外壁塗装の艶あり・艶なし——「艶消しは長持ちしない」は、メーカーの回答と違います

色は決まったのに、最後に残るのが艶をどうするかです。調べると「艶消しはおしゃれだけど耐久性が落ちる」という説明が出てきて、迷ったまま業者に任せてしまう——よくある流れだと思います。ですが、この点については塗料メーカー自身が答えを公開しています。エスケー化研は、よくあるご質問のなかで「艶によって耐久年数は変わりますか」という問いに対し、「艶の差による耐久年数の差はほとんどありません」と回答しています。では、艶を変えると何が変わるのか。実際に変わるのは3つです。

このページの内容

結論——艶で「もち」は決まりません

まず、いちばん誤解されている点から。エスケー化研の「よくあるご質問」には、次のやりとりが載っています。

メーカーの回答

Q.「艶によって耐久年数は変わりますか。」
A.「艶の差による耐久年数の差はほとんどありません。」

もうひとつ、同社の遮熱塗料に関するQ&Aでは、艶の種類がある製品について「それぞれの艶による遮熱効果に差はありません」とも説明されています。持ちも、遮熱の効きも、艶では変わらない——これがメーカー側の見解です。

では、何が塗装の持ちを決めているのか。樹脂のグレードのほうです。ウレタン・シリコン・ラジカル・ふっ素・無機——この軸で年数が変わります。詳しくは塗料の種類のページにまとめました。「艶消しにすると寿命が縮む」と説明された場合は、その根拠を聞いてみてください。

艶は5段階。ただし製品によって選べる幅が違います

艶の呼び方は、メーカーの説明がそのまま基準になります。エスケー化研は「製品によって艶有り、7分艶、5分艶(半艶)、3分艶、艶消しの5種類があり、順に艶を抑えた仕上がりになります」としています。

見え方
艶あり光沢がしっかり出ます。新築のような仕上がり
7分艶やや光沢を抑えた仕上がり
5分艶(半艶)中間。落ち着いた印象になります
3分艶かなりマットに近づきます
艶消し光沢のない、しっとりした仕上がり

ここで実務上いちばん大事なことを書きます。5段階すべてが、どの製品にも用意されているわけではありません。メーカーの製品ページを見ると、艶の展開は製品ごとに違います——たとえば同じエスケー化研でも、艶有り・7分艶・5分艶・3分艶まで(=艶消しがない)という製品もあれば、艶有り・半艶・3分艶・艶消しという製品もあります。

だから、順番はこうなります

先に塗料(グレードと製品)を決めて、そのあとで、その製品に用意されている艶から選ぶ。「艶消しにしたい」を先に固めてしまうと、選べる製品のほうが狭まります。もし艶消しを強く希望するなら、見積もりの段階で「この製品に艶消しはありますか」と聞いてください。製品名が見積書に書いてあれば、メーカーのページで自分でも確認できます。

では、何が変わるのか(3つ)

耐久年数でも遮熱効果でもないとすれば、艶を変えると何が変わるのか。実際に効いてくるのは次の3つです。

変わるもの中身
① 汚れの目立ち方艶を落とすほど、汚れが付きやすく・目立ちやすくなります。次の章で詳しく書きます
② 価格艶を落とすと、多少の割増になることがあります。大きな差ではありませんが、ゼロでもありません。見積もりの段階で確認できます
③ 見た目の印象同じ色でも、艶があると明るく・鮮やかに、艶を落とすと落ち着いて見えます。面積が大きいほど艶の影響は強く出ます

なお、製品によっては最初から艶消しのものもあります。その場合は選ぶ必要がありません。

艶消しの弱点は、耐久性ではなく「汚れ」です

ここが、このページでいちばん実用的な部分です。実務者に取材して確認したのは、次の点でした。

現場から見た艶消し

「艶消しは汚れがつきやすく、そして目立ちやすい」。表面に細かな凹凸ができるぶん、汚れが留まりやすくなります。

塗膜が壊れるわけではありません。持ちは変わらない——それはメーカーの回答どおりです。ただ、「きれいに見えている期間」は変わりえます。落ち着いたマットな外観は魅力ですが、幹線道路沿い、交通量の多い道路に面している、周りに畑や土がある——そうした環境では、艶を残しておいたほうが長くきれいに見えます。

汚れそのものの落とし方や、コケ・藻が出やすい面の話はコケ・カビのページに、汚れが目立ちにくい色の考え方はグレーのページにまとめています。

環境で決める——選び方の順番

好みで決めて構わない部分ではありますが、迷ったときは家の建っている環境から逆算すると答えが出ます。

こういう家は向いている方向
交通量の多い道路に面している/土や畑が近い艶を残す(艶あり〜7分艶)。汚れが留まりにくい
落ち着いた外観にしたい/濃い色を使う3分艶〜半艶あたりが無難。濃色は艶があるとテカリが強く出ます
和風・塗り壁調の質感を大事にしたい艶消し寄り。ただし汚れの前提を理解したうえで
とにかく長くきれいに見せたい艶あり。新築のような光沢が出ます

写真では分かりません

艶は、光の当たり方でまったく違って見えます。カタログの小さな見本やスマホの画面では判断できません。可能なら実際に塗った板(塗り板)を見せてもらい、屋外で、時間帯を変えて見るのが確実です。色の見え方と同じ考え方なので、詳しくは色のページをどうぞ。

よくある質問

艶消しにすると、遮熱効果は落ちますか?

メーカーの説明では、艶による遮熱効果の差はないとされています(エスケー化研の遮熱塗料Q&A)。遮熱で効いてくるのは艶ではなくのほうです。この話は遮熱塗料・断熱塗料のページで扱っています。

「テカテカして安っぽい」と言われました。どうすれば?

艶ありの光沢が強く感じられる場合、7分艶か5分艶(半艶)に落とすだけで印象が変わります。いきなり艶消しまで行く必要はありません。濃い色ほど艶の反射が目立つので、色と艶はセットで考えてください。

何分艶が人気ですか?

「これが正解」という艶はありません。周りの家との並び、外壁の色、汚れやすさで最適が変わるからです。人気を基準にするより、前の章の環境別の考え方で決めるほうが、あとから後悔しにくくなります。

艶ありにしても、何年かすると艶は引けていきますか?

年数とともに光沢が落ちていくのは一般的な現象です。ただし「何年で艶がなくなる」と言える数字は、このサイトでは書きません。立地・方角・日当たりで変わるからです。艶が引けたあとに白い粉が出てくる(チョーキング)状態になれば、それは塗り替えの検討サインになります(チョーキングのページ)。

途中で艶だけ変更できますか?

発注前なら変えられます。ただし塗料は艶ごとに別の製品として発注されるため、材料が手配されたあとの変更は難しくなります。迷っているなら契約の前に相談してください。

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参考にした情報

  • エスケー化研株式会社「よくあるご質問/塗料の性能について」——「艶によって耐久年数は変わりますか。」に対する「艶の差による耐久年数の差はほとんどありません。」という回答、および「当社では、製品によって艶有り、7分艶、5分艶(半艶)、3分艶、艶消しの5種類があり、順に艶を抑えた仕上がりになります」という艶の種類の説明(2026年8月21日確認)
  • エスケー化研株式会社「遮熱塗料に関するQ&A」——艶の種類による遮熱効果の差に関する説明
  • エスケー化研株式会社 製品情報——製品ごとの「艶の状況」欄(製品によって選べる艶の展開が異なることの確認)
  • 塗料の販売・調色に携わった経験のある実務者への取材(艶消しの汚れやすさ、艶を落とした場合の価格の扱い)

艶の展開・価格の扱いは、メーカーと製品によって異なります。実際に選べる艶と金額は、使用する製品の最新のメーカー資料と見積書でご確認ください。最終確認日:2026年8月21日。