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ユメロックとハイパーユメロックの違い——見積書で見た人のための整理

見積書や業者の提案に「ユメロック」と書いてあって、調べに来た方が多いはずです。作っているのはロックペイントという1952年設立の塗料メーカーで、ユメロックはその外壁用の主力ファミリー。ただし検索するとユメロック・ハイパーユメロック・1液ユメロックDX・ユメロックルーフと似た名前が並び、どれの話か分からなくなります。このページでは、同じ公式資料(設計価格表とカタログ)だけで条件を揃えて、違いと選び方を整理します。「2液なのに1液より安い」という、この塗料でいちばん誤解しやすい点から解きます。

このページの内容全13項目

ユメロックとは——まず家族構成から

ロックペイントの公式サイトで確認できる「ユメロック」ファミリーは、主に次の顔ぶれです。正式な分類名(樹脂の名前)も併記します——長いですが、あとで効いてきます。

製品名液型公式の分類ざっくり言うと
ユメロック2液弱溶剤2液型NADシリコンウレタン樹脂塗料ファミリーの基本形。シリコンとウレタンのあいのこ樹脂
ハイパーユメロック2液弱溶剤2液型低汚染リアルハイブリッドシリコン樹脂塗料上位版。ラジカル制御と低汚染が入る
1液ユメロックDX1液弱溶剤1液架橋型低汚染リアルハイブリッドシリコン樹脂塗料ハイパーと同じ世代の樹脂を、硬化剤なしの1液にしたもの
ユメロックルーフ/ハイパーユメロックルーフ1液/2液屋根用スレートなど屋根専用の別ライン。外壁用と混ぜて比較しない

共通するのは「弱溶剤」であること。水で薄める水性ではなく、塗料用シンナーで薄めるタイプです(強い溶剤よりにおいが穏やかな中間の系統。詳しくは水性と油性の違いのページへ)。弱溶剤は鉄部や旧塗膜への密着に強みがあるとされる系統で、外壁と付帯部をまとめて塗る現場で好まれてきた型です。

公式の設計価格で並べる——条件を揃えた比較

ロックペイントは、建築用塗料の設計価格表を1本のPDFで公開しています。同じ資料の同じ条件で並んでいる数字なので、製品どうしの比較としてはこれがいちばん公平です。上塗り塗料シリーズ(外壁・弱溶剤系)から抜くと:

製品設計価格(㎡当り・税抜)位置づけ
ダイナロックⅢ(ウレタン)2,000円ひとつ下のウレタン級
ユメロック2,350円2液・シリコンウレタン
1液ユメロックDX2,450円1液・新世代樹脂
ハイパーユメロック2,750円2液・新世代樹脂+ラジカル制御
サンフロンUV(フッ素)3,600円ひとつ上のフッ素級

この数字を見積書と比べないでください。公式の注記にあるとおり、この設計価格は「同一淡彩色300㎡以上を基準とする材工共の価格」で、「足場代、下地調整代、養生代、諸経費(現場管理費、法定福利費)などは含まれておりません」(税抜)。戸建て1棟は300㎡よりはるかに小さく、含まれていない費用が実際の見積もりには全部乗ります。実際の見積もりは、この単価よりかなり高くなると考えてください。この表の使いみちは金額の答え合わせではなく、製品どうしの序列と価格差を見ることです。

他社が同じ条件(材工共・300㎡以上基準)で公表している価格と並べた一覧は塗料の平米単価のページにあります。ハイパーユメロックの2,750円/㎡が、他社のどのあたりに位置するかが見えます。

もうひとつ、注記には「設計価格は、白及び淡彩色または常備色で算出しており、濃彩色や特殊色では割高となる場合があります」ともあります。色で塗料の値段が変わる——外壁の色選びのページで書いてきたことが、ここでもメーカーの原文で確認できます(色のページ)。

「2液なのに1液より安い」の種明かし

表をよく見ると、変なことが起きています。2液のユメロック(2,350円)より、1液のユメロックDX(2,450円)のほうが高いのです。「2液のほうが本格的で高級」というイメージで見ると逆に見えます。

種明かしは、正式な分類名にあります。ユメロックは「NADシリコンウレタン樹脂」、1液ユメロックDXは「低汚染リアルハイブリッドシリコン樹脂」——樹脂の世代が違うのです。DXはハイパーユメロックと同じ新しい世代の樹脂を1液にした製品で、カタログにはラジカル制御技術と低汚染技術(親水性の塗膜で汚れを雨に流す)が明記されています。つまりこの3つの関係は、

  • 液型(1液か2液か)は、施工の方式の違い現場で硬化剤を混ぜるかどうか。グレードの上下ではありません。
  • 価格と性能を分けているのは樹脂の世代シリコンウレタン(ユメロック)か、低汚染リアルハイブリッドシリコン(DX・ハイパー)か。
  • だから並びは ユメロック → DX → ハイパー になるハイパーは新世代樹脂+2液で最上位、という整理です。

「シリコンなのかウレタンなのか」と混乱していた方へ——ユメロックの樹脂は公式名のとおりシリコンとウレタンのハイブリッドで、業界の慣習ではシリコングレード帯として扱われることが多い製品です。グレードという物差しそのものの話は塗料の種類のページにまとめています。

ハイパーユメロックの正体——HALSによるラジカル制御

設計価格表の備考欄に、ハイパーユメロックだけ短い注記が付いています——「HALSによるラジカル制御」。これが㎡400円差(2,350円→2,750円)の中身です。

ラジカルとは、塗膜の中の酸化チタン(白い顔料)に紫外線が当たって発生する劣化因子のこと。カタログの説明では、特殊コーティングした酸化チタン顔料とラジカル吸着安定剤(HALS)の組み合わせでこれを無効化し、耐候性を高めています。……この説明、聞き覚えがないでしょうか。日本ペイントのパーフェクトシリーズ、エスケー化研のプレミアムシリコンと、いま各社の主力が採用しているのと同じ潮流の技術です(パーフェクトトップのページ/プレミアムシリコンのページ)。

つまりハイパーユメロックは「ロックペイント版のラジカル制御シリコン」と位置づけると、他社製品と比べやすくなります。加えて低汚染(親水性で雨が汚れを流す)と耐酸性雨が公式の特長です。

「リアルハイブリッド」って何?
分類名にある「リアルハイブリッドシリコン樹脂」は、ロックペイントが自社の樹脂に付けている名前です。カタログの説明では「独自のリアルハイブリッド樹脂の特性を活かして、三次元に架橋した網目状構造のアクリルシリコン樹脂塗膜を形成します」——つまり実体はアクリルシリコン系の樹脂で、「リアルハイブリッド」はそのブランド名と理解すれば足ります。ラジカル制御(HALS)はこの樹脂の上に乗っている技術なので、「リアルなの?ラジカルなの?」と迷う必要はありません——樹脂がリアルハイブリッド(アクリルシリコン系)、劣化対策がラジカル制御、という二段構えです。

硬化剤という工程——2液を選ぶなら知っておくこと

2液型とは、主剤と硬化剤を現場で計って混ぜ、化学反応で固める塗料です。ユメロックの公式仕様書には配合比まで書いてあります——重量で主剤9:硬化剤1。混ぜたぶんは使い切りで、時間が経つと固まって使えなくなります。

ここで、1液ユメロックDXのカタログにある一文を紹介します。

「硬化剤を配合せず、作業ミスと廃棄のムダを無くします」(1液ユメロックDX カタログ)

メーカー自身が、2液の弱点をはっきり書いています。硬化剤の計量・混合は、品質が職人の手元に懸かる工程だということです。実際、塗装の実務者が施工不良の典型として挙げる失敗に「硬化剤の入れ忘れ・比率ミス」があります。混ぜ忘れた塗料は、塗った直後は見分けがつかず、いつまでも固まらない・すぐ剥がれるという形で後から現れます。

誤解しないでください——これは「2液はやめておけ」という話ではありません。2液は反応硬化ならではの塗膜性能が魅力で、だからハイパーユメロックは2液です。言いたいのは、2液を選ぶことはきちんと計って混ぜる管理ごと選ぶことだ、という一点です。工程写真を残してもらう約束(工程のページで書いた手)は、こういうところで効きます。

ここまでは製品の話です。ただし2液を現場でどう扱うかは、会社によって差が出ます——上に書いた計量と可使時間は、外からは見えない工程だからです。何社かに「硬化剤の計量はどうしていますか」と同じ質問をすると、慣れているかどうかが返答で分かります。

ハイパーユメロックの製品要綱——缶の数まで検算できます

製品説明書には「製品要綱」という表があります。職人向けの数字ですが、施主が見積書を確かめるのに使える行がいくつかあります。ハイパーユメロック(2025年6月版)から抜きます。

項目ハイパーユメロック
標準塗装回数2回
標準塗付量0.11〜0.13 kg/㎡・回
標準塗布面積115〜135㎡(15kgセット・1回あたり)
容量主剤13.5kg+硬化剤1.5kg=15kgセット(小口は主剤3.6kg+硬化剤0.4kg)
配合比主剤:硬化剤=9:1(木部弾性用硬化剤は7.5:1)
希釈塗料用シンナー ハケ・ローラー5〜15%/エアレス10〜20%(重量)
可使時間(5℃)18時間 (23℃)7時間 (30℃)4時間
塗り重ね可能時間(5℃)4時間以上7日以内 (23℃)2時間以上7日以内 (30℃)1.5時間以上3日以内
光沢つや有り〜つや消し
期待耐用年数12〜15年

ここから缶の数が出せます。外壁の塗る面積が120㎡だとすると、2回塗りで塗装面積は240㎡ぶん。標準塗布面積が15kgセットあたり115〜135㎡なので、240 ÷ 115〜135 = おおよそ2セット。塗付量から計算しても、120㎡×2回×0.12kg=28.8kgで、やはり15kgセットが2つです。

見積書の材料欄に「ハイパーユメロック ○セット」と書いてある会社なら、この計算で桁が合うか見られます。合わないときに大事なのは、責めることではなく理由を聞くことです。付帯部にも同じ塗料を使う、ロスを見ている、面積の取り方が違う——理由があれば納得できます。(見積書のチェック項目)

塗れる日と、塗れない日が決まっています

製品説明書には、施工できる条件も書かれています。

  • 塗装中および塗装後24時間は5℃以下にならない場所で使用してください
  • 湿度が85%以上の場合は塗装を避けてください
  • 降雨、降雪、強風などの場合、または天候不良が予測されるときは外部の塗装を避けてください
  • 絶えず結露が発生するような場所、用途での使用は避けてください

冬の朝晩や梅雨どきに工期が延びるのは、業者の都合ではなくメーカーの条件です。「今日は塗れません」と言う会社のほうが、この表を読んでいます。

つや消しにしたい方へ——1回目はつや有りです

ハイパーユメロックの光沢は「つや有り〜つや消し」で、7分つや・5分つや・3分つやといった調整品があります。ここに、知らないと不安になる注記があります。

つや調整品(7分つや〜つや消し)で仕上げる場合、1回目の上塗りはつや有りを塗装してください。

つや消しで頼んだのに、上塗り1回目がつやつやしている——これは間違いではなく、メーカーの指定どおりです。足場の上から見て驚いたときは、この一行を思い出してください。あわせて「つや消しの場合、色彩によっては底つやが残ることがあります」とも書かれています。完全な無光沢にはならないことがある、ということです。

もうひとつ、塗れない素材も名指しされています。アクリル板と軟質塩ビには塗装できません。ポリカーボネートの波板やビニール製の部材が付いている場合は、そこだけ別の扱いになります。

なお特長のひとつに「防藻・防カビ剤の配合により、カビや藻類の発生を抑え」とあります。北面や日陰の緑の汚れが気になっている家では、この行は聞く価値があります。ただし「抑える」であって「生えない」ではありません。

「ユメロックシーラー」を調べて来た方へ——下塗りは別の製品です

ユメロックで調べていると「ユメロックシーラー」という名前が出てきます。名前が似ているので同じシリーズの一部だと思われがちですが、ライン(品番の系統)が違います。

項目ユメロック(上塗り)ユメロックシーラー(下塗り)
ライン114ライン033ライン
公式の分類弱溶剤二液型NADシリコンウレタン樹脂塗料弱溶剤二液型変性エポキシシーラー(JASS 18 M-201 適合品)
主剤:硬化剤9:15:1
標準塗装回数2回1回
希釈塗料用シンナー 5〜15%(ハケ・ローラー)0(通常不要)
材工価格(公式)2,350円/㎡(2026年2月現在)950円/㎡(2025年4月現在)

硬化剤の配合比が違います。上塗りは9:1、シーラーは5:1。同じ現場で2種類の比率を扱うということです。どちらも「専用硬化剤を使用してください」と公式が明記しています。

そして材工価格が両方とも公開されています。いずれも「当該製品のみ・300㎡以上」という条件付きの数字ですが、下塗り950円+上塗り2,350円=3,300円/㎡という足し算ができます。これは材料と手間の目安であって、見積書の㎡単価とイコールではありません(足場・洗浄・下地補修・付帯部は別です)。それでも㎡単価が妥当かを考えるときの土台にはなります。

使える下地と、避けるべき下地が明記されています

公式の製品説明書には、被塗物素材としてコンクリート、モルタル、フレキシブルボード、窯業系サイディングボード、けい酸カルシウム板、住宅用化粧スレート(各種新屋根材)が挙げられ、「新設、塗替えともに使用できます」とされています。屋根専用ではなく、壁にも屋根にも使う位置づけです。

そのうえで、避けるべき下地が名指しされています。

アスファルトシングル材、乾式コンクリート瓦(モニエル瓦、スカンジア瓦など)、粘土瓦(いぶし瓦、釉薬瓦)への塗装は避けてください。

もうひとつ、「旧塗膜の種類によってはリフティングをおこすことがあります。塗装前に試し塗りを行ってください」という注記もあります。リフティングは下の古い塗膜が縮んでシワになる現象です。塗り替えで既存の塗膜が何か分からないときは、試し塗りをしたか聞く価値があります。

塗り重ねられる時間には上限があります。公式の塗り重ね可能時間は(23℃)4時間以上7日以内。下限だけでなく「7日以内」という上限が書かれているのが特徴です。下塗りをしたまま何日も空けると、上塗りの密着に影響する設計になっています。下塗りの考え方そのものは、こちらで整理しています。

耐用年数——メーカーの公表値は12〜15年です

いちばん検索されている質問です。ロックペイントは年数を公表しています。ハイパーユメロックの期待耐用年数は12〜15年。同じ数字が3か所に出てきます——製品説明書(2025年6月版)の製品要綱、カタログの特長欄、公式サイトの商品検索の一覧です。

特殊三元ハイブリッド形アクリルシリコン樹脂と特殊コーティングチタン顔料及びラジカル吸着安定剤(HALS)の効果により、すぐれた耐候性・耐久性を発揮します。(期待耐用年数 12 〜 15 年)
ハイパーユメロック カタログ

ただし年数が書いてある製品と、書いていない製品があります。ロックペイントの商品検索には「期待耐用年数」という欄があり、ユメロックと1液ユメロックDXは「-」(記載なし)です。

製品期待耐用年数(公式)材工価格(公式)
ダイナロックⅢ(ウレタン)記載なし2,000円/㎡
ユメロック記載なし2,350円/㎡(2026年2月現在)
1液ユメロックDX記載なし2,450円/㎡(2025年6月現在)
ハイパーユメロック12年〜15年2,750円/㎡(2025年6月現在)
ハイパーユメロックルーフ(屋根用)8年〜10年3,050円/㎡(2025年4月現在)
サンフロンUV(フッ素)15年〜20年3,600円/㎡
サンフロンルーフ(屋根用フッ素)10年〜15年—

2026年9月9日に、ロックペイント公式サイトの商品検索と各製品の製品説明書で確認。材工価格は「当該製品のみ・300㎡以上」を基準とした数字で、足場代・下地調整代・養生代・諸経費は含まれていません。

屋根用のほうが、年数は短く設定されています

この表でいちばん見落とされているのがここです。同じ名前でも、屋根用は外壁用より短い。

  • ハイパーユメロック 12〜15年 → ハイパーユメロックルーフ 8〜10年
  • サンフロンUV 15〜20年 → サンフロンルーフ 10〜15年

2つのラインで同じ向きです。しかもルーフのほうが㎡単価は高い(3,050円 > 2,750円)。高い塗料を使っても、屋根は外壁より早く次が来るという設定になっています。屋根は一日中まっすぐ日と雨を受けるので、条件が違うということです。

ここは見積もりの読み方に直結します。外壁と屋根を同時に塗ると、次の塗り替え時期はそろいません。屋根のほうが先に来ます。「次はいつごろですか」と聞くときは、外壁と屋根を分けて聞いてください。

ネット上の「8年〜12年」を見た方へ

ハイパーユメロックの耐用年数を検索すると、8年〜12年と書いたページが並びます。ただし当サイトが確認したメーカー資料3点(製品説明書2025年6月版・カタログ・公式サイトの商品検索)では、いずれも12〜15年でした。8年〜10年は、屋根用のハイパーユメロックルーフの数字です。

どちらが正しいかを言い合っても仕方がないので、確かめ方だけ書きます。製品説明書(メーカーのサイトで誰でもダウンロードできます)の「製品要綱」の表に、期待耐用年数の行があります。そこを見るのがいちばん早いです。業者の提案に年数が書いてあるときも、同じ表と突き合わせれば、外壁用と屋根用のどちらの数字かが分かります。

そしてメーカー自身が、この年数に条件を付けています。

※期待耐用年数は、次回塗り替え時期の目安としてであり、塗装する地域、立地条件、塗装面の方角によって異なります。

年数の裏にある試験——キセノンランプで5,000時間

年数の根拠として、カタログにはキセノンランプ促進耐候性試験のグラフが載っています。横軸が照射時間(0〜5,000時間)、縦軸が光沢保持率です。5,000時間まで照射して、ハイパーユメロックは光沢保持率が90%前後。比較対象の市販アクリルシリコン樹脂塗料2品は、それぞれ85%前後と70%前後まで落ちています(グラフからの読み取りです)。

もうひとつ、耐雨すじ汚染性の比較試験の写真もあります。3枚の試験板を並べたもので、市販品2枚には縦の雨すじが出て、ハイパーユメロックは目立ちません。低汚染をうたう塗料が、実際に何と比べているかが分かる資料です。

メーカーによって、年数の出し方は違います。

  • エスケー化研=期待耐用年数を年数で明記する(プレミアムシリコン14〜16年など。プレミアムシリコンの耐用年数)
  • ロックペイント=上位グレードには年数を書き、下のグレードには書かない(ハイパー12〜15年/ユメロックとDXは記載なし)
  • 日本ペイント=パーフェクトトップSiの製品ページには年数を書かず、JIS耐候形1種「相当」(社内試験)で示す。ただしグランセラシリーズの特設ページでは、図で「外壁期待耐用年数 20年」と示している(2026年9月11日確認)
  • 水谷ペイント=年数を書かず、実地の暴露試験(西表島)で示す(ナノコンポジットW)

年数を書けば「もたなかった」と言われるリスクを負い、書かなければ比較されにくい。ロックペイントが上位グレードにだけ年数を出しているのは、その折り合いのつけ方だと読めます。いずれにせよ実際の持ちは、立地(日当たり・雨がかり)と下地・施工で大きく変わります。年数は約束ではなく、塗り替え計画を立てるための目盛りです。

評判を調べるときの注意

「ハイパーユメロック 評判」で検索したくなる気持ちは分かります。ただ、出てくるページの大半はこの塗料を扱う塗装会社のブログです。扱っている塗料を悪く書く理由はないので、評判記事は基本的に好意的に寄ります。悪評が見つからないことは、品質の証明にはなりません。

実例をひとつ。この塗料の耐用年数として「8年〜12年」と書いたページが並びますが、メーカーの製品説明書とカタログと商品検索は、そろって12〜15年です(耐用年数の章)。評判記事の数字は、たいてい出典が書かれていません。出典が書いてあるかどうかが、いちばん手軽な見分け方です。

それでも材料としての素性は、ここまで見てきたとおり公式資料でかなり確かめられます——樹脂の世代、ラジカル制御、試験数値、価格の序列。塗料の評判より結果を左右するのは、下塗りの選定と施工の質です。カタログの適応下塗り表は素材別(窯業系サイディング・鉄部・ガルバリウム鋼板・木部)に下塗りを指定しており、ここを外すと上塗りが何であれ剥がれます。「うちの外壁だと下塗りは何を使いますか」——評判を検索するより、この質問のほうが業者の力量を見分けられます。

ひとつだけ、現場側でよく聞かれる評判——「色が出る」

塗料を扱う実務者の間で、ロックペイントについて昔からよく言われる評判があります。発色がいい、他社で出しにくい色も出せることが多い——同じ評判は関西ペイントにも付いていて、この2社に共通するのは自動車用塗料を長く手がけていることです(ロックペイントの事業内容は会社概要で確認できます)。車の塗色は建物よりはるかに鮮やかで種類が多く、その調色の土台が建築用にも効いている、というのが現場側の見立てです。

これはメーカーが公表している性能値ではないので、参考程度に受け取ってください。ただ、濃い色や鮮やかな色の外壁を考えている方には、業者に「この色、きれいに出ますか」と聞く入り口になります。前述のとおり濃彩色・特殊色は割高になる場合があるという注記ともセットで(色のページ)。

色見本を探している方へ——「※印は割高」と書いてあります

ユメロックの色を調べている方へ。ロックペイントは色見本の資料を公開していて、そこに施主に関係のある注意書きが並んでいます。

公式の記載読み取れること
「常備色と提案色は日本の建物外壁によく使われている実用性の高い人気色です。」色見本は「常備色」と「外装仕上用提案色」に分かれています。まずここから選ぶのが標準的です
△「※印の色の価格は割高となります。」色によって塗料の値段が変わります。見本帳の※印は、そのまま見積金額に効いてきます
「ユメロック常備色の色番号は、下四桁の品番と同じです。ご注文の際は頭にライン番号を付けてご注文ください。」(例:C056 → 114-C056)色番号がそのまま品番になります。見積書に「114-C056」のような番号があれば、それが色の指定です
「色彩については塗り板等で確認してからご注文ください。」メーカー自身が「小さな色見本だけで決めるな」と書いています
「色見本は保管条件、保管期間により、少しずつ変化していくおそれがあります」業者が持ってきた色見本帳が古いと、色がずれていることがあります

「※印は割高」は、覚えておく価値があります。「この色にしたら見積もりが上がった」というのは、値上げではなく色そのものの価格差のことがあります。気に入った色が※印なら、近い色で※印のないものがないかを聞いてみてください。

そして鮮やかな色を選ぶときの注意も、同じ資料に書かれています。

「上塗りに鮮やかなエロー系、レッド系、ブルー系、グリーン系の塗色で仕上げる場合、塗膜の隠蔽性が弱い傾向にあるため、先に隠蔽性のよい共色(近似色)で下塗り塗装した後、上塗り塗装してください。」

鮮やかな色は、下の色を隠す力が弱い。だから工程が1つ増えることがあります。これは手間の話なので、見積もりにも関係します。この話は中塗りと上塗りの色替えで詳しく書きました。

※ロックペイントは公式のカラーシミュレーションも公開しています(テーマから選ぶ/好きな色から選ぶ)。画面の色と実物は違いますが、組み合わせを試すには使えます。無料で使える公式ツールの一覧はカラーシミュレーションのページにまとめました。色選びの考え方そのものは外壁塗装の色にあります。

見積書での確認ポイント

  • どのユメロックかを製品名で確かめる「ユメロック」とだけ書かれていたら、無印か、ハイパーか、1液DXかを聞いてください。ここまで見たとおり樹脂の世代が違う別製品で、価格差の説明もそこに紐づくはずです。屋根の行に書いてあるなら「ルーフ」の側です。
  • 塗回数と下塗りの行を見る公式の標準仕様はどの素材でも下塗り1回+上塗り2回の3工程です。下塗りの製品名(シーラー・フィラー・サビ止め)が素材に合わせて書かれているかを確認してください。
  • 色の希望は見積もり前に伝える濃彩色・特殊色は割高になる場合があるとメーカーが明記しています。濃い色にしたいなら、金額が出る前に伝えるのが筋のいい順番です。
  • 金額はこのページの設計価格と比べない見積書の妥当性は単価の照合ではなく、内訳の読み方と相見積もりで確かめてください。

見積書でこの名前を見つけた方へ。他社が何を出してくるかを見ると、この提案の位置づけが分かります。同じ家で何社かに見積もりを取ってみてください。近いグレードの製品が並ぶなら、その会社の判断は標準的です。逆に大きく違う製品ばかり出てくるなら、なぜユメロックなのかを聞く価値があります。塗料の良し悪しより、選んだ理由を説明できるかどうかのほうが、会社を見る材料になります。

よくある質問

ユメロックはシリコン塗料ですか?

公式の分類は「NADシリコンウレタン樹脂塗料」——シリコンとウレタンのハイブリッドです。業界ではシリコン系のグレード帯として扱われることが多いものの、純粋な「シリコン樹脂塗料」と呼ぶより、公式名のまま理解しておくほうが正確です。ハイパーユメロックと1液DXは「リアルハイブリッドシリコン樹脂」で、こちらは新世代のシリコン系です。

ユメロックルーフとは何ですか?

屋根専用の別ラインです(1液ユメロックルーフ/2液のハイパーユメロックルーフ)。適用素材は住宅用化粧スレートやセメント瓦などの屋根材で、外壁用とは製品も価格も別。見積書では外壁の行と屋根の行で製品名が分かれているはずです。屋根塗装そのものの判断は屋根塗装のページへ。

つや消しにできますか?

できます。設計価格表の光沢欄は「つや有り〜つや消し」まで並んでいます。ただしメーカー注記に、つや調整品で仕上げる場合は1回目の上塗りをつや有りで塗る指定や、つや消しでは色によって底つやが残る場合があるとの記載があります。つや選びの考え方は艶のページにまとめました。

ハイパーユメロックの耐用年数は何年ですか?

メーカーの公表値は12〜15年です。製品説明書(2025年6月版)の製品要綱、カタログの特長欄、公式サイトの商品検索の3か所に同じ数字が出ています。ただし屋根用のハイパーユメロックルーフは8〜10年と別の数字なので、見ている資料がどちらの製品のものか確かめてください。メーカーは「次回塗り替え時期の目安であり、塗装する地域、立地条件、塗装面の方角によって異なります」と注記しています。なおユメロックと1液ユメロックDXには、期待耐用年数の記載がありません。

15kgセットで何㎡塗れますか?

標準塗布面積は15kgセット・1回あたり115〜135㎡です。標準塗装回数は2回なので、外壁の塗る面積が120㎡なら塗装面積は240㎡ぶんとなり、15kgセットがおよそ2つという計算になります。見積書に材料のセット数が書いてあれば、桁が合うかを見られます。

ホームセンターやネットで買ってDIYできますか?

通販で流通はしていますが、おすすめしません。弱溶剤型はシンナー希釈・換気・火気の管理が必要で、2液型はさらに硬化剤の計量が加わります。何より外壁の高所作業自体がDIYで守るべき線を超えます。

ロックペイントってどんな会社ですか?聞いたことがないのですが

1952年(昭和27年)設立の塗料メーカーで、事業内容は塗料および接着剤の製造販売。建築用のほか車両用・工業用も手がけています。テレビCMを打つタイプの会社ではないので施主の知名度は高くありませんが、業界向けには設計価格表・カタログ・SDS(安全データシート)を公開している、資料の揃ったメーカーです。「聞いたことがない=怪しい」ではなく、このページで見たように公式資料で素性を確かめられるかで判断してください。

参考にした情報

  • ロックペイント「建築用塗料 設計価格表」(2026年4月現在・税抜・同一淡彩色300㎡以上基準の材工共価格・足場代等含まず)
  • ロックペイント 公式サイト 建築用塗料の商品検索(各製品の適用素材・特長・光沢・期待耐用年数の一覧。ハイパーユメロック12年〜15年/ハイパーユメロックルーフ8年〜10年/サンフロンUV15年〜20年/サンフロンルーフ10年〜15年/ユメロック・1液ユメロックDX・ダイナロックⅢは「-」)
  • ロックペイント「ハイパーユメロック」製品説明書 114ライン(2025年6月版。製品要綱=配合比9:1、標準塗付量0.11〜0.13kg/㎡・回、標準塗布面積115〜135㎡/15kgセット・回、標準塗装回数2回、可使時間、塗り重ね可能時間、期待耐用年数12〜15年、材工価格2,750円/㎡。使用上の注意事項=5℃・湿度85%の条件、つや調整品の1回目はつや有り、アクリル板・軟質塩ビ不可、専用硬化剤の指定)
  • ロックペイント「ハイパーユメロック」カタログ 114ライン5000番級(期待耐用年数12〜15年、キセノンランプ促進耐候性試験のグラフ、耐雨すじ汚染性比較試験、低汚染メカニズム、ラジカルコントロールメカニズム)
  • ロックペイント「ハイパーユメロックルーフ」製品説明書 114ライン(期待耐用年数8〜10年、材工価格3,050円/㎡・2025年4月現在)
  • ロックペイント「ユメロック」製品説明書 114ライン(材工価格2,350円/㎡・2026年2月現在)、「1液ユメロックDX」製品説明書・カタログ(材工価格2,450円/㎡・2025年6月現在)、ユメロックシーラー 製品説明書、ユメロック塗装仕様書、色見本資料、会社概要ページ

最終確認日:2026年9月9日(期待耐用年数・製品要綱・材工価格)/2026年8月22日(初回調査)。設計価格・材工価格は改定される場合があります。実際の見積もりは規模・下地・色により、掲載の価格より高くなると考えてください。キセノンランプ促進耐候性試験の数値は、カタログのグラフから当サイトが読み取ったものです。

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年数と価格を明記する、開示姿勢が対照的な塗料

外壁塗装の色

色で塗料の値段が変わる話は、ここでも公式に確認できた

見積書の内訳の読み方

単価の照合より先にやる、妥当性の確かめ方