外壁塗装は何年ごと?——「10年」は、塗り替えの周期として決まった数字ではありません
調べると、どのページにも「10年から15年ごと」と書いてあります。ただ、その数字がどこから来たのかまで説明しているものは、ほとんど見当たりません。実は「10年」には出どころが2つあり、それが混ざっています。そして国土交通省が示している維持保全計画書の記入例(木造戸建の例)では、外壁は「3、6、12、15(全面補修)、18…年」の点検と書かれていて、10年ごとに塗るとはどこにも書かれていません。数字を分解したうえで、自分の家の周期をどう決めるかを整理します。
このページの内容
- 先に答え——年数では決まりません
- 「10年」の出どころは2つあって、混ざっています
- 国の様式は「3年ごとに見て、15年で全面補修を検討」
- では、自分の家はいつか
- 2回目以降は、前回の塗料で変わります
- 「10年は早い」「20年してない」と感じている方へ
- よくある質問
先に答え——年数では決まりません
身も蓋もない話ですが、築年数だけで塗り替え時期は決められません。同じ年に建った同じ工法の家でも、南面と北面ですら傷み方が違います。日当たり、雨のかかり方、海からの距離、前の塗装で何をどう塗ったか——変数が多すぎます。
それでも「何年ごと」という数字が世の中に流通しているのは、目安がないと誰も動けないからです。だから目安そのものは悪ではありません。問題は、その数字が何の数字なのかを知らないまま使うことです。以下で分解します。
「10年」の出どころは2つあって、混ざっています
調べていくと、外壁まわりの「10年」には性格の違う2つの出どころがあります。
| ①制度の「10年」 | ②塗料カタログの「10年」 | |
|---|---|---|
| 何の数字か | 点検の間隔 | 塗料の期待耐用年数 |
| どこにあるか | 長期優良住宅の維持保全計画。構造耐力上主要な部分/雨水の浸入を防止する部分/給水・排水の設備について、維持保全の期間(30年以上)を見据えた定期的な点検・補修等の計画を定めることが認定基準になっています(国土交通省)。外壁は「雨水の浸入を防止する部分」に含まれます | 各社の製品ページ・カタログ。たとえばエスケー化研は製品ごとに年数を明記し、日本ペイントは年数を書いていません |
| 意味すること | 見る周期。塗り替える周期ではありません | 試験室の促進耐候性試験から出した参考値。メーカー自身が「参考値としてお考えください」と添えています |
この2つが「10年」という同じ語感で並んだ結果、「10年ごとに塗るもの」という共通認識ができあがっています。②の中身——期待耐用年数がどう作られた数字なのか、メーカーによって書き方がまるで違うことは、塗料の種類のページで詳しく扱いました。
国の様式は「3年ごとに見て、15年で全面補修を検討」
ここがこのページでいちばんお伝えしたい部分です。国土交通省の長期優良住宅化リフォーム推進事業では、維持保全計画書の参考様式が公開されています。その木造戸建の記入例には、部位ごとの点検時期がこう書かれています。
| 部位 | 定期的な点検の時期 | 定期的な手入れ等 | 更新・取替の時期 |
|---|---|---|---|
| 外壁(窯業系サイディング) | 3、6、12、15(全面補修)、18、21、24、27、30年 | 3年でトップコート吹替え | 15年で全面補修を検討 |
| 屋根(スレート葺き) | 5、10、15、20(葺替)、25、30年 | — | 20年で全面葺き替えを検討 |
| 雨樋 | 3、7(取替)、10、14(取替)、17、21(取替)、24、30年 | — | 7年で全面取替を検討 |
| 軒裏天井 | 3、6、12、15(取替)、18、21、24、27、30年 | — | 15年で全面取替を検討 |
| バルコニー(支持部材・床・防水) | 5、10、15、20(取替)、25、30年 | — | 20年で全面取替を検討 |
出典=国土交通省 長期優良住宅化リフォーム推進事業「維持保全計画書 参考様式①(木造戸建の例)」。これは認定を受ける際の計画書の記入例であり、すべての住宅に課される義務ではありません。また同様式は「点検の時期は、新築時点からではなくリフォームを実施した時点からの年数で記載する」としています。
読み取れることは3つあります。
- 外壁は「3年ごとに見る」前提で書かれている10年ごとではありません。短い間隔で見て、傷んでいたらそのとき直す——これが計画の作り方です。見るだけなら、お金はかかりません。
- 「全面補修」の検討は15年外壁を全面的にやり直す想定は12年でも10年でもなく15年のところに置かれています。もちろん例であって義務ではありませんが、「10年で塗らないと危ない」という語り口とは、明らかに温度が違います。
- 臨時点検という考え方がある同じ様式には「地震時や台風時の後、当該点検の時期にかかわらず臨時点検を行うものとする」と書かれています。年数の表よりも、こちらのほうが実用的かもしれません。大きな台風のあとは、年数に関係なく見る。
つまり制度が想定しているのは「決まった年数で塗り替える」ではなく「短い間隔で見て、状態に応じて手を入れる」という考え方です。
では、自分の家はいつか
年数を捨てて症状で見る、というのがぬりごろの立場です。順番はこうなります。
- まず、雨が入っているかどうか塗装の仕事は化粧ではなく防水です。シーリング(コーキング)の切れ、外壁の割れ、雨染み——ここに該当があれば、年数に関係なく見てもらう段階です。判断材料はチョーキングとひび割れのページにまとめました。
- 次に、塗膜がまだ機能しているか触ると白い粉がつく(チョーキング)、色あせ、コケや藻。これらは「すぐ雨漏り」ではありませんが、塗膜が役目を終えつつある合図です。コケ・カビのページも参考にしてください。
- 最後に、費用の都合を合わせる症状が出ていて、かつ足場を組む工事が他にもあるなら、まとめたほうが得です。屋根やベランダ防水を同時にやるかどうかは、見積もりの内訳のページの考え方で判断できます。
逆に、症状が何も出ていないのに年数だけを理由に契約を急かされたときは、いったん止めてください。訪問販売でよく使われる話法についてはチラシで来た業者のページとトラブル対処のページに整理しています。
2回目以降は、前回の塗料で変わります
初回と2回目以降では、考え方が変わります。2回目以降の周期は、前回何を塗ったかで決まるからです。
前回シリコンで塗ったのか、フッ素だったのか、あるいは安さ優先で工程を削った工事だったのか。ここが分からないと、次の時期は読めません。だから前回の見積書・契約書・保証書は捨てないでください。塗料名が書いてあれば、次の判断がまるごと変わります。保証の考え方は保証のページにまとめました。
書類が見つからない場合は、業者に「前回が何で塗られているか、見て分かりますか」と聞いてみてください。触感や劣化の出方から推測できることがあります。分からなければ分からないと言う会社のほうが、むしろ信頼できます。
「10年は早い」「20年してない」と感じている方へ
検索の候補に「外壁塗装10年 嘘」「20年してない」が並ぶのは、多くの人が同じ引っかかりを持っている証拠です。ここは正直に書きます。
どちらの感覚も、間違いではありません
「10年は早い」——症状が出ていないのに10年という数字だけで塗るなら、確かに早いことがあります。国の様式ですら全面補修の検討は15年です。
「20年してないけど平気」——実際にもっている家はあります。ただしもっているのは塗膜ではなく、その下の外壁材やシーリングが耐えてきた結果である場合が少なくありません。この場合、塗装だけでは戻らない段階に入っていることがあります。
長く塗っていない家で、何をどの順番で見ればいいかは30年塗っていない家のページで扱っています。そして「塗っても意味がない段階」が存在することは外壁塗装は意味ない?のページに書きました。年数が長い方ほど、こちらを先に読んでください。
よくある質問
サイディングは何年ごとですか?
窯業系サイディングの場合、外壁材そのものよりシーリング(板と板のつなぎ目)のほうが先に切れるのが普通です。国交省の様式の記入例でも、外壁の点検項目に「シーリング材の破断」が挙げられています。塗り替えの時期は、シーリングの状態に引っぱられると考えてください。詳しくはサイディングのページとシーリングのページへ。
新築から何年目に、最初の塗装をするものですか?
一律の答えはありません。ただし新築時の外壁材には工場で塗られた塗膜があり、その性能はグレードによって差があります。ハウスメーカーや工務店の定期点検が入っているなら、その記録が最良の手がかりです。点検で指摘が出ていないのに年数だけで動く必要はありません。
ハウスメーカーの点検で「そろそろですね」と言われました
点検で症状を指摘されたのか、年数を理由に言われたのかを確認してください。前者なら見てもらう価値があります。後者なら、他社にも見てもらってから決めて構いません。どこに頼むかは施主が決めることで、失礼にはあたりません(どこに頼むのページ)。ただし住宅の保証条件に「指定業者での施工」が含まれている場合があるので、そこだけは書面で確認してください。
マンションの12年周期とは違うのですか?
違います。分譲マンションの大規模修繕でよく言われる周期は、共用部の長期修繕計画にもとづく管理組合の話で、戸建ての外壁塗装とは前提が別です。戸建ての判断に、そのまま持ち込む必要はありません。
結局、点検は誰に頼めばいいですか?
点検自体は多くの塗装会社が無料で行っています。ただし「見てもらう=そこに頼む」ではありません。無料の見積もりや点検をどう扱うかは断り方のページに文例つきで書きました。断るのは日常のことなので、気に病まなくて大丈夫です。
最終確認日:2026年8月22日。制度の内容や様式は改定されることがあります。長期優良住宅の認定基準および維持保全計画については、国土交通省および所管行政庁の最新情報をご確認ください。
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参考にした情報
- 国土交通省 長期優良住宅化リフォーム推進事業「維持保全計画書 参考様式①(木造戸建の例)」(部位別の点検時期・手入れ・更新時期の記入例、臨時点検および起算点に関する注記)
- 国土交通省 長期優良住宅化リフォーム推進事業「長期優良住宅(増改築)認定基準の概要」(維持保全計画=維持保全の期間30年以上を見据えた定期的な点検・補修等の計画、対象は構造耐力上主要な部分・雨水の浸入を防止する部分・給水又は排水のための設備)
- 塗料メーカー各社の期待耐用年数の示し方については、当サイト塗料の種類のページで一次資料にもとづき整理しています