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スレート屋根の塗装は意味ない?——「コロニアル」「カラーベスト」も同じ話。メーカー公式資料で分かった3つの意外な事実
スレート、コロニアル、カラーベスト。検索すると3つの名前が出てきますが、どれも同じ屋根材の話です。この屋根材については、塗る意味の議論も縁切りの説明も屋根塗装の基本のページに書きました。このページでやるのはその先——屋根材を作っているメーカー自身の公式資料を読むことです。すると、「色あせは性能の問題ではない」「市販塗料は数年で剥離することがある」など、業者の説明とは食い違う記述がいくつも見つかります。塗る前に知っておいてください。
このページの内容全12項目
- まず名前の整理——スレートは素材名、コロニアル・カラーベストは商品名
- スレート屋根の種類——分類の名前より、見積書に出てくる商品名です
- 事実①「色あせ=防水性能の低下」ではない、とメーカーが書いている
- 事実② 市販塗料は「数年で剥離することがある」ともメーカーが書いている
- 事実③ 縁切りの「差し込み型部材」を、メーカーは使わないでと書いている
- 「塗ってはいけない」の正体——層間剥離という劣化
- 製品名と製造時期で、アスベストの有無が変わる屋根材です
- スレート屋根の寿命は何年か——メーカーは「何年もつ」と書いていません
- 塗料の㎡単価がそろっても、総額が違う3行
- 契約前に確認する3つのこと
- よくある質問
- 参考にした情報
まず名前の整理——スレートは素材名、コロニアル・カラーベストは商品名
「スレート(化粧スレート)」は、セメントを薄い板状に成形した屋根材の一般名です。「カラーベスト」はこの屋根材の代表的なシリーズ名、「コロニアル」はその中の商品名——現在はケイミュー(旧クボタと旧松下電工の外装事業が統合した会社)の製品です。あまりに普及したため、商品名がそのまま屋根材の呼び名として定着したという関係で、車で言う「セダン」と「カローラ」のようなものです。
同じ屋根材でも、アスファルトシングルは別の話になります。——柔軟に動く屋根材なので、塗膜も追従できるものが要ります。塗料メーカー2社が専用の仕様を公表しています(アスファルトシングルは塗装できる?)。
ケイミューの塗替え用資料には「旧クボタおよび旧松下電工の平形屋根用スレート」という表現がそのまま出てきます。つまり呼び名が3つあっても、メンテナンスの考え方はひとつ。そして後で効いてくるので先に言っておくと、この屋根材は「スレートかどうか」より「どの商品名か」で話が変わります。新築時の書類で製品名を確かめる方法は屋根塗装の基本のページの冒頭にまとめてあります。
スレート屋根の種類——分類の名前より、見積書に出てくる商品名です
「スレート」は屋根材の分類名です。大きく2つに分かれます。
| 種類 | 何でできているか | 戸建てで見かけるか |
|---|---|---|
| 天然スレート | 粘板岩という石を、薄い板状に割ったもの。本物の石です | ほとんどありません。材料も施工も高価で、駅舎や洋館などで使われます |
| 化粧スレート(平板) | セメントに繊維を混ぜて、板状に固めたもの | 戸建てのスレート屋根は、ほぼこれです。「カラーベスト」「コロニアル」と呼ばれます |
| 化粧スレート(厚型) | 同じくセメント系で、厚みのあるもの | 古い家に。「セメント瓦」と呼ばれることもあります |
| 波型スレート(大波・小波) | セメントに繊維を混ぜた波板 | 工場・倉庫・車庫の屋根。古いものは石綿を含みます |
ここが、この節でいちばん伝えたいところです。「うちはスレート屋根です」と分かっても、そこまでしか決まりません。戸建てのスレートはほぼ「化粧スレートの平板」で、その中に、塗れる屋根材と、塗っても数年で剥がれる屋根材が混ざっています。
塗る・塗らないを分けるのは、分類名ではなく商品名です。だから、業者が「スレートですね」で説明を終えたら、こう聞いてください——「商品名は分かりますか」。
メーカーが今も資料を出している屋根商品は、こう分かれています
化粧スレートの国内最大手はケイミューです。同社は「お施主様へ」と表紙に書かれた維持管理のPDFを、商品ごとに公開しています。当サイトが2026年9月13日に確認した時点では、屋根材のPDFは4つでした(いずれも2024年7月現在の版)。
| PDFの対象商品 | 資料の中でどう呼ばれているか | 色の保証 |
|---|---|---|
| プレミアムグラッサ/遮熱グラッサ/グラッサ | カラーベスト(グラッサシリーズ) | 色10年保証対象商品 |
| コロニアルクァッド | カラーベスト(コロニアルクァッド) | 色2年保証対象商品 |
| グランネクスト(うろこ/ヒシ/サンド/シンプル) | グランネクスト | 色10年保証対象商品 |
| ROOGA | ROOGA | 色10年保証対象商品 |
色の保証が、10年と2年に分かれています。同じメーカーの、同じ書式の資料の中でです。「スレート屋根」とひとまとめにした説明が、どこかで必ず合わなくなる理由がここにあります。
この4つは今も資料が公開されている商品です。あなたの家の屋根がこれらより古い世代(コロニアル、ニューコロニアル、コロニアルNEO、アーバニーなど)なら、資料の場所も内容も変わります。世代の見分け方は下の「製品名と製造時期」に書きました。屋根材の名前を横断で調べるなら屋根材の商品名から調べるページが入口になります。
事実①「色あせ=防水性能の低下」ではない、とメーカーが書いている
屋根塗装の営業でよく聞くのは「色があせている。防水が切れているので塗装が必要」という説明です。ところが、カラーベストを作っているケイミューが公開している塗替え用塗料の資料には、こう書かれています。
ケイミューの公式資料は、こうです
「ケイミュー屋根材の表面の色が薄くなった場合でも基材に損傷等なければ防水性などの屋根材基本性能に問題はありません。リフレッシュコートは美観の回復・向上を図るための塗料です」——リフレッシュコートとは、同社がカラーベスト専用に用意している塗替え塗料の名前です。
メーカー自身が、色あせだけなら性能に問題はない、塗替え塗料の目的は美観だと明言している——これは覚えておく価値があります。屋根塗装の基本のページで書いた「雨漏りを止めている主役は屋根材の下の防水シート」という構造とも、ぴったり噛み合います。
ただし条件付きです。「基材に損傷等なければ」——スレートの素材はセメント系なので、表面の保護が衰えたまま長く置けば、吸水・コケ・反り・割れといった基材そのものの傷みに進みます。そうなる前の「色あせの段階」は性能の問題ではない、という話です。つまり正直な整理はこうなります。色あせを見て慌てる必要はない。ただし基材が傷む前という意味で、塗るならその段階がいちばん軽く済む。「防水が切れています、すぐ塗らないと雨漏りします」と急かす説明とは、距離を取って聞いてください。
事実② 市販塗料は「数年で剥離することがある」ともメーカーが書いている
同じ資料には、もうひとつ踏み込んだ記述があります。「市販の塗料の場合、種類によっては再塗装後、数年で剥離することがあります」——だから再塗装には専用塗料を使ってほしい、という文脈です。
専用塗料を使うかどうかはさておき、屋根材メーカーが「塗料と屋根材には相性があり、外すと数年で剥がれる」と公式に書いていることが重要です。これは難付着サイディングやモニエル瓦で見たのと同じ構造で、剥がれ事故の原因は塗料の品質より下地との相性と下塗りの選定にあります。つまり見積書で見るべきは「シリコン」「フッ素」という分類名ではなく、下塗りと上塗りの商品名。商品名さえあれば、その塗料の公式ページで化粧スレートへの適用を確かめられます。
柄のあるカラーベストは、塗ると柄が消えます
同じ資料の注意書きに「窯変調の色合いは再塗装によって再現することはできません」とあります。焼き物のような色ムラ・グラデーションのある製品は、塗装すると単色になります。ガルバリウム外壁の印刷柄と同じで、柄を残したいなら塗装ではなく別の工法の話になります。ここは契約前に仕上がりイメージを必ず確認してください。
事実③ 縁切りの「差し込み型部材」を、メーカーは使わないでと書いている
スレート塗装の要注意工程が「縁切り」——塗料で塞がった水の逃げ道を確保し直す作業——であることは、基本のページと見積書のページで書いたとおりです。いまの現場で広く使われているのは、屋根材の重なりに部材を差し込んで最初から隙間を確保しておく方法(タスペーサーという商品名で知られます。部材そのものの解説はタスペーサーのページへ)です。
ところが、ケイミューの塗替え資料の注意書きには、こう書かれています。
原文のままです
「水切り部に塗料がたまると雨漏れにつながりますので、必ず『縁切り』をしてください。ただし、差し込み型の縁切り補助部材は割れの原因になるため使用しないでください」
縁切りそのものは「必ず」。しかし差し込み型の部材は「割れの原因になるため使用しないで」——特定の商品名を挙げているわけではありませんが、屋根材を作った側と、塗装の現場の標準的なやり方が、ここで食い違っています。
どちらが正しいかを、このサイトは断定しません。部材の側にも改良や施工条件の話があり、屋根の状態によっても答えは変わるはずです。大事なのは、この食い違いが存在すると知ったうえで、業者に聞いてみることです。「縁切りはどの方法でやりますか。屋根材メーカーの資料では差し込み型の部材を使わないよう書かれていると読んだのですが、どうお考えですか」——この質問に、根拠を挙げて自分の言葉で答えられる会社なら、縁切り以外の工程も考えて施工している可能性が高い。答えに詰まる会社なら、その逆です。質問の目的は正解当てではなく、会社の力量を測ることです。
「塗ってはいけない」の正体——層間剥離という劣化
この屋根材を調べていると、この言葉に何度も当たります。「スレート屋根は塗装してはいけないのか」「必要ない」「意味ない」「しない方がいい」。検索の候補にも、検索結果の1ページ目にも並びます。
先に、当サイトの中での役割分担を書いておきます。
| 問い | 読むページ |
|---|---|
| なぜ「意味ない」と「しないと危険」が両方出てくるのか | 屋根塗装は意味ない?——誰が言っているかの話 |
| うちの屋根材の製品名を、どうやって特定するか | うちの屋根、塗って大丈夫?——調べ方の話 |
| スレートに何が起きていると、塗れなくなるのか | このページ——材料に起きていることの話 |
塗膜の問題ではなく、塗膜が乗る土台の問題です
塗装が成立しなくなる劣化には、名前が付いています。層間剥離(そうかんはくり)です。
化粧スレートは、セメントに繊維を混ぜて薄い板に成形した屋根材です。だから傷み方も板らしい壊れ方をします。表面が層になって、うすくめくれてくる。爪で引っかくと、せんべいのように端がささくれる。ここまで来ると、問題は塗料ではありません。
ふつうの色あせやコケは、塗膜が痩せている状態です。塗り替えれば戻ります。
層間剥離は、塗膜が乗る土台のほうが層で剥がれている状態です。上に何を塗っても、剥がれる層ごと持っていかれます。「もっといい塗料を使えば」で解決する話ではありません。
だから「スレートは塗ってはいけない」という言い方は、大きすぎます。正確には「土台が層で剥がれている個体は、塗っても意味がない」です。そしてそれは、屋根材の名前ではなくその1枚の状態で決まります。
起きやすい時期は、メーカーの発売時期表で挟めます
この劣化が話題になるのは、石綿(アスベスト)を使わない製法へ切り替わった時期の製品です。いわゆるノンアスベストへの移行期にあたります。
年代は、次の章で触れるケイミューの塗替え用資料が手がかりになります。同社の資料は商品名を「2001年12月まで発売」「2002年1月から発売」「2008年1月以降に発売」と発売時期で並べています。この真ん中の帯が、移行期にあたります。
ただし「その時期の製品なら必ず層間剥離する」わけでも、「それ以外なら絶対に起きない」わけでもありません。ニチハは「パミール」について、専用釘の件でお詫びを出す一方で「『パミール』本体の安全性については、問題ありません」とも明記しています。メーカーが安全性に問題なしと書いている製品と、塗装が成立するかどうかは、別の問いです。当サイトでは製品名から可否を断定しません。
だから、点検で見てもらうのはここです
- 表面が層状にめくれていないか——1枚全体ではなく、端や角から始まります
- 端部がささくれていないか——手で触れると粉ではなく薄片が取れる状態
- それが何枚に出ているか——数枚なら差し替え、広範囲なら塗装以外の選択肢の話になります
この3つは、写真で見せてもらえます。屋根に上がった人にしか分からない場所なので、点検のときに「層のめくれが出ている面はありますか」と聞いて、写真をもらってください。「大丈夫です」だけで終わる会社と、めくれている枚数まで数えてくる会社では、そのあとの提案の重みが変わります。
広範囲に出ていた場合の選択肢(カバー工法・葺き替え)は屋根カバー工法のページにあります。石綿を含む屋根材の解体には事前調査などの決まりがあるので、そちらも同じページで触れています。
製品名と製造時期で、アスベストの有無が変わる屋根材です
冒頭で「スレートかどうかより、どの商品名か」と書いた理由がここです。化粧スレートは2000年前後に、石綿(アスベスト)を使わない製法への切り替えという大きな転換点を経験していて、この移行期の一部製品では、塗装を勧めない業者が多いという現実があります。ただし、業者の経験談とメーカーの公式見解は必ずしも一致しません。実例をひとつ見てください。
この「製品名で調べる」という考え方は、スレート以外の屋根材にも当てはまります。——積水化学は「セキスイかわらU、CITY(住宅用屋根材)/製造期間1975〜1990」と石綿の含有率を公表しています。屋根材を横断した調べ方は、別にまとめました(うちの屋根、塗って大丈夫?)。
- 製品名が分かると、メーカーの公式のお知らせにたどり着けますニチハの「パミール」という屋根材(公式リリースによれば1996〜2008年販売の無石綿屋根材)には、販売時に配布された専用釘の一部に耐食性処理の薄いものが混入していたという公式のお詫びが出ています。腐食が早く進むと「屋根材のズレ・落下などが生じる可能性」があり、安全処置が必要なものは無償で対応、窓口はお客さま相談室——ここまで全部、メーカー自身が公表している情報です。なおニチハは同じ文書で「『パミール』本体の安全性については、問題ありません」とも明記しています。一方でこの製品は、表面が層状にめくれる劣化を理由に塗装を勧めない業者が多い屋根材としても知られています。
- ケイミュー系は、製品名と発売時期の対応表が公式にあります塗替え用資料には「2008年1月以降に発売」「2002年1月から発売」「2001年12月まで発売」……と、商品名を発売時期ごとに並べた一覧表が載っています。コロニアル、ニューコロニアル、コロニアルNEO、コロニアルクァッド、コロニアルグラッサ——同じ「コロニアル」でも世代が違えば別製品で、推奨される塗替え塗料も分かれています。
まとめると、この屋根材で最初にやることは見積もり取りではなく製品名の特定です。新築時の書類で製品名が分かれば、メーカーの公式サイトでその製品のお知らせや塗替え情報を確認でき、業者の「塗れます」「塗れません」を自分でも突き合わせられます。層状のめくれなど見た目のサインについては基本のページのスレートの条件を参照してください。
うちのスレートにアスベストが入っているか——国のデータベースで引けます
製造時期の話は、ここから具体的に確かめられます。国土交通省と経済産業省が公開している石綿(アスベスト)含有建材データベース(asbestos-database.jp)に、「石綿含有住宅屋根用化粧スレート」という区分がそのまま用意されています。建材名(一般名)を選ぶ欄の中にあります。
検索窓に「住宅屋根用化粧スレート」と入れると112件出てきます(2026年9月15日に当サイトが確認)。1ページ目に出る20件を、そのまま書き写します。
| 商品名 | 型番・品番 | 製造時のメーカー | 製造期間 | 含有率(%) |
|---|---|---|---|---|
| カラーベストコロニアル(900) | コロニアル | (株)クボタ | 1961〜1986 | 10〜25 |
| カラーベストコロニアル(900) | ニューコロニアル | (株)クボタ | 1979〜2001 | 10〜15 |
| カラーベストコロニアル(900) | かわら27 | (株)クボタ | 1975〜1988 | 15〜20 |
| カラーベストコロニアル(600) | アーバニー | (株)クボタ | 1982〜1989 / 1990〜1994 | 10〜15 / 5〜10 |
| カラーベストコロニアル(900) | ランバート / ニューランバート | (株)クボタ | 1988〜1994 / 1995〜2001 | 10〜15 |
| カラーベストコロニアル(900) | ミュータス / ニューミュータス | (株)クボタ | 1988〜1994 / 1995〜2001 | 10〜15 |
| カラーベストコロニアル(900) | グリシェイド / アスコット | (株)クボタ | 1996〜2001 / 1994〜2001 | 10〜15 |
| カラーベストコロニアル(900) | セイバリー / スペリアル | (株)クボタ | 1996〜2001 | 10 |
| カラーベストシリーズ同質役物 | ハイリッジ / 軒先同質役物 | (株)クボタ | 1978〜1988 / 1988〜2001 | 10〜15 / 15 |
| UB瓦 | — | ウベボード(株) | 1995〜1998 | 22 |
| ダイケンかわら | — | 関西スレート(株) | 1975〜1982 | 10 |
この20件から読めることが3つあります。
①「型番・品番」の欄に、施主が知っている名前が入っています。コロニアル、ニューコロニアル、アーバニー、グリシェイド——上の章で並べた商品名が、そのまま国のデータベースの中にあります。製品名の特定を先にやる理由がここにも出てきます。
②20件とも「白石綿」です。含有率は5〜25%。いちばん高いのは初期のコロニアル(1961〜1986年)で10〜25%、ウベボードのUB瓦が22%でした。
③製造期間の終わりは、20件すべてが2001年までです。いちばん遅いものでニューコロニアル・ニューランバート・ニューミュータス・アスコット・グリシェイド・スペリアル・軒先同質役物の2001年。つまり2002年以降に建った家なら、この20件には当たりません。ただしこれは112件のうち20件を見た結果です。残りの92件は同じ手順で、あなた自身が引けます。
注意=このデータベースは「建材メーカーが過去に製造した石綿含有建材の情報を提供するもの」で、国自身が利用上の限界を書いています。載っていない=入っていない、ではありません。限界の中身は外壁のアスベストのページに4つとも書き出しました。同じ限界が屋根にも当てはまります。
波板と下葺材は、別の区分で登録されています
同じデータベースの一般名の一覧には、「石綿含有スレート波板・大波」「同・小波」という区分が別にあります。工場や倉庫の波板はこちらで、戸建ての化粧スレートとは登録から分かれています。波型と平板の見分け方は下のよくある質問に書きました。
もう1つ、葺き替えを考えている方に関係するのが「石綿含有ルーフィング」という区分です。屋根材の下に敷く下葺材にも、石綿を含む製品が登録されています。屋根材だけを見て終わりにならないのは、このためです。撤去する工事では、下地側も調査の対象になります(葺き替えと石綿の費用)。
レベル3ですが、「調べなくていい」という意味ではありません
厚生労働省のポータルサイトの区分では、レベル1が石綿含有吹付け材、レベル2が保温材・耐火被覆材・断熱材、レベル3がスレート、Pタイル等その他の石綿含有建材です。屋根の化粧スレートはレベル3——飛び散りにくい側にあたります。
ここで分かれるのは、工事の中身です。塗るだけなら、屋根材を壊しません。けれども葺き替えのように撤去する工事になると、石綿の事前調査が法律で決まった手順で必要になります。レベル3だから不要、ではありません。決めるのは施主ではなく、調査の資格を持つ人です。手順と費用は葺き替えのページと外壁のアスベストのページに分けて書きました。
出典=石綿(アスベスト)含有建材データベース(国土交通省・経済産業省)を「住宅屋根用化粧スレート」で検索、2026年9月15日に当サイトが確認(全112件・表は1ページ目の20件)。レベルの区分は厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」。含有率と製造期間は登録された内容のとおりに書き写しました。実際に入っているかどうかは、調査でしか決まりません。
スレート屋根の寿命は何年か——メーカーは「何年もつ」と書いていません
検索すると、いろいろな年数が出てきます。当サイトが2026年9月13日に「スレート屋根 寿命」で検索し、1ページ目に出た8件をすべて読んだところ、こうなっていました。
- 「20〜30年」が5件——いちばん多い書き方です
- 「20〜35年」「25〜30年」が各1件
- 世代で分けて書いていたのが2件——「短いもので20年程度、長いものでは40年ほど」「第一世代35〜40年/第二世代15〜25年/第三世代30年」
幅は15年から40年まで開いています。そして8件のどれも、その数字の出どころを書いていませんでした。(社名は挙げません。当サイトが数えた結果だけを書いています。)
そこで、屋根材メーカーの資料を当たりました。結論から書きます。メーカーは「何年もつ」を書いていません。かわりに、4つのことが書かれています。
1. 目盛りが「30年」で終わっています
ケイミューの維持管理PDFには「メンテナンススケジュール(モデルケース)」という図があります。横軸の目盛りは、5・10・15・20・25・30年。4商品とも、30年で終わっています。その先はありません。
2. 「30年目前後で、交換も含めて総合的に判断してください」と書かれています
図の下の注記です。グラッサ、コロニアルクァッド、グランネクスト、ROOGA——4商品すべてに、同じ一文が入っていました。
「30年目前後における本体の部分補修・再塗装や交換については、これまでのメンテナンス実施状況および躯体状況など住宅全体の劣化具合を専門業者様等に確認頂いた上で、総合的に判断してください。」
これが、メーカーの答えにいちばん近い一文です。読み方は2つあります。
- 「30年で寿命」とは書いていません。書いてあるのは「30年目前後が、判断する時期」です
- 判断の材料が、屋根材だけではありません。「これまでのメンテナンス実施状況」と「躯体状況など住宅全体の劣化具合」の2つが並んでいます。同じ築30年でも、10年ごとに手を入れてきた家と、一度も触っていない家では答えが違う——メーカーはそう書いています
同じページには前置きもあります。「住宅の地域、環境や使用条件によって劣化の進行状況が異なりますので、あくまで目安としてご活用ください。メンテナンス時期および内容を保証するものではありません。」数字を保証として使わないでください、という但し書きです。
3. 商品によって、書いてあることが違います
ここが、当サイトがこの資料を読んでいちばん驚いたところです。同じケイミューのカラーベストでも、スケジュールの前提が違います。原文で並べます。
| 商品 | スケジュールの前提として書かれている文 |
|---|---|
| プレミアムグラッサ/遮熱グラッサ/グラッサ | 「基本は、10年毎の定期メンテナンスを行うこと。定期メンテナンスにおいては、大規模な補修等は想定していません。」 |
| コロニアルクァッド | 「基本は、築10年目のメンテナンス後は、10年毎の定期メンテナンスを行うこと。定期メンテナンスにおいては、再塗装、取替え等の大規模な補修等も想定しています。」 |
「想定していません」と「も想定しています」。一文字違いのようでいて、意味は逆です。さらにコロニアルクァッドの表では、本体の行に「美観上必要に応じて」という但し書きが2回置かれています(グラッサの本体の行には、この但し書きがありません)。
色の保証も、上の表のとおりグラッサが10年、コロニアルクァッドが2年です。「スレート屋根は20〜30年」という一言では、この差は消えます。
帯の図そのものは色の濃淡で描かれているので、当サイトは「何年目に塗り替え」と位置を読み取ることはしていません。ここで引いたのは、図に文字として書かれている前提と注記だけです。
では、何を見れば「そろそろ」と分かるのか
年数ではなく、状態です。同じPDFの1ページ目に、写真つきで2つだけ挙げられています。
「役物・役物釘のズレや浮き」「屋根材のズレや割れ」
「上記現象が確認された場合、メンテナンスが必要となります。放置しておくと雨漏りの原因となる可能性があります。(メンテナンス費用は、お施主様のご負担となります。)」
役物(やくもの)は、屋根のてっぺんの棟板金や、端の部材のことです。メーカーが「メンテナンスが必要」の合図として挙げているのは、この2つ。色あせも、コケも、入っていません。
そして、はっきり書かれている一行があります。
「雨漏りは再塗装では直りません。」
すでに雨漏りしているなら、塗装の見積もりを取る場面ではありません。原因を特定する調査が先です。ズレ・割れの補修と、塗装は別の工事です。
だから、聞くのは「何年もちますか」ではありません
「スレート屋根は何年もちますか」と聞いても、返ってくるのは業者ごとの経験則です。かわりに、こう聞いてください。
- 「うちの屋根の商品名は何ですか」——ここが決まらないと、資料にたどり着けません
- 「屋根材のズレや割れは出ていますか。写真を見せてください」——メーカーが挙げている合図はこれです(屋根の写真の頼み方)
- 「役物の釘は浮いていませんか」——もう1つの合図です。屋根本体ではなく、てっぺんと端を見ます(棟板金のページ)
- 「前回の塗装や点検はいつでしたか」——メーカーが判断材料に挙げた「これまでのメンテナンス実施状況」です。新築時の書類や、前回の工事の書面で分かります
この4つが揃えば、「うちが30年目盛りのどこにいるか」は、業者と同じ材料で話せます。「そろそろ寿命ですよ」と言われたときに、何を根拠にそう言っているのかを聞き返せます。
4. 「塗り替え」の帯が何本あるかは、商品で違います
ここが、当サイトが図を数えて分かったことです。同じスケジュール図の中に、「点検」「部分補修」「塗り替え」の3種類の印があります。——年数の数字はどこにも書かれていませんが、塗り替えの帯が何本引かれているかは数えられます。
| 商品(ケイミュー) | 耐候性グレード | 色の保証 | 塗り替えの帯 |
|---|---|---|---|
| プレミアムグラッサ/遮熱グラッサ/グラッサ | ★★★ | 色10年保証 | 30年に1本 |
| グランネクスト(うろこ・ヒシ・サンド・シンプル) | ★★★ | 色10年保証 | 30年に1本 |
| ROOGA | ★★★ | 色10年保証 | 30年に1本 |
| コロニアルクァッド | ★★ | 色2年保証 | 10年・20年・30年の3本(10年・20年には「美観上必要に応じて」と添えられています) |
塗り替えの想定が、商品で3倍違います。——グラッサ・グランネクスト・ROOGAは30年に1本だけ。コロニアルクァッドは10年ごとに3本です。耐候性グレードと色の保証年数も、同じ向きに分かれています(★★★・色10年保証 / ★★・色2年保証)。
だから「スレート屋根は◯年で塗り替え」と一般化できません。——同じケイミューのカラーベストでも、メーカー自身が想定している塗り替えの回数が違うからです。
確かめるのは商品名です。新築時の書類に「コロニアルクァッド」とあるのか「グラッサ」とあるのかで、メーカーの想定が変わります。
数え方について。この図に年数は書かれていないので、当サイトは帯の本数を数え、横軸の目盛り(5・10・15・20・25・30年)のどこに重なるかを読みました。帯はグラデーションで端がぼけるため、本数は確かですが、位置は目盛りとの重なりからの読み取りです。原典=ケイミュー「住宅外まわりのメンテナンスについて」(2024年7月現在・お施主様向けの重要書類)の各商品PDF。当サイトが2026年9月14日にPDFを画像にして確認しました。
塗料の㎡単価がそろっても、総額が違う3行
スレート屋根の見積もりを2社で比べると、塗料の単価は近いのに総額が違うことがよくあります。差が出るのは、たいてい塗料以外の3行です。屋根材別・下塗材別の㎡単価そのものは平米単価のページに並べてあるので、ここではスレートにしか出てこない行を見ます。
| 行 | 何の費用か | 聞くこと |
|---|---|---|
| ①縁切り | 塗料でふさがった屋根材の隙間を、あとから開け直す作業 | やり方と、行があるか。方法によって金額も変わります(タスペーサーのページ) |
| ②割れた1枚の差し替え | すでに割れているスレートの交換 | 何枚を見込んでいるか。枚数が書いてあるか、「必要に応じて」で終わっているか |
| ③踏み割れの扱い | 工事中に、職人が踏んで割ってしまった分 | 誰の負担か。ここが決まっていない見積書が多い行です |
③は、スレート特有の問題です。薄い板なので、塗装のために屋根に上がること自体が、割るリスクを持っています。とくに古い屋根、そして層のめくれが出ている屋根では避けにくくなります。
だから聞くのは、「割れたらどうしますか」ではなく「割れた分は、この見積書のどこに入っていますか」です。工事のあとで話すと、追加費用の話になります。先に決めておけば、それは事故ではなく段取りになります。
縁切りは、やらないと安く見える工程です。見積書に行が無ければ、そのぶん総額は下がります。だから金額を比べる前に、両方の見積書に縁切りの行があるかをそろえてください。片方に無ければ、それは安いのではなく違う工事です。
なお、事実③で書いたとおり、差し込み型の部材についてはメーカー自身が注意を書いています。どの方法を選ぶかと、その根拠まで答えられるかを見てください。
②と③は、どちらも枚数で書ける行です。「一式」で来たら、何枚を想定しているのかを聞いてください。同じ屋根を見た2社の想定枚数がそろわないとき、どちらが屋根をよく見ているかは、その理由の説明で分かります。
契約前に確認する3つのこと
- 製品名うちの屋根材の製品名は特定できますか?書類が残っていなければ、点検時に特定を求めます。「スレートですね」で止まる会社と、商品名と世代まで踏み込む会社の差は、そのまま提案の精度の差です
- 縁切り縁切りはどの方法ですか?メーカーが差し込み型部材について書いている注意は、どうお考えですか?上の事実③の質問です。根拠つきで答えられるかを見ます。見積書に縁切りの行があるかどうかは見積書のページへ
- 塗料下塗りと上塗りの商品名は?この屋根材に使える根拠も教えてください「市販塗料は数年で剥離することがある」とメーカーが書く屋根材です。専用塗料を使うかは別として、化粧スレートへの適用をメーカーページで確認できる商品名が書かれているかが最低ラインです
- 比べるこの3つを、2社以上に同じ言葉で聞いてみてください。製品名で止まる会社と、世代まで踏み込む会社。縁切りの根拠を語れる会社と、語れない会社。答えの差がそのまま、任せる相手を決める材料になります
よくある質問
スレート屋根は塗装してはいけないのですか?
スレート全般が塗ってはいけない、ということはありません。塗っても意味がなくなるのは、層間剥離といって、屋根材の表面が層になって剥がれている状態のときです。この場合は塗膜が乗る土台のほうが剥がれているので、上に何を塗っても剥がれる層ごと持っていかれます。
逆に色あせやコケだけなら、それは塗膜が痩せている状態なので塗り替えで戻ります。判断は屋根材の名前ではなく、その1枚の状態で決まります。点検のときに、層のめくれが出ている面と枚数を写真でもらってください。
スレート屋根に塗る塗料は、どう選べばいいですか?
当サイトでは特定の商品をおすすめしません。見るのは下塗りです。この屋根材はメーカー自身が市販塗料について「数年で剥離することがある」と書いているので、上塗りの銘柄より、その下塗りが化粧スレートに使えるものかどうかのほうが効きます。
見積書に下塗りと上塗りの商品名が書かれていれば、その名前でメーカーの製品ページを開いて、適用下地に化粧スレートやカラーベストが入っているかを自分で確かめられます。商品名が無い見積書は、そこから確かめようがありません。
うちのスレートに、アスベストは入っていますか?
製造時期によります。——おおよその目安として2004年より前に作られた製品には、含まれている可能性があります。ただし年数だけでは決まりません。塗装するだけなら問題になりませんが、撤去する工事(葺き替え)になると、法律で事前の調査が義務づけられています(葺き替え費用)。
色あせてきました。すぐ塗らないとまずいですか?
あわてなくて大丈夫なことが多いです。——本文のとおり、メーカー自身が「色あせ=防水性能の低下」ではないと書いています。急ぐのは割れ、欠け、反り、めくれが出てからです。
ホームセンターの塗料で自分で塗れませんか?
屋根に上がること自体が危険です。——スレートは踏む場所を間違えると割れます。そしてメーカーは市販塗料について「数年で剥離することがある」と書いています。塗り直しになれば、剥がす手間から始まります。
「縁切り」は必ず必要ですか?
塗料で重なりが塞がるなら必要です。——塞がったままだと、入った水が抜けなくなります。ただし差し込み型の部材については、メーカーが使わないよう書いているケースがあります。「縁切りはどうしますか」と聞いて、方法まで答えられるかを見てください(タスペーサー)。
塗るのと、カバー工法とではどちらがいいですか?
スレートの状態で決まります。——割れや反りが広い範囲に出ているなら、塗っても長くはもちません。逆に、色あせが中心なら塗装で足ります(カバー工法)。「今は塗って延ばせる状態ですか」と聞いてください。
製品名はどこで分かりますか?
新築時の書類に書かれていることがあります。——図面、仕様書、引き渡しの資料。製品名が分かると、メーカーの公表資料でメンテナンスの考え方まで確認できます。見つからなければ、業者に写真を撮ってもらってください。
古いスレートにはアスベストが入っていると聞きました。塗装しても大丈夫ですか?
製造時期によっては石綿を含む製品があります。塗装は屋根材を撤去しない工事なので、撤去を伴うカバー工法や葺き替えとは扱いが変わりますが、石綿の事前調査が原則すべての工事で義務になっていることは変わりません。調査結果の報告を含めた流れは屋根カバー工法のページに、公的資料つきでまとめてあります。
スレートが1枚だけ割れています。全部やり直しですか?
いいえ。ケイミューは公式にカラーベストの差し替え(部分補修)の施工方法を公開しており、割れた1枚を交換する手当ては工事として存在します。ただし既存の色あせとの差や、同じ製品が手に入るかという問題は部分補修のページで書いたとおりです。割れの枚数が多い場合は、塗装より先に原因(下地・踏み割れ・製品の性質)の特定を求めてください。
築10年です。もう塗らないとダメでしょうか?
「築10年で塗装」という一律の答えはありません。事実①のとおり、色あせだけなら性能の問題ではないというのがメーカーの立場です。判断の軸は年数ではなく状態——色あせ・コケ・反り・割れのどの段階か。そして2回目の塗装を考える頃には、カバー工法との比較が合理的になることは基本のページに書いたとおりです。
「縁切り」って結局何ですか?
塗装で塞がった水の逃げ道を確保し直す工程です。仕組みは屋根塗装の基本のページ、見積書での確認方法は見積書のページにまとめてあります。このページの事実③は、その工程の「方法」についての話です。
スレート屋根の塗装は意味がない、必要ないと言われるのはなぜですか?
「塗っても意味がない」場面が、実際に2つあるからです。——ひとつは色あせだけの段階で、ケイミューは「表面の色が薄くなった場合でも基材に損傷等なければ防水性などの屋根材基本性能に問題はありません」と書いています。もうひとつは層間剥離(表面が層になってめくれる劣化)が起きている屋根で、上に何を塗っても剥がれる層ごと持っていかれます。ただし基材が傷む前に塗るなら、その段階がいちばん軽く済みます。「意味がない」かどうかは、屋根の状態しだいです。
スレート屋根を塗装するデメリットはありますか?
あります。主に3つです。——①窯変調など柄のある製品は、メーカーが「窯変調の色合いは再塗装によって再現することはできません」と書いているとおり単色になる ②塗料が水の逃げ道を塞ぐので「縁切り」が必要で、怠ると雨漏りにつながる ③塗料との相性を外すと、メーカーいわく「数年で剥離することがあります」。見積書では、下塗り・上塗りの商品名と縁切りの方法を確かめてください。
スレート屋根は何年で葺き替える必要がありますか?
年数では決まりません。ケイミューの維持管理資料は、4商品すべてに同じ一文を置いています——「30年目前後における本体の部分補修・再塗装や交換については、これまでのメンテナンス実施状況および躯体状況など住宅全体の劣化具合を専門業者様等に確認頂いた上で、総合的に判断してください。」つまりメーカー自身が「30年で葺き替え」とは書かず、30年目前後を「判断する時期」としています。判断材料に「これまでのメンテナンス実施状況」が入っているので、同じ築30年でも、手を入れてきた家とそうでない家では答えが変わります。葺き替えかカバー工法かの分かれ目は屋根カバー工法のページにまとめました。
スレート屋根は40年、50年ももつのですか?
そう書いている記事はありますが、メーカーの資料でその根拠は見つかりませんでした。当サイトが2026年9月13日にケイミューの屋根材の維持管理PDF4本を確認した範囲では、スケジュールの目盛りは5年から30年までで、その先の目盛りがありません。また同じ資料に「あくまで目安としてご活用ください。メンテナンス時期および内容を保証するものではありません」という但し書きが付いています。40年・50年という数字を見たときは、それがどの商品の、何にもとづく数字かを確かめてください。石綿を含んでいた時代の製品は材料として丈夫なことが多く、長くもつ例があるのは事実ですが、撤去のときに石綿の事前調査が必要になります(アスベストのページ)。
一番長持ちする屋根材は何ですか?
当サイトは順位を付けません。屋根材は「何年もつか」だけで選ぶものではなく、重さ(地震のときの建物への負担)、価格、葺ける屋根の形、そして途中のメンテナンスにいくらかかるかが絡むからです。もう1つ、比べにくい理由があります。メーカーが年数を公表していないことが多いのです。ケイミューは屋根材について、年数ではなく「30年目前後で総合的に判断」という書き方をしています。比べるなら、同じ物差しが取れるものだけにしてください。たとえば「色の保証が何年か」は、どのメーカーも書面に書きます。屋根材ごとの違いは屋根材の商品名から調べるページに、商品名で引ける形で並べました。
「やめた方がいい屋根」と言われるのは、どういう屋根ですか?
商品名を挙げて「やめた方がいい」と言うことは、当サイトはしません。そのかわり、業者が塗装を勧めないことがある状態を、理由つきで並べます。①表面が層になってめくれている——塗膜が乗る土台のほうが剥がれているので、上に塗っても一緒に持っていかれます(層間剥離)。②高圧洗浄に耐えられない——洗った時点で欠ける屋根材があります。③割れ・欠けが広い範囲に出ている——塗装は割れを埋める工事ではありません。どれも「商品名」ではなく「今の状態」の話です。同じ商品名でも、状態がよければ塗れます。だから確かめるのは2つ——「商品名は何ですか」「そう判断された理由は何ですか」。理由が「この手の屋根は」で終わるなら、もう1社に見てもらってください。
スレート屋根が1枚割れています。1枚だけ交換できますか?
できることがあります。ケイミューの維持管理資料は「屋根材の部分的な割れ・クラック等は屋根材の差替えや接着等で補修ができます」と書いています。1枚のために屋根全体をやり直す話ではありません。ただし、金額の大半は屋根材そのものではなく、そこまで安全に上がるための費用です。高い位置なら足場が要り、足場だけで十数万円かかることがあります。だから「1枚いくら」ではなく「足場を含めていくら」で見積もりを取ってください。そして、同じ資料に「役物・役物釘のズレや浮き」も点検項目として並んでいます。どうせ上がるなら、そちらも一緒に見てもらうほうが結果的に安くつきます。足場が要る工事をまとめる考え方は追加費用のページに書きました。
波型スレートも同じ話ですか?
別の話として扱ってください。波型スレート(大波・小波)は、工場・倉庫・車庫の屋根に使われてきた波板で、戸建てで見かけることはほとんどありません。古いものは石綿を含んでいる可能性が高く、撤去を伴う工事では事前調査が法律で義務づけられています。当ページが扱っているのは戸建ての「化粧スレート(平板)」——カラーベスト、コロニアルと呼ばれるもののほうです。見分け方は形で足ります。波打っていれば波型、平らな板が段々に重なっていれば平板です。
屋根はスレートとガルバリウムのどちらがいいですか?
今の屋根がスレートなら、この2つは「選び直す」関係ではなく「重ねる」関係になることが多いです。スレートの上にガルバリウム鋼板の屋根材を重ねるのがカバー工法で、古い屋根を撤去しないので、石綿を含む屋根材でも撤去の工事が発生しません。だから「どちらがいいか」より先に決まるのは、今の屋根が塗って戻る状態かどうかです。塗って戻るなら塗装がいちばん安く、戻らないならカバーか葺き替え——この順で考えると迷いません。新築で選ぶ場面なら、比べる軸は年数だけではありません。重さ(地震のときに建物にかかる負担)、雨音、断熱、屋根の形に葺けるかどうか、そして途中のメンテナンスにいくらかかるか。当サイトは順位を付けませんが、「色の保証が何年か」だけは、どのメーカーも書面に書きます。そこは同じ物差しで比べられます。金属屋根の側の注意点はガルバリウム屋根のページにまとめました。
最終確認日:2026年9月13日(種類・寿命の節=ケイミューの屋根材維持管理PDF4本)/2026年8月21日(その他)。屋根材の状態は個々の住宅で異なります。実際の判断は必ず現地の点検にもとづいて行ってください。
あわせて読みたい
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スレートは縁切り(タスペーサー)をやるかどうかで、あとの雨仕舞いが変わります。そして、これが見積書に書かれていないことがあります。何社かの屋根見積もりを並べて、縁切りの行があるかを確かめてください。書いてある会社と書いていない会社があれば、書いていないほうに「やりますか」と聞く。答え方で、その屋根をどこまで見ているかが分かります。
参考にした情報
- ケイミュー「グランネクスト/カラーベスト 周辺部材 リペイント塗料」(公式カタログ・リフレッシュコートの注意事項と推奨色一覧)
- ケイミュー「ケイミュー屋根材 住宅外まわりのメンテナンスについて」(お施主様向けPDF・いずれも2024年7月現在の版。2026年9月13日に当サイトが公式サイトのメンテナンスのページから取得)——対象4本=カラーベスト(グラッサシリーズ=プレミアムグラッサ・遮熱グラッサ・グラッサ)/カラーベスト(コロニアルクァッド)/グランネクスト(うろこ・ヒシ・サンド・シンプル)/ROOGA。引用した箇所=「メンテナンススケジュール(モデルケース)」の前提文(グラッサ「大規模な補修等は想定していません」/コロニアルクァッド「築10年目のメンテナンス後は…再塗装、取替え等の大規模な補修等も想定しています」)、経過年数の目盛り(5・10・15・20・25・30年)、注記「30年目前後における本体の部分補修・再塗装や交換については、これまでのメンテナンス実施状況および躯体状況など住宅全体の劣化具合を専門業者様等に確認頂いた上で、総合的に判断してください。」、色の保証(グラッサ・グランネクスト・ROOGAは色10年保証対象商品/コロニアルクァッドは色2年保証対象商品)、1ページ目の点検項目(「役物・役物釘のズレや浮き」「屋根材のズレや割れ」と「上記現象が確認された場合、メンテナンスが必要となります。放置しておくと雨漏りの原因となる可能性があります。(メンテナンス費用は、お施主様のご負担となります。)」)、「雨漏りは再塗装では直りません。」、「屋根材の部分的な割れ・クラック等は屋根材の差替えや接着等で補修ができます。」、但し書き「住宅の地域、環境や使用条件によって劣化の進行状況が異なりますので、あくまで目安としてご活用ください。メンテナンス時期および内容を保証するものではありません。」
- 検索結果の実測(2026年9月13日・当サイト調べ)——Googleで「スレート屋根 寿命」を検索し、1ページ目に表示された8件の本文に書かれた年数を数えた(20〜30年が5件、20〜35年が1件、25〜30年が1件、世代別に分けた書き方が2件)。同じ日に「スレート屋根 種類」の1ページ目8件も確認し、いずれも一括見積もりポータルは含まれていなかった。社名は挙げず、件数のみを記載しています。
- ニチハ「ラスパート釘(屋根材『パミール』付属品)に関するお詫びとお知らせ」(公式・2010年11月5日)
- ニチハ ニュースリリース「無石綿高級屋根材 新生『パミール』発売」(公式)