外壁塗装が剥がれた——まず「いつ塗ったか」で、話がまるごと変わります

壁の塗装がめくれている、パリパリと落ちてくる。同じ症状でも、塗ってから3年なのか、12年なのかで、するべきことは正反対です。そして知っておいてほしいことがひとつ。剥がれの保証は施工店の自社保証だけとは限りません。塗料メーカーが施工店と連名で施主に出す保証があり、そこでは「著しい剥離」がJIS規格の等級で定義されています。感覚で揉める話ではなくなる、ということです。順番に整理します。

このページの内容

まず、いつ塗ったかで3つに分かれます

剥がれの相談で最初に確認されるのは、症状の写真より前回の塗装時期です。

前回の塗装からまず疑うことあなたがすること
1〜3年塗膜が下地に付いていない可能性。塗料の寿命で説明できる時期ではありません施工した会社に連絡。保証書と契約書を探す
4〜7年部分的な要因(面の向き、下地の状態、旧塗膜との相性)が絡むことが多い時期施工店に見てもらう。保証期間内かどうかを書面で確認
8年以上経年での劣化が主。ただし「全面が同じように傷む」のが自然塗り替えの検討へ。一部だけ極端なら、その面の事情を聞く

年数の前提そのもの——「何年もつのが普通なのか」については何年ごとのページにまとめました。ここで大事なのは、早すぎる剥がれは材料の寿命では説明がつかないということです。

なぜ剥がれるのか——メーカーが書いていること

塗装会社のサイトを見ると原因が並んでいますが、ここでは塗料メーカー自身が製品ページに書いている注意書きを引きます。売り手ではなく作り手の言葉です。

日本ペイントが製品の注意事項として書いていること

「下地処理が不十分な場合には、塗膜はく離の原因となります」(水性ファインSi ほか複数製品の注意書き)

ある下塗り材では、既存塗膜を研磨紙等で面粗ししたうえで塗るよう指示され、同じく「下地処理が不十分な場合は、塗膜はく離の原因となります」と添えられています。

さらに「既存塗膜が高弾性塗膜の場合には適用できません」——つまり前に塗られているものによって、使えない塗料があるということです。

ここから読み取れることは3つです。

  • 剥がれの多くは「塗る前」に決まっている洗浄、ケレン(旧塗膜や錆を落とす作業)、下塗りの選定。完成後は見えなくなる工程が結果を決めます。塗装が「仕上がってから品質が分からない工事」と言われるのはこのためです。
  • 前回何が塗られていたかが効く高弾性塗膜のように、上に塗れるものが限られる旧塗膜があります。前回の資料が残っていれば、それだけで事故が減ります。
  • 外壁材そのものが原因のこともある光触媒・無機・フッ素などのコーティングがされた難付着サイディングは、専用の下塗りを使わないと密着しません。自分の家が該当するかの確かめ方は難付着サイディングのページに書きました。

なお、当サイトは「剥がれの◯割は施工不良」といった割合の数字は出しません。公表された根拠を見つけられないためです。書けるのは、上のように出典のある事実だけです。

施工不良か経年劣化か、自分で切り分ける

断定はできません。ただし見るべき3点は決まっています。写真を撮っておくと、話が早くなります。

  • 年数前回の塗装から何年経っているか上の表のとおりです。3年以内なら、まず施工店に見てもらう場面。契約書・保証書・見積書を探してください。塗料名が書いてあれば、なお良いです
  • 範囲1つの面だけか、家全体か経年劣化なら、日当たりや雨がかりに沿って傷みます。逆に、条件が同じはずの隣り合った面で片方だけ剥がれている、あるいは特定の高さで揃っている場合は、施工時の事情(乾燥時間・下地処理・塗り継ぎ)を聞く材料になります
  • 断面剥がれた面の下は、何色かめくれた裏に前の塗装の色が付いているか、下地がむき出しか。付着が切れている層が違えば、原因の見立ても変わります。落ちた塗膜のかけらは捨てずに取っておいてください

そのうえで、施工店に聞くべきは「なぜ剥がれたと思いますか」です。原因を説明できない会社に、次の補修を頼む理由はありません。塗った直後の見た目の不良(ピンホール・気泡・塗りムラ)についてはピンホールのページで扱っています。

保証は、施工店のものだけではありません

ここがこのページでいちばんお伝えしたい部分です。外壁塗装の保証というと施工店の自社保証を思い浮かべますが、塗料メーカーが施工店と連名で施主に出す保証制度が存在します。

日本ペイントのGOOD JOB システムがそれです。公式サイトの説明を、事実だけ抜き出します。

項目公式に書かれている内容
仕組み戸建て住宅や小規模集合住宅などの塗り替え物件を対象に、塗装工事後に塗膜の著しい剥離が発生した場合、施工店と日本ペイントが連名で施主に保証
「著しい剥離」の定義JIS K 5600-8-5:1999 大きさ等級5(規格で判定されます)
保証年数塗料と部位により外壁5〜7年、屋根3年
対象部位外壁と屋根のみ。軒天・付帯部・基礎・外構は全て対象外
対象塗料アプラウドシェラスター2、グランセラシリーズ、パーフェクトシリーズ
登録施工店323店舗(2026年8月現在・公式サイト表示)
剥離が起きたらまず施工会社に連絡。施工会社が自宅と対象部位を確認
紹介手数料施工店の紹介にあたり、日本ペイントは一切手数料を受け取っていないと明記

この情報の使いどころは2つあります。

  • すでに剥がれている方へ前回の工事で使われた塗料が対象製品なら、保証書が発行されている可能性があります。書類を探してください。ないと思っていた保証が出てくることがあります。
  • これから頼む方へ契約前に「メーカー保証の登録施工店ですか」と聞けます。ここで大事なのは、登録店だから良い会社という単純な話ではなく、剥離という一点について、第三者の基準(JIS等級)で判定される仕組みがあるかどうかです。揉めごとの解像度が変わります。

ただし対象外の部分をよく見てください。軒天・付帯部・基礎・外構は入りません。雨樋や破風が剥がれても、この保証の話ではないということです。付帯部の見方は付帯部のページ、保証書全般の読み方は保証のページにまとめています。

自分で補修していいですか

結論から言うと、おすすめしません。理由は高さの危険だけではありません。

剥がれの補修は「塗る」より前に「どこまで剥がすか」の仕事です。浮いている塗膜を残したまま上から塗れば、下で剥離が進んで同じことが起きます。逆に健全な塗膜まで剥がせば、傷を広げます。この見極めが本体です。

いちばん大きいのは、次の塗り替えへの影響です

市販の塗料で部分補修をすると、次に全面を塗り替えるとき、その部分だけ塗膜の種類が違う状態になります。上に塗れる材料が限られたり、その部分を先に落とす手間が乗ったりします。いま浮いた数万円が、次の見積もりに戻ってくる形です。

DIYで浮くお金の性格についてはDIYのページに書きました。手が届く塀や物置まで、というのが当サイトの線引きです。

応急処置としてやっていいのは、剥がれた破片を拾って保管することと、写真を撮ることです。剥がれた部分を養生テープやコーキングで塞ぎたくなりますが、後から剥がす手間になるので貼らないでください。雨が心配な場合は、その旨を伝えて早めに見てもらうほうが確実です。

見つけたときの手順

  • 1. 写真を撮る全体が分かる1枚と、近づいた1枚。日付が残る形で。落ちた塗膜のかけらも保管します。
  • 2. 書類を探す契約書・見積書・保証書。塗料名と保証年数、免責事項を確認します。見るべき4点は保証のページに整理しました。
  • 3. 施工店に連絡する期間内なら、まず施工した会社です。メーカー連名保証も窓口は施工会社です。連絡した日付を記録しておいてください。
  • 4. 対応が得られないとき連絡が取れない、原因の説明がない、有償だと言われて納得できない——このときは別の会社に見てもらって構いません。並行してトラブル対処のページの相談窓口(消費者ホットライン188、住まいるダイヤル)も使えます。
  • 5. 塗り替えの時期に来ているなら8年以上経っているなら、部分補修より全面の計画に切り替えたほうが結果的に安く済むことがあります。足場を組む工事は、まとめたほうが得です。

よくある質問

剥がれを放置するとどうなりますか?

塗膜は防水の役割を持っているので、剥がれた部分は外壁材が直接、雨と紫外線を受ける状態になります。外壁材そのものが傷むと、塗装では戻らない段階に進むことがあります。ただし「すぐに雨漏りする」という話ではありません。どこからが塗装で戻らなくなる線なのか外壁塗装は意味ない?のページで扱っています。

火災保険で直せますか?

剥がれの原因が台風や雹などの自然災害にあるなら、風災・雹災の補償が使える可能性があります。ただし経年劣化や施工不良は対象外です。「保険で無料になります」と持ちかけてくる業者への注意も含めて、火災保険のページにまとめました。

塗り直しは、剥がれた部分だけで済みますか?

部分補修は可能ですが、色が合わないことがあります。既存の壁は年数分だけ色が変わっているためで、新しい塗料をぴったり合わせても、その部分だけ浮いて見えることがあります。面ごと塗る、目地で区切るなど、どこまで塗るかを先に決めておくと揉めません。

保証書をなくしました

まず施工した会社に控えがあるか聞いてください。日本ペイントのGOOD JOB保証については、公式のよくある質問で保証書の再発行について触れられており、相続の場合のみ権利が継続すると説明されています。制度の詳細はメーカーと施工店にご確認ください。

もう会社が無くなっていました

自社保証は、その会社が無くなれば実質的に使えません。これが「保証年数の長さ」より会社の継続性を見るべき理由です。メーカー連名の保証がある場合は扱いが変わる可能性があるので、塗料名が分かる書類を持って、その塗料メーカーの窓口に相談してみる価値はあります。

最終確認日:2026年8月22日。保証制度の内容・対象製品・年数は変更されることがあります。実際の適用可否は、施工店および塗料メーカーの最新情報と、お手元の契約書・保証書の記載をご確認ください。

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参考にした情報

  • 日本ペイント「GOOD JOB システム」公式サイト(施工店とメーカーの連名保証、著しい剥離=JIS K 5600-8-5:1999 大きさ等級5、保証年数 外壁5〜7年・屋根3年、対象部位と対象外部位、対象塗料、登録施工店数、紹介手数料に関する記載)
  • 日本ペイント 建築用塗料 製品ページの注意事項(「下地処理が不十分な場合には、塗膜はく離の原因となります」「既存塗膜が高弾性塗膜の場合には適用できません」、下塗り材における面粗しの指示)
  • 難付着サイディングと専用下塗りについては、当サイト難付着サイディングのページで塗料メーカーの公式情報をもとに整理しています