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塗料の値上げ2026——3社の公表資料で、何がどれだけ上がったのか

「塗料が値上がりしている」——業者から聞いて、営業トークなのか本当なのか迷った方へ。本当です。主要メーカー3社が、それぞれ公式に価格改定を公表しています。しかも値上げだけでなく、一部では出荷の数量制限まで行われました。このページでは、各社の公表資料をそのまま並べたうえで、それが工事費にどう効くのか今やるべきなのかまで書きます。

※本ページはプロモーション(広告)を含みます。

このページの内容

先に結論

①3社とも公式に価格改定を公表しています。営業トークではありません
②改定幅は、水性15〜30%、溶剤系20〜35%の範囲。シンナーは50〜75%
③ただし、工事の総額が同じ率で上がるわけではありません。塗料代は総額の一部だからです
④判断の基準は、値上げではなく壁の状態です。値上げは「決断の理由」ではなく「条件の1つ」

そして先に書いておくと、値上げの影響を確かめるいちばん確実な方法は、いま見積もりを取ってみることです。金額は会社ごとに違い、複数社から同じ条件で出してもらえば、市況の影響も会社の差も一度に見えます。見積もり自体は無料で、契約の義務もありません。

3社の公表資料——改定率と時期

各社が公表している内容を、そのまま並べます。数字はすべて公式サイトの記載です。

日本ペイント関西ペイントエスケー化研
水性20〜30%15〜30%15〜25%
溶剤系25〜35%20〜35%20〜30%
粉体系——15〜25%10〜15%
シンナー75%(3月19日案内)50%以上(4月2日案内)2026年4月1日から改定
実施2026年6月1日出荷分〜(既受注分含む)2026年6月15日出荷分〜(既注文分含む)5月11日出荷分〜(溶剤形の主力製品は4月21日から)
備考一部製品は改定率を上回る可能性/運賃改定は別途案内追加の価格改定の可能性を明記/運賃改定は含まず今後の調達状況により変更の可能性/製品により改定率が異なることがある

この表を見るときの注意が1つあります。改定率はメーカーが販売店に対して示した数字であって、施主が支払う工事金額の上昇率ではありません。塗装会社は販売店から仕入れ、そこに施工の手間と経費が乗ります。どの段階の数字を見ているのかを、混同しないでください。

3社に共通しているのは、次の点です。

  • 「中東情勢」を理由として挙げている——各社のリリースの件名や本文に明記されています
  • 溶剤系のほうが、水性より上げ幅が大きい
  • シンナーの上げ幅が突出している(50〜75%)
  • すでに受注した分も、一定日以降の出荷分は改定の対象としている
  • 運賃は別枠、または今後さらに改定の可能性がある
  • 「個別製品の改定率は担当営業から案内する」と各社が書いている——つまり実際にいくら上がったかは、会社ごとに違います

⚠️改定率には幅があります。「20〜35%」というのは製品によって違うという意味で、使う塗料によって影響が変わります。そして各社とも「個別製品の改定率は担当営業から案内する」としているため、実際にいくら上がったかは、塗装会社と販売店の間の話になります。施主が知り得る範囲ではありません。

なぜ上がったのか——原油とナフサ

理由も、公表資料に書かれています。いちばん具体的に説明しているのがエスケー化研です。

エスケー化研「製品の価格改定について」(2026年4月7日)より

中東地域の情勢の緊迫化による原油・ナフサ価格の高騰により、各サプライヤーから提示される原料価格が急騰し続けております。
又、各サプライヤーからは、同時に納入数量の制限通知が増加しております。」

2023年に実施させていただきました価格改定の後にも続いた原材料価格の高騰に対し、全社を挙げて内部努力に努めてまいりました。しかしながら、この度の中東情勢に伴う影響は限界を遥かに超えております。」

ナフサとは、原油を精製してできる石油製品で、プラスチックや合成樹脂の原料になります。塗料の主成分である樹脂も、ここから作られます。

つまり塗料は、原油価格の影響を直接受ける製品です。そしてシンナー(溶剤)は、さらに直接的——だから上げ幅が突出しています。

関西ペイントも同じ趣旨を述べています。

関西ペイント「中東情勢を背景とした当社製品の価格改定に関するご案内」より

「本年4月2日のシンナー全般の価格改定以降も、原材料価格および物流費は一段と高騰しており、当社の自助努力のみでは対応困難な状況となっております。つきましては、可能な限りの安定供給の維持を目的に、塗料製品についても以下のとおり価格改定をさせていただくこととなりました。」

「安定供給の維持を目的に」——ここが重要です。値上げは利益のためというより、供給を続けるための措置だと説明されています。そしてそれは、次の章の話につながります。

値上げだけではありません——出荷統制

ここは、あまり知られていない部分です。2026年、一部の製品では「数量の制限」が行われました。

関西ペイント「中東情勢を背景としたシンナー製品の出荷統制および価格改定に関するご案内」より

「当社は、中東情勢に起因し、安定供給のための原材料確保等が極めて困難な現況にあり、シンナー製品につき現行の出荷数量・お取引条件を維持することは不可能な状況となっております。」

【出荷統制の内容】
・4月2日17時まで受注分:昨年4月度の出荷実績をベースとする
・4月2日17時以降受注分:昨年4月度の出荷実績を上限とする
・4月13日以降出荷分より実施

つまり「お金を出せば買える」状態ではなくなっていたということです。前年の実績を上限に、配分される。

そしてエスケー化研も、原料側について「各サプライヤーからは、同時に納入数量の制限通知が増加しております」と書いています。川上から数量が絞られている状態です。

これが現場に何をもたらすか

  • 使いたい製品が、すぐ手に入らないことがある——納期が読みにくくなります
  • 塗料の変更を提案されることがある——同等品への切り替え。これは手抜きではなく、供給の都合です
  • 工期が動くことがある——材料待ちで着工がずれる可能性

💡だから、契約前にこう聞いておくと安全です。——「使う予定の塗料は、今すぐ手配できますか」。供給が不安定な時期には、製品名まで決めたうえで、在庫や納期を確認できる会社のほうが確実です。「入らなかった場合は、どの製品に変わりますか」まで聞ければ十分です(塗料の種類)。

「既受注分も対象」が意味すること

3社の資料に共通する、この一文に注目してください。

日本ペイント「既受注分につきまして2026年6月1日(月)以降の出荷分は価格改定の対象となります」

関西ペイント「これまでご注文いただいた製品についても、6月15日出荷分からは価格改定の対象とさせていただきます」

塗装会社が先に注文していた分でも、出荷が改定日以降なら新価格ということです。

これは施主に直接関係します。なぜなら——

塗装会社は、見積もりを出した時点の材料費で工事できる保証を持っていません。

だから見積書の有効期限を短く設定せざるを得ません。これは施主を急かすためではなく、自分が赤字にならないための線引きです。

➡️見積書に印字された有効期限は、2026年に関しては実態に即した設定である可能性が高い、ということになります(見積もりの有効期限のページに詳しく書きました)。

逆に言えば、施主の側も「半年前の見積もりで進めてほしい」とは言いにくいということです。その差額は、どこかで吸収されます——たいていは、見えない工程で(手抜きの見分け方)。

シンナー75%が、現場に何をもたらすか

3社の中で、突出して上げ幅が大きいのがシンナーです。日本ペイントが75%、関西ペイントが50%以上。しかも関西ペイントでは出荷統制まで行われました。

シンナーは、溶剤系の塗料を希釈するために使います。塗る対象や気温に合わせて、決められた割合で薄める——塗料とセットで必要になる材料です。

どこで使われるのか

部位一般的に使われる塗料
外壁水性が主流です(シンナーの影響は小さい)
鉄部(手すり・階段・面格子)弱溶剤が使われるのが一般的。錆止めと上塗り(付帯部
雨樋弱溶剤で塗られることが多い(雨樋
屋根製品によります。溶剤系が使われることもあります屋根塗装

つまり、外壁だけを見ていると影響が小さく見えますが、付帯部や屋根まで含めると効いてきます。

そしてここで注意してほしいことがあります。

シンナーが高いから、水性に変える——これは施主が判断することではありません。

部位によって適した塗料は決まっています。鉄部や雨樋に弱溶剤が使われるのは、付着や耐久の理由があるからです。コストを理由に仕様を変えれば、もつ年数が変わります水性と油性の違い)。

もし「シンナーが高いので、こちらの塗料に変えます」と提案されたら、理由を聞いてください。「同等の性能で、供給が安定している製品だから」なら納得できます。「安いから」だけなら、耐用年数がどう変わるかまで確認してください。

2026年が初めてではありません

ここも、公表資料に手がかりがあります。

エスケー化研の公表資料(2026年4月7日)より

「弊社と致しましては、2023年に実施させていただきました価格改定の後にも続いた原材料価格の高騰に対し、全社を挙げて内部努力に努めてまいりました。しかしながら、この度の中東情勢に伴う影響は限界を遥かに超えております。

読み取れることは2つあります。

  • ①2023年にも価格改定があった——2026年が初回ではありません
  • ②その後も高騰は続いていた——メーカーが内部努力で吸収していた期間があった、ということです

つまり、実際の原価上昇は、公表された改定率より長い期間かけて進んでいます。メーカーが吸収していた分が、限界を超えて表に出たのが2026年、という構図です。

これが施主にとって意味すること

「値上げが終われば元の金額に戻る」わけではないということです。価格改定は、下がるためのものではありません。

だから「落ち着くまで待つ」という判断は、成立しにくい——待っている間に家の劣化は進み、そして金額が元に戻る保証はない。判断の基準を値上げに置かないほうがいい理由が、ここにもあります塗り替え時期の判断)。

業者の側では、何が起きているのか

値上げ局面で、塗装会社は難しい立場に置かれます。ここを理解しておくと、見積もりの出方が読めるようになります。

会社側の事情見積もりへの表れ方
仕入れ価格が確定しない各社とも「個別製品の改定率は担当営業から案内」としています。会社自身も、直前まで正確な金額を知らないことがあります
既受注分も改定の対象先に注文しておいても逃げられません。だから見積もりに期限を切ります(有効期限のページ
在庫を大量に持てない塗料には使用期限があり、資金も要ります。「安いうちに買い溜め」は現実的ではありません
数量制限がかかる製品があるお金があっても買えない状況が、一部の製品で起きていました

その結果、見積もりの出し方に工夫が入ります。よくあるのが、次のような条件付けです。

「材料が値上がりした場合は、再度お見積もりさせてください」

——これは逃げ口上ではなく、業界の実情に即した条件です。仕入れ価格が読めない以上、そう言うしかない場面があります。

施主として確認すべきなのは、その条件の中身です。

  • 「どういう場合に、再見積もりになりますか」——材料費の改定があった場合に限るのか、それ以外も含むのか
  • 「その場合、着工前に教えてもらえますか」——着工後に言われるのがいちばん困ります
  • 「契約後はどうなりますか」——契約が成立していれば契約金額が基本ですが、契約書の条項を確認してください(契約書のチェック

💡逆に、この条件を一切付けずに長い有効期限を出す会社もあります。それが親切とは限りません。値上がり分をどこかで吸収する必要があるからです。吸収できるだけの利益が最初から乗っているのか、それとも工事で調整するのか——複数社の見積もりを並べれば、その差は金額に出ます

工事費は、いくら上がるのか

ここが、いちばん知りたいところだと思います。結論から言えば、塗料の値上げ率がそのまま工事費に乗ることはありません。

理由は、見積もりの構造にあります

外壁塗装の見積もりは、足場・材料・人件費・諸経費で構成されます。このうち塗料そのものの代金が占める割合は、総額の1〜2割程度——金額の大半は足場と人件費です(見積もりの内訳)。

【仮の試算】総額100万円の工事で、塗料代が15万円(総額の15%)だったとします

塗料が30%値上がり→ 塗料代は 15万円 → 19万5,000円(+4万5,000円)

総額は 100万円 → 104万5,000円約4.5%の上昇

⚠️これは構造を理解するための試算です。塗料代の割合は、塗料のグレード、家の面積、工事の範囲によって変わります。高いグレードを使えば割合は上がり、影響も大きくなります。当サイトは、確認できていない数字を確定した相場として書きません。

ただし、上がるのは塗料代だけではありません

ここは正直に書きます。実際の工事費には、次の要素も乗ります。

  • 運賃・物流費——3社とも「運賃は別」または「物流費も高騰」と書いています
  • 人件費——建設業全体で上昇しています(塗料とは別の要因です)
  • 足場材・副資材——養生材、マスキングテープ、シートなども値上がりの対象になっています

だから「4.5%しか上がらないはず」と決めつけるのも正確ではありません。言えるのは「塗料が30%上がっても、工事が30%上がるわけではない」という一点です。

実務的な対処は1つです。——「前回の見積もりと比べて、どの項目がいくら増えましたか」と聞く。項目ごとに答えられる会社なら、根拠があります(見積書の見方)。

今やるべきか、待つべきか

値上げのニュースを見ると、「今のうちにやったほうがいいのでは」と考えます。当サイトの立場をはっきり書きます。

値上げは、決断の理由になりません。

判断の基準は壁の状態です。値上げは、決めたあとの「いつやるか」に影響する条件の1つにすぎません。

なぜそう言えるのか

  • ①値上げ分は数%です——前章のとおり。会社による見積もりの差は数十万円になることがあります。急いで比較を省くほうが、はるかに大きな損失になり得ます(妥当かどうかの判断
  • ②「値上げ前に」は営業の常套句でもあります——本当の値上げがあっても、それを急がせる道具に使うことはできます
  • ③まだ塗る時期でない家を、値上げのために塗るのは本末転倒です——早く塗れば、次の塗り替えも早く来ます

逆に、進めるべき場合

すでに塗り替え時期に来ているなら、先延ばしする理由はありません。

家の状態判断
ひび割れから水が入っている/塗膜が剥がれている待たない。放置すると下地の補修が必要になり、そちらのほうが高くつきます(塗装では戻れない段階
シーリングが切れている早めに。ここから水が入ります(シーリング
チョーキング・色あせが出ている検討を始める段階。1〜2年の幅で計画できます
前回の塗装から5〜7年まだ様子を見て構いません。値上げのために前倒しする必要はありません(時期の判断

つまり「値上げがあるから今」ではなく、「今が時期だから今」——この順番を守ってください。

1年延ばしたら、どうなるのか

「今は予算がないので、来年にしよう」——この判断が正しいかどうかは、家の状態で決まります。2つのケースに分けて考えます。

ケース1:まだ余裕がある家

チョーキングが出始めた程度、シーリングもまだ切れていない。この段階なら、1年ずらして予算を作るのは現実的な選択です。

ただし計算に入れておくべきことがあります。

  • 値上げが続く可能性——各社とも「追加の改定の可能性」に触れています。来年のほうが安いとは限りません
  • 劣化は進みます——1年で急変はしませんが、補修の範囲が増えることはあります
  • その1年で貯まる額と、上がるかもしれない額を比べる——これが判断の実体です

ケース2:すでに傷んでいる家

こちらは、延ばすと高くつきます。理由は値上げではありません。工事の内容が変わるからです。

今の状態1年後に起こり得ること
シーリングが切れているそこから水が入り、下地の補修が必要になることがあります(シーリング
塗膜が剥がれている素地が露出したままだと、下地処理の手間が増えます剥がれる原因
ひび割れが広がっている幅が広がると補修の方法が変わりますひび割れ
雨漏りしている延ばす選択肢はありません。下地の腐食が進みます(雨漏り

この場合、1年で増えるのは「値上げ分の数%」ではなく「補修工事の分」です。桁が違います。

💡自分の家がどちらなのか分からない場合は、見積もりを取ってみてください。見積もりは無料で、契約の義務もありません。「あと1年待てますか」と聞けば、専門家として答えてくれます。——複数社に同じ質問をすれば、答えが揃うかどうかで判断できます。全社が「待てる」と言うなら、待って構いません。

値上げを理由にした営業への対処

値上げが事実であることと、それを急かす道具に使うことは、別の話です。見分け方を書きます。

言われることどう受け取るか
「来月から塗料が上がります」本当のことがあります。確かめるには「どのメーカーの、どの製品が、いつから、何%ですか」——メーカーは公表しているので、根拠があるなら答えられます
「今契約すれば、旧価格で確保できます」あり得ますが、書面で確認してください。「材料を確保済み」なら、その旨を契約書に
「値上げ前の最後のチャンスです」🔴これは工事の必要性の話ではありません。本当に必要な工事なら、来月でも必要です(点検商法の見分け方
「値上げしたので、30%高くなります」内訳を確認。上がるのは材料費の部分です。足場代や人件費は塗料の値上げとは直接関係ありません

💡いちばん確実な検証方法は、比較です。値上げが本当かどうかを施主が調べるより、同じ時期に複数社の見積もりを取るほうが早い。全社が同じように上がっているなら、それは市況です。1社だけ突出しているなら、それは別の理由です(見積もりの取り方)。

メーカーごとの差は、施主に関係あるのか

3社の改定率を並べると、数字に差があります。「では、いちばん上げ幅の小さいメーカーを選べばいいのでは」——そう考えたくなりますが、そうはなりません。

理由は3つあります

  • ①改定率は「元の価格」に対する率です——元の価格が違えば、改定後の価格の順位は変わります。15%上がったA社が、30%上がったB社より高いこともあります
  • ②塗装会社は仕入れ先が決まっています——販売店との取引、扱い慣れた製品、施工実績。施主の希望でメーカーを変えると、その会社が慣れていない塗料を使うことになります
  • ③製品ごとに改定率が違います——各社とも「製品によって改定率が異なる」と明記しています。メーカー単位の数字は、あくまで幅です

だから、メーカーを値上げ率で選ばないでください。選ぶ基準は「その会社が使い慣れていて、あなたの家に合う製品かどうか」です(塗料メーカーの選び方)。

それでも比べたいなら、見るのは「総額」です

メーカーの改定率ではなく、出てきた見積書の総額を比べてください。同じグレード帯の塗料で、同じ工事範囲で、いくらになるか。そこには仕入れ価格だけでなく、会社の経費も利益も含まれています——施主が支払うのは、そちらの金額です(妥当かどうかの判断)。

⚠️「うちは値上げの影響が少ないメーカーを使っています」という説明を受けたら、製品名まで聞いてください。メーカー名だけでは、グレードも耐用年数も分かりません。比べるべきは、同じグレード帯どうしです(塗料の種類何年もつのか)。

上がっているのは塗料だけではありません

2026年は、建材全般で価格改定と供給制限が起きています。外壁塗装に関係するものだけ挙げます。

  • シーリング材——同じく石油由来の製品です(シーリング
  • 養生材・マスキングテープ・シート——樹脂製品です(養生
  • 屋根材・雨樋などの樹脂製品雨樋
  • 金属建材——板金類は別の要因(金属市況)でも変動します(棟板金

つまり「塗料が上がったから、その分だけ」ではなく、工事全体のコストが押し上げられている——これが2026年の実態です。

ただし、施主にできることは変わりません。市況は誰にも動かせません。動かせるのは「どの会社に頼むか」だけです。そしてそこには、市況の変動より大きな差があります。

値上げの中で、施主にできること

市況は動かせません。それでも、できることは4つあります。効果の大きい順に並べます。

1. 複数社から見積もりを取る(効果:最大)

値上げは全社に等しくかかります。一方で、会社による見積もりの差は数十万円になることがあります。——どちらが大きいかは明らかです。

値上げのニュースを追う時間があるなら、その時間で1社増やしてください。効果の桁が違います(見積もりの取り方)。

2. 工事の範囲を、優先順位で決める(効果:大)

予算が動かせないなら、範囲を調整するのが正攻法です。ただし削る順番を間違えないでください。

優先度内容
最優先水が入っている場所の補修。シーリング、ひび割れ、板金まわり。ここを削ると、あとで下地からやり直しになります
優先足場がないとできない部分。屋根、高所の付帯部。次回また足場代がかかります足場代
調整可低い位置の付帯部、外構、物置。地上でできる工事は、後回しにしても足場代が二重にかかりません

3. 助成金を確認する(効果:中)

上限5万〜10万円程度の制度が多く、値上げ分(総額の数%)と同じくらいの規模になります。交渉と違って、条件を満たせば確実に出るのが利点です。

ただし制度の名前が「外壁塗装」ではないことが多く、市のサイトを見ても見つけにくい——空き家、移住、耐震、省エネといった名前で存在します(助成金の診断ツール)。交付決定前に着工すると対象外になる制度が多いので、契約前に確認してください。

4. 時期をこちらから譲る(効果:小〜中)

「時期はお任せします」と伝えると、会社は段取りを組みやすくなります。職人の空き、近隣現場との組み合わせ、足場屋の日程——自由度が上がれば、コストが下がる余地が生まれます。

ただし過度に期待しないでください。大幅な値引きにはつながりません。「譲れるものを譲る」姿勢が伝わること自体に意味があると考えてください(値引き交渉)。

🔑逆に、効果が薄いこと=①値上げが落ち着くのを待つ(各社とも追加改定の可能性に触れており、下がる保証がない)②塗料のグレードを下げる(次の塗り替えが早く来て、足場代が先に来る)③メーカーを値上げ率で選ぶ(元の価格が違うので順位が変わる)。どれも「削ったつもりが増えている」形になりやすい選択です。

よくある質問

値上げ前に契約した工事は、旧価格のままですか?

契約が成立していれば、契約金額が基本です。請負契約は「この工事を、この金額で」という約束なので、あとから材料費が上がったことを理由に、一方的に金額を変えることはできないのが原則です。ただし契約書に価格変動に関する条項が入っていないかは確認してください。「著しい変動があった場合は協議する」といった特約があれば、そちらが優先されます(契約書のチェック)。契約から着工まで期間が空く場合は、とくに確認する価値があります。

「まだ値上げ前の在庫があります」と言われました

あり得る話です。塗装会社や販売店が、改定前に仕入れた分を持っていることはあります。ただし2つ確認してください。その塗料は、あなたの家に適した製品か——在庫があるから使う、では順番が逆です ②使用期限は大丈夫か——塗料には期限があります。「在庫があるので安く」は、製品名と数量を書面にしてもらえば、安心して受けられます。

複数社に見積もりを頼んだら、値上げの説明がバラバラでした

それは自然なことです。仕入れ先も、扱う製品も、在庫の状況も会社ごとに違うからです。「うちは影響が少ない」という会社と「大幅に上がった」という会社が、同時に正しいことはあり得ます。だから説明の違いで会社を評価しないでください。見るのは出てきた総額と、工事の中身です(見積書の見方)。

値上げのぶん、工事の質が下がることはありますか?

正しく見積もられていれば、下がりません。値上げは仕入れ価格の話で、工程や塗布量とは別だからです。問題が起きるのは、値上がりしたのに金額を据え置いた場合です。差額をどこかで吸収する必要が出て、削られるのはたいてい見えない工程になります(手抜きの見分け方)。「値上げしたのに、金額が変わらない」ときこそ、内訳を確認してください。

DIYで塗れば、値上げの影響を避けられますか?

塗料代は上がっているので、DIYでも影響は受けます。そして外壁塗装のDIYは、足場の問題があるためおすすめしていませんDIYのページ)。2階建ての外壁を安全に塗るには足場が必要で、その足場代が総額の大きな部分だからです。塗料代を節約しても、安全と仕上がりのリスクは残ります。

塗料の値上げで、外壁塗装の相場そのものが変わりますか?

時間をかけて、変わっていきます。ただし塗料の改定率がそのまま相場に乗るわけではありません。金額の大半は足場と人件費だからです。そして相場という言葉自体、幅のあるものです——同じ30坪でも、家の形、立地、傷み方、工事範囲で金額は変わります。当サイトの相場ページは「桁を知るため」のものと考えてください(費用相場シミュレーター)。あなたの家の金額は、見積もりを取らないと分かりません。

知り合いは去年やって安かったそうです。損した気分です

気持ちは分かりますが、比べても仕方のない部分です。去年の価格には戻りません。そして去年やった方は、去年の時点で必要だっただけです。いま考えるべきは「今の金額で、やる価値があるか」——家の状態がそれを決めます。ちなみに、その知人の工事内容と自分の家の条件は、たいてい違います。坪数、階数、傷み方、屋根の有無。金額だけを比べると、判断を誤ります妥当かどうかの判断)。

この値上げ情報は、いつの時点のものですか?

本ページに掲載したのは、2026年4月〜5月に各社が公表した資料の内容です。最終確認日はページ末尾に記載しています。各社とも「追加の改定の可能性」に触れているため、その後さらに変更されている可能性があります。最新の状況は各メーカーの公式サイト、または見積もりを依頼した会社にご確認ください——現場の会社がいちばん早く情報を持っています。

値上げは、いつまで続きますか?

当サイトには分かりません。原材料価格と国際情勢に左右されるためです。分からないことを予測して書くことはしません。ただし、公表資料には手がかりがあります。関西ペイントは「原材料市況や調達環境の変動状況によっては、追加の価格改定をお願いする場合がございます」と明記し、エスケー化研も「今後の原材料の調達状況によりまして、変更させていただく可能性があります」としています。各社とも、これで終わりとは言っていません。

安い塗料に変えれば、値上げの影響を避けられますか?

影響は減りますが、おすすめはしません。グレードを下げれば耐用年数が短くなり、次の塗り替えが早く来ます。そのときまた足場代がかかる——30坪で15〜25万円が公開されている相場です(足場代)。塗料代で数万円削って、足場代を1回分早く払うのでは、計算が合いません。選ぶ基準は値上げではなく、「その家にあと何年住むか」です(何年もつのか)。

水性塗料のほうが値上げ幅が小さいので、水性にすべきですか?

値上げ幅で塗料を選ばないでください。水性と溶剤系は、使う場所と目的が違います。外壁は水性が主流ですが、鉄部や雨樋には溶剤系(弱溶剤)が使われるのが一般的です。付着や耐久の問題があるためです(水性と油性の違い)。「部位ごとに適した塗料が違う」のが前提で、全部を水性にすればいいというものではありません。

去年見積もりを取りました。今はどれくらい上がっていますか?

会社に聞くのがいちばん早いです。使う塗料、仕入れ先、在庫の状況によって違うためです。「去年はこの内容でこの金額でした。今はどうなりますか」と、前回の見積書を見せて聞いてください。そのとき「どの項目が増えたか」まで説明してもらうと、値上げ以外の変更(範囲の追加など)が混ざっていないか分かります(見積もりの有効期限)。

値上げのニュースを見て、業者から連絡が来ました

その連絡自体は、親切な場合もあります。以前見積もりを出した相手に「金額が変わります」と知らせるのは、業者として自然な対応です。問題は、その先で「今日中に」と迫られるかどうか。知らせてくれること自体は歓迎して、決めるのは自分のペースで——これで十分です(断り方の文例)。

助成金を使えば、値上げ分を吸収できますか?

制度が使えるなら、そのほうが確実です。市町村の住宅リフォーム助成は上限5万〜10万円程度のものが多く、値上げ分(総額の数%=数万円)と同じくらいの規模になります。ただし制度は市町村ごとに違い、年度で変わり、予算が尽きれば終了します。そして制度の名前が「外壁塗装」ではないことが多い——空き家、移住、耐震、省エネといった名前で存在します(助成金の診断ツール)。

塗装業者は、値上げでもうかっているのですか?

逆です。値上げは仕入れ価格の上昇なので、塗装会社にとってはコスト増です。しかもすでに出した見積もりの分は、値上げ前の金額で受けていることがあります。公表資料にあるとおり「既受注分も対象」なので、その差額は会社が負担していることになります。だから値上げ局面では、見積もりの有効期限が短くなる——ここまで読んでいただければ、その理由が分かると思います。

あわせて読みたい

見積もりの有効期限

値上げで期限が短くなっています

見積もりの内訳

塗料代は総額の一部です

塗り替え時期の判断

値上げは決断の理由になりません

塗料は何年もつのか

グレードを下げる前に読んでください

値引き交渉

塗料で削るのは費用対効果に合いません

助成金の診断

値上げ分と同じ規模の制度があります

参考にした情報

  • 日本ペイント株式会社「中東情勢に伴う当社製品の価格改定について」(2026年5月13日公表)——溶剤系塗料25〜35%、水性塗料20〜30%、一部製品は改定率を上回る可能性、既受注分も2026年6月1日以降の出荷分は対象、シンナー製品は2026年3月19日案内のとおり現行価格より75%の値上げ、運賃改定は別途案内
  • 関西ペイント株式会社「中東情勢を背景とした当社製品の価格改定に関するご案内」——溶剤系塗料20〜35%、水性塗料15〜30%、粉体系塗料15〜25%、シンナー製品は4月2日案内のとおり50%以上、これまで注文の製品も6月15日出荷分から対象、運賃改定は含まず、追加の価格改定をお願いする場合がある旨
  • 関西ペイント株式会社「中東情勢を背景としたシンナー製品の出荷統制および価格改定に関するご案内」——原材料確保が極めて困難であり現行の出荷数量・取引条件の維持が不可能である旨、出荷統制の内容(4月2日17時まで受注分は昨年4月度の出荷実績をベース、以降の受注分は昨年4月度の出荷実績を上限、4月13日以降出荷分より実施)
  • エスケー化研株式会社「製品の価格改定について」(2026年4月7日)——中東地域の情勢の緊迫化による原油・ナフサ価格の高騰、サプライヤーからの納入数量の制限通知の増加、2023年の価格改定後も続く原材料価格の高騰、価格改定時期は2026年5月11日出荷分より(溶剤形の主力製品は4月21日出荷分より)、水性製品15〜25%・溶剤製品20〜30%・粉体製品10〜15%、今後の調達状況により変更の可能性および製品による改定率の相違

最終確認日:2026年8月26日。掲載した内容は各社が公表した資料に基づくものであり、その後の変更や追加の改定については各社の公表情報をご確認ください。個別製品の改定率・条件は各社とも「担当営業より別途案内」としており、実際の仕入れ価格や工事金額への反映度合いは会社ごとに異なります。本ページは公開情報の整理であり、特定のメーカーや製品を推奨するものではありません。