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コーキングがひび割れた——「何年もつか」に、メーカーは年数で答えていません
外壁の目地に入っているゴム状の材料(コーキング、シーリング)にひびが入ると、まず調べたくなるのが「何年もつのか」です。ところが調べても、10年と書くページ、20年と書くページ、30年と書くページが並んでいて、答えが定まりません。理由は、メーカー自身が年数で説明していないからです。製品ページに書かれているのは、年数ではなく「柔らかさを長時間維持」といった性質のほうです。このページでは、なぜ年数で決まらないのか、割れ方から何が読み取れるのか、そして「外壁にシリコンはダメ」と言われる本当の理由を、メーカー公式の説明をもとに整理します。
このページの内容
- 🔑「何年もつ?」の答えが定まらない理由
- 割れ方で、原因の見当がつきます
- 放置すると、何が起きるのか
- 「外壁にシリコンはダメ」の本当の理由
- 塗ったあとに割れて見えるとき
- 1か所でも壊れているなら、全体を検討したほうがいい
- 費用は、壁の面積では決まりません
- よくある質問
- 参考にした情報
「何年もつ?」の答えが定まらない理由
先に、調べても答えが出ない理由のほうを書きます。理由は2つあります。
①メーカーが年数で説明していない
高耐久をうたう製品として名前が挙がることの多いオート化学工業の「オートンイクシード」を例にすると、公式の製品ページに書かれているのは次のような説明です。
メーカー公式の書き方
「経年で流出する可塑剤を配合せずに優れた柔軟性を実現」「経年による硬質化を防ぎ『柔らかさを長時間維持』」
「◯年もちます」ではなく、「なぜ硬くなりにくいのか」という説明のしかたです。年数を書けば分かりやすいのに書かないのは、もつ年数が、その家の条件で変わってしまうからです。同じ製品でも、日射の当たる南面と、ほとんど当たらない北面では傷み方が違います。
②規格の側にも「年数」ではなく「区分」がある
建築用のシーリング材には日本産業規格(JIS A 5758)があり、耐久性の区分が記号で示されています。建材メーカーが公開している技術資料には、区分として10030・9030・9030G・8020・7020・7010といった記号が並び、すでに市販されていないものもあると注記されています。主成分による区分も、シリコーン系・変成シリコーン系・ポリサルファイド系・アクリルウレタン系・ポリウレタン系・アクリル系と分かれています。
つまり「コーキング」とひとくくりに言っても、中身は等級も材質も違う製品の集まりです。何年もつかは、どの製品が入っているかで変わる——ここが答えの出ない理由です。
だから、聞くべきことが変わります
「何年もちますか」と聞いても、返ってくるのは相手の経験則です。かわりに「どの製品を使いますか」と聞いてください。製品名が答えられれば、そのメーカーの公式資料であなた自身が中身を確かめられます。見積書に製品名と色まで書いてくる会社が信用できるのは、この確認ができるからです(コーキングの打ち替えのページ)。
割れ方で、原因の見当がつきます
年数より、いま出ている状態のほうが役に立ちます。目地をよく見てください。どこが壊れているかで、話が変わります。
| 見えている状態 | 読み取れること |
|---|---|
| 目地の上にも塗料がのっている(先打ち) | 🔺見えているひびが、コーキングではなく塗膜のひびであることがよくあります。目地は動き続けるので、その上にのった塗膜のほうが先に割れます。中のコーキングは無事なことも多いので、これだけで「寿命だ」と判断しないでください |
| 表面に細かいひびが浮いている | 材料の表面が硬くなってきた段階。まだ目地の中はつながっていることが多いので、すぐに水が入る状態とは限りません |
| 目地の真ん中が縦に切れている | 材料そのものが伸びについていけなくなった状態。柔らかさが失われたサインです |
| 目地の端が壁から離れている | 材料と壁の接着が切れた状態。材料の寿命とは別に、下地の処理や接着剤(プライマー)の側の問題であることもあります |
| 痩せて、目地が凹んでいる | 中の成分が抜けて体積が減った状態。指で押すと硬く、弾力が戻りません |
| 指で押すと、まだ弾力がある | 表面だけの変化であることが多く、慌てる状態ではありません |
まず「目地は塗られているか」を見てください
見分け方は簡単です。目地の色が外壁と同じなら、その上に塗料がのっています(先打ち)。目地だけ色が違うなら、塗装のあとに打たれています(後打ち)。
塗られている場合、表面に見えているひびは塗膜が目地の動きについていけずに割れたものであることがよくあります。コーキングそのものが傷んでいるとは限りません。ここを混同すると、まだ働いている目地を「寿命だ」と早合点することになります。逆に、塗膜のひびの下でコーキングも切れていることもあるので、表面だけを見て決められないという意味でもあります。判断できるのは、目地に触れる位置まで上がって見た人だけです。
ここで大事なのは、「端が離れている」と「真ん中が切れている」は別の話だということです。前者は接着、後者は材料の柔らかさ。同じ「ひび割れ」でも、原因の在りかが違います。写真を撮っておいて、見に来た会社に「これは真ん中ですか、端ですか」と聞いてみてください。答え方で、目地を見ている会社かどうかが分かります。
放置すると、何が起きるのか
正確に書きます。目地のコーキングは、外壁材と外壁材のあいだをふさいでいる部分です。とくにサイディング(板を張って作った壁)では、板と板のすきまを埋めているのがこの材料で、雨を止める線の一部を受け持っています(サイディング外壁のページ)。
ですから目地が完全に切れている、端が浮いて口が開いている——この状態を長く放っておくのは勧められません。一方で、表面に細かいひびが浮いているだけの段階で、すぐ危険が迫っているわけでもありません。
境目は「開いているかどうか」です。ひびの向こうに黒い線が見える、すきまに紙が入りそう——そこまで来ていたら、幅を測るより先に見てもらってください。
目地だけを直すか、塗装と一緒にやるか
ここは判断が分かれるところですが、足場を組む工事は、まとめたほうが合理的です。目地の打ち替えにも塗装にも足場が要るので、別々にやると足場代を2回払うことになります。逆に、目地が切れているのに塗装だけを済ませると、水の入り口を残したまま表面だけを新しくすることになります。時期が近いなら、まとめて見積もりを取るほうが先に進みます。
「外壁にシリコンはダメ」の本当の理由
ホームセンターに行くと「シリコーンシーラント」が並んでいます。これを外壁の目地に使ってよいか——よく検索されている質問です。答えははっきりしていて、メーカー自身が公式に説明しています。
メーカー公式(シーリング材メーカーのよくある質問)
質問「シリコーンの上に塗装はできますか?」
回答「シリコーン系シーリング材には塗装できません。塗装する場合は、変成シリコーン系のシーリング材をお薦めします。(推奨塗料は水性塗料のみです)」
ここを読み違えないでください。シリコーン系が悪い材料だという話ではありません。耐水性の高さから浴室やガラスまわりで広く使われている材料です。問題は上に塗料がのらないこと——ただそれだけです。
- 塗装しない場所なら問題にならない浴室、キッチン、ガラスまわりなど。
- 塗装する外壁の目地では困るそこだけ塗料がはじかれる、あるいは付いてもすぐ剥がれる。次の塗り替えのときに、その目地が丸ごと問題になります。
だから「外壁にシリコンはダメ」と言われるわけです。性能の優劣ではなく、あとから塗るかどうかの話だと理解しておくと、売り場で迷いません。外壁で塗装を前提とする目地には、メーカーが薦めているとおり変成シリコーン系が使われます。つまりこれは「ダメな材料がある」という話ではなく、「材料の選び方」の話です。
「NB」と書いてあれば塗れる、ではありません
売り場やカタログで「NB」「ノンブリード」という表示を見かけます。ここも誤解されやすいところです。NBは「塗装できる」という意味ではありません。可塑剤(材料を柔らかく保つ成分)が染み出して塗膜を汚さない、という意味です。
実際、コニシの変成シリコーン系のNB製品を公式の商品情報で見ると、特長欄に「ノンブリードタイプ」と「塗装可」が別々の項目として並んで書かれています。2つは別の性質だということです。
ですから、選ぶときの見方はこうなります——「NBだから大丈夫」ではなく、「変成シリコーン系であること」と「塗装可と書かれていること」の両方を見る。
すでにシリコーン系で埋めてしまった場所があるなら
塗装を頼むときに必ず伝えてください。黙っていると、塗ったあとにその部分だけ不具合が出て、原因探しから始まることになります。基本は撤去して打ち直すことになりますが、それだけが方法ではありません。
塗料をはじく面に塗るための下塗り材として、「逆プライマー」と呼ばれる製品が市販されています。ただし使える相手が製品によって違い、公式に「純シリコーン系には使用不可」と明記しているものもあれば、シリコーン用をうたう製品もあります。自分で買って塗る前に、施工する会社に相談してください。ここを間違えると、上に塗った塗料ごとやり直しになります。
塗ったあとに割れて見えるとき
「塗り替えたばかりなのに、目地に細かいひびが見える」——これも多い相談です。原因はいくつかありますが、目地の上に塗料をのせる工法(先打ち)では、塗膜が目地の動きについていけずに細かいひびが入って見えることがあります。これは順番の選び方の話で、コーキングの打ち替えのページで扱っています。
もうひとつ、あまり知られていない条件があります。シーリングを打ってから塗装するまでの日数です。メーカーはこう説明しています。
メーカー公式(変成シリコーンに塗装する場合)
「水性塗料の場合、春・夏季・秋季は1日後、冬季は4日後から、いずれも7日以内を目安として施工を行ってください。表面の皮膜がある程度厚くなれば塗装可能ですが、その時間は湿度、温度によって異なります。油性塗料は、塗料の硬化不良を起こすことがありますので、使用をお薦めいたしません」
注目してほしいのは「7日以内」という上限があることと、季節で待つ日数が変わること、そして油性塗料は薦められていないことです。早すぎても遅すぎてもいけない——工程の組み方に条件があるわけです。
施主にできるのは、この工程を管理しろと言うことではありません。「うちは先打ちですか、後打ちですか」と一言聞いておくだけで十分です。答えられる会社は、その先の条件も分かって組んでいます。
1か所でも壊れているなら、全体を検討したほうがいい
「切れているのは1か所だけだから、そこだけ直せないか」——当然の発想です。ただ、目地は家を長持ちさせるうえで非常に重要な部分なので、ここは考え方を先に書きます。
どこかでトラブルが出ているなら、全体の打ち替えを前提に考える
理由は3つあります。①同じ時期に、同じ材料で、同じ職人が打った目地は、同じように寿命を迎えます——1か所で出たということは、ほかの場所でも進んでいる可能性が高いということです。②見えている場所がすべてではありません——地上から見える範囲と、足場から見える範囲は別物です。③少しだけの工事は、そもそも割高です——足場の費用は「1か所」でも「全部」でもほとんど変わりませんし、職人が現場に入る手間も同じようにかかります。1メートルあたりで見ると、部分補修のほうが高くつきます。ケチって部分補修で済ませ、数年後にまた足場を組むことになれば、なおさらです。
部分的な補修が成り立つのは、その場所固有の理由がはっきりしている場合です。何かをぶつけた、そこだけ後から手が入っている、といったケース。「年数で傷んできた」側の症状なら、1か所直しても翌年は隣が切れます。
業者が全体の打ち替えを勧めてきたとき、それは多くの場合、売りつけようとしているのではなく、この理屈です。もちろん確認はしてください——「いま切れているのはどこか」「打ち替えと増し打ちのどちらを想定しているか」を見積書に書いてもらえば、考え方が見えます。書き方の見分けはコーキングの打ち替えのページにまとめています。
費用は、壁の面積では決まりません
コーキングの費用を「30坪でいくら」で調べても答えが揃わないのは、この工事が壁の面積ではなく、目地の長さで積まれるからです。同じ坪数でも、板の割り付け方や窓の数が違えば、目地の総延長は変わります。
さらに、金額は打ち替え(古いのを取ってから入れ直す)か、増し打ち(上から足す)かでも変わります。手間がまるで違うからです。
ぬりごろは、見積書の中で施主が自力で妥当性を検証できるのは足場くらいだと考えています(見積書の内訳のページ)。シーリングは単価そのものより、「どこを、どちらの方法で、何メートル」が書かれているかで見てください。書かれていれば、他社の見積書と同じ土俵で比べられます。
よくある質問
外壁のコーキングは何年くらい持ちますか?
製品と環境で変わるため、年数では答えが出ません。メーカー自身も、製品ページで年数ではなく「柔らかさを長時間維持」といった性質で説明しています。規格の側にも耐久性の区分が記号で定められており、製品ごとに等級が違います。年数を聞くより、使う製品名を聞いて公式資料を見るほうが確実です。
外壁のコーキングがひび割れるまで何年かかりますか?
同じ理由で、年数では決まりません。ただし目安になる見方はあります——目地を指で押して弾力があるか、真ん中が切れていないか、端が壁から離れていないか。この3つは素人の目でも確認できます。
外壁にシリコンコーキングはダメですか?
塗装する外壁の目地には向きません。メーカーが公式に「シリコーン系シーリング材には塗装できません。塗装する場合は、変成シリコーン系のシーリング材をお薦めします」と説明しています。材料として劣っているという意味ではなく、上に塗料がのらないという性質の話です。浴室やガラスまわりでは適した材料です。
外壁のコーキングがひび割れた場合、放置してもいいですか?
開いているかどうかで分けてください。表面に細かいひびが浮いているだけなら、すぐに水が入る状態とは限りません。真ん中が切れて口が開いている、端が壁から浮いているなら、そこは雨を止める線が切れている状態です。早めに見てもらってください。
外壁塗装のあとにコーキングがひび割れるのはなぜですか?
目地の上に塗料をのせる工法では、塗膜が目地の動きに追従できず、細かいひびが入って見えることがあります。この場合、割れているのは塗膜であって、中のコーキングは無事なことも多い点に注意してください。また、シーリングを打ってから塗るまでの日数にも条件があり、メーカーは水性塗料で「春・夏季・秋季は1日後、冬季は4日後から、いずれも7日以内」を目安とし、油性塗料は硬化不良を起こすことがあるため薦めていません。まずは先打ちか後打ちかを確認してください。
コーキングとシーリング、呼び方が違うのはなぜですか?
現場ではほぼ同じ意味で使われています。呼び分けの経緯はコーキングの打ち替えのページで扱っています。見積書でどちらの言葉が使われていても、意味の違いを気にする必要はありません。
参考にした情報
- シーリング材メーカーの公式よくある質問(建築用)——「シリコーン系シーリング材には塗装できません。塗装する場合は、変成シリコーン系のシーリング材をお薦めします。(推奨塗料は水性塗料のみです)」/変成シリコーンへの塗装時期について「水性塗料の場合、春・夏季・秋季は1日後、冬季は4日後から、いずれも7日以内を目安として施工を行ってください。表面の皮膜がある程度厚くなれば塗装可能ですが、その時間は湿度、温度によって異なります。油性塗料は、塗料の硬化不良を起こすことがありますので、使用をお薦めいたしません」(セメダイン株式会社・2026年8月確認)
- オート化学工業「オートンイクシード」製品ページ(公式・「経年で流出する可塑剤を配合せずに優れた柔軟性を実現」「経年による硬質化を防ぎ『柔らかさを長時間維持』」/主な用途として窯業系サイディングの外装目地などを記載。製品ページに耐用年数の年数表記はありません・2026年8月確認)
- 建築用シーリング材の日本産業規格(JIS A 5758)の耐久性区分(10030・9030・9030G・8020・7020・7010/一部は現在市販されていない旨の注記あり)および主成分による区分(シリコーン系・変成シリコーン系・ポリサルファイド系・アクリルウレタン系・ポリウレタン系・アクリル系)——YKK AP株式会社が公開している技術基準資料より(2026年8月確認)。同資料には「シーリング材への表面塗装については事前確認することが必要である」との記載があります
- コニシ株式会社「ボンド 変成シリコンコークNBクイック」商品情報(公式・変成シリコーン樹脂系。特長欄に「ノンブリードタイプ」と「塗装可」が別項目として記載・2026年8月確認)
- 塗料をはじく面に塗るための下塗り材(逆プライマー)は複数のメーカーから市販されており、適用できる相手は製品ごとに異なります(公式に純シリコーン系・ブチル系への使用不可を明記する製品と、シリコーン用をうたう製品の双方が存在・2026年8月確認)
- 製品の色数・ノンブリード対応など、打ち替えを頼むときの確認事項の出典はコーキングの打ち替えのページに記載
最終確認日:2026年8月23日。製品の仕様・推奨条件は変更されることがあります。実際の施工にあたっては、使用する製品のメーカー公式資料と、建物を見た施工会社の判断をご確認ください。
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