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サイディング外壁の塗装——4種類の見分け方と、板だけを見ていると合わなくなる話
サイディングの塗り替えを調べ始めると、塗料の話ばかりが出てきます。ところが実際の工事は「壁に色を塗る工事」ではありません。板の面、板と板のあいだの目地、留めている釘やビスの頭、反りや浮き——このあたりをまとめて手当てして、はじめて「塗り替えた」ことになります。だから見積書の行が多い。この記事は各論に入る前の全体の地図です。細かい話は、その都度リンク先へ送ります。
このページの内容全10項目
板と目地を確認——見積書と現地の説明を結びます
サイディングの家は「板」と「目地」でできています
同じ「板を張った壁」でも、ALC(軽量気泡コンクリート)はまったく別の材料です。ALCは板そのものが水を吸うため、協会が「外壁面には防水性のある仕上げが必要」と明記しています——ALC外壁の塗装のページにまとめました。
モルタルの壁が「継ぎ目のない一枚もの」だとすれば、サイディングは板を並べて張った壁です。板と板のあいだには継ぎ目ができるので、そこはゴム状のシーリングで埋めてあります。板は釘やビスで留まっていて、その頭も壁の表に出ています。
つまりサイディングの外壁は、ひとつの素材ではなく、複数の部材が組み合わさった面です。ここが分かっていると、見積書の見え方が変わります。行がいくつも並んでいるのは水増しではなく、手当てする相手がそれだけあるからです。逆に「外壁塗装一式」で一行にまとまっている見積書は、安いのではなく何をするのかが読めないだけ、ということになります。
| どこ | 塗り替えのときに、そこで何が起きるか |
|---|---|
| 板の面 | 洗って、乾かして、下地をととのえてから塗ります。この記事で言う「塗装」は、実はここだけの話です |
| 板と板の目地 | シーリングを入れ直すか、上から足すか。塗装とは別の材料・別の職人技の領域です(→コーキングの打ち替え) |
| サッシまわり | ここもシーリングです。目地と同じ扱いにできない事情がある場所です |
| 釘・ビスの頭 | 錆びていたり浮いていたりすれば、そこも処理の対象になります(この記事の後半で扱います) |
| 板そのものの反り・浮き・割れ | 補修して塗れるのか、板を替える話になるのか。ここだけは塗装の外側に出ることがあります(→塗装では戻れない段階) |
| 軒天・雨樋・水切りなど | 壁とは材料が違うので、塗料も工程も別立てになります(→付帯部の塗装) |
この表を頭に入れておくと、現地調査のときに業者がどこを見ているかが分かります。板の面だけ眺めて帰る人と、目地を指で押し、板の継ぎ目や釘の頭をのぞき込む人がいます。何を見ているかは、たいてい態度に出ます。
種類を見分ける——見積書と現地の説明を結びます
サイディングは4種類——あなたの家はどれですか
そもそも「うちの外壁はサイディングなのか」から確かめたい方へ。いちばん確実なのは厚さで、窯業系サイディングは14mm以上、ALCパネル(薄形)は35mm以上——2倍以上違います(外壁の種類の見分け方)。定規1本で判定できます。
「サイディング」と一口に言っても、材料が4種類あります。そしてどれかによって、塗り替えでやることが変わります。まず、どれが多いのかを数字で見てください。
| 外壁材 | 戸建住宅でのシェア |
|---|---|
| 窯業系サイディング | 80.1% |
| モルタル | 7.1% |
| アルミサイディング | 5.4% |
| スチールサイディング | 4.5% |
| ALC | 0.5% |
| 木質 | 0.4% |
| その他 | 2.0% |
日本窯業外装材協会(NYG)掲載「戸建住宅市場における外壁材素材別シェア」。出典は日本サッシ協会 2026年3月版 住宅用建材使用状況調査。これは新しく建つ家で使われた建材の割合で、いま塗り替えの時期を迎えている築10〜20年の家の構成とは、多少ずれます。
8割が窯業系です。——ですから「うちはサイディング」と言われたとき、まず疑うべきは窯業系。金属系(アルミ+スチール)を足しても9.9%、樹脂系は「その他」に入る程度の数です。
自分の家がどれか、道具なしで確かめる方法
- 縦のコーキングの線があるか——窯業系は、板と板のつなぎ目に必ずコーキング(目地)が入ります。これが1〜2mおきに縦に走っていれば、まず窯業系です
- 磁石をあてる——スチールサイディングなら磁石が付きます。アルミと窯業系は付きません(釘やビスの頭には付くので、板の真ん中で試してください)
- 指の背で叩く——窯業系は重く鈍い音、金属系は軽く高い音がします。厚みも違い、窯業系は14mm以上が主流です(厚みと留め方のページ)
種類によって、塗り替えで変わること
| 種類 | 塗り替えで、いちばん効くところ |
|---|---|
| 窯業系 | 目地のコーキング打ち替えが工事の半分です。塗装だけして目地を放置すると、そこから水が入ります(打ち替えのページ) |
| 金属系(スチール・アルミ) | 目地が少ないぶんコーキングは減り、代わりに錆と傷が主役になります(金属サイディング) |
| 樹脂系 | 色が素材そのものなので、塗り替えを前提にしていません。日本では数が非常に少ない材料です |
| 木質系 | 木は塗料の吸い込みが違い、塗り替えの周期も考え方も別になります(木部の考え方) |
もうひとつ、材料を確かめるべき理由があります。——窯業系の中でも2000年代以降に増えた「光触媒」「無機系」などの表面処理をした板は、そのままでは塗料がのりません(難付着サイディング)。柄をそのまま残せるかどうかも、この材料次第です(クリヤー塗装)。
症状から判断——見積書と現地の説明を結びます
見る順番——迷ったら、この並びで考える
調べることが多すぎて手が止まる、というのがこの外壁材のつらいところです。順番を決めてしまえば楽になります。
サイディングの家で、確かめる順番
- いま出ている症状を見る粉が出ているのか、剥がれているのか、ひびが入っているのか。急ぐ症状と、計画を立て始める段階の症状は別物です。見分け方はチョーキングとひび割れのページにまとめています。
- 目地のシーリングを見る指で押して、硬い・痩せている・切れている。板の面より先に傷むことがある部分で、ここが切れていると塗膜が無事でも水は入ります。打ち替えと増し打ちの使い分けはシーリングのページへ。
- 板の種類を確かめる汚れが付きにくい処理をした板は、下塗りを合わせないと早く剥がれることがあります。塗れない外壁という意味ではありません。確かめ方は難付着サイディングのページにあります。
- 塗装で済む段階かを、そこではじめて考える①〜③を見たうえでの判断です。反りや割れが多いと、塗るより先に板をどうするかの話になります。分かれ目は塗装では戻れない段階のページで扱っています。
サイディングの壁は、板の裏に空気が通っています
ここを知っておくと、あとの判断がぜんぶ楽になります。サイディングは、防水シートの上に「胴縁」という細い木を打ち、その上から板を張ります。だから板の裏には数センチのすき間があり、そこを空気が通っています。外壁通気構法といいます。
どう作るかは、国土交通省の公共建築木造工事標準仕様書(令和7年版)に定められています。10.8.2「外壁通気構法下地」から、施主にも意味のある行を抜き出します。
| 決めごと | 仕様書の定め(原文) |
|---|---|
| どこからどこまで通すか | 「通気層は、土台上部水切り箇所から、壁面上部又は小屋裏換気孔まで通気できるように設ける」 |
| 上下は開けておく | 「通気層の上部及び下部が必ず開放されるようにする」 |
| 壁の下端のすき間 | 「外壁の下端は通気を確保するため、10〜15mm程度の高さの通気口を設ける」 |
| 胴縁の向き | 「通気胴縁工法は、原則として、縦通気胴縁とし」 |
| 胴縁の間隔 | 「通気胴縁の間隔は、500mm以下とし」 |
| 窓まわり | 「建具回りに30mm程度の通気のための隙間を確保し、通気胴縁を取り付ける」 |
| 虫・小動物 | 「通気層への小動物及び虫侵入防止措置を行う」 |
| 下の防水シート | 「JIS A 6111(透湿防水シート)Bによる透湿防水シート処理をした表層に、通気層を設ける場合に適用する」 |
出典=国土交通省「公共建築木造工事標準仕様書 令和7年版」10.8.2。官庁施設等の木造工事に用いる標準的な仕様で、民間の戸建てにそのまま適用されるものではありません。ただし通気構法の考え方は共通です。
この表から、塗り替えのときに効いてくることが3つ出てきます。
- 壁の下のすき間は、ふさいではいけません。「10〜15mm程度の高さの通気口」と書かれているとおり、あれは施工不良ではなく通気層の入口です。「すき間が空いているので埋めておきますね」と言われたら、止めてください(外壁と水切りの隙間のページ)。
- 雨水が入っても、通気層が排水路になります。目地から入った水は板の裏を伝って下へ抜ける前提です。だから目地のシーリングだけが防水の全部ではありません。逆に言えば、通気を止めると水の逃げ道がなくなります。
- 板を留めている胴縁は、原則として縦です。縦胴縁なら板は横に張ることになります。うちが縦張りなら胴縁は横向き(+水を抜くための工夫)になり、納まりが変わります(縦張りと横張りのページ)。
直張り(通気層なし)の家もあります。通気構法が広く使われるようになる前に建てられた家では、防水シートの上に直接サイディングを張っていることがあります。この場合、板が湿気を含んだまま塗ると、塗膜が膨れることがあります。築年数が古く、水切り部分にすき間が見当たらない場合は、「うちは通気構法ですか」と最初に聞いてください。答えによって、下塗り材の選び方が変わります。
目地の材料は「このあと塗るかどうか」で変わります
もうひとつ、同じ仕様書に見落とされやすい表があります。シーリング材の種類を、被着体(何に打つか)と仕上げの有無で決めている表です。
| 外壁材 | 仕上げ(塗装) | シーリング材の種類 |
|---|---|---|
| 窯業系サイディング | 仕上げなし | MS-1 変成シリコーン系 |
| 仕上げあり | PU-1 ポリウレタン系 | |
| 複合金属サイディング | — | MS-2 変成シリコーン系 |
| ALC | 仕上げなし | MS-2 変成シリコーン系 |
| 仕上げあり | PU-2 ポリウレタン系 |
窯業系サイディングの行を見てください。塗るか塗らないかで、材料そのものが変わります。——シリコーン系は塗料をはじくため、上から塗る前提の目地には使わない、という考え方です。
だから、目地の打ち替えは「このあと塗りますか」を決めてから発注する工事です。先に目地だけ打ち替えて、あとから塗ることになった——という順番だと、材料が合っていない可能性が出てきます。見積書に「シーリング打ち替え」とだけ書かれていたら、何を使うのかを聞いてください(コーキングの打ち替えのページ)。
塗装と同時にやる場合も、打ってから塗る(先打ち)か、塗ってから打つ(後打ち)かで仕上がりと寿命が変わります。そこは打ち替えのページで扱いました。
釘やビスの頭、反り、浮き——「板の留まり方」も工事の対象
板の面ばかり見ていると見落とすのが、板がどう留まっているかです。ここは施主が工法の良し悪しを判断する話ではありません。見るべきなのは、もっと単純なことです。
釘やビスの頭が錆びていないか、浮いていないか。頭が錆びていれば、その錆は上から塗ってもいずれ表に出てきます。頭が浮いていれば、そこは板が動いているということです。どちらも塗る前に手当てする対象で、そのまま塗料をかぶせて終わらせる作業ではありません。
板そのものについても同じです。継ぎ目のところで板の端が反り上がっている、指で押すと沈む、浮いて隙間ができている。これは離れて眺めても分かりません。壁沿いに歩いて、板の端を横から見るのが早いです。見つけたら写真を撮っておくと、現地調査で話が通じやすくなります。
ここは「塗る/塗らない」の外側にある話です
反りや浮きが少しなら、留め直しと補修をしたうえで塗る、という段取りになります。いっぽう、広い範囲で起きているなら、塗装の見積もりだけを比べていても答えは出ません。板をどうするかが先に来るからです。現地調査で「その板は替えたほうがいい」と言う会社は、仕事を減らしているのではなく、正直に見ています。
見積もりを受け取ったら、金額の前にこのあたりを聞いてみてください。
- 範囲この見積もりには、壁の面以外にどの部位が入っていますか?目地・サッシまわり・付帯部が入っているかどうかで、金額の意味がまるで変わります
- 留め具釘やビスの頭で、錆びていたり浮いていたりする箇所はありましたか?見ていれば具体的に場所を答えられます。見ていなければ、そこで分かります
- 板の状態反っている板・浮いている板はありましたか。あるとしたら、どう扱いますか?「塗っておけば大丈夫」で終わる説明かどうかを、ここで確かめられます
下塗り・中塗り・上塗りは、役割が違います
「三回塗り」という言葉は見積書にもよく出てきますが、同じ塗料を三回かけている工事ではありません。役割の違う塗料を順番に重ねています。
- 下塗り——壁と塗料をつなぐ役です。色をつけるためではなく、上に乗る塗料を密着させるために塗ります
- 中塗り・上塗り——ここが防水と色を担う層です。仕上がりの見た目も、雨をはじく力も、この二層が持っています
窯業系サイディングでこの下塗りが効いてくるのは、板がセメントを固めたもので、塗料を吸い込む性質があるからです。傷んだ壁ほどよく吸います。下塗りを省いたり、薄く延ばしたりすると、上に塗った塗料が壁に吸われてしまい、塗った直後の見た目は同じでも、持ちが変わります。
ひとつ注意を。モルタル外壁でよく使われる弾性塗料(ひび割れに追従する柔らかい塗料)は、窯業系サイディングでは塗膜の膨れの原因になるとされ、一般に避けられています。熱がこもりやすい板の上では、柔らかい塗膜の内側に水蒸気がたまりやすいためです。もし提案されたら、「この板に弾性を使う理由」を確認してください。素材による使い分けはモルタル外壁のページにも書いています。同じ膨れの理屈はブロック塀ではさらに強く働きます。
やっかいなのは、この差が引き渡しの日には見えないことです。だから施主にできるのは、工事中に見張ることではなく、見積書の段階で下塗りが独立した行として立っているかを見ておくことになります。上塗りの塗料名だけ書かれていて下塗りの行がない見積書は、聞けばたいてい埋まります。
ただし「聞けば埋まる」のは、比べる相手がいるときです。1社しか呼んでいないと、その見積書が普通なのかどうかも分かりません——何社かの見積書を並べると、下塗りの行がある会社とない会社に分かれます。その差は、金額より先に見る場所です。
DIYとの線引きを、正直に書きます
「サイディング 塗装」で調べていると、塗料そのものを買おうとしている方の情報が混ざってきます。自分でやろうと考えるのは、けちだからではなくまっとうな発想です。そのうえで、線引きだけは正直に書きます。
分かれ目は技術ではなく足場です。二階建ての外壁を塗るには、上まで届く安定した足場が要ります。はしごに乗って手を伸ばす姿勢では、塗る前に体がもちません。足場が必要な高さに上がる時点で、そこは職人の領域——これは腕前の話ではなく、装備と安全の話です。
いっぽうで、手の届く範囲の小さな補修まで否定するつもりはありません。物置の扉、門柱まわり、下屋の小さな塗り直し。こういうものは自分でやって差し支えありませんし、実際にやってみると塗る前の下ごしらえがいかに面倒かが体で分かります。その感覚は、業者の説明を聞くときにそのまま役に立ちます。
自分でやるなら、いちばん割に合うのは「洗うこと」より「見ること」です
高圧洗浄機での自主洗浄は、傷んだ目地やサッシまわりに強く当てると、かえって水を入れてしまうことがあります。手をかけるなら、晴れた日に家を一周して、板の端・目地・釘の頭を写真に撮っておくほうが、はるかに効きます。同じ写真を全社に見せられるので、見積もりの条件が揃います。
「サイディングは塗装不要」という説の整理
検索していると、「サイディングは塗装しなくていい」という説明に出くわします。混乱するところなので、切り分けておきます。
この説が当てはまるのは、素材そのものに色があって、素材自体が水に強いタイプの外壁です。タイル張りや、色を練り込んだ樹脂系の外壁材がこれにあたります。塗って色をつける必要がないので、「塗装不要」で筋が通っています。
いっぽう、いま日本の戸建てで多い窯業系サイディングは事情が違います。セメントを固めた板なので、素のままでは水を吸います。雨を止めているのは板そのものではなく、表面の塗膜と目地のシーリングです。だからこの外壁では、塗装は化粧ではなく防水にあたります。
ようするに「サイディング」とひとくくりにされているせいで、別の素材の話が混ざっているだけです。自分の家の板がどちらなのか分からなければ、業者に「うちの外壁は何ですか」と聞けば即答してもらえます。塗らなくていい家の条件はこちらのページに一覧でまとめてあります。
お住まいの外壁が窯業系ではなく金属(ガルバリウム)の場合は、手入れの考え方がまるごと違うのでガルバリウム外壁のページをどうぞ。板の傷みが進んでいて「塗装ではなく張り替えかカバー工法か」を考える段階なら、判断の分かれ目をカバー工法(重ね張り)のページに、板を入れ替える側の話をサイディングの張り替えのページにまとめています。どちらも下地の状態で決まります。
サイディングで見るべきなのは、板そのものより目地とコーキング——ここまで書いてきたとおりです。そしてこの部分は、見積書での扱いが会社によっていちばん割れる場所でもあります。何社かの見積書を並べて、コーキングが打ち替えなのか増し打ちなのか、何メートル分書かれているかを比べてください。ここが揃っていない見積もりは、そもそも同じ工事を指していません。
よくある質問
サイディングの上から塗れますか?
窯業系サイディングは、基本的に塗り替えられる外壁材です。ただし考える順番としては、「塗れるかどうか」より「どの下塗りで塗るか」が先に来ます。汚れの付きにくい処理がされた板だと、下塗りを合わせないと早く剥がれることがあるからです(→難付着サイディング)。もうひとつ、板の反りや割れが多い壁では、塗る前に板をどうするかの話が入ります(→塗装では戻れない段階)。
張り替えと塗装、どちらが安いですか?
金額を並べる前に、そもそも中身がまったく違う工事だと知っておいてください。塗装はいまの板を残して表面と目地を手当てする工事、張り替えは板を外して新しい板を張る工事です。後者には撤去と処分、そして新しい外壁材そのものが加わります。だから比べる意味があるのは値段の大小ではなく、いまの壁が塗装で済む段階かどうかのほうです。工事ごとの内訳の考え方は相場・費用ガイドにあります。
新築から何年くらいで塗ればいいですか?
年数では決まりません。同じ時期に建った同じ形の家でも、日の当たり方と前回の仕上げ方で進み方が変わるからです。判断材料になるのは、壁に出ている症状のほうです。何を見ればいいかはチョーキングとひび割れのページに、症状ごとの急ぎ具合まで含めて書いています。
サイディングの壁の下にあるすき間は、ふさいでいいですか?
ふさいではいけません。公共建築木造工事標準仕様書は「外壁の下端は通気を確保するため、10〜15mm程度の高さの通気口を設ける」「通気層の上部及び下部が必ず開放されるようにする」と定めています。あのすき間は施工不良ではなく板の裏を通る空気の入口です(水切りの隙間のページ)。
サイディングの目地に使うシーリング材は何ですか?
そのあと塗装するかどうかで変わります。同仕様書の表では、窯業系サイディングは仕上げなし=MS-1 変成シリコーン系/仕上げあり=PU-1 ポリウレタン系と分けられています。シリコーン系は塗料をはじくためです。目地の打ち替えは「このあと塗るか」を決めてから発注する工事になります(目地の材料の章)。
うちが通気構法かどうかは、どう確かめますか?
壁の下端に10〜15mm程度のすき間があるかが目安です。通気構法なら土台の水切り部分に通気口があり、小屋裏の換気孔まで空気が抜けます。築年数が古く、すき間が見当たらない場合は直張りの可能性があります。直張りだと塗膜が膨れることがあるので、見積もりのときに「うちは通気構法ですか」と聞いてください(通気構法の章)。
あわせて読みたい
窯業系サイディングの後悔を5つに分ける
協会の維持管理スケジュール(塗り替え7〜12年)とJISの性能表で確かめました
サイディングの反り
反る向きで原因が違います
水性セラミシリコン
「弾性」の220円は、長持ち代ではありません
チョーキングと、ひび割れ
①いま出ている症状の見分け方。急ぐ症状と、急がない症状
コーキング(シーリング)の打ち替え
②目地の工事。打ち替えと増し打ち、色も製品も選べる話
難付着サイディングとは?
③うちの板がそうかどうか。施主にできる確認は2つだけ
外壁塗装は意味ない?しないとどうなる?
④塗装で済む段階か。塗らなくていい家の条件もこちら
付帯部の塗装
軒天・雨樋・水切り。壁とは別の材料で、別の見積もり行になる部分
相場・費用ガイド
見積書の内訳の読み方と、安すぎる見積もりの正体
参考にした情報
- 一般社団法人 日本窯業外装材協会(NYG)「統計データ/戸建住宅市場における外壁材素材別シェア」(出典:日本サッシ協会 2026年3月版 住宅用建材使用状況調査)
- 窯業系サイディングメーカー各社が公開している製品情報・施工に関する資料
- 塗料メーカー各社が公開している下塗材・上塗材の適用下地および塗装工程に関する資料
- 塗料の販売・調色に携わった経験のある実務者への取材
記載の内容は一般的な考え方です。ご自宅の外壁材の種類、板や目地の傷み具合、補修が必要かどうかの判断は、建物を直接見た業者にご確認ください。最終確認日:2026年8月20日。
今回あらたに確認した出典(2026年9月10日)=国土交通省「公共建築木造工事標準仕様書 令和7年版」——10.8.2 外壁通気構法下地「通気層は、土台上部水切り箇所から、壁面上部又は小屋裏換気孔まで通気できるように設ける」「通気胴縁の施工は、土台水切部から軒天井部、小屋裏換気口等にかけて通気層を確保し、かつ、通気層の上部及び下部が必ず開放されるようにする」「外壁の下端は通気を確保するため、10〜15㎜程度の高さの通気口を設ける」「通気胴縁工法は、原則として、縦通気胴縁とし」「通気胴縁の間隔は、500mm以下とし」「開口部周囲において、建具回りに30mm程度の通気のための隙間を確保し、通気胴縁を取り付ける」「通気層への小動物及び虫侵入防止措置を行う」「JIS A 6111(透湿防水シート)Bによる透湿防水シート処理をした表層に、通気層を設ける場合に適用する」、ならびにシーリング材の種類の表(窯業系サイディング=仕上げなしMS-1 変成シリコーン系/仕上げありPU-1 ポリウレタン系、複合金属サイディング=MS-2 変成シリコーン系、ALC=仕上げなしMS-2/仕上げありPU-2 ポリウレタン系)の各記載。同仕様書は官庁施設等の木造工事に用いる標準的な仕様で、民間の戸建て工事にそのまま適用されるものではありません。