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うちの屋根、塗って大丈夫?——答えは「屋根材の種類」ではなく「製品名と製造時期」で決まります

「スレートだから塗れます」「セメント瓦なので塗り替えましょう」——この説明は、半分しか正しくありません。同じスレートでも、製品名と作られた時期によって、塗ることを勧められない屋根材があります。そしてその情報は、メーカー自身が公式に出しています。——業者の経験談ではなく、製造元が公表している資料から確かめる方法を整理しました。

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このページの内容

先に結論

①「スレートだから塗れる」とは限りません——製品名と製造時期で変わります
②分かれ目は2000年前後——石綿を使わない製法への切り替えという転換点がありました
③メーカーが公式に情報を出しています——製品名さえ分かれば、自分でたどり着けます
④だから最初にやることは、見積もり取りではなく「製品名の特定」です
⑤製品名が分からなくても、業者に調べてもらえます——分からないこと自体は問題ではありません

なぜ「種類」では決まらないのか

2000年前後に、屋根材の世界で大きな切り替えがありました。——石綿(アスベスト)を使わない製法への移行です。

石綿は、材料を丈夫にする働きをしていました。——それを抜いて同じ性能を出すために、各社が製法を変えていきます。その移行期に作られた一部の製品では、「塗り替えを勧めない」という判断をする業者が少なくありません。

つまり、こういう構造です
古い製品=石綿を含むが、材料としては丈夫(ただし撤去時に手順が必要)
移行期の製品=石綿は含まないが、一部に脆さの問題が指摘されている
いまの製品=改良が進んでいる

——「新しいほど安心」とは限らないのが、この話のややこしいところです。

⚠️ただし、業者の経験談とメーカーの公式見解は、必ずしも一致しません。——だから当サイトでは「メーカーが何と言っているか」を先に確かめることを勧めています。次の章が、その実例です。

メーカーが自分で公表しています

3つの実例を挙げます。——どれも製造元が公式サイトで出している情報です。

1. 積水化学工業——セキスイかわらU(住宅用屋根材)

同社が公表しているアスベスト関連のお知らせに、過去の製品と含有率の一覧が出ています。

積水化学工業「当社グループのアスベスト(石綿)関連の状況について」より

製品名:セキスイかわらU、CITY(住宅用屋根材)
製造期間:1975〜1990
石綿の種類と含有率:白 10〜15%/茶 0.7%/青 0%

注記として「当初、白石綿のみ使用としていましたが、基材を購入していた購買先の調査により茶石綿の配合が判明いたしました」とも記載されています。

ここから分かるのは、製造期間が区切られていることです。——同じ「かわらU」でも、1990年までのものと、それ以降のものは中身が違います。

2. ニチハ——パミール

公式リリースによれば1996〜2008年に販売された無石綿の屋根材で、販売時に配布された専用釘の一部に、耐食性処理の薄いものが混入していたというお詫びが出ています。腐食が進むと屋根材のズレや落下が生じる可能性があるとされ、安全処置が必要なものは無償で対応、窓口はお客さま相談室——ここまですべてメーカー自身が公表している情報です。

同じ文書で「『パミール』本体の安全性については、問題ありません」とも明記されています。——一方でこの製品は、表面が層状にめくれる劣化を理由に、塗り替えを勧めない業者が多い屋根材としても知られています。

3. ケイミュー——製品名と発売時期の対応表

塗替え用の資料に、商品名を発売時期ごとに並べた一覧表が載っています。——「2008年1月以降に発売」「2002年1月から発売」「2001年12月まで発売」といった区切りです。

コロニアル、ニューコロニアル、コロニアルNEO、コロニアルクァッド、コロニアルグラッサ——同じ「コロニアル」でも世代が違えば別の製品で、推奨される塗替え塗料も分かれます。

3社に共通しているのは、これです
製品名と時期が分かれば、メーカーの公式情報にたどり着ける。

——業者の見立てを疑うためではなく、説明を理解するために使ってください。

製品名を調べる3つの方法

1. 書類を探す(いちばん確実)
新築時の図面、仕様書、引き渡しの資料、前回工事の見積書。屋根材の商品名が書かれていることがあります

2. 建てた会社・前に工事した会社に聞く
記録が残っていることがあります

3. 業者に見てもらう
屋根に上がれば、形状や刻印から判別できることがあります

1が見つかれば、その場で解決します。——製品名でメーカーの公式サイトを検索すれば、塗替えの情報やお知らせにたどり着けます。

💡分からなくても、問題ではありません。——分からないまま「たぶんスレートなので塗れます」と進めるのが問題なだけです。「製品名は分かりますか」と聞いて、調べてくれる会社を選んでください。

屋根に自分で上がらないでください

確かめたい気持ちは分かりますが、上がらないでください。——屋根材は踏む場所を間違えると割れます。とくに脆さが指摘されている製品なら、なおさらです。労働安全衛生規則でも、高所での作業には足場等が求められています。

写真を撮ってもらうよう頼んでください。——屋根の全体、表面の接写、端部(軒先・棟)。この3枚があれば、あとから他社の見立てとも突き合わせられます。

製品名が分かったら、メーカーの公式にたどり着けます

ここまでの話は、製品名が分かって初めて使えます。——では、分かったあとに何をするか。

1. 製品名でメーカーの公式サイトを見る
「製品名+メーカー名」で検索。塗替え情報や、お知らせのページがあります

2. 「お知らせ」「サポート」「よくある質問」を見る
製品に関する案内は、製品ページではなくお知らせ側に出ていることがあります

3. 見つからなければ、お客さま相談室に電話する
メーカーは窓口を持っています。施主が問い合わせて構いません

💡3が意外と効きます。——「うちはこの製品なのですが、塗り替えについて何か案内は出ていますか」メーカーは、自社製品について答える立場です。業者を通す必要はありません。

公式で確かめられること、確かめられないこと

メーカー公式で分かる現地でしか分からない
製品の仕様 発売時期、推奨される塗替え塗料
お知らせの有無 不具合や対応の案内
いまの傷み具合 見てもらうしかありません
塗れるかどうかの最終判断 製品+状態の両方で決まります

だから、公式情報と現地の見立ての両方が要ります。——片方だけでは決まりません。2〜3社に見てもらうときに、「メーカーの案内は確認されましたか」と聞いてみてください。調べる会社と、そうでない会社に分かれます。

「塗らないほうがいい」と言われたときの確かめ方

この説明を受けたとき、聞くことは決まっています。

「製品名は何ですか。そう判断された理由を教えてください。」

——製品名が出てくるか。そして理由が「表面がめくれるから」「塗っても数年で剥がれるから」といった具体的な症状で説明されるか。

製品名まで出てくるなら、その会社は屋根を見て、調べています。——「この手の屋根は塗れないんですよ」で終わるなら、もう1社に見てもらってください。

ただし「塗らないほうがいい」が正しいこともあります

ここは公平に書きます。——塗っても数年で剥がれる屋根材に塗るのは、施主にとって損です。それを正直に言う会社は、目先の工事を1件手放しています。

だから「塗れません」と言われたこと自体は、悪いことではありません。——確かめるのは、その理由が説明できるかどうかです。

⚠️逆に注意したいのは、その場で高額なカバー工法や葺き替えを勧められる場合です。——「塗れないので、今日決めてください」は別の話になります。持ち帰って、もう1社に見てもらってください(屋根の点検商法)。

塗れない場合の選択肢

方法考え方
そのまま様子を見る雨漏りしていないなら、選択肢として成立します。年に1度、同じ場所の写真を撮って進み方を見る
カバー工法既存を残して上から葺く。下地が健全であることが前提カバー工法
葺き替え下地ごと作り直せる方法。撤去を伴うので、石綿の事前調査が入ります(葺き替え費用

石綿を含む屋根材の場合、撤去には決められた手順があります。——解体または改修の作業では、あらかじめ石綿の使用の有無を調査することが法律で事業者に義務づけられています(石綿障害予防規則3条)。「調査費」の行は、上乗せではありません。

💡だからこそ、カバー工法が選ばれることがあります。——撤去しないので、その工程が発生しないからです。ただし下地が健全であることが前提で、いずれ撤去するときには結局その工程が来ます。

見積書と、聞く質問

見るところ読み取れること
屋根材の製品名が書かれているか調べた会社なら、書けます。「スレート」だけなら聞いてください
下塗りの製品名屋根材によって、使える下塗りが変わります
縁切り・重なりの処理スレート系なら必要な工程(タスペーサー
石綿の調査費撤去を伴う工事なら、法令上の手順です

聞くのは、この3つです

1.「うちの屋根材の製品名は分かりますか。」
——調べてくれるか

2.「塗れる/塗れないの判断は、何を根拠にしていますか。」
——製品名か、症状か、それとも一般論か

3.「屋根の写真を見せてもらえますか。」
——施主が自分で確認できない場所だからこそ

同じ屋根でも、会社によって「塗れる」「塗れない」が割れることがあります。——2〜3社に見てもらうと、その理由を並べて聞けます。2社が同じ製品名を挙げて同じ判断をすれば、かなり確かです。

よくある質問

「この屋根は塗れません」と言われました。本当ですか?

本当のこともあります。——塗っても数年で剥がれる屋根材に塗るのは、施主にとって損だからです。確かめるのは「製品名は何ですか。そう判断された理由は」の2つ。製品名まで出てくるなら、調べたうえでの判断です。「この手の屋根は」で終わるなら、もう1社に聞いてください。

製品名が分かりません

分からないこと自体は問題ではありません。——新築時の図面・仕様書・引き渡しの書類に書かれていることがあります。見つからなければ「製品名は分かりますか」と業者に聞いてください。屋根に上がれば、形状や刻印から判別できることがあります。

古い屋根材だと、アスベストが入っていますか?

製品と時期によります。——たとえば積水化学は「セキスイかわらU、CITY(住宅用屋根材)/製造期間1975〜1990/白10〜15%、茶0.7%」と公表しています。製造期間が区切られているので、同じ商品名でも時期が違えば中身が違います。正確な判定には調査が必要です。

アスベストが入っていたら、どうなりますか?

塗り重ねるだけなら、通常は問題になりません。——関係してくるのは撤去を伴う工事です。その場合、あらかじめ石綿の使用の有無を調査することが法律で事業者に義務づけられています。「調査費」は上乗せではなく、決められた手順です。

新しい屋根材のほうが安心ではないのですか?

そうとは限らないのが、この話のややこしいところです。——2000年前後の移行期に作られた一部の製品では、脆さの問題が指摘されています。「築年数が新しいから大丈夫」ではなく、製品名で確かめてください。

コロニアルという名前なのですが

同じ「コロニアル」でも世代が違えば別製品です。——ケイミューの塗替え資料には、コロニアル、ニューコロニアル、コロニアルNEO、コロニアルクァッド、コロニアルグラッサといった商品名が、発売時期ごとに並べられています。推奨される塗替え塗料も分かれます。製品名を特定してください(スレート屋根の塗装)。

塗れないと言われたら、すぐ工事しないといけませんか?

雨漏りしていないなら、あわてる必要はありません。——「そのまま様子を見る」も選択肢です。年に1度、同じ場所の写真を撮って進み方を見てください。その場で高額な工事を勧められたら、持ち帰ってもう1社に見てもらってください屋根の点検商法)。

自分で屋根に上がって確かめてもいいですか?

やめてください。——屋根材は踏む場所を間違えると割れます。脆さが指摘されている製品なら、なおさらです。写真を撮ってもらうよう頼んでください(全体・接写・端部の3枚)。

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その場で決めない

参考にした情報

積水化学工業株式会社「当社グループのアスベスト(石綿)関連の状況について」(2005年9月16日)——過去のアスベスト含有製品として、岡山積水工業(株)で製造された「セキスイかわらU、CITY(住宅用屋根材)」の製造期間が1975〜1990、石綿の含有率が白10〜15%・茶0.7%・青0%と記載されている旨、および「当初、白石綿のみ使用としていましたが、基材を購入していた購買先の調査により茶石綿の配合が判明いたしました」との注記がある旨

ニチハ株式会社の公式リリース——屋根材「パミール」(1996〜2008年販売の無石綿屋根材)について、販売時に配布された専用釘の一部に耐食性処理の薄いものが混入していた旨のお詫びが公表されており、腐食が進んだ場合に屋根材のズレ・落下等が生じる可能性があること、安全処置が必要なものは無償で対応すること、および「『パミール』本体の安全性については、問題ありません」と明記されている旨

ケイミュー株式会社の塗替え用資料——商品名が発売時期ごとに一覧化されており、「2008年1月以降に発売」「2002年1月から発売」「2001年12月まで発売」等の区分で、コロニアル、ニューコロニアル、コロニアルNEO、コロニアルクァッド、コロニアルグラッサ等が整理され、推奨される塗替え塗料が分かれている旨

石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)第3条——建築物等の解体又は改修の作業に当たり、石綿等の使用の有無をあらかじめ調査すべきことが事業者に課されている旨

労働安全衛生規則第518条——墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある高所での作業について、足場の組立て等の方法により作業床を設ける義務が事業者にある旨

最終確認日:2026年8月28日。メーカーの公表内容は更新されることがあります。製品の判定や石綿含有の有無については調査が必要であり、本ページは公表資料の内容を整理したものです。個々の屋根については、現地を確認した施工会社および調査を行う有資格者にご確認ください。