エスケープレミアムシリコン——メーカーが数字を出している、珍しい塗料です
外壁塗料のページを見ていると、たいてい途中で行き止まりになります。「長持ちします」とは書いてあるのに、何年もつのか、いくらなのかが書いていないからです。ところがこの塗料は違います。エスケー化研は製品ページに設計価格2,920円/㎡と期待耐用年数14〜16年を載せています。しかも同社の定番水性セラミシリコンの数字も並んでいるので、2つの製品の差を、公式の数字だけで比べられます。その差は㎡あたり210円でした。
このページの内容
- まず、メーカーが数字を出していること自体が珍しい
- 公式スペック
- 水性セラミシリコンとの差は、㎡210円
- ラジカル制御が「入っているか」で世代が分かれます
- JIS耐候形1種の「取得」という書き方
- 設計価格の読み方——ここを間違えると比較になりません
- どちらを選ぶかの決め方
- よくある質問
まず、メーカーが数字を出していること自体が珍しい
塗料メーカーの製品ページを並べて見ると、数字の開示の仕方が会社によってかなり違います。
| 期待耐用年数 | 価格 | |
|---|---|---|
| エスケー化研 (エスケープレミアムシリコン) | 14〜16年と明記 「次の塗り替え時期の目安。地域、立地条件、方角等により異なるので参考値として」と注記あり | 設計価格2,920円/㎡を明記 |
| 日本ペイント (パーフェクトトップSi) | 年数の記載なし JIS A6909 耐候形1種相当という等級で示している | 材工価格を明記 |
どちらが良い・悪いという話ではありません。年数を書けば必ず「その年数もたなかった」という話が出てくるので、書かない判断にも理由があります。ただ施主の立場で言えば、数字が出ている製品は比較がしやすい。これは事実です。
そして重要なのは、エスケー化研が同じ書式で複数製品の数字を並べていることです。だから同社製品どうしなら、条件をそろえた比較ができます。パーフェクトトップのページでは年数を出せませんでしたが、こちらは出せます。
公式スペック
| 項目 | エスケープレミアムシリコン |
|---|---|
| 一般名称 | 超耐候形水性ハイブリッドシリコン樹脂塗料 |
| 主要構成成分 | ハイブリッドシリコン樹脂 |
| 区分 | 水性塗料/一液/シリコン樹脂系/ラジカル制御/低汚染性/防かび・防藻性 |
| 期待耐用年数 | 14〜16年(次の塗り替え時期の目安・参考値) |
| 設計価格 | 2,920円/㎡(300㎡以上を基準とする材工共・下地調整費は含まない) |
| 規格 | 艶有りはJIS A6909 建築用仕上塗材 耐候形1種を取得 |
| つや | 艶有り、半艶、3分艶、艶消し(4段階) |
| 適用下地 | コンクリート、セメントモルタル、ALCパネル、スレート板、各種サイディングボード、各種旧塗膜(活膜)など |
| 荷姿/標準塗坪 | 15kg石油缶・4kg缶/43〜68㎡(15kg缶) |
| 希釈 | 清水 |
| ホルムアルデヒド放散等級 | F☆☆☆☆ |
同社には強力防かび・防藻タイプの「エスケープレミアムシリコンBIO」もあります。北面のコケが毎回悩みの種という家では、こちらが候補になることがあります(コケ・カビのページ)。
水性セラミシリコンとの差は、㎡210円
この製品を検討していると、必ずもう一つの名前が出てきます。同じエスケー化研の水性セラミシリコンです。長く定番として使われてきた製品で、見積書にもよく載ります。両方とも公式に数字が出ているので、そのまま並べます。
| 水性セラミシリコン | エスケープレミアムシリコン | |
|---|---|---|
| 一般名称 | 超耐久低汚染型一液水性セラミックシリコン樹脂系塗料 | 超耐候形水性ハイブリッドシリコン樹脂塗料 |
| 主要構成成分 | セラミックシリコン樹脂 | ハイブリッドシリコン樹脂 |
| ラジカル制御 | 公式の分類に記載なし | あり |
| 期待耐用年数 | 12〜15年 | 14〜16年 |
| 設計価格 | 2,710円/㎡ (複層塗材の上塗りに用いる場合) | 2,920円/㎡ |
| つや | 艶有り・半艶・3分艶・艶消し | 艶有り・半艶・3分艶・艶消し |
| 荷姿/標準塗坪 | 16kg石油缶・4kg缶/45〜64㎡(16kg缶) | 15kg石油缶・4kg缶/43〜68㎡(15kg缶) |
| JIS耐候形1種 | 記載なし | 艶有りは取得 |
設計価格の差は210円/㎡。期待耐用年数は、下限が2年、上限が1年ちがいます。これが公式の数字です。
この2つは「グレードが上か下か」ではなく、世代が違う製品と見るのが実態に近いはずです。セラミシリコンは長く使われてきた定番で、プレミアムシリコンは後から出たラジカル制御世代。だから価格差も、性能差も、劇的ではありません。
ここで注意してほしいことが2つあります。①この差額は設計価格どうしの比較であって、見積書の金額差ではありません。②セラミシリコンの設計価格には「複層塗材の上塗りに用いる場合」という条件が付いています。条件の違う数字を引き算しても、正確な差にはなりません——という前提込みで見てください。
ラジカル制御が「入っているか」で世代が分かれます
上の表でいちばん性格が出ているのが、この行です。エスケープレミアムシリコンには公式の分類に「ラジカル制御」が入っていて、水性セラミシリコンには入っていません。
ラジカルというのは、塗膜に酸素と水がある状態で紫外線が当たり、塗膜中の無機顔料と接触して発生する反応性の高い物質のことです(エスケー化研の説明)。これが樹脂などの有機物を分解して、塗膜を劣化させます。
だから対策は2段構えになります。ラジカルを発生させにくくするのと、出てしまったものを捕まえる。エスケー化研はこれを「独自のダブルシールド」と「ラジカルキャッチャー」と呼んでいます。
ここで大事なのは、ラジカル制御は樹脂のグレードではなく、後から乗せられる技術だということです。だから「ラジカルとシリコン、どちらが上か」という質問は成立しません。この整理は塗料の種類のページに詳しく書きました。
JIS耐候形1種の「取得」という書き方
細かい話に見えて、意外と効く点です。エスケープレミアムシリコンのページには、こう書かれています。
公式の記載
「エスケープレミアムシリコン(艶有り)はJIS A 6909建築用仕上塗材耐候形1種を取得しております。認証条件(下塗材・主材の組み合わせ)につきましては、最寄りの各営業所へお問い合わせください」
読みどころは2つあります。
- 対象は「艶有り」つや消しや3分艶ではなく、艶有りについての記載です。つやを落とすと同じ表記にはなりません。
- 「認証条件(下塗材・主材の組み合わせ)」がある上塗りだけで成立する話ではなく、下塗りとの組み合わせが条件だと書かれています。ここが、見積書で下塗りの製品名まで確認する意味です。
なお他社では、同じ耐候形1種でも「相当(該当規格の性能を満たしています・社内試験)」という書き方をしている製品があります。「取得」と「相当」は同じ言葉ではありません。どちらが優れているという話ではなく、誰が確かめた数字なのかが違うということです。カタログを読むときは、この違いを気に留めておいてください。
設計価格の読み方——ここを間違えると比較になりません
設計価格2,920円/㎡には、公式にこう注記されています。
公式の注記(原文)
「設計価格は、300㎡以上を基準とする材工共の価格であり、下地調整費は含んでおりません」
「期待耐用年数は、次の塗り替え時期の目安です。地域、立地条件、方角等により異なりますので、参考値としてお考えください」
戸建て1棟は、300㎡よりはるかに小さい規模です。ですから実際の見積もりは、この単価より高くなると考えておいてください。足場も養生も職人の移動も、面積が小さいほど1㎡あたりの負担が重くなります。
さらに「下地調整費は含まない」という一行が効きます。ひび割れの補修、コーキングの打ち替え、洗浄、そして下塗り——塗り替えの手間の多くは、上塗りの前にあります。設計価格はそこを含んでいません。だから設計価格どうしの引き算は、製品の位置関係を知るためのものであって、見積書の差額を予想するものではありません。
見積書のどこに何が乗っているかは見積書の内訳のページに、総額の帯は費用シミュレーターにまとめています。
どちらを選ぶかの決め方
塗料を先に決めるのではなく、条件から逆算すると迷いません。
- 次の塗り替えを自分がやるか期待耐用年数の差は下限で2年です。長く住むなら、その2年を足場1回ぶんの前倒し/先送りとして考えられます。
- 汚れに困っているかどちらも低汚染性をうたっていますが、汚れ対策そのものを主戦場にした製品は同社の上位にあります(エスケープレミアム無機)。悩みが「汚れ」なら、シリコンの中で迷うより上の帯を見るほうが噛み合うことがあります。
- つやをどうするかどちらも4段階あります。ただしJIS耐候形1種の記載は艶有りについてのものです。つやのページもあわせてどうぞ。
- 見積書に何が書いてあるかそもそも製品名が書かれていなければ、この比較は始まりません。「シリコン塗装一式」で終わっている見積書は、まず製品名を書いてもらうところからです。
グレードそのものを上げるかどうか(フッ素・無機まで行くか)は、価格の上がり方が急になる領域なので、塗料の種類のページで整理しています。
よくある質問
エスケープレミアムシリコンの評判は、実際どうですか?
当サイトは使用者アンケートを持っていないので、評判そのものは断定しません。代わりに言えるのは、水性・一液で扱いやすく、ラジカル制御が入っていて、メーカーが期待耐用年数と設計価格を公開しているという事実です。判断材料としては、口コミより確かです。
セラミシリコンで見積もりが来ました。安く済ませようとしているのでしょうか?
そうとは限りません。長く使われてきた定番製品で、公式の期待耐用年数も12〜15年です。確かめるべきは製品名ではなく理由のほう——「なぜこの製品ですか」「プレミアムシリコンにすると、いくら変わりますか」と聞いてみてください。差額を答えられるかどうかで、その会社が塗料を把握しているかが分かります。
期待耐用年数14〜16年は、本当にもちますか?
公式自身が「参考値としてお考えください」と書いています。方角、雨がかり、日照、下地の状態で傷み方は変わります。試験室や標準条件の数字より、実際に建っている家のほうが先に傷むと考えておくほうが安全です。周期の考え方は外壁塗装は何年ごとかのページへ。
色は選べますか?
公式の色目は「各色」で、SR色の色見本が掲載されています。濃い色ほど価格が上がるのは塗料の一般的な仕組みなので、色を決めてから金額を確認する順番が安全です(色のページ)。
下塗りは何を使いますか?
公式の備考は「下地の種類に応じ、適切な下塗材を選定してください」です。加えてJIS耐候形1種の認証条件にも下塗材の組み合わせが関わります。見積書に下塗りの製品名まで書かれているかを見てください。
他社の同じ帯の製品と、どう比べればいいですか?
①水性か弱溶剤か ②一液か二液か ③ラジカル制御の有無 ④期待耐用年数を公開しているか ⑤JISの表記が「取得」か「相当」か——この5点をそろえると、メーカーが違っても比較になります。日本ペイントの同じ帯についてはパーフェクトトップのページを見てください。
最終確認日:2026年8月22日。製品仕様・設計価格・期待耐用年数は変更されることがあります。最新の仕様はメーカー公式サイトおよび施工店にご確認ください。掲載した設計価格はメーカー公表値であり、実際の見積金額を保証するものではありません。
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つや有り・つや消し
つやで「もち」は決まりません
見積書の内訳
下地調整費は、設計価格に入っていません
外壁塗装は何年ごと?
期待耐用年数と、実際の周期の話
参考にした情報
- エスケー化研 公式サイト 製品情報「エスケープレミアムシリコン」(一般名称=超耐候形水性ハイブリッドシリコン樹脂塗料、主要構成成分、水性・一液・シリコン樹脂系・ラジカル制御・低汚染性・防かび防藻性、設計価格2,920円/㎡、期待耐用年数14〜16年、つや4段階、適用下地、荷姿と標準塗坪、F☆☆☆☆、JIS A6909 耐候形1種の取得と認証条件に関する記載、ラジカルコントロール技術の説明、促進耐候性試験=キセノンランプ法の明記)
- エスケー化研 公式サイト 製品情報「水性セラミシリコン」(一般名称=超耐久低汚染型一液水性セラミックシリコン樹脂系塗料、主要構成成分、設計価格2,710円/㎡(複層塗材の上塗りに用いる場合)、期待耐用年数12〜15年、つや4段階、荷姿と標準塗坪、F☆☆☆☆)
- 設計価格の注記はいずれも公式原文「設計価格は、300㎡以上を基準とする材工共の価格であり、下地調整費は含んでおりません」/期待耐用年数の注記は「次の塗り替え時期の目安です。地域、立地条件、方角等により異なりますので、参考値としてお考えください」
- 日本ペイントの表記との比較は、同社「パーフェクトトップ®Si(遮熱オプション含む)」製品ページの記載(JIS A6909 耐候形1種 相当・社内試験、年数記載なし)によります