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外壁のこのデコボコは何?——リシン・スタッコ・吹付タイルの見分け方と、1999年までの外壁で確かめること
モルタルの外壁には、ざらざら、ぼこぼこ、つぶつぶ——いろいろな表情があります。あれは塗料の色ではなく、「仕上げ材」の違いです。そして名前が分かると、塗り替えのときに何が変わるかも分かります。——もうひとつ、あまり知られていないことがあります。国の資料によると、昭和40年頃から平成11年(1999年)頃までの仕上塗材には、石綿が添加されているものもあるとされています。怖い話をするためではありません。「どういうときに関係して、どういうときは関係しないのか」を、はっきりさせるためです。
※本ページはプロモーション(広告)を含みます。
このページの内容
- 先に結論
- 3つの見分け方——触った感じで、だいたい分かります
- 名前が分かると、何が変わるのか
- 1999年頃までの仕上塗材について
- 「塗り重ねる」なら、通常は問題になりません
- 関係してくるのは「削る」場合です
- 見積書で見る行と、聞く質問
- よくある質問
先に結論
①デコボコの正体は「仕上塗材」です——リシン、スタッコ、吹付タイルなどの種類があります
②触った感じで、だいたい見分けられます——ざらざら/ごつごつ/つぶつぶ
③名前が分かると、塗り替えの手順と塗料が決まります
④1999年頃までの仕上塗材には、石綿が添加されているものもあります——国の資料に、種類ごとの販売期間と含有量が出ています
⑤ただし「上から塗り重ねる」なら、通常は問題になりません——関係してくるのは「削り落とす」場合です
不安をあおる話ではありません。——「どういうときに関係して、どういうときは関係しないのか」を知っておくと、業者の説明が読めるようになります。
3つの見分け方——触った感じで、だいたい分かります
正確な判定は業者の仕事ですが、当たりを付けるところまではできます。
| 見た目・触感 | 呼び名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 細かい砂のように、ざらざら | リシン | 吹き付けたときに細かい粒(骨材)が混ざっている仕上げ。薄めの膜 |
| ごつごつ、盛り上がりが大きい | スタッコ | 厚く吹き付ける仕上げ。凹凸が深く、重厚な見た目 |
| 丸いつぶつぶ/ゆず肌のような模様 | 吹付タイル | 骨材を入れず、樹脂で模様を作る仕上げ。表面はつるっとしていることも |
💡いちばん分かりやすいのは「手のひらで触ったときのざらつき」です。——砂っぽければリシン、指が引っかかるほど凹凸が深ければスタッコ、丸い粒が並んでいれば吹付タイル、というのがおおよその目安です。
ただし、上から何度も塗り替えられていると、元の表情は分かりにくくなります。——だから最後は、見てもらってください。
名前が分かると、何が変わるのか
「見た目の好み」の話だと思われがちですが、そうではありません。
| 変わること | 理由 |
|---|---|
| 使う塗料の量 | 凹凸が深いほど、表面積が増えます。スタッコは、平らな壁より塗料を食います |
| 下塗りの選び方 | 古い仕上げは塗料を吸い込むことがあります(長く塗っていない壁の下塗り) |
| 仕上がりの見え方 | 凹凸は基本的に残ります。塗っても、元の模様は消えません |
| 汚れの付き方 | 凹凸が深いほど、汚れが溜まりやすく、コケも出やすくなります |
| ひび割れの見え方 | 凹凸で分かりにくいことがあります(外壁のひび割れ) |
だから、見積もりのときに「うちはリシンですか、スタッコですか、吹付タイルですか」と聞く意味があります。——答えられる会社は、壁を見て塗料と数量を決めています。
1999年頃までの仕上塗材について
ここからは、知っておく価値のある話です。——怖がらせるためではなく、業者の説明を読めるようにするために書きます。
環境省が公表している資料に、こう書かれています。
・「仕上塗材は、建築物の内外装仕上に幅広く用いられている左官材料である。」
・「昭和40年頃〜平成11年頃の仕上塗材には、石綿が添加されているものもある。」
・「古くは吹付け工法のみだったが、昭和50年頃からローラー塗りが行われるようになった。」
・「石綿含有仕上塗材の石綿含有量は概ね0.1〜5%以下(吹付けパーライト及び吹付けバーミキュライトを除く。)となっている。」
「添加されているものもある」——この書き方が正確です。すべてに入っているわけではありません。
種類ごとの販売期間と含有量が、公表されています
同じ資料に、製品分類ごとの表が載っています。あなたの家の外壁がどれに当たるかを考えるときの、目安になります。
| 塗材の種類(通称) | 販売期間 | 石綿含有量 |
|---|---|---|
| 薄塗材C(セメントリシン) | 1981〜1988 | 0.4% |
| 薄塗材E(樹脂リシン) | 1979〜1987 | 0.1〜0.9% |
| 可とう形外装薄塗材E(弾性リシン) | 1973〜1993 | 1.5% |
| 複層塗材C(セメント系吹付けタイル) | 1970〜1985 | 0.2% |
| 複層塗材E(アクリル系吹付けタイル) | 1970〜1999 | 0.1〜5.0% |
| 複層塗材Si(シリカ系吹付けタイル) | 1975〜1999 | 0.3〜1.0% |
| 防水形複層塗材E(複層弾性) | 1974〜1996 | 0.1〜4.6% |
| 厚塗材C(セメントスタッコ) | 1975〜1999 | 0.1〜3.2% |
| 厚塗材E(樹脂スタッコ) | 1975〜1988 | 0.4% |
| 軽量塗材(吹付けパーライト) | 1965〜1992 | 0.4〜24.4% |
| 軽量塗材(吹付けバーミキュライト) | 1965〜1989 | 5〜39% |
※環境省の資料に掲載された表より(出典として「建築物の改修・解体時における石綿含有建築用仕上塗材からの石綿粉じん飛散防止処理技術指針」建築研究所、および日本建築仕上材工業会が挙げられています)。販売期間であって、その年に建った家に必ず使われているという意味ではありません。
読み取れること
おおむね2000年より後に建った家では、この話は関係しません。
——表の販売期間は、いちばん遅いものでも1999年までです。
「塗り重ねる」なら、通常は問題になりません
ここがいちばん大事なところです。
外壁塗装の多くは、既存の仕上げの上から塗り重ねる工事です。——削り落とすわけではありません。
だから、こうなります
上から塗り重ねる工事=既存の仕上材を除去しない=石綿の話は通常は出てきません
——むしろ塗り重ねることで、表面を覆う形になります。
「築30年だから危ない」という話ではありません。——問題になるのは年数ではなく、工事の内容です。
関係してくるのは「削る」場合です
次のような場合は、既存の仕上材を落とすことになります。
- 既存の仕上げが浮いている・ぼろぼろで、上から塗れない
- 模様を変えたい(凹凸をなくして平らにしたい)
- 張り替えや、大きな下地補修を伴う
この場合、法令上の手順が入ってきます。
事業者は、建築物等の解体又は改修の作業を行うときは、あらかじめ石綿等の使用の有無を調査しなければならない旨
つまり、削る工事になるなら、事前の調査が入ります。——これは業者の義務であって、施主が手配するものではありません。「調査費」の行が出てきても、上乗せではありません(葺き替えと石綿の調査)。
施工の方法によって、扱いが変わります
同じ環境省の資料には、こうも書かれています。
・「吹付け工法により施工された石綿含有仕上塗材は、大防法上の『吹付け石綿』に該当し、これを除去する作業は大防法の規制対象(特定粉じん排出等作業の実施の届出、作業基準の遵守等)となっている。」
・「一方、ローラー塗り等により施工された石綿含有仕上塗材の除去作業は、大防法の規制対象としていないが、適切な飛散防止措置の実施について、環境省の通知(平成29年5月)により周知している。」
ここは専門的なので、覚える必要はありません。——知っておいてほしいのは「削る工事になるなら、決められた手順がある」ということだけです。
そして、削るか塗り重ねるかの判断は、会社によって割れることがあります。——同じ壁を見ても、「上から塗れます」と「一度落としましょう」で分かれる。2〜3社に見積もりを出してもらうと、その理由を並べて聞けます。
💡逆に言えば、これは業者を見分ける材料にもなります。——「既存を削る提案」をしてきた会社に、「石綿の調査はどうなりますか」と聞いてみてください。手順を知っている会社なら、すぐ答えられます。
見積書で見る行と、聞く質問
| 見積書の行 | 読み取れること |
|---|---|
| 下塗り(シーラー・フィラーなど) | 凹凸のある壁では、ここの選び方で仕上がりが変わります。製品名が書かれているか |
| 塗装面積(㎡) | 凹凸が深いほど塗料を食います。数量の根拠を聞けます(塗装面積の出し方) |
| 下地補修/ひび割れ処理 | モルタルはひびが出やすい壁です(外壁のひび割れ) |
| 既存撤去/ケレン/素地調整 | 「削る」工事が入っているか。入っているなら、その理由と石綿の扱いを聞く |
| 模様替え・パターン付け | 凹凸を作り直す工事。通常の塗り替えとは別の工程です |
聞くのは、この3つで足ります
1.「うちの外壁の仕上げは、何ですか。」
——リシン、スタッコ、吹付タイル。名前が返ってくるか
2.「既存は削りますか、上から塗り重ねますか。」
——ここで、石綿の話が関係するかどうかが決まります
3.「削る場合、石綿の調査はどうなりますか。」
——手順を知っている会社なら、すぐ答えられます
1つ目に答えられない会社は、壁をよく見ていません。——そして2つ目と3つ目は、削る提案をされたときだけ効きます。塗り重ねるだけなら、そこで終わりです。
同じ壁でも、会社によって「塗り重ねる」と「削る」で提案が割れることがあります。——2〜3社に見てもらうと、なぜそう判断したのかを並べて聞けます。金額の差より、そちらのほうが判断材料になります。
よくある質問
吹付タイルとリシンの違いは何ですか?
骨材が入っているかどうかが、いちばん分かりやすい違いです。——リシンは細かい粒(骨材)が混ざっていて、砂のようにざらざらしています。吹付タイルは骨材を入れず、樹脂で模様を作るので、丸いつぶつぶやゆず肌のような表情になります。手のひらで触ってみると、違いが分かります。
スタッコは、どう見分けますか?
凹凸の深さです。——スタッコは厚く吹き付ける仕上げなので、リシンより盛り上がりが大きく、指が引っかかるような凹凸になります。そのぶん塗料も食います。
塗り替えると、この模様は消えますか?
消えません。——凹凸は基本的に残ります。色は変わりますが、表情はそのままです。平らにしたい場合は、既存を削るか、埋める工事が別に必要になります。それは通常の塗り替えとは別の工程です。
石綿が入っているか、自分で分かりますか?
見た目では分かりません。——判定には調査が要ります。ただし目安はあります。環境省の資料に載っている表では、販売期間はいちばん遅いものでも1999年までです。おおむね2000年より後に建った家では、この話は関係しません。
築30年です。塗装しても大丈夫ですか?
上から塗り重ねる工事なら、通常は問題になりません。——既存の仕上材を除去しないからです。関係してくるのは「既存を削り落とす」工事になる場合です。「削りますか、塗り重ねますか」を聞いてください。
「既存を全部落としてから塗ります」と言われました
まず、なぜ落とす必要があるのかを聞いてください。——既存が浮いている、ぼろぼろで上から塗れない、といった理由があるなら妥当です。そのうえで「石綿の調査はどうなりますか」と聞いてください。解体や改修の作業では、あらかじめ石綿の使用の有無を調査することが法律で事業者に義務づけられています。
「調査費」が見積書にあります。断れますか?
断るものではありません。——削る工事なら、法令上の手順です。ただし「何を調べて、結果はどうでしたか」は聞いてください。結果によって、そのあとの作業方法も費用も変わります。
石綿が入っていたら、工事はできないのですか?
できます。作業の方法が決められているだけです。——環境省の資料には、飛散を防ぐ工法として集じん装置を併用したケレン、剥離剤を併用した工法、集じん装置付きの高圧水洗工法などが挙げられています。「どの方法でやりますか」と聞けば、手順を知っているかが分かります。
凹凸があると、汚れやすいですか?
平らな壁より、汚れは溜まりやすくなります。——とくに北面はコケや藻が出やすいです。洗浄で落ちる範囲かどうかを見てもらってください(高圧洗浄)。凹凸の深いスタッコほど、この傾向は出ます。
ジョリパットも同じ仲間ですか?
同じ「左官材料の仕上げ」ですが、扱いが違います。——ジョリパットは製品名で、塗り替えのときに選べる塗料が限られることがあります(ジョリパットの塗り替え)。「うちはジョリパットです」と分かっているなら、そちらを先に読んでください。
あわせて読みたい
モルタル外壁の塗装
継ぎ目のない一枚壁だから
ジョリパットの塗り替え
選べる塗料が限られます
外壁のひび割れ
埋める前に見るのは幅
長く塗っていない壁
下塗りが増えることがあります
高圧洗浄
凹凸のある壁は汚れが溜まります
塗装面積の出し方
凹凸で塗料の量が変わります
石綿の調査とは
解体・改修では法令上の手順です
見積書のチェック
削るか、塗り重ねるか
参考にした情報
環境省「特定建築材料以外の石綿含有建材(レベル3建材)除去等作業時の石綿飛散防止(関係情報の整理)」資料3-1——「仕上塗材は、建築物の内外装仕上に幅広く用いられている左官材料である」旨、「昭和40年頃〜平成11年頃の仕上塗材には、石綿が添加されているものもある」旨、「古くは吹付け工法のみだったが、昭和50年頃からローラー塗りが行われるようになった」旨、および「石綿含有仕上塗材の石綿含有量は概ね0.1〜5%以下(吹付けパーライト及び吹付けバーミキュライトを除く。)となっている」旨
同資料 表6「主な石綿含有仕上塗材の販売期間と石綿含有量」——薄塗材C(セメントリシン)1981〜1988年・0.4%、薄塗材E(樹脂リシン)1979〜1987年・0.1〜0.9%、可とう形外装薄塗材E(弾性リシン)1973〜1993年・1.5%、複層塗材C(セメント系吹付けタイル)1970〜1985年・0.2%、複層塗材E(アクリル系吹付けタイル)1970〜1999年・0.1〜5.0%、複層塗材Si(シリカ系吹付けタイル)1975〜1999年・0.3〜1.0%、防水形複層塗材E(複層弾性)1974〜1996年・0.1〜4.6%、厚塗材C(セメントスタッコ)1975〜1999年・0.1〜3.2%、厚塗材E(樹脂スタッコ)1975〜1988年・0.4%、軽量塗材(吹付けパーライト)1965〜1992年・0.4〜24.4%、軽量塗材(吹付けバーミキュライト)1965〜1989年・5〜39%。出典として「建築物の改修・解体時における石綿含有建築用仕上塗材からの石綿粉じん飛散防止処理技術指針」(平成28年5月 国立研究開発法人建築研究所)および日本建築仕上材工業会が挙げられている旨
同資料——「吹付け工法により施工された石綿含有仕上塗材は、大防法上の『吹付け石綿』に該当し、これを除去する作業は大防法の規制対象(特定粉じん排出等作業の実施の届出、作業基準の遵守等)となっている」旨、「一方、ローラー塗り等により施工された石綿含有仕上塗材の除去作業は、大防法の規制対象としていないが、適切な飛散防止措置の実施について、環境省の通知(平成29年5月)により周知している」旨、および飛散防止対策の工法として集じん装置併用手工具ケレン工法、集じん装置付き高圧水洗工法、剥離剤併用手工具ケレン工法等が挙げられている旨
石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)第3条——建築物等の解体又は改修の作業に当たり、石綿等の使用の有無をあらかじめ調査すべきことが事業者に課されている旨
最終確認日:2026年8月28日。法令および公表資料は改定されることがあります。表の販売期間は製品が販売されていた期間であり、その時期に建てられた住宅に必ず使用されていることを意味するものではありません。実際の判定には調査が必要です。個々の建物については、現地を確認した施工会社および調査を行う有資格者にご確認ください。