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太陽光パネルがある家の屋根塗装——論点は「パネルの下を、どうするか」です
屋根に太陽光パネルを載せて10年、15年。そろそろ塗装の話が出てきたとき、真っ先に出てくる疑問がこれです。「塗るには、パネルを外さないといけないの?」「外すといくら?」「同時にやるべき?」。この3つは、実はひとつの問いに集約できます——パネルの下の屋根を、今回塗るのか、塗らないのか。ここを決めれば、費用も工程も自動的に決まります。そしてもうひとつ知っておくべきなのが、パネルの脱着は塗装店だけで完結しない工事だということ。配線を扱う作業には電気工事士の資格が関わるからです。順番に整理します。
このページの内容
- 🔑まず全体像——選び方は3つしかありません
- 脱着は塗装店だけでは完結しません——電気工事士の話
- 設置業者の保証は、勝手に外すと危ないことがあります
- 費用の構造——「パネル代」ではなく「手間と電気工事」
- 同時にやるべきか——足場と、下地を見られる機会
- 工事のあいだ、発電は止まりますか
- 足場を組むときの、パネル特有の注意
- 見積書で確認する4点
- よくある質問
まず全体像——選び方は3つしかありません
パネルが載っている屋根の塗装は、突き詰めると次の3択です。どれが正解ということはなく、屋根の傷み具合と、あと何年その屋根を使うかで決まります。
| 選び方 | やること | 向いている状況 |
|---|---|---|
| ①外さずに塗る | パネルを載せたまま、パネル以外の面を塗る。パネルの下は今回は塗らない | 屋根全体は健全で、露出している面の塗膜だけが傷んでいるとき。費用を抑えたいとき |
| ②脱着して全面塗る | パネルを一度外し、屋根全面を塗ってから、また載せる | パネルの下も含めて屋根材そのものを長く使いたいとき。下地の状態を確認したいとき |
| ③今回は塗らない | 塗装を見送り、次の大きな工事(カバー工法・葺き替え)まで待つ | 屋根材の寿命が近く、数年後に工事が必要になりそうなとき |
順番として、まず原則を書いておきます。技術的に「あるべき形」を言えば、②の全面塗装です。屋根材はパネルの下も含めて一枚の面としてつながっているので、本来は全部を塗り直すのが筋が通っています。
そのうえで、①を選ぶ家は珍しくありません。理由は2つあります。ひとつは脱着の手間と費用が、想像以上に大きいこと。もうひとつは、パネルに覆われている部分は直射日光と雨に当たらないぶん、露出面ほど塗膜が傷んでいないことが多いことです。塗装の目的が「屋根材を紫外線と水から守ること」である以上、すでに覆われている面をどう扱うかは、費用対効果で判断していい——理想と現実のあいだで、①が現実的な着地になる家は確かにあります。大事なのは、それが「手抜き」ではなく「手間と効果を天秤にかけた判断」だと理解したうえで選ぶことです。
逆に②を選ぶ理由は費用より情報にあります。パネルを外したときにしか、その下の屋根材と防水シートの状態は見られません。③との分かれ目を判断する材料が、そこで初めて手に入るわけです。
脱着は塗装店だけでは完結しません——電気工事士の話
ここが、この工事のいちばん大事な特徴です。太陽光パネルの脱着には、屋根の作業と電気の作業の両方が含まれます。
パネルを外すには、架台から固定を外すだけでなく、ケーブルの接続を切り離す作業が発生します。そして電気の作業については、法律に定めがあります。
「第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けている者……でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業(一般用電気工作物等の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものを除く。)に従事してはならない」(電気工事士法 第3条第2項)
住宅の屋根に載っている一般的な太陽光発電設備は、この「一般用電気工作物」にあたります。つまり配線の切り離しや接続をともなう作業は、資格を持つ人の領域です。塗装の職人が善意で手を出していい場所ではありません。
だからといって「塗装店に頼めない」わけではありません。実際には、塗装店が電気工事のできる会社や、太陽光の施工業者と連携して進める形が一般的です。施主として確認すべきなのは1点だけ——「パネルの脱着は、どこの誰がやりますか」。この質問に具体的な答えが返ってくるかどうかが、そのまま段取りの確かさになります。
設置業者の保証は、勝手に外すと危ないことがあります
もうひとつ、法律とは別に確認が要るものがあります。太陽光発電設備の保証です。
住宅用の太陽光発電には、機器そのものの保証と、設置工事(屋根の防水を含む)に対する保証があるのが一般的です。とくに後者が重要で、パネルを固定するために屋根に開けた穴の雨漏りに対する保証が含まれていることがあります。ここで問題になるのが、設置した会社以外がパネルを脱着したあとに雨漏りが起きたら、どちらの責任になるのかという点です。
保証の内容と条件は、設置した会社・メーカー・契約時期によって本当にバラバラです。だから当サイトは「切れます」とも「切れません」とも断定しません。やることは決まっています。
- ①設置時の書類を探す——保証書、工事保証書、契約書。まずこれを手元に出してください。
- ②設置した会社に、先に電話する——「屋根の塗装をしたいのですが、パネルの脱着をすると保証はどうなりますか」。塗装の見積もりを取る前に聞くのが正解です。
- ③その答えを、塗装店にそのまま伝える——「脱着は設置業者にやってもらう」という前提が決まれば、塗装の見積もりもその形で作ってもらえます。
この順番を守るだけで、あとから「保証が切れた」「聞いていない」というトラブルの芽がほぼ消えます。
費用の構造——「パネル代」ではなく「手間と電気工事」
「太陽光パネルの屋根塗装はいくらか」は、検索でいちばん多い質問です。当サイトは金額を断定しませんが、何が費用を作っているかは説明できます。脱着を選んだ場合、上乗せされるのは次の要素です。
- ①外す手間と、載せ直す手間——枚数に比例して増えます。1枚あたりいくら、という積算をする会社が多い部分です。
- ②電気工事——前章のとおり資格者の作業です。塗装とは別の職種の費用が乗ります。
- ③一時的な保管と運搬——外したパネルを工事期間中どこに置くか。地上に降ろすなら、その手間もかかります。
- ④屋根の穴まわりの処理——再設置のときの防水処理。ここは雨漏りに直結する工程なので、省いていい場所ではありません。
つまり脱着の費用は「パネルが高いから高い」のではなく、「人の手間と、別の資格の職種が増えるから高い」という構造です。だから見積書では脱着が塗装とは別の行で書かれているかを見てください。塗装の平米単価に紛れ込んでいると、比較ができません(見積もりの内訳のページ)。
そしてこの金額は会社によって差が出やすい部分です。自社で電気工事までできる会社と、外注する会社では構造が違うからです。屋根塗装そのものの相場の見方は屋根だけ塗る費用のページにまとめました。
同時にやるべきか——足場と、下地を見られる機会
「屋根塗装と太陽光パネルの工事は同時に行うべきか」もよく検索されています。同時にする合理性は、はっきりあります。理由は2つです。
- ①足場が1回で済む——屋根の工事もパネルの脱着も、足場が必要です。別々の時期にやれば足場代を2回払うことになります。外壁の塗装も控えているなら、まとめてしまうほうが合計は下がります(足場代の考え方)。
- ②パネルの下を点検できる唯一の機会——外したときにしか、その下の屋根材と防水シートは見られません。あと何年この屋根が使えるかの判断材料が、そこで手に入ります。写真を撮ってもらってください。
逆に、同時にやらない判断が合理的な場合もあります。屋根材の寿命が近く、数年内にカバー工法や葺き替えを検討している場合です。近い将来にパネルを外す工事をするなら、今回は塗装を見送り、そのときに屋根ごとやり直すほうが、脱着の費用が1回で済みます(カバー工法のページ/葺き替えのページ)。
なお、スレート屋根の塗装で使われるタスペーサー(縁切り部材)についても、メーカーの公式情報が太陽光発電パネルがある場合は個別の確認が必要としています。パネルのある屋根は、一般的な手順をそのまま当てはめられない場所がある——この前提で話を進める会社を選んでください。
工事のあいだ、発電は止まりますか
実生活の疑問として、これも先に決めておくと安心です。パネルを外している期間は、当然ながら発電できません。外さない場合でも、屋根の高圧洗浄や塗装のあいだは養生でパネルを覆うことがあり、その時間は発電量が落ちます。
気にすべきかどうかは、家庭によります。売電の収入を家計に組み込んでいる場合や、蓄電池と組み合わせて日常的に自家消費している場合は、止まる期間を先に把握しておく価値があります。逆に、数日から1〜2週間の発電停止が家計に影響しない家なら、神経質になる必要はありません。
聞き方はひとつです。「発電が止まるのは、何日くらいですか」。工程表の中で答えてもらえれば、その期間の電気の使い方を調整できます(工程と工期のページ)。あわせて、工事中にパワーコンディショナーの操作が必要かどうかも確認しておくと、当日あわてずに済みます。自分で操作するのではなく、誰がいつ操作するのかを決めておくのが正解です。
足場を組むときの、パネル特有の注意
パネルが載った屋根には、足場の段階からいくつか特有の事情があります。塗装そのものより手前の話ですが、ここでの事故がいちばん高くつきます。
- ①パネルの上を歩かせない——太陽光パネルは踏むことを想定していません。踏むと見た目に異常がなくてもセル(発電素子)が割れることがあり、後日になって発電量の低下として表れることがあります。屋根に上がる動線をどう取るのかは、着工前に確認する価値があります。
- ②高圧洗浄の水と、パネルまわり——屋根を洗う工程では、パネルの隙間や配線に水がかかる可能性があります。どう養生するかは業者に決めてもらうことで、施主が自分でビニールをかけたりしないでください。
- ③足場の位置とパネルの位置——パネルが屋根の端まで載っている家では、足場や屋根に上がる位置に制約が出ます。現地調査のときに、職人がどこから屋根に上がるつもりかを見ているはずなので、気になれば聞いてみてください。
これらは「気をつけてください」と施主が言う話ではなく、段取りとして決まっているべきことです。だから確認の仕方も「気をつけてもらえますか」ではなく、「屋根にはどこから上がりますか」「パネルまわりの養生はどうしますか」と方法を聞く形にしてください。答えが具体的なら、その会社はパネルのある屋根を扱い慣れています。
見積書で確認する4点
- ①パネルを外すのか、外さないのか——どちらの前提で作られた見積書かを、まず確認します。前提が違う見積書同士は比較できません。
- ②脱着は誰がやるのか——塗装店の自社施工か、電気工事のできる協力会社か、設置した会社か。名前が出てくるかを見ます。
- ③脱着の費用が別の行になっているか——「一式」に紛れていないこと。枚数の記載があるとさらに良い形です。
- ④再設置後の防水処理と、保証の扱い——穴まわりをどう処理するか、その後の雨漏りは誰が保証するか。ここは口頭で終わらせず、書面に残してもらってください(契約前チェックのページ)。
よくある質問
屋根塗装をするには、太陽光パネルを脱着する必要がありますか?
技術的な原則を言えば、外して全面を塗るのが本来の形です。屋根材はパネルの下もつながっているからです。ただし必ず外さなければ塗れない、というわけではありません。パネルを載せたまま、露出している面だけを塗る方法があります。パネルの下は直射日光と雨が当たらないぶん傷みが遅いことが多く、「今回は塗らない」という判断も合理的です。ただし屋根材そのものの寿命を延ばしたい場合や、下地の状態を確認したい場合は脱着を選ぶ意味があります。
太陽光パネルを外して屋根塗装をすると、いくらかかりますか?
金額はパネルの枚数・屋根の形・電気工事を誰が行うかで変わるため、一律の相場は出せません。上乗せされるのは「外す手間+載せ直す手間+電気工事+保管運搬+再設置時の防水処理」です。脱着が塗装とは別の行で書かれた見積書を複数社から取れば、その差額が比較できます。
屋根塗装と太陽光パネルの工事は、同時に行うべきですか?
足場が1回で済むという意味では、同時のほうが合理的です。加えて、パネルを外したときにしか下の屋根材は点検できません。ただし数年内にカバー工法や葺き替えを予定しているなら、今回は塗らずにそのときまとめるほうが脱着費用は1回で済みます。
塗装屋さんがパネルを外してもいいのですか?
屋根の上の作業と、配線を扱う電気の作業は別です。配線の切り離しや接続をともなう作業には電気工事士の資格が関わります(電気工事士法3条2項)。実務では塗装店が電気工事のできる会社や太陽光の施工業者と連携して進めます。「脱着はどこの誰がやりますか」と一言聞けば確認できます。
パネルを外したら、メーカーの保証は切れますか?
当サイトでは断定できません。保証の内容と条件は、設置した会社・メーカー・契約時期で異なるからです。塗装の見積もりを取る前に、設置した会社に電話して確認してください。とくに「屋根に開けた穴からの雨漏り」に関する保証がどうなるかが要点です。
塗装のあとに発電量が落ちた気がします。どうすればいいですか?
まずモニターの数値を、工事の前後で比べてください。季節や天候で変わるので、前年の同じ時期と比べるのがより確実です。そのうえで気になるなら、塗装店ではなく、太陽光の設置業者かメーカーの窓口に相談するのが筋です。原因が発電設備側にあるのか、それ以外かを判定できるのはそちらだからです。着工前に「工事後に不具合が出たらどこへ連絡するか」を決めておくと、この場面で迷いません。
パネルを外したついでに、撤去や載せ替えをしたほうがいいですか?
「ついで」で決めるには大きい判断です。パネルの寿命、パワーコンディショナーの交換時期、売電契約の状況、撤去する場合の費用——考える材料が塗装とは別にあります。ただし脱着の手間が1回で済むという意味で、検討するタイミングとしては合理的なのは確かです。塗装の見積もりとは分けて、設置業者に別途相談してください。
パネルの下は、結局いつ塗ることになりますか?
多くの場合、次にパネルを外すとき——つまり屋根のカバー工法や葺き替え、あるいはパネル自体の交換や撤去のタイミングです。そのときに屋根ごと手を入れるほうが、脱着の手間が重複しません。今回の塗装で「パネルの下も」とこだわるより、屋根全体の寿命の中でいつ何をするかを考えるほうが、費用は合理的になります。
最終確認日:2026年8月24日。出典:電気工事士法(昭和35年法律第139号)第3条第2項(e-Gov法令検索で条文を確認)。住宅の屋根に設置された一般的な太陽光発電設備は同法にいう一般用電気工作物に該当しますが、個別の作業が電気工事に当たるかどうかは作業内容によります。タスペーサーに関するメーカー公式情報の記載は当サイト「タスペーサー」ページの出典による。パネルの脱着費用、保証の扱い、再設置時の防水処理の内容は、設置業者・施工会社・契約により異なります。工事の可否と保証の扱いは、設置した会社と施工店に必ずご確認ください。