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外壁のこのデコボコは何?——リシン・スタッコ・吹付タイルの見分け方と、1999年までの外壁で確かめること

モルタルの外壁には、ざらざら、ぼこぼこ、つぶつぶ——いろいろな表情があります。あれは塗料の色ではなく、「仕上げ材」の違いです。そして名前が分かると、塗り替えのときに何が変わるかも分かります。——もうひとつ、あまり知られていないことがあります。国の資料によると、昭和40年頃から平成11年(1999年)頃までの仕上塗材には、石綿が添加されているものもあるとされています。怖い話をするためではありません。「どういうときに関係して、どういうときは関係しないのか」を、はっきりさせるためです。

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このページの内容全13項目

このデコボコが付いているのは、多くはモルタルの壁です。下の材料から決めたい方は外壁の種類の見分け方へ。

先に結論

①デコボコの正体は「仕上塗材」です——リシン、スタッコ、吹付タイルなどの種類があります
②触った感じで、だいたい見分けられます——ざらざら/ごつごつ/つぶつぶ
③名前が分かると、塗り替えの手順と塗料が決まります
④1999年頃までの仕上塗材には、石綿が添加されているものもあります——国の資料に、種類ごとの販売期間と含有量が出ています
⑤ただし「上から塗り重ねる」なら、通常は問題になりません——関係してくるのは「削り落とす」場合です

不安をあおる話ではありません。——「どういうときに関係して、どういうときは関係しないのか」を知っておくと、業者の説明が読めるようになります。

塗り壁でも、漆喰は別の扱いになります。消石灰でできた本漆喰の壁には、メーカーが本漆喰の化粧直し用の漆喰塗料を出しています(外部用は白のみ・材工4,280円/㎡)。まず自宅の壁がどちらかを確かめてください。

リシン吹付・スタッコ・吹付タイルの見分け方——触った感じで、だいたい分かります

正確な判定は業者の仕事ですが、当たりを付けるところまではできます。

見た目・触感呼び名特徴
細かい砂のように、ざらざらリシン吹き付けたときに細かい粒(骨材)が混ざっている仕上げ。薄めの膜
ごつごつ、盛り上がりが大きいスタッコ厚く吹き付ける仕上げ。凹凸が深く、重厚な見た目
丸いつぶつぶ/ゆず肌のような模様吹付タイル骨材を入れず、樹脂で模様を作る仕上げ。表面はつるっとしていることも

いちばん分かりやすいのは「手のひらで触ったときのざらつき」です。——砂っぽければリシン、指が引っかかるほど凹凸が深ければスタッコ、丸い粒が並んでいれば吹付タイル、というのがおおよその目安です。

ただし、上から何度も塗り替えられていると、元の表情は分かりにくくなります。——だから最後は、見てもらってください。

名前が分かると、何が変わるのか

「見た目の好み」の話だと思われがちですが、そうではありません。

変わること理由
使う塗料の量凹凸が深いほど、表面積が増えます。スタッコは、平らな壁より塗料を食います
下塗りの選び方古い仕上げは塗料を吸い込むことがあります(長く塗っていない壁の下塗り)
仕上がりの見え方凹凸は基本的に残ります。塗っても、元の模様は消えません
汚れの付き方凹凸が深いほど、汚れが溜まりやすく、コケも出やすくなります
ひび割れの見え方凹凸で分かりにくいことがあります(外壁のひび割れ)

だから、見積もりのときに「うちはリシンですか、スタッコですか、吹付タイルですか」と聞く意味があります。——答えられる会社は、壁を見て塗料と数量を決めています。

正式な名前——見積書には「複層塗材E」と書かれます

「吹付タイル」に、タイルは1枚も使われていません。塗料でデコボコを作った仕上げの呼び名です。目地が格子状に走っていて硬い、貼り物のタイルの壁はタイル外壁のメンテナンスのほうです(塗らない選択があります)。

リシン・スタッコ・吹付タイルは、いずれも職人と業界のあいだで使われてきた通称です。規格上の名前は別にあります。建築用仕上塗材のJIS(JIS A 6909)は、材料をこう区分しています。

通称JIS A 6909の区分名メーカーの棚(エスケー化研の価格表)
リシン外装薄塗材E/外装薄塗材Si/可とう形外装薄塗材E砂壁状仕上塗材
スタッコ外装厚塗材E厚付仕上塗材
吹付タイル複層塗材E/複層塗材Si複層仕上塗材

末尾の記号は材料の系統です。Eは合成樹脂エマルション系、Siはけい酸質系、Cはセメント系。1999年頃までの仕上塗材の章で出てくる「薄塗材C(セメントリシン)」「複層塗材C(セメント系吹付けタイル)」という言い方も、この区分です。石綿の資料も、メーカーの価格表も、同じ名前を使っています——通称と規格名が対応していることを知っていれば、どちらの資料も読めます。

ですから見積書に「複層塗材E」と書かれていたら、それは吹付タイルのことです。「外装薄塗材E」ならリシン。通称で書く会社と規格名で書く会社があるだけで、指しているものは同じです。

「リシン」で一括りにすると、内装用が混ざります。エスケー化研の砂壁状仕上塗材には、じゅらく調のシポカケン#300(2,070円/㎡)とシポカケン#300T(2,150円/㎡)が並んでいますが、備考欄を読むと#300は「JIS A 6909 内装薄塗材E」=内装用で、#300Tのほうが「#300の外装タイプ」です。名前が1文字しか違わないのに、外で使えるかどうかが違う。見積書は製品名まで書いてもらってください(見積もりの内訳のページ)。

㎡単価——同じデコボコでも、値段は2倍以上ちがいます

3つの違いは見た目だけではありません。材料の値段そのものが違います。エスケー化研が公開している「設計価格表2026年度版」から、3区分の幅を並べます。

区分設計価格(円/㎡)備考
リシン(砂壁状仕上塗材)2,150〜3,88013製品。上塗材なしの単体価格
スタッコ(厚付仕上塗材)4,050〜6,610吹放し仕上げと小粒仕上げで価格が違う
吹付タイル(複層仕上塗材)3,780〜7,510下塗材と上塗材まで込みの価格

いちばん安いリシンと、いちばん高い吹付タイルで3.5倍。「壁のデコボコ」とひとまとめに語られがちですが、材料費の桁が違います。ここから読み取れることが3つあります。

①吹付タイルの単価は、上に何を塗るかで決まります

吹付タイルの価格表は、同じ主材に、どの上塗材を組み合わせるかで行が分かれています。代表的な製品「レナラック(アクリル系吹付タイル・吹放し仕上げ)」の1製品だけで、こうなります。

組み合わせる上塗材設計価格(円/㎡)
プリーズコート3,780
水性コンポウレタン4,290
水性セラミシリコン4,710
エスケープレミアムシリコン4,920
水性セラタイトSi5,010
クリーンマイルドウレタン5,140
クリーンマイルドシリコン5,710
水性セラタイトF5,800
スーパーセラタイトF6,170
クリーンマイルドフッソ6,630
エスケーバイオマス無機GR6,960

同じ吹付タイルで、3,780円から6,960円まで1.84倍の幅があります。つまり「吹付タイルの単価はいくらですか」という質問には、答えが存在しません。決まるのは上塗材のほうです。

そして耐用年数も同じ理屈です。仕上塗材そのものに年数は書かれていません。何年もつかを決めるのは、上に乗るウレタン・シリコン・フッ素・無機のほう。価格表の構造が、そのまま答えになっています(塗料メーカーが公表している耐用年数)。

②ローラー仕上げのほうが、吹き付けより高い

これは意外に思われるかもしれません。同じメーカーの同じ価格表で、ローラー用の製品のほうが㎡あたり高く設定されています。2つの区分で、同じ向きです。

区分吹き付けローラー差
吹付タイル(同じ上塗材で比較)レナラック 3,780円/㎡レナラックローラー用 4,330円/㎡+550円
リシンソフトリシン 2,660円/㎡ソフトロール 3,880円/㎡+1,220円

「ローラーのほうが安上がり」という説明を見かけますが、材料の設計価格でいえば逆です。吹き付けとローラーの選び方そのものは吹き付けとローラーのページで扱っていますが、値段の理由で選ぶ話ではない、ということはここでも確かめられます。

③加算される項目が、備考欄に書かれています

価格表の備考欄には、条件によって足される金額が明記されています。見積書の行を読むときの手がかりになります。

  • 凸部処理仕上げ=+300円/㎡——吹きっぱなし(吹放し)ではなく、出っぱりをローラーで押さえて平らにする仕上げ。見た目が変わり、価格も変わります。
  • 軒天部に施工=+200円/㎡(リシンの一部製品)——下から上に向かって塗る面は、手間が別に見られています。
  • 公共建築(改修)工事標準仕様=+390円/㎡(けい酸質系のセラミタイトタイルは+540円)——公共工事の仕様は、民間の標準より工程が多いことが、価格差として書かれています。役所の仕様書に載っている工法が、そのまま戸建てで頼めるとは限らない理由のひとつです。

設計価格はメーカーが示す㎡あたりの目安で、そのまま見積金額になるものではありません。実際の工事には足場・高圧洗浄・下地処理・養生が別に必要です。またエスケー化研の設計価格は面積100㎡を前提とした列があり、塗る面積が小さい戸建ては、これより㎡単価が高くなりやすいという関係があります(エスケー化研の設計価格表のページ/平米単価のページ)。

仕上げごとに、塗り替えのやり方が変わります

「モルタルだから同じ」ではありません。——凹凸の作り方が違うので、塗り替えのときに気をつける場所も変わります。

仕上げ塗り替えで気をつけるところ
リシン塗料を吸い込みやすい仕上げです。下塗りの選び方と量が効きます(吸い込む壁の下塗り)。粒が落ちてきている場合は、その処理も要ります
スタッコ凹凸が深いぶん、塗料を食います。そして凹んだ部分に塗料が届いているかが仕上がりを分けます。ローラーだけで届かない場合、吹き付けや刷毛を併用することがあります
吹付タイル表面が比較的平滑なので塗料の量は抑えられます。ただし模様の凸部分は塗膜が薄くなりやすいので、そこから傷み始めます

共通して効く質問はこれです
「うちの仕上げだと、塗料はどれくらい使いますか。」

——凹凸で使用量が変わるので、面積だけでは決まりません。製品のカタログには1㎡あたりの標準塗付け量が載っているので、面積×塗付け量×回数で必要量のおおよそが出ます(手抜き工事の見抜き方)。

凹凸が「浅くなる」ことはあります

塗り重ねを繰り返すと、細かい凹凸は少しずつ埋まっていきます。——模様が消えるわけではありませんが、新築時よりぼんやりすることはあります。

これは避けられない変化です。気になるなら、契約前に「仕上がりの質感はどうなりますか」と聞いて、施工例の写真を見せてもらってください。

塗り替えで使うのは、じつは別の区分の材料です

ここまでの3区分は、新築のときに模様を作るための材料です。塗り替えの見積書に「複層塗材E」と書かれることはあっても、多くの場合そこで使われるのは別の区分になります。JIS A 6909 は、改修用に「可とう形改修塗材RE」という区分を別に持っているからです。

エスケー化研の価格表でいえば、下地調整塗材の棚がそれにあたります。

製品設計価格(円/㎡)区分・用途
水性弾性サーフエポ厚付け 3,160/薄付け 2,300JIS A 6909 可とう形改修塗材RE。中性化抑制・高耐久・防かび・防藻
水性ソフトサーフエポ厚付け 2,660/薄付け 1,850JIS A 6909 可とう形改修塗材RE
水性ハイブリッドサーフ厚付け 2,750/薄付け 1,910幅広い下地適用性・中性化抑制
アンダーサーフDS1,730意匠性仕上塗材用の改装下地調整塗材

読み取ってほしいのは2つです。

  • 「厚付け」か「薄付け」かで、㎡800円前後変わります。デコボコの谷を埋めながら整えるのか、上から薄くならすだけなのか——同じ製品名でも中身が違います。見積書に厚付け・薄付けの別が書かれていないなら、そこは聞く場所です。
  • 模様のある壁専用の下地材があります。アンダーサーフDSの用途欄は「意匠性仕上塗材用改装下地調整塗材」——つまりリシンやスタッコ、吹付タイルの上に塗るために用意された材料です。凹凸のある壁に、平らな壁と同じ下地材をそのまま使うとは限らないということが、価格表の並びから読み取れます。

だから「今の模様を作り直す」と「上から塗る」は、見積書の行がまったく違います。前者は仕上塗材の値段、後者は下地調整塗材と上塗材の値段。どちらの話をしているのかを、最初に揃えておいてください。

模様を変えたい・平らにしたい場合

「デコボコをなくしたい」という希望は、実際にあります。——ただし通常の塗り替えとは別の工事になります。

やりたいこと必要な工事
凹凸を残したまま色だけ変える通常の塗り替えです。いちばん軽く済みます
凹凸を浅くしたい下地調整材で埋める工程が入ります
平らにしたい既存を削るか、厚く埋める工事。ここで石綿の話が関係してきます
別の模様に変えたい模様を作り直す工程(パターン付け)が入ります

下2つは、金額も工期も変わります。——「見た目を変えたい」という希望は、契約前にはっきり伝えてください。塗り替えの見積もりを取ったあとで「やっぱり平らに」と言うと、話が最初からやり直しになります。

サイディングに張り替える、という選択肢もあります

モルタルの上から板を張る(カバー工法)や、張り替えという方法もあります。——凹凸そのものが無くなります。ただし金額の桁が変わるので、塗り替えと並べて見積もりを取ってから判断してください(サイディングの張り替え)。

1999年頃までの仕上塗材について

ここからは、知っておく価値のある話です。——怖がらせるためではなく、業者の説明を読めるようにするために書きます。

環境省が公表している資料に、こう書かれています。

環境省「特定建築材料以外の石綿含有建材(レベル3建材)除去等作業時の石綿飛散防止」より

・「仕上塗材は、建築物の内外装仕上に幅広く用いられている左官材料である。」
・「昭和40年頃〜平成11年頃の仕上塗材には、石綿が添加されているものもある。」
・「古くは吹付け工法のみだったが、昭和50年頃からローラー塗りが行われるようになった。」
・「石綿含有仕上塗材の石綿含有量は概ね0.1〜5%以下(吹付けパーライト及び吹付けバーミキュライトを除く。)となっている。」

「添加されているものもある」——この書き方が正確です。すべてに入っているわけではありません。

ここで言う石綿は、一般にはアスベストと呼ばれているものです。この壁に入っているかどうかを自分で絞り込む方法(国のデータベースの引き方と、国が書いている4つの限界)は外壁のアスベストのページにまとめました。そちらにも書きましたが、仕上塗材はそのデータベースでは引けません——板を張った壁は引けても、吹き付けで仕上げた壁は関係団体の資料に当たるか、分析するしかない、という扱いです。このページで扱っているデコボコの壁は、まさにその側にあたります。

種類ごとの販売期間と含有量が、公表されています

同じ資料に、製品分類ごとの表が載っています。あなたの家の外壁がどれに当たるかを考えるときの、目安になります。

塗材の種類(通称)販売期間石綿含有量
薄塗材C(セメントリシン)1981〜19880.4%
薄塗材E(樹脂リシン)1979〜19870.1〜0.9%
可とう形外装薄塗材E(弾性リシン)1973〜19931.5%
複層塗材C(セメント系吹付けタイル)1970〜19850.2%
複層塗材E(アクリル系吹付けタイル)1970〜19990.1〜5.0%
複層塗材Si(シリカ系吹付けタイル)1975〜19990.3〜1.0%
防水形複層塗材E(複層弾性)1974〜19960.1〜4.6%
厚塗材C(セメントスタッコ)1975〜19990.1〜3.2%
厚塗材E(樹脂スタッコ)1975〜19880.4%
軽量塗材(吹付けパーライト)1965〜19920.4〜24.4%
軽量塗材(吹付けバーミキュライト)1965〜19895〜39%

※環境省の資料に掲載された表より(出典として「建築物の改修・解体時における石綿含有建築用仕上塗材からの石綿粉じん飛散防止処理技術指針」建築研究所、および日本建築仕上材工業会が挙げられています)。販売期間であって、その年に建った家に必ず使われているという意味ではありません。

読み取れること
おおむね2000年より後に建った家では、この話は関係しません。

——表の販売期間は、いちばん遅いものでも1999年までです。

「塗り重ねる」なら、通常は問題になりません

ここがいちばん大事なところです。

外壁塗装の多くは、既存の仕上げの上から塗り重ねる工事です。——削り落とすわけではありません。

だから、こうなります
上から塗り重ねる工事=既存の仕上材を除去しない=石綿の話は通常は出てきません

——むしろ塗り重ねることで、表面を覆う形になります。

「築30年だから危ない」という話ではありません。——問題になるのは年数ではなく、工事の内容です。

関係してくるのは「削る」場合です

次のような場合は、既存の仕上材を落とすことになります。

  • 既存の仕上げが浮いている・ぼろぼろで、上から塗れない
  • 模様を変えたい(凹凸をなくして平らにしたい)
  • 張り替えや、大きな下地補修を伴う

この場合、法令上の手順が入ってきます。

石綿障害予防規則 第3条

事業者は、建築物等の解体又は改修の作業を行うときは、あらかじめ石綿等の使用の有無を調査しなければならない旨

つまり、削る工事になるなら、事前の調査が入ります。——これは業者の義務であって、施主が手配するものではありません。「調査費」の行が出てきても、上乗せではありません(葺き替えと石綿の調査)。

施工の方法によって、扱いが変わります

同じ環境省の資料には、こうも書かれています。

・「吹付け工法により施工された石綿含有仕上塗材は、大防法上の『吹付け石綿』に該当し、これを除去する作業は大防法の規制対象(特定粉じん排出等作業の実施の届出、作業基準の遵守等)となっている。」
・「一方、ローラー塗り等により施工された石綿含有仕上塗材の除去作業は、大防法の規制対象としていないが、適切な飛散防止措置の実施について、環境省の通知(平成29年5月)により周知している。」

ここは専門的なので、覚える必要はありません。——知っておいてほしいのは「削る工事になるなら、決められた手順がある」ということだけです。

そして、削るか塗り重ねるかの判断は、会社によって割れることがあります。——同じ壁を見ても、「上から塗れます」と「一度落としましょう」で分かれる。2〜3社に見積もりを出してもらうと、その理由を並べて聞けます。

逆に言えば、これは業者を見分ける材料にもなります。——「既存を削る提案」をしてきた会社に、「石綿の調査はどうなりますか」と聞いてみてください。手順を知っている会社なら、すぐ答えられます。

見積書で見る行と、聞く質問

見積書の行読み取れること
下塗り(シーラー・フィラーなど)凹凸のある壁では、ここの選び方で仕上がりが変わります。製品名が書かれているか
塗装面積(㎡)凹凸が深いほど塗料を食います。数量の根拠を聞けます(塗装面積の出し方)
下地補修/ひび割れ処理モルタルはひびが出やすい壁です(外壁のひび割れ)
既存撤去/ケレン/素地調整「削る」工事が入っているか。入っているなら、その理由と石綿の扱いを聞く
模様替え・パターン付け凹凸を作り直す工事。通常の塗り替えとは別の工程です

聞くのは、この3つで足ります

1.「うちの外壁の仕上げは、何ですか。」
——リシン、スタッコ、吹付タイル。名前が返ってくるか

2.「既存は削りますか、上から塗り重ねますか。」
——ここで、石綿の話が関係するかどうかが決まります

3.「削る場合、石綿の調査はどうなりますか。」
——手順を知っている会社なら、すぐ答えられます

1つ目に答えられない会社は、壁をよく見ていません。——そして2つ目と3つ目は、削る提案をされたときだけ効きます。塗り重ねるだけなら、そこで終わりです。

同じ壁でも、会社によって「塗り重ねる」と「削る」で提案が割れることがあります。——2〜3社に見てもらうと、なぜそう判断したのかを並べて聞けます。金額の差より、そちらのほうが判断材料になります。

砂壁調・土壁調の仕上げが「ベルアート」という製品名だった場合は、塗り替えの材料が決まっています。——ベルアートの塗り替えにまとめました。

よくある質問

塗り替えると、凹凸は浅くなりますか?

細かい凹凸は、塗り重ねるうちに少しずつ埋まっていきます。——模様が消えるわけではありませんが、新築時よりぼんやりすることはあります。これは避けられない変化です。気になるなら、施工例の写真を見せてもらってください。

凹凸があると、塗料はどれくらい多く要りますか?

仕上げによって変わります。——スタッコのように凹凸が深いものほど、表面積が増えるので塗料を食います。「うちの仕上げだと、塗料はどれくらい使いますか」と聞いてください。製品のカタログには1㎡あたりの標準塗付け量が載っているので、面積×塗付け量×回数で必要量のおおよそが出ます。

凹んだ部分まで、ちゃんと塗れますか?

ここが仕上がりを分けます。——ローラーだけでは凹んだ部分に届かないことがあり、吹き付けや刷毛を併用することがあります。「凹んだところまで、どうやって塗りますか」と聞いてみてください。方法を説明できる会社なら、壁を見ています。

平らな壁にしたいのですが

通常の塗り替えとは別の工事になります。——既存を削るか、厚く埋めることになり、金額も工期も変わります。そして削る場合は、石綿の事前調査が入ります。「見た目を変えたい」という希望は、契約前にはっきり伝えてください。

ひび割れが凹凸で分かりにくいのですが

だからこそ、見てもらう価値があります。——モルタルはひび割れが出やすい壁で、凹凸のある仕上げでは目立ちにくくなります。幅と、壁の作りで対応が変わります(外壁のひび割れ)。

北面にコケが出ています

凹凸のある仕上げでは、出やすくなります。——汚れや水分が凹んだ部分に留まりやすいからです。まず洗浄で落ちる範囲かを見てもらってください。生えている量によっては、薬剤を使う方法が提案されることもあります(高圧洗浄)。

この仕上げは、何年ごとに塗り替えますか?

年数では決まりません。——前回何を塗ったか、家の向き、立地で変わります。粒が落ちてくる、白い粉が出る、色があせる——このあたりが手を入れる時期の目安です(何年ごとに塗るのか)。

見積書に「パターン付け」の行があったら

模様を作り直す工程です。——通常の塗り替えには入りません。凹凸が失われている、あるいは意匠を変えたい場合に出てきます。「なぜこの行が必要ですか」と聞いてください。理由が説明できるなら妥当ですし、希望していないなら外せます。

足場の養生シートで、壁が見えなくなりますが

途中で見せてもらえます。——「下塗りが終わったところで、一度見せてもらえますか」と頼んでおくと、工程ごとの状態を確認できます。凹凸のある壁は下塗りが行き渡っているかが仕上がりを分けるので、見ておく価値があります(完了検査)。

ジョリパットとは何が違うのですか?

ジョリパットは製品名です。——同じ「左官材料の仕上げ」ですが、塗り替えのときに選べる塗料が限られることがあります。「うちはジョリパットです」と分かっているなら、そちらを先に読んでください(ジョリパットの塗り替え)。

吹付タイルとリシンの違いは何ですか?

骨材が入っているかどうかが、いちばん分かりやすい違いです。——リシンは細かい粒(骨材)が混ざっていて、砂のようにざらざらしています。吹付タイルは骨材を入れず、樹脂で模様を作るので、丸いつぶつぶやゆず肌のような表情になります。手のひらで触ってみると、違いが分かります。

スタッコは、どう見分けますか?

凹凸の深さです。——スタッコは厚く吹き付ける仕上げなので、リシンより盛り上がりが大きく、指が引っかかるような凹凸になります。そのぶん塗料も食います。

塗り替えると、この模様は消えますか?

消えません。——凹凸は基本的に残ります。色は変わりますが、表情はそのままです。平らにしたい場合は、既存を削るか、埋める工事が別に必要になります。それは通常の塗り替えとは別の工程です。

石綿が入っているか、自分で分かりますか?

見た目では分かりません。——判定には調査が要ります。ただし目安はあります。環境省の資料に載っている表では、販売期間はいちばん遅いものでも1999年までです。おおむね2000年より後に建った家では、この話は関係しません。

築30年です。塗装しても大丈夫ですか?

上から塗り重ねる工事なら、通常は問題になりません。——既存の仕上材を除去しないからです。関係してくるのは「既存を削り落とす」工事になる場合です。「削りますか、塗り重ねますか」を聞いてください。

「既存を全部落としてから塗ります」と言われました

まず、なぜ落とす必要があるのかを聞いてください。——既存が浮いている、ぼろぼろで上から塗れない、といった理由があるなら妥当です。そのうえで「石綿の調査はどうなりますか」と聞いてください。解体や改修の作業では、あらかじめ石綿の使用の有無を調査することが法律で事業者に義務づけられています。

「調査費」が見積書にあります。断れますか?

断るものではありません。——削る工事なら、法令上の手順です。ただし「何を調べて、結果はどうでしたか」は聞いてください。結果によって、そのあとの作業方法も費用も変わります。

石綿が入っていたら、工事はできないのですか?

できます。作業の方法が決められているだけです。——環境省の資料には、飛散を防ぐ工法として集じん装置を併用したケレン、剥離剤を併用した工法、集じん装置付きの高圧水洗工法などが挙げられています。「どの方法でやりますか」と聞けば、手順を知っているかが分かります。

凹凸があると、汚れやすいですか?

平らな壁より、汚れは溜まりやすくなります。——とくに北面はコケや藻が出やすいです。洗浄で落ちる範囲かどうかを見てもらってください(高圧洗浄)。凹凸の深いスタッコほど、この傾向は出ます。

ジョリパットも同じ仲間ですか?

同じ「左官材料の仕上げ」ですが、扱いが違います。——ジョリパットは製品名で、塗り替えのときに選べる塗料が限られることがあります(ジョリパットの塗り替え)。「うちはジョリパットです」と分かっているなら、そちらを先に読んでください。

吹付タイルの㎡単価はいくらですか?

一つの数字では答えられません。エスケー化研の設計価格表では、代表製品レナラック(アクリル系吹付タイル)が、組み合わせる上塗材によって3,780円/㎡から6,960円/㎡まで11行に分かれています。1.84倍の幅です。単価を決めているのは吹付タイルそのものではなく、上に塗るウレタン・シリコン・フッ素・無機のほう。詳しくは㎡単価の章をご覧ください。なお設計価格は材料の目安で、足場・高圧洗浄・下地処理は別に必要です。

リシンと吹付タイルでは、どちらが高いのですか?

材料の設計価格でいえば吹付タイルのほうが高くなります。エスケー化研の価格表で、リシン(砂壁状仕上塗材)は2,150〜3,880円/㎡、吹付タイル(複層仕上塗材)は3,780〜7,510円/㎡です。ただしリシンの価格は主材だけの単体価格で、吹付タイルは下塗材と上塗材まで含んだ価格なので、そのまま引き算はできません。

吹付タイルの耐用年数は何年ですか?

仕上塗材そのものに耐用年数は書かれていません。メーカーの価格表が、同じ吹付タイルに対してウレタン・シリコン・フッ素・無機のどれを組み合わせるかで行を分けている通り、年数を決めるのは上塗材のほうです。塗料メーカーが公表している期待耐用年数はこちらのページにまとめています。

見積書の「複層塗材E」とは何ですか?

吹付タイルのことです。JIS A 6909(建築用仕上塗材)の区分名で、末尾のEは合成樹脂エマルション系を指します。同じようにリシンは外装薄塗材E・Si、スタッコは外装厚塗材Eと書かれます。通称で書く会社と規格名で書く会社があるだけで、指しているものは同じです(正式な名前の章)。

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削るか、塗り重ねるか

参考にした情報

エスケー化研「設計価格表2026年度版(建築塗料・建築仕上塗材)」——砂壁状仕上塗材13製品の設計価格(シポカケンDO 2,160円/㎡ほか)、じゅらく調アクリルリシン シポカケン#300が「JIS A 6909 内装薄塗材E」でありシポカケン#300Tが「#300の外装タイプ」である旨、厚付仕上塗材(ソフトスタッコ 小粒仕上げ4,050円/㎡・吹放し仕上げ5,070円/㎡ほか、JIS A 6909 外装厚塗材E)、複層仕上塗材(レナラック=アクリル系吹付タイル・JIS A 6909 複層塗材E、上塗材別に3,780〜6,960円/㎡の11行。レナラックローラー用=アクリル系ローラータイル4,330〜7,510円/㎡)、弾性アクリルローラーリシン ソフトロール3,880円/㎡と弾性アクリルリシン ソフトリシン2,660円/㎡、下地調整塗材(水性弾性サーフエポ 厚付け3,160円/薄付け2,300円、水性ソフトサーフエポ 厚付け2,660円/薄付け1,850円、いずれもJIS A 6909 可とう形改修塗材RE。アンダーサーフDS 1,730円=意匠性仕上塗材用改装下地調整塗材)、ならびに備考欄の「凸部処理仕上げの場合はm2当り300円を加算してください」「軒天部施工の場合は、m2当り200円を加算願います」「公共建築(改修)工事標準仕様の場合はm2当り390円を加算してください」(セラミタイトタイルは540円)の各記載。最終確認日:2026年9月10日

環境省「特定建築材料以外の石綿含有建材(レベル3建材)除去等作業時の石綿飛散防止(関係情報の整理)」資料3-1——「仕上塗材は、建築物の内外装仕上に幅広く用いられている左官材料である」旨、「昭和40年頃〜平成11年頃の仕上塗材には、石綿が添加されているものもある」旨、「古くは吹付け工法のみだったが、昭和50年頃からローラー塗りが行われるようになった」旨、および「石綿含有仕上塗材の石綿含有量は概ね0.1〜5%以下(吹付けパーライト及び吹付けバーミキュライトを除く。)となっている」旨

同資料 表6「主な石綿含有仕上塗材の販売期間と石綿含有量」——薄塗材C(セメントリシン)1981〜1988年・0.4%、薄塗材E(樹脂リシン)1979〜1987年・0.1〜0.9%、可とう形外装薄塗材E(弾性リシン)1973〜1993年・1.5%、複層塗材C(セメント系吹付けタイル)1970〜1985年・0.2%、複層塗材E(アクリル系吹付けタイル)1970〜1999年・0.1〜5.0%、複層塗材Si(シリカ系吹付けタイル)1975〜1999年・0.3〜1.0%、防水形複層塗材E(複層弾性)1974〜1996年・0.1〜4.6%、厚塗材C(セメントスタッコ)1975〜1999年・0.1〜3.2%、厚塗材E(樹脂スタッコ)1975〜1988年・0.4%、軽量塗材(吹付けパーライト)1965〜1992年・0.4〜24.4%、軽量塗材(吹付けバーミキュライト)1965〜1989年・5〜39%。出典として「建築物の改修・解体時における石綿含有建築用仕上塗材からの石綿粉じん飛散防止処理技術指針」(平成28年5月 国立研究開発法人建築研究所)および日本建築仕上材工業会が挙げられている旨

同資料——「吹付け工法により施工された石綿含有仕上塗材は、大防法上の『吹付け石綿』に該当し、これを除去する作業は大防法の規制対象(特定粉じん排出等作業の実施の届出、作業基準の遵守等)となっている」旨、「一方、ローラー塗り等により施工された石綿含有仕上塗材の除去作業は、大防法の規制対象としていないが、適切な飛散防止措置の実施について、環境省の通知(平成29年5月)により周知している」旨、および飛散防止対策の工法として集じん装置併用手工具ケレン工法、集じん装置付き高圧水洗工法、剥離剤併用手工具ケレン工法等が挙げられている旨

石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)第3条——建築物等の解体又は改修の作業に当たり、石綿等の使用の有無をあらかじめ調査すべきことが事業者に課されている旨

最終確認日:2026年8月28日。法令および公表資料は改定されることがあります。表の販売期間は製品が販売されていた期間であり、その時期に建てられた住宅に必ず使用されていることを意味するものではありません。実際の判定には調査が必要です。個々の建物については、現地を確認した施工会社および調査を行う有資格者にご確認ください。