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外壁塗装と庭の植木——覆われるのは何日か、枯れたら誰の責任か

庭に木や鉢があるお宅で、必ず出てくる心配です。結論から言えば、やることは「動かす・切る・覆う」の3つに分かれます。そして覆われる期間は、工程表から計算できます。塗料が付いたとき、枯れてしまったときの扱いまで整理しました。

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このページの内容

先に結論——「動かす・切る・覆う」の3つに分ける

庭の植木をどうするか。難しく考える必要はありません。すべての植物は、この3つのどれかに割り振られます。

対象誰がやるか
①動かす鉢植え、プランター、支柱で立てているだけの若木施主。着工前に自分で移動しておくのがいちばん確実
②切る壁や足場にかかる枝、伸びすぎた生垣施主。業者が勝手に切ることはありません
③覆う動かせない庭木、地植えの低木、花壇業者。ただし何をどこまで覆うかは、事前に決めておく

この割り振りを着工前に、業者と一緒に家のまわりを歩いて決める——それだけで、工事中のトラブルはほとんど防げます。「言った・言わない」になりやすいのは、この作業をしていない場合です。

そして、いちばん大事なことを先に書きます。心配な木があるなら、覆うより動かすほうが安全です。次の章で説明するとおり、養生で覆われている期間は思ったより長いからです。

覆われるのは何日か——工程から計算できます

「養生で覆う」と言われても、それが半日なのか1週間なのかで、話がまったく変わります。これは工程表から計算できます。

標準的な14日間の工事で、養生が貼られるのは5〜6日目。外され始めるのは11〜13日目です。

日数工程植木の状態
1日目足場の設置まだ覆われません。ただし足場が組まれるので、この日までに移動を
2日目高圧洗浄覆われていませんが、水と汚れがかかります
3〜5日目乾燥・下地補修・シーリングまだ覆われません
5〜6日目養生ここから覆われます
6〜11日目外壁・屋根の塗装覆われたまま
11〜13日目付帯部・手直し・養生撤去塗り終わった面から順に外れます

つまり覆われるのは、おおむね5日から1週間。しかもこれは晴天が続いた場合で、雨が降れば塗装がずれるぶん、覆われる期間も延びます(工程の詳細は工程と工期のページ)。

夏場に1週間覆われる——これがどういうことか、想像してみてください。日が当たらず、雨も水も届かず、ビニールの内側は蒸れます。だから「動かせるものは動かす」なのです。

そして、この日数は業者に聞けば教えてもらえます。「この木は、何日くらい覆われますか」——工程表を持っている会社なら即答できます。答えられないなら、そもそも工程が組まれていない可能性があります。

覆われた植物に、何が起きるか

養生シートで覆われた植物には、3つのことが同時に起きます。

  • 日が当たらない——1週間の遮光。落葉樹や丈夫な低木なら耐えますが、日照を好む種類は弱ります
  • 雨も水も届かない——覆われている間、自然の雨は入りません。鉢植えなら1週間水なしです
  • 蒸れる——ビニールの内側は温度と湿度が上がります。夏場はここがいちばんの負担です

だから、業者に頼むときの言い方はこうなります。

「この木は、通気できる覆い方にしてもらえますか」——完全に密閉するのではなく、上からふわりとかける、下側を開けておく、といった配慮ができる場合があります。ビニールではなく不織布のような通気性のある材料を使う方法もあります。

もうひとつ、水やりの相談です。工事中でも、施主が水をやれる状態にしておけるかどうか。「この鉢だけは、毎日水をやりたいので、朝の間は開けておけますか」——現実的に対応してもらえることもあります。頼まなければ、当然そうはなりません。

※植物の耐性は種類によってまったく違います。当サイトでは「◯日なら大丈夫」といった断定はしません。大事にしている木があるなら、覆う前提で考えず、移動できないかを先に検討してください。

壁から60〜70cm——足場が組める隙間の話

ここは、あまり知られていない話です。壁のすぐそばに植木があると、足場が組めません。

一般的な足場は、足場板の幅が約40cm、支柱が前後に約10cmずつ必要です。単純に足すと60cm。職人が作業することを考えると、70cm程度の隙間があると組みやすいとされています。

壁から植木までの距離どうなるか
70cm以上通常の足場が組めます。植木はそのまま残せることが多い
60〜70cm組めますが、作業しにくくなります。枝がかかっていれば剪定の相談に
60cm未満足場の支柱が植木の上に来ます。移動、剪定、または一時的な掘り上げの検討が必要

ここで知っておいてほしいのは、足場は建物にぴったり付けて組むわけではないということです。壁と足場のあいだに人が入って作業するのですから、当然すき間が要ります。「壁の際に植えた低木」は、足場の真下になります。

そして、この判断は現地調査のときにしかできません。図面や写真だけで見積もりを出す会社は、庭の状況を把握していません。着工日になって「これは動かしてもらえますか」と言われても、その日に木は動かせません。足場の組み方については見積もりの内訳のページにまとめました。

庭がある家ほど、現地調査の差が出ます

ここまで読んで気づいた方もいると思いますが、庭の話はすべて「現地を見ないと決められないこと」ばかりです。壁から植木までの距離、枝のかかり方、足場をどう組むか、どこを覆うか。図面にも写真にも写らない情報です。

だから、庭のある家では現地調査でどこまで見ているかが、そのまま会社の差になります。見るべきポイントはこの3つです。

  • 庭に足を踏み入れて、壁際まで見にきたか——道路から眺めただけの会社は、植木の存在を計算に入れていません
  • 植木について、自分から言及したか——「この木は動かしていただけますか」「ここは覆いますね」と先に言えるかどうか
  • 足場をどう組むかを、庭を見ながら説明できたか——組み方が決まっていないと、着工日に問題が起きます

同じ庭を何社かに見てもらうと、この差はすぐに分かります。1社は「植木は覆います」で終わり、別の1社は「この木は足場の支柱が来るので、着工前に移動をお願いします」と具体的に言う——後者は、実際に庭を歩いた会社です。見積もりの金額より先に、ここを見てください。

剪定は、誰がやるのか

結論から言うと、施主です。

塗装業者が、施主の庭の木を勝手に切ることはありません。切ってしまえば元に戻せないからです。どの枝をどこまで切るかは、木を育ててきた人にしか決められません。

ただし、切らないと工事ができない場面はあります。

  • 枝が壁に触れている——触れている部分は塗れません。塗ったとしても、枝が擦れて塗膜が傷みます
  • 枝が足場の位置にかかる——足場が組めない、または枝を傷めます
  • 生垣が壁との間を埋めている——職人が入れません

だから、現地調査のときにこう聞いてください。

「工事のために、切ったほうがいい枝はありますか」

この質問をすれば、業者は具体的に指してくれます。あとは着工までに自分で切るか、造園業者に頼むかを決めるだけです。塗装業者が剪定まで請け負うことは通常ありませんが、「この枝だけ、ちょっとよけてもらえますか」程度なら現場で対応してもらえることもあります。

⚠️剪定には木にとっての適期があります。真夏や真冬に強く切ると、木が弱ることがあります。工事の日程が決まったら、早めに剪定の計画を立てるのが理想です。ここでも、工期に余裕を持つことが効いてきます。

ツタが壁を這っている場合

アイビーやツタが外壁を覆っている——見た目は良いのですが、塗装のときは全部剥がすことになります。

理由は単純で、ツタの下は塗れないからです。そして剥がしてみると、たいてい次のことが分かります。

  • 吸着した根の跡が壁に残っている——サイディングやモルタルの表面に、点々と跡が付きます
  • 塗膜が傷んでいる——ツタの下は乾きにくく、湿気がこもります
  • 目地やひび割れに入り込んでいる——根が隙間を広げていることがあります

剥がす作業と、跡の処理(ケレン・下地補修)は手間として見積もりに乗ります。範囲が広ければ、それなりの金額になります。「ツタは剥がしてもらえますか。その分の費用はいくらですか」——これは見積もりの段階で聞いておく項目です。あとから出てくると追加費用の話になります。

そして塗り替えたあと、また這わせるかどうかは考えどころです。せっかく新しくした塗膜の上に、また湿気のこもる層を作ることになります。壁から離してフェンスやトレリスに這わせる方法なら、次の塗り替えも楽になります。

高圧洗浄の水と、塗料の飛散

植木に影響するのは、養生だけではありません。工事の2日目に来る高圧洗浄と、塗装中の飛散があります。

高圧洗浄の日(2日目)

この日はまだ養生が貼られていません。壁を洗った水が、そのまま下に落ちます。水と一緒に落ちるのは、汚れ、コケ、古い塗膜の粉です。

  • 水そのものは、たいてい問題になりません——雨と同じです
  • 注意したいのは、洗剤やカビ取り剤を使う場合——コケや藻がひどいときに使うことがあります。「洗剤は使いますか。使うなら、下の植木はどうしますか」と聞いてください
  • 水圧で葉が傷むことがあります——壁際の低木は、直接当たらないように配慮してもらえます

塗装中の飛散

ローラーで塗る場合でも、細かい粒は飛びます。吹き付けならなおさらです。葉に付いた塗料は、基本的に落とせません。水性塗料でも、乾けば固まります。

だから、飛散防止シート(メッシュシート)の下側がどう処理されるかが効いてきます。足場の外周は覆われますが、足場の内側、壁と足場のあいだに植木がある場合は、別に覆う必要があります。ここは養生のページに詳しく書きました。

枯れたら、誰の責任になるのか

いちばん聞きたいところだと思います。結論から言うと、状況によります。ただし考え方の筋道ははっきりしています。

基本になるのは民法の規定です。

民法 第709条(不法行為による損害賠償)

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

ポイントは「故意又は過失」です。つまり——

状況考え方
養生の仕方が乱暴で、枝を折った・幹を傷つけた過失が問われる場面です。写真を撮って、その場で伝えてください
塗料が大量にかかって枯れた同上。飛散防止の措置が十分だったかが論点になります
覆われている間に、水がなくて枯れた難しいところです。「水やりについて、事前にどんな話をしていたか」で変わります
もともと弱っていた木が、工事後に枯れた因果関係の証明が難しい。工事のせいだと言い切るのは簡単ではありません

ここから分かる実務的な結論は、ひとつです。「工事の前の状態を、写真に撮っておく」こと。

着工前に、庭の植木をスマホで撮っておいてください。日付が残ります。これがあるだけで、「もともとこうだった」「工事のあとにこうなった」の議論ができます。何も撮っていないと、話がまったく進みません。

そして、事前の合意がいちばん強い

責任の議論より先に、着工前に決めておくほうが早いです。聞くのはこの一言。

「もし植木に何かあった場合、どういう対応になりますか」

まともな会社は、工事中の事故に備えた賠償責任の保険に入っています。「うちは絶対に傷つけません」と言い切る会社より、「万一のときはこう対応します」と答えられる会社のほうが信頼できます。これは車への飛散でも同じ考え方です(養生と飛散)。

着工前にやっておく5つのこと

  1. 写真を撮る——庭全体と、大事にしている木のアップ。日付が残ります。これが後々いちばん効きます
  2. 鉢とプランターを移動する——足場の下、壁から1m以内にあるものは、全部よけておく。職人に動かしてもらう時間も工期のうちです
  3. 枝を切る——壁に触れている枝、足場にかかる枝。現地調査のときに指してもらったところを、着工までに
  4. 業者と一緒に庭を歩く——「これは覆う」「これは動かす」「これは切る」を、その場で決める。できればメモか写真に残す
  5. 水やりの相談をしておく——覆われる期間と、その間どうするか。鉢なら移動すれば解決します

この5つは、どれも着工の1週間前までにやっておけば済むことです。当日になってから慌てると、判断が雑になります。

隣の家の植木はどうなるか

意外と見落とされるのが、隣家の植木です。飛散は境界を越えます。

  • 近隣への挨拶は、業者がやるのが標準です——そのときに「お庭の植木がありますが、どうしましょうか」と伝えてもらえるかどうか
  • 隣家の木の枝が、こちらの敷地に伸びている場合——勝手に切ることはできません。切ってほしいときは、隣家に相談するのが順序です
  • 足場が隣地にかかる場合——事前に了解を得るのが原則です

ここで施主がやることは多くありません。「隣の家の庭にも植木があります」と業者に伝えておくだけで十分です。あとは挨拶のときに配慮してもらえます。近隣への説明については挨拶のページにまとめました。

よくある質問

大事にしている木があります。工事を断られませんか?

断られることはまずありません。「この木は特に大事にしています」と最初に伝えておくのが確実です。伝えてあれば、覆い方も足場の組み方も配慮してもらえます。逆に、何も言わないまま工事が進んで傷ついてから伝えるのが、いちばん困る流れです。

鉢植えを業者に動かしてもらえますか?

頼めば動かしてもらえることが多いですが、自分で動かしておくほうが安全です。どこに置きたいかは施主にしか分かりませんし、重い鉢を運ぶ間に割れることもあります。それに、職人が動かす時間も工期に含まれます。

芝生の上に足場を組んでも大丈夫ですか?

足場の支柱は、ジャッキベースという金具で地面に立ちます。芝生の上でも組めますが、跡は残ります。敷板を敷いてもらえるか聞いてください。それでも、1週間以上覆われた芝は色が変わることがあります。元に戻るかどうかは、季節と芝の種類によります。

工事のあと、植木に白い粉が付いています

高圧洗浄で飛んだ古い塗膜の粉か、ケレンで出た粉の可能性があります。水で流せば落ちることが多いですが、落ちないものが付いている場合は、その場で業者に見てもらってください。自分でこすったり溶剤を使ったりしないこと——これは車に塗料が付いたときと同じです。

家庭菜園があります。塗料が野菜に付いたら食べられますか?

付いてしまったものは食べないでください。そして、そもそも養生してもらうか、収穫できるものは先に収穫しておくのが確実です。工事の時期が決まったら、菜園の予定も合わせて考えてください。「壁際に菜園があります」と事前に伝えておくと、養生の範囲に入れてもらえます。

工事のあいだ、庭に入れませんか?

足場が組まれると、庭の動線は変わります。通れる場所と通れない場所ができるので、着工前に確認しておいてください。物置や勝手口が足場の内側になることもあります。日常的に使う場所なら、その旨を伝えれば通路を確保してもらえます。

植木が理由で、工事の時期をずらすことはありますか?

あります。花が咲く時期、実がなる時期、剪定の適期——庭を大事にしている方ほど、ここを気にされます。工事の時期は、劣化が進んでいないかぎり数か月ずらせることがほとんどです。「この時期は避けたい」と最初に伝えておけば、日程を組むときに考慮してもらえます。逆に、契約してから言い出すと、職人の手配が済んでいて動かせないことがあります。時期の考え方は季節のページにまとめました。

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参考にした情報

  • 民法 第709条(不法行為による損害賠償)/e-Gov法令検索
  • 足場の設置寸法(足場板の幅・支柱の位置)に関する公開資料——当サイトの名古屋市のページでも同じ数値を扱っています
  • 国土交通省大臣官房官庁営繕部「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」18.1.6 施工管理(養生の定め)

最終確認日:2026年8月25日。植物の耐性は種類・季節・環境によって大きく異なります。このページは一般的な考え方の整理であり、個別の判断は現地を見た業者や造園の専門家にご相談ください。