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外階段の塗装——塗る前に、「まだ塗っていい階段か」を確かめてください

アパートや住宅の外階段・鉄骨階段の塗装を調べている方に向けたページです。2021年(令和3年)4月に東京都八王子市で屋外階段の崩落事故が起き、国は建築基準法施行規則等を改正したうえで、木造・鉄骨造の屋外階段について防腐・防錆と点検のガイドラインをまとめました。そこに書かれている「専門家の点検を受ける目安」は、赤錆の発生と、塗膜面のふくれ又ははがれ——つまり、施主が「そろそろ塗り替えかな」と思う状態そのものです。塗る前に何を確かめるか、塗る中身(ケレン・錆止め・防滑)に何が入るかを、国の資料とメーカーの公表値で整理しました。

先に答えを書きます

  • 塗る前に、点検です。2021年(令和3年)4月17日、東京都八王子市の共同住宅で屋外階段が崩落し、住民が亡くなる事故が起きました。国はこれを受けて建築基準法施行規則等を改正し、屋外階段の防腐・防錆と点検のガイドラインを作っています。塗装は錆を止める工事ですが、塗れば見えなくなる劣化もあります。
  • 専門家を呼ぶ目安が、国の資料に書かれています。「赤錆の発生」「塗膜面のふくれ又ははがれ」が挙がっており、これはまさに「そろそろ塗り替えかな」と施主が思う状態です。同じ現象を、国は「専門家の点検を受ける合図」としています。
  • 塗る中身は鉄部と同じ。ケレン(下地調整)→錆止め→上塗り。ただし階段にはもうひとつ「滑らないこと」が乗ります。
このページの内容全9項目

2021年の崩落事故のあと、屋外階段の扱いが変わりました

外階段の塗装を調べていると、どの記事も「錆びる前に塗りましょう」から始まります。それは正しいのですが、その手前に置いておいたほうがいい話があります。

国土交通省のガイドラインは、冒頭でこう書いています——「令和3年4月17日、東京都八王子市内の木造共同住宅の屋外階段(木造の屋外階段と鉄骨造の屋外階段を組み合わせた屋外階段)が崩落し、住民が亡くなる事故が発生した」

この事故を受けて、国は特定行政庁を通じ、事故のあった共同住宅を施工した会社が関与した物件の現地調査を要請しました。令和3年6月1日の報道発表によれば、報告された共同住宅は東京都と神奈川県内に241件(当初報告166件・追加報告75件)。そのうち6件で屋外階段の劣化等による危険性がみられ、鉄製階段を支える仮設の柱(支保工)の設置などの安全対策が進められました。

所有者に求められた3つのこと

同じ報道発表で、国は特定行政庁を通じて所有者等に次の対応を求めています。

  • 建築士等による詳細調査
  • 屋外階段(自立する鉄骨造であるものを除く)の改修計画の提出及び改修の実施
  • 改修(恒久措置)完了までの間、当該屋外階段の定期的な点検及び特定行政庁への報告

ここで「自立する鉄骨造であるものを除く」と書かれている点は、覚えておくと役に立ちます。階段が自分の脚で立っているのか、建物の木部に荷重を預けているのかで、危険度の見方が変わるということです。

そして国は、令和4年1月18日に建築基準法施行規則及び関係告示の改正等を行い、同じ月に「木造の屋外階段等の防腐措置等ガイドライン」をまとめました。このガイドラインは木造だけでなく、木造共同住宅で一般的に用いられる鉄骨造の屋外階段、そして事故の起きた組み合わせ型についても扱っています。

なお、建築基準法施行令第121条の2では、屋外階段は原則として木造としてはならないとされています(準耐火構造のうち「有効な防腐措置」を講じたものを除く)。木造の屋外階段が例外の扱いである、という前提がここにあります。

うちの階段は何造か——木造・鉄骨造・その組み合わせ

ガイドラインは、屋外階段を3つに分けて扱っています。塗装の相談でも、まずここを確かめてください。

種類ガイドラインでの扱い
木造の屋外階段すべての部材(仕上げ材等を除く)が木材。設計・施工段階の防腐措置と、維持管理の留意事項が定められている
鉄骨造の屋外階段防錆措置・防水処理・水分の滞留防止・点検を行える構造・支持方法の留意事項が定められている
木造と鉄骨造を組み合わせた屋外階段崩落事故が起きた型。「様々な仕様の組合せが考えられ…防腐措置等の措置が特別な調査・研究によることを基本とし、既存のものの改修に限って」留意事項がまとめられている

3つ目の書き方に注目してください。組み合わせ型については、国が「一般的な答えを示すのは難しい」という立場を取っています。事故の型がこれでした。鉄骨造の階段を、木造の踊り場部分などで支持していた構造です。

ガイドラインは、避けるべき設計・施工の例としてもこう挙げています——「木造と鉄骨造を併用する屋外階段で、鉄骨造の階段部材の荷重を木造の階段部材で支持している」。理由は「木材の腐朽等が進行した場合、階段が脱落するおそれがある」。

見分け方は、下から覗くのが早いです

階段の裏側(段板の下)を見上げてください。鋼材だけで組まれているのか、木の部材が見えるのか。そして、階段が地面から立っている柱で支えられているのか、建物側にぶら下がっているのか。

ここが自分で判断できなければ、それ自体が「塗装の見積もりではなく、点検から頼む」理由になります。

塗る前の点検——「専門家を呼ぶ目安」が書かれています

ここがこのページでいちばんお伝えしたいところです。ガイドラインの「維持管理・点検の方法」には、どういう状態になったら専門家を呼ぶかが具体的に書かれています。

日常的な点検において、屋外階段の階段部材に著しい汚れや摩耗、変形、赤錆の発生、塗膜面のふくれ又ははがれ、蟻道の発生や昆虫による食害等の著しい劣化現象、腐朽による軟化等の劣化が疑われる不具合又は著しい水分の滞留、水漏れ等が確認された場合は、専門家の点検を受ける。

読み返してみてください。「赤錆の発生」「塗膜面のふくれ又ははがれ」——これは、施主が「そろそろ塗り替えかな」と思うときの状態そのものです。

同じ現象を、塗装業者は「塗り替えの合図」と読み、国のガイドラインは「専門家の点検を受ける合図」と書いている。どちらが正しいという話ではなく、順番の話です。錆と塗膜のはがれが出ているなら、塗る前に、その下がどうなっているかを一度見てもらう。それだけのことです。

専門家の点検は「概ね3年以内毎」とされています

ガイドラインは頻度も書いています——竣工から概ね1年以内に初期不良の点検、その後は定期調査報告制度の頻度等も踏まえて概ね3年以内毎

点検の方法も具体的です。

  • 点検口がある場合点検口から目視点検等を行い、総合的に判断する
  • 点検口がない場合目視点検のほか、ファイバースコープによる点検、ドライバー等による触診を行う。その結果、劣化のおそれが認められる場合は、階段の被覆材を取り外して、目視・触診・含水率測定等を行い総合的に判断する

「被覆材を取り外して」——ここまでやるのが、劣化が疑われるときの手順です。塗装の見積もりで階段を見に来た人が、外から眺めて「錆びてますね、塗りましょう」で終わったなら、それは点検ではありません。見積もりと点検は別のものだと考えてください。

ガイドラインが「避けるべき」と名指しした維持管理は、ひとつだけです

避けるべき維持管理事例として挙がっているのは、次の1行です。

「所有者、管理者等による日常的な点検に関する方針が定められておらず、結果的に点検が行われていない」——劣化対策上の問題は「階段の性能が損なわれる劣化等の発見ができない」

つまり、点検の方針を決めていないこと自体が、避けるべき管理だとされています。塗り替えの周期を決めるついでに、点検の周期も決めてしまうのがいちばん楽です。

定期報告の判定基準にも「鋼材に錆又は腐食があること」が入りました

建築基準法第12条第1項に基づく定期調査報告制度でも、屋外階段の調査基準が改正されました。ガイドラインが載せている表を、そのまま引きます。

調査項目調査方法判定基準
階段各部の劣化及び損傷の状況目視、触診、設計図書等により確認する。モルタル等の仕上げ材にひび割れがあること、鋼材に錆又は腐食があること、木材に腐朽、損傷又は虫害があること、防水層に損傷があること等により安全上支障が生ずるおそれがあること又は安全上支障が生じていること。

この定期報告の対象になるのは、特定行政庁が指定する一定の特殊建築物などで、すべてのアパートや戸建てが対象になるわけではありません。ただし、「鋼材に錆又は腐食があること」が判定基準として明記されたという事実は、対象かどうかに関わらず読む価値があります。

ガイドラインはさらに、定期調査報告制度について「建築物全体を対象に、概観的、外形的、一般的な技術的判断に基づき調査する性質のもの」だとしたうえで、木造の屋外階段についてはこれとあわせて専門的な観点からも調査することが望ましい、としています。そして「このほか、鉄骨造の屋外階段の維持管理にあたっても、上記【維持管理・点検の方法】の(1)及び(2)に留意して点検等を実施することが望ましい」。

鉄骨階段でも、日常点検と3年以内毎の専門家点検という考え方は同じ、ということです。

塗る中身——鉄部なので、見るのはケレンと錆止め

点検が済んで、塗って大丈夫だと分かったら、ここからは鉄部塗装と同じ話になります。工程は①下地調整(ケレン)→②錆止め→③上塗り。

国の改修工事の仕様書では、塗り替えのときの下地調整は、特に指定がなければ「劣化してもろくなった部分と錆を落とし、しっかり付いている塗膜(活膜)は残す」方法が標準とされています。全部剥がすのが丁寧、ではありません。詳しくは鉄部塗装のページにまとめました。

階段で特に見てほしい3か所

①段板の裏と側桁の下端——水が溜まり、下から見上げないと見えません。②溶接部と接合部のボルトまわり——錆はここから出ます。③階段が建物や地面と接している足元——ガイドラインが「水分が常時滞留することがないよう配慮する」と書いているのは、ここです。

見積もりのとき、この3か所の写真をもらえるかどうかで、どこまで見た会社かが分かります。

ガイドラインは、鉄骨造の屋外階段について「階段部材及び建築物の木造部分との接合部に使用される接合金物には、適切な塗装、めっき処理その他の防錆措置を講じる」としています。塗装は、国のガイドラインでも防錆措置のひとつとして位置づけられている——これは塗ることの意味を裏づける記述です。

もうひとつ、避けるべき施工として挙がっているものに、階段の塗装と一緒に相談されやすい項目があります。「水平面に施した防水層の上からビスを打っている」——劣化対策上の問題は「階段部材へ水分が継続的に浸入する原因となる」。踊り場や段板の防水をやり直す話が出たときは、この一文を思い出してください。

防滑(ノンスリップ)——段板は「滑らないこと」が先

外壁や雨戸と違って、階段には人が足を置くという条件があります。塗ってきれいになったが滑るようになった、では困ります。

だから階段の塗装では、上塗りに防滑(ノンスリップ)の骨材を混ぜる、あるいは防滑仕様の塗料を使うことがあります。

日本ペイントの「クリンカラー防滑骨材」(床用防滑仕上げ用骨材)を例に、公表されている数字を並べます。

項目メーカーの公表値
防滑性能硅砂6〜7号相当の防滑性能と、むらの少ない仕上がり外観を両立
荷姿0.25kg
配合目安石油缶1缶(15kg)に対し、1袋(0.25kg)を混合
施工軽量素材のため塗料に混合しても沈殿しにくく、そのままローラー・はけ塗装が可能(骨材を散布する必要なし)
材工価格70円/㎡ ※同社は「材工価格は原則として300㎡以上を基準といたします」と注記

この70円は、そのまま自分の家には使えません

注記が効いてきます。「材工価格は原則として300㎡以上を基準」——300㎡というのは、工場や大きな施設の床の広さです。

アパートの外階段は、段板と踊り場を合わせても数十㎡のことがほとんどです。面積が小さいほど、㎡あたりの単価は上がります。職人の1日は面積で割り切れないからです。

だから、この70円は「安いか高いかを判断する物差し」ではなく、「防滑を足すと、材料としてはこの程度の話」という桁を知るための数字として使ってください。見積もりの内訳のページで書いたとおり、小さい工事ほど足場と人の比率が上がります。

階段の防滑には、塗料に骨材を混ぜるやり方のほかに、長尺の塩ビシートを貼る方法もあります。こちらは塗装ではなく張り物の工事になるので、見積書の行も別になります。「塗って滑り止めを入れますか、シートを貼りますか」——この2つは金額も持ちも違うので、最初に分けて聞いてください。

階段には「床用の塗料」と「鉄部用の塗料」が混ざります

ここは階段ならではの話です。同じ階段でも、足が乗る面と、乗らない面で使う塗料が変わります。

  • 踏面(ふみづら)・踊り場人が歩く面です。摩耗に耐える床用・路面用の塗料が使われ、防滑の骨材を混ぜられるのもこちらです。日本ペイントの防滑骨材も、適用できる上塗りは「クリンカラー」という床用塗料のシリーズに限られています
  • 側桁(がわげた)・ささら・手すり・裏側歩かない鉄の面です。こちらは鉄部用——錆止めの上に上塗り、という組み立てになります

つまり、階段1か所の見積書に、性格の違う塗料が2種類入るのが普通です。「階段塗装 一式」とだけ書かれていたら、「踏面は床用ですか、鉄部用ですか」と聞いてみてください。踏面まで鉄部用の塗料で仕上げる計画なら、滑りと摩耗をどう考えているのかを確かめる場面です。

手すりがアルミ製なら、また扱いが変わります。アルミは塗料が密着しにくい素材で、塗らない判断もあります(ベランダ手すりの塗装のページ)。「この手すりは鉄ですか、アルミですか」は、階段でもそのまま使える質問です。

賃貸オーナーの場合——点検の方針を決めるのは所有者です

外階段の相談の多くは、アパートや共同住宅の所有者からです。ガイドラインの維持管理の章は、はっきり「建築物の所有者、管理者等は」という主語で書かれています。

建築物の所有者、管理者等は、日常的に、屋外階段の階段部材にひび割れ、錆又は腐食、腐朽、損傷、虫害、防水層の損傷等の劣化現象及び水分の滞留、水漏れ等が生じていないかを目視により確認し、必要に応じて、専門家による点検、交換・改修等の措置を講じる。

そして、屋外階段を木造とした建築物の維持保全計画には、点検時期(管理者等による日常の点検と、専門家による定期的な点検のそれぞれ)と点検の判断基準を定めることが規定されています。

「うちは管理会社に任せているから」で終わらせず、点検の周期が実際に決まっているかを一度確かめてください。避けるべき維持管理として名指しされているのは、まさに「方針が定められておらず、結果的に点検が行われていない」状態です。

階段・廊下の鉄部塗装をいつやるかという時間軸そのものは、アパートの大規模修繕のページアパートの外壁塗装のページにまとめました。塗装の周期と点検の周期は別物ですが、足場を建てる日にまとめると、点検の手も届きます

屋外階段の安全について相談したい場合、国は公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)に窓口を設けています。電話 0570-016-100(受付 10:00〜17:00、土日・祝休日・年末年始を除く)。PHSや一部のIP電話からは03-3556-5147。

見積もりのときに確かめる質問

  • 構造この階段は鉄骨造ですか、木造ですか、組み合わせですか組み合わせ型は、国が「特別な調査・研究によることを基本」としている型です
  • 支持階段は自立していますか、建物側で支えていますか事故のあとの要請で「自立する鉄骨造であるものを除く」と書き分けられた箇所です
  • 点検段板の裏・接合部・足元の写真をいただけますか外から見えない3か所です。写真が出てこないなら、そこは見ていないということです
  • 下地ケレンはどの程度で、錆止めはどこに何回塗りますか鉄部の金額差はここで決まります(鉄部塗装
  • 防滑滑り止めは、骨材を混ぜますか、シートを貼りますか工事の種類が変わるので、行も金額も持ちも別になります
  • 判断塗って大丈夫な状態だと、どこで判断しましたか答えが「見た感じ」で止まるなら、もう1社に見てもらう場面です

よくある質問

外階段の塗装費用はいくらですか?

当サイトでは単価の目安を出しません。外階段は、段数・幅・踊り場の有無・鉄骨か木造か・足場が要るかで、金額の構造そのものが変わるためです。かわりに、見積書で見る点を挙げます。

①ケレンと錆止めの行が分かれているか ②防滑を入れるか(骨材かシートか) ③足場・仮設の行があるか ④段板の裏まで塗る範囲に入っているか。この4つがそろっていれば、他社の見積書と同じ土俵で比べられます。内訳のページも合わせてどうぞ。

外階段の塗装をDIYするにはどうしたらいいですか?

階段は、DIYの向き不向きがはっきり分かれる場所です。地面に接している1〜2段を塗るのと、2階へ上がる階段全体を塗るのとでは、話がまったく違います。後者は高所作業で、しかも塗っている間、住人が通れません。アパートなら入居者の動線を止めることになります。

そしてもうひとつ。国のガイドラインが「専門家の点検を受ける合図」として挙げているのが、赤錆の発生と塗膜面のふくれ・はがれです。DIYで塗りたくなる状態は、点検を受けたほうがいい状態と重なっています。錆を落として塗れば見た目は直りますが、その下の断面がどうなっているかは塗っても分かりません。

鉄骨階段の塗装は何年ごとですか?

鉄部の塗り替えの周期は、国の長期修繕計画のガイドラインでは5〜7年とされていて、外壁(12〜15年)のおよそ半分です(鉄部塗装のページ)。

ただし点検の周期はこれとは別です。屋外階段のガイドラインは、専門家による点検を竣工から概ね1年以内、その後は概ね3年以内毎としています。塗り替え1回のあいだに、点検が2回入るくらいの間隔だと考えてください。

錆がひどいのですが、塗れば大丈夫ですか?

「塗れば大丈夫」と即答が返ってきたら、一度立ち止まってください。国のガイドラインは、著しい赤錆や塗膜のふくれ・はがれが確認された場合は専門家の点検を受けるとし、点検ではドライバー等による触診、劣化のおそれがあれば被覆材を取り外して含水率測定まで行うとしています。

表面の錆を落として塗るだけで済むのか、断面が痩せていて補強や交換が要るのか。その判断は、塗る人ではなく見た人がします。判断の根拠を聞いて、答えが具体的でなければ、別の会社にも見てもらってください。

階段が木でできています。塗装で延命できますか?

塗装は防腐措置のひとつですが、それだけでは足りません。ガイドラインは木造の屋外階段について、薬剤処理・防水処理・水分の滞留防止・支持方法まで含めて留意事項を定めています。避けるべき施工として「木造現しの屋外階段で、階段部材及び建築物の木造部分との接合部に腐朽等を防止するための薬剤処理が施されていない」ことも挙げられています(問題は「木材の腐朽等が急速に進行するおそれがある」)。

そして建築基準法施行令第121条の2では、屋外階段は原則として木造としてはならず、準耐火構造のうち有効な防腐措置を講じたものが例外とされています。木造の屋外階段は、塗装より前に「今どういう状態か」の調査です。

アパートの階段です。入居者がいる間でも工事できますか?

できますが、階段は生活動線なので、段取りが要ります。片側ずつ塗る、乾燥時間を挟んで半分ずつ進める、といったやり方になります。塗ったばかりの段は歩けないので、何日、どの時間帯が通れなくなるのかを先に出してもらい、そのうえで入居者へ告知してください。

入居者への連絡や工事中の注意点はアパートの外壁塗装のページにまとめています。

点検だけ頼むことはできますか?

できます。ガイドラインは点検の方法として、目視のほかファイバースコープやドライバー等による触診、必要に応じて被覆材を外しての含水率測定を挙げています。これは塗装の見積もりとは別の作業です。

また、事故のあと国は住まいるダイヤル(0570-016-100)に相談窓口を設けています。「うちの階段、大丈夫でしょうか」という段階なら、まずここに電話するのが、いちばん利害のない相手です。

階段に塗る塗料は何を使いますか?

1か所で2種類使うのが普通です。人が歩く踏面や踊り場は摩耗に耐える床用・路面用の塗料、歩かない側桁や手すりや裏側は鉄部用の塗料(錆止め+上塗り)になります。防滑の骨材を混ぜられるのは床用のほうで、日本ペイントの防滑骨材も適用できる上塗りが床用シリーズに限られています。

見積書が「階段塗装 一式」なら、「踏面は床用ですか、鉄部用ですか」と聞いてみてください。手すりがアルミなら、そもそも塗らない判断もあります。

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外階段は、塗って直るものと、塗っても直らないものが混ざっている場所です。何社かに階段を見てもらって、写真で状態を見せてもらってください。判断が割れたときは、その根拠になった写真を並べれば、どちらが丁寧に見ているか分かります。

参考にした情報

  • 屋外階段の防腐措置等検討TG「木造の屋外階段等の防腐措置等ガイドライン」(令和4年1月)——令和3年4月17日の八王子市内の崩落事故の経緯、適用範囲(木造/鉄骨造/両者を組み合わせた屋外階段)、鉄骨造の屋外階段の設計・施工の留意事項(設置環境、防水処理、接合金物への塗装・めっき処理その他の防錆措置、雨がかり・水分の滞留防止、点検を行える構造、支持方法)、維持管理・点検の方法(所有者・管理者等による日常的な点検、専門家の点検を要する場合=著しい汚れや摩耗・変形・赤錆の発生・塗膜面のふくれ又ははがれ等、点検の頻度=竣工から概ね1年以内および概ね3年以内毎、点検の方法=ファイバースコープ・ドライバー等による触診・被覆材を取り外しての含水率測定等)、定期調査報告制度の調査項目と判定基準、避けるべき設計・施工・維持管理事例、建築基準法施行令第121条の2に関する注記(2026年9月12日確認)
  • 国土交通省「八王子市内階段崩落事故の共同住宅の施工者等が関与した共同住宅に係る調査結果等について」(令和3年6月1日 報道発表)——報告された共同住宅241件(当初報告166件・追加報告75件、東京都及び神奈川県内)、うち屋外階段の劣化等による危険性がみられた6件と支保工の設置等の安全対策、所有者等に求めた3つの対応(建築士等による詳細調査/屋外階段(自立する鉄骨造であるものを除く)の改修計画の提出及び改修の実施/改修完了までの定期的な点検及び特定行政庁への報告)、住まいるダイヤルの相談窓口(0570-016-100、受付10:00-17:00)(2026年9月12日確認)
  • 日本ペイント株式会社「クリンカラー防滑骨材」製品情報——床用防滑仕上げ用骨材、硅砂6〜7号相当の防滑性能、荷姿0.25kg、配合目安(石油缶1缶15kgに対し1袋0.25kgを混合)、骨材を散布せずローラー・はけ塗装が可能である旨、材工価格70円/㎡および「材工価格は原則として300㎡以上を基準といたします」の注記(2026年9月12日確認)
  • 鉄部の下地調整・錆止め・上塗りの標準、および鉄部塗装の修繕周期(5〜7年)の出典は鉄部塗装のページの「参考にした情報」に記載しています

最終確認日:2026年9月12日。定期調査報告制度の対象となる建築物は特定行政庁が指定するもので、すべての共同住宅・戸建てが対象になるわけではありません。ガイドラインは今後の屋外階段の防腐措置等の参考となるようまとめられたもので、個別の建築物にそのまま適用されるものではありません。階段の状態の判断は、実際に現地を確認した建築士等の専門家にご相談ください。高所での作業には転落の危険があります。