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ベランダ防水の費用——金額を分けているのは、工法ではなく「撤去するかどうか」です

調べると「ウレタンなら◯万円、FRPなら◯万円」という表が出てきます。ところが実際に見積書をもらうと、その表の倍だったり、逆にずっと安かったりする。読み方が足りないのではなく、その表が肝心なところを省いているからです。——国が出している改修工事の仕様書を見ると、防水の工事は「今あるものを剥がすか、その上に作るか」で工程の数が4倍近く変わります。同じ「ウレタン防水」でも、です。金額の幅の正体は、ここにあります。

※本ページはプロモーション(広告)を含みます。

このページの内容

先に結論

①金額をいちばん大きく分けるのは「既存の防水層を撤去するかどうか」です——工法の名前ではありません
②国の仕様書では、剥がす工事は工程が6〜8、かぶせる工事は工程が2——同じウレタン防水でも、これだけ違います
③かぶせる工事でも、排水口のまわりだけは開けるのが標準です
④読めない金額差が出たら、まず「剥がしますか、かぶせますか」と聞いてください

そして、このページでは相場の金額表を出しません。——根拠を示せないからです。ベランダの広さ、今何が施工されているか、下地がどうなっているかで前提が変わるものを、平均値にしても判断の役に立ちません。

代わりに、あなたの見積書を読むための材料を出します。——国が公開している改修工事の仕様書には、工程も、使う材料の量まで書かれています。それを知っていれば、目の前の1枚が何をする見積書なのかが分かります。

なぜ相場が「幅」でしか書かれていないのか

ベランダ防水の費用を調べると、だいたいこういう表が出てきます。

  • ウレタン防水 ◯◯円/㎡ 〜 ◯◯円/㎡
  • FRP防水 ◯◯円/㎡ 〜 ◯◯円/㎡
  • シート防水 ◯◯円/㎡ 〜 ◯◯円/㎡

この表は間違ってはいません。ただ、いちばん効く変数が入っていません。——今あるものを、どうするのかです。

同じ「ウレタン防水」に、少なくとも2つの工事があります
A:今の防水層を剥がして、下地を作り直して、新しく作る
B:今の防水層を残したまま、その上に新しく作る

——この2つが、同じ単価表の中に混ざっています。

だから幅が出ます。——そして幅の下限を見て「これくらいか」と思っていると、見積書を見て驚くことになります。

国の仕様書は、工事の名前を3つの要素で付けています

国土交通省の大臣官房官庁営繕部が出している「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」という資料があります。国の建物を直すときの、工事の決まりごとを書いたものです。

この中の3章が、まるごと「防水改修工事」です。そして防水の改修工法に、こういう名前の付け方が定められています。

改修工法名称の表示内容(仕様書 表3.1.1 注5より)

「○○○工法」という3文字が、それぞれ次を表します。
1文字目=既存防水工法による区分(今、何が施工されているか)
2文字目=既存の保護層及び防水層の撤去・非撤去による区分(剥がすか、残すか)
3文字目=新規防水工法の種別による区分(新しく何を作るか)

真ん中に「剥がすか、残すか」が入っているのが、このページで言いたいことのすべてです。——国は、そこを工事の名前に組み込むくらい大きな違いだと扱っています。

2文字目に入る記号

記号意味(仕様書の言葉)ふつうの言い方
保護層及び防水層撤去全部剥がす
保護層撤去及び防水層非撤去(立上り部等は、撤去)上のコンクリートだけ剥がす
露出防水層撤去今の防水層を剥がす
露出防水層非撤去(立上り部等は、表3.1.1による)今の防水層の上にかぶせる
保護層及び防水層非撤去(立上り部等は、表3.1.1による)何も剥がさずかぶせる

💡「立上り部」というのは、床から壁に立ち上がっている縁の部分です。平らな床(平場)は残しても、立ち上がりは剥がす——という組み合わせが、記号の中に織り込まれています。床と立ち上がりで扱いが違うのは、水が最後に集まるのが床で、いちばん切れやすいのが立ち上がりの付け根だからです。

1文字目と3文字目

1文字目(今あるもの)は、P=保護アスファルト防水/M=露出アスファルト・改質アスファルト防水/S=合成高分子系ルーフィングシート防水/L=ウレタンゴム系塗膜防水

3文字目(新しく作るもの)には、X=ウレタンゴム系塗膜防水工法S=合成高分子系ルーフィングシート防水工法AS=改質アスファルトシート防水工法などが並びます。

だから「L4X工法」は、こう読みます
=今あるのはウレタンの塗膜防水
=それを剥がさない
=上にウレタンの塗膜防水を作る

——「今のウレタンの上に、ウレタンをかぶせる工事」という意味です。

その前に——「今、何が施工されているか」

ここまでの記号の1文字目は、今あるものです。——つまり、それが分からないと、どの工事になるのかも決まりません。

そして、これを調べる順番があります。

1. 書類を探す(いちばん確実)
新築時の仕様書・引き渡しの書類、前回工事したときの見積書や保証書。「ベランダ防水 FRP」「ウレタン塗膜防水」といった言葉が書かれています

2. 建てた会社・前に工事した会社に聞く
記録が残っていることがあります

3. 業者に見てもらう
現地調査で必ず確認される項目です

ご自身で見て判別しようとする前に、1をやってください。——書類があれば一発で分かります。そしてその書類は、次の工事のときにも使えます。

見た目でのあたりの付け方(あくまで参考です)

先に書いておきますが、見た目だけで確実に判別できるものではありません。上から塗り重ねてあれば、なおさらです。あくまで「業者の説明を聞くときの手がかり」として読んでください。

よく言われる特徴可能性
継ぎ目がなく、硬い。表面がツルッとしているFRP防水かもしれません(戸建てのベランダに多い作りです)
継ぎ目がなく、少し弾力があるウレタンの塗膜防水かもしれません
一定の幅で継ぎ目の線が見えるシート防水かもしれません
タイルやコンクリートの板が敷いてある下に防水層があります。この場合は「保護層」を外す話が出てきます

⚠️ここで自分の判断を固めないでください。——目的は当てることではなく、業者から「これはFRPですね」と言われたときに、話についていけることです。違う答えが返ってきたら、それはあなたが間違っていたということで、何の問題もありません。

剥がす工事と、かぶせる工事——工程の数がこれだけ違います

ここが、このページの本題です。仕様書の表3.1.1は、工法ごとに「どの工程を行うか」を丸印で示しています。

工程(仕様書の言葉)剥がす工事の例
(P1B工法)
かぶせる工事
(L4X工法)
既存保護層(立上り部等)撤去
既存保護層(平場)撤去
既存防水層(立上り部等)撤去
既存防水層(平場)撤去
既存下地の処理
防水層の新設
断熱材の新設(工法による)
保護層の新設
工程の数7〜82

仕様書 表3.1.1「防水改修工法の種類及び工程」より。P1B工法は既存が保護アスファルト防水で保護層(平場)を撤去する場合、L4X工法は塗膜防水の場合の表に記載。

工程が2つと、7〜8つ。——これが同じ単価表の「幅」の中に入っていたわけです。

剥がす工事に、何が乗ってくるのか

剥がす工事で増えるのは、作業の手間だけではありません。

  • 剥がしたものの処分——防水層も保護層も、そのままゴミになります。持ち帰って処分する費用がかかります
  • 剥がしてみないと分からない部分——下地がどうなっているかは、開けるまで確定しません
  • 工期——工程が増えれば日数が伸びます。足場を使う工事なら、そのぶん足場を借りている日数も伸びます

逆に、かぶせる工事は安く早く終わります。——ただし、今の防水層が使える状態であることが前提です。下でふくれているもの、水を含んでいるものの上にかぶせても、下の水は逃げません。

だから、この質問がいちばん効きます
「今の防水は剥がしますか、上にかぶせますか。そう判断された理由も教えてください。」

——金額の差がここで説明されるなら、その見積書は読めています。

2社の金額が大きく違ったとき、片方が高いのではなく、そもそも違う工事を書いていることがあります。——複数社に見積もりを出してもらうときは、この1点をそろえて聞いてください。そろえないまま並べても、比べたことになりません。

かぶせる工事でも、排水口のまわりだけは必ず開けます

これは、知らないと見積書の行の意味が分からない部分です。

仕様書には、既存を残す工事についても、排水口(ルーフドレン)まわりの扱いが具体的に決められています。

公共建築改修工事標準仕様書 3.2.3・3.2.4 より

「平場の既存保護層等を残し、改修用ドレンを設けない場合は、ルーフドレン端部から500mm程度まで保護コンクリート等の既存保護層を四角形に撤去する

「既存保護層を撤去した後のルーフドレン周囲は、既存下地に損傷を与えないように、ルーフドレン端部から300mm程度まで既存防水層を四角形に撤去する

かぶせる工事でも、排水口のまわりだけは開けて作り直す。——水が最後に集まって落ちていく場所だからです。ここをかぶせただけで済ませると、新しい防水層の端が排水口の中途半端なところで終わることになります。

排水口が傷んでいたら、話が変わります

同 3.2.5 ルーフドレン回りの処理

「ルーフドレンの損傷、腐食、納まり等により、漏水のおそれがある場合は、監督職員と協議する

「協議する」——つまり、そこは決め打ちにできないという扱いです。公共工事には監督職員がいますが、戸建てにはいません。その役目を果たせるのは施主だけです完了検査)。

ですから、現地調査のときにこう聞いてください。——「排水口は見ていただけましたか。傷んでいませんか。」ベランダの雨漏りは、防水層ではなく排水口から始まっていることが実際に多い場所です(ベランダの雨漏り)。

金額が動くのは、たいてい下地です

剥がしてもかぶせても、必ず行う工程が「既存下地の処理」です。そしてここは、開けてみるまで数量が確定しません。

仕様書には、下地の処理の中身がここまで具体的に書かれています。

同 3.2.6 既存下地の処理 より

・「既存下地に付着している防水層残存物等のケレン及び清掃を行う」
・コンクリート面等のひび割れ部の補修、そして「ひび割れ幅が2mm以上の場合は、Uカットのうえ、ポリウレタン系シーリング材等を充填する」
・「既存下地の欠損部は、ポリマーセメントモルタルで平滑に補修する。支障のある浮き部は、撤去し、ポリマーセメントモルタルで補修する」
・「部分的な水はけ不良や勾配不良がある場合は、監督職員と協議する

「2mm以上はUカット」——ひび割れの幅で、やることが変わるという基準です。外壁のひび割れと同じ考え方です(外壁のひび割れ)。

そして最後の一行が大事です。——「水はけ不良や勾配不良がある場合は、協議する」。ベランダに水たまりが残るなら、それは防水を新しくするだけでは解決しない可能性がある、ということです。

現地調査で伝えておくといいこと
「雨のあと、ここに水が残ります」

——写真を撮っておくと、なお伝わります。乾いてからでは分かりません。

⚠️「追加費用が出るかもしれない」と言われたら、それは不誠実とは限りません。——下地は開けるまで確定しないと国の仕様書自体が前提にしています。問題なのは金額が動くことではなく、動く条件が事前に説明されていないことです(追加費用の見分け方)。

見積書の、どこを見るか

ここまでを、見積書に当てはめます。——金額の妥当性ではなく、「何をする工事が書いてあるか」を読むための表です。

見積書にある行読み取れること
既存防水層撤去/既存撤去処分剥がす工事です。処分費が別行にあるかも見てください
下地調整/下地処理/ケレン剥がしてもかぶせても必ずある工程。行が無いなら理由を聞く
プライマー/接着剤密着工法ならプライマー、絶縁(通気緩衝)工法なら接着剤。どちらの工事かが分かります
通気緩衝シート/脱気筒絶縁工法です。下に湿気があることを前提にした作り方
補強布(メッシュ)密着工法で使われます
ウレタン塗布/防水材塗り回数と量が書かれているか(次の章)
立上り床とは別に行があるか。切れやすいのは立ち上がりの付け根です
トップコート/仕上塗料いちばん上の保護層。これだけを塗り替える工事もありますベランダの床の塗装
ドレン/改修用ドレン排水口の処理。かぶせる工事でも本来必要な部分

「防水工事一式」としか書かれていない場合。——これは違法ではありません。戸建ての見積書では珍しくない書き方です。ただし、建設業法20条4項では、注文者から請求があったときは、契約が成立するまでに内訳を記載した見積書を交付しなければならないとされています見積書のチェックの仕方)。「内訳の分かるものをください」と言えます。

使う量は、公開されています

これはあまり知られていませんが、仕様書には材料の使用量まで書かれています。ウレタンゴム系の塗膜防水の場合です。

工程X-1(絶縁工法)X-2(密着工法)
1接着剤塗り+通気緩衝シート張り
0.3 kg/㎡
プライマー塗り
2ウレタンゴム系高伸長形防水材塗り
3.0 kg/㎡
防水材塗り+補強布張り
0.3 kg/㎡
3防水材塗り
2.7 kg/㎡(立上りは1.7)
4仕上塗料塗り
5仕上塗料塗り

仕様書 表3.6.1「ウレタンゴム系高伸長形塗膜防水工法の種別及び工程」より。使用量は硬化物比重が1.0の材料の場合。

そして、注記にこう書かれています。

・「ウレタンゴム系防水材塗りは、2回以上に分割して塗り付ける
・「ウレタンゴム系防水材塗りの1工程当たりの使用量は、平場は2.5kg/㎡、立上りは1.5kg/㎡を上限とする
・「立上り部は全て、種別X-2とし(後略)」

読み取れることが3つあります。

  1. ウレタンは一度で塗り上げるものではありません。2回以上に分けると決められています
  2. 1回で塗れる量に上限があります。厚く塗れば早く終わる、という工事ではありません
  3. 立ち上がりは、床がどちらの工法でも密着で作ります。だから見積書で床と立ち上がりの行が分かれます

💡缶の数で確かめる、という手はあります。——ウレタンなら合計でおよそ3kg/㎡が仕様書の値です。ベランダが10㎡なら30kg前後。「使った缶を、片付ける前に写真に撮っておいてもらえますか」と頼めば、後から突き合わせられます。同じ考え方は外壁塗装にも使えます(手抜き工事の見抜き方)。

ただし、公共の仕様がそのまま戸建てに来るわけではありません

ここは正直に書きます。——ここまで引いてきた仕様書は、国の建物を直すためのものです。戸建てのベランダの工事が、この通りに行われるわけではありません。

特に、次の点が違います
この仕様書が想定しているのは、主に屋上・陸屋根です。戸建てのベランダは面積がずっと小さく、条件も違います
戸建てのベランダに多いFRP防水は、この分類にそのまま入っていません(新しく作る側の記号にウレタンやシートはありますが、FRPは別扱いです)
公共工事には監督職員がいて、特記仕様書があります。戸建てにはどちらもありません
「特記による」と書かれた項目は、発注者が決めるものです。戸建てでは、その決定をする人が明確でないことがあります

ですから「仕様書にこう書いてあるので、この通りにやってください」と言うのは、筋が違います。——断られても、それは手抜きではありません。

使い方はそうではなく、こうです。——国が決めている手順を知っていると、目の前の見積書に何が書かれていて、何が書かれていないかが分かる。そのうえで「うちの場合はどうしますか」と聞ける。それだけで十分に効きます。

外壁塗装と一緒にやるべきか

結論から言うと、足場を使う工事なら一緒のほうが有利です。——足場は、何回組んでも1回分ずつかかるからです(見積書の内訳)。

ただし、ベランダ防水は足場が要らないことがあります。——ベランダの中で完結する工事なら、床に立って作業できます。この場合、外壁塗装と切り離しても足場代は損しません。

状況一緒にやると
外壁の塗り替え時期が近いまとめたほうがよい。足場が要る工事なら1回で済みます
ベランダの中だけで終わる工事急がないなら分けても構いません。足場代が乗らないなら、まとめる利点は小さい
すでに雨漏りしている外壁を待たないでください。塗り替えの時期とは別の話です(雨漏りの原因特定
ベランダの手すり・笠木も傷んでいるまとめて見てもらってください。笠木の隙間から入る水は、防水を直しても止まりません

💡「ベランダだけ頼めますか」は聞いていい質問です。——受ける会社と受けない会社があります。断られても悪い会社ではありません(小さい工事は割に合わないことがあります)。複数社に当たると、受けてくれるところが見つかります。

マンション・賃貸の場合

ここは、工事を頼む前に必ず確認してください。——ご自身で発注できないことがあります。

お住まい誰が決めるか
戸建て(持ち家)ご自身です。このページの話がそのまま当てはまります
分譲マンションベランダ・バルコニーは共用部分として扱われるのが一般的です。個人で防水工事を発注するものではなく、まず管理会社・管理組合に相談してください
賃貸建物の維持は貸主側の話です。雨漏りしているなら、まず管理会社・大家さんへ連絡してください

分譲マンションのベランダは、多くの場合「専用使用権のある共用部分」という扱いになっています。——あなたしか使わないけれど、あなたのものではない、という位置づけです。ですから防水のやり替えは、建物全体の大規模修繕の中で行われるのが通常です。

💡ただし、管理規約は建物ごとに違います。——手元の管理規約を見るか、管理会社に聞くのがいちばん早いです。「ベランダの防水を直したいのですが、どういう扱いになりますか」で通じます。

賃貸で雨漏りしている場合も、ご自身で業者を手配しないでください。——費用を負担してもらえなくなることがあります。まず連絡、それから対応の相談、という順番です。

助成金は使えるのか

正直に書くと、防水工事だけを対象にした制度は多くありません。——住宅リフォームの助成金は、省エネ・耐震・バリアフリーを目的にしたものが中心だからです。

ただし、可能性はあります。

  • 市区町村の「住宅リフォーム助成」——工事の種類を限定せず、市内の業者を使うことを条件にしている制度があります。この形なら防水も対象に入ることがあります
  • 外壁塗装と同時に行う場合——工事全体としての申請になることがあります
  • 雨漏りの修理として——自然災害が原因なら、助成金ではなく火災保険の話になることがあります

お住まいの市に制度があるかは、こちらで調べられます。——助成金・補助金を調べる助成金診断制度は年度ごとに変わり、予算がなくなると締め切られます。工事を決める前に見てください。

⚠️先に工事を契約すると、対象外になる制度がほとんどです。——「着工前の申請」が条件になっていることが多いためです。順番を逆にしないでください。

それで、いくらなのか

このページで金額表を出さなかった理由を、もう一度書きます。——根拠を示せないからです。

ここまで見てきたとおり、ベランダ防水の金額は、少なくともこれだけの条件で動きます。

  • 剥がすか、かぶせるか(工程が2か、7〜8か)
  • 今、何が施工されているか(それによって使える工法が変わります)
  • 下地がどうなっているか(開けるまで確定しません)
  • 排水口が傷んでいるか
  • 広さと、立ち上がりの長さ(同じ面積でも形で変わります)
  • 足場が要るか

これだけの変数を平均した「1㎡あたり◯◯円」は、あなたのベランダについて何も言っていません。

では、どうやって金額の見当をつけるか

1. 費用シミュレーターで、おおよその桁を見る
2. 2〜3社に現地を見てもらう現地調査で見られること
3. 全社に同じ質問をする——「剥がしますか、かぶせますか。その理由は」
4. 出てきた見積書を、上の読み方の表で並べる

3が肝心です。——ここをそろえないと、金額を並べても意味がありません。安いほうが「かぶせる工事」で、高いほうが「剥がす工事」だった、というのはよくあります。そのとき比べるべきなのは金額ではなく、どちらの判断が自分の家に合っているかです。

そして、判断の材料は業者が持っています。——あなたのベランダを見た人にしか言えないことだからです。複数社に見てもらうのは、値段を叩くためではなく、この理由を2つ以上聞くためです。

よくある質問

ベランダ防水だけを頼めますか?

受ける会社と、受けない会社があります。——ベランダの中で完結する工事なら足場が要らないことが多く、単独でも成立します。ただし小さい工事なので断られることもあります。それは悪い会社という意味ではありません。複数社に当たってください。

「かぶせる工事」で大丈夫なのか、心配です

今の防水層が使える状態なら、国の仕様書にも載っている正規の工法です。——問題になるのは下がふくれている、水を含んでいるのに、その上にかぶせた場合です。「かぶせられると判断された理由を教えてください」と聞いてください。理由が「安いから」だけなら、別の会社にも見てもらったほうがいいと思います。

トップコートを塗り替えるだけでは駄目ですか?

表面だけの傷みなら、それで足ります。——トップコートは防水層を紫外線から守る保護層で、先に傷むのは設計どおりです。ただし、防水層まで傷んでいるならトップコートでは戻りません。その見分け方はこちらにまとめています(ベランダの床の塗装)。

ウレタンとFRP、どちらが安いですか?

単価だけを比べても答えが出ません。——今、何が施工されているかで選べる工法が変わるからです。先に「うちは今、何ですか」を聞いてください。工法の違いはこちらです(ベランダ防水の工法選び)。

「通気緩衝工法」を勧められました。高いのですが必要ですか?

下地に湿気があることを前提にした作り方です。——仕様書ではX-1(絶縁工法)にあたり、通気緩衝シートを敷いてから防水材を塗ります。密着工法より工程も材料も増えるので、金額は上がります。必要かどうかは下地の状態次第なので、「なぜ絶縁が必要だと判断されたのか」を聞いてください。

脱気筒というものが見積書にあります

下にたまった湿気を抜くための部材です。——絶縁(通気緩衝)工法とセットで出てきます。仕様書でも「脱気装置の種類及び設置数量は、特記による」とされていて、面積に応じて数が決まります。絶縁工法なのに脱気筒の行が無ければ、聞いてみてください。

ベランダに水たまりが残ります。防水をやり直せば直りますか?

直らないことがあります。——水が残るのは勾配(傾き)の問題かもしれないからです。仕様書でも「部分的な水はけ不良や勾配不良がある場合は、監督職員と協議する」とされていて、決め打ちにできない扱いです。雨のあとの写真を撮って、現地調査のときに見せてください。

DIYでできますか?

トップコートの塗り替えまでなら、やっている方がいます。——ただし防水層そのものを作るのは、別の話です。仕様書の値でいうとウレタンは合計で約3kg/㎡、2回以上に分けて塗ります。立ち上がりの処理、排水口まわりの納まり、乾燥時間の管理が要ります。そして失敗した場合、次の業者は「剥がす工事」から始めることになります。

何年ごとにやるものですか?

製品や工法によって差が大きく、一律の年数は言えません。——ただしトップコートのほうが先に傷みます。塗り替えの周期は防水層より短く設定されているのが普通です。「うちの防水は何年前に何をしたか」が分かる書類があれば、それがいちばん正確な出発点です。

雨漏りしています。防水をやり直せば止まりますか?

先に原因を特定してください。——ベランダの下に出る雨漏りは、床の防水ではなく排水口、笠木、手すりの付け根、サッシの下から来ていることがあります。防水をやり直しても止まらなければ、費用が無駄になりますベランダの雨漏り)。

見積書に「一式」としか書かれていません

戸建てでは珍しくない書き方で、違法ではありません。——ただし建設業法20条4項では、注文者から請求があったときは契約が成立するまでに内訳を記載した見積書を交付しなければならないとされています。「内訳の分かるものをください」と言えます見積書のチェック)。

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足場代がどう積まれているか

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追加費用

正当な追加と、断れる追加

助成金診断

お住まいの市に制度があるか

参考にした情報

国土交通省 大臣官房官庁営繕部「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」3章 防水改修工事——3.1.4 改修工法の種類及び工程、表3.1.1「防水改修工法の種類及び工程」および同表注5「改修工法名称の表示内容」(既存防水工法による区分=P/M/S/L、既存の保護層及び防水層の撤去・非撤去による区分=1/2/3/4/0、新規防水工法の種別による区分=A/B/C/D/AS/S/X/E/Yほか)

同 3.2.3 既存保護層の撤去——平場の既存保護層等を残し改修用ドレンを設けない場合は、ルーフドレン端部から500mm程度まで既存保護層を四角形に撤去する旨

同 3.2.4 既存防水層の撤去——既存保護層を撤去した後のルーフドレン周囲は、ルーフドレン端部から300mm程度まで既存防水層を四角形に撤去する旨

同 3.2.5 ルーフドレン回りの処理——ルーフドレンの損傷、腐食、納まり等により漏水のおそれがある場合は監督職員と協議する旨

同 3.2.6 既存下地の処理——防水層残存物等のケレン及び清掃、ひび割れ部の補修(ひび割れ幅が2mm以上の場合はUカットのうえポリウレタン系シーリング材等を充填)、欠損部のポリマーセメントモルタルによる補修、部分的な水はけ不良や勾配不良がある場合は監督職員と協議する旨

同 3.6 塗膜防水——3.6.2 材料(JIS A 6021 建築用塗膜防水材の屋根用に基づく)、3.6.3 種別及び工程、表3.6.1「ウレタンゴム系高伸長形塗膜防水工法の種別及び工程」(X-1 絶縁工法=接着剤塗り0.3kg/㎡+通気緩衝シート張り、防水材塗り3.0kg/㎡、仕上塗料塗り/X-2 密着工法=プライマー塗り、防水材塗り補強布張り0.3kg/㎡、防水材塗り2.7kg/㎡(立上り1.7)、仕上塗料塗り)および同表注(防水材塗りは2回以上に分割、1工程当たりの使用量は平場2.5kg/㎡・立上り1.5kg/㎡を上限、立上り部は全て種別X-2、使用量は硬化物比重1.0の材料の場合)

同 各節——脱気装置の種類及び設置数量は特記による旨

建設業法(昭和24年法律第100号)第20条第4項——注文者から請求があった場合、材料費・労務費等の内訳を記載した見積書を、契約の成立までに交付する義務が建設業者にある旨

最終確認日:2026年8月26日。仕様書は改定されることがあります。本ページは公共建築の改修工事に適用される仕様書の内容を整理したものであり、戸建て住宅の工事がこの仕様書に従って行われることを意味するものではありません。個々の工事については、現地を確認した施工会社にご確認ください。