外壁のチョーキングとは?粉が出たら、まず何をするか

外壁を触ったら、手に白い粉がついた。これがチョーキング(白亜化)です。先に結論を3つ書きます。粉は洗えば落ちます。落としても直りません。そして、チョーキングだけなら今日明日の話ではありません。ぬりごろは塗装工事を売っていないので、急かさずに書きます。

このページの内容

粉を見つけた日に、やっておくこと

あとで業者に見てもらうことになります。そのときに材料が残っているかどうかで、話の進み方がかなり変わります。難しいことではありません。3つだけです。

洗い流す前に、写真を撮る

手についた粉と、こすった壁の跡。この2枚があれば、現地調査に来た会社に同じ状態を見せられます。先に洗ってしまうと、症状が一時的に消えます。複数社に見積もりを出してもらうとき、全社が同じものを見て話せるようにしておくのが得です。

4面すべてを、こすってみる

南面と西面だけ粉が出るのか、それとも北面まで出るのか。面によって進み方が違うのが普通で、全面に均等に出ているなら、前回の塗装からかなり時間が経っているか、前回の塗り方に理由があります。ここは見積もりのときに聞ける材料になります。

その場では契約しない

粉を指摘してきたのが訪問してきた業者なら、なおさらです。チョーキングは、その日のうちに決めなければいけない症状ではありません。理由はこのページの最後に書きます。

チョーキングで壊れているのは「樹脂」です

塗料は大まかにいうと、色をつける顔料と、それを壁に固めておく樹脂でできています。塗った直後は樹脂が顔料を抱え込んでいて、触っても手につきません。

この樹脂が、日射(紫外線)と雨風で少しずつ分解していきます。抱えていたものが緩むと、顔料が表面に取り残されて粉として現れます。これがチョーキング=白亜化と呼ばれる状態です。

粉は「結果」であって、原因ではありません

ここがいちばん大事なところです。粉が壁を傷めているのではなく、塗膜の樹脂が寿命に近づいた結果として粉が出ています。だから粉を取り除いても、塗膜の状態は変わりません。

そして樹脂が弱るということは、色が褪せるという話にとどまりません。多くの家では塗膜そのものが雨を止める役目を負っています。その理由と、どこまで進むと塗装では手が届かなくなるのかはこちらのページで扱っています。

「じゃあ何年で出るのか」は、塗料のグレードと立地で変わるため、一律には言えません。同じ年に建った同じ家でも、日の当たり方と前回の下地処理で差がつきます。年数の目安については基礎知識のトップで解説しています。

落とし方を探している方へ——落ちます。でも直りません

「チョーキング 落とし方」「外壁 粉 洗浄」で調べている方が多いので、正直に書きます。

粉は水で落ちます。ホースで流し、やわらかいブラシで軽くこすれば、見た目はきれいになります。特別な洗剤も要りません。

ただし、落とした翌週にまた手につくようになります。前の項目のとおり、粉は結果だからです。洗って消えるのは症状であって、塗膜の寿命ではありません。「洗ったら白くなくなったので、まだ大丈夫だと思っていた」という誤解が、いちばん起きやすいところです。

粉を落とすのは、本来は塗装工事の1工程です

塗り替えのときは、必ず最初に高圧洗浄で粉と汚れを落とし、しっかり乾かしてから塗ります。粉が残ったまま塗ると、新しい塗料が古い粉の上に乗ることになり、密着せず早く剥がれます。

つまり「洗浄」と「乾燥時間」は、手を抜こうと思えば抜ける工程です。見積書に高圧洗浄が項目として書かれているか、工程表で洗浄の翌日に塗り始めていないか。ここは施主でも確認できます。

なお、ご自身で高圧洗浄機を使うのはおすすめしません。傷んだシーリングやサッシまわりは、業者でも水の当て方に気を使う場所です。近くから強く当てれば、隙間から中に水を入れてしまいます。洗うなら、ホースの水圧まで。そもそも、洗って粉が消えても得られるのは見た目だけです。

急ぐ症状と、急がない症状

外壁に出る症状は、「計画を立て始める段階のもの」と「水がすでに入っている可能性があるもの」の2つに分かれます。チョーキングは前者です。

粉が出ていた——このあと、どう動くか

チョーキングを見つけたあとの判断の流れ 粉が出ているかを確認し、粉だけであれば急がず数か月かけて業者を選ぶ。剥がれ・膨れ・シーリングの切れ・深いひび割れを伴う場合は、季節を待たずに見てもらう。いずれの場合もその場で契約はしない。 壁をこすったら、手に粉がついた 4面すべてで確認し、洗う前に写真を撮る ほかに出ている症状はありますか? 粉・色あせ・軽いコケだけ 急ぎません。数か月かけて選べます 相場を調べる → 3社に見てもらう → 春か秋の空いている時期に依頼 剥がれ・膨れ・目地の切れ 水の入り口が、すでに開いています 季節を待たず、一度見てもらう (それでも、比べる時間は取れます) どちらの場合も、その場で契約はしない
粉だけなら、急ぐ理由はありません。分かれ目は「水の入り口が開いているかどうか」——ここが右側に進む条件です。そして右に進んだ場合でも、複数社に見てもらう時間までは失われません。

症状の一覧(コケ・錆・色あせを含む7項目)は基礎知識のトップにまとめてあります。ここから先は、検索されることの多いひび割れ・剥がれ・コーキングの3つを掘り下げます。

ひび割れの「0.3mm」は、木造の壁の基準ではありません

外壁のひび割れを調べると、ほぼ必ず「幅0.3mm以上は構造クラックなので危険」という説明が出てきます。この数字がどこから来ているのか、一次資料に当たりました。

出どころは「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」(平成12年建設省告示第1653号)です。国が、ひび割れなどの不具合と「構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性」の関係をレベル1〜3で示したものです。原文を読むと、こうなっていました。

幅0.3mm・0.5mmという数字が出てくるのは、鉄筋コンクリート造の壁と、基礎です

告示の表は住宅の種類ごとに分かれており、木造住宅の壁については、ひび割れの幅の数値がそもそも定められていません。木造の壁で国が見ているのは幅ではなく、そのひび割れが「どこまで届いているか」です。

モルタルのような湿式仕上げの壁の場合、木造住宅の判定はこう書かれています。

木造住宅の壁——国の基準が見ているのは「幅」ではなく「深さ」

木造住宅の壁のひび割れレベル判定 レベル1は仕上げの表面にとどまるひび割れ、レベル2は下地材または構造材の表面まで貫通したひび割れ、レベル3は仕上材と下地材または構造材にまたがったひび割れ。レベルが上がるほど構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が高いとされる。 レベル1 仕上げの表面まで レベル2・3に当てはまらない ひび割れ 可能性は「低い」 レベル2 下地材・構造材の 表面まで貫通 壁の中まで届いている 「一定程度存する」 レベル3 仕上材と下地材・ 構造材にまたがる 構造側までつながっている 可能性は「高い」 ※判定の対象は「構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性」です 幅0.3mm・0.5mmという数値が定められているのは、 鉄筋コンクリート造の壁と、基礎です
出典:住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準(平成12年建設省告示第1653号/最終改正 平成18年国土交通省告示第308号)のうち、木造住宅・湿式の仕上材による仕上げの表。

誤解のないように補足します。この告示は、新築時に建設住宅性能評価書が交付された住宅で、完成から10年以内に起きた不具合について、紛争処理の参考にするための基準です。築15年の家の塗り替え判断にそのまま当てはめるものではありません。

それでも意味があるのは、国が「木造の壁のひび割れをどう見るか」を示した数少ない公的な物差しだからです。そこで採用されている軸が、幅ではなく深さだった。この事実は知っておいて損がありません。

いっぽうで、業者が0.3mmを目安に使うこと自体は間違いではありません。実務では「塗装のときの補修材で埋められるか、下地の補修が別途必要か」の分かれ目としてよく使われる数字です。ただしそれは工事の手間を分ける実務上の目安であって、国が木造の壁について定めた危険度の基準ではない——ここは分けて考えてください。

では施主は何を見ればいいのか。幅を測るより、次の3つを写真に撮って現地調査で見せるほうが役に立ちます。

  • 奥行きひびの中が黒く見える/雨のあと、そこだけ濡れ色が長く残る表面だけの髪の毛程度のひびなら、こうはなりません。水が入っている可能性を示す観察です
  • 変化去年より伸びている・増えている同じ場所を毎年同じ角度で撮っておくと比較できます。動いているひびは、止まっているひびと扱いが違います
  • 位置窓やサッシの角から斜めに走っている開口部の角は力が集中する場所で、業者が必ず確認するところです。位置まで伝わると話が早くなります

剥がれと、コーキングの切れ

ひび割れと並んで検索されるのがこの2つです。どちらもチョーキングより優先度が高いので、粉と一緒に見つけたら扱いを変えてください。

塗膜の剥がれ・膨れ

塗装が浮いている、めくれている、ぷくっと膨らんでいる。これは塗膜と壁の間に何かが入り込んでいる状態で、多くは水です。粉と違って、放置しているあいだも進みます。

もうひとつ、前回の施工が原因のこともあります。下地処理や洗浄が足りないまま塗ると、塗料のグレードに関係なく早く剥がれます。前回の塗り替えから数年しか経っていないのに剥がれている場合は、その可能性を業者に伝えてください。同じ塗り方をされないためです。

コーキング(シーリング)の劣化

サイディングの縦の目地や、サッシのまわりに詰まっているゴム状の材料です。指で押してみて、硬い・ひび割れている・痩せて隙間ができているなら傷んでいます。ここが切れていると、塗膜が無事でも水は入ります。

見積もりを取るときは、シーリングの扱いが「打ち替え」なのか「増し打ち」なのかを確認してください。打ち替えは古いものを撤去して新しく充填する方法、増し打ちは既存の上から足す方法です。手間も金額も違うので、見積書に書かれていなければ聞くべき項目です。書かない業者が悪いというより、聞けば必ず答えてくれる部分だと考えてください。

金額の内訳がどうなっているかは相場・費用ガイドに、うちの規模だといくらの話になるのかは費用シミュレーターで確認できます。

訪問販売が必ずチョーキングを使う理由

最後に、いちばん実用的な話をします。訪問してくる業者がチョーキングを持ち出すのには、はっきりした理由があります。

どの家でも、必ず見つかる

塗り替えから年数が経った家なら、日の当たる面をこすれば大抵は粉が出ます。誰の家でも作れる「証拠」だから、話の入口として使いやすいのです。

目の前で見せられる

壁をこすって手を見せる。屋根の写真と違って、施主自身がその場で確認できます。指摘されている内容は、たいてい本当です。

嘘なのは「今すぐ」だけ

粉が出ている事実と、今日契約すべきという結論のあいだには何もありません。ここだけが飛躍です。証拠が本物なので、結論まで正しく聞こえてしまいます。

ですから、断り方も簡単です。「粉が出ているのは分かりました。何社かに見てもらってから決めます」——これで十分です。本当に急ぐ症状なら、次に呼んだ会社も同じことを言います。急かす側がいちばん嫌がるのは、値引きの拒否ではなく「持ち帰って比べます」の一言です。

すでに契約してしまった方へ。訪問販売の契約は、法定の書面を受け取った日を含めて8日以内なら無条件でやめられます。工事が始まっていてもです。手順と相談窓口は外壁塗装のトラブルとクーリングオフにまとめました。

逆に「粉が出ているけれど、うちは本当に塗る必要があるのか」という疑問が残っている方は、外壁塗装は意味ない?しないとどうなる?をご覧ください。塗らなくていい家の条件と、放置がどこから塗装では戻せない金額になるのかを、金額の差で書いています。

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参考にした情報

  • 住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準(平成12年7月19日建設省告示第1653号/最終改正 平成18年2月23日国土交通省告示第308号)——国土交通省が公開している告示本文PDFを参照
  • 住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第70条
  • 塗料メーカー各社が公開している塗装工程・施工仕様に関する資料
  • 塗料の販売・調色に携わった経験のある実務者への取材

記載の内容は一般的な目安です。実際の外壁の状態・ひび割れの深さ・補修の要否は、建物を直接見た業者にご確認ください。最終確認日:2026年8月17日。