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コーキング(シーリング)の打ち替え——色も、製品も、選べます
外壁の目地に入っているゴム状の材料。打ち替えるか、上から足すか——その判断の話はよく見かけます。でも、あまり語られないことがあります。シーリング材には色があり、製品によって中身がまるで違うということ。仕上がりと寿命を左右するのに、施主にはほとんど説明されない部分です。
このページの内容全14項目
コーキングとシーリング——呼び方が違うだけです
先に用語を片づけます。「コーキング」と「シーリング」は、実務上ほぼ同じものを指しています。メーカーや職人によって呼び方が変わるだけで、見積書にどちらで書かれていても中身は同じです。JISの規格名や業界の技術資料では「シーリング材」が使われ、現場では「コーキング」と言うことが多い——その程度の違いです。
このページでは、材料そのものを指すときは「シーリング材」、工事や打たれている状態を指すときは「コーキング」と、読みやすいほうを使っています。見積書に「コーキング打ち替え」とあっても「シーリング工事」とあっても、同じ工事のことです。
見積書で確認する3つの言葉
この工事、見積書では「シーリング工事一式」の一行で終わっていることがあります。そこで、次の3つを聞いてみてください。答えられる相手かどうかで、任せていいかがだいたい分かります。
- 「打ち替えですか、増し打ちですか」——古いものを撤去して入れ直すのか、上から足すのか。金額も寿命も変わります
- 「どの製品を使いますか」——メーカー名と製品名。後述しますが、ここが仕上がりの寿命を分けます
- 「色はどうなりますか」——外壁の色に合わせられるのか、白や標準色で入るのか
とくに3つ目は、聞かれ慣れていない業者が多い質問です。だからこそ、施主が知っているとお互いに気をつけて進められます。
「シリコンでいいですか」——外壁では、まず使いません
見積書では、材料名より「工法」と「長さ」を見ます
ホームセンターに行くと「シリコン」と書かれたシーリング材が一番目立つ場所に並んでいます。だから「外壁の目地もシリコンでいいのでは」と考える方が多いのですが、外壁の塗り替えでシリコーン系が選ばれることは、まずありません。理由は2つあり、どちらもメーカーの資料に書かれています。
理由①——上から塗料が乗りません
シリコーン系は、その上に塗料を塗ることを想定していない材料です。外壁の塗り替えでは目地の上まで塗装する仕様(先打ち)が一般的なので、この時点で使えなくなります。
理由②——あとから別の材料が付きません
こちらのほうが深刻です。コニシ(ボンド)が公開している技術資料に「シーリング材の打継ぎ性の目安」という表があります。先に打たれている材料と、あとから打つ材料の相性を示したものです。
| 先に打たれているもの | あとから打つ材料との相性 |
|---|---|
| シリコーン系 | 変成シリコーン系 ✕/ポリサルファイド系 ✕/アクリルウレタン系 ✕/ポリウレタン系 ✕(シリコーン系同士のみ○) |
| 変成シリコーン系 | シリコーン系 ✕/それ以外は○(プライマー指定あり) |
| ポリサルファイド系 | シリコーン系 ✕/それ以外は○(プライマー指定あり) |
| ポリウレタン系 | シリコーン系 ✕/それ以外は○(プライマー指定あり) |
表の一行目を見てください。先にシリコーン系が打たれていると、あとから打てるのはシリコーン系だけです。ほかは全部✕。
これが何を意味するか。いま良かれと思ってシリコンを打つと、次の塗り替えのときに困るのは自分だということです。業者は古いシリコーンを削り取るところから始めなければならず、しかもシリコーンは下地に成分が残りやすいため、完全に取り切るのが難しい材料です。
ホームセンターで買えるかという質問への答えは「買えます」です。ただし買う棚を間違えると、あとで取り返しがつきません。容器に書かれた種類を確認してください。外壁の目地なら変成シリコーン系、あるいはポリウレタン系。「シリコーン系(シリコン)」と書かれたものは、浴室やガラスまわり用です。「変成シリコーン」と「シリコーン」は名前が似ていますが、まったく別の材料です。
では、なぜシリコーン系が存在するのか
塗装しない場所では、シリコーン系は非常に優秀だからです。同じコニシの技術資料に、促進耐候性試験(サンシャインウェザーメーター)の結果が載っています。
| 種類 | 1,000時間 | 2,000時間 | 3,000時間 |
|---|---|---|---|
| シリコーン系 | 異常なし | 異常なし | 異常なし |
| 変成シリコーン系 | 異常なし | 微小クラック | 中クラック |
| ポリサルファイド系 | 異常なし | 微小クラック | 小クラック |
| アクリルウレタン系 | 異常なし | 微小クラック | 中クラック |
| ポリウレタン系 | 中クラック・チョーキング有り | 大クラック・チョーキング有り | — |
シリコーン系だけ、3,000時間でも異常なしです。紫外線に対しては最も強い。だからガラスまわりや浴室のように、塗装せずむき出しで使う場所では第一選択になります。
逆に注目してほしいのが最下段のポリウレタン系です。同じ試験で250時間の時点ですでに微小クラックが出ています。紫外線に弱い。ではなぜ外壁で使われるのか——上から塗装で覆うことが前提だからです。塗膜が紫外線を遮ってくれる限り、この弱点は表に出ません。
ここまでを整理すると、材料の選び方は「塗るのか、塗らないのか」で決まると分かります。塗る前提の外壁目地なら、被塗装性のある変成シリコーン系やポリウレタン系。塗らないガラスまわりならシリコーン系。見積書に製品名が書かれていれば、この判断が正しいかを自分でも確かめられます。
何年もつのか——メーカーの試験データで見る
「コーキングは何年もちますか」という質問には、年数で答えられる材料がありません。目地の動き方、日当たり、材料、施工の質で変わるからです。ただし比べるための物差しは公開されています。
ひとつはJIS A 5758(建築用シーリング材)の耐久性区分です。コニシの技術資料には、種類ごとの区分がこう整理されています。
| 種類(2成分形) | 記号 | 耐久性の区分 |
|---|---|---|
| シリコーン系 | SR-2 | 10030 |
| 変成シリコーン系 | MS-2 | 9030 |
| アクリルウレタン系 | UA-2 | 9030 |
| ポリサルファイド系 | PS-2 | 9030 |
| ポリウレタン系 | PU-2 | 8020 |
この4桁の数字は、どれだけ大きな動きに追従できるかを表す区分です。数字が大きいほど、大きな伸び縮みに耐える設計になっています。年数ではありませんが、材料を並べて比べるときの目安になります。
もうひとつ、前の章で見た促進耐候性試験です。こちらは紫外線に対する強さを時間で示しています。ただし促進試験の時間は実際の年数とは一致しないので、「何年」の答えとしては使えません。あくまで材料同士の比較用です。
実務的な答えを言えば、「前回いつ打ったか」と「いま切れているか」で判断するほうが早いです。同じ製品でも、南面と北面では傷み方が違います。何社かに現地を見てもらって、打ち替えが必要な範囲を聞いてください。全面なのか、傷んだ面だけでいいのか——判断が分かれることがあるので、理由を聞くと自分でも納得できます。
「白しかない」と思っていませんか——色は選べます
コーキングというと、白かグレーのイメージが強いかもしれません。実際には外壁の色に合わせた色が、驚くほど細かく用意されています。
たとえばオート化学工業が公開している「生産色一覧」を見ると、A4で6ページにわたって色名と色コードが並びます。「アーモンドブラウン」「ミストベージュ」「ウッディーチャコール」といった具合に、サイディングメーカー各社の外壁色に対応した名前が付いていて、どの容器(カートリッジ/ペール缶)で作れるかまで一覧になっています。つまり「その家の外壁に合う目地の色」を選ぶことは、業界では普通にできる話なのです。
目地だけ浮いて見える仕上がりは、選び方の問題かもしれません
塗り替え後に「目地の線だけ色が違って見える」ことがあります。塗装で目地の上まで塗る仕様なら色は揃いますが、塗らない仕様(後述の後打ち)なら、シーリング材そのものの色がそのまま残ります。仕上がりのイメージを決める要素なので、色の話は契約前にしておくのが得です。
製品の中身も、実は横並びではない
同じ「シーリング材」でも、中身の設計はメーカーや製品で違います。施主が知っておくと効く軸をひとつ挙げるなら、可塑剤(かそざい)です。
可塑剤は材料を柔らかく保つための成分ですが、種類によっては時間とともに材料から抜けていき、抜けた分だけ硬くなって切れやすくなるという性質があります。だから高耐久をうたう製品では、ここに手が入っています。たとえばオート化学工業の「オートンイクシード」は、公式に「経年で流出する可塑剤を配合せずに優れた柔軟性を実現」「経年による硬質化を防ぎ『柔らかさを長時間維持』」と説明されています。
ここで大事なのは製品名を覚えることではありません。同じ「シーリング打ち替え」でも、使う材料で寿命が変わりうる——だから見積書に製品名が書いてあるかどうかが意味を持つ、ということです。塗料の種類のページで「見積書にメーカー名と製品名を書かせる」と書いたのと、まったく同じ理屈です。
1成分形と2成分形——「2液のほうが高性能」ではありません
見積書やカタログで「1成分形」「2成分形」、あるいは「1液」「2液」という言葉を見かけます。まず用語から整理すると、これは同じものの呼び方違いです。日本シーリング材工業会は、1成分形と2成分形について「通称的に1液(タイプ)、2液(タイプ)と呼称されることがあります」と説明しています。
そして現物を見れば、どちらかはすぐ分かります。同工業会が公開している製品一覧(変成シリコーン系・2025年12月20日現在)で荷姿を見ると、きれいに分かれています。
| 1成分形(1液) | 2成分形(2液) | |
|---|---|---|
| 荷姿 | 320〜333ミリリットルのカートリッジが中心(600ミリリットルのパックや4リットル缶もある) | 4リットルのセット(缶) |
| 現場での扱い | そのままガンに差して使う | 基剤と硬化剤を、現場で練り混ぜてから使う |
| 色 | 色ごとに製品が分かれている | 「共色施工」「カラー後添加」など、色を混ぜて作るタイプがある |
工事の日に足場の下を見れば、細い筒が並んでいるのか、缶と撹拌機があるのかで見当がつきます。ちなみに2成分形に「色を後から混ぜる」タイプが多いことは、前に書いた「色は選べます」の話ともつながっています。
固まり方が、そもそも違います
この2つは、硬化の仕組みが別物です。
| 種類 | 固まる仕組み | そのぶん、どうなるか |
|---|---|---|
| 1成分形 | 湿気硬化——材料の中の成分が空気中の水分と反応して固まる | 硬化が表面から進むので、硬化の途中では表面と内部の状態が違う |
| 2成分形 | 混合反応硬化——基剤と硬化剤を一定量練り混ぜることで、材料全体がほぼ均一に固まる | 硬化の途中でも、表面と内部の硬化状態は同じ |
この違いから、工業会は使える場所に線を引いています——1成分形は、硬化の途中に目地が動くと亀裂や変形のリスクがあるため、金属パネル間目地・金属笠木目地のように温度による目地の動きが大きい部材には適用できない。さらに「山岳地帯など寒暖差の大きい地域でも注意が必要です」とも書かれています。ただし「最近では、こうした動きの大きい目地にも対応可能な1成分形シーリング材の開発が進められています」とも添えられています。
「2液のほうが高性能」は、業界団体がはっきり否定しています
ここがこの章でいちばん伝えたいところです。2成分形のほうが上等だ、という説明を受けたら、次の一文を思い出してください。
日本シーリング材工業会「住宅外壁改修のためのシーリング材ガイド」
「同じ用途に対する、硬化した後の製品性能には特に大差がないように製品設計がなされています。現状では目地の動きが特に大きい用途(金属パネル間目地や金属笠木間目地)に対応するシーリング材は2成分形のみとする場合があるので、2成分形の方が高性能と思われることがありますが、必ずしも正しい理解ではありません。」
誤解が生まれる筋道まで、団体自身が説明しています。「一部の難しい場所には2成分形しか使えない」→だから「2成分形のほうが高性能に違いない」という連想です。けれど戸建ての窯業系サイディングの目地は、その「難しい場所」ではありません。
ですから、見積書に「1液」と書いてあること自体は、安く済ませようとしているサインではありません。逆に「2液を使うので高くなります」と言われたら、なぜこの家のこの目地に2成分形が要るのかを聞いてよい場面です。
ただし2成分形には、「現場で混ぜる」という工程がついてきます
性能で優劣がつかない代わりに、2成分形には管理の手間が増えます。国が発注する工事の仕様書は、2成分形について次のように定めています。
- 「2成分形シーリング材の基剤及び硬化剤は、シーリング材の製造所の指定する配合とする」——量は目分量ではなく、メーカーの指定どおり
- 「製造所の指定する配合により練り混ぜて、可使時間内に使用する」——混ぜたら、決まった時間内に使い切る
- 「練り混ぜたシーリング材は、1組の作業班が1日に行った施工箇所を1ロットとして、各ロットごとにサンプリングを行う」——1日ぶんを1単位として、材料を採って確かめる
ここまで書かれているということは、逆に言えばここが崩れると品質が変わる工程だということです。硬化剤を量らない、撹拌が足りない——これは工事で手が抜かれる場所として現場で挙がる典型でもあります。2成分形は、混ぜる人の手つきが結果に出る材料だと考えてください。
※これは国が発注する工事の仕様であって、戸建て住宅の工事に同じ検査や記録をそのまま求められるという話ではありません。公共工事には、書類と検査の手間が最初から単価に乗っています。ここで読み取ってほしいのは、2成分形には「混ぜる」という管理項目が確かに存在するという一点です。
では、施主は何を見ればいいのか
結論を書きます。1成分形か2成分形かは、施主が選ぶところではありません。見るのは、こちらの3つです。
| 見るところ | なぜ |
|---|---|
| ①変成シリコーン系か | 塗装する外壁の目地では、ここが本題(シリコーン系との違い) |
| ②ノンブリードタイプか | 塗ったあとに目地の上が汚れてくるかどうかに関わります(ブリード現象) |
| ③製品名が書いてあるか | ①②は、製品名が分かってはじめて確かめられます |
成分形を聞き出すより、「使う製品の名前を書いてください」の一言のほうが早い——これがこのページ全体で繰り返している話です。
打ち替えと増し打ち——増し打ちが妥当な場所もある
費用の話(1mあたりの単価に何が含まれるか、数量の考え方、コーキングだけ頼むと割高になる理由)はコーキングの費用のページにまとめました。
基本は打ち替え(既存を撤去して新しく充填)です。古いシーリングが痩せて切れている状態の上に足しても、下の層が動けば一緒に切れるからです。「増し打ちで安く」と言われたら、まず理由を確認してください。
2回目以降の塗り替えでは、打ち替えがいっそう基本になります。1回目のときに入れたシーリングも、そのときには寿命を迎えているためです(2回目の外壁塗装)。
ただし、増し打ちが選ばれる場面もあります。代表的なのがサッシまわりです。ここは撤去のためにカッターを入れると、内側の防水部材まで傷つけてしまう可能性があるため、あえて上から充填する判断がされることがあります。「増し打ち=手抜き」と単純に決めつけないほうが正確で、大事なのは「なぜここは増し打ちなのか」を説明できるかどうかです。説明のない一律増し打ちは、手抜きの典型パターンのほうを疑ってください。
なぜ打ち替えが基本なのか——「2面接着」の話
ここは少し専門的ですが、増し打ちを勧められたときに判断する材料になるので書いておきます。
シーリングの目地には、大きく2つの種類があります。コニシの技術資料では次のように整理されています。
| 目地の種類 | どういう目地か | 接着 |
|---|---|---|
| ワーキングジョイント | 動きが比較的大きい目地。窯業系サイディングの目地はここに入ります(部材が湿気や温度で伸び縮みするため) | 2面接着 |
| ノンワーキングジョイント | 動きが小さいか、ほとんど動かない目地。コンクリート壁の打継ぎ目地など | 3面接着 |
2面接着というのは、目地の左右の面だけに接着させて、底面には接着させない納まりのことです。底にバックアップ材を入れたりボンドブレーカーというテープを貼ったりして、わざと縁を切ります。
なぜそんなことをするのか。目地が動いたときに、シーリング材が自由に伸び縮みできるようにするためです。底まで接着していると(3面接着)、動いたときに材料が引っぱられる方向が増え、切れやすくなります。サイディングの目地は動く目地なので、2面接着が原則ということです。
古いシーリングの上から新しいものを足す増し打ちでは、下にある古い層が「底面」になります。つまり狙って2面接着にすることが難しく、しかも下の層が痩せて切れていれば、そこが動いたときに上の新しい層も一緒に引っぱられます。「増し打ちは持ちが短い」と言われる理由は、材料の問題ではなく、この納まりの問題です。
業界団体は、住宅の外壁目地での増し打ちを強い言葉で否定しています
日本シーリング材工業会の住宅向けガイドは、増し打ちについて「打ち替えによって期待されるシーリング材の性能を発揮させることが出来ないので『改修工事』とはいえず」と書き、起こりうる不具合を4つ挙げています。
- 未硬化現象——特に2成分形で多く、薄い層では硬化剤が空気中の水分の影響を受けて働かなくなり、硬化が不十分になったり固まらなくなる(薄層未硬化現象)
- 接着性低下によるはく離——薄い層は伸縮の影響を受けやすく、接着を保ちにくい
- ブリード汚染——古い材料がノンブリードタイプでない場合、その可塑剤が新しい材料に移行・透過して、上の塗膜を汚す
- 膨れ——古い材料の表面の割れの内部にある空気や水分が膨張する
※このガイドが対象にしているのは住宅の外壁(窯業系サイディングの目地)です。前の章で書いたサッシまわりのように、撤去そのものに危険がある場所の判断まで否定しているわけではありません。「動く目地を増し打ちで済ませない」と読んでください。
だからサイディングの縦目地は打ち替えが基本になります。逆に、前の章で触れたサッシまわりのように撤去のリスクが高い場所では増し打ちが選ばれる——これも納まりで説明がつきます。
見積書を見るときは、「どこを打ち替えて、どこを増し打ちにするのか」が分かれて書かれているかを確認してください。全部まとめて「シーリング工事一式」では、この判断がされているのかどうかも分かりません。何社かの見積書を並べると、この書き分けをしている会社とそうでない会社がはっきり分かれます。数量(メートル)が入っているかどうかも同時に見えます。
塗装との順番(先打ち・後打ち)
打ち替えと増し打ちは、場所と傷みで使い分けます
検索でよく出てくる疑問がこれです。シーリングを塗装の前に打つ(先打ち)か、塗装の後に打つ(後打ち)か。
| 順番 | 特徴 |
|---|---|
| 先打ち(シーリング→塗装) | 目地の上にも塗料がのるので色が外壁と揃う。ただし塗膜が目地の動きに追従できず、細かいひびが入って見えることがあります。上から塗る前提なので、塗料と相性の良い製品を選ぶ必要があります |
| 後打ち(塗装→シーリング) | シーリング本来の伸縮性能をそのまま活かせます。目地の色はシーリング材の色そのものになるので、ここで「色を選ぶ」話が効いてきます |
どちらが正解ということはなく、外壁材・製品・仕上がりの好みで決まります。ひとつ知っておくとよいのは、上から塗る場合には「塗料が乗る製品か」の確認が要ること。オート化学工業も、ノンブリード対応をうたう製品について「適応しない塗料がありますので事前に確認を」と注意書きを添えています。プロが気をつけている部分ですが、施主が一言聞くだけでも、確認の抜けを防げます。
DIYでどこまでやっていいか
- 浴室やキッチンの水まわり——市販品で対応でき、DIYが成立する領域です。検索結果に水まわりの情報が混ざるのはこのためです
- 外壁の目地——おすすめしません。理由は高所作業だけではなく、撤去・清掃・プライマー(下塗り剤)・充填・ならしという工程のどれを省いても、数年で切れるから。とくにプライマーは接着の要で、省いた仕上がりは見た目では分かりません
- 応急処置——雨が入っている箇所を一時的にふさぐのは、原因が分かっている場合に限るのが鉄則です
- ビス穴・フック跡をふさぐ——ここは自分でやってもいい範囲です。ただし壁を貫通している穴だけは別で、外側から塗り固めると中の水が出られなくなります
コーキングは見積書で会社ごとの差がいちばん出る項目です。打ち替えか増し打ちか、何メートル分か、材料は何か——書き方が揃いません。何社かの見積書を並べて、この行だけを突き合わせてみてください。同じ家なのに数量が違えば、どちらかが範囲を絞っています。総額を比べる前に、ここを揃えるのが先です。
切れているのを見つけたら
切れを見つけたら、写真を残して優先度を確認します
目地が切れている、剥がれている、隙間が空いている——見つけたときにどうするか。
すぐに雨漏りするわけではありません
まず落ち着いてください。サイディングの壁は、目地のシーリングだけで雨を止めているわけではありません。その内側には防水紙(透湿防水シート)があり、板の裏に回った水は下へ流れて外に出る構造になっています。だから目地が1か所切れた翌日に室内へ水が入る、という話ではありません。
ただし放置していい理由にもなりません。切れた目地から入った水は、板の裏側と防水紙のあいだを流れます。その状態が続けば、板の小口が水を吸って傷み、防水紙も年数とともに劣化します。「すぐには困らないが、確実に寿命を削っている」というのが正確なところです。
応急処置をするなら
手が届く高さで、範囲が狭いなら、市販のシーリング材で塞ぐこと自体はできます。ただし前の章のとおり材料の種類を間違えないこと。そして次の塗り替えのときに「ここは自分で打った」と伝えてください。業者は打ち替えの手順を変える必要があるかもしれません。
手が届かない高さなら、応急処置は勧めません。脚立の上で上を向いてコーキングガンを構えるのは、体勢としてかなり危険です。雨が入るのが心配なら、ブルーシートで一時的に覆うほうが安全です。
「コーキングだけ」を頼めるか
頼めます。ただし足場が必要な高さなら、費用の構造が変わります。足場を組んで目地だけ直し、数年後に塗り替えでまた足場を組むのでは、足場代を二度払うことになります(足場代のページ)。
だから相談するときは、「シーリングだけの見積もり」と「塗り替えまで含めた見積もり」の両方を出してもらってください。差額を見れば、いま部分的に直すか、まとめてやるかを自分で判断できます。何社かに同じ頼み方をすると、その差額の相場感もつかめます。1階の手の届く範囲だけなら、足場なしで対応できることもあります。
よくある質問
コーキングとシーリング、呼び方が違うのはなぜ?
現場ではほぼ同じ意味で使われています。厳密な語源の違いはありますが、施主として気にする必要はありません。見積書でどちらの表記でも、中身は「目地に入れる材料の工事」と考えて大丈夫です。
外壁塗装と同時にやるべきですか?
同時が合理的です。足場を共用できるうえ、塗装との順番(先打ち・後打ち)も含めて一体で計画できるからです。逆に、目地が切れているのに塗装だけするのは、水が入る道を残したまま表面を塗ることになります。
どのくらいで打ち替えが必要になりますか?
年数より状態です。目地を指で押してみて硬い、痩せて隙間ができている、真ん中で切れている、外壁から剥がれている——このどれかが出ていたら検討時期です。判断の全体像は劣化サインのページにまとめています。コーキングがひび割れたのページでは、真ん中が切れているのか端が壁から離れているのかで原因の在りかが変わることと、メーカーが年数で説明していない理由を扱っています。
参考にした情報
- コニシ株式会社「ボンド シーリング材 技術資料」——目地の種類と要求性能(ワーキングジョイント/ノンワーキングジョイント、2面接着)、シーリング材の種類と耐久性の区分(JIS A 5758)、シーリング材の打継ぎ性の目安表、促進耐候性試験(サンシャインウェザーメーター)の結果
- オート化学工業「生産色一覧」「オートンイクシード」製品情報
- 日本シーリング材工業会「住宅外壁改修のためのシーリング材ガイド——当事者が知っておくべき基本的なポイント」(広報委員会 住宅用シーリング材ワーキンググループ。1成分形と2成分形の硬化機構と性能差、増し打ちによる不具合4項目、1液・2液という通称の記述)
- 日本シーリング材工業会「製品一覧(変成シリコーン系)」2025年12月20日現在(各社製品の成分形・容量荷姿・ノンブリードタイプの別)
- 国土交通省大臣官房官庁営繕部「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」3.7.2 材料(2成分形の配合)、3.7.4 シーリング充填工法(練り混ぜ・可使時間・ロットごとのサンプリング)
最終確認日:2026年8月18日。製品の仕様・生産色は変更されることがあります。最新情報は各メーカーの公式資料をご確認ください。