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アルミサッシの塗装|塗れます。でも無理に塗るものでもありません

結論から書きます。アルミサッシは塗れます。専用の塗料があります。ただし、塗らないと壊れるものではありません。ここを取り違えると、必要のない工事にお金を払うことになります。

このページの内容全10項目

アルミサッシは見積書に載っていないのが正しい側の部位です。「対象外です」と言われたら、素材のせいなのか傷んでいないからなのかを聞いてください。4通りの分かれ方は付帯部(軒天・破風・雨戸)の塗装に。

まず、アルミは放っておいても朽ちません

「アルミサッシは塗装しないほうがいいのか」——よく調べられている質問です。これに答えるには、鉄との違いを知るのが早道です。

同じ「錆びる」でも、行き着く先が違う

鉄とアルミの、錆びたあとの違い 鉄は錆びると膨らみ、穴が開いたりちぎれたりするため塗装が必要。アルミは表面が白くくすむが、鉄のようには朽ちないため、塗装は美観のための選択になる。ただし鉄のビスや金具と接している部分は腐食のおそれがある。 鉄(雨樋の金具・手すり・霧除け) アルミ(サッシ) 錆びると膨らむ 塗膜が浮き、下から錆が広がる 表面が白くくすむ 粉をふいたような見た目になる 穴が開く・ちぎれる 部材そのものが壊れていく 朽ちない 見た目は悪くなるが、割と丈夫 塗装は必要(保護のため) 塗装は選択(美観のため)
鉄部を塗るのは、放っておくと部材が壊れるからです。アルミサッシはそうではありません。この違いが、塗るかどうかの判断の土台になります。

鉄でできた部分——雨樋を留めている金具、手すり、霧除けなど——は、塗装をやめると錆びていきます。錆は膨らむので塗膜を押し上げ、進行すると穴が開いたり、ちぎれたりします。だから鉄部の塗装は「やったほうがいい」ではなく「やらないと壊れる」ものです。

いっぽうアルミは、そうはなりません。表面が白くくすんだり、粉をふいたようになることはありますが、鉄のように錆が膨らんで部材が朽ちていく壊れ方はしません。アルミサッシは、思っている以上に丈夫です。

ただし「アルミだから腐食しない」ではありません。国の仕様書はアルミの建具について「異種金属の接触により腐食のおそれのある箇所には、接触腐食防止の対策を行う」「アルミニウムに接する小ねじ等の材質は、ステンレス製とする」と定めています(公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 5.6.4(5)・5.3.3(6))。先に傷むのはアルミの枠そのものではなく、鉄の部品と接しているところです——ビスまわり、戸車、レール。雨戸での見方は雨戸の塗装のページに書きました。

つまり、アルミサッシを塗る理由は「保護」ではなく「美観」です

ここが分かれ目です。「塗らないと傷みますよ」と言われて不安になる必要はありません。塗らなくても、サッシが壊れて使えなくなることは基本的にありません。

正直に言えば、アルミサッシは無理に塗るものでもありません。塗るとしたら、それは見た目を良くしたいからです。

それでも塗る人がいる理由

とはいえ、どうしても塗りたいという方はいます。理由はだいたい次のどちらかです。

外壁が綺麗になると、サッシが浮く

外壁を塗り替えて見違えるようになったとき、色あせてくすんだサッシだけが古いままに見えてしまう。よくある動機です。

色を変えたい

シルバーのサッシを黒やブロンズにしたい。外壁の色を変えるのに合わせて、窓まわりの印象も変えたい、という希望です。

どちらもまっとうな理由です。家の見た目は住む人の気分に直結します。ただ、「必要な工事」ではなく「やりたい工事」だと分かったうえで選ぶべきだ、というだけの話です。

塗れます。専用の塗料があります

アルミは塗料が密着しにくい素材です。普通の外壁用塗料をそのまま塗っても、うまくいきません。そのため昔から「アルミは塗れない」と言われてきました。

ただ現在は、アルミサッシに対応した専用の塗料があります。代表的なのがBAN-ZI(バンジ)の「RESIDE(リサイド)」です。

項目内容
対象の素材アルミサッシ・樹脂サッシ・樹脂サイディング
下地処理プライマー(下塗り)不要。目粗し(表面を軽く研磨すること)のみ
種類水性・アクリル変性エポキシ樹脂
塗装回数1〜2回
乾燥指触 約20分/塗装間隔 約1.5時間(20℃の場合)
施工条件温度5℃以上・湿度85%以下
納期色によっては1〜2週間かかることがあります

出典:BAN-ZI公式ネットショップの製品仕様(2026年8月時点)。

この塗料はホームセンターやネット通販でも買えるため、「DIY用品でしょ」と思われがちです。ですが、アルミサッシに塗れることになっている数少ない製品で、プロの現場でも使われます。BAN-ZIはもともと錆転換塗料(サビキラーなど)で知られる、一風変わった下地材を得意とするメーカーです。

塗らないほうがいい部分があります

「サッシを塗る」といっても、全部を塗るわけではありません。

動く部分は塗りません

とくにレールは避けます。塗膜の厚みのぶんだけ寸法が変わるため、窓の開け閉めに影響が出ます。戸車やパッキンなど、動いたり触れ合ったりする部分も同じです。

塗るのは動きのない枠の部分になります。「サッシを全部塗ってピカピカに」というイメージとは、少し違うかもしれません。

それから、サッシの種類によっては、そもそも塗るべきでないものがあります。

  • 防火設備の認定を受けているサッシ——認定の条件が変わってしまう可能性があります
  • 樹脂複合枠の高性能サッシ(断熱・高気密タイプ)——メーカー保証の対象外になる可能性があります

これは施主が図面を見て判断できるものではありません。「うちのサッシ、塗って大丈夫なタイプですか」と業者に確認してください。答えられない業者なら、やめておいたほうが無難です。

何年もつのか

塗料メーカーや施工業者の資料では、6〜10年程度とされることが多いようです。ただし、これは条件が揃った場合の目安です。

  • 日当たり——南面・西面は紫外線を受け続けます
  • 雨のかかり方——庇のない窓は濡れる時間が長くなります
  • 海が近いか——潮風のある地域は条件が厳しくなります
  • 手が触れる場所か——サッシは人が触る部分でもあります

外壁と同じサイクルとは限りません

外壁の塗り替えは、シリコンやフッ素なら10年以上を見込みます。サッシの塗装がそれと同じだけもつとは限りません。

「一度塗れば、次の外壁塗装まで気にしなくていい」とは考えず、途中で手を入れる可能性があるものとして選んでください。

塗る・交換する・内窓を足す——目的別の選び方

ここで一度、視野を広げておきます。「サッシに何か手を入れたい」という気持ちの中身は、人によって違います。そして中身が違えば、正解も違います。

やりたいこと向いている方法ひとこと
見た目を整えたい・色を変えたい塗装いちばん費用が軽い。外壁の足場があるうちに
冬に寒い・窓が結露する内窓の追加、ガラス交換塗装では1ミリも変わりません。断熱の話です
外の音が気になる内窓の追加窓と窓のあいだの空気層が効きます
開け閉めが重い・すきま風が入るサッシの交換(カバー工法)建具そのものが歪んでいる可能性。塗装では直りません
雨が入ってくるシーリングの打ち替え、防水の補修サッシまわりの雨漏りへ

塗装で解決するのは、いちばん上の1行だけです。寒い・結露する・音がうるさい・すきま風——これらは、どれだけ丁寧に塗っても変わりません。逆に言えば、目的が「見た目」だとはっきりしているなら、塗装はいちばん安く済む方法です。

国が補助金を出しているのは、塗装ではなく断熱改修です

そして、ここが多くの方が知らないまま損をしているところです。窓の断熱改修には、国が大きな補助金を出しています。

「先進的窓リノベ2026事業」——経済産業省・国土交通省・環境省の3省が連携して行っている事業で、正式名称は「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業」。令和7年度補正予算で1,125億円が確保されています。

項目内容(公式サイトより)
補助の上限住宅1戸あたり100万円
対象となる工事ガラス交換/内窓設置/外窓交換(カバー工法・はつり工法)/ドア交換(他の窓の工事と同じ契約で、同時に申請する場合のみ)
下限1申請あたりの合計補助額が5万円以上の工事が対象
工事の着手時期2025年11月28日以降に着手したもの
交付申請の期間申請開始〜遅くとも2026年12月31日まで(予算上限に達した場合は、その時点で終了)
申請する人施主ではなく「登録事業者」(工事をする会社)が代わりに申請し、交付された補助金を施主に還元する仕組み

※出典:先進的窓リノベ2026事業 公式サイト「事業概要」(2026年8月時点)。補助対象となる窓・ガラス・ドアは、この事業の性能要件を満たすことが確認された製品に限られます。過去の窓リノベ事業(令和4年度補正・2024・2025)で補助を受けた開口部は対象外です。制度の内容は変更されることがあるため、必ず公式サイトで最新の情報を確認してください。

この100万円という数字を、外壁塗装の助成金と並べてみてください。自治体の外壁塗装向けの助成金は、あっても数万円から20万円程度が一般的で、そもそも制度がない市町村も多くあります(助成金・補助金のページ)。窓の断熱改修は、桁がひとつ違います。国が本気で予算を付けている分野だからです。

そしてサッシの塗装は、この補助の対象ではありません。塗っても断熱性能は上がらないからです。「サッシに手を入れたい」と考えたとき、塗装だけを検討して終わるのは、いちばん大きな選択肢を見ないまま決めることになります。

だから、順番はこうなります

  1. いまの窓が何かを見る——ガラスが1枚だけ(単板ガラス)なら、断熱改修の効果がいちばん大きいタイプです。ガラスの端に空気層があればペアガラス(複層ガラス)です。サッシの枠がすべてアルミなら、樹脂やアルミ樹脂複合の窓に比べて熱が伝わりやすい構造です
  2. 寒さ・結露・音に不満があるなら、断熱改修の見積もりも取ってみる——取るだけなら費用はかかりません。補助額を引いた実質の金額を見てから、塗装と比べれば済む話です
  3. 相談先は「登録事業者」——この事業は、施主が自分で申請することができません。事業者登録をしている会社に工事を頼むことが前提です。窓のリフォームを扱う会社に「窓リノベの登録事業者ですか」と聞くのがいちばん早い確認方法です
  4. 急がないが、待ちすぎない——申請の期限は2026年12月31日ですが、予算の上限に達した時点で終了します。過去の窓リノベ事業も、年度の途中で締め切られたことがあります。「来年でいいか」と考えていると、制度そのものが変わっている可能性があります

もちろん、寒さにも結露にも不満がなく、見た目だけ整えたいのなら、塗装で十分です。この節は「塗るのをやめなさい」という話ではなく、比べてから決めてくださいという話です。外壁塗装の見積もりを取るときに、窓についても一緒に見てもらうと、両方の金額を並べて判断できます。

頼むなら、外壁と一緒がいい

やると決めたなら、外壁塗装と同じタイミングで頼むのが合理的です。理由は足場です。

2階の窓を塗るには足場が要ります。サッシだけのために足場を組むと、工事そのものより足場代のほうが高くつきかねません。外壁塗装で足場を組むタイミングなら、その追加費用はかかりません。

逆に、足場が要らない場所——1階の窓や勝手口、玄関まわり——なら、単独で頼んでも構いません。ここは分けて考えて大丈夫です。

費用については、ここでは金額を書きません。塗る面積も窓の数も家によって違ううえ、近年は材料費の変動もあります。数字だけが一人歩きするのを避けたいので、「足場が要るかどうかで大きく変わる」という構造だけお伝えしておきます。実際の金額は、外壁の見積もりを取るときに一緒に出してもらってください。

サッシまわりは塗るかどうかより、シーリングの状態のほうが効いてきます。ここから雨が入ると、壁の内側で被害が進みます。何社かに現地を見てもらって、サッシまわりのシーリングをどうするか聞いてください。打ち替えるのか、増し打ちで足りるのか——判断が分かれたら、その理由を聞けばどちらが慎重に見ているか分かります。

塗る前に確認する3つ

  • 自分に塗りたい理由は、見た目ですか?「傷むから」と言われて不安になっているだけなら、その心配は要りません。アルミの枠は放っておいても朽ちません(ただし鉄のビスや金具と接している部分は別です)
  • 業者にうちのサッシ、塗って大丈夫なタイプですか?防火設備の認定を受けたサッシや、樹脂複合の高性能サッシは避けたほうがいい場合があります。ここを即答できるかどうかは、経験の目安にもなります
  • 業者にどこまで塗って、どこを塗らずに残しますか?レールなど動く部分は塗りません。仕上がりのイメージを先にすり合わせておくと、あとで「思ったのと違う」が起きません

よくある質問

アルミサッシは塗れますか?

塗れますが、勧められない場面が多いです。——アルミは塗料が付きにくい素材で、専用の下塗りが要ります。それでも、開け閉めで擦れる部分は剥がれやすいのが実情です。

サッシの色は変えられないのですか?

基本的に、そのままと考えてください。——だから外壁の色は「変えられないサッシの色」に合わせて決めるほうが、まとまりが出ます(色の決め方)。

サッシまわりのコーキングは、やり直しますか?

ここは確認する価値があります。——サッシまわりは水が入りやすい場所です。見積書に「サッシまわりのシーリング」の行があるかを見てください(コーキングの費用)。

サッシが白く粉をふいています

アルミの表面が劣化している状態です。——塗って隠すこともできますが、根本的に戻るわけではありません。気になる度合いと費用で判断してください。

窓の交換も一緒にできますか?

塗装会社が扱っていないことがあります。——ただし窓の断熱改修には国の補助制度が用意されている年度があります。足場を組むタイミングで検討する価値はあります(助成金診断)。

養生でサッシが使えなくなりますか?

塗る面の窓は、一定期間開けられなくなります。——いつ、どの窓が使えないのかを工程表で確認してください。夏場はエアコンの都合もあるので、先に伝えておくと調整してもらえることがあります。

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参考にした情報

  • 株式会社BAN-ZI 公式ネットショップ「樹脂建材用塗料 RESIDE」製品仕様
  • 先進的窓リノベ2026事業 公式サイト「事業概要」(環境省・経済産業省・国土交通省)
  • 防火設備の認定サッシ・樹脂複合サッシの塗装に関する、塗装業者各社の公開情報
  • 塗料の販売・調色に携わった経験のある実務者への取材(耐久年数の実感・可動部の扱い・施工時期の考え方)

製品の仕様は改訂されることがあります。施工前に必ず最新のメーカー情報をご確認ください。サッシの種類による可否の判断は、実際に現物を見た施工業者にご相談ください。最終確認日:2026年8月25日。