アステックペイントとは——どこの会社で、なぜ「怪しい」と検索されるのか
業者から勧められて名前を調べると、検索候補に「やばい」「怪しい」が並んでいて不安になった——という方がかなりいます。実際、この名前と一緒に検索されている言葉の上位は「評判」「欠点」、そして「どこのメーカー?」「製造元は?」「どこの国?」です。当サイトは塗装をしていないので、この会社を持ち上げも叩きもしません。やることは1つ、公式サイトに書いてある事実を確認して並べることです。結論から言うと、「怪しい」と言われる理由の大半はメーカー自身が公式に書いている、ある1行で説明がつきます。
このページの内容
- どこの会社か——公式の会社概要で確認できること
- 🔑「怪しい」の正体は、たぶんこの1行です
- 期待耐用年数の書き方が、他社とはっきり違います
- その年数は、何を測った数字なのか
- 「日本ペイントとどちらがいい?」への答え方
- 塗料の中身は、他社と同じ流れの中にあります
- 勧められたときに確認すること
- よくある質問
どこの会社か——公式の会社概要で確認できること
公式サイトの会社概要に書かれている内容です。
| 項目 | 公式サイトの記載 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社アステックペイント(英文名 ASTEC PAINTS INC.) |
| 設立 | 2000年10月 |
| 本社 | 福岡県福岡市博多区 |
| 業種 | 建築用塗料の研究開発・製造・販売(業界唯一の直販体制)/住宅塗装の営業支援ネットワーク(プロタイムズ事業)/建設業界向けの現場管理専用アプリ開発(現場ポケット事業) |
| 拠点 | 本社・福岡事業本部・商品開発本部のほか、東京/大阪/沖縄の営業所 |
| 工場 | 福岡工場(福岡県糟屋郡志免町)・関東工場(茨城県古河市) |
検索で多い「どこの国の製品ですか」「製造元はどこですか」への答えは、ここにあります。公式の会社概要には、日本国内に2つの自社工場が記載されています。会社自体も福岡に本社を置く日本の株式会社で、設立は2000年10月。塗料メーカーとしては新しい部類ですが、それは「怪しい」とは別の話です。
もうひとつ公式が掲げているのが「遮熱塗料メーカーシェアNo.1」(6年連続)で、こちらは出典が明記されています——「ペイント&コーティングジャーナル 第3555号『屋根用・遮熱塗料特集』より」。当サイトは元データを持っていないので数字の当否は判断しませんが、出典を書いてある主張は、書いていない主張より確かめようがあるとは言えます。
「怪しい」の正体は、たぶんこの1行です
上の表の業種欄をもう一度見てください。メーカー自身がこう書いています。
「建築用塗料の研究開発・製造・販売(業界唯一の直販体制)」(株式会社アステックペイント 公式サイト 会社概要)
直販体制——つまり、塗料の問屋・販売店を経由せず、メーカーが施工会社に直接売る形です。これは日本の塗料業界ではかなり珍しい売り方で、メーカー自身が「業界唯一」と書いているとおりです。
ここから何が起きるかというと:
- 街の塗料店では扱っていないことがあります従来の流通に乗っていないので、「聞いたことがない」「うちでは仕入れられない」という反応が業界内から出やすくなります。知名度の低さは、品質の話ではなく流通経路の話です。
- 「この塗料を使えるのは限られた会社」という説明が営業に使われます公式の業種欄にある「住宅塗装の営業支援ネットワーク(プロタイムズ事業)」がそれにあたります。塗料の販売と、施工会社の営業支援がセットになっている——ここが従来のメーカーと違う点です。検索候補に「認定業者」が出てくるのもこの構造からです。
- 結果として、施主から見ると情報が偏って届きますその塗料を扱う会社からは強く勧められ、扱っていない会社からは知らないと言われる。両極端な話を聞けば「怪しいのでは」と感じるのは自然なことです。
大事なのは、ここまでの話に品質の良し悪しは一切含まれていないということです。売り方が独特であることと、塗料が良いか悪いかは別の問題です。当サイトは製品を試験したわけではないので、品質の断定はしません。そのかわり、次の章から公式が公開している数字の読み方をお渡しします。
期待耐用年数の書き方が、他社とはっきり違います
当サイトでは塗料メーカーの記事を書くたびに、「耐用年数をどう示しているか」を記録してきました。並べると、会社ごとにかなり違います。
| メーカー | 耐用年数の示し方 |
|---|---|
| アステックペイント | 年数で明記(シリコン系15〜18年、無機系25〜28年など) |
| エスケー化研 | 年数で明記(外壁のプレミアムシリコンは14〜16年)。ただし屋根の製品には書いていない |
| 日本ペイント | 年数は書かず、JIS耐候形1種「相当」(社内試験)で示す(パーフェクトトップ) |
| ロックペイント | 年数は書かず、促進試験の数値で示す(キセノン2,500時間で光沢保持率80%以上) |
| 水谷ペイント | 年数は書かず、実地の暴露試験で示す(西表島) |
アステックペイントの公式製品ページには、製品ごとに期待耐用年数が年数で大きく表示されています。実例を挙げると——超低汚染リファイン1000Si-IR(外壁用シリコン)が15〜18年、超低汚染リファイン1000MF-IR が20〜24年、超低汚染リファイン1000無機-IR が25〜28年。
他社のシリコングレードが「14〜16年」と書いている(エスケー化研)のと並べると、数字が長めに出ていることは事実として指摘できます。ただし「盛っている」と当サイトが決めつけることはしません。比べるべきは数字そのものではなく、その数字が何を測ったものかだからです。次の章がその話です。
その年数は、何を測った数字なのか
ここが、このページでいちばん役に立つところだと思います。公式の製品ページには、年数の根拠がちゃんと書かれています。
「促進耐候性試験(キセノンランプ式)において約15〜18年相当の耐候性が確認されています」(超低汚染リファイン1000Si-IR 公式製品ページ)
つまりこの「15〜18年」は、15年間、実際に家に塗って観察した結果ではありません。試験機のなかで強い光を当て続けて劣化を早め、その結果を「屋外なら何年に相当するか」に換算した数字です。これは業界で広く使われている方法で、不正でも何でもありません。ただし、換算である以上、実際の家での持ちは立地・方角・下地・施工で変わります。
面白いのは、ロックペイントもまったく同じキセノンランプ式の試験を根拠にしているのに、示し方が違うことです。
- ロックペイント=「キセノンランプ法2,500時間で光沢保持率80%以上」——試験時間のまま書く。正確ですが、施主には何年もつのか分かりません。
- アステックペイント=「約15〜18年相当」——年数に換算して書く。分かりやすいですが、換算の前提は表に出ません。
どちらが誠実、という話ではありません。分かりやすさを取るか、厳密さを取るかの違いです。施主として持っておくべき視点は1つ——カタログの「◯年」は、試験からの換算値であることが多い。だから、年数の長さで製品を並べて選ぶのは、思っているほど確かな方法ではありません。年数そのものの考え方は何年ごとに塗るかのページにまとめています。
「日本ペイントとどちらがいい?」への答え方
この2社を並べる質問が、実際にいちばん多く検索されています。正直に答えると、当サイトはどちらが上とは言えません。塗り比べた実験データを持っていないからです。かわりに、比べるための土俵をお渡しします。
- 土俵1同じグレード同士で比べるシリコン系ならシリコン系、無機系なら無機系。アステックの無機系(25〜28年)と他社のシリコン系(14〜16年)を並べるのは比較になりません。グレードの考え方は塗料の種類のページへ
- 土俵2数字の根拠が書いてあるかを見る年数が書いてあるか否かではなく、その根拠(試験名・規格)が書いてあるか。両社とも根拠は公開しています
- 土俵3総額で比べる塗料代だけ比べても意味がありません。同じ工事範囲・同じ工程で総額を出してもらい、内訳を見比べてください
- 土俵外「有名メーカーだから安心」も根拠にはなりません知名度は流通と広告の結果です。逆に「聞いたことがない=怪しい」も同じで、どちらも品質の証明にはなっていません
そしてもう1つ、現実的な話を。業者が扱える塗料は限られています。直販体制のメーカーなら、その契約をしている会社しか使えません。つまり「A社はアステック、B社は日本ペイント」という提案の違いは、多くの場合その会社が何を仕入れられるかの違いでもあります。だから聞くべきは「どちらのメーカーが優れているか」ではなく、「なぜうちの家に、この塗料なのか」です。答えられる業者は、製品を理解して選んでいます。
塗料の中身は、他社と同じ流れの中にあります
公式の製品説明を読むと、技術の中身自体はいま各社が採用している潮流と同じ方向にあることが分かります。
- ラジカル制御「劣化要因『ラジカル』を抑制する顔料の採用」——酸化チタンから発生する劣化因子を抑える技術で、各社の主力が採用しているものと同じ系統です。
- 無機成分による親水性の低汚染「無機成分は親水性(水になじみやすい性質)も高いため、壁面に汚れが付着しても雨水と共に洗い流し」——ナノコンポジットWやプレミアム無機と同じ親水の流派です(水を弾く撥水の流派とは逆の考え方)。
- 遮熱と、その保持「特殊遮熱無機顔料」で近赤外線を反射。さらに「汚れが付着しにくいため、遮熱性を長く保持できます」——遮熱塗料は汚れると効果が落ちる、という論点への回答になっています(屋根の遮熱塗料のページ)。
つまり魔法の塗料でもなければ、いかがわしい塗料でもない——同じ技術の潮流の上で、無機成分の配合と低汚染性を看板にしている製品、というのが公式資料から読み取れる位置づけです。
勧められたときに確認すること
- 製品名を最後まで書いてもらう「アステックの塗料」では情報になりません。超低汚染リファイン1000Si-IRなのか、1000無機-IRなのかで、期待耐用年数も金額も大きく変わります。見積書に型番まで書かせてください。
- グレードを他社に置き換えて相見積もりを取る「シリコングレードで」と条件を揃えれば、扱うメーカーが違う会社どうしでも比較できます(見積もりの取り方)。
- 下塗りの製品名を確認するどのメーカーでも同じですが、上塗りの性能は下塗りとセットで成立します。見積書に下塗りの行と製品名があるかを見てください。
- 「この塗料しか扱えない」理由を聞く直販体制の会社と契約しているから、という答えなら筋が通っています。説明できること自体が判断材料です。
よくある質問
「やばい」と検索されているのは、悪い意味ですか?
検索する人の意図はさまざまで、当サイトには判定できません。分かるのは、この言葉と一緒に「怪しい」「評判」「欠点」「製造元」が検索されていること——つまり正体が分かりにくいことへの不安が需要の中心にある、という事実です。このページで扱った「直販体制」「自社工場の所在」「年数の根拠」は、その不安に対する材料のつもりです。
色の種類が多いと聞きましたが本当ですか?
製品ページには色数が明記されており(例:超低汚染リファイン1000Si-IRは69色)、公式サイトに人気色ランキングやカラーシミュレーション、色別の事例検索も用意されています。色名で検索されることが多いのも特徴です。ただし画面の色は実際と違います。色選びの手順は色のページに、汚れの目立ちにくさで迷っているならグレーのページへ。
アステックペイントは高いのですか?
当サイトは同社の設計価格を確認できていないので、単価は書きません。金額の妥当性は製品名ではなく、同じ条件の相見積もりで判断してください。なお、どのメーカーであれグレードを上げれば単価は上がります。無機系を勧められて高いと感じるなら、シリコン系にした場合の金額も併せて出してもらうのが早いです。
普通の塗装店では頼めませんか?
直販体制なので、同社と取引のある施工会社を通すことになります。逆に言えば、いま見積もりを取っている会社が扱っていないなら、その会社に無理に頼む必要はありません。塗料は選択肢の1つであって、目的ではありません。会社選びの基準は業者選びのページにまとめています。
最終確認日:2026年8月22日。出典:株式会社アステックペイント公式サイト「会社概要」(会社名・設立・業種・所在地・工場・遮熱塗料メーカーシェアの記載と出典表記)、同社公式製品ページ「超低汚染リファイン1000Si-IR」ほか超低汚染リファインシリーズ各製品ページ(期待耐用年数・促進耐候性試験の記載・特長・色数)。本ページは公開情報の整理であり、当サイトが製品を試験・比較した結果ではありません。記載内容は変更される場合があります。
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