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グランデ有機HRCの価格と耐用年数——仕様書に「下塗り」の行がありません
「グランデ有機HRCを勧められた」「無機を超えると書いてあった」——という方へ。
プレマテックスの材工設計価格表(2026年9月版)で、グランデ有機HRCは4,350円/㎡・塗装工程2回。同社でいちばん高い水溶性溶剤塗料です。ネット上では「期待耐用年数35年」と書かれることがありますが、公式の原文は「35年相当の促進耐候性試験を行った結果、約30年相当の時点で初期の外観変化が見られ、35年相当を経過した段階で劣化の進行傾向が見られました」というものです。そして標準施工仕様書を開くと、同社の他の製品にはある「下塗り」の行が、この製品にだけありません。(2026年9月13日確認)
このページの内容全14項目
先に結論
①材工設計参考価格は4,350円/㎡・塗装工程2回(2026年9月版)。同社の水溶性溶剤塗料ではいちばん高い行です
②「35年」は促進耐候性試験の全長です。公式が書いているのは「約30年相当の時点で初期の外観変化」「35年相当を経過した段階で劣化の進行傾向」
③標準施工仕様書に「下塗り」の工程がありません。代わりに「各種下塗り材特有の機能はございません。現場条件や基材の状況によって当社指定の下塗り材を併用してください」と書かれています
④色は標準色64色で、選べない色があります。艶も「艶あり」だけです——どちらも耐候性を優先した結果だと、メーカー自身が説明しています
③と④は、契約する前に知っておきたいことです。順に見ていきます。
価格——材工設計参考価格は4,350円/㎡です
プレマテックスは「各種資料 > 仕様書」の最下段で、全製品の材工設計参考価格をPDFで公開しています。2026年9月版の「グランデシリーズ」の欄は、きれいに並んでいます。
| 製品名 | 種別 | 荷姿 | 材工設計参考価格 |
|---|---|---|---|
| グランデシリコン | 水溶性2液溶剤形 ハイグレードシリコン塗料 | 12.8kgセット/6.4kgセット | 3,550円/㎡ |
| グランデ無機 | 水溶性2液溶剤形 ハイグレード無機塗料 | 12.8kgセット/6.4kgセット | 3,950円/㎡ |
| グランデ有機HRC | 水溶性2液溶剤形 ハイグレード有機HRC塗料 | 12.8kgセット/6.4kgセット | 4,350円/㎡ |
出典:プレマテックス「プレマテックス製品一覧(材工設計参考価格)」2026年9月版。塗装工程はいずれも2回、塗布面積/回は12.8kgセットで80〜106㎡、6.4kgセットで40〜53㎡です。
シリコン・無機・有機HRCで、ちょうど400円ずつ上がります。——同じ「水溶性2液溶剤形」で樹脂だけが違う3製品なので、グレードを1段上げるといくら増えるかが、そのまま読める表になっています。外壁120㎡なら、1段で4万8千円の差です。
もうひとつ、比べるべき行があります。同社には「ウルトラ有機HRC」(1液水性・3,400円/㎡)という、樹脂の種類が同じで溶媒が違う製品があります(ウルトラSiのページで同シリーズの価格表を出しています)。同じ有機HRCでも、1液水性なら3,400円、水溶性2液溶剤なら4,350円。差は950円/㎡です。
「有機HRCを勧められた」と言われたとき、どちらの有機HRCなのかで1,000円近く変わります。製品名を最後まで聞いてください。
この4,350円に、入っていないもの
価格表の冒頭に、前提が4行で書かれています。
- 面積の条件——「300㎡以上の場合の参考価格です。平米数の少ない場合は割高になります。」
- 含まれないもの——「足場代・下地調整代等は含まれていません。」
あわせて「目安としてご利用ください」「この材工設計参考価格は2026年9月のものです」とも書かれています。価格は改定されるので、確認日を見てください。
戸建ての外壁は100〜150㎡前後で、300㎡には届きません。メーカー自身が「平米数の少ない場合は割高になります」と書いているので、4,350円×自宅の面積=総額にはなりません。足場も下地調整も別です(見積書の内訳/面積の考え方)。
それでも、この数字を持っている意味はあります。——見積書の単価がこれを大きく下回っていたら、塗り回数か、塗る面積か、製品そのものが違う可能性があります。確かめる材料になります。
「期待耐用年数35年」はどこから来たのか
この塗料を紹介するページの多くが「期待耐用年数は約35年」と書いています。検索結果の要約にもそう出ます。——そこで、メーカーの原文を確かめました。
「グランデ有機HRCを塗布した試験片で35年相当の促進耐候性試験を行った結果、約30年相当の時点で初期の外観変化が見られ、35年相当を経過した段階で劣化の進行傾向が見られました。他の高耐候塗料と比較しても、その劣化進行は極めて緩やかです。また、屋根や外壁において著しい色あせやチョーキングが発生する塗り替え推奨期(光沢保持率40%未満)までは、まだ十分な耐候性を残していることがわかります。」
読み取れることが3つあります。
ひとつめ。35年は「試験の長さ」です。——「35年相当の促進耐候性試験を行った」と書かれています。つまり試験はそこで終わっていて、その先がどうなるかは書かれていません。「35年もつ」とも「35年で寿命」とも書かれていません。
ふたつめ。年数が2つ出てきます。約30年相当が「初期の外観変化」、35年相当が「劣化の進行傾向」。この2つは段階が違います。
みっつめ。同社は期待耐用年数を「劣化初期から劣化進行期へ移行し始める時期」と定義しています。この定義に照らすと、35年相当(劣化の進行傾向)のほうが期待耐用年数に近い数字だと読めます。——ただしこれは、同社の定義と同社が公表した試験結果を突き合わせた当サイトの読み方であって、メーカーが「35年です」と書いているわけではありません。
ひとつは、期待耐用年数が「保証年数ではありません」ということ。そしてこの年数は「各製品の標準塗装仕様に準拠し、適切な施工および環境条件下で塗装された場合」が前提だとされています。——つまり仕様どおりに塗られていなければ、前提から外れます。
もうひとつは、その年数が来てもすぐ塗り替えが必要になるわけではないということ。判断は色あせやチョーキングの程度で総合的に、とされています。
「保証年数ではありません」という一文は重要です。——施工会社が付ける保証は、これとは別のものです。「35年もつ塗料だから35年保証」ということにはなりません(外壁塗装の保証)。
なお、グランデ有機HRCが「無機より上」に置かれているのは、このメーカーの分け方が他社と違うからです。3シリーズすべてで有機HRCが最上位に来る理由と、施工店の条件までメーカーが公開している点はプレマテックスとはに整理しています。
仕様書に「下塗り」の行がありません
ここが、このページでいちばんお伝えしたいところです。——プレマテックスは製品ごとに標準施工仕様書をPDFで公開しています。同じPDFの中に、グランデシリコン・グランデ無機・グランデ有機HRCが並んでいます。
グランデシリコンとグランデ無機には「下塗り 下地に応じた下塗り材をご使用ください。」という行があります。ところがグランデ有機HRCには、その行がありません。工程は「素地調整」と「上塗り(2回)」だけです。
代わりに、注意事項にこう書かれています。
「素地調整や下地補強、防錆効果など、各種下塗り材特有の機能はございません。現場条件や基材の状況によって当社指定の下塗り材を併用してください。」
「本仕様では、中塗り材セラベースは使用できません。」
製品ページ側には、こう書かれています。
「水溶性溶剤技術・樹脂の複合技術・シランカップリング剤の融合により、様々な屋根材、外壁材、付帯部に対して下塗り材に頼ることなく直接塗装が可能です。」
2つを並べると、意味がはっきりします。——付着のためだけなら下塗りは要らない。ただし下塗りの仕事は付着だけではない、ということです。素地調整、下地の補強、錆止め。これらが必要な下地なら、下塗りは別に入ります。
だから見積書に下塗りの行が無くても、それだけでは手抜きとは言えません。——逆に、下塗りの行が入っていても水増しとは言えません。分かれ目は自分の家の下地がどうなっているかです。
聞く言葉はこうなります。——「下塗りは入れますか、入れませんか。その理由は、うちの下地の何を見て決めましたか」。この問いに現物の話で答えられる会社は、仕様書を読んでいます(下塗りの役割/現地調査で見られること)。
ちなみに、仕様書には下地ごとの指定も書かれています。乾式洋瓦は「ターボノズル等を併用しながら150Kgf/cm²以上の圧力で入念に洗浄」し、「着色スラリー層が除去できていることを確認したうえで、別途 無機有機ハイブリッドEPOを2回塗り」。屋根材によっては、結局2工程の下塗りが入ります。
外壁120㎡なら、12.8kgセットが何セット要るか
仕様書の数字で計算できます。
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 荷姿 | 12.8kg/セット(主剤12kg+硬化剤0.8kg)、6.4kg/セット |
| 適用カラーバリエーション | 標準色(64色)、屋根用耐候性強化色、屋根用遮熱色、日塗工色など |
| 用途 | 内外部壁面、一般屋根、付帯部など |
| 適用基材 | 窯業系サイディング、金属系サイディング、RC、ALC、モルタル、各種旧塗膜、新生(化粧)スレート瓦、セメント瓦、カラー鋼板、シングル材、硬質塩ビ、木など |
| 所要量/㎡/回 | 0.12〜0.16kg(塗布面積 80〜106㎡/セット/回) |
| 希釈 | 清水 0〜5% |
| 施工器具・塗回数 | 刷毛/中毛ローラー(ウーブンタイプ)・2回 |
| 間隔時間(23℃) | 4時間以上 5日以内 |
| 可使時間(23℃) | 4時間以内 |
出典:プレマテックス「グランデシリーズ 標準施工仕様書」のグランデ有機HRCの頁、第2版 2026.07.02作成。
- 少ないほうの所要量:120㎡ × 0.12kg × 2回 = 28.8kg
- 多いほうの所要量:120㎡ × 0.16kg × 2回 = 38.4kg
- 12.8kgセットに換算すると 2.25〜3セット——端数が出るので、実際には3セットになることが多いはずです
「可使時間4時間以内」という数字にも意味があります。——2液型なので、混ぜたら4時間以内に使い切らなければなりません。1日で使う量を見込んで混ぜることになるので、現場の段取りに制約が出ます。1液水性のウルトラ有機HRCにはこの制約がありません。
そして仕様書には、こうも書かれています。——「所要量は厳守してください。所要量が少ない場合、点錆の発生、耐久力の低下、色相の違い、隠ぺい力の低下が起きる恐れがあります。」薄めて延ばすと何が起きるかを、メーカーが列挙しています。
見積書に缶数(セット数)が書いてあれば、面積と突き合わせられます。書いていなければ「何セットを見込んでいますか」と聞けば十分です(見積書のチェック)。
色は標準色64色。選べない色があります
ここは、契約してから気づくと困るところです。メーカーの説明を、そのまま引きます。
「グランデ有機HRCは、塗膜の耐候性を阻害する顔料を制限しているため、色見本帳のなかでも限界色での対応となる色があります。詳細は製品カタログをご覧いただき、必要に応じて塗り板にてご確認ください。」
「有機HRC塗料は、耐候性の低い有機顔料を使わずに調色するため、調色時にわずかな色差が出ることがあります。しかし、経年後にこの差は逆転し、色あせが進む一般塗料に比べて、色あせに強い有機HRC塗料は塗装時の色を保ち続けます。」
理由は、3つある製法設計技術のうちの「高耐候厳制調色技術」です。——「耐候性が低く最も色あせしやすい黄と赤を全て黄土と赤さびに置き換えて色を表現」しているとされています。有機顔料を使わないぶん、鮮やかな赤や黄に振った色は、そのままの色では出せないということになります。
だから、色を決める前に塗り板(見本板)を出してもらってください。——メーカー自身が「必要に応じて塗り板にてご確認ください」と書いています。色見本帳の小さな四角と、実際に塗った板では見え方が違いますし、この塗料の場合はそもそも色見本どおりに出ないことがあると明記されているからです(色選びの進め方)。
仕様書のカラーバリエーション欄は「標準色(64色)、屋根用耐候性強化色、屋根用遮熱色、日塗工色など」です。日塗工色(日本塗料工業会の色番号)にも対応しているので、指定の幅がないわけではありません。ただし上の制限は、日塗工色にも同じようにかかります。
艶は「艶あり」だけです
艶消しや半艶(5分艶)を考えている方は、ここで選択肢から外れます。理由まで書かれています。
「艶消し、半艶(5分艶)などは、艶調整剤を添加することで作られますが、艶調整剤を入れる分、樹脂量の配合率は低下するため、同じ製品であっても艶の違いで樹脂の性能には差が生じます。有機HRC塗料は樹脂の優れた性能を最大限発揮させることを優先した艶あり製品のみのラインナップです。」
これは、この製品だけの話ではありません。——他の塗料で「艶消しにしてください」と頼むときも、同じことが起きています。艶調整剤を入れるぶん樹脂の割合が下がる、という説明は他社のカタログにはあまり書かれていません。艶を落とす選択には、性能側の代償があるということです。
艶ありが好みに合わない場合は、同社の「ウルトラGゼロコート」(ウルトラシリカ複合艶消し無機塗料・3,150円/㎡)のように、最初から艶消しとして設計された製品を選ぶほうが筋が通ります。
メーカーが「無機を超える」と書く理由
「外壁塗装でいちばん良いのは無機塗料」という説明をよく見ます。ところがこのメーカーは、無機塗料の弱点を名指しで書いています。
「無機塗料は、本来柔軟性に乏しい無機成分に有機成分を架橋させて柔軟性を持たせています。しかしこのハイブリッド構造は、経年とともに有機成分が先に劣化・分解し、塗膜の硬化と脆化が進むという性質も持っています。その結果、塗膜はまるで薄いガラスのように割れやすくなり、振動や基材の動きといった外的要因によって脆性破壊が生じやすくなります。」
「特に、耐候性向上を目的として無機比率を高めた無機塗料ほどこの傾向は顕著となるため、結果として無機塗料のさらなる耐候性向上の実現には構造的な限界がありました。」
そして、試験の結果を3つ並べています。
| 促進試験1000時間経過時の塗膜(公式の説明) | 起きていること |
|---|---|
| 無機塗料 | 「長く光沢を維持しながらも、やがて目視ではわからない微細なクラック(脆性破壊)が少しずつ進行します。」 |
| シリコン塗料 | 「無機塗料のようなクラックは確認されませんが、完全に光沢を失いチョーキングを起こし、塗膜としての役割を果たしていません。」 |
| 有機HRC塗料 | 「しなやかな強靱性は、塗膜本来の耐候性を一切妨げることなく、その持続性を支え続けます。」 |
試験機はスーパーUVテスター(メタルハライドランプ)と明記されています。
もうひとつ、数字で示されている試験があります。靭性試験です。
- 硬性塗膜(無機塗料)——「硬性塗膜は0.8mm伸長した際にひび割れが発生。」
- グランデ有機HRC——「グランデ有機HRCの塗膜は10mm以上伸長してもなおひび割れは生じませんでした。」
同ページには「※長期的なひび割れの抑制を保証するものではありません。」という注記が付いています。
0.8mmと10mm以上。ここまで差がある数字を出しているメーカーは多くありません。——ただし、これはメーカー自身の試験です。第三者機関の試験だとは書かれていませんし、比較対象の無機塗料がどれなのかも示されていません。「自社が有利になる条件で比べている可能性」は、どのメーカーの資料を読むときにも残ります。
そのうえで、この主張が効いてくる場所ははっきりしています。サイディングの目地の上です。公式は「外壁材(サイディングボード)の繋ぎ目であるシーリング上部は柔らかく、硬性塗膜では基材の動きに追従できずにひび割れや剥離が発生しやすい箇所です」と書いています。——ここで割れた経験がある方には、意味のある話だと思います(シーリングの切れ)。
水溶性溶剤とは何か
グランデシリーズはすべて「水溶性溶剤塗料」です。聞き慣れない言葉なので、公式の説明を引きます。
「水と溶剤(油)は、本来は混ざり合いませんが、溶剤の中には、水に混ざりやすい(溶けやすい)ものが存在します。そのような性質を持つ溶剤のことを『水溶性溶剤』といいます。水溶性溶剤は、シャンプー、化粧品、医薬品、医療機器など、さまざまな分野で広く利用されています。」
「水溶性溶剤塗料は、一般的な油性塗料(弱溶剤塗料)に含まれるキシレンやエチルベンゼンはもちろん、(一社)日本塗料工業会に掲載のVOCリストの全てを含みません。」
「水性か油性か」という分け方に、第三の列を足したものという位置づけです。——住宅が密集していて臭いが気になる、という理由で水性を選んできた方には、選択肢が増えることになります。
ただし「水で希釈できる」ことと「水性塗料である」ことは別です。仕様書の希釈欄は「清水 0〜5%」で、水で薄めます。いっぽう製品の分類名は「水溶性2液溶剤形」です。見積書に「水性塗料」と書かれていたら、それは正確ではありません。
施工の条件が、他の塗料より細かい
仕様書の注意事項から、金額や工期に関わるものを挙げます。
- 素地調整③——「150Kgf/cm²以上の圧力で入念に高圧洗浄した後、十分に基材を乾燥させてください。」
- 素地調整②——「ガルバリウム鋼板やエスジーエル、及び付帯部は十分な目粗しを行ってください。」
- 「金属系基材に塗布する場合は、事前に十分な目粗しを行い、発錆箇所はケレンしたうえでさび止め塗料を拾い塗りしてください。」
- 「吸込みの多い下地は塗回数が増える場合があります。必ず十分に吸込みが止まっていることを確認した後、仕上塗りをしてください。」
- 「グランデ有機HRCの調合と希釈は調合割合を守り、必ず電動撹拌機で十分に撹拌してからご使用ください。」
- 「ローラーで施工する際は、気泡の発生や毛抜けの少ないウーブンタイプのローラーをご使用ください。また、テープなどであらかじめローラーの浮遊繊維を処理してからご使用ください。」
- 「シーリング材の上に施工する場合、シーリング材の種類等により、汚染、密着不良、割れが発生することが有りますので、基本的には行わないでください。」
- 「施工環境が気温5℃以下の場合、湿度85%RH以上の場合、結露が発生する可能性がある場合は、外部の施工で降雨が予想される場合には施工を避けてください。」
- 「塗料の使用期限は未開封の状態で水性製品、水溶性溶剤製品6ヶ月、油性製品12ヶ月です。」
「吸込みの多い下地は塗回数が増える場合があります」は、金額に直結します。——モルタルや古い外壁で吸い込みが強いと、2回では止まりません。見積書が2回塗りで組まれていても、現場で追加になる可能性がある、ということです。事前に「吸込みが強かった場合はどうなりますか」と聞いておくと、追加費用の話をあとから切り出されずに済みます(追加費用)。
シーリングの扱いも確認してください。仕様書は、シーリング材の上に塗ることを「基本的には行わないでください」としています。先打ち(シーリングを打ってから塗装)にするか、後打ち(塗装してからシーリング)にするかは、この一文を前提に決まります(コーキングの費用)。
同じメーカーの他の製品と並べる
プレマテックスには、水溶性溶剤の「グランデシリーズ」、1液水性の「ウルトラペイントシリーズ」、油性2液の「タテイルシリーズ」があります。同じ価格表に並ぶので、位置関係がそのまま読めます。
| 製品名 | 溶媒・液数 | 材工設計参考価格 |
|---|---|---|
| ウルトラSi | 1液水性 | 2,550円/㎡ |
| ウルトラ有機HRC | 1液水性 | 3,400円/㎡ |
| タテイルα プレミアムエディション | 油性2液弱溶剤 | 3,500円/㎡ |
| グランデシリコン | 水溶性2液溶剤 | 3,550円/㎡ |
| グランデ無機 | 水溶性2液溶剤 | 3,950円/㎡ |
| タテイルアクア | 水性2液 | 4,000円/㎡ |
| グランデ有機HRC | 水溶性2液溶剤 | 4,350円/㎡ |
| タテイル/タテイルフロン | 油性2液弱溶剤/水性2液 | 4,900円/㎡ |
| T2(タテイル2) | 油性2液弱溶剤(有機HRC) | 5,500円/㎡ |
出典:同価格表(2026年9月版)。塗装工程はいずれも2回です。
有機HRCという樹脂は、3つのシリーズすべてにあります。ウルトラ有機HRC(1液水性・3,400円)、グランデ有機HRC(水溶性2液・4,350円)、T2=タテイル2(油性2液・5,500円)。——同じ樹脂で、溶媒と液数だけが違う3製品が2,100円の幅で並んでいることになります。
「いちばん良い塗料を」と頼むと、この中のどれかが出てきます。どれが出てきたかで、値段も、臭いも、現場の段取りも変わります。製品名を最後まで聞いてください(ウルトラSi/タテイルα/無機塗料はメーカーで何が違う?)。
見積書で、この5つを確かめてください
①製品名が「グランデ有機HRC」で書かれているか——「有機HRC」だけだと、ウルトラ有機HRC(3,400円)やT2(5,500円)と区別がつきません
②塗り回数が「2回」になっているか——価格表も仕様書も工程は2回です
③下塗りをどうするか、理由つきで説明されているか——仕様書に下塗りの行はありませんが、「下塗り材特有の機能はございません」とも書かれています
④色を塗り板で確認できるか——メーカー自身が「限界色での対応となる色があります」「必要に応じて塗り板にてご確認ください」と書いています
⑤吸込みが強かった場合の扱い——「吸込みの多い下地は塗回数が増える場合があります」。追加になるのかどうかを先に決めておいてください
この5つは、契約の前に全部聞けます。——そして5つとも、答えはメーカーの資料に書いてあることです。答えが返ってくるかどうかで、その会社がこの塗料をどれだけ扱ってきたかが見えます。
金額を比べるのは、そのあとです。同じ製品名・同じ回数・同じ面積でそろえてはじめて、差が読めます(見積もりの取り方)。
よくある質問
グランデ有機HRCの価格は1㎡いくらですか?
メーカーの材工設計参考価格は4,350円/㎡・塗装工程2回です(2026年9月版)。——同じグランデシリーズのグランデシリコンが3,550円、グランデ無機が3,950円なので、400円ずつ上がる並びのいちばん上にあたります。ただし価格表の冒頭に「材工設計価格は300㎡以上の場合の参考価格です。平米数の少ない場合は割高になります。」「足場代・下地調整代等は含まれていません。」と書かれているので、この単価に自宅の面積を掛けても総額にはなりません。
グランデ有機HRCの耐用年数は35年ですか?
メーカーは「35年です」とは書いていません。——公式の原文は「グランデ有機HRCを塗布した試験片で35年相当の促進耐候性試験を行った結果、約30年相当の時点で初期の外観変化が見られ、35年相当を経過した段階で劣化の進行傾向が見られました」というものです。つまり35年は試験の長さで、その先は試験されていません。同社は期待耐用年数を「劣化初期から劣化進行期へ移行し始める時期」と定義しているので、この定義に照らすと35年相当のほうが近い数字と読めますが、これは当サイトの読み方です。同社は「期待耐用年数は……保証年数ではありません」とも明記しています。
見積書に下塗りが入っていません。手抜きですか?
それだけでは判断できません。——グランデ有機HRCの標準施工仕様書には、他のグランデ製品にある「下塗り」の工程がありません。製品ページには「下塗り材に頼ることなく直接塗装が可能です」とあります。ただし同じ仕様書の注意事項には「素地調整や下地補強、防錆効果など、各種下塗り材特有の機能はございません。現場条件や基材の状況によって当社指定の下塗り材を併用してください。」とも書かれています。つまり付着のためだけなら不要でも、下地の補強や錆止めが要る家では別に必要になります。「うちの下地の何を見て、下塗りを入れない(入れる)と決めましたか」と聞いてください。
グランデ有機HRCは、無機塗料より良いのですか?
メーカーはそう主張していて、根拠も示しています。——公式は「無機塗料は……経年とともに有機成分が先に劣化・分解し、塗膜の硬化と脆化が進む」「塗膜はまるで薄いガラスのように割れやすくなり……脆性破壊が生じやすくなります」と書き、靭性試験で「硬性塗膜は0.8mm伸長した際にひび割れが発生」「グランデ有機HRCの塗膜は10mm以上伸長してもなおひび割れは生じませんでした」という数字を出しています。ただしこれはメーカー自身の試験で、比較対象の無機塗料がどの製品かは示されていません。同ページには「※長期的なひび割れの抑制を保証するものではありません。」という注記も付いています。
好きな色にできますか?
できない色があります。——公式に「塗膜の耐候性を阻害する顔料を制限しているため、色見本帳のなかでも限界色での対応となる色があります。」と明記されています。理由は、最も色あせしやすい黄と赤を全て黄土と赤さびに置き換えて色を表現しているためです。同社は「調色時にわずかな色差が出ることがあります」とも書き、「必要に応じて塗り板にてご確認ください」としています。色にこだわりがある方は、契約前に塗り板を出してもらってください。仕様書のカラーバリエーションは「標準色(64色)、屋根用耐候性強化色、屋根用遮熱色、日塗工色など」です。
艶消しにできますか?
できません。艶ありのみのラインナップです。——公式の説明は「艶消し、半艶(5分艶)などは、艶調整剤を添加することで作られますが、艶調整剤を入れる分、樹脂量の配合率は低下するため、同じ製品であっても艶の違いで樹脂の性能には差が生じます。有機HRC塗料は樹脂の優れた性能を最大限発揮させることを優先した艶あり製品のみのラインナップです。」というものです。艶を落としたい場合は、同社のウルトラGゼロコート(ウルトラシリカ複合艶消し無機塗料・3,150円/㎡)のように、最初から艶消しとして設計された製品を選ぶほうが筋が通ります。
ウルトラ有機HRCとは何が違うのですか?
樹脂は同じ有機HRCで、溶媒と液数が違います。——ウルトラ有機HRCは1液水性で3,400円/㎡、グランデ有機HRCは水溶性2液溶剤形で4,350円/㎡。差は950円/㎡です。さらに同社のT2(タテイル2)は油性2液弱溶剤形の有機HRC樹脂塗料で5,500円/㎡。同じ樹脂の3製品が2,100円の幅で並んでいます。「有機HRCで」とだけ伝えると、どれが出てくるか分かりません。製品名を最後まで確認してください。
外壁120㎡だと、塗料はどれくらい必要ですか?
12.8kgセットで2.25〜3セットが計算上の目安です。——仕様書の所要量は0.12〜0.16kg/㎡/回、塗回数は2回。120㎡なら28.8〜38.4kgで、12.8kgセットに換算すると2.25〜3セットです。端数が出るので実際には3セットになることが多いはずです。ただし塗る面積は窓の差し引き方でも変わるので、この計算は「桁が合っているか」を見るためのものと考えてください。
水溶性溶剤塗料は水性塗料ですか?
水で希釈しますが、分類は「水溶性2液溶剤形」です。——公式は「溶剤の中には、水に混ざりやすい(溶けやすい)ものが存在します。そのような性質を持つ溶剤のことを『水溶性溶剤』といいます。」と説明し、「一般的な油性塗料(弱溶剤塗料)に含まれるキシレンやエチルベンゼンはもちろん、(一社)日本塗料工業会に掲載のVOCリストの全てを含みません。」としています。仕様書の希釈欄も「清水 0〜5%」です。ただし製品名としては水性塗料ではないので、見積書に「水性塗料」と書かれていたら正確ではありません。
2液型だと、何か気をつけることはありますか?
可使時間が4時間以内です。——仕様書には可使時間(23℃)が4時間以内、工程間の間隔時間が4時間以上5日以内と書かれています。混ぜたら4時間で使い切る必要があるので、その日に塗る量を見込んで混ぜることになります。また「必ず電動撹拌機で十分に撹拌してからご使用ください」ともあり、撹拌が足りないと性能が出ません。1液水性のウルトラ有機HRCにはこれらの制約がないので、現場の条件によっては1液のほうが向くこともあります。
参考にした情報
- プレマテックス株式会社 公式サイト「製品情報 > 上塗り材 > グランデ有機HRC」(2026年9月13日確認)——製品分類「水溶性2液溶剤形ハイグレード有機HRC塗料」、8つの特長(超耐候性・高靱性・超低汚染性・耐退色性・高付着性・透湿性・美しい仕上がり・優れた環境性)、促進耐候性試験の記述(「35年相当の促進耐候性試験を行った結果、約30年相当の時点で初期の外観変化が見られ、35年相当を経過した段階で劣化の進行傾向が見られました」「塗り替え推奨期(光沢保持率40%未満)までは、まだ十分な耐候性を残している」)、HRC 3つの製法設計技術、無機塗料の構造に関する記述、靭性試験(硬性塗膜0.8mm/グランデ有機HRC 10mm以上、および「※長期的なひび割れの抑制を保証するものではありません。」)、促進試験1000時間経過時の塗膜拡大写真についての3つの説明、調色についての記述(「限界色での対応となる色があります」「調色時にわずかな色差が出ることがあります」)、艶についての記述(艶あり製品のみのラインナップである理由)
- 同 公式サイト「各種資料 > 仕様書 > プレマテックス製品一覧(材工設計参考価格)」2026年9月版——グランデシリーズ3製品の行(グランデシリコン3,550円/グランデ無機3,950円/グランデ有機HRC4,350円。荷姿12.8kgセット・6.4kgセット、塗布面積80〜106㎡・40〜53㎡、塗装工程2回)と、ウルトラペイントシリーズ・タテイルシリーズ各製品の行。表の前に置かれた4行の但し書き(目安であること/300㎡以上を前提とし平米数が少ないと割高になること/足場代・下地調整代等を含まないこと/2026年9月時点の価格であること)
- 同 公式サイト「グランデシリーズ 標準施工仕様書」第2版 2026.07.02作成——グランデ有機HRCの頁(種別・荷姿12.8kg/6.4kgセット・適用カラーバリエーション「標準色(64色)、屋根用耐候性強化色、屋根用遮熱色、日塗工色など」・用途・適用基材、素地調整3項目、上塗りの調合(主剤12kg+硬化剤0.8kg+清水0〜5%)・所要量0.12〜0.16kg/㎡/回(塗布面積80〜106㎡/セット/回)・刷毛/中毛ローラー(ウーブンタイプ)・塗回数2・間隔時間4時間以上5日以内・可使時間4時間以内、および注意事項全文)。同PDF内のグランデシリコン・グランデ無機の頁には「下塗り 下地に応じた下塗り材をご使用ください。」の工程行があり、グランデ有機HRCの頁にはこの行が無いこと
- 同 公式サイト「トピックス&コンテンツ > 有機HRC塗料とは」(2026年9月13日確認)——有機HRC塗料の定義、3つの製法設計技術(High Resin Combine/High Radical Control/High Regulation Color)、無機塗料との比較の記述
- 同 公式サイト「トピックス&コンテンツ > 水溶性溶剤塗料とは」(同日確認)——水溶性溶剤の定義、3つの特長、および日本塗料工業会のVOCリストに関する記述
- 同 公式サイト「トピックス&コンテンツ > 期待耐用年数について」(同日確認)——期待耐用年数の定義(「塗膜の下地保護機能が著しく低下し塗り替えが必要とされる時期の目安」)、設定基準(「劣化初期から劣化進行期へ移行し始める時期を目安に」)、および2つの注記(保証年数ではないこと、経過しても直ちに塗り替えが必要とは限らないこと)
- 最終確認日:2026年9月13日。製品の仕様・価格は改定されることがあります。実際の工事については、現地を確認した施工会社にご確認ください。
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