広告当サイトはアフィリエイト広告を利用しています
トタン屋根の塗装——サビとの勝負は、塗る前の「ケレン」で決まっています
トタン屋根は、屋根材別に見たとき、塗装の意味がいちばん大きい屋根材です。金属の敵はサビで、塗装はその防具そのものだからです。ただし、ここに落とし穴があります。仕上がりの寿命を決めるのは、塗料の値段ではなく、塗る前のサビ落とし(ケレン)と錆止め——そしてこの2つは、完成した屋根を見ても確認できません。錆がどの段階なら塗装で間に合うのか、見積書のどの行を見るのか、業者に頼む視点で整理します。
このページの内容全12項目
うちの屋根がトタンではなかった場合、ケレンの話から丸ごと変わります。屋根材の名前が分からないときは製品名の調べ方と早見表から。
トタンとは何か——亜鉛の層が「身代わり」に錆びている
トタンは、鉄の板に亜鉛のめっきをかけた「亜鉛めっき鋼板」の呼び名です。亜鉛には、鉄より先に自分が錆びることで鉄本体の錆を食い止める働きがあります(犠牲防食と呼ばれます)。つまりトタン屋根は最初から、亜鉛の層が身代わりになって時間を稼ぐ設計の屋根です。
このページは屋根の話です。同じトタンでも壁は、周期も下地の見方も別に整理しました(トタン外壁の塗装のページ)。国の資料では、外壁のうち金属板の行にだけ「3〜5年ごとに塗替え」という但し書きが付いています。
屋根に縦の線が等間隔で並んでいるなら、「瓦棒葺き」かもしれません。——トタンは材料の名前、瓦棒は葺き方の名前です。瓦棒には中に木が入っているタイプがあり、その木が傷むと塗装では戻りません(瓦棒屋根の塗装)。
だから錆は、いきなり赤くなりません。まず亜鉛が錆びて白っぽい粉状のサビ(白さび)が出て、亜鉛の層が使い果たされたところから、鉄本体の赤サビが始まります。白から赤へ——色が変わったら、それは「身代わりが尽きた」合図です。
ガルバリウムとの関係
いまの金属屋根の主流ガルバリウム鋼板は、めっきを亜鉛からアルミ・亜鉛の合金に変えた進化形です。メーカーのニチハは、高耐食GLめっき鋼板の寿命を一般的な亜鉛めっき鋼板の約3〜6倍と説明しています。裏返せば、トタンはガルバより数倍早くサビとの勝負が始まる素材——だからこそ、塗装でめっきの上にもう一枚防具を重ねる意味が大きいのです。壁のガルバは外壁のページ、屋根のガルバの塗りどきは保証書から読むページへ。
塗装の意味がいちばん大きい屋根材である理由
スレートの塗装は主に美観と表面保護で、防水の主役は下の防水シートです。トタンは事情が違います。守る仕組みが「塗膜→亜鉛→鉄」の三層しかなく、塗膜が切れれば亜鉛が減り始め、亜鉛が尽きれば鉄が錆びて、最後は穴が開きます。屋根に穴が開けば、その下はすぐ室内側です。
つまりトタン屋根の塗装は「見た目を整える工事」ではなく、身代わりの層を使い切る前に、外側の防具を張り替える工事です。ここから大事な結論がひとつ出ます。塗りどきは「錆びてから」ではなく「錆びる前」。色あせやツヤ引け、塗膜が粉っぽくなるチョーキング(外壁と同じサインです)が出た段階が、いちばん安く済むタイミングです。
主役は塗料ではなく「ケレン」と「錆止め」
トタンの塗装で、シリコンかフッ素かという塗料のグレード談義は二の次です。順番として先に来るのは、いま出ているサビを物理的に削り落とす「ケレン」と、その上に塗る錆止め(防錆下塗り)。ここを裏づける一次資料を2つ並べます。
- 塗料メーカーは「サビを除去してから」を前提にしている日本ペイントの公式FAQは、亜鉛めっき鋼面の塗装について「発生している白さびを除去した上で」変性エポキシ樹脂さび止めペイントを塗る、という順番で説明しています。サビの上に直接上塗りを乗せる工程は、メーカーの標準手順に存在しません。
- DIY塗料のメーカーですら、講座は「サビ落とし」から始まるホームセンターには「さびの上から塗れる」をうたう缶も並びます。ところが、そのDIY市場の大手アサヒペンが公開している塗り方講座を読むと、最初の工程はワイヤーブラシやサンドペーパーでサビを落とす下地調整で、サビを落とした箇所には下塗りを指示しています。手軽さを売る側でさえ、この工程は省かせない——それがケレンの位置づけです。
そして厄介なことに、ケレンの丁寧さは上塗りをかぶせた瞬間に見えなくなります。ピカピカに仕上がった屋根の下で、サビが落としきれていなくても、完成写真では区別がつきません。数年後に塗膜の下からサビが浮いてきて、初めて分かる。だからトタン屋根は、屋根塗装の見積書のページでも書いたとおり、工程写真をお願いする価値がいちばん大きい屋根材です。
錆の段階別——塗装で間に合ううちに
「うちのトタンはまだ塗装でいけるのか」。目安を段階で整理します。年数ではなく状態で見るのは、屋根全体に共通する原則です。
| いまの状態 | 意味 | 打ち手 |
|---|---|---|
| 色あせ・ツヤ引け・粉っぽさ | 塗膜の寿命が近い。亜鉛の層はまだ働いている | いちばん良い塗りどき。ケレンも軽く済みます |
| 白っぽい粉状のサビ | 亜鉛が身代わりに錆び始めた段階 | まだ塗装で守れます。白さびの除去(ケレン)が前提 |
| 点々とした赤サビ | ところどころで亜鉛が尽き、鉄が錆び始めた | 塗装できますが、ケレンと錆止めの出来がそのまま寿命になります |
| 広い赤サビ・塗膜のめくれ・板の反り | 素材そのものの傷みが進んでいる | 塗装で戻せるかは現地判断。張り替えや葺き替えとの比較をしてから決める段階です |
| 穴・雨漏り | 板が貫通している | 塗装では直りません。雨漏りのページと「塗装では直らない」のページへ |
下の2段は、カバー工法や葺き替えの検討がセットになります。逆に上の3段のうちに手を入れれば、工事はまだ「塗装」の範囲で済みます。トタンは、待った年数のぶんだけ工程が増えていく屋根材です。
国の仕様書は、ケレンの中身を等級で決めています
「ケレンをします」と言われても、何をするのかは分かりません。——ところが国の仕様書には、工程が等級ごとに書かれています。
国土交通省の「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」では、塗り替えのときのこの作業を「下地調整」と呼び、下地の種類ごとに表が用意されています(新しく塗る場合は「素地ごしらえ」という別の表です)。
塗り替えの下地調整——鉄鋼面も、トタンの亜鉛めっき鋼面も同じ3種別です
| 種別 | 既存塗膜の除去(仕様書の記載) | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| RA種 | 「ディスクサンダー、スクレーパー等により、塗膜、錆等を全面除去する。」 | 全部はがす |
| RB種 | 「ディスクサンダー、スクレーパー等により、劣化しぜい弱な部分、錆等を除去し、活膜は残す。」 | 傷んだ所と錆だけ落とす |
| RC種 | (除去の工程なし)汚れ・付着物の除去と研磨紙ずり(P240〜320)だけ | 汚れを落として表面を荒らす |
※仕様書 7.2.3・表7.2.2「鉄鋼面の下地調整」、7.2.4・表7.2.3「亜鉛めっき鋼面の下地調整」より。どちらも「種別は特記による。特記がなければ、RB種とする」とされています。表7.2.3には「無塗装既存亜鉛めっき鋼面に塗装を行う場合は、RA種とし、工程1を省略する」という注があります。
ここが大事です
塗り替えの標準はRB種=劣化しぜい弱な部分と錆を落とし、しっかり付いている塗膜(活膜)は残すです。
——全部はがすのが標準なのではありません。どこまで落とすかは、錆の広がり方で変わります。汚れを落として表面を荒らすだけのRC種では、いま出ているサビは落ちません。
新しく塗る場合の「素地ごしらえ」(表7.3.2・表7.3.3)は、A種・B種・C種の別の表です。酸漬けのA種やブラストのB種は「製作工場等で行うものとする」(亜鉛めっき鋼面は「製造所等」)とされています。
読み取れること
- ケレンには段階があり、どこまで落とすかを言葉で聞けます——「うちは特別な工法で」という説明が出てきたら、RA・RB・RCのどれに近いのかを具体的に聞いてください
- 錆落しの道具まで書かれています——ディスクサンダー、スクレーパー、ワイヤブラシ、研磨紙。特別な機械が要る作業ではなく、手間をかけるかどうかの作業です
- だから「ケレン一式」の見積書は、中身が分かりません——どこまで落とすのかを聞く価値があります
この仕様書は国の建物を直すためのもので、戸建ての工事がこの通りに行われるわけではありません。——ただ「ケレンには段階がある」「塗り替えの標準は活膜を残すRB種」という枠組みは、知っておくと会話が具体的になります。
錆止めにも、種別があります
トタン屋根で、塗料より先に効いてくるのが錆止めです。——同じ仕様書には、錆止め塗料の種別も定められています。
亜鉛めっき鋼面向けにはAz種・Bz種という区分があり、溶接した箇所にはAz種の錆止め塗料を塗るといった使い分けが書かれています。
だから、見積書ではここを見てください
「錆止め」の行に、製品名が書かれているか。
——「錆止め 一式」だけでは、何を塗るか決まっていないのと同じです。トタン屋根は、ここが仕上がりの寿命を決めます。
ここも、会社によって答えの細かさが違います。——製品名まで即答する会社もあれば、「錆止め塗ります」で終わる会社もあります。2〜3社に見てもらうと、屋根をどれだけ見ているかの差が出ます。
そして、聞き方はこうです。——「錆止めは何を使いますか。何回塗りますか。」錆の出ている面と出ていない面で扱いを変えるかどうかまで答えられるなら、その会社は屋根を見ています。
トタンの見積書で金額を動かすのは、㎡単価ではありません
「トタン屋根の塗装費用はいくらですか」——よく検索されている問いです。ただ、トタンに関しては㎡単価を比べても答えが出ません。理由は、メーカーの価格表そのものに書いてあります。
設計価格には、法定福利費、下地調整費、足場代、養生費、運搬費、諸経費は含まれておりません。
下地調整費は、単価に入っていません。そしてトタン屋根では、その下地調整——ケレン——が工事の本体です。錆が浮いている面と、まだ塗膜が生きている面では、落とす手間がまるで違います。
つまり同じ塗料・同じ㎡数でも、屋根の状態で総額が変わるのが正常だということです。2社の見積書で金額が違うとき、疑うべきは単価ではなく「どこまで落とす前提で出しているか」のほうです。塗料そのものの単価は平米単価のページに、屋根材別・下塗材別の設計価格を並べてあります。
①ケレンの行に、どこまでやるかが書いてあるか(等級の話)
②錆止めの行に、製品名が書いてあるか
この2行がそろっていない見積書どうしは、そもそも同じ工事の見積書ではありません。金額を並べる前に、ここをそろえてもらってください。
金属屋根には「遮熱」と「防食」を1つにした工法があります
トタン屋根には、スレートや瓦には無い事情が2つあります。錆びることと、夏に熱くなることです。金属なので、どちらも屋根材の性質からきています。
エスケー化研の設計価格表には、この2つをまとめて名前にした工法が載っています。
| 工法 | 下地 | 設計価格(円/㎡) |
|---|---|---|
| クールタイトEL工法 金属屋根塗り替え用 遮熱防食工法 | カラー鋼板(艶有り) ガルバリウム鋼板(3分艶) | 7,850 |
エスケー化研「設計価格表2026年度版」より。シーラー・プライマー込みの価格。同表の備考=「上塗材がクールタイトSiの場合は㎡当り400円、クールタイトFの場合は㎡当り1,310円を加算してください。」
工法名に「防食」が入っているのが、この行の特徴です。同じ表に並ぶほかの屋根用遮熱塗料は「遮熱」までですが、金属屋根用のこれだけは錆を止めることまで含めて1つの工法として組まれています。金属屋根では、遮熱と錆止めが別々の話になっていない、ということです。
だから見積書に「遮熱塗料」とだけ書かれていたら、「錆止めはどうなっていますか」を必ず一緒に聞いてください。トタンでは、この2つはセットの話です。
なお設計価格は、メーカーが自社製品について公表している材工の価格です。実際の見積金額とは異なりますし、上に書いたとおり下地調整費・足場代・諸経費は含まれていません。金額の当てにではなく、「同じ屋根材でも工法によって単価の桁が違う」ことを知る材料として使ってください。
見積書で見る行と、製品名の読み方
契約前に確認するのは3行です。難しい知識は要りません。
- ケレンケレン(サビ落とし・下地調整)の行はありますか?どの程度やりますか?「高圧洗浄」の行だけでは、サビを削る工程の代わりになりません。どんな道具でどこまで落とすかを自分の言葉で説明できる会社かを見ます
- 錆止め錆止め(下塗り)の行と、その商品名は書かれていますか?商品名さえ分かれば、その塗料の公式ページを開いて、適用下地に亜鉛めっきや鉄部が入っているかをご自身で確かめられます。難付着サイディングやモニエル瓦と同じ、下地と下塗りの相性の話です
- 写真ケレン後と錆止め後の工程写真をもらえますか?あとから見えなくなる工程ほど、写真の価値が上がります。契約前に約束するのがポイントです(終わってから頼むと「撮っていません」で終わります)
エスケー化研の屋根用塗料の欄では、トタン屋根の下塗材としてマイルドサビガードとSKマイルドボーセイが指定されています。同じ上塗りでも、どちらを使うかで設計価格が違います(屋根材別・下塗材別の一覧は平米単価のページ)。
だから見積書に錆止めの製品名があれば、その名前でメーカーの製品ページを開いて、適用下地に「亜鉛めっき鋼板」や「トタン」が入っているかを自分で確かめられます。2液型かどうか、何回塗りかも、そこに書いてあります(仕様表の読み方)。
もうひとつ、製品名から読めることがあります。鉄部やトタンの現場でいまも主に使われているのは弱溶剤(ペンキらしい臭いのするタイプ)の塗料です。弱溶剤側の売りが一貫して「下地を選ばない密着」であることは水性と油性のページに書いたとおりで、見積書の製品名を見れば、水性か弱溶剤かも判別できます。どちらが正解という話ではなく、「なぜこの下塗りとこの上塗りなのか」を説明できる会社を選ぶための材料です。
トタン屋根の塗り替えに、助成金は出るのか
「トタン屋根塗装 助成金」は、実際によく一緒に検索されている言葉です。先に答えると、出る市はあります。ただし条件が1つあって、そこで多くの人が落ちます。
自治体のリフォーム助成は、対象になる工事を「部位ごと」の一覧で決めていることが多く、その一覧に「屋根」の行があるかどうかで結果が変わります。外壁だけを書いている市は珍しくありません。屋根の行があっても、「葺替え」しか書かれていなければ、塗装は入りません。
確かめるのは3つだけです
| 見るところ | なぜそこか |
|---|---|
| 部位の欄に「屋根」の行があるか | 外壁の行しかない市があります。その場合、屋根の塗装は最初から対象外です |
| その行に「塗装」が入っているか | 「葺替え」だけの市があります。葺き替えは対象でも、塗り替えは対象外という書き分けです |
| 単体で使えるか、何かとセットか | ここがいちばん大きい分かれ目です。耐震改修と同時にやることを条件にしている市、中古住宅を買った人に限る市、市内の業者に限る市があります |
実物を1つ見てください——松戸市の「助成対象となるリフォーム工事一覧」
言葉だけだと分かりにくいので、実際の表を引きます。千葉県松戸市が公開しているPDFです(当サイトが2026年9月13日に市のページから取得して確認しました)。
部位「屋根」/対象となる工事「葺替え、塗装工事等」
部位「外壁、軒裏等」/対象となる工事「張替え、塗装工事等」
「松戸市木造住宅耐震改修助成事業を利用する耐震改修工事と同時に行うリフォーム工事で、次の表に掲げる工事などを助成の対象とします。なお、本市が実施している他の制度による補助金の交付を受ける工事は対象外となります。」
屋根の塗装が、はっきり対象として書かれています。補助はリフォーム工事費の10分の1で、上限30万円。ただし「耐震改修工事と同時」が条件なので、屋根を塗るだけでは使えません。
この制度で、施主が先にやっておくこと3つ
ここからが実務です。同じ市のページには、順番を間違えると1円も出なくなる注意が書かれています。
「リフォーム工事に係る契約を締結する前に、必ずリフォーム補助金の交付申請の手続きを行ってください。補助金の交付を決定する前に契約を締結又は工事を実施した場合には、補助金の交付ができなくなります。」
先に契約すると、対象から外れます。「助成金が使えるらしいから、とりあえず契約してから調べよう」が、いちばんやってはいけない順番です。
提出書類——「見積書又はその写し(見積書は耐震改修工事とリフォーム工事の費用を別々に記載したものとし、リフォーム工事に要する費用が分かるものとしてください)」
実績報告——「施工前及び施工後の写真」
この2つは、業者に頼むタイミングが決まっています。
- 見積もりを頼むときに——「耐震の工事と、屋根の塗装を、別の行に分けて書いてください」。あとから分けてもらうのは手間が増えます。トタン屋根はケレン・錆止め・上塗りで行が分かれるので、そもそも分けて書ける見積書かどうかがここで効いてきます(見積書で見る行)
- 着工の前に——「施工前の写真を撮っておいてください」。足場が建つと屋根は自分で撮れません。工事が終わってから「着工前の写真をください」と言っても、無いものは出てきません
- ほかの補助と重ねない——同じ工事に市の別の制度を使っていると対象外になります。省エネや耐震で別の補助を検討しているなら、どちらか片方です
トタンだからこそ、先に伝えたほうがいいこと
トタンは母屋の屋根だけでなく、下屋(げや=母屋から差し掛けた小さな屋根)、物置、車庫、勝手口の庇にもよく使われています。ここが助成金の話では効いてきます。
さきほどの松戸市の表には、対象としない工事も並んでいます。
「(2)下屋(さしかけ屋根等)、後付けベランダ、外階段等の設置工事」
ここで書かれているのは「設置工事」=新しく作る場合です。すでにある下屋を塗り替える場合にどう扱われるかは、この表からは読み取れません。だから、窓口に出す前に自分で線を引いておいてください——「母屋の屋根はここ、下屋と物置はここ」と伝えて、どこまでが対象になるかを確認する。見積書も、最初からその単位で分けて書いてもらうほうが早く済みます。
もう1つ、トタンならではの点があります。トタン(亜鉛めっき鋼板)そのものに石綿は入っていません。スレート屋根のように「屋根材に石綿が入っているかどうか」で工事の中身が変わることはありません。ただし、2006年8月以前に着工された建物は、工事の内容や使われている建材によって、石綿含有建材の事前調査が必要になることがあります。これは屋根材の話ではなく建物の話で、調査は法律で定められた手順です(アスベストの調べ方)。
自分の市はどうか
制度は市ごとに違い、年度ごとに変わります。金額も期限も、ここに書かれた松戸市の数字がそのまま他市に当てはまることはありません。当サイトは市ごとに要綱と対象工事の一覧を読んで整理していますので、お住まいの市から探してください(助成金・補助金を市から探す)。松戸市の詳しい条件と受付期間は松戸市のページに、同じ千葉県のほかの市は千葉県のページにまとめました。
出典=松戸市「松戸市木造住宅の耐震改修に伴うリフォーム事業費助成のご案内」(更新日2026年4月15日)および同ページから配布されている「助成対象となるリフォーム工事一覧」PDF。いずれも2026年9月13日に当サイトが市のサイトから直接取得して確認しました。受付期間・予定戸数・金額は年度で変わります。申し込む前に必ず市のページで最新の内容をご確認ください。
自分で塗れるか——線は「高さ」ではなく「乾かす時間」で引けます
「トタン屋根 塗装」で検索すると、1ページ目に塗料メーカーの塗り方講座、ホームセンターの手順ページ、施工動画が並びます。つまりこの言葉を調べている人の多くは、自分で塗ることを考えているということです。
ここでは「危ないからやめましょう」とは書きません。物置や小屋の低いトタンなら、自分で塗るのは現実的です。そのかわり、どこで線が引かれているのかを、メーカーの数字で出します。危なさではなく、段取りの話として読んでください。
メーカーの仕様表が決めているのは、時間です
トタン屋根の下塗材には、鉄部用の錆止めが指定されます。エスケー化研の屋根用塗料の欄では、トタン屋根の下塗材としてSKマイルドボーセイやマイルドサビガードが挙げられています。そしてその錆止めの施工仕様は、同じメーカーのカタログに数字で載っています。
下地調整=さびや浮き塗膜、粉化物はサンドペーパーやディスクサンダーなどで十分に除去してください。
下塗り(SKマイルドボーセイ 主剤/硬化剤) 所要量0.14〜0.17㎏/㎡ 塗回数1 工程間6時間以上14日以内
上塗り 所要量0.22〜0.26㎏/㎡ 塗回数2 工程内3時間以上7日以内 最終養生24時間以上
※この表の前提は、すべて23℃です。
ここから、線が3本引けます。
- 1日では終わりません——下塗りのあと6時間以上あけて上塗り1回目、3時間以上あけて2回目、そのあと24時間以上の養生。この時点で最低2日、養生を入れれば3日です。「午前に下地処理、午後に塗って夕方に完了」という段取りは、この表とは別のものを指しています。
- 錆止めは2液型です——SKマイルドボーセイには主剤と硬化剤があります。混ぜてから使える時間には限りがあるので、塗る面積を先に決めて、その分だけ混ぜる必要があります。余っても翌日には使えません。
- 間隔には上限もあります——下塗りから14日以内、上塗りの間は7日以内。週末だけで少しずつ進める、という進め方はこの範囲に収まりません。雨で2週間空いたら、下塗りからやり直すかどうかの判断が要ります。
これが、市販の1回塗り塗料と、この仕様の違いです。どちらが正しいという話ではありません。2日〜3日かけて3回塗る仕様と、1日で1回塗る仕様は、そもそも別のものを買っています。値段が何倍も違うのは、そのぶんの手間と日数の差でもあります。
「やめたほうがいい時期」は、季節ではなく数字で決まっています
春と秋がいい、という話をよく見かけます。ただメーカーが書いているのは、季節ではなく当日の気温と湿度です。
強風時、または降雨・降雪の恐れがある場合、及び気温5℃以下、湿度85%以上での施工は、原則的に避けてください。施工が要求される場合は、採暖及び採暖のための養生により雰囲気温度、被塗面温度を5℃以上にしてください。冬期においては、施工条件が特に厳しくなる場合があるため、事前に関係者と十分な打ち合わせを行ってください。
気温5℃以下での施工は、完全に硬化するまで時間を要するため、それまでに擦ると色落ちすることがあります。
塗り重ね時間は環境(温度、湿度、換気、風通しやすさ)や膜厚によって変わります。
読み取れるのは3つです。
- 数字は「5℃以下」と「湿度85%以上」——月ではありません。3月でも朝が5℃を下回る地域はありますし、秋でも朝は湿度が85%を超えます。だから「春だから大丈夫」は根拠になりません。
- 「原則的に避けて」であって、禁止ではありません——続けて「施工が要求される場合は、採暖…により雰囲気温度、被塗面温度を5℃以上に」と書かれています。冬にできないのではなく、条件を作れるかどうかの話です。ただし屋根の上でそれをやるのは現実的ではないので、「冬は日程が読みにくい」と考えるのが実際に近いと思います。
- 塗り重ね時間そのものが環境で動きます——上の表の「3時間以上」も23℃での話です。寒ければ延び、屋根が熱ければ縮む。だから自分で塗る場合、温度計をひとつ持っておくと判断が早くなります。
これはエスケー化研のこの製品についての注意事項です。使う塗料が違えば数字も変わりますので、買った缶のラベルと、メーカーの製品ページを必ず読んでください。トタン用として売られている市販品にも、同じように気温と塗り重ね時間の指定があります。
自分でやる/頼む、の分かれ目
| 自分でやることが多い | 頼むことが多い | |
|---|---|---|
| 場所 | 物置・小屋・下屋・波板の庇。地面から手が届く高さ | 母屋の屋根。足場が要る高さと勾配 |
| 錆の程度 | 表面のうすい錆。段階の表でいう初期 | めくれ・穴・押すとへこむ面。塗装の話ではなくなります |
| 日程 | 晴れが3日続く見込みを自分で選べる | 面積が大きく、日をまたぐ管理が要る |
| ケレン | 手工具で届く範囲 | 面積が広く、等級の話になる範囲 |
迷いどころは、たいてい「母屋の屋根だけど自分で塗れないか」です。そこは高さの問題というより、上で書いた日程と塗り重ね時間を、屋根の上で管理できるかで考えてみてください。1回目と2回目のあいだに雨が来たとき、屋根の上でどうするか——ここが答えの出やすい問いです。
そして見積もりを取ることと、頼むことは別です。いくらか分かってから自分で塗る、という順番でもかまいません。何社かに屋根を見てもらうと、いま何段階目なのかも一緒に分かります。錆の段階が進んでいれば、そもそも塗って解決する話ではなくなるので、そこだけは先に確かめる価値があります。
よくある質問
トタン屋根の塗装費用はいくらですか?
㎡単価だけでは決まりません。メーカーの設計価格表には下地調整費・足場代・諸経費が含まれていないと明記されています。そしてトタンで手間が大きく振れるのが、その下地調整=ケレンです。
錆の程度で落とす手間が変わるので、同じ塗料・同じ面積でも総額が変わるのが正常です。比べるなら金額より先に、ケレンの行と錆止めの製品名をそろえてください。参考として、金属屋根専用のクールタイトEL工法(遮熱防食工法)は設計価格7,850円/㎡です。
トタン屋根に塗る塗料のおすすめは?
当サイトでは特定の商品をおすすめしません。かわりに、選ぶときに見る場所を書いておきます。
ひとつ目は下塗り、つまり錆止めです。トタン屋根の下塗材には鉄部用の錆止めが指定されます(マイルドサビガード、SKマイルドボーセイなど)。ふたつ目は適用下地の欄に「亜鉛めっき鋼板」や「トタン」が入っているか。みっつ目は2液型かどうかで、主剤と硬化剤があるなら混ぜてから使える時間に限りがあります。上塗りの銘柄より、この下塗りの選択のほうが仕上がりの寿命に効きます(錆止めの種別)。
屋根塗装をやめたほうがいい時期はいつですか?
季節ではなく、当日の気温と湿度で決まります。エスケー化研のカタログは「強風時、または降雨・降雪の恐れがある場合、及び気温5℃以下、湿度85%以上での施工は、原則的に避けてください」と書いています。月ではなく数字です。
3月でも朝が5℃を下回る地域はありますし、秋でも朝は湿度が85%を超えます。また「原則的に避けて」であって禁止ではなく、採暖して被塗面温度を5℃以上にする方法も同じ文に書かれています。冬にできないのではなく、日程が読みにくいと考えるのが実際に近いです。
トタン屋根は、あと何年もちますか?
年数では言えません。——錆がどこまで進んでいるかで決まります。表面のうすい錆なら塗装で間に合いますが、穴が開いている、めくれている、手で押すとへこむなら、塗装の話ではありません。まず今どの段階かを見てもらってください。
「ケレン一式」としか書かれていません
どこまで落とすのかを聞いてください。——国の仕様書では、錆落しの方法としてディスクサンダー、スクレーパー、ワイヤブラシ、研磨紙が挙げられています。特別な機械が要る作業ではなく、手間をかけるかどうかの作業です。だからこそ、省こうと思えば省けてしまう工程でもあります。
「現場でブラストします」と言われました
どういう方法か聞いてください。——国の改修仕様書では、塗り替えの下地調整(表7.2.2・表7.2.3)の道具は「ディスクサンダー、スクレーパー等」です。ブラスト法(研磨材を吹き付ける方法)は、新しく塗るときの素地ごしらえの表でB種とされ、「製作工場等で行うものとする」と注記されています。間違いだと決めつける必要はありませんが、内容の確認はしたほうがいいと思います。
錆止めは何回塗るものですか?
製品と状態によります。——だから「錆止めは何を使いますか。何回塗りますか」と聞いてください。錆の出ている面と出ていない面で扱いを変えるかどうかまで答えられるなら、その会社は屋根を見ています。
錆びた部分だけ塗り直せませんか?
部分補修はできますが、屋根全体の年数が同じであることは変わりません。——1か所に錆が出ているなら、他も同じだけ年数が経っています。足場を使うなら、部分だけ直して数年後にまた組むより、まとめたほうが有利になることが多いです。
塗るより、葺き替えやカバー工法のほうがいいですか?
錆が下地まで進んでいるなら、そちらの検討になります。——穴が開いている、下地の木が傷んでいるなら、塗っても止まりません(葺き替え/カバー工法)。「塗って延ばせる状態ですか」と聞くのが、いちばん早い確認です。
屋根に上って自分で塗れませんか?
やめてください。——トタン屋根は滑ります。そして錆で薄くなった部分は、体重で抜けることがあります。労働安全衛生規則でも高さ2m以上の作業には足場等が求められています。見るだけなら、業者に写真を撮ってもらってください。
自分で塗れますか?ホームセンターに1回塗りのトタン用塗料が売っていますが
塗料は買えますし、平屋の物置のような場所でDIYする方が多いのも事実です。ただし住宅の屋根は話が別です。このページで見たとおり、成否はケレンで決まり、そのケレンは傾いた金属の上で行う削り作業——プロも命綱と滑りにくい装備で臨む環境です。缶に書かれた「1回塗り」は工程の簡単さであって、屋根の上の危険は1回分も減りません。住宅の屋根は、足場を組む工事として考えてください。
「サビの上から塗れる」塗料なら、ケレンは要らないのでは?
「さびに直接塗れる」をうたう代表的な製品(ニッペホームプロダクツの高耐久シリコントタン屋根用)の公式ページにも、こう書かれています——「手でさわって簡単に落ちてしまうようなさびは、あらかじめ取り除いてください」。つまり「サビの上から塗れる」はケレンを不要にする魔法ではなく、削っても残る密着したサビへの保険です。浮いたサビを落とす工程は、この種の塗料でも消えません。
何年ごとに塗ればいいですか?
年数の一律の答えは出せません。日当たり・海からの距離・前回の工事の質で、進み方がまったく変わるからです。年数の代わりに、上の段階表——色あせ・白さび・赤サビのどこにいるかで判断してください。赤サビが見えてからでは、工程と費用がひとつ増えています。
工場や倉庫の折板屋根(波形の大きい金属屋根)も同じですか?
素材の理屈(めっきと塗膜で守る)は同じですが、面積・高さ・安全設備の要件が住宅とは別次元で、事業用の建物は保険や資産計上の扱いも絡みます。住宅の話としてこのページを読んだうえで、工事は事業用建物の実績がある会社に相談してください。
最終確認日:2026年8月21日。屋根材の状態は個々の住宅で異なります。実際の判断は必ず現地の点検にもとづいて行ってください。
あわせて読みたい
屋根塗装は意味ない?
屋根材別の正解。トタンは「意味がいちばん大きい」側です
屋根塗装の見積書
ケレン・錆止めの行と、工程写真の約束のしかた
ガルバリウム外壁の20年後
トタンの進化形。錆びるのは「雨の当たらない場所」から
瓦に塗装は必要?
陶器瓦・セメント瓦・モニエル瓦の書き分け
スレート屋根の塗装
コロニアル・カラーベストも同じ屋根材。メーカー公式の意外な事実
水性と油性の違い
鉄部・トタンで弱溶剤が使われ続けている理由
屋根カバー工法
塗装で戻れない段階の選択肢。「重ね葺き」と「重ね貼り」
トタンは錆の進み方で、塗るか葺き替えるかが変わります。そして錆は下から進むので、表面だけでは判断できません。何社かに屋根を見てもらって、写真で状態を見せてもらってください。塗装で足りると言う会社と、葺き替えを勧める会社に分かれたら、その根拠になった写真を並べる。それがいちばん確かな判断材料になります。
参考にした情報
- 日本ペイント「ピカピカと光輝く亜鉛めっき鋼面には塗装できないと聞いたが本当ですか?」(よくあるご質問)
- 松戸市「松戸市木造住宅の耐震改修に伴うリフォーム事業費助成のご案内」(更新日2026年4月15日)および同ページから配布されている「助成対象となるリフォーム工事一覧」PDF(2026年9月13日に当サイトが市のサイトから直接取得して確認)——部位「屋根」の対象となる工事が「葺替え、塗装工事等」、「外壁、軒裏等」が「張替え、塗装工事等」/「耐震改修工事と同時に行うリフォーム工事」が条件/「本市が実施している他の制度による補助金の交付を受ける工事は対象外」/対象としない工事に「下屋(さしかけ屋根等)、後付けベランダ、外階段等の設置工事」/補助金額はリフォーム工事費の10分の1・上限30万円/「リフォーム工事に係る契約を締結する前に、必ずリフォーム補助金の交付申請の手続きを行ってください。補助金の交付を決定する前に契約を締結又は工事を実施した場合には、補助金の交付ができなくなります。」/提出書類の見積書は「耐震改修工事とリフォーム工事の費用を別々に記載したもの」/実績報告に「施工前及び施工後の写真」
- アサヒペン「トタン屋根 塗料の塗り方」(HowTo講座)
- ニッペホームプロダクツ「高耐久シリコントタン屋根用」(製品ページ・使用上の注意)
- ニチハ「金属サイディング」(高耐食GLめっき鋼板の耐久性に関する公式説明)
- 国土交通省大臣官房官庁営繕部「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」——7.2.3・7.2.4 下地調整(表7.2.2・表7.2.3、特記がなければRB種)、7.3.3・7.3.4 新しく塗る場合の素地ごしらえ(表7.3.2・表7.3.3)、表7.4.2 亜鉛めっき鋼面の錆止め塗料の種別(Az種・Bz種)。公共工事の基準であり、戸建ての工事にそのまま適用されるものではありません
- エスケー化研「設計価格表2026年度版」屋根用塗料の欄——トタン屋根の下塗材の指定(マイルドサビガード/SKマイルドボーセイ)、金属屋根塗り替え用 遮熱防食工法「クールタイトEL工法」7,850円/㎡(カラー鋼板・ガルバリウム鋼板)と備考「上塗材がクールタイトSiの場合は㎡当り400円、クールタイトFの場合は㎡当り1,310円を加算してください。」、巻末注記「設計価格には、法定福利費、下地調整費、足場代、養生費、運搬費、諸経費は含まれておりません」。メーカーが公表している設計上の価格であり、実際の見積金額とは異なります
- エスケー化研「クリーンマイルドシリコン・フッソ」カタログ——施工仕様表(鉄部・新築/改装)の下地調整、SKマイルドボーセイ(主剤/硬化剤)の所要量0.14〜0.17㎏/㎡・塗回数1・工程間6時間以上14日以内、上塗り0.22〜0.26㎏/㎡・塗回数2・工程内3時間以上7日以内・最終養生24時間以上(表の前提はすべて23℃)。〈施工上の注意事項〉の「気温5℃以下、湿度85%以上での施工は、原則的に避けてください」ほか。この製品についての記載であり、他社製品では数字が異なります