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外壁塗装の色|色見本の見方と、色で値段が変わる話

外壁の色を選ぶとき、ほとんどの人が知らないことが1つあります。色によって、塗料そのものの値段が変わります。しかも、濃い色まで行くと倍以上になることもあります。まず色見本の見方から、そして値段の話までまとめました。

このページの内容全11項目

色見本は「日塗工」で見る

塗装業者と色の話をすると、「日塗工(にっとこう)」という言葉が出てきます。一般社団法人 日本塗料工業会が出している塗料用標準色の色見本帳のことで、国内メーカーのほとんどの製品で、この番号を使って色を指定できます。「人気色」という切り口の全体像——なぜ全国データが存在しないのに定番は一致するのか——は外壁の人気色のページにまとめました。

「この色でお願いします」と伝えるとき、カタログの雰囲気ではなくこの番号で指定すれば、メーカーが違っても同じ色になります。だから現場では日塗工が共通言語になっています。

色番号の読み方

日塗工の番号は、次のように分かれています。

日塗工の色番号は3つの情報でできている

日塗工の色番号の読み方 05-60Lという番号は、色相05(赤系)、明度60、彩度Lの3つに分解できる。無彩色の場合は色相の位置がNになる。 0560L 色相(しきそう) どの系統の色か。05は赤系 明度(めいど) 明るさ。数字が大きいほど明るい 彩度(さいど) 鮮やかさ。記号で表す 白・グレー・黒などの無彩色は、色相の位置が「N」になります N-90=明るいグレー / N-30=かなり濃いグレー
色見本帳では、この番号の下に「淡彩」などの価格ランクが書かれていることがあります。次の章の話につながります。

つまりN-90は明るいグレー、N-30はかなり濃いグレーです。数字を見れば明るさの見当がつきます。

色見本は小さな紙片なので、実際に外壁一面に塗ると見本より明るく感じることがあります。気になる場合は、大きめの色見本を借りられるか業者に聞いてみてください。ただ、現場の感覚では「思っていた色と全然違った」という失敗はそれほど多くありません。日塗工の番号で確認していれば、おおむね思ったとおりの色になります。

色を変えるだけで、市の手続きが要る地域があります

色は好みで決めるもの——たいていはそのとおりです。ただし地域によっては、外壁の色を変えることが市への手続きの対象になります。景観計画や風致地区の制度です。当サイトが市の公式資料を1つずつ読んだなかから、外壁塗装に直接かかるものを並べます。

市(対象地域)規模の下限手続き
鎌倉市(風致地区=市域の約55.5%・約2,194ha)なし(建築は10㎡超だが、色彩の変更には下限が無い)市長の許可
尾道市(尾道・向島の景観地区)なし市長の認定申請
富士宮市(重点地区4つ)なし事前協議+行為の30日前までに届出
掛川市(遠州横須賀街道沿道地区)外観の変更が見付面積の2分の1以上着手の30日前までに届出
弘前市(景観形成重点地区)10㎡を超えるもの事前協議+届出
伊勢原市(大山まちなみ継承地区)市が「色の塗り替え」を名指し事前協議+届出

ここから、知っておくと違いが出ることが3つあります。

  • ①「同じ色に塗り直すだけ」の扱いが、市によって正反対です。鎌倉市の審査基準は、色彩の変更としない行為として「元の色、材質で塗りなおす行為」を挙げています——同色なら許可は要りません。ところが掛川市の計画書は「同じ色の塗料、異なる色の塗料を用いる場合のいずれも色彩の変更にあたり、届出対象となる」と書いています。同じ「塗り替え」でも、市が変われば答えが逆になります。
  • ②「規模の下限なし」は、実質すべての家が対象という意味です。鎌倉・尾道・富士宮は下限がありません。弘前は10㎡超が対象ですが、30坪の家の外壁はおよそ100㎡なので、1面だけ塗っても超えます。「うちは小さい家だから関係ない」は成り立ちません。
  • ③届出を出しても、すぐには着工できません。掛川・富士宮は行為の30日前まで。伊勢原市の手引きでは、審査のあとに「行為着手制限解除通知書」が渡されるとされています。足場の日程を先に押さえてしまうと、間に合わないことがあります。

手続きでは、色を「名前」ではなく「数値」で書きます。マンセル値か日塗工の色番号です。「グレージュ」「アイボリー」といった色名では通りません。——前の章で色番号の話をしたのは、このためでもあります。鎌倉市のように塗れる色の範囲まで数字で決めている市もあります(赤・黄系は彩度6以下、それ以外は4以下)。

自分の家が対象かどうかは、市区町村の都市計画課(景観担当)でしか分かりません。景観計画は市の中の一部の地区だけを指定していることが多く、同じ市内でも道1本で変わります。上の6市はあくまで例で、指定は全国にあります。心当たりがあるなら、色を決める前に問い合わせてください。塗料を発注したあとでは、選び直しになります。

出典=各市の公式資料。鎌倉市(風致地区の面積・色彩の変更の許可・審査基準の「色彩の変更としない場合」・彩度の上限)、尾道市(景観地区における認定申請)、富士宮市(重点地区4地区の届出対象行為・30日前)、掛川市(遠州横須賀街道沿道地区の届出対象と「同じ色の塗料…のいずれも色彩の変更にあたり、届出対象となる」の注釈)、弘前市(景観形成重点地区の10㎡基準・事前協議)、伊勢原市(大山まちなみ継承地区・行為着手制限解除通知書)。各市の詳細は、リンク先の市ページに原文と出どころを載せています。制度は変わることがあるので、実際の手続きは各市にご確認ください。

色によって、塗料の値段が変わります

ここが、このページで一番お伝えしたいことです。

塗料は、メーカーに発注するときに「淡彩色」「中彩色」「濃彩色」といった色のランクで分かれていて、ランクによって値段が変わります。さらに赤系・青系・黄系といった色の系統ごとにも区分があります。

理由はシンプルで、顔料の値段です

色をつくる顔料そのものの価格が違います。いちばん安いのは白系で、鮮やかな色・濃い色になるほど高くなります。濃彩色まで行くと、倍以上になることもあります。とくに赤系と青系の濃い色は、はっきり高いです。

おおまかなイメージ:原色に近づくほど高い

色のランクと塗料価格の関係 白系がもっとも安く、淡彩色、中彩色、濃彩色の順に高くなり、赤系・青系の濃彩色がもっとも高い。 安い 高い 白系淡彩色 中彩色濃彩色 いちばん安い 白に近い、薄い色 中間の濃さ 倍以上になることも とくに高い:赤系・青系の濃い色 同じ「濃彩色」でも、色の系統でさらに差が出ます
この図はおおまかなイメージです。実際の区分と価格差はメーカーごとに違います。

「明るさ」だけでは決まりません

ここは誤解されやすいところです。「濃い色=暗い色」ではありません。

たとえば無彩色のグレーなら、N-30あたりから濃彩色として扱われることがあります。ところが05-60L——さきほどの読み方でいうと赤系で、明度は60(中くらいの明るさ)——のような色も、濃彩色に分類されることがあります。明るさが中くらいでも、色の系統と鮮やかさによって濃彩になるわけです。

だから「何番から濃彩」とは言い切れません

区分の線引きはメーカーによって違いますし、呼び方も各社で変わります。ネット上の「N-◯◯以下が濃彩」という説明を鵜呑みにしないでください。

確実なのは、色見本帳に価格ランクが書かれていることと、業者に聞けば分かることです。

見積もりの前に、この一言を

  • 色を決める前この色にすると、塗料の値段は変わりますか?気に入った色が濃彩色だった場合、先に知っておけば「この色の淡いほうにする」といった選択ができます。塗り始めてからでは遅いです
  • 見積書を見てこの見積もりは、どの色で計算していますか?色が決まる前の見積書は、標準的な色で計算されていることがあります。あとから濃い色を選ぶと差額が出る場合があります

もうひとつ、現場の話を。出にくい色は、どうしても出にくいということがあります。とくに紫系の濃い色などは、調色しても思ったとおりに発色しないことがあります。これは職人側の悩みで、めったに起きることではありませんが、珍しい色を希望するときは早めに相談してください。

参考までに、外壁の色として実際にどれくらい調べられているかを見てみます。Googleでの月間検索数です。

色月間検索数(外壁塗装+色名)
グレー720——他を大きく引き離しています
黒210
白140
ネイビー110

出典:ラッコキーワード 一括キーワード調査(集計期間2025年8月〜2026年7月・地域Japan・2026年8月時点)。

グレーが圧倒的です。逆に「やめたほうがいい色」で調べる人も多く、そこでは色ごとの後悔の実際を整理しています。汚れが目立ちにくく、どんな屋根や玄関ドアとも合わせやすいこと、そして無彩色なので塗料のランクとしても選びやすいことが理由として考えられます。

色名で探すとき、その名前が色見本帳に載っているかどうかで話が変わります。グレーやネイビーは番号で指せますが、グレージュやモスグリーンのような色名には決まった番号がありません。とくにモスグリーンは、外壁用の上塗材の標準色に該当する暗さの緑が1色も無く、調色になります。

いっぽうで黒とネイビーは、濃い色ならではの注意点があります。値段が上がりやすいこと、そして次の章で書くとおり夏に熱を持ちやすいことです。

その色名で頼むと、何色から選べるのか——呼び名・順位・配置の3つに分かれます

色のページはこのサイトに11枚あります。順に読む必要はありません。いま自分がどの探し方をしているかで、行く先が変わります。

いまの探し方そこで起きること
①色の呼び名で探している
(グレー、ネイビー、グレージュ…)
呼び名と、塗る前に指定できる色番が一対一で対応していません。何色から選べるかが、呼び名ごとに違います
②順位や相性で決めようとしている
(人気色、やめたほうがいい色、風水)
調べるほど答えが割れます。出典ごとに中身が違うのには理由があります
③配置で迷っている
(ツートン、屋根やサッシとの合わせ方)
色より先に決まっているものがあります。境目の位置は、家がすでに決めています

①呼び名で探している方へ——「外壁を塗る上塗材の標準色」は49色です

上の章で書いたとおり、色を一意に決めるのは名前ではなく番号です。ただ、番号の話は「じゃあ自分の好きな色は何番なのか」が分からないと使えません。

エスケー化研が標準色をマンセル値つきで公開しているので、当サイトで全数を数えました。全部で323色(SR色49・AC色99・AS色61・RC色45・CLR色41・CT色28)。このうちSR色49色について、メーカーは「SR色は外装用上塗材の標準色に設定されています」と書いています。つまり、外壁を塗る上塗材で標準色として用意されているのは、この49色です。

呼び名ごとに、その49色の中に何色あるか。数えた結果がこうなりました。

出典=エスケー化研公式サイト「標準色(マンセル値)」。色番号とマンセル値の対応表を当サイトが数えたもの(2026年9月10日〜12日)。帯の切り方は各ページに書いています

呼び名外装用上塗材の標準色(49色)のうちそこから起きること詳しいページ
ネイビー0色(濃紺の帯は全323色に18色あるが、49色には入っていない)標準色から選べないので調色になり、価格や納期の条件が変わることがありますネイビーの外壁
ブルーグレー3色(SR-421・SR-428・SR-426)3色とも、ネイビーと呼ぶ濃さではありません。天気で見え方が変わる色でもありますブルーグレーの外壁
ピンクベージュ9色(ただし赤紫の色相は全323色で0色)9色の彩度は0.7〜2.6と幅があり、同じ呼び名でも別の色になりますピンクベージュの外壁
グレー純粋な無彩色は全323色で7色。外壁用の系統には入っていません「グレーにしたい」だけでは決まりません。N-70のような色番まで決めると会話が具体的になりますグレーの外壁
グレージュその名前の色が、色見本帳にありません(日塗工の色見本帳に「グレージュ」という色名は無い)3社に頼むと3色出てきます。呼び名でなく「灰色にすこし黄みが入った色」と仕組みで伝えるほうが早いですグレージュの外壁

5枚に共通していたこと——色名は各社が自由に付けられて、共通なのは番号だけです

「ブルーグレー」「くすみブルー」「グレイッシュブルー」「グレージュ」「モカベージュ」——どれにも業界の共通定義がありません。だから同じ言葉で3社に頼むと、3色の見本が出てきます。言った人が悪いのでも、持ってきた会社が悪いのでもなく、言葉のほうに正解が無いということです。

ですから、このクラスタの結論はどの色でも同じ1つになります。決めた色の番号(またはマンセル値)を、見積書と契約書に書いてもらってください。仕上がりを確かめるためだけではありません。数年後に一部だけ補修が要ったとき、番号が残っていれば同じ色を作れます。

②順位や相性で決めようとしている方へ——出典が割れるのには理由があります

「人気色ランキング」「やめたほうがいい色」「方位別の色」。どれも調べるほど答えが割れます。3枚とも、そこを起点に書いています。

探し方調べて分かったことページ
人気色ランキング全国共通の集計は存在しません。数えられるのは「人気」ではなくメーカーが何色用意したかのほうです外壁の人気色
やめたほうがいい色ランキングが各社で違います。後悔が起きるのは色名ではなく4つの軸のほうですやめたほうがいい色
風水方位別のおすすめ色がサイトごとに食い違います。それでも重なっている部分はあります外壁の色と風水

この3枚に共通するのは、「決まった正解があるはずだ」と思って探すと、出典の数だけ答えが増えるという形です。定番色に偏るのは好みではなく物理の話ですし、風水も、住んでいる地域の景観の決まりのほうが先に効いてきます。

③配置で迷っている方へ——色より先に決まっているものがあります

塗り替えでは、変えられないものが先にあります。屋根、サッシ、玄関ドア、雨どい。塗り替えない部材の色は、そのまま次の10年の相手になります。

  • ツートンにしたい——色を2色選ぶ前に、境目にできる場所を見てください。境目の位置は家の作りが決めていて、後から足せるものではありません。
  • 画面で試したい——カラーシミュレーションは候補を絞る道具として使ってください。画面の色をそのまま信じてはいけない理由が3つあります。
  • 板見本で確かめたい——小さな色見本は、壁になると明るく見えます。A4以上の板見本を、外の光で、2回以上。この確かめ方は、どの色のページでも同じ結論になりました。

そして、どの入口から来ても最後は同じ形に着地します。色番まで決めてから見積もりを頼むと、各社の金額が同じ条件で並びます。色が決まっていない見積書どうしは、そもそも比べられません。

カラーシミュレーションは「当たり」を絞る道具です

塗料メーカーや塗装店のサイトには、家の画像に色を当てはめて確かめられる無料のカラーシミュレーションがあります。モデル住宅から選ぶもの、自宅の写真を取り込めるものなど形はいろいろですが、どれも候補の色を2〜3系統まで絞る道具として使うのが正解です。

理由は、画面の色は実物の色ではないからです。モニターの発色は設定や機種で変わり、印刷すればまた変わります。さらに実際の壁では、小さな見本より明るく見える面積効果と、朝・昼・夕方の光の違いが加わります。シミュレーションで「この系統でいく」と決めたら、最後はA4以上の実物の色見本を外の光で、できれば時間帯を変えて確認してください。ここまでやれば、塗り上がってから「思っていた色と違う」となる確率はぐっと下がります。

無料で使える公式ツールを実際に開いて分類した一覧はカラーシミュレーションのページにまとめました。シミュレーション画像を業者との打ち合わせに持っていくのは有効です。「この写真のイメージで、近い色番はどれですか」と聞けば、日塗工の色番での会話につながります。

ツヤは5段階から選べます

色と同じくらい仕上がりの印象を変えるのがツヤです。メーカーの説明では艶有り・7分艶・5分艶(半艶)・3分艶・艶消しの5種類があり、順に艶を抑えた仕上がりになります(製品によって選べる幅は違います)。

知っておきたいのは2点だけです。ツヤを落とすと多少の割増になることがあること。そして艶消しは汚れがつきやすく、目立ちやすいこと——表面に細かな凹凸ができるぶん、汚れが留まりやすくなります。幹線道路沿いなど汚れやすい環境では、ツヤを残したほうが長くきれいに見えます。

いっぽう、よく言われる「艶消しは長持ちしない」については、メーカーは「艶の差による耐久年数の差はほとんどない」と回答しています。この点を含め、艶の選び方は艶あり・艶なしのページにまとめました。

サイディングは単色で塗ると模様が消えます

2色に塗り分けたい方は、色より先に「どこで分けるか」が決まります=外壁のツートンのページにまとめました。

いまの住宅で多い窯業系サイディングには、レンガ調・石目調・タイル調といった模様がついています。

ここに1色で塗りつぶすと、その模様が消えてしまいます。凹凸は残りますが、色の陰影がなくなるため、のっぺりとした印象になります。せっかくの意匠が失われるのは、正直もったいないところです。

これに対して、2色を使って意匠を残す塗り方があります。まず全面をベースになる色で塗り、そのあと毛の短いローラーで、出っ張っている部分だけ別の色を乗せるという方法です。エスケー化研の「窯業系サイディング多彩塗り替え工法 エスケープレミアムTASAI工法」などがこれにあたり、各メーカーが名前を変えて同種の工法を持っています。

値段は上がりますが、見栄えは格段に良くなります。模様のあるサイディングにお住まいなら、単色で塗る前に一度相談してみる価値があります。

対応できる業者は限られます。また、いわゆる「特殊塗装」と呼ばれる仕上げになると、施工できる店がさらに限られ、金額も大きく上がります。まずは「うちのサイディングで2色塗りはできますか」と聞いてみてください。

屋根の色は事情が違います——選べる色数と、暑さへの効き方

選べる色は、屋根用のほうが少なめです

屋根用の塗料は、製品ごとに色数が決まっています。実際に各社が公表している数を並べると、こうです。

製品公表されている色数
ファインパーフェクトベスト(日本ペイント)全26色(7kgセットは10色限定)
サーモアイSi(日本ペイント)40色(色ごとに日射反射率を公表)
クールタイトSi(エスケー化研)標準41色

外壁で使う日塗工の色見本帳と比べると、選べる数はぐっと絞られます。——屋根は「用意された色から選ぶ」と考えておくほうが、話が早いです。

屋根では、色の選び方が「暑さ」に直結します

ここが外壁といちばん違うところです。日本ペイントはサーモアイSiの全色について日射反射率を公表していて、クールホワイト91.0%に対してクールナスコンは26.6%。3倍以上の差があります。同じ製品・同じ価格・同じ工程で、色を選ぶだけで変わります(サーモアイSiとクールタイトSiの比較)。

実務的な落としどころは「黒に近い色を避けて、いける範囲で明るくする」です。——ライトグレー(54.0%)とブラック(28.4%)でも倍近い差がつきます。真っ白にしなくても、この一段で意味があります。

そもそも、屋根の色は地上からほとんど見えません

外壁ほど悩まなくて大丈夫です。——道路から自分の家を見上げてみてください。勾配のある屋根は、真下からだとほとんど見えません。離れた場所や2階から見える面はありますが、外壁のように毎日目に入る面積ではありません。迷ったら、暑さへの効き方で決めるほうが、あとで納得しやすいと思います。

値段と、調色のこと

外壁と同じ感覚で屋根の色を選ぼうとすると、少し勝手が違います。

屋根用の塗料には「純正色」と呼ばれる、あらかじめ用意された色があります。この中から選ぶぶんには、基本的に値段は同じか、少し高くなる程度です。外壁のように色で大きく変わるわけではありません。

ただし製品によっては調色そのものができないものもあります。「この色にしたい」と思っても、屋根では選べないことがある、と知っておいてください。

色を決めるのは最後で構いません。先に決めるのは、どこまで塗るかと、どの塗料を使うかです。色は塗料が決まってから選べます。何社かに見積もりを頼んで、工事の範囲と製品を先に固めてください。そのうえで色見本を出してもらえば、実際に使える色の中から選べます。順番を逆にすると、選んだ色が使えない塗料だった、ということが起こります。

黒っぽい色は夏に熱くなります

これは色選びの現実的な話です。黒系の外壁や屋根は、夏に熱を持ちます。近年の夏を考えると、無視できない要素です。

暑さを和らげたい場合、遮熱塗料(日本ペイントの「サーモアイ」など)という選択肢があります。太陽光を反射して、表面温度の上昇を抑えるタイプの塗料です。断熱塗料(「キルコ」など)はまた別のもので、熱の伝わりを抑える考え方の製品です。どちらも通常の塗料より高くなります。

ただし、遮熱でいちばん効くのは結局「白」です

遮熱塗料はカタログに色ごとの反射率が載っています。そこを見ると、白がもっとも反射率が高いことが分かります。つまり「黒っぽい色にしたいけれど涼しくしたい」という希望は、ある程度までしか叶いません。色の好みと涼しさは、どこかで折り合いをつける必要があります。

もうひとつ大事なことを。遮熱・断熱・低汚染・防カビなど、いろいろな機能をうたう塗料がありますが、「結局、何年もつのか」は機能ではなく塗料のグレードで決まります。遮熱だから長持ちする、ということではありません。耐用年数はシリコン・フッ素・無機といったグレードの話です。

よくある質問

色見本と仕上がりが違って見えるのはなぜですか?

面積が大きくなると、明るい色はより明るく、暗い色はより暗く見えます。——色の見え方の性質です。小さな色見本で決めると、ほぼ確実にずれます。できるだけ大きなサンプルを、屋外の光の下で見せてもらってください。

汚れが目立たない色はどれですか?

「汚れない色」はありません。目立つ汚れの種類が変わるだけです。——白系は土埃や排気の黒ずみが目立ち、黒・濃色は白い粉や雨だれが目立ちます。中間のグレーやベージュが選ばれやすいのは、どちらの汚れも比較的目立ちにくいからです。

付帯部の色は、どう合わせますか?

変えにくいところから決めてください。——屋根、アルミサッシ(基本的に色は変えられません)、玄関ドア。この3つは決まっていることが多いので、そこに合う壁の色を選ぶほうが早く決まります。

今と同じ色にすれば、失敗しませんか?

同じ色番号でも、同じには見えません。——今の壁は年数ぶん色が変わっているからです。「新品のときの色」に戻る、と考えてください。写真が残っていれば、それが参考になります。

色は、いつまでに決めればいいですか?

塗り始める前です。ただし早めに動いてください。——サンプルの手配、大きな見本の作成、屋外での確認に時間がかかります。契約してから慌てて決めると、選択肢が狭まります。

途中で色を変えられますか?

塗り始める前なら変えられますが、塗料を発注したあとは戻せません。——調色した塗料は、その家のために作った色だからです。迷っているなら、発注前に伝えてください(契約の解除と違約金)。

外壁の色を変えるのに、市の手続きが要ることはありますか?

地域によっては要ります。鎌倉市は市域の約55.5%が風致地区で色彩の変更に市長の許可が必要、しかも規模の下限がありません。尾道市(尾道・向島の景観地区)は規模を問わず市長の認定申請、富士宮市の重点地区4つも下限なしで届出。弘前市は10㎡超が対象で、30坪の家の外壁はおよそ100㎡なので1面でも超えます。対象かどうかは市区町村の都市計画課でしか分かりません(手続きの章)。

同じ色に塗り直すだけでも手続きが要りますか?

市によって答えが正反対です。鎌倉市は色彩の変更としない行為として「元の色、材質で塗りなおす行為」を挙げており、同色なら許可は不要。一方、掛川市(遠州横須賀街道沿道地区)は「同じ色の塗料、異なる色の塗料を用いる場合のいずれも色彩の変更にあたり、届出対象となる」と書いています。同じ塗り替えでも市が変われば結論が逆になります。

届出を出したら、すぐ工事を始められますか?

始められないことがあります。掛川市・富士宮市は行為の30日前までに届出。伊勢原市の手引きでは、審査のあとに「行為着手制限解除通知書」が渡されるとされており、それまで着工できません。弘前市や富士宮市は届出の前に事前協議も義務です。足場の日程を先に押さえると間に合わないことがあります。

外壁塗装の色は、何色の中から選ぶことになりますか?

メーカーの標準色から選ぶなら、思っているより少ない数です。エスケー化研が公開している標準色は全部で323色(SR色49・AC色99・AS色61・RC色45・CLR色41・CT色28)で、このうちメーカーが「外装用上塗材の標準色に設定されています」と書いているのはSR色の49色です。当サイトが数えたところ、この49色に入っていたのは、ブルーグレーの帯が3色、ピンクベージュの帯が9色、ネイビーの濃さの青は0色でした。標準色に無い色を選ぶと調色になり、価格や納期の条件が変わることがあります。

「グレージュ」や「ブルーグレー」で頼めば、その色になりますか?

なりません。色名には業界に共通の定義がなく、各社が自由に付けられるからです。日塗工の色見本帳に「グレージュ」という名前の色はありませんし、「ブルーグレー」「くすみブルー」「グレイッシュブルー」も決まった色番を持っていません。同じ言葉で3社に頼むと、3色の見本が出てきます。共通なのは番号だけなので、色名で伝えるのは候補を出してもらう段階までにして、決めた色の番号(またはマンセル値)を見積書と契約書に書いてもらってください。数年後に一部だけ補修が要ったときも、番号が残っていれば同じ色を作れます。

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参考にした情報

  • エスケー化研 公式サイト「標準色(マンセル値)」——SR色49色・AC色99色・AS色61色・RC色45色・CLR色41色・CT色28色の合計323色について、色番号とマンセル値の対応表を当サイトが数えたもの(2026年9月10日〜12日)。系統の説明として公式に記載があるのは「SR色は外装用上塗材の標準色に設定されています」「AS色はリシン、スタッコの標準色です」の2つで、ほかの系統には説明文がありません。呼び名ごとの内訳と帯の切り方は、ネイビー・ブルーグレー・ピンクベージュ・グレーの各ページに記載
  • 一般社団法人 日本塗料工業会「塗料用標準色」色見本帳(色番号の体系)
  • エスケー化研「エスケープレミアムシリーズ」(窯業系サイディング多彩塗り替え工法 エスケープレミアムTASAI工法)
  • 塗料メーカー各社の製品カタログ(色のランク区分・ツヤの段階・遮熱塗料の日射反射率)
  • ラッコキーワード 一括キーワード調査(集計期間2025年8月〜2026年7月・地域Japan)
  • 塗料の販売・調色に携わった経験のある実務者への取材

色のランク区分・価格差・ツヤの設定は、メーカーおよび製品によって異なります。実際の金額は、必ず見積もりを取って確認してください。最終確認日:2026年8月16日。