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アスファルトシングルは塗装できる?——「やめたほうがいい」と「塗れます」が、両方ある理由
調べると、答えが真っ二つに割れます。「塗装はやめたほうがいい」と書いているページがあり、すぐ隣に「塗装を勧める理由」が並んでいる。どちらかが間違っている、という話ではありません。——塗料メーカーの公式情報を見にいくと、この屋根材のために作られた専用の塗装仕様が、複数社から公表されていました。そしてその仕様書の一文に、意見が割れる理由がそのまま書いてあります。
※本ページはプロモーション(広告)を含みます。
このページの内容全15項目
先に結論
①塗れます。ただし「専用の仕様」があります——大手塗料メーカーが、この屋根材のための塗装仕様を公表しています
②普通の屋根用塗料では想定されていません——専用品は「柔軟性で追従する」ことをうたっています
③だから「やめたほうがいい」も、半分は正しい——専用でない塗料を使えば、その通りになります
④仕上がりはつや消しになります——確認した2社とも、つや消しの上塗材を指定しています
⑤塗らずにカバー工法・葺き替えという道もあります——傷み方によっては、そちらが妥当です
つまり、確かめるのは「塗れるかどうか」ではありません。——「専用の仕様で見積もられているかどうか」です。
なぜ、意見が割れているのか
検索して出てくる主張を並べると、こうなります。
| よく見る主張 | 言っていること |
|---|---|
| 「塗装はやめたほうがいい」 | 費用対効果が悪い/もともと塗装を前提にした屋根材ではない |
| 「塗装は必要ない」 | 表面に石の粒がある作りで、塗膜で守る屋根材とは考え方が違う |
| 「塗装を勧めます」 | 適切な材料と工程を踏めば、延命の手段になる |
どれも、それぞれの立場からは筋が通っています。——食い違っているのは「どの塗料で塗る前提か」です。
だから、この記事では主張を比べるのをやめました。
——塗料メーカーが公式に何と書いているかを見にいきます。製品を作っている側の情報が、いちばん確かだからです。
塗料メーカーが、専用の仕様を公表しています
調べたところ、大手2社が、アスファルトシングル専用の塗装仕様を公表していました。
エスケー化研「水性シングルサーフ」
一般名称:柔軟型アクリルシリコンサーフェーサー
用途:アスファルトシングル屋根の塗り替え時の下地調整
主要構成成分:アクリルシリコン樹脂
設計価格:1,810円/㎡
荷姿:15kg石油缶/標準塗坪:16〜30㎡/缶
塗装方法:吹付、ローラー、刷毛
※設計価格は300㎡以上を基準とする材工共の価格で、下地調整費は含まないとされています。戸建ての小さな面積にそのまま当てはまる数字ではありません。しかもこれは下地調整用の下塗り材単体の価格で、上塗りまで含めた価格は費用の考え方に並べています。
関西ペイント「シングル屋根蘇り工法 ヤネフラット」
部位:屋根/素材:アスファルトシングル
下塗:エポキシエマルション下塗塗料「アレス水性エポレジン」
上塗(2回):水性反応硬化形アクリルシリコン樹脂塗料「ヤネフラット」
塗装回数:3回
特長:完全水系仕様/トルエン・キシレンフリー/防カビ・防藻機能/ローラー工法
光沢:つや消し
ここから分かることは、はっきりしています
塗料メーカーは、この屋根材を塗る前提で製品と仕様を作っています。
——用途に「アスファルトシングル屋根の塗り替え」と書き、設計価格まで公表している。「塗ってはいけない屋根材」なら、こうはなりません。
「柔軟な屋根に追従します」——この一文がすべてです
エスケー化研の製品説明に、こう書かれています。
「柔軟性 塗膜は柔軟性を示し、柔軟なアスファルトシングル屋根に追従します。」
「優れた付着性 架橋タイプのアクリルシリコン樹脂の採用により、下地への優れた付着性を示します。」
ここを読み解くと、意見が割れる理由が見えてきます。
1. この屋根材は「柔軟」です
アスファルトシングルは、曲がる屋根材です。——瓦やスレートのように硬く割れるのではなく、温度や下地の動きに合わせて、わずかに動きます。
2. だから、塗膜も動けないといけません
動く下地に、動けない塗膜を乗せるとどうなるか。——ついていけずに、割れたり剥がれたりします。
メーカーが「柔軟性で追従します」とわざわざ書いているのは
普通の屋根用塗料では追従しないことの裏返しでもあります。
——だから「やめたほうがいい」という主張も、半分は正しいのです。専用でない塗料を使えば、その通りになります。
3. そして「付着性」が別に書かれています
追従することと、くっつくことは別の話です。——だからメーカーは2つを分けて書いています。
つまり、この屋根材の塗り替えで問われるのは、上に塗る色ではなく「下に何を塗るか」です。——2社とも、専用の下塗材を仕様の中心に置いています(エスケー化研=水性シングルサーフ/関西ペイント=アレス水性エポレジン)。
だから、見積書で見るのは下塗りの行です
「下塗りは何を使いますか」
——製品名が出てくるか、そしてそれがアスファルトシングル向けのものか。ここが答えられれば、その会社は仕様を分かっています。
仕上がりは「つや消し」になります
これは知らないと、仕上がりで驚きます。——確認した2社とも、上塗材につや消しを指定していました。
| メーカー | 上塗材 | 光沢 |
|---|---|---|
| エスケー化研 | 水性ヤネフレッシュシリコン艶消し | つや消し |
| 関西ペイント | ヤネフラット | つや消し |
エスケー化研は、その理由をこう書いています。——「上塗材として艶消しタイプの水性ヤネフレッシュシリコン艶消しを使用することで落ち着いた仕上り感を提供します」。
もともとこの屋根材は、表面に細かい粒がある、しっとりした見た目です。——そこにつやのある塗料を乗せると、質感が変わってしまいます。だから、つや消しが選ばれていると考えられます。
ここも、会社によって答えが分かれる部分です。——メーカーの仕様どおりつや消しで出してくる会社と、いつもの屋根用塗料で見積もる会社。2〜3社に見積もりを出してもらうと、その差が仕上がりの説明に出ます。
「塗ったら安っぽく光るようになった」を避けるために、先に確認してください。——「仕上がりはつやありですか、つや消しですか」。ここは好みが分かれるところなので、施工例の写真を見せてもらうのがいちばん確実です(艶の選び方)。
縁切りの話
この屋根材も、板が重なって葺かれています。——だから塗料でその重なりが塞がると、入った水が抜けにくくなります。
スレート屋根で「縁切り」と呼ばれている作業と、同じ考え方です(タスペーサー)。
ただし、方法は屋根材によって変わります
「重なりが塞がらないように、どうしますか」
——方法まで説明できるかどうかを見てください。「大丈夫です」だけなら、もう一歩聞いてください。
差し込む部材を使うかどうかは、屋根材によって扱いが違います。——屋根材メーカーが認めていない方法もあるので、「うちの屋根材では、この方法で問題ありませんか」と確認するのが確実です。
劣化の段階——どこまで来ているかで、選べる手が変わります
「塗れるかどうか」は製品の話でしたが、もう一つ「今どこまで来ているか」という軸があります。
| 症状 | 何が起きているか | 選べる手 |
|---|---|---|
| 色があせてきた | 表面の色が抜けてきた段階 | 塗装で延ばせる可能性があります |
| 表面の粒が落ちる | 表面に散らしてある細かい粒が流れ始めた | 塗装の検討時期 |
| コケ・藻が出ている | 湿気が抜けにくい状態。北面に出やすい | 洗浄で落ちる範囲かを見てもらう |
| 端がめくれている・浮いている | 接着が切れています | 塗っても押さえられません。まず留める話 |
| 破れ・欠けがある | 材そのものが傷んでいる | 部分補修か、カバー工法・葺き替え |
| 下地が波打っている | 下の野地板が傷んでいる可能性 | 塗装の話ではありません |
上の3つなら、塗装が選択肢に入ります。——下の3つに入ると、塗るかどうかより「何を直すか」の話になります。
ご自身で屋根に上がらないでください。——2階の窓から見える範囲、地上から見上げて分かる範囲までにしてください。あとは業者に写真を撮ってもらうのが安全です(全体・接写・端部の3枚)。
塗る場合の工事の流れ
専用の仕様で塗る場合、工程はこうなります。——関西ペイントが公表している仕様では塗装回数3回とされています。
| 工程 | やること | 確認するところ |
|---|---|---|
| 1. 足場 | 屋根の作業なので必要です | 外壁と同時なら1回で済みます |
| 2. 高圧洗浄 | コケ・藻・落ちた粒を洗い流す | 洗ってから乾かす時間が要ります(高圧洗浄) |
| 3. 下地の補修 | めくれ・浮きがあれば留める | 行があるか。塗る前の作業です |
| 4. 下塗り | この屋根材専用の下地調整材 | 製品名が書かれているか——ここが要です |
| 5. 上塗り(2回) | 仕上げの塗料。つや消しが指定されています | 回数が書かれているか |
| 6. 重なりの処理 | 塗料で塞がった部分を開ける | 方法を説明できるか |
4がこの屋根材の要です。——普通の屋根用塗料の下塗りではなく、専用のものが要るというのが、メーカーの公表内容から読み取れることでした。
2の乾燥を飛ばさないでください。——洗ってすぐ塗ると、あとで膨れや剥がれの原因になります。「洗浄から塗装まで、どれくらい空けますか」と聞いておくと、工程の組み方が分かります。
費用の考え方
当サイトでは相場の金額表を出しません。——屋根の面積、勾配、傷み具合、足場の要否で変わるものを平均しても、判断の役に立たないからです。
代わりに、金額を動かす要素を並べます。
| 要素 | 効き方 |
|---|---|
| 屋根の面積 | 上から見た面積より大きくなります。勾配で1.08〜1.12倍程度(屋根の勾配と面積) |
| 足場 | 外壁と同時なら1回。屋根だけだと、その費用が屋根に乗ります |
| 下地の補修 | めくれ・浮きの数だけ増えます |
| 下塗りの製品 | 専用品が必要になります |
| 重なりの処理 | 手間として乗ります |
メーカーの設計価格——上塗りまで含めて、㎡4,240円と5,030円
相場の平均は出しませんが、メーカー自身が公表している設計価格なら並べられます。2社とも、アスファルトシングルの塗り替えを価格表の1行として載せています。
| メーカー | 構成(下塗〜上塗) | 設計価格(円/㎡) | 基準 |
|---|---|---|---|
| 関西ペイント | アレス水性エポレジン〜ヤネフラット 2回塗り(3工程) | 4,240 | 屋根は100㎡以上 |
| エスケー化研 | 水性シングルサーフ〜水性ヤネフレッシュシリコン艶消し | 5,030 | 新築下地・同一淡彩色・300㎡以上(特に指定がない場合) |
関西ペイント「設計価格表」カタログNo.265(2026年7月現在・税抜)の「屋根用塗料(窯業屋根)」と、エスケー化研「設計価格表」2026年度版の「各種改修工法」によります。どちらも材工共の価格です。エスケー化研の行には「素地調整、縁切り価格は含みません。」、関西ペイントの表には「下地調整代(鉄部の素地調整を含む)・養生費・足場代・諸経費・法定福利費は含まれておりません。」とあります。
ここから読み取れることが2つあります。
- 「1,810円」は、下塗り材だけの値段です。上の「塗料メーカーが、専用の仕様を公表しています」で引いた1,810円/㎡は、下地調整用の水性シングルサーフ単体の設計価格です。同じエスケー化研の表で、上塗りまで含めた構成は5,030円/㎡。見積書の単価と比べるなら、こちらの数字です
- 田島ルーフィング「シングル 勾配屋根用防水システム 設計価格表」(デジタルカタログ>防水設計価格表>設計価格表-勾配屋根/発行2019年8月25日・更新2026年8月21日。2026年9月13日に当サイトが確認)——前提「価格は屋根面積300㎡以上の場合です。200㎡以上300㎡未満は10%割増、100㎡以上200㎡未満は20%割増になります。」「価格は材工共(消費税、運賃、法定福利費別)です。」/新築工法MW(木造木質系下地・釘打ち併用MW仕様)のシングル=MW-04 10,700円/㎡(2.5/10〜5/10未満)・MW-02 11,700円/㎡(5/10〜10/10未満)・MW-03 12,200円/㎡(10/10以上)、表に「改修:既存屋根を全面撤去、下地を平滑処理した場合は本仕様を採用できます」/かぶせ改修工法GJ工法(下地=住宅スレート)のシングル=GJ-04 15,400円/㎡・GJ-02 18,200円/㎡・GJ-03 20,000円/㎡/加算=光触媒機能砂+700円/㎡、遮熱機能光触媒砂+3,500円/㎡
- 厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト「建築物石綿含有建材調査者」(2026年9月13日に当サイトが確認)——石綿則第3条の事前調査の対象(「当該建築物、工作物又は船舶〔それぞれ解体等の作業に係る部分に限る。〕について、石綿等の使用の有無を調査」)/「令和5年10月1日以降着工の工事から、建築物の解体等の作業を行うときは、『建築物石綿含有建材調査者』、又は令和5年9月30日までに日本アスベスト調査診断協会に登録された者による事前調査を行う必要があります。」
- 専用の仕様は、普通の屋根塗装より高くなります。関西ペイントの同じ表で、スレートなどの窯業屋根を塗るアレスダイナミックルーフ(シリコン)は3,350円/㎡、ヤネフラットは4,240円/㎡。差は㎡あたり890円で、屋根80㎡に単純に掛けると約7万円です。「普通の屋根用塗料で塗ります」という見積もりが安く見える理由の1つは、この差です
どちらも設計価格で、見積書の金額そのものではありません。関西ペイントは「これより少ない面積の場合は割高」、エスケー化研は「改装の場合は下地の状況や仕様により割高」と、どちらも基準から外れると高くなることを価格表に書いています。
そして、比べるときの前提をそろえてください
「専用の下塗りを使う前提で、見積もりをお願いします。」
——これを言わないと、普通の屋根用塗料の見積もりと並べることになります。金額だけ見て安いほうを選ぶと、中身が違います。
塗装とカバー工法で迷っている場合も、同じです。——両方の見積もりを出してもらってください。「塗装だといくら、カバー工法だといくら」が並べば、差額と、それぞれが何年もたせる工事なのかで判断できます(カバー工法)。
塗らないという選択肢——アスファルトシングルのカバー工法と葺き替え
塗れるからといって、塗るのが正解とは限りません。——傷み方によっては、別の工事のほうが妥当です。
| 今の状態 | 考えられる対応 |
|---|---|
| 色があせてきた/表面の粒が落ちてきた | 塗装で延ばせる可能性がある段階です |
| めくれている/端が浮いている | 塗っても押さえられません。まず留める話になります |
| 破れている/欠けている | 部分補修か、カバー工法・葺き替えの検討へ |
| 下地が傷んでいる/雨漏りしている | 塗装の話ではありません(雨漏りの原因) |
アスファルトシングルは、カバー工法の対象として想定されている屋根材のひとつです。——既存を残して、上から新しい屋根材を葺く方法です(カバー工法)。
ただし、カバー工法は下地が健全であることが前提です。「下地はどうなっていますか」から聞いてください。傷んだ下地を隠してしまうと、あとで大きな工事になります。
撤去して葺き替える場合は、もうひとつ確認があります。——石綿(アスベスト)を含む建材かどうかの調査です。解体や改修の作業を行うときは、あらかじめ調査することが法律で義務づけられています(葺き替え費用)。
カバーと葺き替えは、いくら違うのか——メーカーが材工共の単価を公表しています
前の節で「塗装だといくら、カバー工法だといくら」を並べてくださいと書きました。相場の平均は出しませんが、ここでも設計価格なら並べられます。屋根材メーカーの田島ルーフィングが、アスファルトシングルの材工共の単価を勾配別に公表しています。
出典=田島ルーフィング「シングル 勾配屋根用防水システム 設計価格表」(デジタルカタログの防水設計価格表・発行2019年8月25日/更新2026年8月21日。当サイトが2026年9月13日に確認)。表の前提が2行あり、そこが本題です。「価格は屋根面積300㎡以上の場合です。200㎡以上300㎡未満は10%割増、100㎡以上200㎡未満は20%割増になります。」「価格は材工共(消費税、運賃、法定福利費別)です。」
| 工法 | 適用勾配 | シングル(円/㎡) |
|---|---|---|
| 葺き替え側 新築工法MW(木造木質系下地) 表に「改修:既存屋根を全面撤去、下地を平滑処理した場合は本仕様を採用できます」とあります | 2.5/10〜5/10未満 | 10,700 |
| 5/10〜10/10未満 | 11,700 | |
| 10/10以上 | 12,200 | |
| カバー側 かぶせ改修GJ工法 下地が住宅スレート=いまスレート屋根の家にシングルをかぶせる場合 | 2.5/10〜5/10未満 | 15,400 |
| 5/10〜10/10未満 | 18,200 | |
| 10/10以上 | 20,000 |
数字だけ見ると、カバーのほうが㎡あたり高く見えます。ここに落とし穴が3つあります。
落とし穴1——葺き替え側の単価に、撤去も処分も入っていません
表が書いているのは「既存屋根を全面撤去、下地を平滑処理した場合は本仕様を採用できます」です。つまりMWの10,700円は「撤去が済んだあとに、新しい屋根をのせる工事」の値段です。
既存屋根の撤去、下地の平滑処理、廃材の処分は、この単価の外にあります。だから㎡単価だけを並べると、読者は逆の結論を持ちます。総額では逆転しうる——これが、カバー工法が選ばれる理由の中身です。
落とし穴2——勾配で1〜3割動きます
5/10(5寸)を境に上がります。葺き替え側は10,700→11,700円、カバー側は15,400→18,200円。同じ屋根材でも勾配が違えば単価が違う、と業者が言うのは正しいということです。
だから比べる前に聞いてください——「うちの屋根の勾配は何寸ですか」。勾配は面積にも効きます(屋根の勾配と面積)。
落とし穴3——戸建ては、この表のいちばん小さい区分にすら届きません
前提の1行をもう一度読んでください。「300㎡以上の場合です。200㎡以上300㎡未満は10%割増、100㎡以上200㎡未満は20%割増」。
戸建ての屋根は、およそ60〜100㎡です。100〜200㎡の区分で計算すると葺き替え側は10,700×1.2=12,840円/㎡になりますが、それより小さい家は、メーカーの表では答えが出ません。
これは塗料の設計価格でも同じ構造でした。設計価格は大きい建物を基準にしていて、戸建てはその外側にいます。ただし田島は割増の率を数字で書いている点が珍しく、「小さい家ほど㎡単価が上がる」をメーカーが率で示している例として読めます。
この表は材工共・税別・運賃別・法定福利費別で、見積書と含むものが違います。「これが相場」ではありません。また上の塗装の設計価格(関西ペイント・エスケー化研)とは出し方が違うので、同じ土俵で引き算しないでください。加算の例も公表されていて、光触媒機能砂で+700円/㎡、遮熱機能光触媒砂で+3,500円/㎡です。なお同じ表の「ロフティー」は別グレードの製品なので、アスファルトシングルの価格として使えません。
撤去するなら、石綿の調査は「屋根材」ではなく「建物」にかかります
前の節で、葺き替えには石綿の調査が要ると書きました。ここで誤解しやすいのは、調査の対象です。
アスファルトシングルはアスファルトとガラス繊維でできた屋根材で、屋根材そのものに石綿が入っている可能性が高いわけではありません。それでも調査は要ります。法律が対象にしているのが、屋根材ではなく建築物のうち解体等の作業に係る部分だからです。
「事業者は、建築物、工作物又は鋼製の船舶の解体又は改修(封じ込め又は囲い込みを含む。)の作業…を行うときは、石綿による労働者の健康障害を防止するため、あらかじめ、当該建築物、工作物又は船舶(それぞれ解体等の作業に係る部分に限る。)について、石綿等の使用の有無を調査…しなければなりません(石綿則第3条)」(厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト)
下葺材、野地板まわり、取り合いの部材。撤去の手が入る範囲が対象になります。だから「シングルだから調査は要らない」にはなりません。
2023年10月から、「誰が調べるか」が決まっています
ここが、このページで新しく足しておきたい一行です。
「令和5年10月1日以降着工の工事から、建築物の解体等の作業を行うときは、「建築物石綿含有建材調査者」、又は令和5年9月30日までに日本アスベスト調査診断協会に登録された者による事前調査を行う必要があります。」(同ポータル「建築物石綿含有建材調査者」)
令和5年=2023年です。それ以前は誰が調べてもよかったものが、資格者の仕事になりました。だから聞き方が1つ増えます。
「石綿の事前調査は、どなたがされますか」。資格の名前を挙げて答えられる会社は、この改正を運用しています。「うちは撤去するだけなので」と返ってきたら、撤去こそが解体等の作業です。
ここまでは建築物の話です。塀・門扉・カーポートのような工作物については、2026年1月から別の資格の話になりました。屋根の工事とは別の論点なので、アスベスト事前調査のページにまとめています。調査結果が施主に報告される決まりや、報告義務の100万円の線も、そちらに書きました。
他の屋根材と比べたとき、この屋根材の位置
「うちの屋根はどういうものなのか」を掴んでおくと、業者の説明が読めるようになります。
| 屋根材 | 材料 | 塗り替えの考え方 |
|---|---|---|
| アスファルトシングル | 基材にアスファルトを含ませ、表面に細かい粒 | 専用の下地調整材がある。柔軟に動く前提 |
| 化粧スレート | セメント系の板 | 塗膜で守る前提。縁切りが要る(スレート屋根) |
| トタン・ガルバリウム | 金属 | ケレンと錆止めで決まる(トタン屋根) |
| 陶器瓦 | 焼き物 | 塗り替えは基本的に不要(瓦に塗装は必要?) |
この表で見てほしいのは、いちばん右の列です。——屋根材ごとに「守り方」が違います。金属は錆との勝負、スレートは塗膜、瓦はそもそも塗らない。アスファルトシングルは「柔らかく動くものの上に、動ける膜を作る」という考え方です。
だから、こういう説明には注意してください
「屋根はどれも同じで、洗って塗るだけです。」
——屋根材ごとに、やることが違います。この説明で終わる会社は、うちの屋根に合わせて考えていません。
「シングル」という言葉について
紛らわしいのですが、いくつかの呼び方があります。——アスファルトシングル、シングル葺き、グラスファイバーシングルなど。基本的には同じものを指しています。
見積書に「シングル」とだけ書かれていたら、どの製品かを聞いてください。——メーカーと製品名が分かれば、その製品の情報にたどり着けます(屋根の製品名と製造時期)。
見積書で見る行と、聞く質問
| 見積書の行 | 読み取れること |
|---|---|
| 下塗り/サーフェーサー | いちばん大事な行です。製品名が書かれているか。アスファルトシングル向けのものか |
| 上塗り(回数) | 関西ペイントの仕様では上塗2回・塗装回数3回とされています |
| 高圧洗浄 | 表面の粒やコケを落とす工程(高圧洗浄) |
| 下地補修 | めくれや浮きがある場合。塗る前に留める作業です |
| 縁切り/重なりの処理 | 行が無ければ、どうするのかを聞く |
| 足場 | 屋根の工事なので必要です。外壁と同時なら1回で済みます |
聞くのは、この3つで足ります
1.「下塗りは何を使いますか。」
——製品名が出るか。アスファルトシングル向けかどうか
2.「仕上がりはつやありですか、つや消しですか。」
——メーカーの仕様はつや消しです。違う答えなら理由を聞く
3.「重なりが塞がらないように、どうしますか。」
——方法まで説明できるか
この3つは、アスファルトシングルの塗り替えをやったことがある会社なら、すぐ答えられます。——逆に「屋根用の塗料で塗ります」としか返ってこないなら、もう1社に聞いてください。2〜3社に見てもらうと、経験の差がはっきり出る屋根材です。
よくある質問
コケが生えています。塗る前に落とせますか?
高圧洗浄で落とします。——表面に細かい粒がある屋根材なので、強く当てすぎると粒まで落ちることがあります。「どれくらいの圧で洗いますか」と聞いてみてください。生えている量によっては薬剤を使う方法が提案されることもあります(高圧洗浄)。
表面の粒が落ちてきました。もう寿命ですか?
すぐ寿命という意味ではありません。——粒は紫外線から本体を守る役割をしています。落ちてきたらそろそろ手を入れる時期という合図です。めくれや破れがなければ、塗装が選択肢に入る段階です。
端がめくれています
塗る前に留める作業が要ります。——塗料でめくれを押さえることはできません。見積書に下地補修の行があるかを見てください。めくれが広い範囲にあるなら、塗装ではなくカバー工法や葺き替えの検討になります。
洗浄から塗装まで、どれくらい空けますか?
乾くまでです。——季節と天気で変わるので日数は一律に言えませんが、詰めると膨れや剥がれの原因になります。「洗浄から塗装まで、どれくらい空けますか」と聞いておくと、工程の組み方が分かります。
屋根だけ塗ると割高になりますか?
足場が屋根の工事だけに乗るので、そうなりがちです。——外壁の塗り替えが近いなら、同時にやったほうが1㎡あたりの負担は下がります(屋根だけ塗る費用)。逆に外壁がまだなら、屋根だけでも仕方のない場面はあります。
塗装とカバー工法、どちらの見積もりを取ればいいですか?
両方出してもらってください。——「塗装だといくら、カバー工法だといくら」が並べば、差額と、それぞれが何年もたせる工事なのかで判断できます。片方だけだと、比べようがありません。
「普通の屋根用塗料で塗ります」と言われました
製品名を聞いてください。——メーカーが公表している専用の下地調整材は、「柔軟性で追従する」ことをうたっています。普通の屋根用塗料でも塗れないとは限りませんが、なぜその製品を選んだのかは聞いていいと思います。
この屋根材は、そもそも何年もつものですか?
年数では言い切れません。——製品、地域、屋根の向き、勾配で変わります。そして塗装は、屋根材そのものを新品に戻す工事ではありません。「あと何年もたせたいか」から逆算して、塗るかカバー工法かを考えるほうが現実的です。
アスファルトシングルに塗装はできますか?
できます。ただし専用の仕様があります。——エスケー化研と関西ペイントが、アスファルトシングル向けの塗装仕様を公式に公表しています。「用途:アスファルトシングル屋根の塗り替え時の下地調整」と明記された製品があり、設計価格まで公開されています。問題は「塗れるか」ではなく「専用の仕様で見積もられているか」です。
「塗装は不要」と書いてあるページを見ました
その主張にも根拠があります。——もともと塗膜で守る前提の屋根材とは、考え方が違うからです。そして専用でない塗料を使えば、うまくいきません。ただし塗料メーカーが専用品を作って設計価格まで出しているのも事実です。どちらか一方が嘘、という話ではありません。
普通の屋根用塗料では駄目なのですか?
メーカーの説明を読むと、そう考えるのが自然です。——専用品は「塗膜は柔軟性を示し、柔軟なアスファルトシングル屋根に追従します」とうたっています。わざわざ書いてあるということは、追従が要るということです。「下塗りは何を使いますか」と聞いてください。
塗ると、見た目はどう変わりますか?
つや消しの仕上がりになります。——確認した2社とも、上塗材につや消しを指定しています。もともと表面に細かい粒があるしっとりした見た目なので、つやを出すと質感が変わります。施工例の写真を見せてもらってください。
何年もちますか?
年数では言えません。——塗料のグレード、屋根の向き、傷み具合で変わります。メーカーの資料を見ても、関西ペイントの塗装仕様選定ガイドは外壁の仕様には「塗り替え年数の目安」を載せていますが、アスファルトシングルの仕様には年数の行がありません。そして塗装は屋根材そのものを新品に戻す工事ではありません。「あと何年もたせたいか」から逆算して、塗るかカバー工法かを考えるほうが現実的です。
めくれている部分があります
塗る前に留める作業が要ります。——塗料でめくれを押さえることはできません。見積書に下地補修の行があるかを見てください。めくれが広い範囲にあるなら、塗装ではなくカバー工法や葺き替えの検討になります。
カバー工法と塗装、どちらがいいですか?
下地の状態で決まります。——色あせが中心なら塗装で延ばせる可能性があり、めくれや破れが広いならカバー工法です。ただしカバー工法も下地が健全であることが前提です。「下地はどうなっていますか」から聞いてください(カバー工法)。
撤去する場合、アスベストの調査は要りますか?
解体や改修の作業では、あらかじめ石綿の使用の有無を調査することが法律で義務づけられています。——「調査費」の行は、上乗せではなく法令上の手順です。新築時の設計図書があれば、それも調査の材料になります(葺き替え費用)。
DIYで塗れませんか?
屋根に上がること自体が危険です。——労働安全衛生規則では高さ2m以上の作業には足場等が求められています。そしてこの屋根材は、専用の下塗材と仕様が要ります。合わない材料を塗ると、次に頼む業者が剥がすところから始めることになります。
アスファルトシングルの塗装単価はいくらですか?
メーカーの設計価格では、㎡4,240円(関西ペイント)と5,030円(エスケー化研)です。関西ペイントはアレス水性エポレジン〜ヤネフラット2回塗り、エスケー化研は水性シングルサーフ〜水性ヤネフレッシュシリコン艶消しの構成で、どちらも材工共です。足場・養生・下地調整などは含まず、基準の面積も戸建ての屋根より大きいので、見積書の単価はこの数字より高い方向に動きます。同じ関西ペイントの表の普通の屋根用シリコン(アレスダイナミックルーフ 3,350円/㎡)と比べると、専用の仕様は㎡あたり890円高くなります。
設計価格の1,810円/㎡が、そのままかかるのですか?
そのままは当てはまりません。——1,810円/㎡は、下地調整用の水性シングルサーフ単体の設計価格です。エスケー化研の同じ価格表では、上塗り(水性ヤネフレッシュシリコン艶消し)まで含めた構成が5,030円/㎡です。しかも設計価格は、新築下地・同一淡彩色・300㎡以上を基準とする材工共の価格で、素地調整と縁切りは含みません。戸建ての屋根にそのまま掛けられる数字ではないので、実際の金額は見積もりで確かめてください。
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参考にした情報
エスケー化研株式会社「水性シングルサーフ」製品情報——一般名称は柔軟型アクリルシリコンサーフェーサー、主要構成成分はアクリルシリコン樹脂、用途は「アスファルトシングル屋根の塗り替え時の下地調整」、荷姿15kg石油缶、標準塗坪16〜30㎡/缶、設計価格1,810円/㎡、希釈は清水、塗装方法は吹付・ローラー・刷毛である旨。特長として「塗膜は柔軟性を示し、柔軟なアスファルトシングル屋根に追従します」「架橋タイプのアクリルシリコン樹脂の採用により、下地への優れた付着性を示します」「上塗材として艶消しタイプの水性ヤネフレッシュシリコン艶消しを使用することで落ち着いた仕上り感を提供します」と記載されている旨。なお設計価格は300㎡以上を基準とする材工共の価格であり、下地調整費は含まないとされている旨
関西ペイント株式会社「塗装仕様選定ガイド」推奨塗装仕様[塗替]——部位:屋根、素材:アスファルトシングル、仕上:平滑、光沢:つや消しとして「シングル屋根蘇り工法 ヤネフラット」が示されており、下塗はエポキシエマルション下塗塗料「アレス水性エポレジン」、上塗(2回)は水性反応硬化形アクリルシリコン樹脂塗料「ヤネフラット」、塗装回数3回、完全水系仕様・トルエンキシレンフリー・防カビ防藻機能・ローラー工法である旨。外壁の推奨仕様にある「塗り替え年数の目安」の行は、アスファルトシングルの仕様には無い旨(2026年9月11日確認)
関西ペイント株式会社「設計価格表」カタログNo.265(2026年7月現在)——「屋根用塗料(窯業屋根)」に、ヤネフラット(アスファルトシングル用つや消し屋根用塗料)4,240円/㎡・3工程・ローラー・アレス水性エポレジン〜ヤネフラット2回塗り・備考「シングル屋根蘇り工法II」、同じ表にアレスダイナミックルーフ3,350円/㎡。注記に「材工共設計価格です。施工規模300㎡以上(屋根は100㎡以上)を基準と致します。これより少ない面積の場合は割高となります。」「下地調整代(鉄部の素地調整を含む)・養生費・足場代・諸経費・法定福利費は含まれておりません。」とある旨(2026年9月11日確認)
エスケー化研株式会社「設計価格表」2026年度版「各種改修工法」——屋根・アスファルトシングルの行に、下塗材「水性シングルサーフ」、上塗材「水性ヤネフレッシュシリコン艶消し」、設計価格5,030円/㎡(シーラー・プライマー込み価格の印あり)、備考「素地調整、縁切り価格は含みません。」とある旨。巻末に、設計価格は新築下地で同一淡彩色300㎡以上を(特に指定がない場合)基準とする材工共の価格である旨(2026年9月11日確認)
石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)第3条——建築物等の解体又は改修の作業を行うときは、あらかじめ石綿等の使用の有無を調査しなければならない旨
労働安全衛生規則第518条——墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある高所(高さ2メートル以上)での作業について、足場の組立て等の方法により作業床を設ける義務が事業者にある旨
最終確認日:2026年8月28日。製品の仕様・価格は改定されることがあります。実際の施工にあたっては、必ず各メーカーの最新の製品情報および施工仕様書、ならびに現地を確認した施工会社にご確認ください。本ページは公表資料の内容を整理したものであり、特定の工法や製品を推奨するものではありません。