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外壁塗装で蜂の巣が見つかったら——工事は、いったん止まります

足場が組まれると、いつもは見えない場所が全部見えるようになります。軒下の奥、破風の裏、換気扇フードの中。そこから蜂の巣が出てくることは、珍しくありません。ここで多くの方が同じ疑問にぶつかります——「塗装屋さんが取ってくれるのでは?」結論から言うと、塗装業者は駆除業者ではありません。このページは、そこから先に何が起きるのかを順に整理したものです。

※本ページはプロモーション(広告)を含みます。

このページの内容

先に結論——4つ知っておけば足ります

①塗装業者は駆除業者ではありません。触りません。触れないのではなく、触ってはいけない領域です
②見つかると、その面の工事は止まります。職人が刺される危険があるからで、これは正当な中断です
③駆除費用は、原則として施主の負担です。ただし契約前に決めておけるので、見積もりのときに聞いてください
④11月から3月なら、巣はもう空です。公的機関が「巣は1年限り」と明記しています

この4つを知っていると、慌てずに済みます。とくに④は、時期によっては何の心配もいらないことを意味します。順に説明します。

巣ができる場所は、塗装で触る場所そのものです

まず、なぜ外壁塗装と蜂の話が結びつくのか。答えは単純で、蜂が巣を作る場所と、塗装で手を入れる場所が、ほとんど同じだからです。

公的機関が公表している営巣場所を並べてみます。

神戸市「ハチと上手につき合おう」より(種類別の営巣場所)

【スズメバチ】
キイロスズメバチ軒下、天井裏、木の枝(被害としては本種が最も多い
コガタスズメバチ=庭木や軒下住宅街からの相談が一番多い
ヒメスズメバチ床下、壁の間、物置の中など閉鎖された空間
オオスズメバチ=木の穴や根本、土の中(ハチのなかで最も攻撃性が高い

【アシナガバチ】
セグロアシナガバチ軒下、庭木、室外機の中
キアシナガバチ軒下、庭木、換気扇フード内
フタモンアシナガバチ軒下、庭木、草むら

「軒下」がほぼ全種類に出てきます。そして軒下は、外壁塗装で必ず触る場所です。軒天破風、雨樋の裏——このあたりを職人は足場に立って塗ります。

さらに室外機の中、換気扇フードの中。これも塗装工事で養生したり、付帯部として塗ったりする場所です(工事中のエアコン)。

つまり「工事のときに蜂の巣が見つかる」のは偶然ではなく、そういう位置関係になっているということです。

とくに見つかりやすい6か所

場所なぜここに作られるか
軒天の奥・破風の裏雨が当たらず、風もしのげます。いちばん多い場所です
換気扇フードの中フードの内側は屋根つきの空洞です。外から見ても分かりません
エアコンの室外機の中・配管カバー同じく、雨がかからない隙間があります
雨戸の戸袋の中使っていない戸袋は、静かで暗い空間です(雨戸の塗装
ベランダの手すりの下・天井人が下から見上げない角度に作られます
物置・カーポートの梁敷地内で、いちばん気づかれにくい場所です

💡「うちは大丈夫」と思っている家でも、見つかることがあります。これらの場所は、地上からは見えない位置だからです。とくに換気扇フードの中と戸袋の中は、住んでいる人がまず覗かない場所です。

足場を組むと、見つかります

順番として多いのは、見積もりのときではなく、工事が始まってから見つかるパターンです。理由は単純で、見積もりは基本的に地上から見て行うからです。

足場が組まれてはじめて、職人は軒の奥に顔を近づけます。そこで気づく。あるいは、足場を組んでいる最中に、足場屋が蜂に囲まれる。これも起きます。

だから、工事の前に自分で確認する価値があります

見積もりから工事までには、たいてい数週間から1か月あります。その間に、家のまわりを1周して観察してください。やることは1つだけです。

「同じ場所を、蜂が繰り返し出入りしていないか」を見る。

1匹の蜂が通り過ぎるのは何でもありません。問題は「往復している」ときです。同じ方向へ帰り、同じ方向から出てくる。その先に巣があります。5分ほど、少し離れた場所から見ていれば分かります。

見つかったら、近づかないでください。そして工事の前に業者へ伝えてください。これだけで、工事中に慌てる事態を避けられます。

⚠️脚立に乗って覗き込むのはやめてください。巣に近づいたことを蜂が察知すると、警戒して威嚇してきます。不安定な足場の上で驚くと、落ちます。蜂に刺されるより、脚立からの転落のほうが重い怪我になることがあります。確認は地上から、離れてで十分です。

スズメバチか、アシナガバチか——見分け方

対応の緊急度が変わるので、種類は知っておく価値があります。ただし近づいて確認する必要はありません。遠目でも分かるポイントが公表されています。

スズメバチアシナガバチ
体型ずんどう体型スリム体型
飛び方直線的に飛ぶ長めの後足をだらりと下げて飛ぶ
巣の見た目外側がきれいなマーブル模様。初期は逆さにした徳利型、進むと丸いボール型レンコンを切ってお椀型にしたような形で、六角形の穴が下から見える
性格一般的に攻撃性が強く、巣を守るために人を襲うことがある基本的におとなしく、巣を刺激しなければ人を攻撃することはない
大きさ体長17〜45mm(種類による)体長14〜26mm

いちばん分かりやすいのは巣の形です。下から見て六角形の穴がむき出しになっていればアシナガバチ外側が紙のような膜で覆われてマーブル模様ならスズメバチです。

そしてアシナガバチは益虫でもあります。神戸市は「農作物や庭木に付く毛虫やイモムシを食べたり、花粉を媒介するなど、益虫として役立っています」と書き、「そっと見守ることも一つの方法ですし、生活に支障があれば駆除をするという選択肢もあります」という書き方をしています。

ただし、工事のときは話が別です。おとなしい種類でも、巣のすぐ横で職人が作業すれば刺激になります。「生活に支障がある」に、工事は含まれます。

💡ミツバチの場合もあります。ミツバチはさらにおとなしく、巣も形が違います(板状の巣が並ぶ)。ただし壁の中や床下に営巣すると、蜜が壁内に垂れて別の問題になります。ミツバチだと思ったら、養蜂に関わる相談先がある自治体もありますので、市の環境担当課に聞いてみてください。

11月から3月、巣は空になります

ここが、このページでいちばん知ってほしいところです。蜂の巣は1年で使い捨てです。

神戸市が公表しているスズメバチ・アシナガバチの生活史

4月中旬:新女王バチが越冬から覚め、樹液などの水分をとりながら巣作りの準備を始める
6月頃女王バチが1匹で巣を作り、産卵・幼虫の世話をする
7月上旬〜8月上旬:働きバチが誕生し、巣作りや幼虫の世話をする
7月下旬〜8月中旬(最盛期)巣の大きさや働きバチの数がピークになり、活動が活発になる
9月〜10月頃:新女王バチとオスバチが誕生し、交尾を始める
11月〜3月頃(越冬期)旧女王バチ・働きバチ・オスバチは死に絶え、新女王バチだけが巣から離れた石垣や朽木の隙間で越冬する。巣は1年限りで中は空になり、残った巣が翌年に利用されることはない。

この一文が効きます。「巣は1年限りで中は空になり、残った巣が翌年に利用されることはない」。

工事の時期によって、話がまったく変わります

工事の時期蜂の巣について
11月〜3月巣はもう空です。撤去して塗るだけで済みます。駆除費用も、工事の中断も発生しません
4月〜6月女王バチが1匹で作り始める時期。巣は小さく、蜂も1匹です。対処がいちばん簡単な時期
7月下旬〜8月中旬最盛期。働きバチの数がピークで、活動も活発。いちばん危険で、いちばん費用がかかります
9月〜10月数は多いまま。新女王とオスが生まれ、群がることがあります

もし過去に巣を作られた家で、これから塗装を考えているなら、時期の判断材料になります。「今年の夏に軒下で蜂を見た」という家なら、秋から冬に工事を入れれば、蜂の問題は自然に消えます(時期の選び方は季節と天候のページ安い時期はあるのか)。

もっとも、時期をずらせるかどうかは会社の空き状況にもよります。「秋以降で組めますか」と聞いたときに、すぐ日程を出せる会社と、来春まで埋まっている会社があります。何社かに声をかけておくと、時期の選択肢が広がります——これは蜂に限らず、希望の季節に工事したいとき全般に効く進め方です。

⚠️ただし「冬の巣は放置していい」という意味ではありません。空になった巣も、そのままにすれば塗装の邪魔になり、見た目も悪い。工事のときに落としてもらえば済む話です。費用が発生するとしても、駆除ではなく撤去の手間ぶんになります。

工事はどうなるのか——止まる期間と費用

活動している巣が見つかった場合、実際にどう進むかを書きます。

1. その面の作業が止まります

これは正当な中断です。職人が刺されれば労働災害になりますし、足場の上で刺されて驚けば、転落という重大事故につながります。「気をつけて作業してください」で済ませられる話ではありません。

止まるのは、たいてい「その面だけ」です。反対側の壁や屋根の作業は続けられることが多いので、工事全体が完全に停止するとは限りません。

2. 駆除の手配をします

ここで施主に連絡が来ます。選択肢は2つです。

  • 施主が駆除業者を手配する——自分で探して依頼します。市の補助金を使う場合は、こちらが基本になります(後述)
  • 塗装業者に手配を頼む——付き合いのある駆除業者を紹介してもらえることがあります。ただし費用は施主負担が原則で、手配の手数料が乗ることもあります

3. 駆除のあと、数日空けることがあります

駆除の当日に作業を再開できるとは限りません。神戸市も「2、3日の間は、働きバチが巣のあった場所を飛ぶことがあります」と書いています。巣に帰ってきた蜂が、しばらく周囲を飛ぶためです。

つまり工期は数日延びる可能性があります。足場が立っている日数も、そのぶん延びます(工程と日数足場のある期間の防犯)。

4. 追加費用が発生します

発生しうるのは駆除費用と、場合によっては工期延長にともなう費用です。後者は、多くの会社では請求されません(天候による順延と同じ扱い)。ただし、長期にわたる場合は話し合いになります。

いずれにせよ追加費用は、発生する前に説明があるのが筋です。工事が始まってから出てくる費用の扱いは追加費用のページにまとめました。

駆除費は誰の負担か

結論は「原則として施主負担」です。理由は3つあります。

  • ①巣は、工事とは関係なく元からそこにあったものです。工事が作ったものではありません
  • ②駆除は塗装工事の範囲外です。見積書にも入っていません
  • ③駆除には専門の資格や装備が要ります——塗装業者が善意でやって刺されれば、それこそ大問題になります

ただし、これは「泣き寝入り」という意味ではありません。やるべきことがあります。

契約前に、聞いて決めておけます

見積もりのときに、こう聞いてください。

「工事中に蜂の巣が見つかった場合、どうなりますか」

これで、次のことが事前に分かります。

  • 駆除業者を紹介してもらえるのか、自分で探すのか
  • 手配してもらう場合、費用はいくらぐらいか(目安でよい)
  • 手数料が乗るのか、実費だけか
  • 工期が延びた場合、費用はどうなるのか

この質問は、蜂に限った話ではありません。工事を始めてから出てくる想定外——下地の傷みが予想より重かった、雨樋が割れていた、蜂の巣があった——その扱いを、契約前にどう説明するかで、会社の姿勢が見えます。

数社に同じ質問をしてみてください。「そのときはご相談ですね」で終わる会社と、「うちは駆除業者を紹介して、費用は実費でお客様負担です。工期は2〜3日みてください」と即答する会社があります。後者は、実際に経験しているということです。

⚠️逆のケースもあります。職人が作業中に巣を壊してしまった場合です。軒天を触ったら中に巣があった、という状況はありえます。この場合は話し合いになりますが、刺されたのが職人なら、それは業者側の労災の話です。施主が責任を負う筋合いはありません。大切なのは、事前に「ここに巣がある」と共有しておくこと——それができていれば、揉めようがありません。

自治体の補助金があることがあります

意外に知られていませんが、スズメバチの巣の駆除費用に補助金を出している市町村があります。実例を挙げます。

愛知県丹羽郡大口町「スズメバチ類駆除補助金」(町公式)

・対象=町内に土地もしくは家屋を所有している方、または町内に住所を有している方で、町内に営巣しているスズメバチ類の巣を駆除された方
・補助額=駆除に要した経費の2分の1(限度額5,000円、100円未満切捨て)
・⚠️「平日は、必ず町の職員による現場の確認を受けてから、専門業者に駆除を依頼してください」
・休日の場合=駆除前・駆除後の写真を撮影・保存・印刷して業者に依頼し、領収書を受け取る

ここに大事な手順があります。——「先に市町村へ連絡してから駆除する」。駆除してしまってからでは、対象外になることがあります。工事中に見つかって慌てて駆除すると、補助金があった市でも、もらえなくなるわけです。

補助金がない自治体でも、窓口はあります

補助金を出していない市町村のほうが多いのが実情です。それでも相談先を案内していることがあります。

愛知県津島市「スズメバチの駆除」(市公式)

「市ではスズメバチの巣の駆除は行っておりませんが、公益社団法人愛知県ペストコントロール協会所属の業者を紹介しています。」
公共施設内でスズメバチの巣を発見した場合は、市で駆除するとしています

神戸市も同様に、個人宅の駆除や費用負担は行っておらず、助成制度も2022年3月31日で終了と明記したうえで、事業者団体(都道府県のペストコントロール協会)に問い合わせれば、作業内容に応じたおおよその価格を提示してもらえると案内しています。

つまり「市に電話すれば駆除してもらえる」という期待は、ほとんどの自治体で外れます。ただし「補助金があるか」「どこに頼めばいいか」を聞くには、市の環境担当課が正しい窓口です。

💡制度は年度で変わります。上に挙げた大口町の補助金も、津島市の紹介も、確認した時点のものです。「◯◯市 スズメバチ 駆除 補助金」で検索するか、市役所の環境担当課に電話するのが確実です。住宅リフォームの助成金についても同じことが言えます(助成金・補助金のページ)。

⚠️駆除業者選びには、消費者トラブルの報告があります。神戸市は参考情報として「広告では安価な駆除費用を謳っていたが、実際は高額請求をされたという消費トラブルが消費生活センターに寄せられています」と注意を促しています。作業前に金額を確認し、追加が出る条件を聞く——外壁塗装の業者選びとまったく同じ話です(トラブルの相談先)。

「蜂が寄りにくい塗料」はあるのか

ここは正直に書きます。当サイトは、「この塗料なら蜂が来ない」という話は扱いません。根拠を示せないからです。

検索すると「蜂が好む塗料」「蜂が集まりにくい色」といった説明を見かけますが、公的機関やメーカーが公表している裏づけを、当サイトでは確認できていません。確認できていないことを、あるように書くことはしません。

代わりに、公表されている事実だけを書きます

  • 蜂は黒いものを攻撃する——神戸市は駆除の際の服装として「白を基調としたもの。(ハチは黒いものを攻撃します)」としています。ただしこれは「巣に近づく人間の服装」の話で、壁の色で営巣場所を選ぶかどうかとは別の話です
  • 蜂は匂いに誘引される——同じく「化粧や香水などは使用しない。(ハチは匂いにも誘引されます)」。塗料の溶剤臭で蜂が寄る、あるいは逃げるという公表情報は見当たりません
  • 営巣場所として選ばれるのは「雨風がしのげる閉鎖的な空間」——これは各自治体の説明から明らかです

ここから言えることは1つだけです。塗料の種類や色よりも、「隙間があるかどうか」のほうが効きます。塗装工事のついでに、換気扇フードのカバー、戸袋の隙間、破風の継ぎ目といった入口を減らしてもらうほうが、はるかに現実的です。

💡塗装したら蜂が来なくなる、とも限りません。逆に「塗り替えた翌年にまた作られた」ということも起こります。蜂が選ぶのは、その場所の形だからです。軒の深い家、入り組んだ形の家は、塗り替えても形は変わりません。期待の置きどころは、塗料ではなく隙間の処理です。

自分で取るか、業者に頼むか

費用を抑えたいので自分で、と考える方もいます。公的機関は、条件つきで自力の駆除方法を公開しています。その条件を正確に書きます。

神戸市が示す自力駆除の条件と方法

スズメバチの巣を自分で駆除するときは、女王バチだけが単独で巣づくりしている6月くらいまでの、小さな巣(徳利を逆さにした形)のうちに行う
ボール型に大きくなった巣の駆除は大変危険なので、専門の駆除業者に依頼する
時間=作業は夜間に、周囲に明かりがないことを確認して行う(暗闇ではハチの活動が鈍る)
服装=厚手の長袖・長ズボン、厚手の手袋、首にタオル、フルフェイスのヘルメットあるいは顔全体を防御できるネット付の帽子白を基調とし、化粧や香水は使用しない
方法=昼間に巣の位置を確認し、風上に立ってハチ専用のスプレー式殺虫剤を巣の出入り口に噴霧し続ける。翌朝、明るくなってから棒などで巣を落とす
巣や死んだハチは素手で触らず、ホウキなどで集めて袋へ

アシナガバチについては「殺虫剤に弱いため、比較的簡単に駆除できます」とされています。ただし同じく「駆除は巣が小さいうちに行うようにしましょう」という条件つきです。

ただし、外壁塗装の場面では話が別です

ここに、このページとしての線を引きます。

自分でやってよいのは、地上から手が届く高さの、小さな巣だけです。

軒下・2階・足場の上——ここは、絶対に自分でやらないでください。

理由は、蜂ではなく高さです。殺虫剤を噴霧すれば、蜂は飛び出してきます。それを脚立の上や足場の上で受ければ、反射的に体が動いて、落ちます。夜間の作業ならなおさらです。

「足場があるから自分でやれる」と考えないでください。足場は職人が作業するためのもので、慣れていない人が夜間に殺虫剤を持って上がる場所ではありません。足場の使用は、契約上も工事関係者に限られるのが普通です。

高い場所の巣は、費用を払って専門業者に頼む。ここは割り切ってください。

巣の大きさで、対応が変わります

同じ「蜂の巣」でも、大きさで危険度も費用もまったく違います。公表されている形の変化が、そのまま目安になります。

状態時期の目安対応
逆さにした徳利のような形(スズメバチ初期)6月くらいまで——女王バチが1匹で作っている段階働きバチがいません。公的機関も、自力駆除はこの段階までとしています。ただし手の届く高さに限る
丸いボール型(スズメバチ後期)7月以降「駆除は大変危険」と明記されています。専門業者一択です
お椀型で、六角形の穴が見える(アシナガバチ)大きくなっても数十匹規模殺虫剤に弱いとされますが、「巣が小さいうちに」が条件です
出入口しか見えない(壁の中・床下・戸袋)時期を問わずいちばん厄介です。全体の大きさが分からず、塗り込めることもできません

外壁塗装の場面で多いのは、「工事が始まる夏場に、すでにボール型になっている」というパターンです。塗り替えの依頼が増えるのが春から初夏で、実際の工事が夏になることが多い——蜂の最盛期と重なります。

だから春に契約したなら、工事前の1週間くらいに、もう一度家のまわりを見てください。契約時には何もなかった場所に、巣ができていることがあります。数週間で徳利型からボール型に育ちます。

賃貸・アパートの場合は、まず大家さんへ

賃貸住宅にお住まいで、建物の外壁塗装が予定されている、あるいはベランダに蜂の巣ができたという場合の話です。

結論から言うと、原則として対応するのは貸主(大家・管理会社)です。

民法(賃貸借)

第606条第1項賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う(賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない)
第615条賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を主張する者があるときは、賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならない(賃貸人が既にこれを知っているときは不要)

建物の軒下や外壁に営巣されるのは、借主の責任で起きたことではありません。そして借主には「気づいたら遅滞なく知らせる」義務があります。やることは1つで、見つけたら、すぐ管理会社か大家さんに連絡する。これだけです。

勝手に駆除業者を呼んで、あとから請求するのは避けてください。費用の負担でもめる原因になります。連絡して、指示を待つ。それが確実です。

💡分譲マンションの場合は、共用部分か専有部分かで窓口が変わります。外壁や軒、共用廊下は共用部分なので管理組合・管理会社。バルコニーは専有使用が認められた共用部分という扱いが一般的で、管理規約によって対応が分かれます。いずれにせよまず管理会社に連絡すれば案内があります。

そして、これは外壁塗装そのものにも同じことが言えます。賃貸住宅の外壁塗装は貸主が発注するもので、借主が業者を選ぶことはありません。当サイトの費用や業者選びの話は、持ち家(戸建て)を前提にしています。賃貸にお住まいの方は、工事の日程と生活への影響だけ確認しておけば足ります工事中の暮らし)。

ついでに書いておくと、賃貸住宅の外壁塗装を、借主が断ることはできません。同じ民法の第606条第2項に、「賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない」と定められています。外壁塗装は建物を保存するための工事なので、これに当たります。

とはいえ、日程の相談まで拒まれるわけではありません。ベランダが使えない期間、洗濯物、在宅勤務の音——困ることがあれば、管理会社に伝えて調整してもらうのは普通のことです。「拒めない」と「相談できない」は別の話です。

来年のための予防——春先が勝負です

生活史を思い出してください。4月中旬に女王バチが越冬から覚め、6月頃に1匹で巣を作り始めます。つまり春先に女王バチを減らせば、その年の巣は減るという理屈になります。

自治体が具体的な方法を公開しています。

愛知県津島市「ペットボトルでスズメバチ対策」(市公式)

春先(3月から5月)にハチトラップを仕掛け、女王バチを捕殺することにより、家の周辺に巣を作らせないようにする効果が期待できます。

【材料】ペットボトル(1.5〜2.0L)、吊り下げ用のひも、カッター、油性マジック、誘引剤(酒300ml、酢100ml、砂糖125g)
【作り方】ペットボトル上部に1.6cm四方の正方形を2〜4か所描き、左右と上辺に切り込みを入れて内側に折り曲げる。誘引剤を入れてキャップを閉める
【仕掛け方】キャップ下にひもを取り付け、高さ2mほどの直射日光の当たらない木の枝などに吊り下げる(人通りの少ない場所に設置)
⚠️自分の敷地以外の場所に設置してはいけません

このトラップは春先に限った話です。夏以降に仕掛けると、働きバチを大量に呼び寄せることになります。時期を守ってください。

塗装工事のときにできる予防

もう一つ、工事の機会にしかできない予防があります。入口を減らすことです。

  • 換気扇フードにカバーや網が付いているか——外れていれば、そこは空洞への入口です
  • 戸袋の隙間——使っていない雨戸の戸袋は、閉じられるなら閉じる
  • 破風や軒天の継ぎ目、割れ——塗装工事で補修される部分ですが、「隙間が塞がるか」を意識して見てもらうと違います
  • 通気口・水切りの奥——網が破れていないか

これらは全部、足場があるうちにしか手を入れられない場所です。「蜂が入りそうな隙間があったら教えてください」と一言頼んでおくだけで、職人は見てくれます。塗る作業のついでに見える場所だからです。

⚠️ただし、通気のための穴を塞いではいけません。軒裏の換気口、基礎の通気口は、家の中の湿気を逃がすためにあります。塞げば結露や腐りの原因になります。塞ぐのは「隙間」、残すのは「通気口」——この区別は職人が分かっています。素人判断でコーキングを詰めないでください(軒天のページ)。

刺されてしまったら

万一のときのために、要点だけ書きます。

  • まず、その場から離れる——1匹に刺されると、仲間を呼ぶ物質が出ます。低い姿勢で、静かに、素早く離れてください
  • 手で払わない——大きな動きは攻撃と受け取られます
  • 刺された場所を流水で洗い、冷やす
  • すぐに医療機関へ——とくに息苦しさ、めまい、じんましん、吐き気が出た場合は救急要請を含めて急いでください。アナフィラキシーは短時間で進みます
  • 過去に刺されたことがある人は、とくに注意——2回目以降に強い反応が出ることがあります

⚠️ここは医療の話なので、当サイトでは判断の目安までは書きません。症状の程度に迷ったら、受診してください。工事中に職人が刺された場合は、業者側の労災の手続きになります——施主が対応を判断する話ではありません。救急要請が必要な状態なら、迷わず119番です。

よくある質問

見積もりのときに蜂の巣が見つかったら、その場で断られますか?

断られることはまずありません。「駆除してから工事しましょう」という話になるだけです。むしろ、見積もりの段階で見つかるのは幸運です。工事日程を決める前に対処できるからです。駆除の予定を組んでから着工日を決められるので、工期が乱れません。

空になった古い巣は、そのままにしておいても大丈夫ですか?

蜂が戻ってくることはありません。公的機関が「残った巣が翌年に利用されることはありません」と明記しています。ただし塗装のときには落とすことになります。巣が付いたままでは塗れませんし、古い巣は雨で崩れて汚れの原因にもなります。工事の前に自然に片付く問題と考えてください。

壁の中に巣があるようです。塗装で塞げますか?

塞いではいけません。閉じ込められた蜂は、別の出口を探して室内側に出てくることがあります。ヒメスズメバチのように床下、壁の間、物置の中など閉鎖された空間に巣をつくる種類もいます。壁の中の営巣は、駆除業者でも難易度が上がる案件です。塗装業者ではなく、先に駆除業者に見てもらってください。

近所の家の蜂の巣が、うちの工事の邪魔になっています

巣がある土地の所有者・管理者に相談するのが筋です。神戸市も「ご自宅以外に巣が出来た場合は、その所有者・管理者に相談してください」としています。勝手に駆除することはできません。言いにくい場合は、工事の挨拶のときに業者から状況を説明してもらうという方法もあります(近所への挨拶)。

駆除の費用はどれくらいかかりますか?

当サイトでは金額の目安を出しません。巣の大きさ、高さ、場所(壁の中か、露出しているか)、蜂の種類で大きく変わり、根拠を示せる相場が公表されていないためです。神戸市が案内しているように、都道府県のペストコントロール協会に問い合わせれば、作業内容に応じたおおよその価格を提示してもらえます。まずはそこが確実です。

蜂がいるので、工事を来年に延期したほうがいいですか?

それも選択肢です。とくに7月下旬から8月中旬の最盛期にぶつかっているなら、秋以降にずらすだけで問題が消えます。ただし外壁の傷みが進んでいるなら、延期の判断は別です。蜂は今年の問題、外壁は10年の問題——優先順位はそちらで決めてください(時期の選び方)。

足場に蜂が飛んできて、職人さんが作業を止めました。文句を言っていいですか?

言わないでください。足場の上で刺されれば、転落事故になります。これは職人の安全の問題であり、止まるのが正しい判断です。同じように、強風や雨で作業が止まるのも正当です(労働安全衛生規則は、高さ2m以上の場所で悪天候のときの作業を禁じています)。安全のために止まる会社のほうが、無理に進める会社より信用できます。

工事中に子どもやペットが刺されないか心配です

巣が見つかった時点で、その面には近づかないでください。職人にも「子どもがいます」と伝えておくと、養生や動線に配慮してもらえます。工事中は庭やベランダに出る機会も減らしたほうが安全です。工事中の暮らし全般はこちらのページにまとめました。

あわせて読みたい

工事中の追加費用

始まってから出てくる費用の扱い方

軒天の塗装

巣がいちばん多い場所。通気口は塞がない

時期と天候

秋冬に回せば、蜂の問題は消えます

工事中の暮らし

子ども・ペット・洗濯物の注意

足場のある期間の防犯

工事中に増えるもう一つの心配

トラブルの相談先

高額請求への対処は塗装も駆除も同じ

参考にした情報

  • 神戸市「スズメバチと上手につき合おう」「アシナガバチと上手につき合おう」(最終更新2026年3月18日)——種類別の営巣場所(キイロスズメバチ=軒下・天井裏、ヒメスズメバチ=床下・壁の間・物置、セグロアシナガバチ=室外機の中、キアシナガバチ=換気扇フード内ほか)/体型と飛び方・巣の形による見分け方/生活史(4月中旬〜11月〜3月)/「巣は1年限りで中は空になり、残った巣が翌年に利用されることはありません」/自力駆除の条件・時間・服装・方法/個人宅の駆除と費用負担は行っていない旨/消費生活センターに寄せられた高額請求のトラブル
  • 愛知県丹羽郡大口町「スズメバチ類駆除補助金」——駆除に要した経費の2分の1(限度額5,000円)/平日は町職員の現場確認を受けてから業者へ依頼、休日は駆除前後の写真で代替
  • 愛知県津島市「スズメバチの駆除」——市では駆除を行わず、公益社団法人愛知県ペストコントロール協会所属の業者を紹介/公共施設内の巣は市が駆除/ペットボトルによるハチトラップの作り方(春先3月〜5月、誘引剤=酒300ml・酢100ml・砂糖125g、高さ2mほどの直射日光の当たらない場所、自分の敷地以外に設置しない)
  • 民法(明治29年法律第89号)第606条(賃貸人による修繕等/第2項=保存に必要な行為を賃借人は拒むことができない)、第615条(賃借人の通知義務)/e-Gov法令検索
  • 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第522条——高さ2m以上の箇所での悪天候時の作業禁止

最終確認日:2026年8月26日。蜂の種類や生活史は地域と気候によって前後します。補助金・相談窓口の有無は市町村ごとに異なり、年度で変わります。実際の対応はお住まいの自治体と、専門の駆除業者にご確認ください。高所の巣に、ご自身で近づかないでください。刺されて体調に異変を感じた場合は、ただちに医療機関を受診してください。