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ALC外壁の塗装——「塗装が防水そのもの」だと協会が書いています
うちの外壁はALCらしい、と分かって調べ始めた方へ。ALC(軽量気泡コンクリート)は、業界団体であるALC協会が技術資料を公開している材料です。そこにはっきりと書かれている一文があります——「ALCパネルは吸水しやすい材料であることから、耐久性を維持させるために、外壁面には防水性のある仕上げが必要です」。つまりALCの家では、塗装は見た目のためのものではなく、防水そのものを担っているということです。このページでは、協会の技術資料の原文をもとに、塗り替えのときに実際に効いてくる注意点を整理します。
このページの内容
- ALCとは——長所と、弱点
- 🔑塗装が防水を担っています
- 下塗りを省くと、パネル自体が傷みます
- ALC特有の「溝」——塗厚が薄くなる場所
- 目地のシーリングに指定があります
- 両面を密閉しない——放湿性という性質
- 重い仕上げは避ける
- 見積書で確認する3点
- よくある質問
- 参考にした情報
ALCとは——長所と、弱点
ALCは工場で生産される板状の建材です。協会の技術資料には、その性格が両面から書かれています。
ALC協会の技術資料より(原文)
「ALCパネルは軽量・断熱・不燃・耐火など、優れた特長をもった建築材料です。その反面、表面強度が小さい・欠けやすい・吸水性が大きいなど配慮が必要な部分も併せもっています」
「ALCパネルは、面精度が高い・低収縮であるといった長所をもつ反面、水を吸いやすい・傷つきやすいといった弱点ももっています」
メーカー側の団体が、弱点を先に書いている——ここが読みどころです。軽くて断熱性があり、火に強い。ただし水を吸いやすく、表面が弱い。この性格が、塗り替えのときの注意点をほとんど決めています。
ALCは戸建てにもビルにも使われる材料です。住宅では、旭化成建材・クリオン・住友金属鉱山シポレックスといったメーカーの製品名が資料に挙げられています。ご自宅のALCがどの製品かは、新築時の書類か、建てた会社に確認できます(ハウスメーカーの外壁塗装)。
塗装が防水を担っています
ここがこのページでいちばん大事なところです。協会の技術資料は、外壁の設計上の留意点のいちばん最初にこう書いています。
外壁仕上げ・設計上の留意点(1)「外壁面には仕上げが必要」
「ALCパネルは吸水しやすい材料であることから、耐久性を維持させるために、外壁面には防水性のある仕上げが必要です」
読み替えると、ALCパネルそのものには、雨を止める力を期待していないということです。雨を止めているのは、表面の仕上げ(塗装)のほう。
この違いは大きいです。サイディングの壁なら、板そのものにある程度の防水性があり、切れやすいのは目地のほうでした(サイディング外壁の塗装)。ALCでは、面そのものを塗膜が守っています。だから協会は、維持管理についてもこう書いています。
「建物の機能と美観を永く保持するために、適切な外装仕上げ材の選定およびその耐久性能に見合った期間での診断とメンテナンスが必要です。維持管理が不充分ですと、ALCパネルの劣化を早めることになり建物の機能を阻害します」
「塗り替えないと見た目が悪くなる」ではなく「パネルの劣化が早まる」——書き方がはっきりしています。
下塗りを省くと、パネル自体が傷みます
塗り替えの見積書で、いちばん見えにくいのが下塗りの行です。ALCについては、協会が理由まで書いています。
施工上の留意点(3)「下地調整が必要」
「ALCパネルは多孔質で吸水性が大きいため、下地調整塗材が省略されたり、塗布が不十分で塗膜の連続性が確保されないと、ALCパネル自体の耐久性が低下する恐れがあるとともに、下地のキズ・不陸が隠蔽できないなどの不具合が生じる場合があります」
「塗膜の連続性」という言葉に注目してください。塗膜がつながっていない=どこかに切れ目がある状態だと、そこから水を吸います。ALCは多孔質(細かい穴だらけ)なので、普通に塗っただけでは吸い込まれて塗膜が痩せます。だから下地調整の材料を先に入れて、面を作ってから塗る。
そして同じ資料には、こうも書かれています——「下地が見えるような薄吹きは避けて下さい」。
つまりALCの塗り替えでは、上塗りの製品名より先に「下塗りに何を使うか」が効きます。見積書に上塗りの銘柄しか書かれていないなら、下塗りの材料名と、何回入れるかを聞いてください(塗料の平米単価)。
ALC特有の「溝」——塗厚が薄くなる場所
ALCの壁を近くで見ると、パネルの継ぎ目に沿って面取りされた溝があります。意匠として溝を彫ったパネルもあります。この溝について、協会は名指しで注意しています。
施工上の留意点(5)
「目地面取り部および意匠パネル化粧溝部は塗厚の確保に注意が必要。仕上塗材仕上げの場合、目地部および意匠パネルの意匠溝部は設計膜厚が確保しにくいので、施工の際に塗厚の確保に注意が必要です」
ローラーは平らな面には乗りますが、溝の底には乗りにくい。その結果、溝のところだけ塗膜が薄くなる——そしてALCでは、塗膜が薄い=そこだけ防水が弱いということになります。
施主にできる確認は簡単です。塗り替えのあと、溝の底まで色が乗っているかを近くで見てください。前の色が透けて見えるなら、そこは薄い可能性があります。
目地のシーリングに指定があります
ALCはパネルを並べて壁を作るので、目地の数が多いのが特徴です。協会は目地についても2点、明確に書いています。
- ①雨がかりの目地には充填する「目地に水密性、気密性を確保させるため、ALCパネル相互間およびALCパネルと他部材との取合い部にはシーリング材を充填して下さい」。
- ②材料に指定がある「ALCパネルに使用するシーリング材は、モジュラスの低いものを使用する」——モジュラスとは、伸ばしたときの張りの強さのこと。硬いシーリング材を使うと、動いたときにALCの側が負けて欠けるためです(協会は表面強度が小さいと書いています)。
- ③耐久性の要求もある同じ項に「耐久性があり経年劣化が少ない」ものを使うようにと書かれています。
つまりALCの目地は「何でもいいから詰めればいい」ではありません。目地そのものの見方(真ん中が切れているのか、端が剥がれているのか)はコーキングがひび割れたのページに、打ち替えの頼み方はコーキングの打ち替えにまとめました。
両面を密閉しない——放湿性という性質
もう一つ、知っておくと納得できる注意があります。
設計上の留意点(3)「放湿性を考慮」
「ALCパネルは、放湿性、通気性があるのでALCパネル両面を密閉する仕上げは避けて」ください、という趣旨が記載されています。
ALCは湿気を通す材料です。その両面を、湿気を通さない材料で塞いでしまうと、中に入った水分の逃げ場がなくなります。逃げ場を失った水分は、塗膜を内側から押し上げます——これは基礎の塗装で起きる「膨れ」とまったく同じ理屈です(基礎の塗装のページ)。
だから「防水性の高い塗料を厚く塗れば塗るほど安心」ではありません。雨は止めるが湿気は通す、という性質のバランスで選ばれています。塗料の選定を業者任せにするとしても、「なぜこの塗料を選んだか」は聞いておく価値があります。
重い仕上げは避ける
塗り替えのついでに、タイルを張りたい・石調にしたいと考える方がいます。ALCについては、協会が警告として書いています。
「ALCパネルは表面強度が低いため、石張り、大型タイル、モルタル塗などの重い仕上げは避けて下さい」。
理由は重さではなく、表面強度です。ALCの表面は、重いものを保持し続けられるほど強くありません。「うちはALCですが、この仕上げはできますか」と聞いたときに、この話が出てくる会社なら、材料を分かっています。
なお、吸水しにくいように改良されたALCパネルもありますが、資料には「低吸水性パネルも一般パネルに準じた仕上げが必要」と書かれています。「吸水しにくいタイプだから塗らなくていい」にはならないということです。
見積書で確認する3点
ここまでを、確認できる形にまとめます。
- 1下塗りの材料名と回数が書いてあるかALCでいちばん効くのがここです。「下地調整塗材が省略されると、ALCパネル自体の耐久性が低下する恐れがある」と協会が書いています。上塗りの銘柄だけの見積書なら、下塗りを聞いてください
- 2目地のシーリングが「打ち替え」か「増し打ち」かALCは目地が多い壁です。どちらを何メートル分やるのかが書かれていれば、他社と同じ土俵で比べられます(コーキングの打ち替え)
- 3溝や面取り部の塗厚について説明があるか聞かれて答えられる会社は、ALCを塗ったことがある会社です。「溝の底まで色が乗るように塗ります」という趣旨の答えが返ってくるかを見てください
よくある質問
ALC外壁は塗装しないとどうなりますか?
ALC協会は「維持管理が不充分ですと、ALCパネルの劣化を早めることになり建物の機能を阻害します」と書いています。ALCは吸水しやすい材料で、雨を止めているのは表面の仕上げ(塗装)です。見た目の問題ではなく、パネル自体の耐久性の問題として扱われています。
ALCの塗り替えは何年ごとですか?
年数は仕上げ材によって変わります。協会も「適切な外装仕上げ材の選定およびその耐久性能に見合った期間での診断とメンテナンス」という書き方で、一律の年数を示していません。使われている塗料が分かれば、メーカーの公表値から見当がつきます(塗料の平米単価)。判断は年数より症状のほうが確実です(チョーキングとひび割れ)。
ALCにタイルやモルタルで仕上げられますか?
協会は避けるように書いています——「ALCパネルは表面強度が低いため、石張り、大型タイル、モルタル塗などの重い仕上げは避けて下さい」。理由は重さではなく、表面強度です。
吸水しにくいALCなら、塗装しなくていいですか?
いいえ。資料には「低吸水性パネルも一般パネルに準じた仕上げが必要」と明記されています。
ALCの目地は普通のコーキングでいいですか?
材料に指定があります。協会は「ALCパネルに使用するシーリング材は、モジュラスの低いものを使用する」としています。硬い材料だと、動いたときに表面強度の低いALC側が欠けるおそれがあるためです。
うちがALCかどうか、どう確かめますか?
新築時の書類か、建てた会社に聞くのが確実です。見た目の手がかりとしては、50cm前後の幅で縦(または横)に目地が並んでいること、目地に沿って面取りの溝があることなどがあります。ただし断定は難しいので、現地調査に来た会社に「これはALCですか」と聞くのがいちばん早いです。
参考にした情報
- ALC協会 技術資料「ALCパネルの仕上げおよび防水(第9版)」(公式PDF・2026年8月確認)——「ALCパネルは軽量・断熱・不燃・耐火など、優れた特長をもった建築材料です。その反面、表面強度が小さい・欠けやすい・吸水性が大きいなど配慮が必要な部分も併せもっています」/「ALCパネルは、面精度が高い・低収縮であるといった長所をもつ反面、水を吸いやすい・傷つきやすいといった弱点ももっています」/外壁仕上げ 設計上の留意点(1)「ALCパネルは吸水しやすい材料であることから、耐久性を維持させるために、外壁面には防水性のある仕上げが必要です」/同(2)「ALCパネルは表面強度が低いため、石張り、大型タイル、モルタル塗などの重い仕上げは避けて下さい」/同(3)放湿性・通気性があるためALCパネル両面を密閉する仕上げは避ける/施工上の留意点(3)「ALCパネルは多孔質で吸水性が大きいため、下地調整塗材が省略されたり、塗布が不十分で塗膜の連続性が確保されないと、ALCパネル自体の耐久性が低下する恐れがあるとともに、下地のキズ・不陸が隠蔽できないなどの不具合が生じる場合があります」/同(4)「下地が見えるような薄吹きは避けて下さい」/同(5)「目地面取り部および意匠パネル化粧溝部は塗厚の確保に注意が必要。仕上塗材仕上げの場合、目地部および意匠パネルの意匠溝部は設計膜厚が確保しにくいので、施工の際に塗厚の確保に注意が必要です」/同(7)「低吸水性パネルも一般パネルに準じた仕上げが必要」/シーリング材 設計上の留意点(1)「目地に水密性、気密性を確保させるため、ALCパネル相互間およびALCパネルと他部材との取合い部にはシーリング材を充填して下さい」/同(2)「ALCパネルに使用するシーリング材は、モジュラスの低いものを使用する」/「建物の機能と美観を永く保持するために、適切な外装仕上げ材の選定およびその耐久性能に見合った期間での診断とメンテナンスが必要です。維持管理が不充分ですと、ALCパネルの劣化を早めることになり建物の機能を阻害します」
- 同資料に住宅用ALCパネルの例として挙げられているメーカー・製品=クリオンLAパネル(クリオン株式会社)/シポレックスドライ(住友金属鉱山シポレックス株式会社)/ヘーベルSIパネル(旭化成建材株式会社)
- 塗膜の膨れと透湿性の関係は基礎の塗装のページ、シーリングの劣化の見方はコーキングがひび割れたのページの出典を参照
最終確認日:2026年8月23日。技術資料は改定されることがあります。ご自宅の外壁がALCかどうか、どの製品かは、新築時の書類および建築した会社にご確認ください。実際の仕様は、建物を見た施工会社の判断によります。
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