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外壁の穴あけ・穴埋め——表面をふさぐより、奥の防水紙で決まります

外壁の穴を「とりあえずコーキングで埋めておこう」と考えている方に、先にお伝えしたいことがあります。外壁は、表面だけで雨を止めていません。表面の壁材と、その奥にある防水紙の二段構えで止めています。これは業界団体が自分たちで公表していることです。だから穴の直し方は、表面に何を詰めるかではなく、奥の防水紙まで届いている穴かどうかで変わります。ここを取り違えると、埋めた翌年に室内側へ出てきます。

※本ページはプロモーション(広告)を含みます。

このページの内容

まず結論——穴は「ふさぐ」のではなく「水の道を切る」

外壁の穴の話は、結論から言うとこの3行に収まります。

  1. 壁を貫通していない小さい穴(ビス跡・フック跡・欠け)は、表面をふさげば足ります。自分でやってもかまいません
  2. 壁を貫通している穴(エアコン、換気、配線、給湯器の跡)は、表面をふさぐと逆効果になることがあります。ここは中の処理が本体です
  3. これから開ける穴は、開けたあとの防水より、開ける場所のほうが大事です。効かない場所に打つと、最初から水が入る形になります

ややこしく感じるかもしれませんが、判断は「その穴の奥に、外の空気が通っているか」だけです。光が入る・風が抜ける・指を入れると空間がある——このどれかなら貫通していると考えてください。貫通しているなら、詰め物の種類を調べるより先に、誰に見てもらうかを決める段階です。

そして、もう1つだけ先に書いておきます。穴の補修は、単独で頼むと割高になります。高い場所なら足場が要り、足場代のほうが補修代より大きくなるからです。塗り替えの予定があるなら、そこにまとめるのがいちばん無駄がありません。これは後半でもう一度触れます。

外壁は二重になっています(業界団体の原文)

ここが、このページでいちばんお伝えしたいことです。日本窯業外装材協会——サイディングを作っているメーカーが集まっている団体——が、自分たちのサイトでこう書いています。

サイディングを使用した外壁からの雨水の浸入は、サイディング本体と透湿防水シート(以下防水紙という)の両方の防水機能によって防止する方法を基本としています。(一般社団法人 日本窯業外装材協会「防水施工法と関連商品」)

さらに、同じページにこう続きます。

最近の住宅では軒の出が少ないため、サイディングの表面に多量の雨水がかかる条件下では、施工精度、風圧、その他の条件により合じゃくり部、シーリング部、開口部まわり、配管まわり等からの一時的な多少の雨水の浸入は避けられません。したがって、防水紙、防水テープを正しく施工することが重要になります。(同)

作っている側が「表面から多少入るのは避けられない」と書いているのです。これは手抜きの話ではありません。そういう設計だという話です。表面で入った水は、壁材の裏の通気層という空気の通り道を下って外に出ていきます。防水紙は、その水が家の中まで届かないようにする2枚目の壁です。

この構造が分かると、次のことが自然に理解できます。

  • 表面のコーキングは1枚目にすぎない。そこだけ完璧にしても、2枚目が破れていれば水は入ります
  • 貫通した穴を表面だけ塞ぐと、逆に危ない。壁の中に入った水と湿気は、出口をふさがれると木材のほうへ回ります
  • 「穴を開ける」の本当の意味は、2枚目に穴を開けることだ。だから開けたあとに防水紙をどう処理したかが、その穴の寿命を決めます

モルタル壁の家は少し事情が違い、防水紙の上にラス(金網)を張ってモルタルを塗っています。二段構えである点は同じですが、表面自体が水を吸うぶん、穴の周りが傷みやすくなります。壁の種類ごとの違いは後半の章にまとめました。

あなたの穴はどれですか——4つに分けると、やることが決まります

「外壁の穴」と一言で言っても、中身がまったく違います。まずご自宅の穴がどれかを決めてください。ここが決まれば、あとは読む章が1つに絞れます。

穴の種類よくある例貫通やること
①小さい穴・跡フックのビス跡、表札の跡、アンテナ金具の跡、看板の跡していない表面の補修。自分でも可
②大きい穴・欠け物をぶつけた、給湯器やエアコンの架台を撤去した跡、板が欠けたしていないことが多い面で直す。範囲によっては業者
③貫通した穴エアコン配管、換気口、給気口、配線の引き込み、使わなくなった配管の跡している中の処理が本体。業者
④これから開ける穴サンシェード、防犯カメラ、物干し金物、宅配ボックス、テレビアンテナ、エアコン増設する/しない両方開ける場所を先に決める

見分け方の実際は、こうしてください。晴れた日の昼間に、室内側の同じ位置を見ます。点検口や押入れの奥から光が漏れていれば貫通です。それが見られない場所なら、穴に細い棒を差してみて、壁の厚み(サイディングなら14〜16mm程度が主流)より深く入るかどうかで見当がつきます。棒が10cm以上すっと入るなら、それは壁の中の空洞です。そこで止めて、触らないでください。

⚠️ひび割れは、このページの話ではありません。穴とひびは原因も直し方も違います。ひび割れについては外壁のひび割れのページに、幅で判断してはいけない理由(国の技術基準の原文つき)を書いています。

①ビス跡・フック跡——ここは自分でやってもいい範囲

直径が数ミリで、壁を貫通していない穴。これは正直に言って、大ごとではありません。ただし放っておくと、じわじわ効いてきます。

何が起きるか。穴の底では、壁材が塗膜に守られていない状態でむき出しになっています。そこに水が入ると、壁材が水を含みます。窯業系サイディングもモルタルもセメント系なので、水を含んだまま冬に凍ると、体積が増えて表面を内側から押し出します。これが凍害で、穴のまわりだけボロボロと欠けていくのはこれが原因です。寒い地域ほど早く出ます。

どう直すか。順番はこれだけです。

  1. 穴の中のゴミと粉を落とす。細いブラシや掃除機。ここを飛ばすと材料が付きません
  2. 乾いていることを確認する。雨の翌日は避けてください
  3. 変成シリコーン系のシーリング材を少量、奥から詰める。表面をなでるのではなく、穴の底から埋めます
  4. はみ出しをヘラで取る。周りに広げないほうが目立ちません
  5. 色を合わせたいときは、乾いてから上に塗料を置く。ただし材料によっては塗料が乗りません(下の注意を参照)

⚠️材料選びで1つだけ注意があります。ホームセンターで「シリコン」と書かれた安いチューブが並んでいますが、いわゆるシリコーン系は、上から塗料が乗りません。あとで塗り替えるつもりなら、必ず変成シリコーン系(塗装可と書かれているもの)を選んでください。この違いは見積書にも出てくるので、コーキング(シーリング)のページに製品の種類ごとの違いを詳しく書いています。

やらなくていい場合もあります。1年以内に塗り替える予定があるなら、そのときに下地補修としてまとめて処理してもらったほうが、仕上がりも耐久も上になります。「次の塗り替えが2年以上先かどうか」を目安にしてください。

②大きい穴——「パテで埋める」で調べている方へ

「外壁 穴埋め 大きい」「外壁 穴埋めパテ」で調べている方は、たいていこの状況だと思います。物をぶつけた、看板や架台を外したら大きな跡が残った、板の角が欠けた。

まずやってはいけないことから書きます。大きい穴を、その場でパテだけで盛って終わりにしないでください。理由は2つあります。

  • 厚く盛ったパテは割れます。外壁は昼と夜で温度が動き、壁材も伸び縮みします。動かない材料を厚く盛ると、境目から必ず切れます。切れた線は、埋める前の穴より水を集めます
  • 穴の奥が見えなくなります。大きい穴は、貫通しているかどうかの判断が済んでいないことが多いのです。塞いでしまうと、あとから「どこから入っているか分からない雨漏り」になります

正しい順番は「深さを埋める」→「面をつくる」→「塗る」の3段です。業者がやっているのもこれです。

やること使うもの(例)
1. 深さを埋める空いている体積を、動きに耐える材料で埋めるバックアップ材、シーリング材、下地材
2. 面をつくる周りと同じ高さ・同じ質感にならす補修用パテ、モルタル(モルタル壁の場合)
3. 塗る塗膜で水を止め、色を合わせる下塗り+上塗り

3段目が抜けている補修が、いちばんよくある失敗です。パテやモルタルは、それ自体では防水材ではありません。水を吸います。上に塗膜が乗ってはじめて水を止めます。「埋めたのに、そこだけ黒く汚れてきた」というのは、塗っていないからです。

色は、まず合いません。これは正直に書いておきます。周りの壁は何年も日に当たって色が変わっているので、補修した部分だけ新しい色になります。目立たせたくないなら、その面をまるごと塗るしかありません。だから「大きい穴が1か所できた」は、実は塗り替えを前倒しするかどうかの分かれ道でもあります。板ごと替える選択肢もありますが、同じ柄の板が製造終了になっていることがあり、その話は外壁の張り替えのページに書いています。

自分でやる範囲の線引き。「貫通していない」「板1枚の中に収まっている」「手が届く高さ」——この3つがそろえば、自分で直しても大きな失敗にはなりません。1つでも欠けるなら、写真を撮って見てもらってください。2階の壁は、それだけで足場の話になります

③貫通した穴は、材料ではなく「勾配」の話です

ここが、このページの本体です。エアコンの配管、換気扇の排気口、給気口、配線の引き込み。これらは壁を貫通しています。そしてこの種類の穴は、詰め物の性能ではなく、形で決まります。

国が「下り勾配にすること」と書いています

国土交通省が平成22年5月17日に公表した基準があります。太陽光パネルを後付けする工事で雨漏りが増えたことを受けて作られたもので、リフォームの瑕疵保険の検査基準として位置づけられています。その中に、外壁を貫通する部分の項目があります。

a.外壁を貫通するケーブルは、ケーブルを下向きにわん曲させる等、屋内に雨水が浸入しないようにすること。
b.壁貫通パイプ等は、屋外側に下り勾配をとり、管端はエントランスキャップ等を使用するか、管端を下向きに曲げる等、雨水が浸入しないようにすること。
c.壁面等の穴あけ加工部は、穴と壁貫通パイプ等の間に隙間が生じないようにシーリング材等を用いて止水処理を行う等、適正に防水措置を施すこと。
(国土交通省「既存住宅の瑕疵担保責任保険 施工・検査基準(住宅用太陽電池モジュール設置工事編)」5.外壁貫通部の配線工事)

読み替えると、こうです。穴は、外に向かって下がっていなければならない。水は上には流れないので、形さえ正しければ、詰め物が多少痩せても中に入りません。逆に、外側が上がっている穴は、コーキングをどれだけ盛っても、そのコーキングが切れた日に全部入ります

ご自宅で確認できます。エアコンの配管が壁から出ているところを、真横から見てください。配管が壁から出たあと、下に向かって垂れていれば正解です。まっすぐ、あるいは上がっているように見えたら、そこは写真に撮って業者に見せる価値があります

業界のマニュアルには、数字まで書いてあります

もう1つ、さらに具体的な資料があります。「窯業系サイディングを使用した外壁の換気口周辺の防水施工マニュアル」——サイディングメーカー、サッシメーカー、シーリング工業会、粘着テープ工業会などが集まって作ったものです。壁に開けた穴の防水だけで、14ページあります。

この文書の作られた背景が、そのまま状況を説明しています。

シックハウス対策に係わる建築基準法の一部を改正する法律が平成14年7月12日に公布、平成15年7月1日に施行されました。(中略)したがって、従来に比べ多くの換気口が外壁に設けられることになり、「住宅品確法」で述べられている「室内への雨水の浸入」による瑕疵の発生確率も増えるものと予想され、対策を立てておく必要があります。(NPO法人住宅外装テクニカルセンター 住宅外装防水研究会「換気口周辺の防水施工マニュアル」はじめに)

24時間換気が義務になって、壁の穴が増えた。だから雨漏りも増えると予想された。——業界がそう考えて、先回りしてマニュアルを作ったということです。壁の穴は、それだけ雨漏りの入口として警戒されていると考えてください。

数字を並べます。これは施工する側の基準ですが、見積書や現場の説明を聞くときの物差しになります

項目マニュアルの内容意味
パイプの勾配給気ダクトの勾配 1/3030cm進むごとに1cm下げる。目で見て「下がっている」と分かる程度
パイプの出寸法サイディング仕上げ面から約20〜30mm壁面と面一にしない。水が壁を伝わないように出す
壁材の孔径パイプ外径+20mm(シーリング目地幅10mmを確保)ぴったり開けない。動きを吸うすき間を作る
パイプ受けの固定柱・間柱に取り付ける(または木枠を作る)壁材ではなく構造に留める
防水紙との接合50mm幅の片面粘着防水テープで隙間なく圧着2枚目の壁を、穴のまわりでつなぎ直す
バックアップ材通気層厚さ(胴縁厚さ)とほぼ同径(φ20mm程度)空気の通り道をふさぎきらない

そして、このマニュアルにはもう1つ、決定的な一文があります。

ベントキャップ又は、パイプフード(以下ベントキャップ)は、その構造上、雨水の浸入を完全に防止することは難しいため、浸入した雨水を出来るだけ早く屋外に排出する構造でなければならない。(同 2.3 ベントキャップの種類)

「完全には止められないから、早く出す」。これが、貫通した穴に対する業界の答えです。だから、貫通した穴を外側から塗り固めてはいけないのです。出口を塞ぐことになります。

同じ資料は、外壁のフードには外挿型(かぶせるタイプ)を推奨し、内挿型(差し込むタイプ)については、シールが不完全だと壁の中に排気が漏れて壁体内結露を起こしやすく、水はけが悪ければサイディング表面に流れ出すと書いています。換気口の下だけ黒く汚れている家を見たことがあると思いますが、原因はこれであることが多いです。

使わなくなった穴は、どうするか

もう使っていないエアコンの配管穴、外した給湯器の配管跡。これは埋めるのが正解です。ただし「外から詰める」ではありません。

順番はこうなります。①中の配管やスリーブを撤去するか残すかを決める ②屋内側を気密・防湿の材料で閉じる ③屋外側は、水が入らない形にしたうえでキャップまたは補修 ④仕上げに塗装屋外側だけをコーキングで盛って終わりにすると、壁の中に残った湿気が抜けなくなります。この工事は、壁の中に手を入れる話なので、DIYの範囲を超えます。

ここまで読んで「うちのは貫通しているかもしれない」と思われたなら、その判断はご自身でしないほうが安全です。外壁の見積もりは無料で出してもらえるので、そのときに穴を見てもらうのがいちばん早い方法です。複数社に見てもらえば、同じ穴を各社がどう扱うかが並んで出てきます。「補修に入れる」と言う会社と「これは触らない」と言う会社が分かれることがあり、その理由を聞くと、自宅の壁の状態がいちばんよく分かります

④これから開けるなら、開ける前に決まっています

サンシェードを付けたい、防犯カメラを付けたい、物干し金物を増やしたい、宅配ボックスを固定したい。これから開ける穴は、開けたあとの防水より、開ける場所のほうがずっと大事です。

外壁材そのものには、効きません

サイディングの家は、板の裏に胴縁(どうぶち)という木の桟があり、その裏に通気層と防水紙、その奥に柱・間柱があります。板だけにビスを打つと、板は薄いので効きません。効かないビスは少しずつ緩み、緩んだビスは動き、動いた穴は水を引き込みます。数年後に「なぜかそこだけ雨漏りする」となるのは、この経路です。

公的な相談窓口でも、同じことが助言されています。住まいるダイヤル(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)に寄せられた、手すりの取り付けに不安があるという相談への回答です。

まず、手すりを固定する金具や木ねじが、壁の下地合板や石膏ボード裏側の胴縁や間柱が入っているところに取り付けられているか等、手すりメーカーの施工要領書に従った適切な施工がされているか確認してみてください。(住まいるダイヤル 電話相談事例・相談ID 674)

これは室内の手すりの話ですが、「下地に効かせる」「メーカーの施工要領書どおりか」という2点は外壁でもそのまま当てはまります。むしろ外壁のほうが、効いていないと雨漏りまで付いてくるぶん重い話です。

だから、順番はこうなります

  1. 付けたいものの重さと、風を受ける面積を確認する。サンシェードは軽く見えて、風では帆と同じです。強風時に金具ごと持っていかれます
  2. 下地の位置を探す。柱・間柱・胴縁の位置。下地探し器で見当はつきますが、外壁材の上からだと精度が落ちます。図面があるなら、それがいちばん確実です
  3. 穴を開けたあとの止水を、開ける前に決める。ビスにパッキンを使うのか、シーリングを先に入れて打つのか。「打ってから考える」が最悪です
  4. 貫通させないで済む方法を先に考える。フェンスや自立式のスタンド、雨戸の戸袋やベランダの手すりに固定する方法など、壁を貫通しない選択肢があるなら、そちらが安全です

⚠️賃貸・分譲マンションは、そもそも自分で決められません。外壁は共用部分なので、勝手に穴を開けると原状回復の対象になります。ベランダまわりの考え方はベランダの隔て板のページに整理しています。

太陽光パネルを載せるときの穴も、同じ考え方です

先ほどの国土交通省の基準は、屋根側についても書いています。支持部材は屋根材ではなく、垂木・母屋という構造材に留めることが原則で、ねじの貫通部はプライマー処理のうえパッキンやシーリング材で止水する下葺材(防水紙にあたるもの)を傷めたら修復・増張りする——と定められています。外壁でも屋根でも、考え方はまったく同じです。屋根の話は太陽光パネルと屋根塗装のページにまとめています。

壁の種類で、話がまるごと変わります

ここまでサイディングを前提に書いてきましたが、壁の種類で注意点が変わります。ご自宅がどれかを確かめてから読んでください。

壁の種類穴を開けるとき穴を埋めるとき
窯業系サイディング板の裏に通気層がある。下地(胴縁・柱・間柱)に効かせる。板だけでは効かない目地の近くは避ける。動きが集中する場所です
モルタル下地はラス(金網)と木ずり。叩いて音が変わるところに柱があることが多い表面が水を吸うので、埋めたあとに必ず塗る。塗らないとそこだけ黒くなります
ALC要注意。気泡コンクリートで中に補強筋が入っています。位置や大きさによってはパネルの強度に関わります。自己判断で開けないALC専用の補修材を使う。両面を密閉しない(放湿性を殺さない)
タイルタイル面ではなく目地に開けるのが基本。タイルは割れると復旧できない柄があります同じタイルの入手が難しい。1枚の欠けが面の張り替えになることがあります
金属サイディング薄い金属板。下地に効かせないと必ず緩みます。開けた縁から錆びます切り口の防錆処理が必須。埋めるより板の交換が現実的なことも

ALCだけは、はっきり別扱いにしてください。ALCは軽くて加工しやすいので「開けやすい壁」に見えますが、パネルの中には補強筋が入っていて、それが構造の一部です。開ける位置と大きさに考え方があり、これは施主が判断する領域ではありません。ALCの性質と、塗装が防水を担っているという話はALC外壁のページに書いています。

ご自宅の壁がどれか分からないときは、板と板のつなぎ目(縦か横の直線)が見えるかどうかで当たりがつきます。継ぎ目が見えればサイディング系、面が続いていればモルタル系です。詳しい見分け方はサイディングのページにあります。

10年の保証と、穴の関係

「外壁に穴を開けたら保証が切れますか」——よくある心配です。結論から言うと、自動的に全部なくなるわけではありませんが、争いにはなりやすくなります。

新築から10年の責任は、法律で決まっています。

住宅を新築する建設工事の請負契約においては、請負人は、注文者に引き渡した時から十年間、住宅の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものの瑕疵について(中略)担保の責任を負う。(住宅の品質確保の促進等に関する法律 第94条第1項)

そして、その「雨水の浸入を防止する部分」に何が入るかは、政令に書かれています。

法第九十四条第一項の住宅のうち雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 住宅の屋根若しくは外壁又はこれらの開口部に設ける戸、わくその他の建具(住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令 第5条第2項)

外壁は、法律上「雨水の浸入を防止する部分」です。だから10年のあいだに外壁から雨が入れば、原則として直してもらえます。同法第95条は売買の場合も同じ10年と定め、いずれも「これに反する特約で注文者(買主)に不利なものは、無効」としています。

問題は、あとから開けた穴です。雨漏りの原因が、施工した会社の仕事ではなくあとから別の業者が開けた穴だった場合、その会社の責任とは言いにくくなります。だから、こうしてください。

  • 穴を開ける工事の記録を残す。誰が、いつ、どこに、何のために開けたか。写真も
  • 開けた業者に、防水処理の内容を聞いて控えておく。「パッキンを使ったか」「シーリングは何を使ったか」
  • 新築10年以内なら、開ける前に建てた会社に一報を入れる。面倒に見えますが、あとで「うちの責任ではない」と言われる場面を1つ減らせます

なお、塗装工事の保証は、これとはまったく別です。塗装の保証は法律ではなく施工店が独自に出すもので、内容も年数も会社ごとに違います。外壁塗装の保証のページメーカーが関わる保証のページに分けて書いています。

実際に起きたこと——太陽光を付けたら天井にしみが出た

住まいるダイヤルには、実際の相談と、建築士・弁護士の回答が公開されています。穴と雨漏りの関係が、そのまま出ている事例を引きます。

ご相談内容:築20年の鉄骨造プレハブ住宅(中略)太陽光発電をすすめられたので、取り付けることにしました。(中略)ところが、2階天井壁クロスのユニットの切れ目に沿って、黒いしみがでてきたことに気づきました。(中略)リフォームをした住宅会社の関連会社に連絡したところ、雨漏りでも結露でもないと言われました。(住まいるダイヤル 電話相談事例・相談ID 400)

これに対する回答が、こうです。

具体的には、屋根に太陽光パネルを取り付けた際のビス穴等からの雨漏り、パワーコンディショナー(中略)の穴からの雨漏りではないかを確認する必要があります。(中略)調査した結果、工事に起因して不具合が生じたといえれば、保証期間中は原則として無償補修の対象になると考えられます。(同)

この事例から、持ち帰るものは3つあります。

  1. 症状は、穴から離れた場所に出る。屋根や壁に開けた穴の水は、そのまま真下には落ちません。壁の中や天井裏を伝って、まったく別の部屋の天井に出ます。だから「あの工事のせいだ」と結びつけるのが遅れます
  2. 工事した会社が「違う」と言っても、それで終わりではない。この相談者は、言われたあとに外部の相談窓口へ行き、調査の必要があるという助言を得ています
  3. 原因が特定できれば、保証の話になる。逆に言えば、原因を特定しないままだと、誰も責任を負わないということです

なお、この事例をきっかけの1つとして、国土交通省は平成22年5月17日に、先ほど引用した施工・検査基準を取りまとめています。「後付けの穴で雨漏りが起きる」というのは、国が基準を作るほど繰り返し起きたことだと考えてください。

すでに室内にしみが出ている場合は、このページの範囲を超えています。雨漏りのページに、どこに連絡してどう調べてもらうかを書いています。

塗り替えのとき、過去の穴が全部出てきます

塗装の現場では、足場を組んで壁を洗ったあとに、その家がこれまで何をされてきたかが全部見えます。使われていない配管の穴、外した看板のビス跡、前の塗装のときにコーキングで盛られただけの穴。塗り替えは、それを一度に片付けられる唯一のタイミングです。

理由は単純で、足場があるからです。2階の壁のビス穴を1つ直すために足場を組むと、補修そのものより足場代のほうが高くつきます。塗装で足場を組む日に一緒にやれば、その分は要りません。

ただし、黙っていても全部直るわけではありません。ここが大事なところです。

  • 下地補修の範囲は、会社によって考え方が違います。「塗る前に必要な範囲だけ」と考える会社と、「気づいた不具合は全部拾う」と考える会社があります
  • 伝えていない穴は、塗料で塞がるだけのことがあります。塗膜は薄いので、穴の上に塗料が乗っても、水は止まりません
  • だから、現地調査のときに指さして伝えるのがいちばん確実です。「ここに穴があります」「ここは前にエアコンが付いていました」

現地調査で何を見てもらうかは現地調査のページに、工事が終わったあとの確認は完了検査のページにまとめています。穴の補修は、終わってしまうと上から塗られて見えなくなる工事なので、直す前と直したあとの写真をもらっておくと安心です

そして、穴が何か所もある家ほど、1社の見積もりで決めないほうがいいです。穴の扱いは会社ごとに差が出る項目で、そこにその会社が下地をどう考えているかが表れるからです。一括見積もりサービスを比べると、複数社に同じ穴を見せる手間が1回で済みます。「どの会社に頼むか」を決める前に、「うちの穴はどう扱われるのか」を知るための使い方です。

見積書での頼み方——「穴補修一式」にしない

見積書に「下地補修 一式」とだけ書かれているのは、実は普通のことです。戸建ての見積書は一式表記が多く、それ自体が悪いわけではありません。ただし穴に関しては、一式のままだと「何を直すつもりなのか」が分かりません。

お願いする言い方は、これで足ります。

「気になっている穴が◯か所あります。見積書に、その箇所数と、何で埋めるかを書いていただけますか」

これで返ってきた見積書は、次の3点で見ます。

見るところ確認する内容
箇所数自分が伝えた数と合っているか。減っていたら、なぜ対象外なのかを聞く(対象外にも理由があります)
材料名「シーリング」だけでなく種類(変成シリコーン系など)が書かれているか。塗装の上に塗るなら、塗装できる材料である必要があります
貫通しているものの扱いエアコン穴・換気口が別項目で立っているか。ここが「一式」に飲まれていると、外側を撫でて終わる可能性があります

⚠️金額の目安は、このページには書きません。穴の数・大きさ・貫通の有無・高さ・足場の有無で桁が変わるからです。根拠のない相場を書いても、ご自宅の見積書の判定には使えません。そのかわり、傾向としてはっきり言えることが1つあります。単独で頼むより、塗装とまとめたほうが安い——足場代が二重にならないからです。工事のときに追加で出てくる費用の考え方は追加費用のページに、見積書全体の読み方は見積書の内訳のページに書いています。

業者に聞く質問は、1つで足ります

現地調査に来てもらったとき、聞くことはこれだけです。

「今すぐ直さないといけない場所はありますか」

この一言が効くのは、相手に優先順位をつけさせる質問だからです。穴が5か所あっても、緊急なのは1つかもしれません。そしてその1つを選んだ理由を聞けば、その会社が何を見ているかが分かります。

「何年もちますか」「このままだとどうなりますか」は、聞いても当たり前の答えしか返りません。聞くなら「今すぐかどうか」です。

そして、答えを聞いたあとにやることは1つです。同じ質問を、もう1社にもしてください。2社の答えが揃えば、それは本当に急ぐ場所です。割れたら、なぜ違うのかを両方に聞けます。この確かめ方は、穴に限らず外壁のことすべてに使えます。

最終確認日:2026年8月29日。参考:一般社団法人 日本窯業外装材協会「防水施工法と関連商品」/NPO法人住宅外装テクニカルセンター 住宅外装防水研究会「窯業系サイディングを使用した外壁の換気口周辺の防水施工マニュアル」(平成16年9月)/国土交通省「既存住宅の瑕疵担保責任保険 施工・検査基準(住宅用太陽電池モジュール設置工事編)」および同報道発表(平成22年5月17日)/住宅の品質確保の促進等に関する法律 第94条・第95条、同法施行令 第5条(e-Gov法令検索)/公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター 住まいるダイヤル 電話相談事例(相談ID 400・674)。施工の基準は、本来は工事をする側が守るものです。ここでは、施主が現場の説明を聞くときの物差しとして引用しています。ご自宅の壁の判断は、必ず現物を見た人に確認してください。

よくある質問

外壁のビス穴は、放っておいても大丈夫ですか?

サイズと場所によります。表面の塗膜を貫いた穴は、そこから水が入って中の板が湿り、冬に凍って表面が欠けることがあります。ただし、あと数か月で塗り替えるなら、そのときにまとめて処理してもらうほうが仕上がりはきれいです。次の塗り替えが2年以上先なら、いま埋めておくほうが安全です。判断に迷ったら、写真を撮って業者に見てもらってください。

外壁の穴埋めは、パテとコーキングのどちらですか?

動くかどうかで変わります。コーキング(シーリング)はゴムのように伸び縮みするので、板と板のあいだや配管まわりのように動く場所に使います。パテやモルタルは固まって動かないので、面として直したい場所に使います。ビス穴のように小さくて動かない穴は変成シリコーン系のシーリング材、モルタル壁の欠けは補修用モルタルやパテ、というのが基本の分け方です。上から塗装するなら、塗料が乗る材料かどうかも確認してください。

外壁の大きい穴は、どこまで自分で直せますか?

「壁を貫通していないこと」「板一枚の中で収まっていること」の2つを満たすなら、表面の補修までは自分でもできます。ただし穴の奥から光が入る、風が抜ける、指を入れると空間がある——このどれかに当てはまるなら貫通しているので、自分で塞がないでください。表面をふさぐと、すでに中に入った水が出られなくなります。

エアコンの配管穴から雨が入っている気がします。

配管の傾きを見てください。壁を貫通する穴は、屋外に向かって下り勾配をつけるのが基本です。国土交通省がリフォームの検査基準として示した文書にも「外壁を貫通する部分は屋内に雨水が浸入しないよう屋外側に下り勾配とする」と書かれています。外側が上がっていたり、配管まわりのパテが痩せて隙間ができていると、そこから入ります。室内側だけ見て判断せず、外側の穴も写真に撮ってください。

外壁に穴を開けたら、保証はなくなりますか?

自動で全部なくなるわけではありませんが、争いにはなりやすくなります。新築から10年は、住宅の品質確保の促進等に関する法律で「雨水の浸入を防止する部分」の瑕疵に責任が定められていて、政令はそこに住宅の外壁を含めています。あとから開けた穴が原因の雨漏りは、その責任の範囲かどうかが争点になります。工事の記録と写真を残しておいてください。

外壁に物を付けたいのですが、どこに打てばいいですか?

外壁材そのものではなく、その奥の下地に効かせます。住まいるダイヤルの相談事例でも、建築士は「金具や木ねじが、下地合板や胴縁・間柱が入っているところに取り付けられているか」を確認するよう助言しています。サイディングは板の裏に空気の層があるので、板だけに打つとぐらつき、そこから水が入ります。位置は業者に探してもらうのが確実です。

穴の補修は、いくらくらいかかりますか?

金額はこのページには書きません。穴の数・大きさ・貫通しているか・足場が要るか・塗装と一緒にやるかで、桁が変わるからです。ただし傾向として、足場が必要な高さの穴を単独で直すと足場代のほうが高くつくので、塗り替えのときにまとめるほうが安くなります。見積書では「穴補修一式」ではなく、箇所数と材料名が書かれているかを見てください。

塗装のときに、穴も一緒に直してもらえますか?

はい、下地の補修として見積書に入れてもらうのが普通です。ただし「入っているつもり」が最も危ないので、現地調査のときに穴を指さして伝えてください。伝えていない穴は、塗料で塞がるだけで直っていないことがあります。複数社に見てもらうと、どこまでを補修と考えるかの差がそのまま見積書に出ます。

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