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浸水した家の消毒と臭い——逆性石けんは「100倍・洗ってから・拭く」です

床上・床下が浸水したあと、独特のにおいが残ることがあります。——原因は泥に含まれる有機物と、そこで増える細菌です。厚生労働省と日本環境感染学会が示している消毒薬の表には、次亜塩素酸ナトリウム・消毒用アルコールと並んで「10%塩化ベンザルコニウム(逆性石けん)」が載っています。ドラッグストアで買えるオスバンSなどがこれにあたります。大田区は床上浸水した家庭に、この逆性石けん液を配布しています。ただし使い方に決まりがあって、どれかを外すと効かなくなります。——薄め方は100倍。洗って乾かしてから使う。普通の石けんと混ぜない。

このページの内容

先に結論——薄め方と順番を外すと効きません

①薄めるのは100倍——原液5mL(ペットボトルのキャップ1杯)を水500mLに
②洗って、乾かしてから使う——泥が残っていると効きません
③普通の石けん・中性洗剤と一緒に使わない——効果が打ち消し合って消えます
④屋内では霧吹きにしない——布に含ませて拭く。床下・屋外なら散布もあり
⑤カビにはアルコールのほうが上——細菌は両方○、カビは逆性石けんが△

このページは、公的機関が出している資料をもとにまとめています。——厚生労働省「浸水した家屋の感染症対策」、日本環境感染学会「一般家屋における洪水・浸水など水害時の衛生対策と消毒方法」、石川県・大阪市・大田区・江戸川区・府中町・函館市・目黒区の案内です。薬の使い方は製品の説明書が優先です。体調に不安があるときや、傷口・粘膜に触れる可能性があるときは、医療機関や薬剤師にご相談ください。

オスバンSの正体——厚労省の表に載っている薬です

ドラッグストアで売っているオスバンSは、有効成分がベンザルコニウム塩化物10w/v%の第3類医薬品です。——これは「逆性石けん」と呼ばれるもので、厚生労働省と日本環境感染学会の消毒薬一覧に、そのまま載っています。

「●汚染の程度がひどい場合、長時間浸水していた場合は、できるだけ次亜塩素酸ナトリウムを使用する。
●対象物が、色あせ、腐食などにより次亜塩素酸ナトリウムが使用できない場合は、アルコール、塩化ベンザルコニウムを使用する。」
(厚生労働省「浸水した家屋の感染症対策」)

つまり順番があります。——汚れがひどければ次亜塩素酸ナトリウム(家庭用の塩素系漂白剤)が第一。ただし塩素系は漂白作用があり、金属を腐食させます。目黒区は「次亜塩素酸ナトリウムは、漂白作用や金属などを腐食する作用がありますので、色あせや腐食の心配があるものは、薬局等で逆性石鹸液を購入してご使用」と案内しています。

家の中には、色を抜きたくないものが山ほどあります。——フローリング、建具、家具、壁。そこで逆性石けんの出番になります。大阪市はこう書いています。

「逆性石けん(塩化ベンザルコニウム)【特徴】皮膚への刺激性やにおいがほとんどなく、床上(屋内)の消毒に適しています。手指の消毒にも適しています。」(大阪市)

「区では、床上浸水した家屋にお住まいの方で希望される方に、逆性石けん液(ベンザルコニウム塩化物液10%)を配布しています。」(大田区)

自治体が配っているほど、標準的な選択肢です。——江戸川区も生活衛生課で床上浸水の場合に消毒薬の配付を行っています。買う前に、お住まいの市区町村に配布があるか聞いてみる価値があります。

薄め方は100倍——原液5mLを水500mLに

10%の製品を、0.1%まで薄めます。100倍です。日本環境感染学会は、家庭で量れる形で書いています。

用途濃度作り方
家具類・床・堅い表面0.1%ペットボトルのキャップ1杯(原液5mL)を水500mLに
食器類・流し台・浴槽0.1%同上(そのあと水洗いします)

ペットボトルのキャップが約5mL、というのが目安になっています。——計量カップが無い状況を想定した書き方です。500mLのペットボトル1本ぶんの水に、キャップ1杯。これなら被災した家の中でも作れます。

ただし、そのペットボトルに入れて置いておかないでください。——石川県が明確に注意しています。「消毒薬を調整する際に飲用の空ペットボトルを使用すると、小さなお子さん等のいる家庭では、誤飲の元になりますので、使用しないかまたは調製後は別の容器に移し替えてください。」

そして作り置きもしないでください。——学会は「消毒薬は使用するときに希釈します。作り置きした消毒薬は効果が十分発揮できません」と書いています。使う分だけ、そのつど作る。

量も控えめでよい、とされています。——石川県は「消毒薬は、過剰に使用すると人体や環境への影響を与えることがあるので、必要最小限を使用します」としています。たっぷり撒けば効くというものではありません。そして学会は「基本的に、土壌への消毒は不要です」とも書いています。庭の土に撒く必要はありません。

洗う→乾かす→拭く。この順番でないと効きません

ここが、いちばん外されやすいところです。

「消毒は、必ず泥や汚れを取り除いた後で使用します。清掃が不十分だと、効果を発揮できません。」
「洗浄や拭き取りにより十分に汚れを除去して、乾かした後、消毒します。」
(日本環境感染学会)

「汚泥は取り除き、しっかり乾燥——消毒薬は、汚れを取りのぞいた上で使用しましょう」(厚生労働省)

泥がついたまま消毒液をかけても、薬が泥の有機物に食われて、菌まで届きません。——だから公的な手順は、どの資料も3段階になっています。

段階やること資料の言葉
1 洗う泥などの汚れを洗い流すか、雑巾などで水拭きする「(堅い)床、壁、金属部分、調理台、シンクなどは水と石けん(洗濯石けんや食器用洗剤)で洗い流し、泥や破片を取り除きます」
2 乾かす十分に乾燥させる「可能なら、扇風機を使い、乾燥を促します
3 拭く調整した液を浸した布などでよく拭く「②調整した液を浸した布などでよく拭く」

2の「乾かす」を挟むのには、理由が2つあります。——ひとつは水が残っていると消毒液が薄まるから。もうひとつが、次の話につながります。

やってはいけない①——普通の石けんと一緒に使う

逆性石けんは、普通の石けんや中性洗剤と混ざると、殺菌効果がなくなります。

「逆性」という名前は、ここから来ています。——ふつうの石けんは陰イオンの界面活性剤、逆性石けんは陽イオンの界面活性剤です。プラスとマイナスなので、混ざると中和して沈殿してしまいます。殺菌の働きをする部分が、そこで潰れます。

これは「順番を守れば問題ない」話です。——公的な手順が「石けんで洗う → よく流す → 乾かす → 消毒液で拭く」になっているのは、石けんを残さないためでもあります。石けんで洗ったあと、洗剤が残ったまま消毒液を使うと、何も起きません。

ありがちな失敗はこれです。——バケツに洗剤と一緒に入れて「よく効きそうな液」を作る。これをやると両方とも効かなくなります。混ぜないでください。塩素系漂白剤と混ぜるのも論外です——学会は次亜塩素酸ナトリウムについて「他の消毒薬と混合してはいけません」と書いています。

やってはいけない②——屋内で霧吹きする

広い床や壁を消毒するなら、霧吹きで撒きたくなります。——ですが、屋内については避けるよう書かれています。

「消毒薬は布に含ませるか、あるは、薬液に漬ける方法で使用します。噴霧は吸い込んでしまう恐れがあるため、避けます。」
(日本環境感染学会)

理由は効果ではなく、吸い込むことです。——霧にすると空気中に漂い、作業している人が肺に入れてしまいます。逆性石けんは刺激が少ない薬ですが、それでも吸うために作られたものではありません。

ただし、場所によって扱いが変わります。——床下と家の周囲については、散布が公的な手順に入っています。

「4)必要に応じて、家の周囲や床下などの消毒薬または消石灰を散布してください。」(石川県/床下浸水の場合)

つまり切り分けはこうです。——人が生活する屋内は「拭く」。人が入らない床下や屋外は「散布」も選択肢。臭いが出やすいのはむしろ床下なので、床下に撒くという使い方自体は、公的な手順と食い違っていません。そのときもマスク・ゴム手袋・ゴム長靴を着けてください。

床下に入って作業するときは、換気を先にしてください。——学会は高圧洗浄機について「マスクを着用し、換気に気をつけます」としています。狭くて空気が動かない場所ほど、吸い込むリスクが上がります。

効くもの・効かないもの——カビにはアルコールのほうが上です

石川県が、消毒薬ごとに何に効くかの表を出しています。これは知っておく値打ちがあります。

薬剤名一般細菌
(大腸菌、黄色ブドウ球菌など)
ウイルス
(ノロウイルスなど)
結核菌真菌
(カビなど)
芽胞菌
(クロストリジウムなど)
次亜塩素酸ナトリウム
塩化ベンザルコニウム
(逆性石けん)
×××
クレゾール石けん液××
消毒用エタノール×

○:有効 △:効果が弱い場合がある ×:無効(石川県「水害の際の衛生対策と消毒方法」)

臭いの原因になる一般細菌には、逆性石けんは○です。——ここは狙いどおり効きます。ですが、カビ(真菌)には△。浸水した家ではカビも大きな問題になります。厚生労働省も「浸水した家屋が浸水した場合は、細菌やカビが繁殖しやすくなり」と、カビを並べて書いています。

カビについては、消毒用エタノールと次亜塩素酸ナトリウムが○です。——逆性石けんだけでカビまで面倒を見よう、とは考えないでください。カビが目に見えて出ている場所は、色が抜けてもよいものなら次亜塩素酸ナトリウム、色を抜きたくないならアルコールという使い分けになります(外壁のコケ・カビ)。

ノロウイルスにも×です。——感染性胃腸炎の心配がある場面では、逆性石けんは頼りになりません。そこは次亜塩素酸ナトリウム(○)の担当です。「万能の消毒薬は無い」というのが、この表がいちばん伝えていることです。

アルコールとどちらを使うか

厚生労働省の表では、アルコールと塩化ベンザルコニウムは同じ位置づけです。——どちらも「次亜塩素酸ナトリウムが使えない場合」の選択肢として並んでいます。その前提のうえで、実際に使うときの違いを整理します。

消毒用アルコール逆性石けん(塩化ベンザルコニウム)
使い方希釈せず、原液のまま(70%以上のもの)100倍に薄める(0.1%)
広い面積のコスト原液を使うので量がいる1本で大量に作れる
火気「火気のあるところでは使用しない」引火の心配は薄い
におい・刺激アルコール臭がある「皮膚への刺激性やにおいがほとんどなく」(大阪市)
カビ(真菌)
結核菌×

家一軒の床と家具を拭くという場面なら、逆性石けんのほうが現実的です。——アルコールは原液のまま使うので、面積が広いと量が要ります。そのうえ火気厳禁で、被災後に発電機やストーブを使っている状況では気をつかいます。逆性石けんは100倍なので、600mLの1本から60Lぶんの消毒液が作れる計算になります。

逆に、カビが出ている場所や、食器・調理器具まわりでは、それぞれの得意分野に合わせてください。——学会は食器類について「80度の熱水に10分間漬ける」熱湯消毒も挙げていて、「熱水は、有効・安全・経済的な消毒方法」と書いています。薬を買わなくていい方法がある、というのは覚えておく値打ちがあります。

臭いは、消毒だけでは消えません

ここは正直に書きます。——消毒は、臭いを出している細菌を減らします。だから臭いが軽くなることはあります。ですがそれだけで消えるとは限りません。

浸水後の臭いは、大きく2つから来ています。

原因正体効く手
①細菌が出すにおい泥の中の有機物を細菌が分解するときに出る物質。空気が少ない場所ほど強く出ます消毒菌が増えない環境にする(乾燥)
②泥そのもののにおい川底の泥、下水、油。有機物が材料に染み込んでいます取り除く。染みたものは撤去

②は、消毒液では動きません。——臭いのもとがそこに残っているからです。学会が「浸水して洗うことのできない家具(カーペット、布製ソファーなど)は撤去します」と書いているのは、洗えないものに染みた汚れは取れないからです。

そして①も、乾かないかぎり戻ってきます。——消毒でいったん菌を減らしても、湿ったままなら、また増えます。だから本命は乾燥です。函館市は「汚染や臭いが心配な時は,消毒する」としつつ、消毒薬そのものの臭いにも注意を促しています——「クレゾール石けん液とオルソ剤は,独特な臭い(クレゾール臭)があるので,床下への使用には十分留意する。」

これは逆性石けんを選ぶ理由になります。——クレゾール石けん液は結核菌に○という強みがある一方で、独特の臭いが残ります。府中町も「②クレゾール石けん液は、使用後しばらく臭いが残ります。」と書いています。臭いを何とかしたくて消毒するのに、消毒薬の臭いが残っては本末転倒です。大阪市が逆性石けんを「においがほとんどなく、床上(屋内)の消毒に適しています」としているのは、この点でも理にかなっています。

床下の乾燥がいちばん効きます

臭いが長引く家は、たいてい床下が乾いていません。——見えないので、そのままになりがちです。

「床下はスコップや流水を用いて汚泥を取り除いた後、雑巾などで水気をなくし、扇風機などにより強制的に換気し、乾燥させます。」
「床下換気口のごみを取り除き、床下の風通しを良くします。」
(日本環境感染学会)

「床下は雑巾等で吸水し、扇風機等により通風を良くし、乾燥させてください。」(石川県)

「扇風機」が、どちらの資料にも出てきます。——自然に乾くのを待つのではなく、強制的に風を送る。これが公的に推されている方法です。床下換気口をふさいでいる物(植木鉢、室外機、物置)があれば、どけてください。

そして学会は、湿気が建物そのものに与える影響にも触れています。——「床下に流れ込んだ土砂や水分が残っている場合、その湿気により、家の基礎や土台(床組)などに影響が出る場合があります。」

臭いは、その警告でもあります。——臭うということは、まだ湿っているということです。臭いが取れないまま何か月も経つ場合は、床下の状態を一度見てもらうことを考えてください。

そして、乾く前に外壁を塗ってはいけません

ここからは、外壁塗装の話です。——浸水したあと、外壁の下のほうに泥の線が残ります。見た目が悪いので、早く塗り直したくなります。ですが、急がないでください。

外壁材や下地が水を含んだまま塗ると、塗膜が水分を閉じ込めます。——閉じ込められた水分は、日射で温められると水蒸気になって膨らみ、塗膜を内側から押し上げます。これが膨れ剥がれになります(塗装が剥がれる原因)。塗料は水を通しにくいので、外から乾かすこともできなくなります。

どのくらい待てばいいかは、材料と季節で変わります。——モルタルやコンクリートは水を含みやすく、乾くのに時間がかかります。窯業系サイディングも、小口(切り口)から水を吸っていることがあります。塗装店は含水率計で測れます。「見た目が乾いているから大丈夫」ではなく、測ってもらってください外壁の状態の見方)。これができるかどうかは会社によって差が出るところなので、複数社に見てもらって答えを比べると分かります。

順番としては、こうなります。

1泥を落とす・洗う(外壁についた泥は水で十分に洗い流す)
2乾かす——床下も含めて。扇風機で強制的に
3必要なら消毒(洗って乾かしたあと)
4下地の傷みを見てもらう——含水率、ひび、シーリング、基礎
5そのうえで塗装の計画を立てる

4を飛ばさないでください。——浸水した家は、外壁だけの問題では終わらないことがあります。基礎や土台、断熱材、床組。塗装で隠してしまうと、あとで分からなくなりますまず概算を出して、予算の見当をつける)。

災害のあとは、点検を装った訪問が増えます。——「市から来ました」「保険で直せます」と言われても、その場で契約しないでください。市が業者を派遣して契約を取ることはありません(点検商法の見分け方火災保険で直せる被害・直せない被害)。急かされているときほど、いったん止めてください。そのうえで数量の入った見積書を複数そろえて比べれば、話が本当かどうかも見えてきます(同じ条件で複数社に出してもらう)。

よくある質問

浸水したあとの消毒に、オスバンSは使えますか?

使えます。オスバンSの有効成分はベンザルコニウム塩化物10w/v%で、厚生労働省と日本環境感染学会が示す消毒薬の表にある「10%塩化ベンザルコニウム(逆性石けん)」にあたります。家具類・床の消毒に0.1%へ希釈して使うと記載されています。

どのくらいに薄めますか?

100倍です。0.1%に希釈します。日本環境感染学会は「ペットボトルのキャップ1杯(原液5mL)を水500mLに希釈する」と具体的に書いています。

薄めた液は取っておけますか?

おすすめできません。日本環境感染学会は「消毒薬は使用するときに希釈します。作り置きした消毒薬は効果が十分発揮できません」と書いています。使う分だけ、そのつど作ってください。

ペットボトルに入れておいてもいいですか?

石川県は「消毒薬を調整する際に飲用の空ペットボトルを使用すると、小さなお子さん等のいる家庭では、誤飲の元になりますので、使用しないかまたは調製後は別の容器に移し替えてください」と注意しています。

霧吹きで撒いてもいいですか?

屋内では避けてください。日本環境感染学会は「消毒薬は布に含ませるか、あるは、薬液に漬ける方法で使用します。噴霧は吸い込んでしまう恐れがあるため、避けます」と書いています。ただし家の周囲や床下については、石川県が「必要に応じて、家の周囲や床下などの消毒薬または消石灰を散布してください」としています。屋内は拭く、床下・屋外は散布もあり、という切り分けです。

普通の石けんと一緒に使ってはいけないのはなぜですか?

効果が打ち消し合うためです。逆性石けんは陽イオンの界面活性剤で、普通の石けんや中性洗剤は陰イオンの界面活性剤です。混ざると中和して沈殿し、殺菌効果がなくなります。石けんで洗ったあとは、よく流して乾かしてから使ってください。

消毒だけして、泥を落とさなくてもいいですか?

いけません。日本環境感染学会は「消毒は、必ず泥や汚れを取り除いた後で使用します。清掃が不十分だと、効果を発揮できません」と書いています。厚生労働省も「消毒薬は、汚れを取りのぞいた上で使用しましょう」としています。

逆性石けんはカビにも効きますか?

効果が弱い場合があります。石川県が示す抗菌スペクトルでは、塩化ベンザルコニウムは一般細菌に○、真菌(カビなど)には△、ウイルス(ノロウイルスなど)と結核菌には×、芽胞菌にも×です。カビについては消毒用エタノールが○、次亜塩素酸ナトリウムも○です。

アルコールと逆性石けん、どちらがいいですか?

目的で変わります。細菌にはどちらも有効ですが、カビにはアルコールのほうが上です。一方で逆性石けんは100倍に薄めて使うので広い面積に安く使え、引火しません。大阪市は逆性石けんについて「皮膚への刺激性やにおいがほとんどなく、床上(屋内)の消毒に適しています」と書いています。

次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)ではダメですか?

ダメではなく、むしろ第一選択です。厚生労働省は「汚染の程度がひどい場合、長時間浸水していた場合は、できるだけ次亜塩素酸ナトリウムを使用する」としています。逆性石けんやアルコールは「対象物が、色あせ、腐食などにより次亜塩素酸ナトリウムが使用できない場合」の選択肢という位置づけです。

自治体が消毒薬をくれることはありますか?

あります。大田区は「床上浸水した家屋にお住まいの方で希望される方に、逆性石けん液(ベンザルコニウム塩化物液10%)を配布しています」としています。江戸川区も生活衛生課で床上浸水の場合に消毒薬の配付を行っています。お住まいの市区町村に問い合わせてみてください。

消毒すれば臭いは消えますか?

消毒は臭いを出す細菌を減らしますが、それだけでは消えません。臭いのもとは泥に含まれる有機物そのものでもあるため、汚れを取り除くことと、乾燥させることが本命になります。水分が残っていると菌はまた増えます。

床下はどうすればいいですか?

石川県は「床下は雑巾等で吸水し、扇風機等により通風を良くし、乾燥させてください」としています。日本環境感染学会も「床下はスコップや流水を用いて汚泥を取り除いた後、雑巾などで水気をなくし、扇風機などにより強制的に換気し、乾燥させます」と書いています。

浸水したあと、すぐに外壁を塗ってもいいですか?

おすすめできません。外壁材や下地が水を含んだまま塗ると、塗膜が水分を閉じ込めて膨れや剥がれの原因になります。日本環境感染学会も「床下に流れ込んだ土砂や水分が残っている場合、その湿気により、家の基礎や土台(床組)などに影響が出る場合があります」としています。まず乾かすことが先です。

浸水したあとに訪問してくる業者はどうすればいいですか?

その場で契約しないでください。災害のあとは点検を装った訪問が増えます。市が業者を派遣して契約を取ることはありません。市の窓口や消費生活センターに、その話が本当かを確認してください。

破傷風の心配はありますか?

日本環境感染学会は「破傷風ワクチンの接種歴を確認します。10年以内に接種歴がない場合は、医療機関に相談します」と書いています。清掃中のけがにも注意し、厚手のゴム手袋・ゴム長靴・マスクを着けて作業してください。

参考にした情報

  • 厚生労働省「浸水した家屋の感染症対策」(参考:日本環境感染学会 一般家屋における洪水・浸水など水害時の衛生対策と消毒方法)
  • 日本環境感染学会〈暫定版ガイダンス〉「一般家屋における洪水・浸水など水害時の衛生対策と消毒方法」(平成28年9月)
  • 石川県健康福祉部健康推進課「水害の際の衛生対策と消毒方法(資料)」(平成26年4月作成)
  • 大阪市「浸水被害発生時の消毒方法について」/目黒区「台風や大雨の被害を受けたときの消毒」/函館市「水害時の衛生対策と消毒方法」/府中町「浸水用消毒薬について」
  • 大田区「水害時の衛生対策(家屋が浸水したときの消毒について)」/江戸川区(生活衛生課による消毒薬の配付)
  • オスバンSの成分表示(ベンザルコニウム塩化物10w/v%・第3類医薬品)

このページは2026年9月2日時点で公的機関が公開している資料をもとにまとめたものです。薬の使い方は、お使いになる製品の説明書が優先です。濃度・用法は製品によって異なります。体調に不安があるとき、傷口や粘膜に触れる可能性があるとき、小さなお子さんやペットがいるご家庭では、医療機関・薬剤師・お住まいの市区町村の窓口にご相談ください。浸水被害の支援制度は市区町村ごとに異なります。