選びのページの「相手に聞かなくても、自分で確かめられること」にまとめました。要点は2つです。

  • 建設業許可の登録内容——国土交通省の検索システムで会社名から調べられます。ただし許可がない=違法ではありません(一定金額未満の工事は許可がなくても請け負えます)。見るのは良し悪しではなく、名乗っている内容と登録が食い違っていないか、という一点です
  • リフォーム瑕疵保険の登録事業者かどうか——この保険を使うには、事業者が国土交通大臣の指定を受けた住宅瑕疵担保責任保険法人に登録している必要があり、登録した事業者は一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会のサイトで検索できます

リフォーム瑕疵保険が、会社の保証と違うところ

この保険は保険法人が関わる第三者の仕組みで、施工した会社の約束とは別の枠組みです。制度の趣旨として、事業者が廃業した場合にも発注者が保険法人へ請求できる道が用意されていると説明されています。ただし対象の工事・条件・手続きは保険ごとの定めがあり、加入も工事ごとです。細かい条件までここで断定はできませんので、「その工事で加入できるか」を会社に確認するのが正確な進め方です。

あわせて申し添えると、登録がない=問題のある会社、ではありません。登録していない優良な地元業者もあります。確かめられる材料がひとつ増える、という位置づけで見てください。

口約束にしない——「書面でいただけますか」

「うちは長く保証しますから安心してください」と言われたとき、返す言葉はひとつで足ります。

「保証の内容を、書面でいただけますか」

この一言で、話が具体になります。書式を持っている会社なら、その場で見せてもらえるか、後日ひな形を渡してもらえます。渡せない、見せられないという返事なら、その時点で答えが出ています。問い詰める必要はありません。書面が出てこないという事実だけを、判断材料として持ち帰れば十分です。

聞くタイミングは契約前です。工事後に渡される保証書の中身をひな形で先に読めれば、ここまでの4点をぜんぶ確認できます。聞き方は次のとおりです。

  • 書面保証書のひな形を、契約前に見せていただけますか?工事後に受け取る紙の中身を、選ぶ前に読めます。ここで断られるかどうかも情報になります
  • 範囲この年数は、どこにかかる年数ですか。付帯部とシーリングはどうなりますか?対象部位を分けて聞くのがコツです。まとめて聞くと、まとめた答えしか返ってきません
  • 免責保証の対象外になるのは、どんな場合ですか?口頭で答えられる会社は、自社の書面を把握しています。答えの正確さがそのまま材料になります
  • 主体この保証は、御社の保証ですか。それとも塗料メーカーの保証ですか?責任を負う相手が変わります。両方ある場合は、それぞれの範囲を分けて教えてもらってください

この4問は、複数社に同じように聞くと答えの差がそのまま比較材料になります。金額だけを並べるより、会社の性格が見えます(業者選びのページ)。

保証と点検は、セットで考える

保証があっても、不具合に気づかなければ使われないまま年数が過ぎます。だから定期点検の案内があるかは、保証とセットで見る価値があります。契約書や保証書に点検の予定が書かれている会社もあります。

ただし、正直に書いておきます。点検が、次の工事の営業の入口になっている場合もあります。点検そのものは悪いことではありませんが、勧められた工事をその場で決める必要はありません。

  1. 約束された点検か、突然来た点検かを分ける契約時に予定として書かれていた点検は、約束の履行です。契約していない会社が「近くで工事をしていたので無料で点検します」と訪ねてくるのは、別の話です。
  2. 頼んでいない点検で、屋根や足場に上がらせない高所に上がられ、「壊れていた」と言われるケースがあります。断って構いません。
  3. 指摘されたら、書面と写真をもらって持ち帰る本当に不具合があるなら、他社に見てもらえば分かります。急ぐ状態かどうかも、そこで確かめられます。

訪問販売やしつこい勧誘への対処、クーリングオフの手順はトラブル対処のページにまとめています。困ったときは消費者ホットライン188が入口になります。

よくある質問

工事は終わったのに、保証書がもらえませんでした

まず、施工した会社へ書面での発行を依頼してください。あわせて、契約書・見積書・打ち合わせのメールに保証の記載が残っていないかも確認します。記録が残っているほど話は進めやすくなります。それでも応じてもらえない場合は、お住まいの地域の消費生活センター(消費者ホットライン188)が相談先です。手順はトラブル対処のページにあります。

保証年数が長い会社のほうが、いい会社ですか?

年数の長さだけでは判断できません。保証は会社ごとの約束なので、年数は会社の判断で決まります。比べるなら年数・対象部位・免責・保証の主体を並べてください。長い約束はその年数のあいだ会社が続くことが前提なので、年数より先に会社そのものを確かめるほうが実利があります。

塗ってすぐ剥がれました。無償で直してもらえますか?

ここは断定できません。無償になるかどうかは、保証書の対象・免責と、剥がれた原因で変わるからです。順番は決まっています。①写真を撮る(全景と近接、日付が分かる形で)②施工した会社に連絡し、現地を見てもらう③説明を書面でもらう。原因が施工にあるのか、下地や災害によるものなのかで扱いが変わるため、まずは原因の確認からです。なお、保証書がない場合でも、契約した内容と違う工事だったときの責任を定めた民法の規定があります(通知の期限などの要件があります)。折り合わないときは、ひとりで抱えずに消費生活センターへ。

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最終確認日:2026年8月20日。保証の年数・対象・免責の内容は会社ごと、工事ごとに異なります。ご自身の契約書・保証書に書かれている内容をご確認のうえ、不明な点は施工した会社にお尋ねください。リフォーム瑕疵保険の適用条件は、加入する保険法人の定めによります。