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外壁塗装の工程と工期——工期が延びる理由と、住みながらの2週間
工程の解説記事はたくさんありますが、そのほとんどは業者側から見た作業の列挙です。住んでいる側が本当に知りたいのは、洗濯物はいつから干せないのか、窓はいつ開けられないのか、臭いは何日続くのか——つまり「いつ、何ができなくなるか」のはず。このページはそちらから書きます。
このページの内容全25項目
- 契約前は「日数と順番」を聞く——工程表は着工前にもらう
- 全体の流れ——10日〜2週間の中身
- 国の仕様書には「塗ってはいけない日」が書かれています
- 3回塗りが本当に行われたか、確かめる方法があります
- メーカーの施工仕様表には、回数と時間が数字で書いてあります
- 「乾かす時間」は、待ち時間ではありません
- 下地処理も、正式な「工程」です
- 外壁の「下地調整」には、3つの種別があります
- 国の仕様書には、「3回塗り」が2回になる種別もあります
- 塗る量も決まっています——桁の確認に使えます
- 暮らしはどうなる——「できないこと」の一覧
- 臭いが心配なら、契約前に言っていい
- 近隣への挨拶は誰がやる?
- 工期が延びるのは、悪いことではない
- 工事を足すと、何日増えるのか
- 遅れを小さくするために、施主側でできること
- 安心な延長と、心配な遅れの見分け方
- 延びても、追加費用は出ません
- 色決めと材料の手配でも、日程は動きます
- 職人の配置——他の現場との掛け持ち
- どこまで待つべきか——連絡が途絶えたとき
- 工事が止まる日、どう連絡が来るか
- 最終日に何が起きるか
- よくある質問
- 参考にした情報
契約前は「日数と順番」を聞く——工程表は着工前にもらう
先に正直な前提をひとつ。契約前の段階で、日付の入った工程表を持っている業者はまずいません。工程表が組まれるのは契約のあと、職人と足場の手配が決まってからです。だから契約前に「工程表をください」と言っても意味がなく、聞くべきはこうです——「うちの場合、何日くらいで、どんな順番になりますか」。この質問にすらすら答えられるかどうかは、そのまま業者の経験値のチェックになります。
工程表をもらったら、車を動かす日も分かります。——足場を組む日、高圧洗浄の日、足場をばらす日。この3日が中心です(工事中の車はどうする)。
そして契約したら、着工前に「工程表をください」。どの日に何の作業をするかの予定表があると、洗濯物や外出の予定が立てられるだけでなく、「下塗りは何日にやったか」が記録として残るので、塗り回数を省く手抜きがやりにくくなります。検索窓に「外壁塗装 工程表 ない」と打ち込む人が実際にいる——着工しても出てこなければ、催促していいものです。あわせて工程ごとの写真を撮って渡してもらう約束までしておけば、施主側の備えはほぼ完成です。
全体の流れ——10日〜2週間の中身
外壁のみの標準的な工事で、目安は10日〜2週間ほど。中身はおおむねこの順番で進みます。
- 近隣挨拶・足場の設置足場は1日で組み上がります。この日から家は足場とメッシュシートに覆われ、部屋は少し暗くなります。音がいちばん大きいのは実はこの日と最終日です。
- 高圧洗浄壁の汚れ・コケ・古い塗膜の粉を洗い落とします。(この日の実務——水道代・雨の日・洗浄後の見え方——は高圧洗浄のページへ)窓を全部閉める日で、洗濯物は当然干せません。ここで落とした汚れの上に塗らないことが密着の前提になります。
- 下地補修・シーリングひび割れの補修や、目地のシーリングの打ち替えなど。家の状態によって日数が変わる部分で、見積もりと違う追加箇所が出たら写真で確認させてもらいましょう。
- 養生窓・給湯器・車・植木など、塗らない場所をビニールで覆います。ここから塗装が終わるまでが「窓を開けられない期間」です。
- 下塗り→中塗り→上塗り3回に分けて塗り重ねます。それぞれの間に、塗料のカタログで決められた乾燥時間を置きます。乾燥の速さは気温で変わるため、真夏は1日に2工程進む日もあれば、雨上がりや冬は1工程も進まない日もあります。守るべきは「1日1工程」のようなペースではなく、乾燥時間のほうです。
- 点検・手直し・足場解体塗り残しやムラの確認、養生の撤去、掃除をして足場を外します。解体前に施主も一緒に見せてもらうと、足場があるうちに手直しできます。
国の仕様書には「塗ってはいけない日」が書かれています
工期の話をする前に、これを知っておくと全部つながります。塗装には、やってはいけない日があります。職人の気分の問題ではなく、国が定めた仕様書に条件が書かれています。
国土交通省の「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」——公共工事の品質を確保するための基準で、民間の住宅工事にそのまま適用されるものではありませんが、塗装という作業に何が必要かを国が整理した文書です。その第18章(塗装工事)にこうあります。
(1) 気温が5℃以下、湿度が85%以上、結露等で塗料の乾燥に不適当な場合は、塗装を行わない。ただし、採暖、換気等を適切に行う場合は、この限りでない。
(2) 外部の塗装は、降雨のおそれのある場合又は強風時は、原則として、行わない。
ここから、工期について3つのことが分かります。
ひとつめ。「雨が降りそうだから今日はやめます」は、正しい判断です。降ってから中止するのではなく、降るおそれがある時点で行わないと書かれています。朝は晴れていても午後から崩れる予報なら、塗らないほうが仕様書に沿っています。
ふたつめ。冬と梅雨は、条件に引っかかる日が増えます。気温5℃以下は真冬の朝に普通に起こりますし、湿度85%以上は梅雨時なら珍しくありません。季節によって工期が延びやすいのは、職人の都合ではなく塗料の都合です。
みっつめ。強風の日も止まります。塗料が飛散して近隣に迷惑をかけるだけでなく、塗膜そのものが荒れます。
つまり「予定より延びました」という連絡は、多くの場合は正しく仕事をしている証拠です。逆に、雨の日も強風の日も予定どおり進む現場のほうが、確かめる価値があります。
3回塗りが本当に行われたか、確かめる方法があります
「中塗りと上塗りで色を変えてもらえば確かめられる」と言われることがありますが、戸建てでは同じ塗料を2回が基本です。理由と、代わりに使える確かめ方は中塗りと上塗りで色を変えるに。
外壁塗装は下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが基本です。ところが施主にとって、これほど確かめにくいものはありません。塗り終わってしまえば、2回でも3回でも見た目は同じだからです。
ここでも、国の仕様書が答えを出しています。
中塗り及び上塗りの各層の色を変えること等により、中塗り及び上塗りが全面に均一に塗られていることを確認する。
色を変える。これだけです。中塗りをわずかに違う色にしておけば、上塗りが塗られていない場所は色が違って見えます。公共工事では、これで確認しています。
ただし、戸建てでそのまま頼めるとは限りません
ここで正直に書いておきます。これは公共工事の基準であって、戸建ての塗り替えでは当たり前ではありません。
理由は手間とお金です。色を変えるということは、同じ製品を2色ぶん用意するということ。缶の数が増え、残った塗料は使い道がなく、現場での管理も増えます。公共工事はその手間が積算に乗っていますが、戸建ての一般的な単価には乗っていません。
だから「国の仕様書に書いてあるので、そうしてください」と迫るのは筋が良くありません。頼むこと自体は自由ですが、断られたからといって手抜きの会社だということにはならない——ここは押さえておいてください。「単価が合えばできる」種類の話です。
実際、製品によっては中塗りの色が仕様で決められているものもあります。高耐候をうたうグレードの塗料には、メーカーが認定した施工店でなければ扱えない製品があり、そうした製品では塗り重ねの管理まで仕様に含まれていることがあります。ただしこの手の製品は材料そのものが高いので、「色を変えたいから」という理由だけで選ぶものではありません。
現実的な落としどころはこうです。見積もりの段階で「中塗りと上塗りは同じ色ですか、変えられますか」と聞いてみる。できると言われたら費用が変わるかを確認し、できないと言われたら理由を聞く。その答え方で十分に会社は見えます。やる・やらないより、質問にきちんと答えるかどうかのほうが判断材料になります。
色を変える方法が使えない場合でも、確認の手立てはあります。各工程の写真をもらってください。下塗りが終わった状態、中塗りが終わった状態、上塗り後。足場が外れると二度と見えない場所ほど、写真の価値が上がります。写真なら追加の材料費はかからないので、戸建てでも頼みやすい方法です。まともな会社なら、頼まなくても撮っています。完成後の確認については完了検査のページにまとめました。
もうひとつ、同じ節にはシーリングについての規定もあります。
シーリング面に塗装仕上げを行う場合は、シーリング材が硬化した後に行うものとし、塗重ねの適合性を確認し、必要な措置を講ずる。
「硬化した後」と書かれています。シーリングを打った当日に上から塗る、という進め方は想定されていません。製品によって硬化に必要な時間は違うので、そこは工程表で確認してください。シーリングの材料選びについてはコーキングのページで扱っています。
メーカーの施工仕様表には、回数と時間が数字で書いてあります
国の仕様書は「各層の色を変えて確認する」「硬化した後に塗る」といったやり方を決めています。では、何回塗って、どれだけ待つのか。それを決めているのは、塗料メーカーの施工仕様表です。当サイトでエスケー化研のカタログを開いて書き出しました。
外壁(改装)/上塗りの塗り替え
| 工程 | 材料 | 所要量 | 塗回数 | 工程内の間隔 | 最終養生 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① 下地調整 | 旧塗膜に脆弱層があればサンダー・皮スキ・ケレン棒などで除去し、段差修正後にパターンの復元。高圧水洗(5〜15MPa=50〜150kgf/cm²)で塵・ほこり・汚れを除去 | ||||
| 上塗り シリコン仕様 | クリーンマイルドシリコン | 0.25〜0.35kg/㎡ | 2 | 3時間以上7日以内 | 24時間以上 |
| 上塗り フッソ・2回塗り仕様 | クリーンマイルドフッソ | 0.25〜0.35kg/㎡ | 2 | 3時間以上7日以内 | 24時間以上 |
| 中塗り+上塗り フッソ・DC仕様 | フッソ中塗材 → フッソ | 0.12〜0.17/0.13〜0.18kg/㎡ | 1+1 | 工程間 3時間以上7日以内 | 24時間以上 |
鉄部(新築/改装)
| 工程 | 材料 | 所要量 | 塗回数 | 間隔 |
|---|---|---|---|---|
| ① 下地調整 | ほこり・油脂分・水分を除去。さびや浮き塗膜、粉化物はサンドペーパーやディスクサンダーなどで十分に除去 | |||
| ② 下塗り | SKマイルドボーセイ(さび止め) | 0.14〜0.17kg/㎡ | 1 | 次工程まで6時間以上14日以内 |
| ③ 上塗り | クリーンマイルドシリコン | 0.22〜0.26kg/㎡ | 2 | 工程内3時間以上7日以内/最終養生24時間以上 |
エスケー化研「クリーンマイルドシリコン・フッソ」カタログの施工仕様表より、当サイトが書き出しました(2026年9月10日確認)。表の前提はいずれも23℃です。製品によって数字は変わります。
この表から読み取れる4つ
①上塗りは2回が標準です。外壁も鉄部も、塗回数の欄は「2」。下塗り1回+上塗り2回=いわゆる3回塗りで、数え方が違うだけで同じことを指しています。中塗材を使う仕様だけが「中塗り1+上塗り1」で、これも合計2層です。
②上塗りの1回目と2回目の間は、3時間以上あけます。しかも7日以内という上限もあります。早すぎても遅すぎてもいけないということです。「今日中に全部終わらせます」が難しい理由が、ここにあります。
③最後に24時間以上の養生が要ります。塗り終わった日が引き渡しの日ではありません。
④23℃が前提です。気温が下がれば、この時間は延びます。冬の工事で日数が増えるのは、手を抜いているからではなく、仕様どおりに待っているからです。
缶の数から、塗った量を確かめられます
所要量の欄も見てください。外壁のシリコン仕様は0.25〜0.35kg/㎡(上塗り2回ぶん)。外壁が120㎡なら、単純計算で30〜42kgです。
だから完了報告で缶を見せてもらうと、量の見当がつきます。使った缶が明らかに少なければ、薄めたか、回数が足りないかのどちらかです。空き缶の写真は、頼めば撮ってもらえます(完了検査)。塗料の希釈については、メーカーが仕様表でシンナーの量まで決めています——たとえば「塗料用シンナーA 0〜20(重量比)」というように、上限があります。
見積書に「◯缶」と書いてある場合は、面積と照らしてください。製品ごとの標準塗坪(1缶で何㎡塗れるか)はメーカーが公表しています(平米単価)。
「乾かす時間」は、待ち時間ではありません
工程表を見ると、作業していない日があります。「この日は何もしないのか」と感じるかもしれませんが、乾燥は工程のひとつです。
仕様書にはこう書かれています。
各塗装工程の工程間隔時間及び最終養生時間は、材料の種類、気象条件等に応じて適切に定める。なお、標準工程間隔時間を超えて、上に塗り重ねる場合は、適切な処理を行う。
読み方に2つの向きがあります。
短すぎてもいけません。下の層が乾かないうちに次を塗ると、密着が悪くなったり、乾燥後に縮んで不具合が出たりします。「3日で終わります」という提案があったら、乾燥時間がどこに入っているのかを聞いてください。
長すぎてもいけません。これは意外に思われるところです。塗料には「◯時間以上、◯日以内に塗り重ねる」という指定があり、空けすぎた場合は「適切な処理」(表面を目荒らしするなど)が必要になります。天候で工事が長く止まったあと、何もせずそのまま塗り重ねてよいわけではない、ということです。
だから工期が延びたときは、再開時に何をするかも聞いておくと安心です。「間が空きましたが、そのまま続けて大丈夫ですか」——この一言に具体的に答えられる会社は、材料の仕様書を読んでいます。
下地処理も、正式な「工程」です
もうひとつ、仕様書を見て分かることがあります。塗る前の作業が、工程として細かく定義されていることです。
たとえば塗り替えのときの鉄部(鉄鋼面)の「下地調整」は、種別ごとに①既存塗膜の除去 ②汚れ・付着物除去 ③油類除去 ④研磨紙ずりという工程で構成され、それぞれ「ディスクサンダー、スクレーパー等により、劣化しぜい弱な部分、錆等を除去し、活膜は残す」「ワイヤブラシ等により、除去する」「溶剤ぶき」「研磨紙P120〜220」といった具体的な方法まで書かれています(国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書」令和7年版 表7.2.2・特記がなければRB種)。新しく塗る場合は「素地ごしらえ」という別の表です。
ここが見積書と工程表で差がつくところです。下地処理は、終わってしまえば見えません。塗った後の見た目は同じで、差が出るのは数年後です。だからこそ、工程表に「高圧洗浄」「ケレン」「下地補修」「シーリング」の日が確保されているかを見てください。
10日〜2週間という日数のうち、実際に塗料を塗っている日は数日です。残りは足場、洗浄、乾燥、下地の手当て、養生、そして片付け。「塗るだけの工事」ではないことが、工程表を見れば分かります。
逆に言えば、極端に短い工期を提示する会社は、どこかの工程を削っています。それが乾燥時間なのか下地処理なのかは、工程表を並べれば見えてきます。何社かに工程表を出してもらって、日数の内訳を比べてください。総額が同じでも、洗浄と乾燥に何日取っているかで中身はまるで違います。
外壁の「下地調整」には、3つの種別があります
ここまで見てきた表7.2.2は鉄鋼面のものでした。外壁そのもの——コンクリート面とALCパネル面には、別の表が用意されています。表7.2.5です。仕様書の本文はこう書いています。
原文(7.2.6)
「コンクリート面及びALCパネル面の下地調整は表7.2.5により、種別は特記による。特記がなければ、RB種とする。」
つまり下地調整は1種類ではありません。3つの種別のどれをやるかで、中身がこれだけ変わります。
| 工程 | RA種 | RB種 | RC種 | 面の処理 |
|---|---|---|---|---|
| 既存塗膜の除去 | ◯ | — | — | ディスクサンダー、スクレーパー等により、全面除去する |
| 既存塗膜の除去 | — | ◯ | — | 劣化しぜい弱な部分を除去し、活膜は残す |
| 汚れ、付着物除去 | ◯ | ◯ | ◯ | 素地を傷つけないようにワイヤーブラシ等により、除去する |
| ひび割れ部の補修 | ◯ | ◯ | — | 4章[外壁改修工事]による(特記による) |
| 吸込止め | ◯ | ◯ | — | 既存塗膜を除去した範囲に塗り付ける |
| 下地調整塗り | ◯ | ◯ | — | RA=全面に塗り付けて平滑に/RB=除去部分の不陸を調整 |
| 研磨紙ずり | ◯ P120〜220 | ◯ P120〜220 | ◯ P240〜320 | 乾燥後、表面を平らに研磨する |
| パテしごき | ◯ | — | — | 全面をしごき取り平滑にする |
見るところはRC種の列です。汚れ・付着物の除去と、研磨紙ずりだけ。既存塗膜の除去も、ひび割れ部の補修も、吸込止めも、下地調整塗りも入っていません。
だから「下地調整をやります」という一言は、RA種もRC種も同じ言葉で呼べてしまいます。工程表に「下地調整」と1行だけ書いてあるとき、そこに何が含まれているかは、まだ決まっていないということです。
種別の名前で聞かないでください
RB種・RC種という言い方は、戸建ての見積書にはまず出てきません。公共工事の用語だからです。聞くなら中身のほうです——「既存の塗膜は全部落としますか、それともはがれている所だけですか」「ひび割れの補修は、この金額に入っていますか」。
後者はとくに大事で、仕様書でもRC種には入っていない工程です。あとから追加になりやすい場所なので、先に確かめてください(ひび割れの見方)。
国の仕様書には、「3回塗り」が2回になる種別もあります
このページの前半で「下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが基本です」と書きました。基本はそのとおりですが、同じ仕様書の塗りの表を見ると、そうでない種別が用意されています。
| 工程 | A-1種 | A-2種 | B-1種 | B-2種 | C-1種 | C-2種 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 下地調整 | RB種 | RC種 | RB種 | RC種 | RB種 | RC種 |
| 下塗り(シーラー) | ◯ | — | ◯ | — | ◯ | — |
| 中塗り | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| 上塗り | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| 上塗りの等級 | 1級 ふっ素樹脂 | 2級 シリコーン樹脂 | 3級 ポリウレタン樹脂 | |||
-1種と-2種の違いは、下地調整の種別と、下塗りの有無です。-2種は下地調整がRC種で、下塗りの欄が「─」——塗りません。
そして上塗りのA・B・Cは塗料のグレードです(JIS K 5658の等級で、1級=ふっ素樹脂、2級=シリコーン樹脂、3級=ポリウレタン樹脂)。つまりA-2種は、いちばん高いふっ素樹脂を上塗りに使いながら、下地調整はRC種で、下塗りも塗らない組み合わせということになります。
ここから言えること
「フッ素だから安心」も「3回塗りだから安心」も、工程の話としては成り立ちません。塗料のグレードと、下地にかける手間は、別々に決まっているからです。工程表で見るべきなのは回数ではなく、下地に何をするかです。
なお、新しく塗る場合は違います。同じ表の注1に「新規に塗装を行う場合は、A-1種、B-1種又はC-1種とし、下地調整に代えて、素地ごしらえを表7.3.6によるA種により行う」とあり、新規は-1種しか選べません。下塗りを省く種別は、塗り替えのためのものです(下塗りの役割)。
塗る量も決まっています——桁の確認に使えます
同じ表7.8.3には、工程ごとの塗付け量が入っています。
| 工程 | 塗付け量 | 120㎡なら |
|---|---|---|
| 下塗り(シーラー) | 0.08 kg/㎡ | 9.6 kg |
| 中塗り | 0.14 kg/㎡ | 16.8 kg |
| 上塗り | 0.10 kg/㎡ | 12.0 kg |
| 3工程の合計 | 0.32 kg/㎡ | およそ 38 kg |
ここで定義を正確に読んでください。仕様書の7.1.4(6)は「塗付け量は、平らな面に実際に付着させる塗料の標準量(一工程当たり)とする。ただし、塗料の標準量は、薄める前のものとする。」としています。
「実際に付着させる量」であって、使う量ではありません。はけやローラーに残る分、飛ぶ分、缶に残る分は入っていません。だから仕入れる量は、この数字より多くなります。見積書の塗料の数量がこれとぴったり同じなら、むしろ足りない計算です。
使い道は桁の確認です。金額の妥当性は判定できません(公共工事の標準であって、あなたの家の塗料の値段ではないからです)。ただし「外壁120㎡で3工程分が合計5kg」なら桁が違いますし、数量が一切書かれていないなら、書いてもらう理由になります(見積書のチェック項目)。
この仕様書の限界を、数で書いておきます
全299頁を検索して、「サイディング」という語は0件でした(2026年9月12日・当サイトが公開PDFの全文で確認)。表に出てくるのはコンクリート面・ALCパネル面・押出成形セメント板面・モルタル面・せっこうボード面・木部・鉄鋼面・亜鉛めっき鋼面です。
戸建てでいちばん多い窯業系サイディングは、この文書の対象に入っていません。同じ理由で、高圧洗浄も塗装の章の下地調整の表には出てきません(汚れ・付着物の除去は「ワイヤーブラシ等」。高圧水洗が出てくるのはタイル下地の目荒しと防水の章です)。これは戸建てで高圧洗浄が要らないという意味ではありません。下地も汚れ方も違います。
使えるのは工程の考え方と、確かめ方の言葉のほうです。「うちもこの通りにできる」という読み方はしないでください。
暮らしはどうなる——できないことは「工程」で決まる
工事が始まると、外に洗濯物を干せない日があり、窓を開けられない期間があり、エアコンや車の出し入れに影響が出ることがあります。ただしそれが決まるのは「工事が何日続くか」ではなく、「いまどの工程をやっているか」です。上の流れで言えば、高圧洗浄の日と塗っている最中がいちばん制約が大きく、乾燥を待っている日や休工日はそうでもありません。
だからこそ、工程表が効きます。予定表さえ手元にあれば、洗濯や外出の段取りは自分で組めます。
洗濯物・窓と換気・車・ペット・留守中の戸締まりまで、困りごとごとの具体的な対処は工事中の暮らしはどうなる?(洗濯物・窓・車・ペット)にまとめました。隣の家が工事中で困っている場合の伝え方も、そちらに載せています。
臭いが心配なら、契約前に言っていい
塗装の臭いの正体は、主に油性塗料を薄めるための溶剤(シンナー)です。臭いの強さは「どの塗料を選んだか」で大きく変わります。正直に言うと水性塗料も無臭ではありません。シンナーとは種類の違う、独特の匂いがあり、これが苦手という人もいます。それでもツンとくるシンナー臭に比べればマシ、というのが実際のところです。ピークは中塗り・上塗りとその乾燥のあいだの数日間です。
ここで言いたいのは、マスクや換気のテクニックより手前の話です。在宅ワークをしている、赤ちゃんやペットがいる、臭いに敏感——そうであれば、契約前の塗料選びの段階で「臭いを抑えたいので水性を検討したい」と条件として言っていいのです。いまは水性でも性能のよい塗料が現場の主流のひとつになっており、水性を選ぶことは妥協ではありません。水性と油性で本当に何が変わるのかは水性塗料と油性塗料の違いで扱っています。臭いがいつまで続くのか、室内に入ってくる臭いへの対処は臭いのページにまとめました。工事が始まってから対策を検索するより、始まる前のひとことのほうが、ずっと効きます。
ご近所の臭い・マンションの工事は?
隣家の塗装の臭いや、マンション大規模修繕の臭いで困っている場合は、施工会社の現場責任者(掲示板や挨拶文に連絡先があります)に伝えるのが最短です。どの工程が何日まで続くかを教えてもらえるだけでも、外出やホテル利用の計画が立てられます。
近隣への挨拶は誰がやる?
工事前の近隣挨拶は業者がやるのが標準です。足場の音・洗浄の水しぶき・塗料の臭い・工事車両——迷惑をかける主体は工事側だからです。見積もりの段階で「近隣挨拶はどの範囲まで回ってもらえますか」と確認しておきましょう。
そのうえで、施主本人も両隣・向かい・真後ろに「来週から塗装工事でご迷惑をおかけします」と一言添えておくと、その後のご近所関係がまるく収まります。手土産は必須ではありません。大事なのは品物より「本人の口から先に聞いた」という事実のほうです。どこまで回るか・品物やのし・不在のお宅に入れる手紙の文例は、ご近所挨拶のページに分けてまとめました。
なお、ご近所ではなく職人への差し入れのほうで迷っている場合は、差し入れ・お茶出しのページに、もらう側に聞いた話をまとめています。
工期が延びるのは、悪いことではない
雨の日は塗れません。塗れても、乾燥が不十分なまま次を塗り重ねることはできません。だから天候で工期が延びるのは、手抜きではなく正常な工事の証拠です。
むしろ危険なのは逆方向です。「お願いだから早く終わらせて」と施主が急かすと、削れる場所は乾燥時間しかありません。乾燥不足の塗り重ねは数年後の剥がれになって返ってきます(手抜きが起きる構造で書いたとおりです)。逆に、こちらが何も言わないのに不自然に短い工期を提示してくる見積もりは、工程がどこか抜けていないか、内訳と突き合わせて確認してください。予定より延びたときに見るべきは日数ではなく、「どの工程が、なぜ延びたか」を業者がちゃんと説明できるかです。
工程表は、契約前にもらって構いません。むしろ出せるかどうかが会社を見る材料になります。何社かに見積もりを頼むとき、工程表も一緒に頼んでみてください。日数と順番が書かれた紙が出てくる会社は、段取りが組めている会社です。「だいたい2週間です」で終わる相手には、内訳を聞いてみる価値があります。台風で止まった場合は、点検してからの再開になります。
工事を足すと、何日増えるのか
「屋根も一緒に」「ベランダの防水も」と工事を足すと、日程はどう変わるのか。足場を組む日と外す日は共通なので、増えるのは中身の作業日数だけです。目安を挙げます。
| 足す工事 | 増える日数の目安 | なぜそうなるか |
|---|---|---|
| 屋根塗装 | 2〜3日 | 下塗り・中塗り・上塗りで各1日。外壁と同じく乾燥を待ちます |
| シーリングの打ち替え | 1〜2日 | 撤去・清掃・プライマー・充填・ならし。打ち替えは増し打ちより手間がかかります |
| ベランダの防水 | 2〜4日 | 下地の状態と工法(ウレタン・FRP)で変わります。硬化を待つ日が入ります |
| 付帯部を増やす(雨戸・面格子など) | 1日前後 | 数が多ければそのぶん。鉄部はケレン+錆止め+上塗りの3工程 |
| 板の部分交換 | 1〜3日 | 材料の手配が必要な場合は、その待ち時間も加わります |
ここで注意したいのがシーリングです。打ち替えの場合、充填したあとに硬化を待ってから塗装に入ります。国の仕様書も「シーリング面に塗装仕上げを行う場合は、シーリング材が硬化した後に行うものとし、塗重ねの適合性を確認し、必要な措置を講ずる」と定めています。硬化前に塗ると、あとから縮んだり割れたりします。ここを待つぶん、日程が延びるのは正常です。
逆に言えば、シーリングを打った翌日に塗り始めているなら、確認する価値があります。使う材料によって必要な時間は違うので、「この材料は何時間で塗れるものですか」と聞けば済みます。
遅れを小さくするために、施主側でできること
天候は動かせません。ただし、施主の側の準備で防げる遅れがあります。着工前にやっておくと、まるごと1〜2日ぶん変わります。
- 色を早めに決める——前の章のとおり、これがいちばん多い理由です。着工の2週間前には決めておくと、塗料の手配が間に合います
- 物をどけておく——鉢植え、自転車、物置の周り、エアコンの室外機のまわり。職人が動かす時間も工期のうちです。当日に「これはどけていいですか」と確認する時間もなくなります
- 駐車場所を決めておく——現場に停められない場合、毎朝どこに停めるかで時間を使います。近隣のパーキングを先に押さえておくと確実です
- 立ち会える日を先に伝える——着工前の確認、色の最終決定、中間の確認、完了検査。この4回は施主が関わる場面です。予定を先に共有しておけば、待ち時間が減ります
- 近隣への挨拶の日を合わせる——業者がやるのが標準ですが、施主も一緒に回ると話が早いことがあります
- 質問はまとめて聞く——毎日現場で職人を捕まえて質問すると、そのぶん手が止まります。窓口は営業担当に一本化して、まとめて聞くほうが結果的に早く終わります
そしていちばん効くのは、最初から余裕のある工期で契約することです。「10日で終わります」と言われて10日後に予定を入れていると、1日の雨で崩れます。2週間の工事なら、3週間分の心づもりで組んでおく。これだけで、途中で焦らずに済みます。
工期の見込みが現実的かどうかは、複数社の工程表を並べると分かります。同じ家に対して1社が7日、別の社が14日と言うなら、その差が何なのかを聞いてください。短いほうが良いとは限りません。
安心な延長と、心配な遅れの見分け方
「工期が延びるのは悪いことではない」と書きました。ただし、すべての遅れが正常なわけでもありません。ここを分けて考えられると、無用な心配をしなくて済みます。
| 安心していい延長 | 確認したほうがいい遅れ | |
|---|---|---|
| 理由 | 雨・強風・低温・乾燥待ち・下地の追加補修 | 説明が毎回変わる、理由が言われない |
| 連絡 | 止まる前か当日の朝に連絡が来る。次にいつ判断するかも言われる | 連絡がない。こちらから聞かないと分からない |
| 現場の様子 | 足場も養生もそのまま。翌日以降に再開する | 何日も誰も来ない。養生が風で剥がれたまま |
| 工程の進み方 | 順番どおりに進んでいる(洗浄→乾燥→下地→養生→塗り) | 工程が飛んでいる。塗った翌日にまた同じ面を塗っている |
| 天気との関係 | 雨の日に止まり、晴れたら動く | 晴れているのに誰も来ない日が続く |
いちばん分かりやすい目安は、「晴れているのに、何日も誰も来ない」かどうかです。雨や風で止まるのは仕方がありません。晴天が続いているのに現場が動かないのは、天候以外の理由——職人の手配、材料の未着、他の現場の遅れ——があります。
そして、それ自体は必ずしも不正ではありません。問題は、理由が説明されないことです。聞き方はこれだけで足ります。
「今日は動きがないようですが、次はいつ入りますか」
この質問に、日付で答えられるかどうか。「天気次第で」ではなく「明後日の朝から入ります」と言えるなら、段取りは組まれています。複数社に見積もりを取った経験があれば、こうした対応の差も判断材料になります。
延びても、追加費用は出ません
工期が延びると、多くの方が「そのぶん人件費を請求されるのでは」と心配します。天候による延長を理由に追加費用が発生するのは、通常ありません。理由は3つあります。
1. 止めるのは、法令が求めていること
労働安全衛生規則の第522条は、「高さが二メートル以上の箇所」で作業を行う場合、「強風、大雨、大雪等の悪天候のため、当該作業の実施について危険が予想されるときは、当該作業を行わせてはならない」と定めています。足場の組立て・解体についても、同規則の第564条第3号が「悪天候のため、作業の実施について危険が予想されるときは、作業を中止すること」としています。
外壁塗装は、そのほとんどが高さ2メートル以上の作業です。雨や強風で止まるのは、業者の怠慢ではなく法令が求めている中断です。それを理由に施主へ請求するのは筋が通りません。
2. 塗料の側にも「塗ってはいけない条件」がある
前の章で書いたとおり、国の仕様書は「気温が5℃以下、湿度が85%以上、結露等で塗料の乾燥に不適当な場合は、塗装を行わない」「外部の塗装は、降雨のおそれのある場合又は強風時は、原則として、行わない」と定めています。「降ってから中止」ではなく「降りそうなら塗らない」のが標準です。
3. 契約書に、あらかじめ定めておく項目だから
建設業法の第19条第1項は、契約書に書くべき事項として七号「天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め」を挙げています。天候で工期が延びたときの扱いは、契約の時点で決めておくものです。
もし請求されたら、「契約書の、天災・不可抗力の条項はどうなっていますか」と聞いてください。追加費用そのものの考え方は追加費用のページにまとめました。
逆に、施主が工期を詰めさせるのは危険です。「予定どおり終わらせてほしい」と強く言えば、業者は乾燥時間を削るしかなくなります。それは手抜きの入り口です。工期に余裕を持たせることが、結果として仕上がりを守ります。
色決めと材料の手配でも、日程は動きます
天候ばかりが注目されますが、着工前の段階で日程が動く理由もあります。見落とされやすいので挙げておきます。
- 色が決まらない——いちばん多い理由です。色が決まらないと塗料を発注できません。塗料は色ごとに作られるため、在庫を持っていない色は取り寄せになります
- 調色・特注色——標準色にない色を作る場合、日数がかかります。当サイトが確認した製品では、色によっては1〜2週間かかると案内されているものもありました(アルミサッシ用塗料の例)
- 塗料の欠品・納期——人気の製品や、メーカーの生産事情で待つことがあります
- 足場の空き——足場は専門の業者が組みます。繁忙期は足場屋のスケジュールが先に埋まります
- 近隣への説明が済んでいない——挨拶が終わってから着工する会社が多いためです
ここで大事なのは、色決めは施主側の宿題だということです。「まだ決まっていない」と言い続けると、その分だけ着工が後ろにずれます。色に迷うのは当然なので、いつまでに決めればいいかを最初に聞いておくのが確実です。
「色はいつまでに決めれば、予定どおり着工できますか」——この一言で、自分の宿題の期限がはっきりします。色の決め方は色のページと塗り分けのページにまとめました。
職人の配置——他の現場との掛け持ち
もうひとつ、施主からは見えにくい理由があります。職人は、複数の現場を並行して動いています。
これは手抜きでも不誠実でもありません。塗装は「塗る→乾かす→塗る」の繰り返しなので、乾燥を待つあいだ、その現場では何もできません。だから待ち時間に別の現場へ入るのが普通の動き方です。
問題は、雨が降ると全部の現場が同時にずれることです。
- 1日雨が降ると、抱えている現場すべてが1日ずつ後ろへ動きます
- その調整で、自分の家に入る日が2日後になることがあります
- 春(4〜5月)と秋(10〜11月)は、この影響がいちばん大きい——工事しやすい季節に依頼が集中するためです
だから、工期に余裕を持ちたいなら繁忙期を外すという手もあります。ただし「安い時期」と「工事しやすい時期」は別の話なので、時期選びは安い時期はあるかと塗装に向く季節を合わせて読んでください。
どこまで待つべきか——連絡が途絶えたとき
天候の遅れは仕方がない。掛け持ちも普通のこと。では、どこからが「おかしい」のか。
判断の土台になるのは、契約書です。建設業法第19条第1項は、契約書に書くべき事項として三号「工事着手の時期及び工事完成の時期」を挙げています。つまり完成予定日は、契約書に書いてあるはずです。
さらに同項の十四号は「各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金」を挙げています。遅れたときの扱いも、契約時に決めておく項目だということです。
順番に、こう動いてください
- 契約書の完成予定日を確認する——まず、そもそも何日と書いてあるかを見ます
- 記録に残る形で聞く——電話だけで済ませず、メールやアプリなど日付が残る手段で「次はいつ入りますか」と聞きます
- 答えが日付で返ってくるか見る——「天気次第」だけが繰り返されるなら、段取りが組まれていない可能性があります
- それでも動かないなら、相談窓口へ——消費者ホットライン「188」(局番なし)、住宅リフォームの専門相談なら住まいるダイヤルがあります(トラブル対処のページ)
ここで強調しておきたいのは、足場が組まれたまま長期間放置されるのは、それ自体がリスクだということです。足場は風を受けます。台風が来れば近隣にも影響します。「工事が進まない」は美観の問題ではなく、安全の問題になり得ます。連絡が取れない状態が続くなら、待たずに相談してください。
工事が止まる日、どう連絡が来るか
前の章のとおり、天候で工事が止まるのは正常です。問題は、止まったときの連絡です。ここは会社によって差が出ます。
着工前に決めておくと、あとで気まずくならない点を挙げます。
- ①誰から誰に連絡が来るか——現場の職人からか、営業担当からか。窓口が分かれていると、聞きたいことが伝わらないことがあります。
- ②何時ごろ判断するか——朝の時点で中止と決めるのか、様子を見て昼に決めるのか。洗濯物や外出の予定に関わります。
- ③在宅していなくても作業するか——留守中に進めてよいのか、立ち会いが必要な工程はあるか。
- ④足場はそのままか——工事が数日止まっても、足場は建ったままです。台風が近づいている場合の対応(メッシュシートをたたむなど)を聞いておいてください。
もうひとつ、天候以外で工事が止まる事象があります。足場を組んだあとに蜂の巣が見つかった場合です。職人の安全に関わるので、見つかった時点で作業はいったん止まります。誰が駆除を手配するのか、費用は誰が持つのかは会社によって違うので、心当たりのある方は外壁塗装で蜂の巣が見つかったらを先に読んでおいてください。
④は特に重要です。足場にメッシュシートが張られたままだと、強風時に帆のように風を受けます。台風が来る前にシートをたたむのは、まともな会社なら当然やる対応です。「台風のときはどうしますか」と聞いて、すぐ答えが返ってくるかを見てください。
最終日に何が起きるか
工程表の最後は、たいてい「足場解体」と書かれています。ところが施主にとって大事なのは、その前日です。
足場が外れると、二度と近くで見られません。2階の壁も、屋根も、雨樋も、破風も、足場があるうちだけ手が届きます。だから足場を外す前に、一緒に見て回る時間をつくってもらってください。
頼み方は簡単です。着工前の打ち合わせで「足場を外す前に、一緒に確認させてください」と伝えるだけ。当日になって言うと段取りが崩れるので、先に言っておくのが親切です。何を見ればよいかは完了検査のページにまとめました。
そして最終日には、書類を受け取ります。保証書、使用した塗料の記録、工程写真——このあたりは会社によって揃い方が違います。次の塗り替えは10年後です。そのとき、前回何を塗ったかが分かる資料が残っているかどうかで、業者の提案の精度が変わります。
受け取る書類の中身も、契約前に確認できます。何社かに「引き渡しのときに何をもらえますか」と聞いてみてください。保証書の見本を見せてくれる会社もあります。工事そのものの差より、こういう部分の差のほうが、あとから効いてきます。
よくある質問
屋根も一緒にやると、工期はどれくらい延びますか?
外壁だけの場合と比べて、数日から1週間程度が目安です。足場は同じものを使うので、足場の組立・解体はそのぶん増えません。増えるのは屋根の洗浄・下地処理・塗りの日数です。別々にやれば足場代を二度払うことになるので、両方やる予定があるなら同時のほうが合理的です(足場代のページ)。
留守がちですが、工事はできますか?
できます。ただし着工前と足場解体前は、できるだけ立ち会ってください。着工前は塗る範囲と色の最終確認、解体前は仕上がりの確認です。日中の作業中は不在で構いませんが、電気と水道を使わせてほしいと言われることがあるので、その扱いは先に決めておきます。
工期が延びたぶん、追加費用はかかりますか?
天候による延長で追加費用が発生するのは、一般的ではありません。ただし契約前に確認しておくのが確実です。「天候で工期が延びた場合、費用は変わりますか」——この質問への答えが曖昧な会社は、他の条件も曖昧なことがあります。
近所で工事をしていて、うちも同時にやれば安くなると言われました。
足場や資材の運搬がまとまる分、効率が良くなること自体はあります。ただし、その場で契約する理由にはなりません。工程表と見積書を出してもらい、他社の見積もりと比べてから決めてください。訪問営業への対応はトラブルとクーリングオフのページにまとめています。
工事中、家にいないといけませんか?
基本的に不要です。外の工事なので、日中留守でも進みます。鍵の管理はふだんどおり、貴重品も家の中ならふだんどおりで問題ありません。在宅が要るのは、色の最終確認や完了検査など判断が要る日だけで、それは工程表で事前に分かります。
職人さんへのお茶出しは必要ですか?
不要です。いまはお茶出しなし・差し入れなしが標準で、業者側もそのつもりで来ています。気持ちを伝えたければ、最終日に一言お礼を言えば十分です。
雨の日、職人さんは何をしているんですか?
塗装はできないので、基本は休工です。養生の点検や、雨でもできる作業(内側の下地処理など)だけ進めることもあります。「雨なのに塗っている」場合は理由を聞いてください。まともな会社なら明確に答えます。
上塗りは何回が標準ですか?
2回です。エスケー化研の施工仕様表では、外壁(改装)の上塗りの塗回数が2、鉄部(新築/改装)も下塗り1回・上塗り2回と書かれています。下塗り1回+上塗り2回で、いわゆる「3回塗り」と同じことを指しています。中塗材を使う仕様の場合だけ「中塗り1回+上塗り1回」になりますが、これも合計2層です。
上塗りを1日で2回続けて塗れないのですか?
間隔が決められています。エスケー化研の施工仕様表では、上塗りの1回目と2回目の間は「3時間以上7日以内」(23℃)。早すぎても遅すぎてもいけません。さらに塗り終えたあとに最終養生が24時間以上必要です。表の前提は23℃なので、気温が下がればこの時間は延びます。冬に日数が増えるのは、仕様どおりに待っているからです。
塗った量が足りているか、確かめられますか?
所要量から見当がつきます。エスケー化研の外壁シリコン仕様は0.25〜0.35kg/㎡(上塗り2回ぶん)なので、外壁120㎡なら30〜42kgです。完了時に使った缶を見せてもらえば、量の見当がつきます。また希釈も仕様で決まっていて、たとえば「塗料用シンナーA 0〜20(重量比)」のように上限があります。空き缶の写真は頼めば撮ってもらえます。
参考にした情報
- 労働安全衛生規則 第522条(悪天候時の作業禁止)・第564条第3号(足場の組立て等の作業)/e-Gov法令検索
- 建設業法 第19条第1項(三号:工事着手・完成の時期/七号:天災その他不可抗力による工期の変更/十四号:履行の遅滞の場合の損害金)/e-Gov法令検索
- 国土交通省大臣官房官庁営繕部「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」第18章 塗装工事——18.1.4(施工一般)、18.1.6(施工管理)、18.2(素地ごしらえ)。公共工事の基準であり民間の住宅工事にそのまま適用されるものではありませんが、塗装という作業に何が必要かを整理した公的文書として参照しました
- 国土交通省大臣官房官庁営繕部「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」——7.2.3(鉄鋼面の下地調整・表7.2.2、特記がなければRB種)。塗り替えの下地処理の工程(2026年9月11日確認)/2026年9月12日に追加で確認=7.2.6および表7.2.5(コンクリート面及びALCパネル面の下地調整・RA/RB/RC種と「特記がなければ、RB種とする」)、7.8.4および表7.8.3(コンクリート面及び押出成形セメント板面の耐候性塗料塗り・A/B/C各-1種-2種の工程と塗付け量0.08/0.14/0.10 kg/㎡・上塗りJIS K 5658の等級・注1「新規に塗装を行う場合は、A-1種、B-1種又はC-1種とし」)、7.1.4(6)(塗付け量は「平らな面に実際に付着させる塗料の標準量(一工程当たり)とする。ただし、塗料の標準量は、薄める前のものとする。」)。あわせて同PDF全299頁の全文検索で「サイディング」0件を確認(塗装の章の下地調整の表に高圧洗浄・高圧水洗の工程は見当たらず、「高圧水洗」はタイル下地の目荒しと防水の章に現れます)
今回あらたに確認した出典(2026年9月10日)=エスケー化研「クリーンマイルドシリコン・フッソ」カタログの施工仕様表。「外壁(改装)/上塗りの塗り替え」(23℃)=下地調整に「高圧水洗(5〜15MPa=50〜150kgf/cm²)」、シリコン仕様の上塗り 所要量0.25〜0.35kg/㎡・塗回数2・工程内3時間以上7日以内・最終養生24時間以上/フッソ・2回塗り仕様も塗回数2/フッソ・DC仕様は中塗り1+上塗り1。「鉄部(新築/改装)」(23℃)=下塗りSKマイルドボーセイ 所要量0.14〜0.17kg/㎡・塗回数1・工程間6時間以上14日以内/上塗り 所要量0.22〜0.26kg/㎡・塗回数2・工程内3時間以上7日以内・最終養生24時間以上、および下地調整の指示「さびや浮き塗膜、粉化物はサンドペーパーやディスクサンダーなどで十分に除去してください」。
最終確認日:2026年8月18日。工程の順番・日数は建物の状態や工事内容によって変わります。実際の予定は必ず工程表でご確認ください。