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外壁塗装中、車はどうする?——動かすのは3日だけ。本当の論点は「付いてしまったとき」です

工事のあいだ、車をどこに置くのか。調べると「カバーをかけます」「移動をお願いします」と書かれていますが、本当に困るのはそこではありません。——もし塗料が付いてしまったら、誰が直すのか。隣の家の車に付いたら、頼んだ自分に責任が来るのか。ここは法律で決まっていて、しかも契約書に書いておくことが法律で求められている項目です。順に見ていきます。

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このページの内容

先に結論

①車を動かす必要があるのは、ふつう「足場を組む日」「高圧洗浄の日」「足場をばらす日」の3日です
②それ以外の日は、置いたままにできることが多い——ただし敷地の広さによります
③塗料が付いた場合、直すのは工事をした会社です(あなたではありません)
④隣の家の車に付いた場合も、頼んだあなたが賠償する立場にはならないのが原則です——民法にそう書かれています
⑤だから、契約の前に「賠償の定め」と「保険」を確かめてください

動かす必要があるのは、この3日です

工事の全期間ずっと車が置けない、という誤解があります。——実際に動かすことが多いのは、次の3つの日です。

いつなぜ動かすのか
足場を組む日長い鉄の部材を運び入れます。車の上を通ることになり、当てる危険があります
高圧洗浄の日水が飛びます。汚れを含んだ水なので、乾くと跡が残ることがあります
足場をばらす日組む日と同じ理由です。ばらすときのほうが、部材の動きは大きくなります

この3日は、たいてい工程表に書かれています。——工事が始まる前に工程表をもらってください工事の流れと工期)。「いつ動かせばいいか」が先に分かれば、駐車場の手配も予定が立ちます。

💡塗る日そのものは、意外と動かさなくてよいことが多いです。——ただし吹き付けで塗る場合は別です。刷毛やローラーで塗るのか、吹き付けるのかを聞いておいてください。飛ぶ量が違います。

残りの日は、置いたままでいいのか

「置いたままで大丈夫です」と言われることが多いと思います。——ただし、それは「足場の外に置ける敷地がある場合」の話です。

足場は、家の壁からある程度離して組みます。その足場の外側に車が収まるなら、置いたままにできます。収まらないなら、工事のあいだは別の場所ということになります。

現地調査のときに、これを聞いてください
「足場を組んだあと、ここに車は置けますか。置けるなら、出し入れはできますか。」

——置けるかどうかと、出し入れできるかどうかは別の話です。置けても、扉が開かない、車庫から出せない、ということが起こります。

これは、家を見た人にしか答えられません。——だから現地調査のときが、聞くタイミングです。

カーポートがある場合

カーポートの屋根がある場合、足場をどう組むかで話が変わります。——屋根の上に足場を組むのか、屋根を一部外すのか、避けて組むのか。会社によって判断が分かれる部分です。

ここも先に聞いておいてください。——「カーポートはどうしますか。外す場合、戻すところまで入っていますか。」外して戻す作業が見積もりに入っているかどうかは、確かめる価値があります。

カバーをかけない会社がある理由

「車にカバーをかけてもらえますか」と聞いて、断られることがあります。——これは手抜きではなく、理由があります。

業者側が挙げる理由
カバーと車体の間に砂が入り、風で動いて塗装に傷が入ることがある
強い風でカバーが飛ぶ・めくれる
かけ外しのたびに、こすれる

——「守るためにかけたカバーが、傷の原因になる」という判断です。

ですから、断られたときに考えるのは「不親切だ」ではなく、次の2つです。

  1. では、飛ばさないためにどうするのか——足場側の養生シートで受ける、風の強い日は作業を止める、など
  2. それでも付いてしまった場合、どうなるのか——次の章の話です

⚠️逆に「カバーをかけるので大丈夫です」と言われた場合も、そこで安心しないでください。——かけるのが誰で、いつ外すのか。毎日かけ外しするのか、工事のあいだ掛けっぱなしなのか。掛けっぱなしのほうが、傷のリスクは上がります。

そもそも、飛ばないようにする仕組みがあります

車の話をする前に、現場側でやっていることを知っておくと、聞くべきことが分かります。

足場を組むと、まわりにメッシュ状のシートが張られます。——あれは目隠しではなく、塗料や水の飛散を止めるためのものです。窓やサッシ、床のタイルなども、ビニールなどで覆われます。これらをまとめて「養生」と呼びます。

国が定めている改修工事の仕様書にも、養生の規定があります。

公共建築改修工事標準仕様書 2.3.1(既存部分の養生)

「既存部分の養生は、特記による。特記がなければ、ビニルシート、合板等の適切な方法で養生を行う
「仮設間仕切り等により施工作業範囲が定められた場合は、施工作業範囲外にじんあい等が飛散しないよう養生する

ここで注目してほしいのは「特記による」という言葉です。——養生の方法は、あらかじめ決めておくものという扱いになっています。つまり、決めなければ決まらない部分です。

⚠️この仕様書は国の建物を直すためのものなので、戸建ての工事がこの通りに行われるわけではありません。——ただ「養生の範囲は先に決めるもの」という考え方は、戸建てでも同じです。だから、車やカーポート、庭の物をどうするかは、契約の前に話しておく価値があります。

見積書で「養生」の行を見てください

養生は、見積書に項目として立っているのが普通です。——「養生費」「養生一式」など。ここが極端に安い、あるいは行そのものが無い場合は、どこまで覆うのかを聞いてください(見積書の内訳)。

そして、こう聞くと具体的になります。——「養生は、どこまでやってもらえますか。車と、カーポートと、庭の物置は入りますか。」

置く場所がないとき

敷地に置けない場合、いくつか選択肢があります。

方法気をつけること
近くの月極駐車場を短期で借りる1か月単位が基本です。3日のために1か月分になることがあります
コインパーキング3日程度なら現実的。ただし上限料金の有無で総額が変わります
家族・知人の家に置かせてもらういちばん安く済みます。ただし任意保険の適用範囲は確認しておいてください
業者が用意してくれる会社によります。近隣に自社の置き場を持っているところがあります
その日だけ通勤に使う・出かける3日だけなら、これで済む方もいます

💡月極を借りるなら、工事の日程が固まってからにしてください。——外壁塗装は天候で延びます。雨が続けば、足場をばらす日はずれます(工期が延びる理由)。先に1か月契約して、工事が翌月にずれ込むと二重にかかります。

駐車場を借りる費用は、誰が持つのか

ここは、はっきりさせておいたほうがいい部分です。——結論から言うと、決まりはありません。会社ごとの対応です。

実際にある対応
施主の負担——いちばん多い形です
業者が負担——見積もりに「駐車場代」として入れてくれる会社があります
業者が場所を用意する——自社の置き場や、提携先を紹介してくれる

だから、見積もりの段階で聞いてください。——「工事のあいだ、車を置く場所がありません。どうするのが普通ですか。費用はどちらの負担になりますか。」

この質問には、もうひとつ効果があります。——近隣への配慮をどう考えている会社かが分かります。職人さんの車をどこに停めるのかという話にもつながるからです(ご近所への挨拶)。

そして、ここは会社によって答えがはっきり分かれます。——駐車場代を見積もりに入れてくれるところ、自社の置き場を出してくれるところ、施主にお任せのところ。金額だけを見比べていると、この差は見えません。2〜3社に見積もりを出してもらうときに、この1点を全社に聞いてみてください。

⚠️職人さんの車をどこに停めるかは、近隣トラブルの原因になりやすい部分です。——「職人さんの車は、どこに停められますか」も一緒に聞いておくと安心です。路上に何台も停まると、近所から苦情が来るのは施主のほうです。

付いてしまったら、どうなるか

ここが、このページの本題です。

まず、直すのは工事をした会社です

民法に、こう書かれています。

民法 第709条(不法行為による損害賠償)

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

塗料を飛ばして車を汚したのは、工事をした側です。——だから、その責任は工事をした側にあります。あなたが自分で直す必要はありません。

そして、それは契約書に書いてあるはずです

これはあまり知られていませんが、法律で決まっています。

建設業法 第19条第1項第9号

建設工事の請負契約の当事者は、次に掲げる事項を書面に記載しなければならない——その9号として、
「工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め」

つまり、「もし誰かに損害を与えたら、誰が払うのか」は、契約書に書く項目として法律に挙げられています。——契約書を受け取ったら、この項目があるかを見てください契約書で見る16項目)。

保険に入っている会社が多い

工事中に他人のものを壊した場合に備えた保険があります。——請負業者賠償責任保険などと呼ばれるものです。加入は義務ではありませんが、入っている会社は珍しくありません。

契約の前に、この質問をしてください
「工事中に車や近隣のものを傷つけた場合の保険には入っていますか。」

——入っていれば、その場で答えられます。答えが濁るようなら、契約書の賠償の定めをより丁寧に確認してください。

実際に付いてしまったときに、やること

  1. 写真を撮る——付いている状態と、車全体が写るものの両方。いつ撮ったか分かるようにしておいてください
  2. その場で、現場の人に伝える——後日より、その日のうちのほうが話が早く進みます
  3. 自分でこすらない——落とそうとして塗装面を傷めると、話がややこしくなります。どう対応するかは、業者に決めさせてください
  4. どう直すのかを、先に聞く——業者が自分で落とすのか、専門の業者に出すのか

⚠️3が大事です。——良かれと思って自分で落とし、かえって傷が広がると、「どこまでが塗料のせいか」が分からなくなります。写真を撮ったら、そのまま見せてください。

隣の家の車に付いた場合、自分に責任は来るのか

ここが、いちばん心配される部分だと思います。——工事を頼んだのは自分だから、近所に迷惑をかけたら自分の責任ではないか。

民法に、この点を正面から書いた条文があります。

民法 第716条(注文者の責任)

注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでない。

読み解きます。

条文の言葉意味
注文者工事を頼んだ人=あなたです
請負人工事をした会社です
第三者に加えた損害隣の家の車に塗料が付いた、塀を傷つけた、など
賠償する責任を負わない原則として、あなたが払う立場にはなりません
ただし、注文又は指図に過失があったときあなたの指示に問題があった場合は別、という例外です

つまり、工事の進め方は業者が決めることなので、その結果起きたことの責任は業者にある——というのが原則です。

ただし、法律の話と、ご近所づきあいは別です

ここは正直に書きます。——法律上あなたが払う立場でなくても、隣に住んでいるのはあなたです。

現実的な動き方
1. まず業者に伝える——対応するのは業者です
2. そのうえで、自分からも一言——「うちの工事でご迷惑をおかけしました。業者に対応させます」
3. お金の話には立ち入らない——ここは業者と相手方の話です

——謝ることと、賠償を引き受けることは、まったく別です。

⚠️「うちが払います」と言わないでください。——善意のつもりでも、本来は業者が負う話を引き受けてしまうことになります。「業者に対応させます」で足ります。

いちばん効くのは、事前の挨拶です

工事の前に、近隣へ挨拶に回ります。——ふつうは業者が回りますが、そのときに車のことを一言添えてもらうだけで、話が変わります。

「足場を組む日と洗浄の日は、水や粉が飛ぶことがあります。お車を移動いただけると安心です」——これが事前に伝わっていれば、そもそも起きにくくなります(ご近所への挨拶)。

契約の前に聞いておく3つ

1.「足場を組んだあと、ここに車は置けますか。出し入れはできますか。」
——置けるかどうかと、出し入れできるかは別の話です

2.「車を動かす日は、いつになりますか。駐車場代はどちらの負担ですか。」
——工程表と一緒に確認してください

3.「工事中に車や近隣のものを傷つけた場合の保険には入っていますか。」
——入っていれば、その場で答えられます

この3つは、どれも「その家を見た人」にしか答えられません。——だから、複数社に見てもらうと、対応の差がはっきり出ます。同じ家を見て、片方は「置けます」、片方は「3日は移動をお願いします」と言うことがあります。そのときは、なぜそう判断したのかを両方から聞いてください。

よくある質問

工事のあいだ、ずっと車を置けないのですか?

ふつうは3日だけです。——足場を組む日、高圧洗浄の日、足場をばらす日。それ以外は置いたままにできることが多いです。ただし足場の外に車が収まる敷地かどうかで変わります。現地調査のときに確認してください。

車にカバーをかけてもらえますか?

会社によります。断られることもあります。——カバーと車体の間に砂が入って傷になる、風で飛ぶといった理由からです。手抜きではありません。断られたら「では飛ばさないためにどうしますか」「付いた場合はどうなりますか」を聞いてください。

車にペンキが付きました。誰が直しますか?

工事をした会社です。——民法709条では、故意または過失で他人の権利を侵害した者が、その損害を賠償する責任を負うとされています。まず写真を撮り、その日のうちに現場の人に伝えてください。そして自分でこすって落とそうとしないでください。傷が広がると、原因の切り分けが難しくなります。

隣の家の車に付いてしまいました。私が払うのですか?

原則として、あなたが払う立場にはなりません。——民法716条に「注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない」とあります。ただし、あなたの指示に問題があった場合は例外です。ご近所づきあいとして一言お詫びするのは自然ですが、「うちが払います」とは言わないでください。対応するのは業者です。

車が汚れました。塗料ではなく、洗浄の水汚れのようです

これも工事によって生じた汚れです。——高圧洗浄では、壁の汚れを含んだ水が飛びます。乾く前なら流せることが多いので、気づいた時点で伝えてください。放置して乾くと落ちにくくなります。

駐車場代は誰が負担しますか?

決まりはありません。会社ごとの対応です。——施主負担がいちばん多い形ですが、見積もりに「駐車場代」として入れてくれる会社や、自社の置き場を用意してくれる会社もあります。見積もりの段階で聞いてください。

月極駐車場を先に借りておいたほうがいいですか?

工事の日程が固まってからにしてください。——外壁塗装は天候で延びます。先に1か月契約して工事が翌月にずれ込むと、二重にかかります。工程表をもらってから手配してください。

カーポートがあります。足場はどうなりますか?

会社によって判断が分かれます。——屋根の上に組む、一部を外す、避けて組むのいずれかです。外す場合は「戻すところまで見積もりに入っていますか」を確認してください。

職人さんの車は、どこに停まりますか?

これは先に聞いておいたほうがいい質問です。——路上に何台も停まると、近所から苦情が来るのは施主のほうです。「職人さんの車はどこに停められますか」と聞けば、近隣への配慮をどう考えている会社かも分かります。

バイクや自転車はどうすればいいですか?

同じ考え方です。——足場の中に入ってしまうものは、動かしておいたほうが安全です。倒れる、部材が当たる、塗料が飛ぶ——どれも起こり得ます。置き場所に困るものは、工程表をもらった時点で相談してください。

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工事中の暮らし

洗濯物・窓・エアコン

工事の音

音が出る工程と日数

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相談窓口は188

見積書の内訳

養生費はどこに入るか

参考にした情報

民法(明治29年法律第89号)第709条——故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う旨

同 第716条——注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない旨、ただし注文又は指図についてその注文者に過失があったときはこの限りでない旨

建設業法(昭和24年法律第100号)第19条第1項第9号——建設工事の請負契約の当事者が書面に記載しなければならない事項として、工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定めが挙げられている旨

国土交通省 大臣官房官庁営繕部「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」2.3.1 既存部分の養生——既存部分の養生は特記により、特記がなければビニルシート、合板等の適切な方法で養生を行う旨、および施工作業範囲外にじんあい等が飛散しないよう養生する旨

最終確認日:2026年8月28日。法令は改正されることがあります。個別の損害についての賠償の可否や範囲は事案ごとに判断されるため、実際のトラブルについては工事会社および必要に応じて消費生活センター(消費者ホットライン188)にご相談ください。本ページは条文および公表資料の内容を整理したものであり、特定の事案についての法的助言ではありません。