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アスファルトシングルは塗装できる?——「やめたほうがいい」と「塗れます」が、両方ある理由
調べると、答えが真っ二つに割れます。「塗装はやめたほうがいい」と書いているページがあり、すぐ隣に「塗装を勧める理由」が並んでいる。どちらかが間違っている、という話ではありません。——塗料メーカーの公式情報を見にいくと、この屋根材のために作られた専用の塗装仕様が、複数社から公表されていました。そしてその仕様書の一文に、意見が割れる理由がそのまま書いてあります。
※本ページはプロモーション(広告)を含みます。
このページの内容
- 先に結論
- なぜ、意見が割れているのか
- 塗料メーカーが、専用の仕様を公表しています
- 「柔軟な屋根に追従します」——この一文がすべてです
- 仕上がりは「つや消し」になります
- 縁切りの話
- 塗らないという選択肢
- 見積書で見る行と、聞く質問
- よくある質問
先に結論
①塗れます。ただし「専用の仕様」があります——大手塗料メーカーが、この屋根材のための塗装仕様を公表しています
②普通の屋根用塗料では想定されていません——専用品は「柔軟性で追従する」ことをうたっています
③だから「やめたほうがいい」も、半分は正しい——専用でない塗料を使えば、その通りになります
④仕上がりはつや消しになります——確認した2社とも、つや消しの上塗材を指定しています
⑤塗らずにカバー工法・葺き替えという道もあります——傷み方によっては、そちらが妥当です
つまり、確かめるのは「塗れるかどうか」ではありません。——「専用の仕様で見積もられているかどうか」です。
なぜ、意見が割れているのか
検索して出てくる主張を並べると、こうなります。
| よく見る主張 | 言っていること |
|---|---|
| 「塗装はやめたほうがいい」 | 費用対効果が悪い/もともと塗装を前提にした屋根材ではない |
| 「塗装は必要ない」 | 表面に石の粒がある作りで、塗膜で守る屋根材とは考え方が違う |
| 「塗装を勧めます」 | 適切な材料と工程を踏めば、延命の手段になる |
どれも、それぞれの立場からは筋が通っています。——食い違っているのは「どの塗料で塗る前提か」です。
だから、この記事では主張を比べるのをやめました。
——塗料メーカーが公式に何と書いているかを見にいきます。製品を作っている側の情報が、いちばん確かだからです。
塗料メーカーが、専用の仕様を公表しています
調べたところ、大手2社が、アスファルトシングル専用の塗装仕様を公表していました。
エスケー化研「水性シングルサーフ」
一般名称:柔軟型アクリルシリコンサーフェーサー
用途:アスファルトシングル屋根の塗り替え時の下地調整
主要構成成分:アクリルシリコン樹脂
設計価格:1,810円/㎡
荷姿:15kg石油缶/標準塗坪:16〜30㎡/缶
塗装方法:吹付、ローラー、刷毛
※設計価格は300㎡以上を基準とする材工共の価格で、下地調整費は含まないとされています。戸建ての小さな面積にそのまま当てはまる数字ではありません。
関西ペイント「シングル屋根蘇り工法 ヤネフラット」
部位:屋根/素材:アスファルトシングル
下塗:エポキシエマルション下塗塗料「アレス水性エポレジン」
上塗(2回):水性反応硬化形アクリルシリコン樹脂塗料「ヤネフラット」
塗装回数:3回
特長:完全水系仕様/トルエン・キシレンフリー/防カビ・防藻機能/ローラー工法
光沢:つや消し
ここから分かることは、はっきりしています
塗料メーカーは、この屋根材を塗る前提で製品と仕様を作っています。
——用途に「アスファルトシングル屋根の塗り替え」と書き、設計価格まで公表している。「塗ってはいけない屋根材」なら、こうはなりません。
「柔軟な屋根に追従します」——この一文がすべてです
エスケー化研の製品説明に、こう書かれています。
「柔軟性 塗膜は柔軟性を示し、柔軟なアスファルトシングル屋根に追従します。」
「優れた付着性 架橋タイプのアクリルシリコン樹脂の採用により、下地への優れた付着性を示します。」
ここを読み解くと、意見が割れる理由が見えてきます。
1. この屋根材は「柔軟」です
アスファルトシングルは、曲がる屋根材です。——瓦やスレートのように硬く割れるのではなく、温度や下地の動きに合わせて、わずかに動きます。
2. だから、塗膜も動けないといけません
動く下地に、動けない塗膜を乗せるとどうなるか。——ついていけずに、割れたり剥がれたりします。
メーカーが「柔軟性で追従します」とわざわざ書いているのは
普通の屋根用塗料では追従しないことの裏返しでもあります。
——だから「やめたほうがいい」という主張も、半分は正しいのです。専用でない塗料を使えば、その通りになります。
3. そして「付着性」が別に書かれています
追従することと、くっつくことは別の話です。——だからメーカーは2つを分けて書いています。
つまり、この屋根材の塗り替えで問われるのは、上に塗る色ではなく「下に何を塗るか」です。——2社とも、専用の下塗材を仕様の中心に置いています(エスケー化研=水性シングルサーフ/関西ペイント=アレス水性エポレジン)。
だから、見積書で見るのは下塗りの行です
「下塗りは何を使いますか」
——製品名が出てくるか、そしてそれがアスファルトシングル向けのものか。ここが答えられれば、その会社は仕様を分かっています。
仕上がりは「つや消し」になります
これは知らないと、仕上がりで驚きます。——確認した2社とも、上塗材につや消しを指定していました。
| メーカー | 上塗材 | 光沢 |
|---|---|---|
| エスケー化研 | 水性ヤネフレッシュシリコン艶消し | つや消し |
| 関西ペイント | ヤネフラット | つや消し |
エスケー化研は、その理由をこう書いています。——「上塗材として艶消しタイプの水性ヤネフレッシュシリコン艶消しを使用することで落ち着いた仕上り感を提供します」。
もともとこの屋根材は、表面に細かい粒がある、しっとりした見た目です。——そこにつやのある塗料を乗せると、質感が変わってしまいます。だから、つや消しが選ばれていると考えられます。
ここも、会社によって答えが分かれる部分です。——メーカーの仕様どおりつや消しで出してくる会社と、いつもの屋根用塗料で見積もる会社。2〜3社に見積もりを出してもらうと、その差が仕上がりの説明に出ます。
💡「塗ったら安っぽく光るようになった」を避けるために、先に確認してください。——「仕上がりはつやありですか、つや消しですか」。ここは好みが分かれるところなので、施工例の写真を見せてもらうのがいちばん確実です(艶の選び方)。
縁切りの話
この屋根材も、板が重なって葺かれています。——だから塗料でその重なりが塞がると、入った水が抜けにくくなります。
スレート屋根で「縁切り」と呼ばれている作業と、同じ考え方です(タスペーサー)。
ただし、方法は屋根材によって変わります
「重なりが塞がらないように、どうしますか」
——方法まで説明できるかどうかを見てください。「大丈夫です」だけなら、もう一歩聞いてください。
⚠️差し込む部材を使うかどうかは、屋根材によって扱いが違います。——屋根材メーカーが認めていない方法もあるので、「うちの屋根材では、この方法で問題ありませんか」と確認するのが確実です。
塗らないという選択肢
塗れるからといって、塗るのが正解とは限りません。——傷み方によっては、別の工事のほうが妥当です。
| 今の状態 | 考えられる対応 |
|---|---|
| 色があせてきた/表面の粒が落ちてきた | 塗装で延ばせる可能性がある段階です |
| めくれている/端が浮いている | 塗っても押さえられません。まず留める話になります |
| 破れている/欠けている | 部分補修か、カバー工法・葺き替えの検討へ |
| 下地が傷んでいる/雨漏りしている | 塗装の話ではありません(雨漏りの原因) |
アスファルトシングルは、カバー工法の対象として想定されている屋根材のひとつです。——既存を残して、上から新しい屋根材を葺く方法です(カバー工法)。
⚠️ただし、カバー工法は下地が健全であることが前提です。「下地はどうなっていますか」から聞いてください。傷んだ下地を隠してしまうと、あとで大きな工事になります。
撤去して葺き替える場合は、もうひとつ確認があります。——石綿(アスベスト)を含む建材かどうかの調査です。解体や改修の作業を行うときは、あらかじめ調査することが法律で義務づけられています(葺き替え費用)。
見積書で見る行と、聞く質問
| 見積書の行 | 読み取れること |
|---|---|
| 下塗り/サーフェーサー | いちばん大事な行です。製品名が書かれているか。アスファルトシングル向けのものか |
| 上塗り(回数) | 関西ペイントの仕様では上塗2回・塗装回数3回とされています |
| 高圧洗浄 | 表面の粒やコケを落とす工程(高圧洗浄) |
| 下地補修 | めくれや浮きがある場合。塗る前に留める作業です |
| 縁切り/重なりの処理 | 行が無ければ、どうするのかを聞く |
| 足場 | 屋根の工事なので必要です。外壁と同時なら1回で済みます |
聞くのは、この3つで足ります
1.「下塗りは何を使いますか。」
——製品名が出るか。アスファルトシングル向けかどうか
2.「仕上がりはつやありですか、つや消しですか。」
——メーカーの仕様はつや消しです。違う答えなら理由を聞く
3.「重なりが塞がらないように、どうしますか。」
——方法まで説明できるか
この3つは、アスファルトシングルの塗り替えをやったことがある会社なら、すぐ答えられます。——逆に「屋根用の塗料で塗ります」としか返ってこないなら、もう1社に聞いてください。2〜3社に見てもらうと、経験の差がはっきり出る屋根材です。
よくある質問
アスファルトシングルに塗装はできますか?
できます。ただし専用の仕様があります。——エスケー化研と関西ペイントが、アスファルトシングル向けの塗装仕様を公式に公表しています。「用途:アスファルトシングル屋根の塗り替え時の下地調整」と明記された製品があり、設計価格まで公開されています。問題は「塗れるか」ではなく「専用の仕様で見積もられているか」です。
「塗装は不要」と書いてあるページを見ました
その主張にも根拠があります。——もともと塗膜で守る前提の屋根材とは、考え方が違うからです。そして専用でない塗料を使えば、うまくいきません。ただし塗料メーカーが専用品を作って設計価格まで出しているのも事実です。どちらか一方が嘘、という話ではありません。
普通の屋根用塗料では駄目なのですか?
メーカーの説明を読むと、そう考えるのが自然です。——専用品は「塗膜は柔軟性を示し、柔軟なアスファルトシングル屋根に追従します」とうたっています。わざわざ書いてあるということは、追従が要るということです。「下塗りは何を使いますか」と聞いてください。
塗ると、見た目はどう変わりますか?
つや消しの仕上がりになります。——確認した2社とも、上塗材につや消しを指定しています。もともと表面に細かい粒があるしっとりした見た目なので、つやを出すと質感が変わります。施工例の写真を見せてもらってください。
何年もちますか?
年数では言えません。——塗料のグレード、屋根の向き、傷み具合で変わります。そして塗装は屋根材そのものを新品に戻す工事ではありません。「あと何年もたせたいか」から逆算して、塗るかカバー工法かを考えるほうが現実的です。
めくれている部分があります
塗る前に留める作業が要ります。——塗料でめくれを押さえることはできません。見積書に下地補修の行があるかを見てください。めくれが広い範囲にあるなら、塗装ではなくカバー工法や葺き替えの検討になります。
カバー工法と塗装、どちらがいいですか?
下地の状態で決まります。——色あせが中心なら塗装で延ばせる可能性があり、めくれや破れが広いならカバー工法です。ただしカバー工法も下地が健全であることが前提です。「下地はどうなっていますか」から聞いてください(カバー工法)。
撤去する場合、アスベストの調査は要りますか?
解体や改修の作業では、あらかじめ石綿の使用の有無を調査することが法律で義務づけられています。——「調査費」の行は、上乗せではなく法令上の手順です。新築時の設計図書があれば、それも調査の材料になります(葺き替え費用)。
DIYで塗れませんか?
屋根に上がること自体が危険です。——労働安全衛生規則では高さ2m以上の作業には足場等が求められています。そしてこの屋根材は、専用の下塗材と仕様が要ります。合わない材料を塗ると、次に頼む業者が剥がすところから始めることになります。
設計価格の1,810円/㎡が、そのままかかるのですか?
そのままは当てはまりません。——公表されている設計価格は300㎡以上を基準とする材工共の価格で、下地調整費は含まないとされています。戸建ての小さな面積にそのまま掛けられる数字ではありません。実際の金額は、見積もりを取って確かめてください。
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行が少ない書類ほど抜けに気づけない
タスペーサー
縁切りの考え方
参考にした情報
エスケー化研株式会社「水性シングルサーフ」製品情報——一般名称は柔軟型アクリルシリコンサーフェーサー、主要構成成分はアクリルシリコン樹脂、用途は「アスファルトシングル屋根の塗り替え時の下地調整」、荷姿15kg石油缶、標準塗坪16〜30㎡/缶、設計価格1,810円/㎡、希釈は清水、塗装方法は吹付・ローラー・刷毛である旨。特長として「塗膜は柔軟性を示し、柔軟なアスファルトシングル屋根に追従します」「架橋タイプのアクリルシリコン樹脂の採用により、下地への優れた付着性を示します」「上塗材として艶消しタイプの水性ヤネフレッシュシリコン艶消しを使用することで落ち着いた仕上り感を提供します」と記載されている旨。なお設計価格は300㎡以上を基準とする材工共の価格であり、下地調整費は含まないとされている旨
関西ペイント株式会社「塗装仕様選定ガイド」推奨塗装仕様[塗替]——部位:屋根、素材:アスファルトシングル、仕上:平滑、光沢:つや消しとして「シングル屋根蘇り工法 ヤネフラット」が示されており、下塗はエポキシエマルション下塗塗料「アレス水性エポレジン」、上塗(2回)は水性反応硬化形アクリルシリコン樹脂塗料「ヤネフラット」、塗装回数3回、完全水系仕様・トルエンキシレンフリー・防カビ防藻機能・ローラー工法である旨
石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)第3条——建築物等の解体又は改修の作業を行うときは、あらかじめ石綿等の使用の有無を調査しなければならない旨
労働安全衛生規則第518条——墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある高所(高さ2メートル以上)での作業について、足場の組立て等の方法により作業床を設ける義務が事業者にある旨
最終確認日:2026年8月28日。製品の仕様・価格は改定されることがあります。実際の施工にあたっては、必ず各メーカーの最新の製品情報および施工仕様書、ならびに現地を確認した施工会社にご確認ください。本ページは公表資料の内容を整理したものであり、特定の工法や製品を推奨するものではありません。