ガイナのデメリット——正体は、製品ではなく施工条件のほうにあります
「ガイナ デメリット」で検索する人が多い塗料です。ただ、出てくる答えの多くは「高い」「つやが出ない」で止まっています。メーカーが公開している施工要領書を読むと、話がもっと具体的になります。そこには「電動撹拌機にて充分に撹拌するのが最大のポイントです」と赤字で書かれ、さらに「一度に厚塗りしますと亀裂の発生する恐れがあります」「塗膜が厚いほど防音性、断熱性、保温性を発揮します」と続きます。厚く塗るほど効くのに、一度に厚く塗ると割れる。つまり性能が、職人の手のかけ方に直結する塗料だということです。
このページの内容
- メーカーの施工要領書が、異常に具体的です
- 「厚く塗るほど効く。ただし一度に厚塗りすると割れる」
- 塗れる日が限られます
- 製造後3ヶ月以内・ネット販売は正規ルートではない
- 公式の設計価格——外壁の材工価格は公開されていません
- 白がいちばん安く、遮熱で効くのも白です
- ざらついた表面には、汚れが溜まります
- 断熱と遮熱は、別のものです
- よくある質問
メーカーの施工要領書が、異常に具体的です
ふつう、塗料の施工要領書は淡々としています。ところが日進産業が公開しているガイナの施工要領書は、赤字と下線で強調された指示が並びます。
ガイナ施工要領書より(公式・原文)
「セラミックが上部に浮いてきますので、かくはん機により、充分に(3分以上)撹拌してから使用して下さい。ガイナは水性です。塗りにくい場合には上水を足して塗りやすい濃度にして下さい」
「電動撹拌機にて充分に撹拌するのが最大のポイントです。」(赤字で強調)
「撹拌羽はこのタイプの物が最良です」——撹拌羽の形状まで図で指定されています。
希釈量も幅で示されています。刷毛・ローラーなら1缶あたり0〜1,500cc、ガン吹きなら0〜3,000cc、コテは0ccまたは専用タイプ。「0」からあるということは、水を入れずに塗る場面もあれば、たっぷり足す場面もあるということです。
ここから読めることは1つです。この塗料は「缶を開けて塗る」だけでは性能が出ません。撹拌の時間と道具、希釈の判断が、そのまま仕上がりに乗ります。日進産業が「認定施工店」という制度を公式に持ち、その定義を「GAINAの豊富な施工実績や高度な技術を持っている施工店です」としているのも、この性格と地続きです。
「厚く塗るほど効く。ただし一度に厚塗りすると割れる」
要領書の中でも、いちばん施主に関係するのがこの一節です。
ガイナ施工要領書より(公式・原文/青字で強調されている箇所)
「一度に厚塗りしますと亀裂の発生する恐れがあります。数回に分けて塗装作業を行って下さい。塗膜が厚いほど防音性、断熱性、保温性を発揮します」
塗布量の目安も示されています。遮熱仕様=0.20kg/㎡×2回(35㎡/缶計算)/遮熱・防音仕様=0.23kg/㎡×2回(30㎡/缶計算)
言い換えると、この塗料の性能は「どれだけ塗ったか」で決まるということです。そして厚みは、一度に稼ぐことができません。回数を分けて、乾かして、また塗る——その手間をかけた分だけ効く構造になっています。
だから施主として確認すべきは、製品名ではなく塗布量と塗り回数です。
- 見積書に塗り回数が書かれているか「ガイナ塗装一式」ではなく、何回塗るのかが書かれているかを見てください。
- 使う缶数が書かれているか公式の目安は0.20〜0.23kg/㎡×2回。塗る面積に対して缶数が少なければ、薄いということです。設計価格表にも「塗布量・塗り重ね回数は、製品への希釈量(上水)・表面仕上げの状況により変動します。お見積りの際は、ご注意下さい」と書かれています。
- 乾燥時間を取れる工程になっているか公式の乾燥時間は夏期で約2時間、冬期で約4時間。「環境によって乾燥状態は異なりますので塗装面が乾いてから上塗り作業に移って下さい」とあります。工期を詰めると、ここが削られます。
塗れる日が限られます
これも要領書に明記されています。
施工条件(公式・原文)
「雨天、強風、多湿の日を避け、天気の良い日を選んで塗装して下さい。(水性塗材ですので、気温5℃以上、湿度65%以下の環境で施工して下さい。)」
湿度65%以下という条件は、日本の気候だとそれなりに効きます。梅雨どきや夏の蒸す日は、この線を超える日が珍しくありません。「天気が良ければ塗れる」ではなく、湿度も見る必要があるということです。
工期が読みにくくなる、という言い方もできます。逆に言えば、条件の悪い日に無理やり進める会社かどうかが分かる塗料でもあります。
製造後3ヶ月以内・ネット販売は正規ルートではない
流通についても、公式がはっきり書いています。
- 「品質・性能確保の為、製造後3ヶ月以内に使い切ってください」(施工要領書)——長く在庫できる材料ではありません。
- 「日進産業及び日進産業の代理店・販売店等はGAINA・ノン結露のインターネット販売を行っておりません。インターネットで売られているGAINAにつきましては正規販売ルートではないため品質の保証はできません」(公式サイト)——DIYで買って塗る、という選択肢が事実上ありません。
- 「現場又は施工店での調色・他の塗料の混入は、性能の著しい低下になりますので絶対に行わないで下さい」(設計価格表)——「絶対に」という言葉が使われています。色は既定の中から選ぶことになります。
DIYで外壁を塗ることそのものについてはDIYのページに線引きを書きましたが、ガイナに関してはメーカー側が入口を閉じていると理解しておくのが正確です。
公式の設計価格——外壁の材工価格は公開されていません
日進産業は設計価格表を公開しています。ただし読み方に注意が要ります。
| 区分 | 内容 | 設計価格 |
|---|---|---|
| 材料のみ (白色) | ペール缶 14kg/缶(標準塗装面積25〜35㎡) | 66,000円 |
| ペール缶 7kg/缶(標準塗装面積12〜17㎡) | 42,000円 | |
| 材料のみ (着色) | ペール缶 14kg/缶(標準塗装面積25〜35㎡) | 68,000円 |
| ペール缶 7kg/缶(標準塗装面積12〜17㎡) | 43,000円 | |
| 材工 | 屋根面塗装のみ(白色) | 4,300円/㎡ |
材料価格は消費税・送料が含まれていません(公式注記)。材工価格は「300㎡以上の屋根へ施工した際の材料工事費共の価格」で、公式に「内・外装壁面や公共工事仕様は、別途お問合せください」と書かれています。さらに「上記価格とは別に、下地塗装(プライマー等)・洗浄・ケレン・下地補修・足場代などが加算されます」とあります。
ここで気づいてほしいことが2つあります。
- 公開されている材工価格は「屋根」だけガイナは外壁の断熱塗料として語られることが多いのに、外壁の㎡単価は「別途お問合せ」です。つまり外壁の相場を公式の数字で確かめる手段が、施主側にありません。だからこそ複数社に出してもらう意味が大きくなります。
- 材料費だけで、他社の「材工価格」に近い水準になります白色14kg缶66,000円を標準塗装面積25〜35㎡で割ると、材料費だけで㎡あたり約1,900〜2,600円(税別・送料別)。ここに下地塗装・洗浄・ケレン・下地補修・足場代、そして手間賃が乗ります。「ガイナは高い」と言われる理由は、この構造にあります。
- 🔺実際の見積もりは、公式の数字よりかなり高くなると考えてください材工の4,300円/㎡は300㎡以上の屋根が基準です。戸建て1棟はその規模にまったく届きません。面積が小さいほど足場も養生も移動も1㎡あたりの負担が重くなり、さらにガイナは塗り回数と乾燥待ちで工程が伸びる塗料です。公式の数字は下限の目安であって、見積書の予想額ではありません。
他社が公開している数字と比べたい方は、エスケープレミアムシリコン(設計価格2,920円/㎡・材工共)やパーフェクトトップのページをご覧ください。ただし「材料のみ」と「材工共」を並べて引き算しないでください。比べているものが違います。
白がいちばん安く、遮熱で効くのも白です
設計価格表をもう一度見てください。白色14kg缶が66,000円、着色が68,000円。白がいちばん安いのです。
そして当サイトが遮熱塗料・断熱塗料のページでずっと書いてきた結論が、「最強の遮熱塗料の答えは、製品ではなく色」——つまりいちばん効くのは白です。日射を反射するのは塗料の名前ではなく、色そのものだからです。
つまりガイナにおいて、白は「いちばん安く、いちばん効く」選択になります。迷ったときの基準として、これは覚えておく価値があります。
逆に言えば、濃い色を選んだ時点で、遮熱の面では不利を背負います。それでも意匠を優先するのは施主の自由ですが、「濃い色にして、遮熱効果も期待する」は噛み合いません。色と値段の関係は色のページに、汚れの目立ちにくさはグレーのページにまとめています。
ざらついた表面には、汚れが溜まります
ガイナを調べると、施工会社のブログで「表面がざらつくので汚れが付きやすい」という指摘によく出会います。これは印象論ではありません。汚れがなぜ付くのかを、塗料メーカー自身が説明しています。
エスケー化研が「超低汚染性」を説明している文章(公式)
「一般的な塗料は塗膜の表面にあるわずかな隙間に汚れが付着してしまいますが、エスケープレミアム無機シリーズは緻密な塗膜表面で構成されており、汚れの定着を防ぎます」
同社は汚れにくさのポイントを「親水性の高さ、低帯電性、高い架橋密度」の3つだと説明しています。表面が緻密であるほど汚れが定着しにくい、という整理です。
これを裏返すと、表面に凹凸のある塗膜は、汚れが留まりやすいということになります。ガイナはセラミックを含む塗料で、施工要領書にも「セラミックが上部に浮いてきますので」——缶の中で分離するほどの粒が入っている、と書かれています。仕上がりの表面がざらつくのは、その構造から来ています。
ですから当サイトの見方はこうです。ガイナは、汚れの面で有利な塗料ではありません。これは製品の欠陥という意味ではなく、断熱・遮熱・防音を取りにいった設計の裏側にある性質だということです。実際、公式が前面に掲げているのも断熱・遮熱・防音・保温であって、低汚染性ではありません。※カタログ全体を確認したわけではないため「低汚染性の記載が一切ない」とまでは断定しません。
白を選ぶときの、正直な話
この記事では「白がいちばん安く、遮熱でもいちばん効く」と書きました。ただし白は、汚れがいちばん目立つ色でもあります。ざらつく表面と白の組み合わせは、汚れの点では厳しい方向に振れます。
だからこそ、立地で判断してください。交通量の多い道路沿い、北面が湿りやすい、周りに土や植栽が多い——そういう条件が重なる家では、汚れは確実に効いてきます。色の選び方はグレーのページに、汚れの正体が生き物のときはコケ・カビのページにまとめました。
実務的な結論はシンプルです。いま困っているのが「汚れ」なら、ガイナはその悩みに答える製品ではありません。汚れ対策を主戦場にした製品は別にあります(エスケープレミアム無機)。ガイナを選ぶ理由は、あくまで断熱・遮熱・防音の側にあるはずです。
断熱と遮熱は、別のものです
ガイナは断熱塗料として知られています。ただし「断熱」と「遮熱」は違うものなので、期待するものを取り違えないでください。
ざっくり言えば遮熱は日射を跳ね返す話、断熱は熱の伝わりを遅くする話です。要領書の塗布量にも「遮熱仕様」と「遮熱・防音仕様」という2つの書き分けがあり、塗膜が厚いほど防音性・断熱性・保温性を発揮すると書かれています。厚み=断熱側の性能という関係です。
効果の実感については、家の断熱構造や窓の条件で大きく変わります。この整理は遮熱塗料・断熱塗料のページに、屋根側の話は屋根塗装のページにまとめました。
よくある質問
ガイナのいちばんのデメリットは何ですか?
当サイトの整理では「施工に条件が多いこと」です。撹拌3分以上・電動撹拌機、厚く塗りたいが一度に厚塗りは不可、気温5℃以上・湿度65%以下、乾燥時間の確保、製造後3ヶ月以内——いずれもメーカー自身が要領書に書いている条件です。裏を返せば、手を抜くと性能が出ないということでもあります。
認定施工店に頼まないとダメですか?
「ダメ」と書かれた記述は確認していません。ただし日進産業は認定施工店を「GAINAの豊富な施工実績や高度な技術を持っている施工店」と説明しており、施工動画・施工ガイド・施工要領書を施工店向けに用意しています。施工の巧拙が出る製品だという前提で、施工経験を確認するのは合理的です。
つやは選べますか?
公式資料からは、つやの段階を選べるという記述を確認していません。一般に、つやを含む仕上がりの好みが強い方は、先に仕上がりのイメージを施工店と共有しておくほうが安全です。つやそのものの考え方はつやのページへ。
ガイナの上から、別の塗料で塗り替えできますか?
当サイトはガイナの上への塗り重ねについて、公式の可否を確認できていないので断定しません。一般論として、特殊な機能を持つ塗膜は次の塗り替えの選択肢を狭めることがあります。塗り替えは次の塗り替えの前提を作る工事なので、契約前に「次に塗り替えるときはどうなりますか」と聞いておくと安全です。同じ論点はジョリパットのページや打ちっぱなしのページでも扱っています。
屋根に塗るのと外壁に塗るのでは、どちらが効きますか?
効果の比較は当サイトでは断定しません。ただし公式が材工の設計価格を出しているのは屋根だけで、外壁は「別途お問合せ」です。屋根が主戦場として想定されているとは言えます。屋根の塗り替え全般は屋根塗装のページへ。
結局、うちに向いていますか?
判断の順番はこうです。①いま困っているのは暑さ・寒さ・音か、それとも汚れやひび割れか——後者ならガイナではありません。②屋根に塗るのか外壁なのか。③施工経験のある会社が近くにいるか。この3つが揃って初めて候補になります。
最終確認日:2026年8月22日。引用した施工要領書は「平成26年9月現在」と記載のあるもの、設計価格表は公式サイトで公開されているものです。仕様・価格・流通の条件は変更されることがあります。実際の適用可否と最新情報は、メーカーおよび施工店にご確認ください。
あわせて読みたい
遮熱塗料・断熱塗料
結局いちばん効くのは色です
エスケープレミアム無機
悩みが「汚れ」ならこちら側の話
エスケープレミアムシリコン
設計価格を公開している製品との比べ方
色の選び方
色で値段が変わる話
外壁塗装のDIY
ガイナは入口が閉じています
屋根塗装
公式が材工価格を出しているのは屋根だけ
参考にした情報
- 株式会社日進産業「ガイナ施工要領書」(公式サイトで公開・平成26年9月現在の表記)——撹拌の指示(セラミックが上部に浮く/3分以上/電動撹拌機が最大のポイント/撹拌羽の形状)、希釈量(刷毛・ローラー0〜1,500cc、ガン吹き0〜3,000cc)、厚塗りと亀裂に関する記述、塗布量(遮熱仕様0.20kg/㎡×2回・遮熱防音仕様0.23kg/㎡×2回)、乾燥時間(夏期約2時間・冬期約4時間)、施工条件(雨天・強風・多湿を避ける/気温5℃以上・湿度65%以下)、保管と製造後3ヶ月以内の使用、保護具に関する記述
- 株式会社日進産業「ガイナ設計価格表」(公式サイトで公開)——材料のみの設計価格(白色・着色/14kg缶・7kg缶)と標準塗装面積、材工の設計価格(屋根面塗装4,300円/㎡)、注記(消費税・送料を含まない/300㎡以上の屋根が基準/内外装壁面は別途問合せ/下地塗装・洗浄・ケレン・下地補修・足場代は別途加算/塗布量と塗り重ね回数は変動/現場や施工店での調色・他塗料の混入は絶対に行わない)
- GAINA公式サイト「認定施工店のご紹介」——認定施工店の定義「GAINAの豊富な施工実績や高度な技術を持っている施工店です」
- GAINA公式サイト「GAINA施工サポート」——インターネット販売に関する記述(正規販売ルートではないため品質の保証はできない)、施工動画・施工ガイド・施工要領書・設計価格表の公開