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雨戸の塗装——スチールかアルミかで、必要かどうかが変わります

「雨戸も塗りますか」と聞かれて、迷う方は多いと思います。答えは材質で変わります。スチールの雨戸は錆びて穴が開くので塗装は保護。アルミの雨戸は穴が開かないので、塗るのは美観のためです。まず自分の雨戸がどちらかを確かめるところから始めてください。

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このページの内容

先に確認——その雨戸は、スチールですか、アルミですか

雨戸の話は、ここから始まります。材質が違えば、塗る意味そのものが変わるからです。

材質見分け方建てられた時期の目安
スチール(鉄)磁石がくっつきます。叩くと重い音。錆が出ていればほぼスチール昭和〜平成初期の住宅に多い
アルミ磁石がくっつきません。軽い。白っぽい粉が吹くことはあっても、赤い錆は出ません近年の住宅はほとんどこちら
木製見れば分かります。反り、割れ、塗膜の剥がれ古い家。数は少ない

いちばん簡単なのは、磁石を持っていって当ててみることです。冷蔵庫に貼るマグネットで足ります。くっつけばスチール、くっつかなければアルミ。30秒で分かります。

そして、業者にもこう聞けます。「うちの雨戸は、スチールですか、アルミですか」。現地を見た人なら即答できる質問です。ここで曖昧な返事しか返ってこないなら、雨戸をちゃんと見ていない可能性があります。

スチールなら「保護」、アルミなら「美観」

材質が分かったら、塗る意味がはっきりします。

スチールの雨戸——塗らないと壊れます

鉄は錆びます。そして錆は膨らみます。塗膜を内側から押し上げて剥がし、そこから水が入って、さらに錆が広がる。進むと穴が開き、最後はちぎれます。

雨戸は、家の中でもとくに条件の厳しい鉄部です。雨がまともに当たり、日射を受け、風で埃をかぶり、しかも人が触ります。だからスチールの雨戸にとって塗装は「やったほうがいい」ではなく「やらないと壊れる」ものです。

アルミの雨戸——塗らなくても穴は開きません

いっぽうアルミは、表面が白くくすんだり粉を吹いたりすることはあっても、そこから穴が開いて崩れていくことはありません。アルミサッシと同じ性質です(アルミサッシの塗装)。

つまりアルミの雨戸を塗る理由は「見た目」です。外壁を塗り替えたら雨戸だけ古びて見える、色を揃えたい——これはまっとうな動機ですが、「塗らないと傷みますよ」と言われて不安になる必要はありません。

⚠️ただし、アルミにも注意点があります。アルミは塗料が密着しにくい素材なので、専用の下塗り(プライマー)が要ります。普通の鉄部用塗料をそのまま塗ると、数年で剥がれることがあります。「アルミに使える下塗りは何を使いますか」と聞いてください。

雨戸の種類——羽根があるかどうかで、手間が変わります

ひとくちに雨戸と言っても、いくつか種類があります。塗る手間は、種類によってかなり違います。

種類どんなもの塗るときの手間
引き違い雨戸(平板)平らな板を横にスライドさせる、いちばん一般的なタイプ標準。平らな面なので塗りやすい
ルーバー雨戸(可動ルーバー)羽根(ルーバー)が並んでいて、角度を変えて通風できる手間が大きい。羽根の1枚ずつに表と裏があります
防犯雨戸厚みがあり、鍵の機構が付いている機構部分に塗料が入らないよう配慮が要ります
シャッター(巻き取り式)上に巻き上げる。雨戸とは別物シャッターのページ

いちばん差が出るのはルーバー雨戸です。羽根が20枚あれば、塗る面はその倍の40面。しかも隙間があるので、吹き付けでも刷毛でも時間がかかります。同じ「雨戸1枚」でも、平板とルーバーでは手間が2倍以上違うことがあります。

だから見積もりのときに「うちはルーバーですが、平板と同じ単価ですか」と聞いておくと、あとで話が食い違いません。逆に、ルーバーなのに平板と同じ金額が出ていたら、現物を見ていない見積もりの可能性があります。

塗る前に——そもそも、ちゃんと動きますか

塗装の話をする前に、確かめておきたいことがあります。その雨戸、いま普通に動きますか。

次のどれかに当てはまるなら、塗る前に相談する価値があります。

  • 開け閉めが重い、途中で引っかかる——戸車の摩耗、レールの変形、ゴミ詰まりが原因のことが多い
  • ガタガタと音がする、脱線しそうになる——戸車かレールの問題
  • 閉めても隙間が空く——建具の歪み。塗っても直りません
  • 何年も動かしていない——固着していることがあります

塗装は、動きを直す工事ではありません。むしろ塗膜のぶん、わずかに厚くなります。「動きが渋いから塗り直したい」というのは、順番が逆です。

ただし、塗装のついでに調整してもらえることはあります。外して塗る場合は特に、レールの掃除や戸車の確認をしてもらえることが多い。「動きが重いのですが、ついでに見てもらえますか」——この一言を、現地調査のときに言っておいてください。戸車の交換が必要なら、それは塗装とは別の工事になります。

そして、この確認をしないまま工事に入ると、あとで困ります。塗り終わってから「前から動きが悪かった」と言っても、塗装のせいなのか元からなのかが分からなくなるからです。現地調査に来てもらったとき、実際に開け閉めして見せておく——それだけで、認識が揃います。

ケレンとは何か——国の仕様書に3つの種別があります

雨戸の見積書には、まず間違いなく「ケレン」という言葉が出てきます。錆や浮いた古い塗膜を落として、塗料が食いつくように表面を整える作業です。

そしてケレンには、国が定めた種別があります。公共建築工事標準仕様書の「鉄鋼面の素地ごしらえ」(表18.2.2)です。

種別錆を落とす方法(仕様書の記載)どこで行うか
A種酸漬け、中和及び湯洗いにより除去。さらにりん酸塩処理まで行う製作工場等(注記に明記)
B種ブラスト法により除去
C種ディスクサンダー、スクレーパー、ワイヤブラシ、研磨紙P120〜220等で除去現場でできる

※出典:公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 表18.2.2「鉄鋼面の素地ごしらえ」。同表の注記に「A種及びB種は、製作工場等で行うものとする」とあり、18.2.3では「種別は特記による。特記がなければ、C種とする」と定められています。

この表から読み取れることが、2つあります。

  • 戸建ての現場でできるのはC種だけです。A種の酸漬けもB種のブラストも、工場の設備がなければできません。だから「うちはA種ケレンでやります」と言われたら、それは現場では成立しない話です
  • C種の中身は、道具の名前で決まっています。ディスクサンダー(電動工具)、スクレーパー、ワイヤブラシ、研磨紙。つまり「手と電動工具で落とす」のがケレンの実体です

だから、施主が聞けることは具体的です。「ケレンは、どの道具でどこまで落としますか」。錆が浮いている雨戸なら、ワイヤブラシだけでは足りません。ディスクサンダーを使うかどうかで、落ちる範囲が変わります。

そしてケレンは、完成すると絶対に見えなくなる工程です。塗ってしまえば、どれだけ丁寧に落としたかは分かりません。差が出るのは数年後、錆が塗膜を押し上げてきたときです。だから工程の写真をもらってください。「ケレン後の写真を1枚いただけますか」——これだけで、やる側の意識が変わります。

錆止めは、屋外なら溶剤系が標準です

ケレンの次は錆止め(さび止め塗料)です。ここにも国の基準があります。

種別塗料塗付け量標準膜厚適用
As種JIS K 5674 鉛・クロムフリーさび止めペイント 1種(溶剤系)0.10kg/㎡30μm屋外、屋内
Bs種水系さび止めペイント、またはJIS K 5674 2種(水系)0.11kg/㎡30μm屋内

※公共建築工事標準仕様書 表18.3.1「鉄鋼面の錆止め塗料の種別」より抜粋。同表の注記に「JIS K 5674に基づき、1種は溶剤系、2種は水系である」とあります。

注目してほしいのは「適用」の欄です。溶剤系のAs種は屋外にも屋内にも使えるのに対し、水系のBs種は屋内だけとされています。

雨戸は、当然ながら屋外です。だから錆止めに溶剤系(油性)が使われるのは、手抜きでも古い工法でもなく、標準的な選択です。外壁は水性が主流になっていますが(水性と油性の違い)、鉄部の錆止めは別の話だと考えてください。

「においが気になるので全部水性で」と頼むと、鉄部の錆止めまで水性になることがあります。頼む前に「屋外の鉄部でも水性で大丈夫ですか」と一度確認してください。においについてはにおいのページにまとめました。

雨戸は「動く」——塗膜が擦れる場所

雨戸が他の付帯部と決定的に違うのは、動くことです。壁も雨樋も動きませんが、雨戸は開け閉めのたびにレールの上を滑り、戸袋に出入りします。

ここから、雨戸特有の問題が出てきます。

  • 塗膜が厚すぎると、動きが渋くなる——特に框(かまち)の縁や、戸どうしが重なる部分
  • 擦れる場所は塗膜が先に減る——レールに接する下端、戸袋の中で接触する面
  • 乾く前に動かすと、塗膜がくっつく——閉じたまま乾かすと、重なった面が貼り付くことがあります

だから、雨戸の塗装では「どこを塗って、どこを塗らないか」が重要になります。まともな職人は、動きに影響する部分の塗り方を変えます。

施主が確認するのは1つだけです。「塗ったあと、動きが渋くなったりしませんか」。この質問に、「乾いてから調整します」「レールは塗りません」といった具体的な答えが返ってくるかを見てください。「大丈夫です」だけなら、もう一歩聞いてかまいません。

戸袋とレールは、どうなるのか

雨戸を頼むとき、意外と抜けやすいのが戸袋(とぶくろ)です。雨戸を収める箱のことで、これも塗装の対象になります。

部位塗るか理由
雨戸本体(表面)塗るいちばん日と雨を受ける面
雨戸の裏面塗ることが多い外して塗る場合。付けたままだと塗れないことも
戸袋(外側)塗る雨戸と同じ材質・同じ条件。ここだけ塗り残すと目立ちます
戸袋の内側基本は塗らない手が入らない。無理に塗ると雨戸の動きに影響します
レール(下枠)塗らない塗膜の厚みで動きが渋くなる。擦れてすぐ剥がれます
戸車塗らない動く部品。塗ると回らなくなります

ここで見積書を確認してください。「雨戸 ◯枚」とだけ書かれていて、戸袋の記載がないことがあります。その場合、戸袋が含まれているのかどうかを聞いてください。雨戸だけ新しくなって戸袋が古いままだと、かえって目立ちます。

聞き方は簡単です。「この金額に、戸袋は入っていますか」。付帯部の数え方については付帯部の塗装にまとめました。

外して塗るか、付けたまま塗るか

雨戸の塗り方には、大きく2つあります。どちらが正しいという話ではなく、状況で選ばれます。

外して塗る付けたまま塗る
仕上がり裏面や縁まで塗れる。ムラも出にくい表から見える面が中心になる
やり方庭やガレージに並べて、吹き付けで塗ることが多いローラーと刷毛。養生が要ります
その間の窓雨戸がない状態になります閉められない期間ができます
向いている場合枚数が多い、錆が進んでいる、しっかり塗りたい枚数が少ない、外すと戻せない古い建具

外して吹き付けるのは、雑なやり方ではありません。むしろ、平らな面を均一に塗るには合理的な方法です。吹き付けとローラーの違いはこちらのページに書きました。

ただし、外す場合は防犯とプライバシーを確認してください。「雨戸を外している間、夜はどうなりますか」——1日で戻るのか、数日かかるのか。1階の道路に面した窓なら、気になる方も多いはずです。

※古い雨戸は、外すときに壊れることがあります。レールが変形していたり、戸車が固着していたり。「外してみないと分からない」と言われたら、それは正直な答えです。壊れた場合にどうするか(交換になるのか)を先に聞いておくと、あとで追加費用の話になりません。

何日、開け閉めできないのか

暮らしに直結する話です。雨戸を塗ると、乾くまで動かせません。

目安はこうなります。

  • 塗った当日は動かせません——指で触って付かなくなっても、内部はまだ固まっていません
  • 翌日以降に、業者が動作を確認してから使えるようになります——閉じたまま乾かして貼り付くのを避けるため、少し開けた状態で乾かすこともあります
  • 外して塗った場合は、戻すまで使えません——1〜2日空くことがあります

正確な日数は、塗料の種類と気温で変わります。だから聞くのはこれです。「雨戸は、いつから開け閉めできますか」。工程表を持っている会社なら日付で答えられます(工程と工期)。

同じ理由で、シャッターにはもっと長い制約があります。シャッターは巻き取るので、貼り付きのリスクが雨戸より高いためです。シャッターがある家はシャッターの塗装もあわせて確認してください。

費用は「枚数」で数えます

雨戸の見積もりは、面積ではなく枚数で出るのが普通です。「雨戸 8枚 × 単価」という形になります。

だから、施主が確認できることは3つあります。

  1. 枚数が合っているか——自分で数えられます。戸袋も忘れずに
  2. 単価に何が含まれるか——ケレン・錆止め・上塗り2回で1セットなのか、上塗りだけなのか
  3. 戸袋が別行になっているか——含まれているのか、別料金なのか

当サイトでは金額を断定しませんが、構造だけ知っておいてください。雨戸の枚数が増えれば、そのぶん素直に金額が上がります。10枚ある家と2枚の家では、当然違います。「付帯部一式」でまとめられていると、この検算ができません。

そして、雨戸は工程が3つあることを思い出してください。ケレン→錆止め→上塗り(2回のことも)。1枚あたりの手間は、壁の1㎡より大きいことがあります。「雨戸なのに意外と高い」と感じたときは、この工程数を思い出してください。数量の見方は見積書の見方にまとめました。

塗らないという選択——交換とカバー

錆が進んだスチールの雨戸は、塗っても元には戻りません。穴が開いている、下端がボロボロになっている、押すとへこむ——ここまで来ると、塗装は延命であって修復ではありません。

選択肢は3つあります。

選択どういうものか向いている状態
塗るケレン→錆止め→上塗り表面の錆、色あせ。穴が開く前
交換する雨戸を新しいものに替える。レールや戸袋も合わせることがある穴あき、変形、動かない
雨戸をやめる撤去して、代わりにシャッターを付ける/窓の性能を上げる使っていない、開け閉めが負担になってきた

3つ目は、意外と現実的な選択肢です。雨戸を毎日開け閉めしなくなった家は少なくありません。その場合、塗り替えの費用を、窓そのものの断熱改修に回すという考え方もあります。

そして、ここが重要です。窓の断熱改修には、国が大きな補助金を出しています。「先進的窓リノベ2026事業」で、住宅1戸あたり上限100万円。雨戸の塗装は補助の対象外ですが、窓・ドアの断熱改修は対象です。

「雨戸が傷んできた」を入口に、窓まわり全体をどうするかを一度考えてみる価値はあります。制度の中身と、申請するのが施主ではなく登録事業者であることはアルミサッシのページ助成金・補助金ガイドにまとめました。

よくある質問

雨戸だけ塗ってもらうことはできますか?

できます。雨戸は足場がなくても塗れることが多いからです(1階なら特に)。ただし2階の雨戸は足場が要ります。その場合、足場代(15〜25万円)が雨戸のためだけにかかることになるので、外壁塗装のタイミングに合わせるほうが合理的です。1階だけなら、単独で頼んでも構いません。

錆がひどいのですが、塗れば止まりますか?

落とせた範囲までは止まります。ケレンで錆を落とし、錆止めを塗れば、そこから先の進行は抑えられます。ただし落としきれなかった錆は、塗膜の下で進みます。だから「どこまで落とすか」が仕上がりを決めます。穴が開いている、下端が欠けているといった段階なら、塗るより交換を検討する場面です。

自分で塗れますか?

1階の雨戸なら、道具としては扱えます。ただしケレンがいちばんの山場です。錆を落とさずに塗ると、1〜2年で膨れて剥がれます。電動工具(ディスクサンダー)を使うなら、粉が飛ぶので近隣への配慮も要ります。そして外して塗るなら、戻せるかどうかを先に確認してください。DIYの線引きはDIYのページにまとめました。

雨戸の色は、外壁と合わせるべきですか?

決まりはありません。外壁と同系色でまとめると落ち着き、濃い色にすると輪郭が締まって見えます。付帯部を濃い色で締めるのは、外壁を塗り分けなくても印象を変えられる方法です(塗り分けのページ)。ただし濃い色は熱を持ちます。金属の雨戸が真夏に熱くなるのは、色の影響も受けます。

塗ったのに、1年で剥がれてきました

考えられるのは3つです。①ケレンが足りず、錆や旧塗膜の上に塗った ②錆止めを省いた ③アルミなのに専用の下塗りを使わなかった。いずれも完成直後には見えない部分です。保証の対象になるかどうかは契約内容によりますが、まず「なぜ剥がれたと考えられますか」と聞いて、説明を記録に残してください保証のページ)。

雨戸を塗ると、断熱性能は上がりますか?

上がりません。塗装は表面を保護するもので、断熱の性能を変えるものではありません。「雨戸を塗ると暖かくなる」という説明が出てきたら、根拠を聞いてください。寒さが気になるなら、手を入れるべきは窓のほうです(前の章の断熱改修)。

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参考にした情報

  • 国土交通省大臣官房官庁営繕部「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」表18.2.2(鉄鋼面の素地ごしらえ/A種・B種は製作工場等で行う旨の注記)、18.2.3(特記がなければC種)、表18.3.1(鉄鋼面の錆止め塗料の種別/As種は屋外・屋内、Bs種は屋内)
  • JIS K 5674(鉛・クロムフリーさび止めペイント)——1種は溶剤系、2種は水系
  • 先進的窓リノベ2026事業 公式サイト(環境省・経済産業省・国土交通省)

最終確認日:2026年8月25日。仕様書の種別は公共工事に適用されるもので、戸建ての工事に同じ管理を求められるわけではありません。ただし「ケレンとは何をする作業か」を知る基準としては、そのまま使えます。実際の判断は、現物を見た業者にご確認ください。