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雹が降ったあと、家はどこを見る?——屋根に登らずにできる確認と、次の雨までにやること
雹が降ったあと、車のへこみは「あわてなくていい」と言われます。金属のへこみは、放っておいても悪くならないからです。ですが、家は違います。屋根材や波板にひびが入っていたり穴が空いていたりすると、次の雨で水が入ります。雹そのものより、そのあとの雨のほうが家を傷めます。だからといって、あわてて屋根に登るのがいちばん危ない。このページでは、登らずに確認できる範囲と、次の雨までにやっておくことを、部位ごとに整理します。
このページの内容
- 🔑車は「あわてなくていい」、家は「次の雨まで」
- 🔑雹の壊し方は2つ——金属はへこみ、樹脂は割れる
- 屋根には登らないでください
- 登らずに見る方法
- 部位ごとに、どこがどう壊れるか
- カーポートは「直す」のか「選び直す」のか
- 記録の残し方——降った日と、写真
- 保険の話は、ここから先は別のページに
- 下に車が停めてあったら
- よくある質問
- 参考にした情報
車は「あわてなくていい」、家は「次の雨まで」
先に、いちばん大事なところを書きます。同じ雹でも、車と家では急ぎ方が逆になります。
- 車=あわてなくていいボディのへこみは、時間が経っても深くなりません。落ち着いて確認して、そのあとで考えれば間に合います。
- 家=次の雨までに見ておきたい屋根材や波板にひびや穴ができていると、次に降る雨がそこから入ります。雹が家を壊すというより、雹が開けた穴から入る雨が家を傷めます。
ですから「今すぐ業者を呼んでください」ではありません。次に雨が降る前に、一度見ておいてくださいということです。天気予報で次の雨がいつか分かれば、それがひとまずの目安になります。
逆に言うと、へこんでいるだけなら急ぎません。アルミの雨戸がへこんだ、金属の外壁に打痕がついた——見た目は気になりますが、そこから水は入りません。急ぐのは「割れ・穴・欠け」のほうです。この区別がつくだけで、あわてなくて済みます。
雹の壊し方は2つ——金属はへこみ、樹脂は割れる
家に使われている材料は、雹に当たったときの壊れ方が2通りに分かれます。ここを押さえると、どこを見ればいいかが決まります。
金属でできているところ=へこむ
薄い金属の板は、氷の塊が当たると変形して、そのまま戻りません。車のボンネットがへこむのと同じ理屈です。家では次のようなところが当てはまります。
- 金属の屋根(ガルバリウム鋼板など)
- 金属サイディングの外壁
- 雨戸・シャッター
- 物置
- エアコンの室外機・給湯器の外板
へこんでも、その場で雨が入るわけではありません。ただし塗装が割れていれば話は別で、そこから錆が進みます。金属の部分は「へこみ」ではなく「塗装が割れていないか」を見てください。
樹脂でできているところ=割れる、穴が空く
プラスチック系の材料は、金属のように変形して耐えることをしません。限界を超えると、割れます。
- カーポートやベランダのポリカーボネートの波板
- 塩ビ(塩化ビニル)の雨樋
- 樹脂でできた部材、透明な屋根まわり
急いで見るのはこちらです。割れて穴が空いていれば、そこから雨が落ちてきます。とくに年数が経った波板は、紫外線を浴び続けて硬くなっているので、新しいものより割れやすくなります。
ちなみに気象庁は、ひょうを「積乱雲から降る直径5mm以上の氷塊」、あられを「直径が5mm未満のもの」と定めています。5mmに満たない粒なら家が壊れることはまず考えなくてよく、心配するのは「ひょう」のほうです。
屋根には登らないでください
ここだけは強くお伝えします。雹が降ったあとに屋根へ登るのは、やめてください。理由が2つあります。
ひとつは単純に危ないからです。雹のあとは屋根が濡れています。割れた破片が乗っていることもあります。屋根から落ちる事故は、高さがなくても大きなけがになります。見えていないものを確かめるために、命を賭ける必要はありません。
もうひとつは、登らなくても、大事なことはだいたい分かるからです。次の章のやり方で、家の外周をひとまわりするだけで、急ぐか急がないかの判断はつきます。
そしてもう一点。災害のあとは「無料で点検します」と訪ねてくる業者が増えます。屋根の上は施主から見えないので、そこで何を言われても確かめようがありません。あわてて屋根に上がらせないでください。この手の訪問については屋根の点検商法のページに、断り方までまとめてあります。
登らずに見る方法
特別な道具はいりません。家のまわりを一周するだけです。
- ①雨樋の下と地面に、破片が落ちていないかいちばん分かりやすいサインです。透明・半透明のプラスチックのかけらが落ちていたら、上のどこかで波板か樹脂の部材が割れています。屋根材のかけら(スレートや瓦の破片)が落ちていることもあります。
- ②2階の窓から、下屋根とカーポートを見下ろす登らずに屋根を見られる、いちばん安全な場所です。玄関の上や1階部分の屋根(下屋根)、カーポートの上は、ここからよく見えます。
- ③離れた場所から、スマホの望遠で撮る道路の反対側や庭の端まで下がって、カメラを最大にズームして撮ります。その場で見るより、あとから写真を拡大したほうがよく分かります。
- ④下から見上げて、光が漏れていないかカーポートやベランダの波板は、下から見上げれば穴や割れがすぐ分かります。昼間に、下に立って上を見るだけです。
- ⑤天井と壁に、しみが出ていないか雨が降ったあとに、天井や壁の上のほうに色の変わったところが出ていないか。これは雨が入った証拠なので、見つけたら早めに相談してください。
この5つで見つからなければ、少なくとも急いで手を打たなければならない状態ではないと考えていいです。気になるところが残っていれば、そのときに人に見てもらえば間に合います。
部位ごとに、どこがどう壊れるか
カーポート・ベランダの波板
雹でいちばん被害が出やすいところです。薄い樹脂の板が、空に向かって水平に近い角度で張られているので、落ちてくる氷を正面から受けます。割れ方は、ひび、穴、端の欠け、留め具のところからの割れなど、さまざまです。下から見上げれば分かるので、まずここを見てください。
屋根
屋根材によって出方が違います。スレートや瓦は欠けたりひびが入ったりし、金属の屋根はへこみます。登って確認はしないでください。2階の窓から見える範囲と、地面に落ちている破片で判断します。棟板金(屋根のてっぺんの金属)が浮いていないかも、下から見上げると分かることがあります。詳しくは火災保険で屋根の修理はできる?のページで、壊れ方ごとの線引きを説明しています。
屋根は、結局のところ自分では確認しきれない場所です。気になる状態が残るなら、見てもらうしかありません。そのときは1社で決めずに、複数の会社に見てもらうほうが安全です。雹の被害は「今回できたもの」と「前からあったもの」の線引きが人によって変わるので、その線の引き方が並ぶと、自分でも判断できるようになります。
雨樋
塩ビの雨樋は割れることも、外れることもあります。雨の日に、樋の途中から水がこぼれていないか見てください。雨樋は直すのにいくらかかるかで保険の結果が変わりやすい部位なので、火災保険で雨樋は直せる?のページもあわせてご覧ください。
天窓(トップライト)
ガラスやアクリルが上を向いているので、雹をまともに受けます。室内から見上げて、ひびが入っていないかを確認してください。ここが割れていると、次の雨がそのまま室内に入ります。見つけたら急いでください。
太陽光パネル
パネルには、雹を想定した試験があります。太陽電池モジュールの規格では、直径25mm(2.5cm)の氷の球を、秒速23mでぶつける試験が定められています。つまり2.5cmくらいの雹までは、想定されたうえで作られています。
裏を返すと、それを大きく超える雹は想定の外側だということです。ガラス面が割れているように見えたら、素手で触らず、施工した会社か販売店に連絡してください。発電しているものなので、割れた状態で自分で外そうとしないでください。
外壁
窯業系サイディングやモルタルは、雹でいきなり穴が空くことは考えにくいですが、塗膜が欠けたり、角が欠けたりすることはあります。金属サイディングはへこみます。横なぐりに降ったときは、壁も見てください。
雨戸・シャッター・物置・室外機
いずれも金属なので、へこみます。動きが悪くなっていないか(シャッターが引っかかる、雨戸が閉まりにくい)を確かめてください。動きに支障がなければ、急ぐ必要はありません。
カーポートは「直す」のか「選び直す」のか
波板が割れた方から多いのが、「どうせ直すなら、次は割れにくいものにできないか」という質問です。ここは正直に書きます。
カーポートの屋根材は、大きく①ポリカーボネートの板 ②アルミの屋根材 ③スチールの折板の3つがあります。素材の性質だけで言えば、樹脂は割れる方向、金属はへこむ方向です。金属の屋根材に雹で穴が空くことは、まず考えにくいでしょう。
ただし、ここが大事なところです。カーポートのメーカーは、「耐積雪○cm」という表示は必ず出していますが、「雹に何cmまで耐える」という表示は出していません。雪は上に積もる重さなので数値にできますが、雹は「どの大きさが、どの速さで、どの角度で当たるか」で結果が変わるため、数字にしにくいのだと考えられます。
ですから「このカーポートなら雹で割れません」と言い切れる根拠は、メーカーの公表値のなかにはありません。そう言い切る営業トークがあれば、「それはメーカーのどの資料に書いてありますか」と聞いてみてください。出てこないはずです。
そのうえで現実的な選び方をまとめると、こうなります。
- 費用を抑えたい・明るさがほしいポリカーボネートの板。年数が経つと硬くなって割れやすくなることは知っておいてください。
- 丈夫さを優先したいアルミ屋根材やスチール折板。金額は上がり、下は暗くなります。へこみは残ります。
- 雪の多い地域そもそも耐積雪の等級で選ぶことになるので、そちらが優先です。
波板だけの交換で済むのか、本体から替えることになるのかは、傷み具合と年数で変わります。この判断は現物を見ないと決まらないので、まずは見てもらってください。複数の会社に見てもらうと、「波板だけでいい」と言うところと「本体から」と言うところに分かれることがあります。その差が、そのまま判断材料になります。一括見積もりの比較ページで、どのサービスがどんな会社を紹介しているかを整理しています。
記録の残し方——降った日と、写真
雹の被害でいちばん多いつまずきが、「あとから見つけたけれど、いつの被害か分からなくなった」です。保険を使うときに、ここでつまずきます。
面倒でも、次の3つだけは残しておいてください。作業は10分もかかりません。
- ①雹が降った日付をメモする「◯月◯日の◯時ごろ」で十分です。
- ②その日の天気の記録を残す気象庁のページや天気アプリの画面を、スクリーンショットで保存しておきます。ニュースになっていれば、その記事でもかまいません。
- ③壊れたところの写真を撮る近くで1枚、離れて全体で1枚。近くの1枚には、硬貨など大きさの分かるものを一緒に写すと伝わりやすくなります。
写真は、あとから「これは今回の雹によるものか、前からあったものか」を説明する材料になります。撮っておいて損をすることはありません。
保険の話は、ここから先は別のページに
雹による建物の被害は、火災保険の「風災・雹災・雪災」の補償で扱われるのが基本の考え方です。ただし、使えるかどうかは契約の中身しだいで、同じ被害でも結果が変わります。判断の順番を間違えると損をすることもあります。
ここは説明が長くなるので、別のページにまとめてあります。ご自身の状況に近いものからご覧ください。
- 外壁塗装に火災保険は使える?——証券のどこを見るか、共済との違い、請求の順番、そして「保険金で無料で直せます」と訪ねてくる業者について
- 火災保険で屋根の修理はできる?——雨漏り、棟板金の浮き、カバー工法の線引き
- 火災保険で雨樋は直せる?——金額の境目で結果が分かれるのはなぜか
ひとつだけ、ここでもお伝えしておきます。保険金が決まる前に、工事の契約をしないでください。そして請求はご自身で無料でできます。「代行します、下りたら何割」という話には乗らないでください。
下に車が停めてあったら
カーポートの波板が割れていた場合、その下に停めていた車も無事とは限りません。割れた穴から雹が落ちてきていれば、ボンネットや屋根にへこみが出ていることがあります。
ここで知っておいていただきたいのは、車のへこみは火災保険では直せないということです。車は自動車保険の「車両保険」の側になります。同じ雹の被害でも、建物と車で使う保険がまったく別なので、家の申請と一緒に出すことはできません。
車のへこみは、塗装が割れていなければ塗装をせずに直す方法(デントリペア)で対応できることがあります。判断のしかたは雹害車の修理についての解説が詳しいので、車のほうが気になる方はそちらをご覧ください。くり返しますが、車はあわてなくて大丈夫です。急ぐのは家のほうです。
よくある質問
車の雹対策としてカーポートはどうすればいいですか?
屋根があるだけで、当たる雹の量は確実に減ります。ただし横なぐりに降れば、屋根の下でも当たりますし、波板が割れればそこから落ちてきます。「カーポートがあるから絶対に大丈夫」ではありません。大きな雹が予報されているときは、屋内の駐車場に移せるならそのほうが確実です。
雹で壊れないカーポートはありますか?
「壊れない」と言い切れる商品はありません。カーポートのメーカーは耐積雪の数値は出していますが、雹に対する数値は公表していません。素材の性質として、樹脂は割れる方向、金属(アルミ・スチール折板)は割れずにへこむ方向、という違いがあるだけです。「雹に強い」とすすめられたら、その根拠がメーカーのどの資料にあるのかを聞いてください。
雹に強いカーポートの屋根材はどれですか?
割れにくさで言えばスチール折板やアルミの屋根材ですが、金額は上がり、カーポートの下は暗くなります。ポリカーボネートは明るく安価な代わりに、年数が経つと硬くなって割れやすくなります。どちらが正解ということはなく、予算・明るさ・その地域の降り方で決める話になります。
カーポートの屋根に雹が当たらないようにする方法はありますか?
現実的な方法はありません。屋根の上にさらに何かを載せるのは、風で飛べば別の事故になりますし、雪が積もったときの重さの前提も変わります。メーカーが想定していない使い方は、保証の対象からも外れます。心配な日は車を屋内に移す、というほうが確実です。
火災保険でカーポートの雹の被害は補償されますか?
カーポートが契約の対象に入っていて、風災・雹災・雪災の補償が付いていれば、対象になりえます。ただし「建物」に含まれるか「附属建物・門塀等」の扱いかは契約によって違い、そもそも対象外という契約もあります。証券を見るのがいちばん早いです。詳しくは火災保険は使える?のページにまとめました。
火災保険で屋根の雹の被害は補償されますか?
雹が原因で壊れたことがはっきりしていれば、対象になりえます。見られているのは屋根の古さではなく「なぜ壊れたか」です。年数をかけて傷んだ部分は対象外になります。線引きは火災保険で屋根の修理はできる?のページで詳しく説明しています。
太陽光パネルは雹で壊れますか?
ある大きさまでは想定されています。太陽電池モジュールの規格には、直径25mm(2.5cm)の氷の球を秒速23mでぶつける試験があります。それを大きく超える雹は想定の外側です。割れているように見えたら素手で触らず、施工した会社か販売店に連絡してください。
雹で屋根が壊れて火事になることはありますか?
雹が直接、火の元になることは考えにくいです。気にされているのは太陽光発電の設備だと思いますが、パネルやケーブルが損傷したまま発電を続けることのリスクは、目で見て判断できるものではありません。割れや変形が見つかったら、まず施工会社か販売店に連絡してください。自分で外そうとしないことがいちばん大事です。
あられと雹は何が違うのですか?
大きさで分けています。気象庁は、ひょうを「積乱雲から降る直径5mm以上の氷塊」、あられを「直径が5mm未満のもの」としています。あられの大きさで家が壊れることは、まず考えなくて大丈夫です。
参考にした情報
- 気象庁「予報用語(降水)」(公式・ひょう=「積乱雲から降る直径5mm以上の氷塊」/あられ=「雲から落下する白色不透明・半透明または透明な氷の粒で、直径が5mm未満のもの」・2026年8月確認)
- 太陽電池モジュールの設計適格性確認の規格(IEC 61215/日本ではJIS C 61215-2)の降ひょう試験=直径25mmの氷球を秒速23mで衝突させるという条件・2026年8月確認
- カーポートの屋根材はポリカーボネート板・アルミ屋根材・スチール折板の3種類が主流であること、およびメーカーが公表しているのは耐積雪の値であって雹に対する値ではないこと(各社カタログ・販売店の商品比較ページで確認・2026年8月)
- 火災保険の補償範囲・請求の順番・請求代行のトラブルの出典は火災保険は使える?のページに記載
- 屋根の壊れ方ごとの線引きは火災保険で屋根の修理はできる?のページに記載
最終確認日:2026年8月29日。このページは「どこを見るか」を整理したものです。保険が使えるかどうかは、ご自身の契約の中身で決まります(保険会社・共済の判断によります)。加入先に直接ご確認ください。太陽光発電設備の点検・復旧は、施工会社または販売店へ。屋根に登っての確認は、どんな場合もおすすめしません。
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