遮熱塗料・断熱塗料|効果とデメリット、そして「結局いちばん効くのは白」
「最強の遮熱塗料はどれですか」——よく聞かれる質問です。ただ、この答えは製品名ではありません。同じ製品のなかでも、色を変えるだけで日射反射率は3倍以上違います。まずそこから説明します。
このページの内容
遮熱と断熱は、別のものです
まず言葉の整理から。似ていますが、やっていることが違います。
| 遮熱 | 断熱 | |
|---|---|---|
| やること | 太陽の熱を反射して、入れない | 熱が伝わるのを遅らせる |
| 効き方 | 屋根・外壁の表面温度が上がりにくくなる | 表面の熱が室内側へ移りにくくなる |
| 得意な場面 | 日射を直接受ける面(とくに屋根) | 夏の暑さだけでなく、冬の寒さにも関係します |
ざっくり言えば、遮熱は「はね返す」、断熱は「通しにくくする」です。だから遮熱塗料は日が当たる面ほど効きますし、逆に日陰の面ではあまり意味がありません。
なお「遮熱と断熱の両方をうたう製品」もあります。後述するキルコがそれにあたります。
効果はあるのか
結論から言えば、表面温度を下げる効果はあります。これは体感の話ではなく、規格として定められているものです。
たとえば日本ペイントの屋根用遮熱塗料「サーモアイSi」は、JIS K5675「屋根用高日射反射率塗料」2種2級という規格に適合しています。日射をどれだけ反射するかが数値で管理されている、ということです。
ただし「部屋が何度涼しくなるか」は約束できません
屋根の表面温度が下がるのは確かです。しかし、それが室温として何度分になるかは、家によってまるで違います。天井裏の断熱材がどれだけ入っているか、窓の大きさや向き、家の構造——そちらの影響のほうが大きい場合もあります。
「遮熱塗料を塗れば、エアコンが要らなくなる」といった期待は持たないでください。効くけれども、家全体の暑さ対策の一部分です。
「最強の遮熱塗料」の答えは、製品ではなく色
ここが、このページで一番お伝えしたいところです。
遮熱塗料のカタログには、色ごとの日射反射率が載っています。そして同じ製品でも、色によってこれだけ違います。
同じ「サーモアイSi」でも、色で反射率が3.4倍違う
つまり「どのメーカーの遮熱塗料が最強か」を比べる前に、「何色にするか」を考えたほうが効果は大きいということです。極端に言えば、遮熱塗料の濃い色より、普通の塗料の白のほうが熱を反射するという状況すら起こりえます。
色の好みと、涼しさは、どこかで折り合いをつけることになります
「黒っぽい屋根にしたい。でも夏は涼しくしたい」——この希望は、ある程度までしか叶いません。遮熱塗料の濃い色は「同じ濃さの普通の塗料よりはマシ」という位置づけです。
どうしても濃い色にしたい場合は、その前提で選んでいると理解したうえで決めてください。色そのものの話は外壁塗装の色にまとめています。
デメリットは4つあります
単純に高い
同じグレードの一般的な塗料より高くなります。予算の中で、他に優先すべき工事がないかを先に考えてください。
濃い色では効果が落ちる
前章のとおりです。色を妥協できないなら、遮熱にお金をかける意味は小さくなります。
汚れると反射率が下がる
表面に汚れが積もると、光を反射しにくくなります。年数が経つほど、当初の数値どおりとはいきません。
日陰の面には効きません
日射を反射するものなので、日が当たらなければ働きません。北面の外壁に塗っても、遮熱としての意味は薄いです。
そして、いちばん誤解されていること
「遮熱塗料だから長持ちする」わけではありません。何年もつかは、遮熱かどうかではなく塗料のグレード(シリコン・フッ素・無機など)で決まります。
遮熱・断熱・低汚染・防カビ——いろいろな機能をうたう塗料がありますが、耐用年数の話とは別だと切り分けて考えてください。グレードごとの違いは相場・費用ガイドで解説しています。
よく名前が挙がる製品
| 製品 | メーカー | 位置づけ |
|---|---|---|
| サーモアイ | 日本ペイント | 屋根用の遮熱塗料。色ごとの日射反射率が公表されています(サーモアイSiは弱溶剤2液形シリコン樹脂・JIS K5675 2種2級) |
| キルコ | シンマテリアルワン | 遮熱と断熱の両方をうたう製品。塗膜に中空ビーズを含ませ、反射だけでなく熱の伝わりにくさも持たせる考え方です |
サーモアイは「遮熱」の製品です。断熱塗料ではありません。ここは混同されやすいので、業者から製品名が出たときは「それは遮熱ですか、断熱ですか」と確認すると話が早いです。
ほかにも各メーカーが遮熱・断熱の製品を出しています。製品名で優劣を判断するより、カタログの日射反射率と、選ぶ色を見てください。
向いている家、そうでもない家
| 状況 | |
|---|---|
| 効きやすい | 屋根が濃い色で、2階が夏に暑い家。日射をまともに受ける切妻・片流れの屋根。金属屋根 |
| 効きにくい | すでに屋根が明るい色の家。天井裏の断熱がしっかりしている家。日陰が多い立地 |
迷ったら、まず「屋根を明るい色にできるか」を考えてください。それが可能なら、遮熱塗料を使うかどうかに関わらず、暑さ対策としては大きく前進します。そのうえで予算が許すなら遮熱塗料を選ぶ、という順番が合理的です。
あわせて読みたい
参考にした情報
- 日本ペイント「サーモアイSi」製品ページ(屋根用遮熱塗料・JIS K5675 2種2級・全45色の日射反射率)
- 日本ペイント「サーモアイシリーズ」(赤外線透過テクノロジーによる上塗りと下塗りのダブル反射)
- 株式会社シンマテリアルワン「キルコ」(遮熱効果と断熱効果による温度抑制)
- 塗料の販売・調色に携わった経験のある実務者への取材
日射反射率などの数値はメーカー公表値で、製品や改訂により変わることがあります。実際の効果は建物の構造・断熱の状態・立地によって異なります。最終確認日:2026年8月16日。