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サイディングの金具留めと釘打ち——厚みで決まり、塗り替えの選び方まで変わります

サイディングが釘で留まっているのか、金具で引っ掛かっているのか。これは好みで選ばれたものではなく、板の厚みで決まっています。2008年以降の家なら、釘打ちは14mm、金具留めは15・16・18mm。そして——ここが塗り替えを考えている方に関係するところですが——金具留めの板は、工場でクリヤー塗装されていることが多いのです。つまり留め方が分かると、塗り替えで選べる塗料まで見当がつきます。見分け方から、施主が自分で確認できる数値まで、順番に書きます。

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このページの内容

厚みで決まっています

金具留めか釘打ちかは、施主が選ぶものではありません。使う板の厚みで、留め方が決まります。

建てた時期厚み留め方
2008年より前の新築12mm釘打ち
2008年以降の新築14mm釘打ち
15mm・16mm・18mm金具留め

この区分は、窯業系サイディング材メンテナンス技術研究所が公開している資料の記載によります。2008年が境目で、それ以前の12mmから、以降は14mm以上が主流になりました。

厚い板は重くなります。重い板を釘で打ち抜いて留めるのは無理があるので、板の裏側を金具で引っ掛ける形になります。それが金具留めです。

自分の家がどちらか、見れば分かります

判別はかんたんです。外壁の表面に、釘やビスの頭が見えるかどうか。

  • 頭が見える(小さな点が規則的に並んでいる)→ 釘打ちの可能性が高い
  • 何も見えない→ 金具留めの可能性が高い

釘打ちの場合、板の表面から釘を打ち抜いて、下地の胴縁に固定します。頭は塗装で隠されていますが、近づいて斜めから見ると、へこみとして分かることが多いです。

金具留めの場合、板の上下の実(さね)の部分を金具で挟んで固定するので、表面には何も出ません。だから見た目がすっきりします。

あわせて、板が縦に張られているか横に張られているかも見ておいてください。金具留めは横張りが基本です。

釘の位置は「端から20〜30mm」が基準です

釘打ちの家で、確認できることがあります。釘を打つ位置には基準があります。

窯業系サイディング材メンテナンス技術研究所が挙げる、新築時の工事方法の判定項目より

「釘打ちの位置=端部より20〜30mm離れている」

板の端ぎりぎりに釘を打つと、そこから割れます。窯業系サイディングはセメントを主原料にした板なので、端は弱いのです。だから距離を取ります。

そしてこの距離は、外から見て確認できます。釘の頭が見える家なら、板の継ぎ目から釘までの距離を目で測ってみてください。指1本半くらい(2〜3センチ)離れていれば、基準どおりです。

ぎりぎりに打たれている釘が並んでいるなら、そこは将来割れる可能性がある場所ということになります。ひび割れが同じ高さで何枚も並んでいるなら、釘の位置を疑う価値があります。

留め方が違うと、工場でついている塗料も違います

ここが、このページでいちばん大事なところです。サイディングは、現場で塗る前に、すでに工場で塗られています。研究所は「90%以上が工場で高品質塗装」としています。

そしてその工場塗装の中身が、留め方(=厚み)で違います。

区分厚み工場でついている塗料
2008年以前・釘打ち12mmアクリル系、ウレタン系
2008年以降・釘打ち14mmアクリル系
2008年以降・金具留め15・16・18mmトップ塗装はクリヤー塗料

さらに研究所は、その内訳についてもこう書いています。「80%がアクリルシリコン系 残りが光触媒(KMEW社) 無機系(現場塗装より高品質)」

「現場塗装より高品質」——ここは正直に書かれています。工場で焼き付けた塗装のほうが、現場で塗るより性能が高いことがあるということです。

だから、塗り替えで選べる塗料が変わります

工場塗装の種類が違うということは、その上に塗る塗料の条件が違うということです。

金具留め(クリヤー仕上げ)の家

柄がはっきり出ている高意匠のサイディングは、その柄を残すか、塗り潰すかという選択が出てきます。柄を残すならクリヤー塗装ですが、劣化が進んでいると使えません。タイミングの問題です。

無機系・光触媒の工場塗装がされている家

塗料が付きにくい表面(難付着)になっていることがあります。研究所はこう書いています。

「窯業系サイディング材工場塗装で、無機系など難付着塗装の場合、水性塗料は剥がれ易いので、弱溶剤系塗料から選択します。」

「水性のほうが環境にやさしいから水性で」という選び方が、この場合は裏目に出ます。難付着サイディングには専用の下塗りがあり、そこを外すと数年で剥がれます。

共通して効くこと

研究所は塗膜の膨れについて「明度と日射反射率の基準を理解していること=塗膜の膨れの原因です」とし、「一般に水性塗料は同じ厚みの時に、弱溶剤系塗料に比べ湿気を逃がしやすいです」とも書いています。濃い色を選ぶと表面温度が上がるので、色の選び方とも無関係ではありません。

留め方を見るのは、診断の入口だからです

なぜ塗装の話で、留め方や厚みが出てくるのか。研究所は、塗り替え後のクレームが起きる根本原因を挙げていて、その1番目がこれです。

窯業系サイディング材メンテナンス技術研究所より

「窯業サイディングの塗替え後の不具合=クレーム=発生の根本的な原因です。1=診断に漏れが有る・知識が無い」

そして診断で最重要なこととして、「外壁通気構法 空気層工法 直張り工法の判定」「新築時の窯業サイディングの工事方法に問題が有るのか=判定出来る事」を挙げています。

塗る前に見るべきは、塗料ではなく家のほうだということです。

  • 通気層があるのか、直張りなのか水切りとのすき間で見当がつきます
  • 釘打ちか金具留めか、厚みは何ミリか(このページの話です)
  • 工場塗装は何か(クリヤーか、無機系か、アクリル系か)
  • 新築時の工事に問題がなかったか(釘の位置、目地の幅、切り欠き)

この4つが揃って、初めて塗料が決まります。逆に言えば、ここを見ずに「シリコンでいきましょう」と言われたら、順番が飛んでいます。

研究所は塗装工事についても書いています。「塗装回数は重要でない 重要なのは、所要量=1平方メートルあたりの塗料の塗布量」、そして「工事中の写真も残し工事報告書として施主様へお渡しも良いです」3回塗ったかどうかより、決められた量が塗られたか。そこを確かめる材料が、写真です。

金具留めのほうが良い、と言い切れない理由

金具留めには、はっきりした利点があります。

  • 表面に釘の穴が開かない——釘頭から雨水が入る経路が、そもそもない
  • 板が動ける——地震や温度変化で建物が動いても、板が追従しやすい
  • 見た目がすっきりする——釘の頭が並ばない

ただし、別の顔もあります。研究所は、反りが進んだ場合についてこう述べています。

「反りが進みますと、金具施工の窯業系サイディングは外れて落下する危険性が有ります」

金具は「引っ掛けている」だけなので、板が反って金具から外れると、落ちます。釘打ちは板を貫通して留めているので、この外れ方はしません。

実際に研究所は、築24年の家で金具留めのサイディングにがたつきと浮きが出た事例や、築15年で縦張りの窯業系サイディングが脱落した事例を公開しています。

だから金具留めの家では、板の端が浮いていないかを見てください。詳しくはサイディングの反りに書きました。手で押して動くなら、塗装の前にその話をする必要があります。何社かに見てもらって、同じ指摘が出るかを確かめてください

新築や張り替えで選ぶなら

塗り替えでは留め方は変わりません。選べるのは張り替えカバー工法のときです。

釘打ち(14mm)金具留め(15mm以上)
初期費用安い高い。板も金具も上がります
表面釘の頭が並ぶ何も出ない
雨水の入口釘穴がある釘穴がない
反ったとき貫通して留めている外れて落下する危険(研究所)
工場塗装アクリル系トップはクリヤー塗料

差額は、思っているより大きくなることがあります。厚みを上げると板そのものの単価が上がり、金具も要り、扱う手間も変わるからです。「1mmの違い」ではなく「仕様がまるごと変わる」と考えたほうが実態に合います。

両方の仕様で見積もりを出してもらうと、その会社が何で金額を決めているのかが見えます。

施主が自分で確認できる数値

研究所は、施主自身が新築時の工事をチェックするための項目を公開しています。塗り替えのときにも、そのまま確認に使えます。

見るところ基準
シーリング目地の寸法幅10mm・深さ5mm以上
開口部まわり・入隅の目地幅10mm
釘打ちの位置端部より20〜30mm離れている
土台水切りと板の下端のすき間10〜15mm
窓まわりの板の切り欠き100mm以上ある

研究所は検査のタイミングとして「新築完成の引き渡し前後」「新築後2年(2年保証期限直前)」を挙げています。2年保証が切れる前に見ておくという発想は、覚えておく価値があります。

なお土台水切りとのすき間10〜15mmは、通気層があるかどうかの見分け方と同じ数字です。ここが詰まっていると、通気も排水も働きません。

見積もりのときに聞くこと

聞くこと何が見えるか
「うちは釘打ちですか、金具留めですか」外から見れば分かる質問です。見に行って答えるかどうか
「厚みは何ミリだと思いますか」留め方から逆算できます。年代とセットで話せる会社は、下地まで見ています
「工場塗装は何がついていそうですか」難付着かどうかの判断につながります。ここを飛ばすと下塗りの選定を間違えます
「板の端が浮いているところはありますか」金具留めの家では落下に関わる確認です

全部に即答できる必要はありません。ただ「見てから答えます」と言える会社と、聞かれた意味が分からない会社では、その先が変わります。同じ質問を何社かに投げてみると、差がはっきり出ます。

よくある質問

釘打ちと金具留め、どちらが優れていますか?

一概には言えません。金具留めは釘穴がなく、板が動けるのが利点ですが、反りが進むと外れて落下する危険があると研究所が指摘しています。釘打ちは貫通して留めているのでその外れ方はしませんが、釘穴という雨水の入口があります。どちらも、正しく施工されていることが前提です。

うちは14mmらしいのですが、薄くて心配です。

2008年以降の釘打ちは14mmが標準です。薄いから欠陥ということではありません。見るべきは厚みより釘の位置(端から20〜30mm)と、いま出ている症状のほうです。ひび割れが同じ位置に並んでいないかを見てください。

塗り替えのときに、金具留めに変えられますか?

変えられません。留め方を変えるのは張り替えのときです。カバー工法では既存の外壁の上に新しい外壁材を張るので、そこで新しい留め方が決まります。

金具留めだと、塗り替えの費用は高くなりますか?

留め方そのもので変わるわけではありません。ただし工場塗装がクリヤーや無機系だと、下塗りに専用のものが要ることがあり、そこで差が出ます。難付着サイディングの話です。「同じ面積なのに見積もりが違う」ときは、下塗りの銘柄を比べてみてください。2〜3社ぶん並べると、何が違うのかがすぐ分かります

釘の頭が錆びて浮いています。

塗り替えの前に、その部分の処理が必要です。錆びた釘の上から塗っても、下から錆が出てきます。打ち直すのか、錆止めを入れるのかを見積もりの段階で確認してください。「ケレン一式」で片づけられていないかを見ておくといいです。

このページは2026年8月31日に、窯業系サイディング材メンテナンス技術研究所が公開している資料で確認して書きました。厚みと留め方の対応は一般的な区分で、メーカーや製品によって例外があります。実際の判断は、現地を見た専門家にご確認ください。

参考にした情報

  • 窯業系サイディング材メンテナンス技術研究所「新築時=工事不良の簡単セルフチェック=6項目」——検査のタイミングは「新築完成の引き渡し前後」「新築後2年(2年保証期限直前)」。新築時の工事方法の判定項目として「シーリング目地の設計寸法幅=10mm 深さ=5mm以上」「開口部回り・入隅のシーリング目地幅=10mm」「釘打ちの位置=端部より20〜30mm離れている」「土台水切りと窯業サイディングの下端部のすき間=10mm〜15mm」「窓回りなど窯業サイディングの切り欠き=100mm以上ある事」。工場塗装について「2008年以前の新築住宅 釘打ち施工の窯業系サイディング材は厚み12mmで、塗料はアクリル系、ウレタン系です。2008年以降の新築住宅 釘打ち施工=厚み14mm アクリル系塗料です。金具施工=厚み15 16 18mmでトップ塗装はクリヤー塗料です。80%がアクリルシリコン系 残りが光触媒(KMEW社) 無機系(現場塗装より高品質)」。塗料について「明度と日射反射率の基準を理解していること=塗膜の膨れの原因です」「一般に水性塗料は同じ厚みの時に、弱溶剤系塗料に比べ湿気を逃がしやすいです」「窯業系サイディング材工場塗装で、無機系など難付着塗装の場合、水性塗料は剥がれ易いので、弱溶剤系塗料から選択します」。同研究所は25年間で1,500件以上の相談と500件以上のクレーム体験があるとしています
  • 同研究所——反りについて「反りが進みますと、金具施工の窯業系サイディングは外れて落下する危険性が有ります」。事例として築24年の金具留めのがたつきと浮き、築15年の縦張り窯業系サイディングの脱落を公開