広告当サイトはアフィリエイト広告を利用しています
グレージュ外壁——色見本帳に無い色名だから、3社に頼むと3色出てきます
グレージュは、いま外壁でいちばん名前を聞く色のひとつです。ただし「グレージュ」という色は、塗装業者が共通言語にしている日塗工の色見本帳に載っていません。名前はあるのに、番号が無い。だから3社に「グレージュで」と頼むと、白っぽいベージュ寄りと、はっきり灰色寄りが、同時に出てきます。どちらも間違いではありません。このページは、施工写真の雰囲気ではなくどう頼めば思った色になるかを整理します。
このページの内容全15項目
- 先に結論——「グレージュ」は色名であって、色番ではありません
- グレー・ベージュ・グレージュ——3つを分ける線
- 汚れは目立つのか——効くのは色名ではなく「明るさ」
- 色見本の見方——A4の板を、外の光で、2回
- 後悔しやすい3つのパターン
- モカベージュ・グレーベージュ——呼び名が増える理由
- グレージュ外壁に合う色
- グレージュ外壁と屋根の色——番号の出どころが、壁とは別です
- ツートンにするとき、グレージュはどちらに置くか
- サイディングのグレージュと、塗装のグレージュは別物です
- 施工写真の「グレージュ」を、そのまま信じない
- 塗り壁・木目と合わせるとき
- 景観の届出がある地域では、色を数値で出します
- 頼み方——番号で残すまでが仕事です
- よくある質問
先に結論——「グレージュ」は色名であって、色番ではありません
先に、いちばん大事なところを書きます。グレージュは、グレーとベージュを混ぜた造語です。灰色に、ほんの少し黄みを足したやわらかい色を指して使われます。
ところが、この名前は現場の共通言語ではありません。——塗装の打ち合わせで使われるのは日塗工(日本塗料工業会)の色見本帳で、そこに「グレージュ」という見出しの色は載っていません。
見本帳の色は「05-60L」のような記号で並んでいます。
「グレージュだけが無い」のではありません。日本塗料工業会の説明を読むと、色名という項目がそもそも体系に入っていません——同会の「ペイントカラー検索システム」は「塗料用標準色見本帳の色票を、マンセル値や色票番号から検索できます」と書いていて、色名で引く機能がありません。表示されるのも「マンセル値(公称)とRGB値」です。見本帳の案内にも「塗料の色指定は必ず『塗料用標準色』でご指定下さい」「色票番号だけで、建築関係者に正確な色伝達が」とあります(2026年9月14日に当サイトが同会の公式ページ2か所を取得して確認)。だから「グレージュで」は、番号の世界に翻訳しないと通じません。
前半が色みの方向、後半が明るさと鮮やかさ。つまり現場では、色を「名前」ではなく「座標」で扱っています(記号の読み方はこちら)。名前は各社が自由に付けられますが、この座標だけは全社で共通です。
だから「グレージュでお願いします」だけだと、こうなります。——A社は白っぽいベージュ寄りを持ってくる。B社ははっきり灰色寄りを持ってくる。どちらも嘘ではありません。その名前に、決まった番号が無いからです。
これは「人気色ランキングが各社で違う」のと同じ構造です。——色名は各社が自由に付けられて、番号だけが共通。だから同じ名前で違う色が出てくることが起きます(人気色ランキングが各社で違う理由)。
このページで伝えたいことは、ひとつです
グレージュを「色名」で頼むのをやめて、「明るさの範囲」で頼み、最後に「番号」で残す。——これだけで、思っていた色と違う、はほとんど起きなくなります。
グレー・ベージュ・グレージュ——3つを分ける線
3つの違いは、感覚ではなく色の仕組みで分けられます。日塗工の番号の作りに当てはめると、こうなります。
| 色 | 色の仕組みでいうと | 番号の探し方 |
|---|---|---|
| グレー | 無彩色。色みを持ちません | 色相の位置が「N」になります。N-70のように、あとの数字が明るさ |
| ベージュ | 黄〜赤みを持った、明るく淡い色 | 色相の番号を持ち、明度が高め・彩度は低めのあたり |
| グレージュ | 灰色に、わずかに黄みが入った色 | 無彩色ではないのでN系では出てきません。色相の番号を持ち、明度が高め・彩度がごく低いあたり |
ここが混乱のもとです。——「グレージュはグレーの一種」と思って探すと、N系の見本を出されます。ところがN系には黄みがありません。だから見本を見て「思ったより冷たい」と感じることになります。
逆に「ベージュ寄りで」と伝えると、黄みが強くなりすぎて、今度は「灰色っぽさが無い」と感じます。——グレージュはその2つのあいだの、かなり狭い帯にあります。だから言葉だけでは伝わりません。
グレーそのものを検討している方は、グレーの外壁のページもあわせて読んでください。——「汚れが目立ちにくい」の中身と、N値の考え方をまとめています。逆に濃い色を検討中なら、ネイビーの外壁——面積効果が反対向きに出る話を書いています。
汚れは目立つのか——効くのは色名ではなく「明るさ」
「グレージュは汚れが目立ちますか」——これがいちばん多い質問です。答えは「グレージュだから、では決まりません。明るさで決まります」。
外壁に付く汚れは、大きく2種類あります。
- 黒っぽい汚れ——排気ガス、粉じん、雨だれの筋。白や淡い色ほど目立ちます
- 白っぽい汚れ——チョーキング(塗膜が粉になる現象)、水あか。濃い色ほど目立ちます
つまり、どちらにも強いのは「その中間」です。——これがグレー系が汚れに強いと言われる本当の理由で、色名ではなく明度が中間にあることが効いています。
ここでグレージュの注意が出てきます。——グレージュとして提案される色は、たいてい「明るいほう」に寄っています。やわらかい印象を出すために、明度を上げるからです。
明るいということは、黒っぽい汚れは目立つ側に寄るということです。「グレー系だから汚れに強いはず」と思って選ぶと、期待とずれます。
対策は、暗くすることではありません。——汚れが出やすい場所を先に知っておくことです。雨だれは窓の下、換気フードの下、庇の切れ目に出ます。コケは北面と、隣家との隙間で風が抜けない面に出ます。ここは色を変えても変わりません(コケ・カビの見方)。
色で悩む前に、その面をどうするかを聞いてください。——庇の水切りを付ける、換気フードの形を変える、といった物理的な対策のほうが効きます。
色見本の見方——A4の板を、外の光で、2回
「外壁塗装 グレージュ 色見本」で調べている方へ。——先に結論を書くと、小さな色見本帳のチップで決めてはいけません。理由は面積効果です。
面積効果——同じ色でも、面積が大きくなるほど明るく・鮮やかに見えます。
だから小さな見本で「ちょうどいい」と思った色が、壁一面になると白っぽく見えて物足りないということが起こります。グレージュのように淡い色では、とくに強く出ます。
やることは3つです。
- A4以上の板見本を作ってもらう——紙のチップではなく、実際に塗った板。「有料でも作れますか」と聞いてください。断られたら、その理由を聞く
- 外の光で、壁に当てて見る——室内の照明の下では色が変わります。実際に塗る壁に当てて、離れて見る
- 時間を変えて2回見る——晴れた日の南面と、日が陰った時間の北面。この2つで見ておくと、想像とのずれが小さくなります
そして、良いと思った見本の「色番」を必ず聞いてください。——番号が分かれば、他社にも同じ色を出してもらえます。色名だけだと、比べる土俵がそろいません。板見本を作ってくれるかどうかは会社によって違いますから、何社かに同じ条件で見積もりと見本を頼むところから始めてください。
カラーシミュレーションは、あくまで当たりを付ける道具です。——画面の色は機種と設定で変わります。最後は必ず現物の板で確かめてください(カラーシミュレーションの使い方)。
後悔しやすい3つのパターン
「グレージュ 後悔」で調べている方へ。実際に起きているのは、たいてい次の3つです。どれも色そのものが悪いのではなく、決め方に原因があります。
| 起きること | 原因 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| ①白っぽくなりすぎた | 面積効果。小さい見本で決めたため、壁になって明るく出た | A4板を外で見る。迷ったら、見本よりワンランク濃いめを選ぶ |
| ②思ったより黄みが強く、古い家に見える | ベージュ寄りに振れた。「グレージュ」の言葉だけで頼んだ | 灰色寄り・ベージュ寄りの見本を並べて比べる。1枚では判断できません |
| ③隣の家と同化した | 淡い色はまちなみの中で埋もれます。近所に似た色が多い | 板見本を持って、家の前の道から見る。隣家と並べて見ると分かります |
①がいちばん多いです。——やわらかい色を狙うほど、明るいほうに寄せたくなるからです。ここで「見本よりワンランク濃いめ」を意識するだけで、後悔はかなり減ります。
もうひとつ、付帯部との相性があります。——雨どい・軒天・破風・サッシの色は、外壁ほど自由に選べません。とくにサッシの色は基本的に変えませんから、黒サッシなのか、シルバーなのか、ブロンズなのかで似合うグレージュが変わります。板見本は、サッシの横に当てて見てください(付帯部の塗装)。
モカベージュ・グレーベージュ——呼び名が増える理由
グレージュを調べていると、似た名前がいくつも出てきます。——モカベージュ、グレーベージュ、サンドベージュ、トープ。
これらに、業界で決まった定義はありません。——上に書いたとおり、色名は各社が自由に付けられるからです。おおまかには、こう使い分けられていることが多い、という程度に受け取ってください。
| 呼び名 | だいたいの位置 |
|---|---|
| グレージュ | 灰色に、わずかに黄み |
| グレーベージュ | ほぼ同じものを指して使われます。言い換えと考えて構いません |
| モカベージュ | グレージュより茶色寄り・やや濃いめで使われることが多い |
| トープ | グレージュより暗めの灰みがかった茶で使われることが多い |
だから、名前を覚える意味はあまりありません。——「灰色寄りか、茶色寄りか」「明るいか、暗いか」の2軸で伝えるほうが早いです。そして最後は番号。この順番です。
グレージュ外壁に合う色
よく検索されています。「合う・合わない」に正解はありませんが、外れにくい考え方はあります。グレージュはグレーとベージュの間の色なので、どちらに寄っているかで相性が変わります(3つを分ける線)。
| 合わせる相手 | 考え方 | 注意 |
|---|---|---|
| 屋根 | 濃い色で締めると輪郭が出ます。色番は屋根の色の章に挙げました | 屋根を明るくすると全体がぼやけます |
| サッシ・雨樋・破風 | 既存の色に合わせるのが基本。サッシは塗り替えないことが多いので、サッシの色を先に決まりとして扱います(アルミサッシ/破風板) | 白いサッシに黄み寄りのグレージュだと、サッシだけ浮くことがあります |
| 玄関ドア | 木目のドアとは相性がいい色です。ドアを塗らないなら、これも決まりとして扱います(玄関ドア) | ドアの木目が赤みなら、グレージュも黄み寄りにすると馴染みます |
| もう1色(ツートン) | 同系の濃淡が失敗しにくい。白に近い色か、グレージュを濃くした色 | 詳しくはツートンの章 |
| 付帯部(軒天) | 白または明るいベージュ。軒天を暗くすると家全体が重くなります(軒天) | — |
「合う色」を決める順番
塗り替えでは、変えられないものから決めます。——①サッシ、②玄関ドア、③屋根(塗るなら変えられます)、④外壁。この順で見ていくと、選べる幅が自然に絞れます。
新築の外観選びとは順番が逆だということです。新築は外壁から決められますが、塗り替えはすでに家にある色に合わせにいく作業になります。
グレージュ外壁と屋根の色——番号の出どころが、壁とは別です
「グレージュにしたら、屋根は何色か」。ここは好みの前に、選べる色数の話から入ったほうが早いです。
屋根用の塗料には、壁とは別の標準色があります。エスケー化研でいうと、屋根用(ヤネフレッシュ・ルーフスター等)はRC色45色、屋根用の遮熱(クールタイト)はCLR色41色。壁の上塗材はSR色49色で、番号の出どころがそもそも違います(色番の読み方)。
| 系統 | 何用か | 色数 | 明度5.0以下(暗い色) |
|---|---|---|---|
| SR色 | 壁の上塗材 | 49 | 6色だけ |
| RC色 | 屋根 | 45 | 37色 |
| CLR色 | 屋根(遮熱) | 41 | 31色 |
屋根用は、8割以上が暗い色です。明るい側は45色中8色しかなく、しかもそのうち2色は彩度12〜14の鮮やかな赤(瓦の色)。つまり屋根は「暗い色で締める」のが標準で、明るい屋根を選ぼうとすると選択肢がほとんどありません。
グレージュは明るくて黄み寄りの色なので、屋根は暗い側から選ぶと輪郭が出ます。実際に選ばれる帯を、番号で挙げます。
| 屋根の方向 | 色番号(マンセル値) | グレージュとの関係 |
|---|---|---|
| こげ茶 | RC-108(5.3YR3.7/1)/RC-119(10YR3.9/0.3)/RC-134(7.5YR2.1/0.3) | 色相がそろいます。グレージュも黄赤〜黄の側なので、家全体が1つの色味でまとまります |
| チャコール(青み寄りの暗灰) | RC-107(0.1PB3.9/0.8)/RC-144(5PB2.5/0.7)/RC-120(10B2.6/0.2) | 色相が反対側なので対比になります。壁の黄みが引き立つ代わりに、まとまりは弱くなります |
| 黒に近い | RC-152(N2.2)/RC-110(10B1.3/0.2)/RC-145(5PB1.5/1) | いちばん締まります。壁との明度差が最大になるので、グレージュの薄さが際立ちます |
色数と色番は、エスケー化研が公開している標準色(マンセル値)の対応表を当サイトが数えたものです(2026年9月14日・323色を全数)。「こげ茶」「チャコール」の区切りは当サイトのもので、メーカーの区分ではありません。他社は番号の体系が違うので、番号よりマンセル値を控えてください。どの組み合わせが正解という基準はありません。
先に確かめることが2つあります。
- その屋根は塗れるのか。屋根材によっては塗装が向かないもの、塗ってはいけないものがあります。色を決めるより前の話です
- 暗い屋根は夏に熱を持ちます。屋根用の遮熱(CLR色)も暗い側が主体なので、遮熱で塗る前提でも色の幅はあまり変わりません。効き方と限界は遮熱塗料のページに書きました
なお壁と屋根を同じ日に決める必要はありません。屋根は足場を組む工事なので工程は一緒でも、色は別の板見本で見たほうが確実です。頼み方は最後の章にまとめました。
ツートンにするとき、グレージュはどちらに置くか
グレージュはツートンと相性がいい色です。——主張が弱いので、もう一色を引き立てる側に回れるからです。
置き方は大きく2つあります。
- グレージュを「広いほう」に置く——1階と2階で分けるなら、面積の大きい側。落ち着いた家になります。もう一色は濃いグレーやブラウンが合わせやすい
- グレージュを「狭いほう」に置く——バルコニーや玄関まわりだけ。白い外壁のアクセントとして使う形。ただし面積が小さいとグレージュの良さが出にくいことがあります
ツートンは、分ける「線」の位置で印象が決まります。——上下で分けるのか、面で分けるのか。色を決める前に、どこで切るかを図で見せてもらってください(ツートンの分け方)。
サイディングのグレージュと、塗装のグレージュは別物です
ここは混同されやすいので、はっきり書いておきます。
「グレージュ 外壁」で検索すると、サイディングメーカーの製品ページが多く出てきます。——これは新しく家を建てる/張り替える人が見るものです。板そのものに柄と色が付いた製品で、木目調やタイル調と組み合わさっていることもあります。
| サイディングの製品色 | 塗装で作るグレージュ | |
|---|---|---|
| 誰のもの | 新築・張り替えの人 | いまある壁を塗り替える人 |
| 色の決まり方 | メーカーの製品ラインナップから選ぶ | 調色して作る。番号で指定できます |
| 柄 | 板に柄が付いている(木目調・石調など) | 塗装では柄は再現できません。単色になります |
いちばん大事なのはここです。——塗り替えでは、いまある壁の柄を残すか、消すかしか選べません。クリヤー塗装なら柄は残りますが色は変えられません。色を変えるなら柄は塗りつぶされます(クリヤー塗装)。
だから「この施工例のグレージュにしたい」と写真を持っていくときは、それがサイディングの製品なのか、塗装なのかを先に確かめてください。——製品の写真を塗装で再現しようとすると、必ずどこかで話が食い違います。
メーカーは「マンセル値」を公表しています——ただし塗装色には変換できません
ここは、このページでいちばん実務的な話です。ニチハもケイミューも、外壁材の色を「マンセル値」という数値で公開しています。用途もはっきり書かれています。
ニチハ「マンセル値(景観条例用)検索」より
「景観法に基づく各地域の景観色彩ガイドライン等による外壁材商品の使用可否判断の一助とするために、対応相当のマンセル値を検索・表示します。」
そして、すぐ下にこの注記が続きます。——「※ここで表示するマンセル値は、外壁材商品の部分的な色彩を測色したものではなく、商品全体に含まれる色彩を平均化した値です。従いまして補修塗料の色彩とも異なり、また補修その他に使用するための(社)日本塗料工業会の標準塗装色を導くことはできません。」
読み飛ばせない一文です。「いまのサイディングと同じグレージュに塗ってください」と頼んでも、メーカーが公表しているマンセル値から、塗料の色番号(日塗工)へは変換できないとメーカー自身が言っています。
ケイミューの注記も同じ方向です。——「外壁材マンセル値は色差計の測定値となります。多色塗装品の場合、5〜6箇所測定したうちの最頻値を採用しています」「それぞれの値は、実際に使用している個々の塗料のマンセル値ではありません。」
| 公表されている数値 | 何を表しているか | できないこと |
|---|---|---|
| サイディングのマンセル値 | 商品全体の色を平均した値(ニチハ)/5〜6箇所の最頻値(ケイミュー・多色品) | 塗料の色番号に変換すること |
| 日塗工の色番号 | 塗料の色そのもの | 柄の陰影や多色のニュアンスを表すこと |
ニチハはさらに「マンセル値は柄表面の凹凸に生じる陰影も色として計測され、同じ塗装でも詳細な数値差が生じる為、全て整数で表記しています」「表面の質感、艶等の影響により、色の見え方には個人差があります。マンセル値は色合いの目安としてご参照いただき、最終的な色確認は実物サンプルにて行っていただく事をお勧めします」と書いています。
だから、いまの色に寄せたいときの頼み方はこうなります。——「この品番のサイディングに近いグレージュで、日塗工の番号を3つ出してください」。数値の変換ではなく、人が見て選び直す作業だということです(頼み方の章)。
施工写真の「グレージュ」を、そのまま信じない
「外壁塗装 グレージュ 画像」で施工例を集めている方へ。——写真は当たりを付ける道具としては優秀ですが、色を決める道具にはなりません。理由を3つ書きます。
- 撮った時間で変わります——朝と夕方では光の色が違います。夕方の写真は、実物より黄みが強く写ります
- 天気で変わります——曇りの日は色が沈み、晴れの日は明るく飛びます。同じ壁でも別の色に見えます
- 見ている画面で変わります——スマホもパソコンも、機種と設定で発色が違います。あなたが見ている色は、その画面の色です
それでも写真には使い道があります。——「灰色寄りか、茶色寄りか」「明るいか、暗いか」の方向を伝えるのには十分です。写真を数枚持っていって、「この方向で、板見本を何枚か作ってください」と頼む。これが正しい使い方です。
1枚だけ持っていくのは避けてください。——好みの写真を3枚並べると、自分が何を良いと思っているかが自分でも分かります。「全部、少し暗めだった」「全部、木の色と合わせてあった」——そういうことが見えてきます。
塗り壁・木目と合わせるとき
グレージュは、素材と組み合わせて使われることが多い色です。——検索でも「グレージュ 塗り壁」「グレージュ 木目」がよく一緒に打たれています。ここは塗り替えでできること・できないことがはっきり分かれます。
| 組み合わせ | 塗り替えでどうなるか |
|---|---|
| 塗り壁(モルタル・ジョリパットなど) | 相性がいい組み合わせです。塗り壁はマットな表面なので、グレージュのやわらかさが出ます。ただし塗り壁専用の材料が要ることがあります——普通の塗料で塗るとつやが出て、別の壁に見えます(ジョリパットの塗り替え) |
| 木目(玄関ドア・軒天・バルコニー) | 木目の部分は、たいてい塗り替えの対象外です。玄関ドアは既製品、軒天の木目調も張り替え。外壁だけが新しくなるので、木目の色に合わせて外壁を選ぶという順番になります |
| タイル・石調のアクセント | 塗ると柄が消えます。残したいなら塗らない範囲として見積書に明記してもらってください |
いちばん多い勘違いがこれです。——「木目と合わせたグレージュの家」の写真の多くは、新築です。木目の部分も含めて設計されています。塗り替えでは、変えられない色(サッシ・玄関ドア・木目部分)が先にあって、そこに外壁を合わせにいく——順番が逆になります。
だから板見本は、必ずその「変えられないもの」の横に当てて見てください。——玄関ドアの横、サッシの横、軒天の下。壁だけを見て決めると、仕上がってから浮きます。
景観の届出がある地域では、色を数値で出します
お住まいの地域によっては、外壁の色を変えるときに市区町村への届出が要ります。景観法にもとづく地区や、風致地区、伝統的建造物群保存地区など。規模の下限がなく、色を変えるだけで対象になる地域もあります。
そこで求められるのが色の数値です。「グレージュ」という色名では届出になりません。マンセル値、あるいは日塗工の色番号で示します。
メーカーが景観条例用のマンセル値検索を用意しているのは、このためです。ニチハのページには「検索結果はExcelでダウンロードし、印刷することも可能です」とあり、届出の書類に添える使い方が想定されています。
ただし、最後は現物です
ケイミューは、こう書いています。——「景観に関する法令の適合性については、各地方自治体等に現物サンプルをご提出などし、ご相談・ご確認ください。」
数値を出せば通る、という話ではありません。自治体によっては現物のサンプル提出を求められます。塗装の場合も同じで、日塗工の番号を伝えたうえで、塗り板を見てもらう流れになります。
該当するかどうかは、市区町村の景観のページで確認できます。当サイトでは市区町村ごとの助成金のページで、景観の届出が要る地域についても触れています(助成金・補助金)。届出が要る地域では「着手前に通知を受け取るまで工事を始められない」という決まりのところもあるので、日程に影響します。
同じ色に塗り直す場合は届出が不要とされている自治体もあれば、同色でも色彩の変更として扱う自治体もあります。扱いは地域ごとに違うので、必ずお住まいの市区町村で確認してください。
頼み方——番号で残すまでが仕事です
ここまでをまとめると、頼み方は3段階になります。
| 場面 | 言い方 |
|---|---|
| 候補を出してもらうとき | 「グレージュのような、灰色にすこし黄みが入った色を見たいです。明るさはこのくらいで」——既存の壁と比べて示すと早いです |
| 見本を見るとき | 「この見本の色番を教えてください」/「A4以上の板見本を作ってもらえますか」 |
| 決めたとき | 「決まった色番を、見積書と契約書に書いてください」——色名だけだと、あとで再現できません |
番号を書面に残す意味は、仕上がりの確認だけではありません。——数年後に部分的な補修が要ったとき、同じ色に戻せます。次の塗り替えのときも同じです。色名しか残っていないと、その時点でまた同じ迷いが始まります。
色で塗料の値段が変わることがあります。——メーカーによっては、標準色と調色(オーダー)で価格帯が分かれています。「この色は標準色ですか、調色ですか」「差額はいくらですか」——これは色を決める前に聞いてください(色と価格の関係)。
よくある質問
グレージュの色番号を教えてください
「グレージュ」という名前の色番号は存在しません。日塗工の色見本帳にその色名が無いためです。探す場所としては、無彩色(N系)ではなく、色相の番号を持ち、明度が高め・彩度がごく低いあたりになります。具体的な番号は、実際に見本を見て「この色の番号を教えてください」と聞くのが確実です。当サイトが特定の番号を挙げないのは、同じ「グレージュ」でも人によって思い浮かべる色が違うからです。
グレージュは汚れが目立ちますか?
色名ではなく明るさで決まります。黒っぽい汚れ(排気ガス・雨だれ)は明るい色ほど目立ち、白っぽい汚れ(チョーキング・水あか)は濃い色ほど目立ちます。どちらにも強いのは中間です。グレージュとして提案される色は明るいほうに寄りやすいので、「グレー系だから汚れに強いはず」という前提は置かないでください。
ベージュとグレージュ、どちらが飽きにくいですか?
どちらが正解ということはありません。ただ、飽きの原因として多いのは「思っていたより黄みが強かった」です。黄みが強いほど、時間が経ったときに古い印象になりやすいと言われます。迷っているなら、灰色寄りと黄み寄りの板見本を2枚作ってもらい、並べて見てください。言葉で決めるより早いです。
写真で見たグレージュと同じ色にできますか?
写真の色は、撮影の光・カメラ・画面で変わります。同じにはできない前提で進めてください。できることは、その写真を持っていって「これに近い色の見本を何枚か出してください」と頼むことです。また、その写真がサイディングの製品なら、塗装では柄まで再現できません——ここは先に確かめてください。
グレージュとグレーベージュは違う色ですか?
ほぼ同じものを指して使われています。色名に業界の共通定義が無いため、会社によって呼び方が分かれているだけです。名前を追うより、「灰色寄りか茶色寄りか」「明るいか暗いか」の2軸で伝えて、最後に番号で確定するほうが確実です。
ツートンにするなら、グレージュはどちらに使いますか?
主張の弱い色なので、面積の大きいほうに置くと落ち着きます。もう一色は濃いグレーやブラウンが合わせやすいです。逆に狭い面だけに使うと、グレージュらしさが出にくいことがあります。色より先に「どこで分けるか」の線を図で見せてもらってください。
グレージュの外壁に合う色は何ですか?
塗り替えでは、変えられないものから決めると失敗しにくいです。順番は①サッシ、②玄関ドア、③屋根、④外壁。サッシと玄関ドアは塗り替えないことが多いので、先に決まりとして扱います。屋根は濃い色(チャコール、ブラック、ダークブラウン)が無難で、明るくすると全体がぼやけます。軒天は白か明るいベージュ。ツートンにするなら同系の濃淡が失敗しにくいです。新築の外観選びとは順番が逆で、塗り替えはすでに家にある色に合わせにいく作業になります。
いまのサイディングと同じグレージュに塗ってもらえますか?
同じ数値をそのまま使うことはできません。ニチハはマンセル値の検索ページに「補修塗料の色彩とも異なり、また補修その他に使用するための(社)日本塗料工業会の標準塗装色を導くことはできません」と明記しています。ケイミューも「それぞれの値は、実際に使用している個々の塗料のマンセル値ではありません」としています。サイディングのマンセル値は商品全体の色を平均した値(多色品は5〜6箇所の最頻値)だからです。頼み方は「この品番のサイディングに近いグレージュで、日塗工の番号を3つ出してください」。数値の変換ではなく、人が見て選び直す作業になります。
景観の届出がある地域では、色をどう伝えるのですか?
マンセル値または日塗工の色番号で示します。「グレージュ」という色名では届出になりません。外壁材メーカーが景観条例用のマンセル値検索を用意しているのはこのためで、ニチハは検索結果をExcelでダウンロードして印刷できるとしています。ただしケイミューは「景観に関する法令の適合性については、各地方自治体等に現物サンプルをご提出などし、ご相談・ご確認ください」と書いています。数値を出せば通るとは限らず、現物のサンプル提出を求められることがあります。なお同じ色に塗り直す場合の扱いは自治体ごとに違うので、お住まいの市区町村で確認してください。
あわせて読みたい
ブラウンの外壁
外装用の標準色49色のうち、茶色は4色。濃い茶は2色でした
外壁のピンクベージュ
標準色に「赤紫」は1色もありません。実体は黄赤(YR)です
グレーの外壁
「汚れが目立ちにくい」の中身と、N値で失敗を減らす方法
外壁塗装の色
日塗工の色番号の読み方、ツヤの段階、色で塗料の値段が変わる仕組み
カラーシミュレーション
画面の色と実物のずれ。当たりを付ける道具としての使い方
ネイビーの外壁
濃い色は面積効果が逆向き。後悔として語られる3つ
参考にした情報
今回あらたに確認した出典(2026年9月10日)=ニチハ「マンセル値(景観条例用)検索」(「景観法に基づく各地域の景観色彩ガイドライン等による外壁材商品の使用可否判断の一助とするために、対応相当のマンセル値を検索・表示します」/「商品全体に含まれる色彩を平均化した値です。従いまして補修塗料の色彩とも異なり、また補修その他に使用するための(社)日本塗料工業会の標準塗装色を導くことはできません」/「マンセル値は柄表面の凹凸に生じる陰影も色として計測され…全て整数で表記しています」/「最終的な色確認は実物サンプルにて行っていただく事をお勧めします」/検索結果のExcelダウンロード)、ケイミュー「マンセル値」(「外壁材マンセル値は色差計の測定値となります。多色塗装品の場合、5〜6箇所測定したうちの最頻値を採用しています」/「それぞれの値は、実際に使用している個々の塗料のマンセル値ではありません」/「景観に関する法令の適合性については、各地方自治体等に現物サンプルをご提出などし、ご相談・ご確認ください」)。
- 一般社団法人 日本塗料工業会「塗料用標準色」色見本帳(色番号の体系=色相・明度・彩度、無彩色のN表記。「グレージュ」という色名が収録されていないことの確認に使用)
- 塗料メーカー各社の製品カタログ(標準色と調色の区分、つやの設定、色による価格帯の違い)
- 塗料の販売・調色に携わった経験のある実務者への取材(色名で依頼を受けたときに現場で起きること、板見本の作り方、面積効果の出方)
色の見え方は、光の当たり方・壁の素材・まわりの建物によって変わります。「グレージュ」「モカベージュ」などの色名に業界の共通定義はなく、本ページの位置づけは一般的な使われ方の説明です。実際の色は必ず現物の見本と色番で確認してください。最終確認日:2026年9月6日。