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外壁の種類の見分け方——決め手は「厚さ」です。14mmと35mmで分かれます

「うちの外壁は何ですか」と聞かれて答えられない——それで困ることは、暮らしのなかではまずありません。困るのは見積もりを取るときです。国の仕様書は、下地の整え方も塗料の塗り方も素地ごとに別の表にしているので、外壁材が決まらないと工事の中身が決まらないからです。このページでは、定規1本とスマートフォンだけでできる見分け方を、規格の数字で整理しました。いちばん確実なのは厚さで、窯業系サイディングは14mm以上、ALCパネル(薄形)は35mm以上。2倍以上違います。

先に答えを書きます

  • いちばん確実なのは「厚さ」です。窯業系サイディングはJISで厚さ14mm以上、ALCパネル(薄形)は35mm以上。2倍以上違うので、窓まわりで断面が見えれば迷いません。
  • 次が「継ぎ目の間隔」。窯業系サイディングの標準は働き幅455mm、ALC薄形パネルは幅606mm以下。モルタルには継ぎ目がありません。
  • 見分けるのは、見た目のためではありません。国の仕様書は、下地の整え方も塗料の塗り方も素地ごとに別の表にしています。「うちの外壁は何か」は、見積書の前提です。
このページの内容全11項目

外壁材を知る——見積書と現地の説明を結びます

外壁材を知るの確認ポイント外壁材を知るを写真、書面、説明の三つで確認する図。写真を見る書面を読む理由を聞く言葉だけで決めず、根拠を残して判断する
確認する順番を決めてから、見積書と現地の説明を読みます。

なぜ見分けるのか——素地が変わると、塗料も工程も変わります

「うちの外壁は何ですか」と聞かれて答えられなくても、暮らしに困ることはありません。困るのは、見積もりを取るときです。

国土交通省の『公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版』を開くと、塗装の章の「下地調整」が、素地ごとに条を分けて書かれています。

公共建築改修工事標準仕様書 7章2節「下地調整」の条立て
対象の素地
7.2.2木部
7.2.3鉄鋼面
7.2.4亜鉛めっき鋼面
7.2.5モルタル面及びせっこうプラスター面
7.2.6コンクリート面、ALCパネル面及び押出成形セメント板面
7.2.7せっこうボード面及びその他ボード面

塗料を塗る節も同じで、たとえば耐候性塗料塗りは「鉄鋼面」「亜鉛めっき鋼面」「コンクリート面及び押出成形セメント板面」で節が分かれています。

つまり、素地が決まらないと、下地の整え方も塗料の組み立ても決まらないということです。「外壁塗装 一式」と書かれた見積書を見たときに、まず確かめるのはここになります。

ちなみに、どの表も答えは同じ方向です

素地ごとに表は分かれていますが、塗り替えの下地調整はどの素地でも「特記がなければRB種」——劣化してもろくなった部分を除去し、しっかり付いている塗膜(活膜)は残す——とされています。鉄鋼面も、亜鉛めっき鋼面も、コンクリート面・ALCパネル面も同じです。

「全部剥がすのが丁寧」ではありません。この考え方は鉄部塗装のページにも書きました。

順番に確認——見積書と現地の説明を結びます

順番に確認の確認ポイント順番に確認を写真、書面、説明の三つで確認する図。写真を見る書面を読む理由を聞く言葉だけで決めず、根拠を残して判断する
確認する順番を決めてから、見積書と現地の説明を読みます。

3分でできる判定手順——見る順番が決まっています

道具は定規1本とスマートフォンだけです。順番に見てください。

  • ①継ぎ目(目地)を探す外壁に、縦や横にまっすぐ走る継ぎ目があるか。継ぎ目があれば板を張った外壁(サイディング、ALC)、なければ塗り壁(モルタル、漆喰)か、コンクリートです
  • ②厚さを測る窓まわり、換気フードのまわり、出隅(角)、外壁の下端——このあたりで板の断面(小口)が見えます。定規を当ててください。ここが最大の決め手です
  • ③叩いてみる手の甲や指の関節で軽く。軽く高い音なら金属系、詰まった鈍い音なら窯業系やALCです
  • ④留め方を見る板の表面に釘やビスの頭が点々と見えるか。見えるなら釘打ち、見えないなら金具で留めています(年代が分かります
  • ⑤表面の表情を見る粒が吹き付けられた砂壁状ならモルタルの仕上げ、木目やレンガ調の柄が刷られているなら窯業系サイディングです

写真は3枚撮っておくと話が早いです

①外壁を正面から1枚(継ぎ目の入り方が分かります)②継ぎ目に寄って1枚(シーリングの状態も一緒に写ります)③断面が見えるところに定規を当てて1枚

この3枚があれば、電話やメールの段階で業者はかなり判断できます。「見に来ないと分かりません」で止まらずに済みます。

厚さを確認——見積書と現地の説明を結びます

厚さを確認の確認ポイント厚さを確認を写真、書面、説明の三つで確認する図。写真を見る書面を読む理由を聞く言葉だけで決めず、根拠を残して判断する
確認する順番を決めてから、見積書と現地の説明を読みます。

厚さで決まる——14mmと35mm

ここが、このページでいちばん確実な見分け方です。窯業系サイディングとALCパネルは、規格上の厚さが2倍以上違います。

窯業系サイディング=厚さ14mm以上

日本窯業外装材協会(NYG)の『窯業系サイディングと標準施工』は、JIS A 5422:2019の寸法の表を載せています。その表の厚さは14mmから始まり、26mmまで。つまりいまのJISに適合する窯業系サイディングは、14mm以上です。

ALCパネル(薄形)=厚さ35mm以上75mm未満

ALC協会は、ALCパネルについてこう説明しています。

厚形パネルの規格 厚さ75mm以上で主に鉄骨造、鉄筋コンクリート造などの耐火建築物に使用されるALCパネルです。
薄形パネルの規格 厚さ35mm以上、75mm未満で木造や鉄骨造に使用されるALCパネルです。厚さ50mmは鉄骨造、木造の建築物に、厚さ35・37mmは主に木造に使用されます。

同協会の「薄形パネルの種類と寸法」の表では、一般パネルの厚さが35以上75未満、幅が606以下と定められています(単位mm。厚さは「パネルの最も厚い部分」を指します)。

迷ったら、指で挟んでみてください

14mmは1円玉の直径(20mm)より薄い。35mmは500円玉の直径(26.5mm)より厚い。手で挟んだ感触だけでも、かなり違います。

断面が見えるのは、窓の下端、換気フードのまわり、外壁の一番下(土台水切りの上)、出隅の角。ここに定規を当てて、写真を撮ってください。数字で言えるようになると、相談の質が変わります。

継ぎ目の間隔——455mmと606mm

厚さが測れないときは、継ぎ目の間隔が次の手がかりになります。

NYGの標準施工は、サイディングを釘で留める場合についてこう書いています——「専用のくぎを用いて、幅455mmに対して両端部及び中央部の3本で留め付けることを標準とし」働き幅455mmが、窯業系サイディングの基準寸法です(横張りなら、横の継ぎ目が455mmごとに来ます)。

いっぽうALCの薄形パネルは、幅606mm以下。縦張りが基本なので、縦の継ぎ目が600mm前後で規則正しく並びます

継ぎ目と厚さの比較(規格の値)
厚さ継ぎ目の見え方
窯業系サイディング14mm以上(JIS A 5422:2019)働き幅455mmが標準横張りが多く、横の継ぎ目が規則的に並ぶ。縦の継ぎ目にはシーリング
ALCパネル(薄形)35mm以上75mm未満606mm以下縦張りが基本。縦の継ぎ目が600mm前後で並ぶ
モルタル—(塗り厚で決まる)継ぎ目がありません。かわりにひび割れが入ります
金属サイディング—(表面材は薄い鋼板+裏に断熱材)製品による叩くと軽い音。継ぎ目が目立ちにくい製品が多い

継ぎ目が無いのにひび割れがある——それはモルタルです。モルタルの壁は塗って仕上げるので、継ぎ目という概念がありません。逆に、板を張った外壁で「ひび割れ」に見えるものは、たいてい反りや欠けか、凍害です。

厚さが分かると、築年と留め方まで分かります

ここからは少し踏み込みます。窯業系サイディングの厚さには、年代の情報が入っています。

NYGの年表に、こう書かれています——窯業系サイディングの品質向上を目的にとした「JIS A 5422-2008 窯業系サイディング」改正公示、最小厚さを12mmから14mmに変更

つまり2008年を境に、規格の最小厚さが12mmから14mmに上がりました。そして窯業系サイディング材メンテナンス技術研究所は、厚みと留め方と工場塗装の対応を、次のように整理しています。

厚みと留め方と工場塗装の対応(窯業系サイディング材メンテナンス技術研究所の公開情報)
時期厚み留め方工場塗装
2008年以前12mm釘打ちアクリル系、ウレタン系
2008年以降14mm釘打ちアクリル系
2008年以降15・16・18mm金具留めトップ塗装はクリヤー塗料

2つの資料が、2008年という同じ年で一致しています。片方は規格の改正年、もう片方は現場の対応表です。

そして15mmという境目は、施工の基準にも出てきます。NYGの標準施工では、鉄骨下地の場合の下地ピッチが「サイディング厚さ15mm未満→606mm以下/サイディング厚さ15mm以上→1,000mm以下」と書き分けられています。

だから、こう読めます

  • 厚さ12mmで釘の頭が見える→ 2008年より前に張られた可能性が高い
  • 厚さ14mmで釘の頭が見える→ 2008年以降の釘打ち
  • 厚さ15mm以上で釘の頭が見えない→ 金具留め。そして工場のトップ塗装がクリヤー塗料のことがあります

最後の1行が、塗り替えの選択肢に効いてきます。留め方そのものの話は金具留めと釘打ちのページにまとめました。

釘の位置にも決まりがあります。NYGの標準施工は「原則としてサイディングの合いじゃくり部を除いた厚い部分より20〜35mmの位置に留め付ける」としています。端ぎりぎりに打たれた釘は、この基準から外れています。

築年から、当たりをつけることもできます

NYGは、新設戸建住宅市場における窯業系サイディングのシェアの推移を載せています(出典は一般社団法人 日本サッシ協会の「住宅用建材使用状況調査/戸建住宅」)。

新設戸建住宅市場における窯業系サイディングのシェア
窯業系サイディングその他外装材(モルタル・金属サイディング等)
1987年(昭和62年)24%76%
1993年(平成5年)54%46%
2002年(平成14年)69%31%
2009年(平成21年)74%26%
2020年(令和2年)80%20%

読み方はこうです。1980年代に建った家なら、4軒に3軒はサイディング以外——多くはモルタルでした。1990年代前半で、ようやく半々。2009年以降なら4軒に3軒がサイディングです。

もちろん、これは新築時のシェアなので、ご自宅がどちらかは分かりません。「この年代ならこちらが多い」という当たりを付けるための数字として使ってください。1980年代の家で継ぎ目が見当たらないなら、モルタルの可能性がかなり高い、という読み方です。

もうひとつの見分け——「張り方」が塗り替えを左右します

外壁材が何かを突き止めたら、次はその張り方です。じつは、塗り替えの成否にはこちらのほうが効きます。

窯業系サイディング材メンテナンス技術研究所は、塗り替え後にクレームが起きる根本原因を「診断に漏れが有る・知識が無い」こととし、そのなかで最も重要な判定項目に「外壁通気構法 空気層工法 直張り工法の判定」を挙げています。外壁材の名前より先に、この3つのどれかを見極めろ、ということです。

2001年が、もうひとつの境目です

NYGの資料に、はっきりした年が書かれています。

住宅の耐久性向上を目的として、壁体内の湿気や水分を排出させる「外壁通気構法」を平成3年に寒冷地域の標準工法とし、一般地域においては推奨工法としていた。その後、平成13年4月からは全国を対象に標準工法とした。

平成13年4月は2001年4月です。つまり——

  • 2001年より前に建った家防水紙の上にサイディングを直接張る「直張り」の可能性があります。とくに寒冷地以外では、通気構法は推奨にとどまっていました
  • 2001年以降に建った家全国で通気構法が標準です。壁の中に空気の通り道があります

厚さで2008年が読めるのに加えて、張り方で2001年が読める。この2つの年を押さえておくと、築年から逆算できることが増えます。

見分け方——外壁の一番下を見てください

通気構法なら、壁の中に入った空気が通り抜けるための入口が要ります。その入口は、外壁の一番下——土台水切りと外壁材の下端のあいだのすき間です。

NYGは、通気層の厚さについて「断熱材、防水紙などの施工精度を考慮して、15mm以上としている」としています。胴縁(外壁材を留めるために下地に打つ木材)の標準厚さも18mm以上です。

しゃがんで、外壁の下端をのぞいてみてください。すき間があって、奥に空気の通り道が見えるなら通気構法。外壁材が下地にべったり付いていて、すき間が無いなら直張りの可能性があります。このすき間の意味は外壁の水切りのページで詳しく扱いました。

直張りだと、塗料の選び方が変わります

直張りの壁は、壁の中の湿気が逃げにくいのが弱点です。そこへ湿気を通しにくい塗膜で蓋をすると、塗膜が膨れることがあります。

同研究所は、塗料についてこう書いています——「一般に水性塗料は同じ厚みの時に、弱溶剤系塗料に比べ湿気を逃がしやすいです」。逆に、無機系などの難付着の下地には「水性塗料は剥がれ易いので、弱溶剤系塗料から選択します」とも。

下地の張り方と、工場塗装の種類。この2つで塗料の候補が絞られます。「うちは通気構法ですか、直張りですか」——外壁材の名前と一緒に聞いてください。

継ぎ目に寄って撮った写真では、シーリングの状態も一緒に見られます。同研究所が挙げている新築時の目安は、シーリング目地の設計寸法が幅10mm・深さ5mm以上開口部回り・入隅のシーリング目地幅が10mm。細すぎる目地は、そもそもの設計から外れていることがあります。

種類別の早見表

戸建てで出会う外壁材を、判定のポイントでまとめます。

外壁材見分けるポイント詳しく
窯業系サイディング厚さ14mm以上/横の継ぎ目が455mmごと/木目・レンガ調などの柄/叩くと鈍い音サイディングの塗装
金属サイディング叩くと軽い高い音/表面が金属の質感/傷がつくと下が銀色金属サイディング
トタン(波板・角波)波や角の形が連続/金属/古い家に多いトタン外壁
ALCパネル厚さ35mm以上/縦の継ぎ目が600mm前後/表面に細かい気泡ALC外壁の塗装
モルタル継ぎ目が無い/ひび割れが入る/吹き付けの粒や櫛引きの模様モルタル外壁の塗装
タイル目地が格子状/硬い/塗らない選択があるタイル外壁
コンクリート打ち放し型枠の跡(丸い穴=セパ穴)が規則的に並ぶ打ちっぱなしの塗装

ハウスメーカーの家では、独自の名前が付いた外壁材が使われていることがあります。ただし材料の分類としては、上のどれかに当たります。分からないときは、新築時の書類(仕様書・図面)に品番が載っていることが多いので、そちらを探すのが確実です。

材料が決まったら、ここから——外壁材の記事24本の分かれ道

ここまでで、うちの壁がどれなのかは決まったはずです。あとは材料ごとに読む場所が変わります。下の表は、この6つの入口から24本ぜんぶにたどれるように並べたものです。自分の壁の行だけ見てください。

うちの壁まず読むそのあと読むもの
窯業系サイディング
厚さ14mm以上・継ぎ目455mm
サイディング外壁の塗装 クリヤー塗装で柄を残せるか難付着サイディングとは窯業系で後悔したという声/製品名から引くなら光セラフュージェとプレミアムイルミオ
サイディングの張り方・留め方
塗るか、張り替えるかの分かれ目
縦張りと横張り 金具留めと釘打ち外壁の張り替えカバー工法(重ね張り)
金属
叩くと軽い高い音
金属サイディング トタン外壁/板の素材から調べるならガルバリウムSGL鋼板
モルタル・塗り壁
継ぎ目が無い
モルタル外壁の塗装 このデコボコは何か(リシン・スタッコ・吹付タイル)/仕上げ材の名前で引くならジョリパットベルアート漆喰
ALCパネル
厚さ35mm以上・継ぎ目600mm前後
ALC外壁の塗装 ALCは塗装が防水そのものなので、下塗りと目地の扱いがほかの材料と違います
タイル・打ち放し・レンガ
塗らない選択がある側
タイル外壁のメンテナンス コンクリート打ちっぱなしレンガの外壁を塗りたい方へ

金属の壁は、屋根も金属のことが多いです。屋根まで一緒に調べる方は金属サイディングのページから屋根側(ガルバリウム屋根トタン屋根瓦棒屋根折板屋根)へ進めます。

JISは、サイディングを2種類に分けています

もうひとつ、知っておくと得をする分類があります。JIS A 5422:2019は、窯業系サイディングを製品の仕様によって2種類に分けています。

JIS A 5422:2019 表1「種類」
種類記号現場での化粧仕上げの必要性製品の仕様
化粧サイディングなし工場で基材の表面に印刷、塗装などの化粧仕上げを施したもの、工場で原料の一部として着色材料を混入したもの又は素地のままで使用するものを含む
現場塗装用サイディングあり現場で基材の表面に化粧仕上げをすることを前提に、工場でシーラーを施したもの

いま戸建てで多く使われているのは化粧サイディング(D)——工場で柄と色が付いた状態で届くものです。木目調やレンガ調の柄は、工場で印刷されています。

いっぽう現場塗装用サイディング(S)は、新築のときから現場で塗る前提の製品です。柄のない平らな板に、現場で吹き付けたり塗ったりして仕上げます。

「柄が無い=古い」ではありません

柄の無い平らなサイディングを見て「古いから色あせて柄が消えたのだろう」と考えてしまうことがありますが、最初から柄の無い製品(現場塗装用)もあります。

見分けは、継ぎ目と厚さが同じように出ているかどうか。板を張った外壁の形をしていて、表面だけが一様に塗られているなら、現場塗装用サイディングか、化粧サイディングを塗り替えた後です。「これは1回塗り替えていますか」と聞けば、業者はすぐ分かります。

中身が詰まっているか、空洞があるか

同じJISは、断面の形状も中実品(ちゅうじつひん)と中空品(ちゅうくうひん)に分けています。文字どおり、中が詰まっているものと、空洞があるものです。

規格の寸法表では、表面模様の深さの上限が、中実品と中空品で別に定められています(たとえば厚さ14mmなら中実品4.5mm以下・中空品3.0mm以下、厚さ18mmなら中実品7.5mm以下・中空品6.0mm以下)。中が空いているぶん、深く彫れないということです。

叩いたときの音が場所によって違うと感じたら、中空品の可能性があります。金属サイディングの「軽い音」とは別ものなので、そこは厚さで確かめてください。

見分けがつくと、塗料の話が変わります

ここまでで分かったことが、そのまま見積もりの話につながります。

①クリヤー塗装が選べるかどうか

厚さ15mm以上の金具留めの窯業系サイディングは、工場のトップ塗装がクリヤー塗料のことがあります。この場合、柄を活かしたまま透明の塗料で仕上げる(クリヤー塗装)という選択肢が出てきます。逆に、色あせや柄の傷みが進んでいるとクリヤーでは隠せません。

「うちはクリヤーでいけますか」——厚さと留め方が分かっていれば、この質問ができます。

②塗料が付きにくい外壁がある

窯業系サイディングの工場塗装は、同研究所によれば90%以上が工場で塗られていて、内訳は80%がアクリルシリコン系、残りが光触媒や無機系です。

このうち無機系などの難付着タイプは、上から塗るときに注意が要ります。研究所は「無機系など難付着塗装の場合、水性塗料は剥がれ易いので、弱溶剤系塗料から選択します」としています。下地を見ずに塗料を決めると、ここで失敗します。

③下地が金属だと、工程も金額も変わる

金属サイディングやトタンは、鉄部と同じ考え方で、下地調整(ケレン)と錆止めが入ります。国の仕様書でも「亜鉛めっき鋼面」は別の条です。同じ「外壁塗装」でも、中身がまるで違います。

塗料のグレードそのものの話は塗料の種類とグレードのページに、見積書の読み方は内訳のページにまとめています。

見積もりのときに確かめる質問

  • 素地うちの外壁は何ですか。厚さは何mmですか答えが「サイディングです」で止まるなら、厚さまで聞いてください。そこから先が決まります
  • 留め方釘打ちですか、金具留めですか15mmが境目です。塗り替えで選べる仕上げが変わります
  • 工場塗装工場の塗装は何系ですか。難付着の可能性はありますか無機系なら水性は剥がれやすいとされています。ここを飛ばした提案は危険です
  • 仕上げクリヤー塗装は選べますか。選べないなら理由は何ですか柄を残せるかどうかの分かれ目。理由が言える会社かどうかが見えます
  • 下地下地調整はどの種別の考え方ですか国の仕様書は素地ごとに表を分け、塗り替えは「活膜は残す」が標準としています
  • 比べるこの5つは、そのまま2社目にも聞けます同じ質問に対する答えの細かさで、会社の差がはっきり出ます

よくある質問

サイディングとALCの見分け方は?

厚さです。窯業系サイディングはJIS A 5422:2019の寸法表で厚さ14mm以上、ALCパネル(薄形)はALC協会の規格で厚さ35mm以上75mm未満。2倍以上違うので、窓まわりや外壁の下端で断面に定規を当てれば迷いません。

測れないときは継ぎ目の間隔です。窯業系サイディングは働き幅455mmが標準で横張りが多く、ALC薄形パネルは幅606mm以下で縦張りが基本です。

窯業サイディングの見分け方は?

厚さ14mm以上、叩くと鈍い音、そして表面に柄が刷られている——この3つです。木目調・レンガ調・石積み調といった模様は、工場で付けられています。

金属サイディングとの区別はがいちばん早いです。指の関節で軽く叩いて、高く軽い音なら金属系。傷のあるところを見て、下が銀色なら金属です。

ハウスメーカーの外壁の見分け方は?

ハウスメーカーごとに独自の商品名が付いていることがありますが、材料の分類としては、窯業系サイディング・ALC・金属サイディング・モルタル・タイルのどれかに当たります。名前で悩まず、厚さと継ぎ目と音で判定してください。

確実なのは、新築時の書類を探すことです。仕様書や図面に外壁材の品番が載っていることが多く、品番が分かればメーカーのサイトで施主でも調べられます。

外壁がモルタルかサイディングか分かりません

継ぎ目があるかどうかで分かれます。まっすぐな継ぎ目が規則的に走っていればサイディング、継ぎ目が無ければモルタルです。モルタルは塗って仕上げるので、板の継ぎ目という概念がありません。

ややこしいのは、モルタルの上から「目地に見える模様」を付けた仕上げです。この場合は、継ぎ目にシーリング(ゴム状の充填材)が入っているかを見てください。入っていればサイディングです。

外壁の厚さは、どこで測れますか?

窓の下端、換気フードのまわり、外壁の一番下(土台水切りの上)、出隅の角——このあたりで板の断面(小口)が見えます。定規を当てて写真を撮ってください。

どうしても見つからない場合は、点検口や、エアコンの配管が壁を貫通しているところでも見えることがあります。無理に外したりせず、見える範囲で探してください。

外壁の種類が分かると、何が変わりますか?

塗料も、工程も、金額の組み立ても変わります。国土交通省の改修工事の仕様書は、下地の整え方を木部/鉄鋼面/亜鉛めっき鋼面/モルタル面/コンクリート面・ALCパネル面/ボード面と、素地ごとに別の表にしています。塗料を塗る節も同じように分かれています。

つまり素地が決まらないと、工事の中身が決まらないということです。見積書が「外壁塗装 一式」で素地に触れていないなら、そこから聞いてください。

古い家で、塗り替えが何回もされています。元が分かりません

厚さと継ぎ目は、塗り重ねても消えません。塗膜は厚くても数百マイクロメートル(0.1mm台)なので、14mmと35mmの差は残ります。継ぎ目の位置も動きません。

むしろ古い家で大事なのは、釘の頭が見えるかどうかです。見えるなら釘打ちで、厚さが12mmなら2008年より前の可能性が高い。年代が分かると、次の工事の考え方が変わります。

柄の無い平らなサイディングです。古いからですか?

そうとは限りません。JIS A 5422:2019は、窯業系サイディングを化粧サイディング(D)と現場塗装用サイディング(S)に分けています。後者は現場で化粧仕上げをすることを前提に、工場でシーラーだけを施した製品で、最初から柄がありません。

もうひとつは、化粧サイディングを一度塗り替えた後という可能性です。どちらかは「これは一度塗り替えていますか」と聞けば分かります。前の塗料が何だったかは、次に塗る塗料の選び方に効いてきます。

通気構法か直張りか、どうやって見分けますか?

外壁の一番下を見てください。土台水切りと外壁材の下端のあいだにすき間があり、奥に空気の通り道が見えるなら通気構法です。NYGは通気層の厚さを15mm以上としているとしています。

築年からの当たりも付けられます。NYGによれば、外壁通気構法が全国で標準工法になったのは平成13年(2001年)4月から。それ以前に建った家、とくに寒冷地以外では、直張りの可能性があります。直張りだと塗料の選び方が変わるので、見積もりの前に確かめておく価値があります。

あわせて読みたい

サイディングの塗装

窯業系・金属系のメンテナンスと目地・反り

金具留めと釘打ち

15mmが境目。留め方で塗り替えの前提が変わります

金属サイディングの塗装

下地が金属だと工程も金額も変わります

トタン外壁の塗装

金属板の外壁だけ「3〜5年ごとに塗替え」

塗料の種類とグレード

素地が決まってから、塗料の話です

見積もりの内訳

「一式」で書かれた行の読み方

外壁材の判定は、塗装の会社にとっても仕事の入口です。だからこそ、答えの細かさに差が出ます。何社かに同じ写真を見せて、厚さと留め方まで説明してくれるかを比べてください

参考にした情報

  • 一般社団法人 日本窯業外装材協会(NYG)「窯業系サイディングと標準施工 第4版」——協会沿革の「窯業系サイディングの品質向上を目的にとした『JIS A 5422-2008 窯業系サイディング』改正公示、最小厚さを12mmから14mmに変更」の記載、JIS A 5422:2019の寸法及び許容差(表2、厚さ14〜26mm)、2.6.9サイディングのくぎ留め(「専用のくぎを用いて、幅455mmに対して両端部及び中央部の3本で留め付けることを標準とし、かつ原則としてサイディングの合いじゃくり部を除いた厚い部分より20〜35mmの位置に留め付ける」)、鉄骨下地の下地ピッチ(サイディング厚さ15mm未満→606mm以下、15mm以上→1,000mm以下)、JIS A 5422:2019 表1「種類」(化粧サイディングD/現場塗装用サイディングS)、断面形状の中実品・中空品の区分と表面模様の深さの上限、1.2「窯業系サイディングの需要の推移」の新設戸建住宅市場におけるシェア(1987年24%/1993年54%/2002年69%/2009年74%/2020年80%。出典は一般社団法人 日本サッシ協会「住宅用建材使用状況調査/戸建住宅」)、外壁通気構法を平成3年に寒冷地域の標準工法とし平成13年4月から全国を対象に標準工法とした旨、通気層の厚さを15mm以上としている旨、胴縁の標準厚さ18mm以上(条件により15mm以上)(2026年9月12日確認)
  • ALC協会「種類と規格」——ALCパネルはJIS A 5416(軽量気泡コンクリートパネル)に適合する旨、厚形パネル(厚さ75mm以上、主に鉄骨造・鉄筋コンクリート造などの耐火建築物)と薄形パネル(厚さ35mm以上75mm未満、木造や鉄骨造。厚さ50mmは鉄骨造・木造、厚さ35・37mmは主に木造)の区分、および「薄形パネルの種類と寸法」の表(一般パネルの厚さ35以上75未満、幅606以下、厚さはパネルの最も厚い部分をいう)(2026年9月12日確認)
  • 国土交通省大臣官房官庁営繕部「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」——7章2節「下地調整」が素地ごとに条を分けていること(7.2.2木部/7.2.3鉄鋼面/7.2.4亜鉛めっき鋼面/7.2.5モルタル面及びせっこうプラスター面/7.2.6コンクリート面、ALCパネル面及び押出成形セメント板面/7.2.7せっこうボード面及びその他ボード面)、および表7.2.5「コンクリート面及びALCパネル面の下地調整」(特記がなければRB種=劣化しぜい弱な部分を除去し活膜は残す)、8節の耐候性塗料塗りが素地ごとに節を分けていること(2026年9月12日確認)
  • 窯業系サイディング材メンテナンス技術研究所の公開情報——厚み・留め方・工場塗装の対応(2008年以前は12mmの釘打ち、2008年以降は14mmの釘打ち、15・16・18mmは金具留めでトップ塗装はクリヤー塗料)、工場塗装が90%以上で内訳の80%がアクリルシリコン系である旨、「無機系など難付着塗装の場合、水性塗料は剥がれ易いので、弱溶剤系塗料から選択します」の記載

最終確認日:2026年9月12日。JIS規格の本文は有償で公開されているため、当サイトでは原文を掲載せず、協会・メーカーが公表している内容を引用しています。公共建築の仕様書は公共工事の基準で、戸建ての工事にそのまま適用されるものではありません(「普通はここまでやる」の物差しとして引用しています)。寸法は規格上の値で、実際の製品は受渡当事者間の協議によることがあります。最終的な判定は、現地を確認した施工者と、新築時の仕様書・図面でご確認ください。